JP2003313401A - 脂肪族ポリエステル組成物 - Google Patents

脂肪族ポリエステル組成物

Info

Publication number
JP2003313401A
JP2003313401A JP2002116754A JP2002116754A JP2003313401A JP 2003313401 A JP2003313401 A JP 2003313401A JP 2002116754 A JP2002116754 A JP 2002116754A JP 2002116754 A JP2002116754 A JP 2002116754A JP 2003313401 A JP2003313401 A JP 2003313401A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aliphatic polyester
group
polylactic acid
polyester composition
derivative
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002116754A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3918620B2 (ja
Inventor
Hisato Takeuchi
久人 竹内
Arimitsu Usuki
有光 臼杵
Mitsuru Nakano
充 中野
Shigeru Satake
茂 佐竹
Yasushi Kageyama
裕史 影山
Yasumitsu Isobe
泰充 礒部
Takashi Watanabe
隆司 渡邊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp, Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2002116754A priority Critical patent/JP3918620B2/ja
Publication of JP2003313401A publication Critical patent/JP2003313401A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3918620B2 publication Critical patent/JP3918620B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物由来の可塑剤の添加により伸展性(伸び
性)が十分に向上した脂肪族ポリエステル組成物を提供
すること。 【解決手段】 脂肪族ポリエステルと、該脂肪族ポリエ
ステル中に可塑剤として配合されている10重量%以下
のアルコールリグニン誘導体又は桂皮酸エステル誘導体
とを含むことを特徴とする脂肪族ポリエステル組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は脂肪族ポリエステル
をベースとする生分解性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】脂肪族ポリエステル等の生分解性樹脂は
微生物や酵素の働きにより分解される廃棄物問題の少な
い樹脂であるが、その特性は一般に脆く、伸展性(伸び
性)が十分ではないため、特開2001−64494号
公報においては生分解性ポリエステルにリグノフェノー
ル誘導体を配合することにより可塑化することが提案さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、生分解
性ポリエステルとして特にポリ乳酸等の脂肪族ポリエス
テルを用いる場合においては、上記公報に記載のように
リグノフェノール誘導体を配合しても得られる伸展性は
未だ十分なものではなく、特に自動車用内装材等の用途
のためには更に伸展性を向上せしめる必要があることを
本発明者らは見出した。また、リグノフェノール誘導体
は抽出される際にフェノール誘導体と濃硫酸が用いられ
ており、有毒なフェノール誘導体がリグニン骨格に導入
されているという点においても植物由来の可塑剤として
必ずしも十分なものではなかった。
【0004】本発明は、このような従来技術の有する課
題に鑑みてなされたものであり、植物由来の可塑剤の添
加により伸展性(伸び性)が十分に向上した脂肪族ポリ
エステル組成物を提供することを目的とする。
【0005】本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意
研究を重ねた結果、アルコールリグニン誘導体又は桂皮
酸エステル誘導体という植物由来の可塑剤を脂肪族ポリ
エステル中に配合することにより、脂肪族ポリエステル
組成物の伸展性(伸び性)を十分に高くすることができ
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、脂肪族ポリエステル
と、該脂肪族ポリエステル中に可塑剤として配合されて
いる10重量%以下のアルコールリグニン誘導体とを含
むことを特徴とする脂肪族ポリエステル組成物にある
(以下、「第一発明」という)。
【0007】上記第一発明の脂肪族ポリエステル組成物
においては、前記アルコールリグニン誘導体が、アルコ
ールリグニンにアシル化処理を施したものであることが
好ましい。また、前記脂肪族ポリエステルがポリ乳酸又
はポリ乳酸系樹脂であることが好ましい。
【0008】また、本発明は、脂肪族ポリエステルと、
該脂肪族ポリエステル中に可塑剤として配合されている
10重量%以下の桂皮酸エステル誘導体とを含むことを
特徴とする脂肪族ポリエステル組成物にもある(以下、
「第二発明」という)。
【0009】上記第二発明の脂肪族ポリエステル組成物
においては、前記桂皮酸エステル誘導体が、下記一般式
(1):
【0010】
【化2】 [式中、Rは低級アルキル基、置換基を有していてもよ
いアリール基、置換基を有していてもよいアリールアル
キル基及び置換基を有していてもよいアリールアルケニ
ル基からなる群から選択される少なくとも一つの基であ
り、Xは低級アルキル基、低級アルコキシ基、アミノ
基、ニトロ基及びハロゲンからなる群から選択される少
なくとも一つの基であり、nは0〜5の整数である。]
で表わされるものであることが好ましい。また、前記脂
肪族ポリエステルがポリ乳酸又はポリ乳酸系樹脂である
ことが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明(第一発明及び第二
発明)の脂肪族ポリエステル組成物の好適な実施形態に
ついてさらに詳細に説明するが、先ず、第一発明の脂肪
族ポリエステル組成物の好適な実施形態について詳細に
説明する。
【0012】第一発明の脂肪族ポリエステル組成物は、
脂肪族ポリエステルと、該脂肪族ポリエステル中に可塑
剤として配合されているアルコールリグニン誘導体とを
含むことを特徴とするものである。なお、第一発明にお
いて伸展性(伸び性)が向上するメカニズムは必ずしも
明確にはなっていないが、第一発明に係るアルコールリ
グニン誘導体は脂肪族ポリエステルとの親和性が非常に
高く、そのためアルコールリグニン誘導体により脂肪族
ポリエステルに可塑性が効率良く付与され、得られる脂
肪族ポリエステル組成物の伸展性(伸び性)が飛躍的に
改善されると本発明者らは推察している。
【0013】本発明において用いられる脂肪族ポリエス
テルは、微生物や酵素等によって分解若しくは低分子量
化されるものであり、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポ
リ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(4−ヒドロキシ酪
酸)、ポリ(4−ヒドロキシ吉草酸)、ポリカプロラク
トン等の開環重付加系脂肪族ポリエステル、並びに、ポ
リエステルカーボネート、ポリエチレンサクシネート、
ポリブチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンサクシ
ネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペ
ート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレンオ
キサレート、ポリブチレンオキサレート、ポリヘキサメ
チレンオキサレート、ポリエチレンセバケート、ポリブ
チレンセバケート等の重縮合反応系脂肪族ポリエステル
が挙げられ、中でもポリ乳酸、ポリグリコール酸等のポ
リ(α−ヒドロキシ酸)が好ましく、ポリ乳酸が特に好
ましい。
【0014】一般的なポリ乳酸は、一般式 H-[O-CH(C
H3)-C(O)]n-OH により表わされ、融点が160〜170
℃程度、ガラス転移点が58℃程度の生分解性に優れた
結晶性ポリマーであるが、このようなポリ乳酸は本発明
により特に伸展性が向上することから本発明において用
いる脂肪族ポリエステルとして好適である。
【0015】本発明において用いられる脂肪族ポリエス
テルの分子量(数平均分子量)は、30000〜200
000程度であることが好ましい。分子量が上記下限未
満では得られる組成物の強度が不十分となる傾向にあ
り、他方、上記上限を超えると得られる組成物の加工性
が低下する傾向にある。
【0016】本発明において用いられる脂肪族ポリエス
テルは、前記脂肪族ポリエステルを単独で用いてもよい
が、それらの2種以上のブレンド物若しくは共重合物で
あってもよい。このような脂肪族ポリエステルの共重合
物としては、乳酸と乳酸以外のヒドロキシ酸とのコポリ
マーや、ポリブチレンサクシネートアジペート等が挙げ
られる。
【0017】また、脂肪族ポリエステルのブレンド物と
しては、例えばポリ乳酸をベースとするポリ乳酸系樹脂
が好ましく、ポリ乳酸にブレンドされる他の樹脂として
は、ポリ乳酸以外の前記脂肪族ポリエステル;ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の
芳香族ポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6、ナ
イロン6,9、ナイロン6,10、ナイロン6,12、
ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド;天然ゴム
等が挙げられる。このようなポリ乳酸系樹脂におけるポ
リ乳酸以外の樹脂の比率は、60重量%以下であること
が好ましく、30重量%以下であることがより好まし
い。他の樹脂の比率が上記上限を超えると、後述する本
発明に係る可塑剤の添加による伸展性の向上が得られに
くくなる傾向にある。
【0018】第一発明に係るアルコールリグニンは、い
わゆるリグノセルロース系物質を水とアルコールとの混
合溶液中において加熱処理することによって単離抽出さ
れたリグニンであり、アルコールリグニン中には使用し
たアルコールのアルコキシル基が導入されていることが
好ましい。ここでいうリグノセルロース系物質として
は、針葉樹、広葉樹、各種草本植物等の木質化した材料
(例えば、木粉、チップ、ワラ等)が挙げられ、樹木
(ブナ)の木粉が好ましい。
【0019】第一発明に係るアルコールとしては、メタ
ノール、エタノール、ブタノール等が挙げられ、エタノ
ールが好ましい。また、水とアルコールとの混合溶液に
おけるアルコール濃度は特に制限されないが、30〜8
0容量%が一般的である。更に、水とアルコールとの混
合溶液中に触媒が含有されていてもよく、このような触
媒としては硫酸、塩酸、リン酸、p−トルエンスルホン
酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ギ酸、塩化ア
ルミニウム等が挙げられ、酸が含有される場合の酸の濃
度は0.1〜5容量%が好ましい。また、上記単離抽出
する際の加熱処理の条件は特に制限されず、用いる原料
等に応じて適宜選択されるが、150〜250℃が一般
的である。
【0020】また、第一発明に係るアルコールリグニン
としては市販のものも使用でき、例えばアルドリッチ(A
ldrich)社製の有機溶剤可溶リグニン(37101-7)等を用い
ることができる。
【0021】更に、第一発明に係るアルコールリグニン
誘導体としては、前記アルコールリグニンにアシル化処
理、エーテル化処理等を施した誘導体が挙げられ、中で
も前記アルコールリグニンにアシル化処理を施したもの
が好ましい。アシル化処理とは、有機化合物にアシル基
を導入する処理であり、典型的なアシル化としてはアセ
チル化、ベンゾイル化等がある。アシル化処理によりア
ルコールリグニンの水酸基(親水性基)がアシル基(疎
水性基)に置換され、アルコールリグニンと脂肪族ポリ
エステルとの親和性がより良好となり、伸展性がより向
上する傾向にある。アシル化処理の方法は特に制限され
ず、無水酢酸等のカルボン酸無水物、塩化アセチル等の
ハリゲン化アシル、イミダゾリド、ケテン類のようなア
シル化剤(無水酢酸、塩化アセチル等はアセチル化剤)
を用いて常法によりアルコールリグニンにアシル化処理
を施すことが可能である。
【0022】第一発明の脂肪族ポリエステル組成物中に
おけるアルコールリグニン誘導体の含有量は10重量%
以下であり、0.05〜10重量%であることが好まし
く、0.1〜5重量%であることがより好ましい。アル
コールリグニン誘導体の含有量が上記下限未満の場合
は、アルコールリグニン誘導体の添加による伸展性の向
上が不十分となる傾向にあり、他方、アルコールリグニ
ン誘導体の含有量が上記上限を超える場合は、アルコー
ルリグニン誘導体の添加効果の更なる向上が得られな
い。
【0023】なお、第一発明においては、脂肪族ポリエ
ステル組成物の特性を大きく損なわない限りにおいて、
前記アルコールリグニン誘導体以外の可塑剤、滑剤、熱
安定剤、フィラー、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤
等の添加物を加えることができる。このような添加物を
加える場合、脂肪族ポリエステル組成物中の添加物(前
記アルコールリグニン誘導体は除く)の含有量は、0.
1〜10重量%が好ましく、1〜5重量%がより好まし
い。添加物の含有量が0.1重量%未満では添加物の添
加効果が得られない傾向にあり、他方、添加物の含有量
が10重量%を超えると得られる組成物の物性が不安定
(軟化や脆化)になる傾向にある。
【0024】第一発明の脂肪族ポリエステル組成物の製
造方法は特に制限されず、前記脂肪族ポリエステル中に
前記アルコールリグニン誘導体を均一に混合せしめるこ
とが可能な方法であればよく、例えば以下の方法で得る
ことが可能である。すなわち、前記脂肪族ポリエステル
と前記アルコールリグニン誘導体とを溶媒中に溶解し、
混合した後、溶媒を蒸発等によって除去することによっ
て所望形状の脂肪族ポリエステル組成物を得ることがで
きる。なお、溶媒としてはクロロホルム等の有機溶媒が
好適に使用される。また、前記脂肪族ポリエステルと前
記アルコールリグニン誘導体とを溶融混練法によって混
合し、所望形状の脂肪族ポリエステル組成物を得ること
も可能である。
【0025】次に、第二発明の脂肪族ポリエステル組成
物の好適な実施形態について詳細に説明する。第二発明
の脂肪族ポリエステル組成物は、脂肪族ポリエステル
と、該脂肪族ポリエステル中に可塑剤として配合されて
いる桂皮酸エステル誘導体とを含むことを特徴とするも
のである。なお、第二発明において伸展性(伸び性)が
向上するメカニズムは必ずしも明確にはなっていない
が、第二発明に係る桂皮酸エステル誘導体は脂肪族ポリ
エステルとの親和性が非常に高く、そのため桂皮酸エス
テル誘導体により脂肪族ポリエステルに可塑性が効率良
く付与され、得られる脂肪族ポリエステル組成物の伸展
性(伸び性)が飛躍的に改善されると本発明者らは推察
している。
【0026】第二発明において用いられる脂肪族ポリエ
ステルは、前記第一発明において用いられる脂肪族ポリ
エステルと同様のものである。
【0027】第二発明に係る桂皮酸エステル誘導体は、
シナモン等の成分として天然にも存在する桂皮酸(β−
フェニルアクリル酸)とアルコールとのエステルであ
り、下記一般式(1):
【0028】
【化3】 で表わされるものが好ましい。
【0029】前記一般式中、Rは低級アルキル基、置換
基を有していてもよいアリール基、置換基を有していて
もよいアリールアルキル基及び置換基を有していてもよ
いアリールアルケニル基からなる群から選択される少な
くとも一つの基であり、中でもアリールアルキル基又は
アリールアルケニル基が好ましい。
【0030】低級アルキル基としては、炭素数が1〜5
のアルキル基が挙げられ、中でもメチル基、エチル基が
好ましい。また、アリール基としては、フェニル基、ト
リル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、ア
ントリル基、フェナントリル基等が挙げられ、中でもフ
ェニル基が好ましい。更に、アリールアルキル基として
は、前記アリール基に前記低級アルキル基が置換したも
のが挙げられ、中でもフェニルメチル基が好ましい。ま
た、アリールアルケニル基としては、前記アリール基に
炭素数が1〜5の低級アルケニル基が置換したものが挙
げられ、中でもフェニルプロペニル基が好ましい。
【0031】更に、アリール基、アリールアルキル基及
びアリールアルケニル基の置換基としては、低級アルキ
ル基、低級アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基及びハロ
ゲンからなる群から選択される少なくとも一つの基が挙
げられ、中でも低級アルキル基、低級アルコキシ基、ア
ミノ基が好ましい。なお、ここでいう低級アルキル基は
前述のものと同様である。また、低級アルコキシ基とし
ては炭素数が1〜5のアルコキシ基が挙げられ、中でも
メトキシ基、エトキシ基が好ましい。更に、ハロゲンと
しては塩素、フッ素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0032】前記一般式中、Xは低級アルキル基、低級
アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基及びハロゲンからな
る群から選択される少なくとも一つの基であり、中でも
低級アルキル基、低級アルコキシ基、アミノ基が好まし
い。なお、ここでいう低級アルキル基、低級アルコキシ
基、ハロゲンはいずれも前述のものと同様である。
【0033】更に、前記一般式中のnは0〜5の整数で
ある。すなわち、Xで表わされる置換基は無くてもよ
く、また、フェニル基上の5個の水素が全てXで表わさ
れる基で置換されていてもよい。なお、Xで表わされる
置換基が存在する場合、全ての置換基が同一でも異なっ
ていてもよく、それらの数は1〜2個が好ましく、ま
た、置換位置はメタ位又はパラ位が好ましい。
【0034】第二発明に係る桂皮酸エステル誘導体とし
て特に好ましいものは、下記式:
【0035】
【化4】 で表わされる桂皮酸ベンジル(シンナム酸ベンジル)、
又は、下記式:
【0036】
【化5】 で表わされる桂皮酸シンナミル(シンナム酸シンナミ
ル)である。
【0037】第二発明の脂肪族ポリエステル組成物中に
おける桂皮酸エステル誘導体の含有量は10重量%以下
であり、0.05〜10重量%であることが好ましく、
0.1〜5重量%であることがより好ましい。桂皮酸エ
ステル誘導体の含有量が上記下限未満の場合は、桂皮酸
エステル誘導体の添加による伸展性の向上が不十分とな
る傾向にあり、他方、桂皮酸エステル誘導体の含有量が
上記上限を超える場合は、桂皮酸エステル誘導体の添加
効果の更なる向上が得られない。
【0038】なお、第二発明においては、脂肪族ポリエ
ステル組成物の特性を大きく損なわない限りにおいて、
前記桂皮酸エステル誘導体以外の可塑剤、滑剤、熱安定
剤、フィラー、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の
添加物を加えることができる。このような添加物を加え
る場合、脂肪族ポリエステル組成物中の添加物(前記桂
皮酸エステル誘導体は除く)の含有量は、0.1〜10
重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。添加
物の含有量が0.1重量%未満では添加物の添加効果が
得られない傾向にあり、他方、添加物の含有量が10重
量%を超えると得られる組成物の物性が不安定(軟化や
脆化)になる傾向にある。
【0039】第二発明の脂肪族ポリエステル組成物の製
造方法は特に制限されず、前記脂肪族ポリエステル中に
前記桂皮酸エステル誘導体を均一に混合せしめることが
可能な方法であればよく、例えば以下の方法で得ること
が可能である。すなわち、前記脂肪族ポリエステルと前
記桂皮酸エステル誘導体とを溶媒中に溶解し、混合した
後、溶媒を蒸発等によって除去することによって所望形
状の脂肪族ポリエステル組成物を得ることができる。な
お、溶媒としてはクロロホルム等の有機溶媒が好適に使
用される。また、前記脂肪族ポリエステルと前記桂皮酸
エステル誘導体とを溶融混練法によって混合し、所望形
状の脂肪族ポリエステル組成物を得ることも可能であ
る。
【0040】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を
より具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定
されるものではない。
【0041】実施例1 先ず、アルコールリグニン誘導体を以下のようにして得
た。すなわち、木粉(メッシュ32〜42のブナ木粉)
100gと50容量%エタノール水溶液600gとを混
合し、200℃に2時間加熱してアルコールリグニンを
抽出し、ろ過によりセルロースを分離した後、ろ液に希
塩酸を加えて得られた沈殿物を遠心分離することにより
アルコールリグニンを得た。次いで、得られたアルコー
ルリグニンを乾燥した後、アルコールリグニン114g
に対して無水酢酸750mlと酢酸ナトリウム80gを
加え、室温で2時間攪拌した後に水2リットルを加え、
得られた沈殿物をろ過した後に洗浄・乾燥し、アセチル
化処理が施されたアルコールリグニン誘導体を得た。
【0042】次に、ポリ乳酸(島津社製、ラクティ90
30)0.95gとアセチル化処理が施されたアルコー
ルリグニン誘導体0.05gとをクロロホルム50ml
に溶解し、直径12cmのフラットシャーレに注いだ
後、室温でクロロホルムを蒸発させてアルコールリグニ
ン誘導体の含有量が5重量%のポリ乳酸組成物フィルム
(厚み:平均90μm)を得た。
【0043】そして、得られたポリ乳酸組成物フィルム
から引張試験片(長さ70mm、幅10mm)を5枚切
り出し、オートグラフを用いて以下の条件: ・チャック間距離:50mm ・引張速度:10mm/分 でチャック間距離が100mm(伸び率200%)にな
るまで延伸した。引張試験中のフィルムの最大伸び率
(%)を測定し、5枚の試験片の平均値をそのフィルム
の伸び率(%)として表1及び図1に示した。
【0044】実施例2 ポリ乳酸0.99gとシンナム酸ベンジル0.01gと
をクロロホルム50mlに溶解するようにした以外は実
施例1と同様にしてシンナム酸ベンジルの含有量が1重
量%のポリ乳酸組成物フィルム(厚み:平均90μm)
を得た。そして、得られたポリ乳酸組成物フィルムにつ
いて実施例1と同様にして引張試験を行ない、得られた
結果を表1及び図1に示した。
【0045】実施例3 ポリ乳酸0.99gとシンナム酸シンナミル0.01g
とをクロロホルム50mlに溶解するようにした以外は
実施例1と同様にしてシンナム酸シンナミルの含有量が
1重量%のポリ乳酸組成物フィルム(厚み:平均90μ
m)を得た。そして、得られたポリ乳酸組成物フィルム
について実施例1と同様にして引張試験を行ない、得ら
れた結果を表1及び図1に示した。
【0046】比較例1 ポリ乳酸1.00gのみをクロロホルム50mlに溶解
するようにした以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸フ
ィルム(厚み:平均80μm)を得た。そして、得られ
たポリ乳酸フィルムについて実施例1と同様にして引張
試験を行ない、得られた結果を表1及び図1に示した。
【0047】比較例2 ポリ乳酸0.95gとリグノフェノール(ヒノキ木粉と
パラクレゾールを用いて合成したリグノフェノールを実
施例1と同様の方法でアセチル化したもの)0.05g
とをクロロホルム50mlに溶解するようにした以外は
実施例1と同様にしてリグノフェノールの含有量が5重
量%のポリ乳酸組成物フィルム(厚み:平均85μm)
を得た。そして、得られたポリ乳酸組成物フィルムにつ
いて実施例1と同様にして引張試験を行ない、得られた
結果を表1及び図1に示した。
【0048】
【表1】
【0049】表1及び図1に示した結果から明らかなよ
うに、アルコールリグニン誘導体を含有する実施例1の
ポリ乳酸組成物フィルム並びに桂皮酸エステル誘導体を
含有する実施例2〜3のポリ乳酸組成物フィルムは、ポ
リ乳酸のみからなる比較例1のポリ乳酸フィルムに比べ
て伸び率が飛躍的に向上しており、更に、リグノフェノ
ールを含有する比較例2のポリ乳酸組成物フィルムに比
べても伸び率が大きく向上していることが確認された。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
アルコールリグニン誘導体又は桂皮酸エステル誘導体と
いう植物由来の可塑剤の添加により伸展性(伸び性)が
十分に向上した脂肪族ポリエステル組成物を提供するこ
とが可能となる。従って、本発明の脂肪族ポリエステル
組成物は、高い伸展性(伸び性)が要求される自動車用
内装材等として非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例及び比較例で得られた引張試験片にお
ける伸び率を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 臼杵 有光 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 中野 充 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 佐竹 茂 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 影山 裕史 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 礒部 泰充 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 渡邊 隆司 大阪府交野市森北1丁目16−5 Fターム(参考) 4J002 AH002 CF031 CF181 CF191 EH126 EN066 ES006 FD022 FD026 GN00 GT00 4J200 AA04 AA05 BA05 BA10 BA12 BA13 BA14 BA19 BA20 DA00 EA04 EA06 EA21

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪族ポリエステルと、該脂肪族ポリエ
    ステル中に可塑剤として配合されている10重量%以下
    のアルコールリグニン誘導体とを含むことを特徴とする
    脂肪族ポリエステル組成物。
  2. 【請求項2】 前記アルコールリグニン誘導体が、アル
    コールリグニンにアシル化処理を施したものであること
    を特徴とする請求項1記載の脂肪族ポリエステル組成
    物。
  3. 【請求項3】 脂肪族ポリエステルと、該脂肪族ポリエ
    ステル中に可塑剤として配合されている10重量%以下
    の桂皮酸エステル誘導体とを含むことを特徴とする脂肪
    族ポリエステル組成物。
  4. 【請求項4】 前記桂皮酸エステル誘導体が、下記一般
    式(1): 【化1】 [式中、Rは低級アルキル基、置換基を有していてもよ
    いアリール基、置換基を有していてもよいアリールアル
    キル基及び置換基を有していてもよいアリールアルケニ
    ル基からなる群から選択される少なくとも一つの基であ
    り、Xは低級アルキル基、低級アルコキシ基、アミノ
    基、ニトロ基及びハロゲンからなる群から選択される少
    なくとも一つの基であり、nは0〜5の整数である。]
    で表わされるものであることを特徴とする請求項3記載
    の脂肪族ポリエステル組成物。
  5. 【請求項5】 前記脂肪族ポリエステルがポリ乳酸又は
    ポリ乳酸系樹脂であることを特徴とする請求項1〜4の
    うちのいずれか一項に記載の脂肪族ポリエステル組成
    物。
JP2002116754A 2002-04-18 2002-04-18 脂肪族ポリエステル組成物及び自動車用内装材 Expired - Fee Related JP3918620B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002116754A JP3918620B2 (ja) 2002-04-18 2002-04-18 脂肪族ポリエステル組成物及び自動車用内装材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002116754A JP3918620B2 (ja) 2002-04-18 2002-04-18 脂肪族ポリエステル組成物及び自動車用内装材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003313401A true JP2003313401A (ja) 2003-11-06
JP3918620B2 JP3918620B2 (ja) 2007-05-23

Family

ID=29534197

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002116754A Expired - Fee Related JP3918620B2 (ja) 2002-04-18 2002-04-18 脂肪族ポリエステル組成物及び自動車用内装材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3918620B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008050445A (ja) * 2006-08-23 2008-03-06 Fuji Xerox Co Ltd 樹脂組成物、樹脂成形体及び筐体並びに樹脂成形体の製造方法
JP2008050446A (ja) * 2006-08-23 2008-03-06 Fuji Xerox Co Ltd 樹脂組成物、樹脂成形体及び筐体、並びに樹脂成形体の製造方法及びリサイクル方法
US7498422B2 (en) 2006-11-28 2009-03-03 Fuji Xerox Co., Ltd. Lignophenol derivative, polymer, resin composition, and molded resin
US7585910B2 (en) 2005-03-25 2009-09-08 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho Polylactic acid composition
WO2016104634A1 (ja) * 2014-12-25 2016-06-30 出光ライオンコンポジット株式会社 熱可塑性樹脂組成物及びその成形体
CN112745988A (zh) * 2019-10-31 2021-05-04 中国石油化工股份有限公司 一种改性环保增塑剂及其合成方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7585910B2 (en) 2005-03-25 2009-09-08 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho Polylactic acid composition
JP2008050445A (ja) * 2006-08-23 2008-03-06 Fuji Xerox Co Ltd 樹脂組成物、樹脂成形体及び筐体並びに樹脂成形体の製造方法
JP2008050446A (ja) * 2006-08-23 2008-03-06 Fuji Xerox Co Ltd 樹脂組成物、樹脂成形体及び筐体、並びに樹脂成形体の製造方法及びリサイクル方法
US7498422B2 (en) 2006-11-28 2009-03-03 Fuji Xerox Co., Ltd. Lignophenol derivative, polymer, resin composition, and molded resin
WO2016104634A1 (ja) * 2014-12-25 2016-06-30 出光ライオンコンポジット株式会社 熱可塑性樹脂組成物及びその成形体
CN112745988A (zh) * 2019-10-31 2021-05-04 中国石油化工股份有限公司 一种改性环保增塑剂及其合成方法
CN112745988B (zh) * 2019-10-31 2022-06-07 中国石油化工股份有限公司 一种改性环保增塑剂及其合成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3918620B2 (ja) 2007-05-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100965497B1 (ko) 에스테르 화합물, 생분해성 지방족 폴리 에스테르 수지용가소제 및 생분해성 수지 조성물
JP5662279B2 (ja) 可塑化ポリエステルから製造されたフィルム
US8476378B2 (en) Biodegradable aliphatic-aromatic polyesters
JP5804672B2 (ja) 結晶性ポリ乳酸樹脂組成物およびそれからなる成形体
JP5794731B2 (ja) 樹脂組成物
JP5838260B2 (ja) 樹脂組成物の製造方法
Alhanish et al. Developments of biobased plasticizers for compostable polymers in the green packaging applications: A review
US11377409B2 (en) Process for the production of 1,4-butanediol from renewable sources and polyesters obtained therefrom
KR100394410B1 (ko) 전분에스테르의제조방법,전분에스테르,및전분에스테르조성물
WO2008065207A1 (en) Hydrolysis-resistant thermoplastic polymer
JP2005023091A (ja) 生分解性樹脂組成物
KR101532435B1 (ko) 락트산 공중합체 및 그 제조방법
JP3918620B2 (ja) 脂肪族ポリエステル組成物及び自動車用内装材
WO2009110171A1 (ja) 生分解性ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる成形体
JP4205404B2 (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物、成形品及びポリエステル樹脂用可塑剤
US20160312003A1 (en) Succinate ester for use as plasticizer and biodegradable resins comprising this succinate ester
CN105440700A (zh) 一种高强韧聚乳酸基合金材料的制备方法
JP3409424B2 (ja) ポリエステル樹脂用エステル系可塑剤及びそれを含む樹脂組成物
US9822238B2 (en) Compositions comprising tetrahydrofurfuryl and alkoxylated alkyl esters as plasticisers for biodegradable resins
KR20150050267A (ko) 셀룰로오스계 수지 및 그 제조방법
CN103627029A (zh) 酯化合物的组合物、增塑剂以及树脂组合物
JP4205403B2 (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物、成形品及びポリエステル樹脂用可塑剤
JPH07304897A (ja) 熱可塑性化学修飾リグノセルロース組成物およびその製造方法
WO1998029511A1 (en) Polyester blends
JP2009126905A (ja) 生分解性ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる成形体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20040922

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20041012

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20041012

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060810

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20060905

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20061106

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20070123

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070205

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees