JP3918620B2 - 脂肪族ポリエステル組成物及び自動車用内装材 - Google Patents

脂肪族ポリエステル組成物及び自動車用内装材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は脂肪族ポリエステルをベースとする生分解性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
脂肪族ポリエステル等の生分解性樹脂は微生物や酵素の働きにより分解される廃棄物問題の少ない樹脂であるが、その特性は一般に脆く、伸展性(伸び性)が十分ではないため、特開2001−64494号公報においては生分解性ポリエステルにリグノフェノール誘導体を配合することにより可塑化することが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、生分解性ポリエステルとして特にポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルを用いる場合においては、上記公報に記載のようにリグノフェノール誘導体を配合しても得られる伸展性は未だ十分なものではなく、特に自動車用内装材等の用途のためには更に伸展性を向上せしめる必要があることを本発明者らは見出した。また、リグノフェノール誘導体は抽出される際にフェノール誘導体と濃硫酸が用いられており、有毒なフェノール誘導体がリグニン骨格に導入されているという点においても植物由来の可塑剤として必ずしも十分なものではなかった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、植物由来の可塑剤の添加により伸展性(伸び性)が十分に向上した脂肪族ポリエステル組成物を提供することを目的とする。
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アルコールリグニン誘導体又は桂皮酸エステル誘導体という植物由来の可塑剤を脂肪族ポリエステル中に配合することにより、脂肪族ポリエステル組成物の伸展性(伸び性)を十分に高くすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、脂肪族ポリエステルと、該脂肪族ポリエステル中に可塑剤として配合されている10重量%以下のアルコールリグニン誘導体とを含み、前記アルコールリグニン誘導体が、アルコールリグニンにアシル化処理を施したものであることを特徴とする脂肪族ポリエステル組成物にある(以下、「第一発明」という)。
【0007】
上記第一発明の脂肪族ポリエステル組成物においては、前記脂肪族ポリエステルがポリ乳酸又はポリ乳酸系樹脂であることが好ましい。
【0008】
また、本発明は、脂肪族ポリエステルと、該脂肪族ポリエステル中に可塑剤として配合されている10重量%以下の桂皮酸エステル誘導体を含み、前記桂皮酸エステル誘導体が桂皮酸ベンジル又は桂皮酸シンナミルであることを特徴とする脂肪族ポリエステル組成物にもある(以下、「第二発明」という)。
【0010】
上記第二発明の脂肪族ポリエステル組成物においては、前記脂肪族ポリエステルがポリ乳酸又はポリ乳酸系樹脂であることが好ましい。また、本発明の自動車用内装材は、上記脂肪族ポリエステル組成物で構成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明(第一発明及び第二発明)の脂肪族ポリエステル組成物の好適な実施形態についてさらに詳細に説明するが、先ず、第一発明の脂肪族ポリエステル組成物の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0012】
第一発明の脂肪族ポリエステル組成物は、脂肪族ポリエステルと、該脂肪族ポリエステル中に可塑剤として配合されているアルコールリグニン誘導体とを含むことを特徴とするものである。なお、第一発明において伸展性(伸び性)が向上するメカニズムは必ずしも明確にはなっていないが、第一発明に係るアルコールリグニン誘導体は脂肪族ポリエステルとの親和性が非常に高く、そのためアルコールリグニン誘導体により脂肪族ポリエステルに可塑性が効率良く付与され、得られる脂肪族ポリエステル組成物の伸展性(伸び性)が飛躍的に改善されると本発明者らは推察している。
【0013】
本発明において用いられる脂肪族ポリエステルは、微生物や酵素等によって分解若しくは低分子量化されるものであり、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(4−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(4−ヒドロキシ吉草酸)、ポリカプロラクトン等の開環重付加系脂肪族ポリエステル、並びに、ポリエステルカーボネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレンオキサレート、ポリブチレンオキサレート、ポリヘキサメチレンオキサレート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケート等の重縮合反応系脂肪族ポリエステルが挙げられ、中でもポリ乳酸、ポリグリコール酸等のポリ(α−ヒドロキシ酸)が好ましく、ポリ乳酸が特に好ましい。
【0014】
一般的なポリ乳酸は、一般式 H-[O-CH(CH3)-C(O)]n-OH により表わされ、融点が160〜170℃程度、ガラス転移点が58℃程度の生分解性に優れた結晶性ポリマーであるが、このようなポリ乳酸は本発明により特に伸展性が向上することから本発明において用いる脂肪族ポリエステルとして好適である。
【0015】
本発明において用いられる脂肪族ポリエステルの分子量(数平均分子量)は、30000〜200000程度であることが好ましい。分子量が上記下限未満では得られる組成物の強度が不十分となる傾向にあり、他方、上記上限を超えると得られる組成物の加工性が低下する傾向にある。
【0016】
本発明において用いられる脂肪族ポリエステルは、前記脂肪族ポリエステルを単独で用いてもよいが、それらの2種以上のブレンド物若しくは共重合物であってもよい。このような脂肪族ポリエステルの共重合物としては、乳酸と乳酸以外のヒドロキシ酸とのコポリマーや、ポリブチレンサクシネートアジペート等が挙げられる。
【0017】
また、脂肪族ポリエステルのブレンド物としては、例えばポリ乳酸をベースとするポリ乳酸系樹脂が好ましく、ポリ乳酸にブレンドされる他の樹脂としては、ポリ乳酸以外の前記脂肪族ポリエステル;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,9、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド;天然ゴム等が挙げられる。このようなポリ乳酸系樹脂におけるポリ乳酸以外の樹脂の比率は、60重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましい。他の樹脂の比率が上記上限を超えると、後述する本発明に係る可塑剤の添加による伸展性の向上が得られにくくなる傾向にある。
【0018】
第一発明に係るアルコールリグニンは、いわゆるリグノセルロース系物質を水とアルコールとの混合溶液中において加熱処理することによって単離抽出されたリグニンであり、アルコールリグニン中には使用したアルコールのアルコキシル基が導入されていることが好ましい。ここでいうリグノセルロース系物質としては、針葉樹、広葉樹、各種草本植物等の木質化した材料(例えば、木粉、チップ、ワラ等)が挙げられ、樹木(ブナ)の木粉が好ましい。
【0019】
第一発明に係るアルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられ、エタノールが好ましい。また、水とアルコールとの混合溶液におけるアルコール濃度は特に制限されないが、30〜80容量%が一般的である。更に、水とアルコールとの混合溶液中に触媒が含有されていてもよく、このような触媒としては硫酸、塩酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ギ酸、塩化アルミニウム等が挙げられ、酸が含有される場合の酸の濃度は0.1〜5容量%が好ましい。また、上記単離抽出する際の加熱処理の条件は特に制限されず、用いる原料等に応じて適宜選択されるが、150〜250℃が一般的である。
【0020】
また、第一発明に係るアルコールリグニンとしては市販のものも使用でき、例えばアルドリッチ(Aldrich)社製の有機溶剤可溶リグニン(37101-7)等を用いることができる。
【0021】
更に、第一発明に係るアルコールリグニン誘導体としては、前記アルコールリグニンにアシル化処理、エーテル化処理等を施した誘導体が挙げられ、中でも前記アルコールリグニンにアシル化処理を施したものが好ましい。アシル化処理とは、有機化合物にアシル基を導入する処理であり、典型的なアシル化としてはアセチル化、ベンゾイル化等がある。アシル化処理によりアルコールリグニンの水酸基(親水性基)がアシル基(疎水性基)に置換され、アルコールリグニンと脂肪族ポリエステルとの親和性がより良好となり、伸展性がより向上する傾向にある。アシル化処理の方法は特に制限されず、無水酢酸等のカルボン酸無水物、塩化アセチル等のハリゲン化アシル、イミダゾリド、ケテン類のようなアシル化剤(無水酢酸、塩化アセチル等はアセチル化剤)を用いて常法によりアルコールリグニンにアシル化処理を施すことが可能である。
【0022】
第一発明の脂肪族ポリエステル組成物中におけるアルコールリグニン誘導体の含有量は10重量%以下であり、0.05〜10重量%であることが好ましく、0.1〜5重量%であることがより好ましい。アルコールリグニン誘導体の含有量が上記下限未満の場合は、アルコールリグニン誘導体の添加による伸展性の向上が不十分となる傾向にあり、他方、アルコールリグニン誘導体の含有量が上記上限を超える場合は、アルコールリグニン誘導体の添加効果の更なる向上が得られない。
【0023】
なお、第一発明においては、脂肪族ポリエステル組成物の特性を大きく損なわない限りにおいて、前記アルコールリグニン誘導体以外の可塑剤、滑剤、熱安定剤、フィラー、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加物を加えることができる。このような添加物を加える場合、脂肪族ポリエステル組成物中の添加物(前記アルコールリグニン誘導体は除く)の含有量は、0.1〜10重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。添加物の含有量が0.1重量%未満では添加物の添加効果が得られない傾向にあり、他方、添加物の含有量が10重量%を超えると得られる組成物の物性が不安定(軟化や脆化)になる傾向にある。
【0024】
第一発明の脂肪族ポリエステル組成物の製造方法は特に制限されず、前記脂肪族ポリエステル中に前記アルコールリグニン誘導体を均一に混合せしめることが可能な方法であればよく、例えば以下の方法で得ることが可能である。すなわち、前記脂肪族ポリエステルと前記アルコールリグニン誘導体とを溶媒中に溶解し、混合した後、溶媒を蒸発等によって除去することによって所望形状の脂肪族ポリエステル組成物を得ることができる。なお、溶媒としてはクロロホルム等の有機溶媒が好適に使用される。また、前記脂肪族ポリエステルと前記アルコールリグニン誘導体とを溶融混練法によって混合し、所望形状の脂肪族ポリエステル組成物を得ることも可能である。
【0025】
次に、第二発明の脂肪族ポリエステル組成物の好適な実施形態について詳細に説明する。第二発明の脂肪族ポリエステル組成物は、脂肪族ポリエステルと、該脂肪族ポリエステル中に可塑剤として配合されている桂皮酸エステル誘導体とを含むことを特徴とするものである。なお、第二発明において伸展性(伸び性)が向上するメカニズムは必ずしも明確にはなっていないが、第二発明に係る桂皮酸エステル誘導体は脂肪族ポリエステルとの親和性が非常に高く、そのため桂皮酸エステル誘導体により脂肪族ポリエステルに可塑性が効率良く付与され、得られる脂肪族ポリエステル組成物の伸展性(伸び性)が飛躍的に改善されると本発明者らは推察している。
【0026】
第二発明において用いられる脂肪族ポリエステルは、前記第一発明において用いられる脂肪族ポリエステルと同様のものである。
【0027】
第二発明に係る桂皮酸エステル誘導体は、シナモン等の成分として天然にも存在する桂皮酸(β−フェニルアクリル酸)とアルコールとのエステルであり、下記一般式(1):
【0028】
【化3】
Figure 0003918620
で表わされるものが好ましい。
【0029】
前記一般式中、Rは低級アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基及び置換基を有していてもよいアリールアルケニル基からなる群から選択される少なくとも一つの基であり、中でもアリールアルキル基又はアリールアルケニル基が好ましい。
【0030】
低級アルキル基としては、炭素数が1〜5のアルキル基が挙げられ、中でもメチル基、エチル基が好ましい。また、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられ、中でもフェニル基が好ましい。更に、アリールアルキル基としては、前記アリール基に前記低級アルキル基が置換したものが挙げられ、中でもフェニルメチル基が好ましい。また、アリールアルケニル基としては、前記アリール基に炭素数が1〜5の低級アルケニル基が置換したものが挙げられ、中でもフェニルプロペニル基が好ましい。
【0031】
更に、アリール基、アリールアルキル基及びアリールアルケニル基の置換基としては、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基及びハロゲンからなる群から選択される少なくとも一つの基が挙げられ、中でも低級アルキル基、低級アルコキシ基、アミノ基が好ましい。なお、ここでいう低級アルキル基は前述のものと同様である。また、低級アルコキシ基としては炭素数が1〜5のアルコキシ基が挙げられ、中でもメトキシ基、エトキシ基が好ましい。更に、ハロゲンとしては塩素、フッ素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0032】
前記一般式中、Xは低級アルキル基、低級アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基及びハロゲンからなる群から選択される少なくとも一つの基であり、中でも低級アルキル基、低級アルコキシ基、アミノ基が好ましい。なお、ここでいう低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲンはいずれも前述のものと同様である。
【0033】
更に、前記一般式中のnは0〜5の整数である。すなわち、Xで表わされる置換基は無くてもよく、また、フェニル基上の5個の水素が全てXで表わされる基で置換されていてもよい。なお、Xで表わされる置換基が存在する場合、全ての置換基が同一でも異なっていてもよく、それらの数は1〜2個が好ましく、また、置換位置はメタ位又はパラ位が好ましい。
【0034】
第二発明に係る桂皮酸エステル誘導体として特に好ましいものは、下記式:
【0035】
【化4】
Figure 0003918620
で表わされる桂皮酸ベンジル(シンナム酸ベンジル)、又は、下記式:
【0036】
【化5】
Figure 0003918620
で表わされる桂皮酸シンナミル(シンナム酸シンナミル)である。
【0037】
第二発明の脂肪族ポリエステル組成物中における桂皮酸エステル誘導体の含有量は10重量%以下であり、0.05〜10重量%であることが好ましく、0.1〜5重量%であることがより好ましい。桂皮酸エステル誘導体の含有量が上記下限未満の場合は、桂皮酸エステル誘導体の添加による伸展性の向上が不十分となる傾向にあり、他方、桂皮酸エステル誘導体の含有量が上記上限を超える場合は、桂皮酸エステル誘導体の添加効果の更なる向上が得られない。
【0038】
なお、第二発明においては、脂肪族ポリエステル組成物の特性を大きく損なわない限りにおいて、前記桂皮酸エステル誘導体以外の可塑剤、滑剤、熱安定剤、フィラー、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加物を加えることができる。このような添加物を加える場合、脂肪族ポリエステル組成物中の添加物(前記桂皮酸エステル誘導体は除く)の含有量は、0.1〜10重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。添加物の含有量が0.1重量%未満では添加物の添加効果が得られない傾向にあり、他方、添加物の含有量が10重量%を超えると得られる組成物の物性が不安定(軟化や脆化)になる傾向にある。
【0039】
第二発明の脂肪族ポリエステル組成物の製造方法は特に制限されず、前記脂肪族ポリエステル中に前記桂皮酸エステル誘導体を均一に混合せしめることが可能な方法であればよく、例えば以下の方法で得ることが可能である。すなわち、前記脂肪族ポリエステルと前記桂皮酸エステル誘導体とを溶媒中に溶解し、混合した後、溶媒を蒸発等によって除去することによって所望形状の脂肪族ポリエステル組成物を得ることができる。なお、溶媒としてはクロロホルム等の有機溶媒が好適に使用される。また、前記脂肪族ポリエステルと前記桂皮酸エステル誘導体とを溶融混練法によって混合し、所望形状の脂肪族ポリエステル組成物を得ることも可能である。
【0040】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
実施例1
先ず、アルコールリグニン誘導体を以下のようにして得た。すなわち、木粉(メッシュ32〜42のブナ木粉)100gと50容量%エタノール水溶液600gとを混合し、200℃に2時間加熱してアルコールリグニンを抽出し、ろ過によりセルロースを分離した後、ろ液に希塩酸を加えて得られた沈殿物を遠心分離することによりアルコールリグニンを得た。次いで、得られたアルコールリグニンを乾燥した後、アルコールリグニン114gに対して無水酢酸750mlと酢酸ナトリウム80gを加え、室温で2時間攪拌した後に水2リットルを加え、得られた沈殿物をろ過した後に洗浄・乾燥し、アセチル化処理が施されたアルコールリグニン誘導体を得た。
【0042】
次に、ポリ乳酸(島津社製、ラクティ9030)0.95gとアセチル化処理が施されたアルコールリグニン誘導体0.05gとをクロロホルム50mlに溶解し、直径12cmのフラットシャーレに注いだ後、室温でクロロホルムを蒸発させてアルコールリグニン誘導体の含有量が5重量%のポリ乳酸組成物フィルム(厚み:平均90μm)を得た。
【0043】
そして、得られたポリ乳酸組成物フィルムから引張試験片(長さ70mm、幅10mm)を5枚切り出し、オートグラフを用いて以下の条件:
・チャック間距離:50mm
・引張速度:10mm/分
でチャック間距離が100mm(伸び率200%)になるまで延伸した。引張試験中のフィルムの最大伸び率(%)を測定し、5枚の試験片の平均値をそのフィルムの伸び率(%)として表1及び図1に示した。
【0044】
実施例2
ポリ乳酸0.99gとシンナム酸ベンジル0.01gとをクロロホルム50mlに溶解するようにした以外は実施例1と同様にしてシンナム酸ベンジルの含有量が1重量%のポリ乳酸組成物フィルム(厚み:平均90μm)を得た。そして、得られたポリ乳酸組成物フィルムについて実施例1と同様にして引張試験を行ない、得られた結果を表1及び図1に示した。
【0045】
実施例3
ポリ乳酸0.99gとシンナム酸シンナミル0.01gとをクロロホルム50mlに溶解するようにした以外は実施例1と同様にしてシンナム酸シンナミルの含有量が1重量%のポリ乳酸組成物フィルム(厚み:平均90μm)を得た。そして、得られたポリ乳酸組成物フィルムについて実施例1と同様にして引張試験を行ない、得られた結果を表1及び図1に示した。
【0046】
比較例1
ポリ乳酸1.00gのみをクロロホルム50mlに溶解するようにした以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸フィルム(厚み:平均80μm)を得た。そして、得られたポリ乳酸フィルムについて実施例1と同様にして引張試験を行ない、得られた結果を表1及び図1に示した。
【0047】
比較例2
ポリ乳酸0.95gとリグノフェノール(ヒノキ木粉とパラクレゾールを用いて合成したリグノフェノールを実施例1と同様の方法でアセチル化したもの)0.05gとをクロロホルム50mlに溶解するようにした以外は実施例1と同様にしてリグノフェノールの含有量が5重量%のポリ乳酸組成物フィルム(厚み:平均85μm)を得た。そして、得られたポリ乳酸組成物フィルムについて実施例1と同様にして引張試験を行ない、得られた結果を表1及び図1に示した。
【0048】
【表1】
Figure 0003918620
【0049】
表1及び図1に示した結果から明らかなように、アルコールリグニン誘導体を含有する実施例1のポリ乳酸組成物フィルム並びに桂皮酸エステル誘導体を含有する実施例2〜3のポリ乳酸組成物フィルムは、ポリ乳酸のみからなる比較例1のポリ乳酸フィルムに比べて伸び率が飛躍的に向上しており、更に、リグノフェノールを含有する比較例2のポリ乳酸組成物フィルムに比べても伸び率が大きく向上していることが確認された。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、アルコールリグニン誘導体又は桂皮酸エステル誘導体という植物由来の可塑剤の添加により伸展性(伸び性)が十分に向上した脂肪族ポリエステル組成物を提供することが可能となる。従って、本発明の脂肪族ポリエステル組成物は、高い伸展性(伸び性)が要求される自動車用内装材等として非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例及び比較例で得られた引張試験片における伸び率を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 脂肪族ポリエステルと、該脂肪族ポリエステル中に可塑剤として配合されている10重量%以下のアルコールリグニン誘導体とを含み、前記アルコールリグニン誘導体が、アルコールリグニンにアシル化処理を施したものであることを特徴とする脂肪族ポリエステル組成物。
  2. 脂肪族ポリエステルと、該脂肪族ポリエステル中に可塑剤として配合されている10重量%以下の桂皮酸エステル誘導体を含み、
    前記桂皮酸エステル誘導体が桂皮酸ベンジル又は桂皮酸シンナミルであることを特徴とする脂肪族ポリエステル組成物。
  3. 前記脂肪族ポリエステルがポリ乳酸又はポリ乳酸系樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脂肪族ポリエステル組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の脂肪族ポリエステル組成物で構成されることを特徴とする自動車用内装材。
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