JP3918705B2 - 既存建物の免震化工法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、既存の建物の中間階の軸力材に免震装置を介装することによって、当該既存建物を免震化する既存建物の免震化工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄筋コンクリート(RC)造、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造あるいは鉄骨(S)造等の各種の既存建物において、免震装置を特定の階に設置することにより、建物全体あるいはその一部を免震建物とする要請がある。
このような既存建物の免震化工法としては、例えば特許文献1に示す方法が知られている。
【0003】
この免震化工法方法は、免震階における鉄骨柱(軸力材)の免震装置を介装すべき範囲の上下部外周に、それぞれ免震装置を支持する支承部を固定し、次いで上記上下位置の支承部を複数の仮支持用ボルト(支持部材)で連結することによって、鉄骨柱に作用する少なくとも軸力を上記支承部および仮支持用ボルトで仮受けした後に、免震装置を介装すべき範囲の鉄骨柱を切断除去し、次いで鉄骨柱の切断除去部に免震装置を挿入した後に、仮支持用ボルトを撤去するようになっている。
【0004】
上記既存建物の免震化工法においては、鉄骨柱の周りの狭い範囲で工事を進行させることができるので、免震階内における平常業務の妨げとなることがなく、かつ短時間で簡単に免震化の工事を完了することができるという利点がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−8738号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記既存建物の免震化工法においては、鉄骨柱における免震装置を介装すべき範囲の上部外周および下部外周のそれぞれに支承部を固定するようになっているので、例えば免震装置を免震階における鉄骨柱の柱頭に設置しようとした場合、当該免震装置を上階側の梁から支承部の厚さ分だけ下げた位置に設置しなければならない。
このため、地震等によって生じる上下階間の相対変位の位置が低くなるため、例えば壁に沿って棚等を設置する場合、その棚等は高さの制約を受けることになるなど、免震階における使用勝手が低下するという問題がある。また、免震装置を天井内に納めることが困難になり、見栄えが悪くなるという問題も生じることになる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、免震階における免震装置の納まりが良く、しかも使用勝手に大きな制約を生じることがない既存建物の免震化工法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明に係る既存建物の免震化工法は、既存建物の中間階の軸力材に免震装置を介装することにより免震階を設ける免震化工法であって、上記免震階における上記軸力材の上記免震装置を介装すべき位置の下部外周に第1の支承部材を設け、この第1の支承部材と上記免震階の上階側の梁との間に第1の支持部材を仮設し、かつ免震階上階の上記軸力材の外周に第2の支承部材を設け、この第2の支承部材と上記梁との間に第2の支持部材を仮設し、上階側から上記軸力材に作用する軸力を上記第2の支承部材、上記第2の支持部材、上記梁、上記第1の支持部材および第1の支承部材を介して下階側の上記軸力材に伝達させた状態で、上記免震装置を介装すべき位置の上記軸力材を切断除去し、次いで上記軸力材の切断除去部に上記免震装置を挿入した後、少なくとも上記第1の支持部材および上記第2の支持部材を撤去することを特徴とするものである。
【0009】
なお、第1の支承部材は、免震階の軸力材の外周に仮固定し、後で撤去可能なものや、軸力材の外周に打設する補強用の増打ちコンクリートが含まれるとともに、このよな増打ちコンクリートを設けた場合には当該増打ちコンクリートの外周に仮固定し、後で撤去可能なものも含まれる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、既存建物の中間階の軸力材に免震装置を介装することにより免震階を設ける免震化工法であって、上記免震階における上記軸力材の近傍の上記免震階の下階側の梁と上階側の梁との間に第1の支持部材を仮設し、かつ免震階上階の上記軸力材の外周に支承部材を設け、この支承部材と上記免震階の上階側の梁との間に第2の支持部材を仮設し、上階側から上記軸力材に作用する軸力を上記支承部材、上記第2の支持部材、上記免震階の上階側の梁、上記第1の支持部材、上記免震階の下階側の梁を介して下階側の上記軸力材に伝達させた状態で、上記免震装置を介装すべき位置の上記軸力材を切断除去し、次いで上記軸力材の切断除去部に上記免震装置を挿入した後、少なくとも上記第1の支持部材および上記第2の支持部材を撤去することを特徴とするものである。
【0014】
免震装置を介装すべく軸力材の所定位置を切断するに際し、請求項1に記載の発明によれば、上階側から軸力材に作用する軸力が第2の支承部材、第2の支持部材、梁、第1の支持部材および第1の支承部材を介して下階側の軸力材に伝達され、軸力が軸力材の切断除去部を迂回した流れとなるので、上記梁、すなわち免震装置を介装すべき位置の上方の梁を補強する必要がないという利点がある。
【0019】
さらに、請求項2に記載の発明によれば、上階側から免震階上階の軸力材に作用する軸力が支承部材、第2の支持部材、免震階の上階側の梁、第1の支持部材、免震階の下階側の梁を介して下階側の軸力材に伝達され、軸力が軸力材の切断除去部を迂回した流れとなるので、免震装置を介装すべき位置の上方の梁を補強する必要がないという利点がある。
【0020】
以上の結果、請求項1または2に記載の発明によれば、いずれも免震階における軸力材の免震装置を介装すべき位置の上部に軸力を仮受けするための治具を設ける必要がないので、軸力材における免震装置を介装すべき位置を免震階の上階側の梁に近接した位置に設けることができる。
したがって、免震装置を軸力材の高位置に介装させることができるので、地震等で発生する免震装置を介して上下の相対変位の位置が高位置となり、壁等に沿って設置する棚等が高さの制約を受けることが少なくなる。よって、従来と比較して、免震階における使用勝手の向上を図ることができる。
しかも、免震装置を天井で覆うことが可能になったり、仮に天井から突出してもその突出量を低減することができるので、見栄えの向上を図ることができるとともに、免震階における使用可能な容積の向上を図ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の既存建物の免震化工法の第1の実施の形態およびこの実施の形態の実施に直接使用する免震化治具を示す説明図であり、図2は免震化治具等に伝達する軸力の流れを示す図であり、図3は柱に免震装置を介装した状態を示す図である。
【0022】
まず、上記免震化治具の構成を説明した上で、上記第1の実施の形態について説明する。
この免震化治具は、RC造の既存建物の基礎上に立設された柱(軸力材)1の中間部であって、免震化に適した免震階2の柱1に免震装置Aを介装するために選定されたものであり、第1の支承部材11と、第1のジャッキ(第1の支持部材)12と、第2の支承部材13と、第2のジャッキ(第2の支持部材)14とを備えた構成になっている。
【0023】
第1の支承部材11は、免震階2における柱1の免震装置Aを介装すべき位置Sを除く上下部のそれぞれに打設された上部補強コンクリート4aおよび下部補強コンクリート4bのうち下部補強コンクリート4bの上端部外周にPC鋼棒11aなどによって仮固定されるようになっている。柱1の免震装置Aを介装すべき位置Sは、免震階2における上階側の梁3の下面に近接する位置から下側の所定の範囲である。
【0024】
上記柱1は、四角柱状に形成されており、各補強コンクリート4a、4bは、柱1の外周面に沿って打設され四角柱状に形成されている。
そして、第1の支承部材11は、下部補強コンクリート4bにおける表裏をなす一対の各外周面に配置され、複数のPC鋼棒11aの張力によって当該各外周面に押圧されることにより仮固定されるようになっている。なお、図1において11bは、PC鋼棒11aの両端部に螺合し、当該PC鋼棒11aに上記張力を発生させるためのナットである。
また、各第1の支承部材11は、下部補強コンクリート4bの各外周面に仮固定された状態において、その上面が第1のジャッキ12の支持面11cとなっている。
【0025】
第1のジャッキ12は、ねじ方式のもので構成されており、各第1の支承部材11の支持面11cと、梁3の下面との間に仮設されるようになっている。
【0026】
第2の支承部材13は、免震階上階5の柱1の柱脚における表裏をなす一対の各外周面に配置され、複数のPC鋼棒13aの張力によって当該各外周面に押圧されることにより仮固定されるようになっている。なお、図1において13bは、PC鋼棒13aの両端部に螺合し、当該PC鋼棒13aに上記張力を発生させるためのナットである。
また、第2の支承部材13は、第1の支承部材11が仮固定された下部補強コンクリート4bの外周面の上方に位置する柱1の外周面に仮固定されるようになっている。そして、この仮固定された状態において、第2の支承部材13の下面が第2のジャッキ14の支持面13cとなっている。
【0027】
第2のジャッキ14は、ねじ方式のもので構成されており、各第2の支承部材13の支持面13cと、梁3の上面との間に仮設されるようになっている。なお、第1および第2のジャッキ12、14は、油圧方式などの他の方式のものを用いてもよい。
【0028】
次ぎに、上記免震化治具を用いた既存建物の免震化工法の第1の実施の形態について説明する。
まず、免震化に当たって、免震階2における柱1に上部補強コンクリート4aおよび下部補強コンクリート4bを打設し、所定の期間養生させた後に、下部補強コンクリート4bの上端部の各外周面に第1の支承部材11をPC鋼棒11aおよびナット11bを介して仮固定するとともに、第1の支承部材11の支持面11cと梁3の下面との間に第1のジャッキ12を仮設する。
【0029】
また、免震階上階5における柱1の脚部の各外周面に第2の支承部材13をPC鋼棒13aおよびナット13bを介して仮固定するとともに、第2の支承部材13の支持面13cと梁3の上面との間に第2のジャッキ14を仮設する。
【0030】
そして、第1のジャッキ12および第2のジャッキ14の高さ増加させることにより、上階側から免震階上階5の柱1に作用する軸力を第1のジャッキ12および第2のジャッキ14で仮受けする。
これにより、免震階上階5の柱1に作用する軸力は、図2の矢印で示すように、第2の支承部材13、第2のジャッキ14、梁3、第1のジャッキ12、第1の支承部材11および下部補強コンクリート4bを介して下階側の柱1に伝達されることになる。
【0031】
そこで、免震装置Aを介装すべき位置Sの柱1を切断除去し、次いで当該柱1の切断除去部に免震装置Aを挿入して下部補強コンクリート4bの上端面および上部補強コンクリート4aの下端面にボルト等の連結手段を用いて固定する。なお、免震装置Aは、柱1の上端面および下端面あるいは柱1および補強コンクリート4a、4bの上端面および下端面に固定するようにしてもよい。
【0032】
免震装置Aを介装した後は、第1のジャッキ12および第2のジャッキ14の高さを低下させて、柱1の軸力を免震装置Aに作用させる。そして、これらの第1のジャッキ12および第2のジャッキ14をそれぞれ第1の支承部材11および第2の支承部材13の位置から外す。また、ナット11b、13bを緩めることにより、第1の支承部材11および第2の支承部材13をそれぞれ下部補強コンクリート4bおよび柱1から外す。そして、第1の支承部材11、第1のジャッキ12、第2の支承部材13および第2のジャッキ14等を免震階2および免震階上階5から撤去する。これにより、免震化工事が終了する。
【0033】
以上のように構成された免震化治具およびこれを用いた既存建物の免震化工法によれば、柱1の免震装置Aを介装すべき位置Sの上部に軸力を仮受けするための治具を設ける必要がないので、柱1における免震装置Aを介装すべき位置Sを梁3の下面に極力近接する位置あるいは接する位置に設けることができる(なお、この実施の形態では免震装置Aを介装すべき位置Sを梁3の下面に極力近接する位置に設けている)。
したがって、免震装置Aを梁3の下側における柱1の最も高い位置に介装させることができるので、免震装置Aを介してその上下に生じる相対変位の位置が高なり、免震階2における壁等に沿って設置する棚等が高さの制約を受けることが少なくなる。よって、免震階2における使用勝手の向上を図ることができる。
しかも、免震装置Aを介装する位置が高くなることから、当該免震装置Aを天井内に隠すことが可能になったり、天井から突出してもその突出量を低減することができるようになる。したがって、免震化処理をした後の柱1およびその周辺の見栄えの向上を図ることができるとともに、室内における使用可能な容積の向上を図ることができる。
【0034】
また、上階側から柱1に作用する軸力が第2の支承部材13、第2のジャッキ14、梁3、第1のジャッキ12、第1の支承部材11および下部補強コンクリート4bを介して下階側の柱1に伝達されることから、軸力が柱1の切断除去部を迂回した流れとなる。したがって、柱1の切削除去に際して、免震装置Aを介装すべき位置Sの上方の梁3を補強する必要がないという利点がある。
【0035】
なお、上記実施の形態においては、下部補強コンクリート4bの外周面に固定した第1の支承部材11で第1のジャッキ12を保持するように構成したが、下部補強コンクリート4bの上端面で第1のジャッキ12を保持するようにしてもよい。すなわち、下部補強コンクリート4bを第1の支承部材として用い、この下部補強コンクリート4bの上端面と梁3の下端面との間に第1のジャッキ12を仮設するように構成してもよい。
【0036】
また、第1の支承部材11は、免震階2における柱1の免震装置Aを介装すべき位置Sの下部外周に仮固定するようにしてもよい。この場合には、上部補強コンクリート4aおよび下部補強コンクリート4bを打設することを要しない。
【0037】
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の既存建物の免震化工法の第2の実施の形態およびこの実施の形態の実施に直接使用する免震化治具を示す説明図であり、図5は免震化治具等に伝達する軸力の流れを示す図であり、図6は柱に免震装置を介装した状態を示す図である。
【0038】
ここにおいても、上記免震化治具の構成を説明した上で、上記第2の実施の形態について説明する。ただし、第1実施の形態に関する図1〜図3に示した構成要素と共通する要素には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0039】
この免震化治具は、図4〜図6に示すように、ジャッキ(支持部材)21と、仮連結支保工22と、仮支保工23とを備えた構成になっている。
【0040】
ジャッキ21は、ねじ方式のもので構成されており、下部補強コンクリート4bにおける表裏をなす一対の各外周面の近傍に位置する免震階2の下階側の梁6の上面と免震階2の上階側の梁3の下面との間に仮連結支保工22を介して仮設されるようになっている。
【0041】
仮連結支保工22は、断面が四角形状に形成されており、その上端面でジャッキ21の下端面を同軸状に保持し、その一外周面を下部補強コンクリート4bの外側面に平行に近接させて、梁6上に立設されるようになっている。
なお、仮連結支保工22の一外周面を下部補強コンクリート4bの外周面に当接させるようにしたり、仮連結支保工22を下部補強コンクリート4bにボルト等で連結するようにしてもよい。
また、ジャッキ21と仮連結支保工22との間およびジャッキ21と梁3との間の少なくとも一方に、高さの調整材(図示せず)を設けるようにしてもよい。
【0042】
仮支保工23は、上記各ジャッキ21の直上に位置する梁3の上面と、免震階上階5の上階側の梁7の下面との間に仮設されるようになっている。この仮支保工23は、高さ調整材や楔(いずれも図示せず)等を用いて梁3および梁7に確実に当接するように構成されている。
【0043】
また、上記ジャッキ21、仮連結支保工22および仮支保工23は、鉛直方向に延在べく、免震階2や免震階上階5に設置されるようになっている。
【0044】
次ぎに、上記免震化治具を用いた既存建物の免震化工法の第2の実施の形態について説明する。
上部補強コンクリート4aおよび下部補強コンクリート4bを打設した後、下部補強コンクリート4bの表裏をなす各外周面の近傍の梁6の上面と梁3の下面との間にジャッキ21および仮連結支保工22を仮設する。
【0045】
また、仮支保工23をジャッキ21の直上であって柱1の近傍の梁3の上面と梁7の下面との間に仮設する。
【0046】
そして、ジャッキ21の高さを増加させることにより、上階側から免震階上階5の柱1に作用する軸力を仮支保工23、ジャッキ21および仮連結支保工22で仮受けする。
これにより、免震階上階5の柱1に作用する軸力は、図5の実線の矢印で示すように、梁7、仮支保工23、梁3、ジャッキ21、仮連結支保工22および梁6を介して下階側の柱1に伝達されることになる。また、上記軸力は、図5の鎖線の矢印で示すように、免震階上階5の柱1を介して梁3およびジャッキ21に順次伝達されることにもなる。
【0047】
そこで、免震装置Aを介装すべき位置Sの柱1を切断除去し、次いで当該柱1の切断除去部に免震装置Aを挿入して下部補強コンクリート4bの上端面および上部補強コンクリート4aの下端面にボルト等の連結手段によって固定する。
【0048】
それから、ジャッキ21の高さを低下させて、柱1の軸力を免震装置Aに作用させた後、ジャッキ21、仮連結支保工22および仮支保工23を外して、免震階2および免震階上階5から撤去する。これにより、免震化工事が終了する。
【0049】
以上のように構成された免震化治具およびこれを用いた既存建物の免震化工法によれば、上階側から免震階上階5の柱1に作用する軸力が梁7に伝達された後、仮支保工23、梁3、ジャッキ21、仮連結支保工22および梁6を介して下階側の柱1に伝達される力の流れが生じるとともに、上記軸力が免震階上階5の柱1を介して梁3およびジャッキ21に順次伝達される力の流れが生じることにより、軸力が柱1の切断除去部を迂回した流れとなる。
【0050】
このため、上階側から作用する軸力は、梁7および梁3の2つの梁に分散して流れるので、これらの各梁7、3の負担を軽減することができる。したがって、免震装置Aを介装すべき位置Sの上方の梁7、3を補強することなく、免震装置Aを介装すべき位置Sの柱1を切断除去して、当該切断除去部に免震装置Aを挿入することができる。また、各梁7、3(特に免震階の上階側の梁3)に補強が必要な場合でも、その補強量の低減を図ることができる。
【0051】
なお、上記実施の形態においては、上部補強コンクリート4aおよび下部補強コンクリート4bを打設するように構成したが、これらの補強コンクリート4a、4bを打設せずに、ジャッキ21および仮連結支保工22を柱1の近傍に仮設するように構成してもよい。
また、免震階2の下階側および/または免震階上階5の上階側に仮支保工23を一または複数層階にわたって増設するようにしてもよい。
【0052】
(第3の実施の形態)
本発明の既存建物の免震化工法の第3の実施の形態を図7を参照して説明する。
この第3の実施の形態おいては、免震階2では、第1の実施の形態で示した第1の支承部材(支承部材)11および第1のジャッキ(支持部材)12を用いて当該第1の実施の形態と同様の手順で工事を行い、免震階上階5では、第2の実施の形態で示した仮支保工23を用いて当該第2の実施の形態と同様の手順によって工事を行うことにより、免震階上階5の柱1に作用する軸力を、図7の実線の矢印で示すように、梁7、仮支保工23、梁3、第1のジャッキ12、第1の支承部材11および下部補強コンクリート4bを介して下階側の柱1に伝達させる。また、上記軸力は、図7の鎖線の矢印で示すように、免震階上階5の柱1を介して梁3および第1のジャッキ12に順次伝達されることにもなる。
【0053】
そして、免震装置Aを介装すべき位置Sの柱1を切断除去し、次いで当該柱1の切断除去部に免震装置Aを挿入して下部補強コンクリート4bの上端面および上部補強コンクリート4aの下端面にボルト等の連結手段によって固定する。
【0054】
それから、第1のジャッキ12の高さを低下させて、柱1の軸力を免震装置Aに作用させた後、第1の支承部材11、第1のジャッキ12および仮支保工23を外して、免震階2および免震階上階5から撤去する。これにより、免震化工事が終了する。
【0055】
以上のように構成された既存建物の免震化工法によれば、上階側から免震階上階5の柱1に作用する軸力が梁7に伝達された後、仮支保工23、梁3、第1のジャッキ12、第1の支承部材11および下部補強コンクリート4bを介して下階側の柱1に伝達される力の流れが生じるとともに、上記軸力が免震階上階5の柱1を介して梁3および第1のジャッキ12に順次伝達される力の流れが生じることにより、軸力が柱1の切断除去部を迂回した流れとなる。
【0056】
このため、上階側から作用する軸力は、梁7および梁3の2つの梁に分散して流れるので、これらの各梁7、3の負担を軽減することができる。したがって、免震装置Aを介装すべき位置Sの上方の各梁7、3に補強を施すことなく、免震装置Aを介装すべき位置Sの柱1を切断除去して、当該切断除去部に免震装置Sを挿入することができる。また、各梁7、3(特に免震階2の上階側の梁3)に補強が必要な場合でも、その補強量の低減を図ることができる。
【0057】
なお、免震階上階5の上階側に仮支保工23を一または複数層階にわたって増設するようにしてもよい。
【0058】
(第4の実施の形態)
本発明の既存建物の免震化工法の第4の実施の形態を図8を参照して説明する。
この第8の実施の形態おいては、免震階2では、第2の実施の形態で示したジャッキ(第1の支持部材)21および仮連結支保工22を用いて当該第2の実施の形態と同様の手順で工事を行い、免震階上階5では、第1の実施の形態で示した第2の支承部材(支承部材)13および第2のジャッキ(第2の支持部材)14を用いて当該第1の実施の形態と同様の手順によって工事を行うことにより、免震階上階5の柱1に作用する軸力を、図8の矢印で示すように、第2の支承部材13、第2のジャッキ14、梁3、ジャッキ21、仮連結支保工22および梁6を介して下階側の柱1に伝達させる。
【0059】
そして、免震装置Aを介装すべき位置Sの柱1を切断除去し、次いで当該柱1の切断除去部に免震装置Aを挿入して下部補強コンクリート4bの上端面および上部補強コンクリート4aの下端面にボルト等の連結手段によって固定する。
【0060】
それから、ジャッキ21および第2のジャッキ14の高さを低下させて、柱1の軸力を免震装置Aに作用させた後、ジャッキ21、仮連結支保工22、第2の支承部材13および第2のジャッキ14を外して、免震階2および免震階上階5から撤去する。これにより、免震化工事が終了する。
【0061】
以上のように構成された既存建物の免震化工法によれば、上階側から免震階上階5の柱1に作用する軸力が第2の支承部材13、第2のジャッキ14、梁3、ジャッキ21、仮連結支保工22および梁6を介して下階側の柱1に伝達され、軸力が柱1の切断除去部を迂回した流れとなる。したがって、柱1の切削除去に際して、免震装置Aを介装すべき位置Sの上方の梁3を補強する必要がないという利点がある。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1または2に記載の本発明の既存建物の免震化工法によれば、いずれも免震階における軸力材の免震装置を介装すべき位置の上部に軸力を仮受けするための治具を設ける必要がないので、軸力材における免震装置を介装すべき位置を免震階の上階側の梁に近接した位置に設けることができる。
したがって、免震装置を軸力材の高位置に介装させることができるので、地震等で発生する免震装置を介して上下の相対変位の位置が高位置となり、壁等に沿って設置する棚等が高さの制約を受けることが少なくなる。よって、従来に比較して、免震階における使用勝手の向上を図ることができる。
しかも、免震装置を天井で覆うことが可能になったり、仮に天井から突出してもその突出量を低減することができるので、見栄えの向上を図ることができるとともに、免震階における使用可能な容積の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における既存建物の免震化工法を示す図であって、免震化治具を設置した後の状態を示す説明図である。
【図2】同既存建物の免震化工法を示す図であって、免震装置を介装すべき位置の柱を切断除去した後の状態を示す説明図である。
【図3】同既存建物の免震化工法を示す図であって、柱に免震装置を挿入した後の状態を示す説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における既存建物の免震化工法を示す図であって、免震化治具を設置した後の状態を示す説明図である。
【図5】同既存建物の免震化工法を示す図であって、免震装置を介装すべき位置の柱を切断除去した後の状態を示す説明図である。
【図6】同既存建物の免震化工法を示す図であって、柱に免震装置を挿入した後の状態を示す説明図である。
【図7】本発明の第3の実施形態における既存建物の免震化工法を示す図であって、免震化治具を設置し、かつ柱に免震装置を挿入した後の状態を示す説明図である。
【図8】本発明の第4の実施形態における既存建物の免震化工法を示す図であって、免震化治具を設置し、かつ柱に免震装置を挿入した後の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 柱(軸力材)
2 免震階
3 梁(免震階の上階側の梁)
5 免震階上階
6 梁(免震階の下階側の梁)
7 梁(免震階上階の上階側の梁)
11 第1の支承部材(支承部材)
12 第1のジャッキ(第1の支持部材、支持部材)
13 第2の支承部材(支承部材)
14 第2のジャッキ(第2の支持部材)
21 ジャッキ(支持部材、第1の支持部材)
23 仮支保工
A 免震装置
S 免震装置を介装すべき位置

Claims (2)

  1. 既存建物の中間階の軸力材に免震装置を介装することにより免震階を設ける免震化工法であって、上記免震階における上記軸力材の上記免震装置を介装すべき位置の下部外周に第1の支承部材を設け、この第1の支承部材と上記免震階の上階側の梁との間に第1の支持部材を仮設し、かつ免震階上階の上記軸力材の外周に第2の支承部材を設け、この第2の支承部材と上記梁との間に第2の支持部材を仮設し、上階側から上記軸力材に作用する軸力を上記第2の支承部材、上記第2の支持部材、上記梁、上記第1の支持部材および第1の支承部材を介して下階側の上記軸力材に伝達させた状態で、上記免震装置を介装すべき位置の上記軸力材を切断除去し、次いで上記軸力材の切断除去部に上記免震装置を挿入した後、少なくとも上記第1の支持部材および上記第2の支持部材を撤去することを特徴とする既存建物の免震化工法。
  2. 既存建物の中間階の軸力材に免震装置を介装することにより免震階を設ける免震化工法であって、上記免震階における上記軸力材の近傍の上記免震階の下階側の梁と上階側の梁との間に第1の支持部材を仮設し、かつ免震階上階の上記軸力材の外周に支承部材を設け、この支承部材と上記免震階の上階側の梁との間に第2の支持部材を仮設し、上階側から上記軸力材に作用する軸力を上記支承部材、上記第2の支持部材、上記免震階の上階側の梁、上記第1の支持部材、上記免震階の下階側の梁を介して下階側の上記軸力材に伝達させた状態で、上記免震装置を介装すべき位置の上記軸力材を切断除去し、次いで上記軸力材の切断除去部に上記免震装置を挿入した後、少なくとも上記第1の支持部材および上記第2の支持部材を撤去することを特徴とする既存建物の免震化工法。
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