JP3917711B2 - フェベスチン誘導体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアミノペプチダーゼNに対して阻害活性を有する新規合成ぺプチドに関する。アミノペプチダーゼNは癌の転移あるいは免疫系に関与することから、アミノペプチダーゼNの阻害活性を有する本発明のペプチドは、抗癌剤あるいは免疫賦活剤としての用途が期待される。更には、鎮痛持続および増強剤としての用途が期待される。
【0002】
【従来の技術】
アミノペプチダーゼNを阻害する天然物由来の低分子のぺプチドとしては、プロベスチン、ベスタチンおよびロイヒスチンなどが知られている。これらはN末端に3−アミノ−2−ヒドロキシ脂肪酸をもつモノアミノ酸、ジぺプチドおよびテトラぺプチドである。また、ストレプトミセス属に属する菌株からフェベスチン、すなわち(2S,3R)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸−Val−Pheが単離され、フェベスタチンはアミノペプチダーゼNの阻害活性を有すことが知られている(特開平9−20794号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
プロベスチン、ベスタチンおよびロイヒスチン等のアミノペプチダーゼNの阻害物質は、アミノペプチダーゼNに対する特異性が低いこと、アミノペプチダーゼNに対する阻害活性の強さが未だ十分でないこと等の問題点を有していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、一般式(1)で表わされるフェベスタチン誘導体またはその薬理学的に許容される塩が、アミノペプチダーゼNに対する優れた阻害活性を有することを見いだした。
すなわち、本発明は、
1.式(1)
【0005】
【化2】
〔式中、Rは置換基があってもよい飽和または不飽和の低級炭化水素基を、XおよびYはアミノ酸残基を示す。ただし、Rがフェニル基でありXがバリン残基でYがフェニルアラニン残基である組合せの場合を除く。〕で表わされる新規フェベスチン誘導体またはその薬理学的に許容される塩;
2.Rが、置換基があってもよいフェニル基、置換基があってもよい炭素数3〜9のシクロアルキル基、置換基があってもよい炭素数1〜8のアルキル基、または置換基があってもよい炭素数2〜8のアルケニル基である上記1記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩;
3.Rが、フェニル基、シクロヘキシル基、または炭素数1〜4の低級アルキル基である上記1記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩;
4.Xが塩基性の側鎖をもつアミノ酸残基である上記2または3に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩;
5.Rがシクロヘキシル基、Xがバリン、ヒスチジン、アルギニンまたはフェニルアラニンの残基、Yがフェニルアラニン、ヒスチジンまたはプロリンの残基である上記1記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩;
6.上記1から5のいずれかに記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする医薬;
7.上記1から5のいずれかに記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするアミノペプチダーゼN阻害剤;
に関するものである。
更には、本発明化合物はアミノペプチダーゼNに阻害活性を有すことにより、抗癌剤、免疫賦活剤、あるいは鎮痛持続および増強剤としての用途が期待されるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において、置換基があってもよい飽和または不飽和の低級炭化水素基とは好ましくは、置換基があってもよいフェニル、置換基があってもよい炭素数3〜9のシクロアルキル基、置換基があってもよい炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数2〜8のアルケニル基を示す。これらの置換基としては、例えば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、アミノ基、ニトロ、水酸基、メルカプト基等が挙げられる。
本発明において具体的な置換基があってもよい飽和または不飽和の低級炭化水素基の例としては、たとえば、メチル、エチル、 n- プロピル、イソプロピル、 n- ブチル、 s- ブチル、 t- ブチル、 n- ペンチル、3-メチルブチル、2-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、 n- ヘキシル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、3-エチルヘプチル、クロロメチル、ジクロロメチル、1-ブロモエチル、2-ブロモエチル、2-アミノエチル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシプロピル、1-ヒドロキシプロピル、2-ニトロヘキシル、2-メルカプトエチル、ベンジル、2−フェニルエチル、1−フェニルエチルなどの置換基があってもよい炭素数1〜8のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、4-メチルシクロヘキシル、3-クロロシクロヘキシル、シクロヘキシルメチルなどの置換基があってもよい炭素数3〜9のシクロアルキル基;フェニル、4-イソプロピルフェニル、2,6-ジメチルフェニル、3,5-ジメチルフェニル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、2-ブロモフェニル、3-ブロモ-2- クロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、2-ニトロフェニル、3-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル、4-ヨードフェニルなどの置換基があってもよいフェニル基;ビニル、1−ブテニル、1−ペンテニル、2−ヘキセニルなどの置換基があってもよい炭素数2〜8のアルケニル基などが挙げられる。本発明においては、特に無置換のフェニル基、シクロヘキシル基、炭素数1〜4の低級アルキル基が好ましい。
式(1)の3−アミノ−2−ヒドロキシ脂肪酸部分のRCH2−が置換した3位の炭素原子、並びに−OHが置換した2位の炭素原子の立体配置はS、RまたはSRいずれでもよいが、(2S,3R)配置が好ましい。
【0007】
式(1)のXまたはYにおけるアミノ酸残基としては、一般的にはα−アミノ酸類の残基があげられるが必ずしもα−アミノ酸である必要性はない。β−アラニン等のβ−アミノ酸等でもよい。
これらのアミノ酸としては具体的には、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、バリン( Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、システイン(Cys)、メチオニン(Met)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、リジン(Lys)、アルギニン(Arg)、フェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)、ヒスチジン(His)、トリプトファン(Try)、ホモフェニルアラニン(Hph)、プロリン(Pro)、オキシプロリン(Hypro)、シクロヘキシルアラニン(Cha)などがあげられる。これらのアミノ酸の立体配置はD、LまたはDLのいずれでもよいが、L体が好ましい。
【0008】
Xにおけるアミノ酸残基としては、好ましくはアルギニン、リジン、ヒドロキシリジン、ヒスチジン等の塩基性の側鎖をもつアミノ酸残基、及びバリン、フェニルアラニンの残基が好ましい。特に本発明においては、Xにおけるアミノ酸残基として好ましいものとしては、バリン(Val)、フェニルアラニン(Phe)、ヒスチジン(His)またはアルギニン(Arg)が、より好ましくはヒスチジン(His)またはアルギニン(Arg)の残基があげられる。
Yにおけるアミノ酸残基として好ましいものとしては、フェニルアラニン(Phe)、ヒスチジン(His)またはプロリン(Pro)の残基が、より好ましくはフェニルアラニン(Phe)の残基があげられる。
本発明のフェベスチン誘導体は酸との薬理学的に許容される塩として用いることも可能であり、これらの塩としては、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸;p−トルエンスルホン酸などの有機酸等との塩が挙げられる。
【0009】
上記のアミノ酸以外で、本明細書中のアミノ酸残基、保護基およびその他で用いられている略号は以下の通りである。
AP−N:アミノペプチダーゼN
Leu−AP:ロイシンアミノペプチダーゼ
AP−A:アミノペプチダーゼA
AP−B:アミノペプチダーゼB
AHPA:(2S,3R)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸
AHCA:(2S,3R)−3−アミノ−4−シクロヘキシル−2−ヒドロキシブタン酸
PenAhp:(2S,3R)−3−アミノ−2−ヒドロキシオクタン酸
EtAhp:(2S,3R)−3−アミノ−2−ヒドロキシペンタン酸
Boc:t−ブトキシカルボニル
Bzl:ベンジル
Me:メチル
Z:ベンジルオキシカルボニル
Ph:フェニル
cHx:シクロヘキシル
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
【0010】
式(1)
【化3】
で示される化合物のうち代表的な化合物について具体例を以下の表に示す。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
【表3】
【0014】
式(1)で表される本発明化合物は、ぺプチド化学の分野において一般的に使用される方法を用いて製造される。
例えば下記反応式(A)及び反応式(B)の方法により製造することができる。
【0015】
反応式(A)
【化4】
【0016】
なお上記反応式中R、XおよびYは前記と同じ意味を有する。P3はアミノ基の保護基を示す。
反応式(A)で示される工程をより詳しく説明する。原料化合物である式(A1)で示される化合物は公知の方法により製造することができる。例えば、AHPA(R=フェニル基に相当)は、Z−フェニルアラニンより、文献記載の方法〔J.Med.Chem., 20,513(1977)〕により製造することができる。AHCA(R=シクロヘキシル基に相当)、PenAhp(R=n−ブチル基に相当)またはEtAhpは、アスパラギン酸より、文献記載の方法〔Tetrahedron Lett., 34,7557(1993)〕により製造することができる。また、上記のPenAhpおよびEtAhpは、他の文献記載の方法〔J.Antibiotics,49,281(1996)またはPeptide Chemistry 1995,145(1996)〕によっても製造することができる。式(A1)で示される他の化合物も同様にして製造することができる。
【0017】
式(A2)で示される化合物は、式(A1)で示される化合物のアミノ基を常法に従って、保護基P3で保護すればよく、例えばP3がBoc基のときは、トリエチルアミン存在下にジ−t−ブチルジカルボナートと反応すれば良く、P3がZ基のときは、トリエチルアミン存在下にS−ベンジルオキシカルボニル−4,6−ジメチル−2−チオピリミジンと反応すれば良い。他の保護基を有する式(A2)の化合物も常法によって製造することができる。
【0018】
反応式(B)
【化5】
【0019】
上記反応式中R、XおよびYは前記と同じ意味を有する。P1はカルボキシル基の保護基を示し、P2およびP3はアミノ基の保護基を示す。X(Ps)およびY(Ps)は、アミノ酸残基XおよびYの側鎖の官能基が必要に応じて保護基(Ps)で保護されていることを示す。
反応式(B)で示される工程をより詳しく説明する。他方の原料化合物である式(B1)で示される化合物から式(B2)で示される化合物を製造するには、式(B1)で示される化合物と保護アミノ酸(P2−X(Ps)−OH)をぺプチド結合形成反応により縮合すればよい。ぺプチド結合形成反応には、酸ハライド法、ヒドロキシコハク酸イミドエステル、置換および無置換フェニルエステル、チオフェニルエステル等を用いた活性エステル法、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドまたはそれらと縮合補助剤、例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシコハク酸イミドを用いる方法、ジフェニルリン酸アジド、Bop試薬、PyBop試薬、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキシキノリン等の縮合剤を用いる方法、クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソブチル等を用いる混合酸無水物法、さらにはアジド法等ペプチド化学において使用されるアミド形成反応の中から適宜選択すればよい。
【0020】
また、反応において使用される溶媒としても、通常のぺプチド化学において用いられる溶媒が使用できる。例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトニトリル等のニトリル類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類の中から単独あるいは混合溶媒として使用すればよい。
次に、式(B2)で示される化合物のアミノ基の保護基P2を除去し、式(B3)で示される化合物を製造する。保護基P2の除去は常法で行えばよく、例えば保護基P2がBoc基のときは、塩酸−ジオキサン溶液あるいはトリフルオロ酢酸等の脱保護試薬を用いて除去すればよいし、保護基P2がZ基のときは、Pd触媒の存在下に接触水素化して除去すればよい。他の保護基の場合にも常法により除去できる。
【0021】
次いで、式(B2)で示される化合物を得るときと同様のぺプチド結合形成法を用いて、反応式(A)で製造される式(A2)で示される化合物と式(B3)の化合物とを反応させ、式(B4)で示される化合物を得る。
式(1)で示される化合物は、常法に従って式(B4)で示される化合物の保護基P1、P3およびPsを除去することで製造することができる。例えば、保護基P3およびPsがZ基で、保護基P1がベンジルエステルの時は、Pd触媒の存在下に接触水素化してすべての保護基を一度に除去すればよいし、P3がBoc基、X(Ps)=XおよびY(Ps)=Y(即ち、アミノ酸残基XおよびYの側鎖の官能基を保護する必要のないとき)、保護基P1がベンジルエステルの時は、Pd触媒の存在下に接触水素化して保護基P1を除去し、塩酸−ジオキサン溶液あるいはトリフルオロ酢酸等の脱保護試薬を用いて保護基P3のBoc基を除去すればよい。また、P1が低級アルキルエステル型保護基の時は、1M程度の水酸化ナトリウム溶液を用いてアルカリけん化することで除去すればよい。他の保護基の場合にも常法により除去することができる。
かくして得られる式(1)の化合物は、必要に応じて薬理学的に許容される塩に変換しても良い。塩への変換は、式(1)の化合物を、例えば塩酸、硝酸などの無機酸、あるいはp−トルエンスルホン酸などの有機酸で常法により処理することによって実施できる。
【0022】
本発明の式(1)のフェベスチン誘導体またはその薬理学的に許容される塩は、酵素阻害活性、特にアミノペプチダーゼNに対して優れた阻害活性を示し、抗癌剤あるいは免疫賦活剤としての用途が期待される。従って本発明の更なる発明は、フェベスチン誘導体またはその薬理学的に許容される塩及び医薬用添加剤とからなる医薬、特にアミノペプチダーゼN阻害剤である。医薬用添加剤は特に制限はなく、一般的に使用されるのが使用できる。
上記医薬、特に阻害剤組成物中の有効成分(フェベスチン誘導体またはその塩)の割合はその剤形などにより異なるので一概にはいえないが、0.05〜99重量%程度まで広範囲に使用することができ、通常注射剤では0.1〜50重量%程度であり、それ以外の製剤では1〜60重量%程度である。残部は医薬用添加剤である。
【0023】
フェベスチン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を、通常、人を含む温血動物に経口投与あるいは静脈、皮内、筋肉内投与などの非経口投与でその有効量を投与することにより生体中のアミノペプチダーゼNを阻害することができる。投与量は投与する対象、投与ルートなどによって変動するが通常、0.05〜150mg/Kg/日、好ましくは0.5〜100mg/Kg/日、より好ましくは1〜50mg/Kg/日である。
【0024】
投与する際の製剤としては慣用的に用いられている剤形が挙げられる。経口投与の場合には、医薬用添加剤例えばデンプンなどの通常の賦形剤などとともに成型された錠剤、顆粒剤、カプセル剤などが用いられる。非経口投与の場合には医薬用添加剤例えば生理食塩水、溶解剤などを用いて製剤化された通常の注射剤などが用いられる。
【0025】
【発明の効果】
本発明により、酵素特異性を有する酵素阻害剤、特にアミノペプチダーゼN阻害作用を有し、抗癌剤あるいは免疫賦活剤の活性成分としての用途が期待される式(1)で表されフェベスチンおよびその誘導体が得られる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例及び試験例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
参考例1
Boc−L−バリル−L−フェニルアラニンベンジルエステルの合成
Boc−L−バリン358.4mg(1.65mmol) 、フェニルアラニンベンジルエステル・p−トルエンスルホン酸塩642.2mg(1.5mmol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物252.5mg(1.65mmol)をDMF6.5ml に溶解し、氷冷下でトリエチルアミン0.235ml(1.65mmol)及び水溶性カルボジイミド・1塩酸塩317.8mg(1.65mmol)を加え2時間撹拌後、室温でさらに20時間撹拌した。反応終了後、10%クエン酸水溶液50mlを加え、酢酸エチル50mlで2回抽出した。有機層を10%クエン酸水溶液50mlで1回、4%炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで2回及び飽和食塩水50mlで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、粗Boc−L−バリル−L−フェニルアラニンベンジルエステル684.7mg を得た。この粗体にクロロホルムを加えて溶解し、これにヘキサンを加え、低温で結晶化させた。結晶を濾取し、ヘキサンで洗浄後、乾燥することで、白色結晶のBoc−L−バリル−L−フェニルアラニンベンジルエステル644.0mg を得た。収率94.7%。
FAB−MS m/Z 455(M+H)+。
【0027】
参考例2
Boc−AHPA−L−バリル−L−フェニルアラニンベンジルエステルの合成
Boc−L−バリル−L−フェニルアラニンベンジルエステル530.0mg(1.17mmol) に4N塩酸−ジオキサン5ml を加え、室温で1時間撹拌後、溶媒を留去することで、白色粉末のL−バリル−L−フェニルアラニンベンジルエステル塩酸塩を得た。このうちの250mg(0.64mmol) に、Boc−AHPA 207.7mg(0.70mmol) 、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物107.8mg(0.70mmol)及びDMF 2.5mlを加えて溶解し、氷冷下でトリエチルアミン0.0985ml(0.70mmol)及び水溶性カルボジイミド・1塩酸塩147.6mg(0.77mmol)を加え2時間撹拌後、室温でさらに16時間撹拌した。反応終了後、10%クエン酸水溶液50mlを加え、酢酸エチル50mlで2回抽出した。有機層を10%クエン酸水溶液50mlで1回、4%炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで2回及び飽和食塩水50mlで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、粗Boc−AHPA−L−バリル−L−フェニルアラニンベンジルエステル414.6mg を得た。この粗体にクロロホルムを加えて溶解し、これにヘキサンを加え、低温で結晶化させた。結晶を濾取し、ヘキサンで洗浄後、乾燥することで、白色結晶のBoc−AHPA−L−バリル−L−フェニルアラニンベンジルエステル380.8mg を得た。収率94.3%。
FAB−MS m/Z 632(M+H)+。
【0028】
参考例3
AHPA−L−バリル−L−フェニルアラニン(フェベスチン)の合成
Boc−AHPA−L−バリル−L−フェニルアラニンベンジルエステ337.1mg(0.53mmol) にパラジウム黒50mg、酢酸3ml 及びメタノール3ml を加え、系内を水素置換後、室温で1時間接触還元した。触媒を濾別後、濾液を溶媒留去することで、白色粉末のBoc−AHPA−L−バリル−L−フェニルアラニン270.8mg を得た。これに、トリフルオロ酢酸2.5ml を加え、室温で1時間撹拌後、溶媒留去し、AHPA−L−バリル−L−フェニルアラニン204.9mg を得た。これを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)精製(カラム:CAPCELL PAK C18、SHISEIDO社、20×250mm 、溶離液:アセトニトリル:0.1 %トリフルオロ酢酸=6:19、流速:8ml/min.、検出波長:210nm)し、AHPA−L−バリル−L−フェニルアラニンを含むフラクションを濃縮乾固した。これをメタノール3ml に溶解し、メタノールで膨潤させたセファデックスLH−20(550ml)のカラムに付し、メタノールで展開した。AHPA−L−バリル−L−フェニルアラニンを含むフラクションを減圧濃縮し、190.1mg の白色粉末を得た。収率88.5%。
FAB−MS m/Z 442(M+H)+。
【0029】
実施例1
Boc−L−バリル−L−プロリンベンジルエステルの合成
Boc−L−バリン478.0mg(2.2mmol)、L−プロリンベンジルエステル・1 塩酸塩439.4mg(1.82mmol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物337.6mg(2.2mmol)にDMF4mlを加えて溶解し、氷冷下でトリエチルアミン0.308ml(2.2mmol)及び水溶性カルボジイミド・1塩酸塩421.7mg(2.2mmol)を加え2時間撹拌後、室温でさらに20時間撹拌した。反応終了後、10%クエン酸水溶液50mlを加え、酢酸エチル50mlで2回抽出した。有機層を10%クエン酸水溶液50mlで1回、4%炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで2回及び飽和食塩水50mlで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、アメ状の粗Boc−L−バリル−L−プロリンベンジルエステル788.0mg を得た。この粗体をカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル、クロロホルム:メタノール(100 :1))することで、アメ状のL−プロリンベンジルエステル710.9mg を得た。収率96.7%。
FAB−MS m/Z 405(M+H)+。
【0030】
実施例2
Boc−AHPA−L−バリル−L−プロリンベンジルエステルの合成
Boc−L−バリル−L−プロリンベンジルエステル343.8mg(0.85mmol)に4N塩酸−ジオキサン3.5ml を加え、室温で1時間撹拌後、溶媒を留去することで、白色粉末のL−バリル−L−プロリンベンジルエステル塩酸塩を得た。このL−バリル−L−プロリンベンジルエステル塩酸塩140.4mg(0.41mmol) に、Boc−AHPA 133.4mg(0.45mmol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物68.9mg(0.45mmol)にDMF 1.5mlを加えて溶解し、氷冷下で水溶性カルボジイミド・1塩酸塩86.3mg(0.45mmol)を加え、15分撹拌後、トリエチルアミン0.063ml(0.45mmol)を加えて2時間撹拌した。さらに、室温で16時間撹拌した。反応終了後、10%クエン酸水溶液50mlを加え、酢酸エチル50mlで2回抽出した。有機層を10%クエン酸水溶液50mlで1回、4%炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで2回及び飽和食塩水50mlで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、粗Boc−AHPA−L−バリル−L−プロリンベンジルエステル231.3mg を得た。この粗体をカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル、クロロホルム:メタノール(100 :1))することで、白色粉末のBoc−AHPA−L−バリル−L−プロリンベンジルエステル203.3mg を得た。収率85.1%。
FAB−MS m/Z 582(M+H)+。
【0031】
実施例3
AHPA−L−バリル−L−プロリンの合成
Boc−AHPA−L−バリル−L−プロリンベンジルエステル150.2mg にパラジウム黒25mg、酢酸1.5mg 及びメタノール1.5ml を加え、系内を水素置換後、室温で1時間接触還元した。触媒を濾別後、濾液を溶媒留去することで、白色粉末Boc−AHPA−L−バリル−L−プロリン134.4mg を得た。これにトリフルオロ酢酸1mlを加え、室温で1時間撹拌後、溶媒留去することで、粗AHPA−L−バリル−L−プロリン109.1mg を得た。この粗体をHPLC精製(カラム:CAPCELL PAK C18、SHISEIDO社、20×250mm 、溶離液:アセトニトリル:0.1 %トリフルオロ酢酸= 4:21、流速:8ml /min.、検出波長:210nm)し、AHPA−L−バリル−L−プロリンを含むフラクションを濃縮乾固した。これをメタノール2mlに溶解し、メタノールで膨潤させたセファデックスLH−20(550ml)のカラムに付し、メタノールで展開した。AHPA−L−バリル−L−プロリンを含むフラクションを減圧濃縮し、90.4mgの白色粉末を得た。収率89.1%。
FAB−MS m/Z 392(M+H)+。
【0032】
実施例4
Boc−L−バリル−L−ヒスチジンメチルエステルの合成
Boc−L−バリン521.5mg(2.4mmol)、L−ヒスチジンメチルエステル・2塩酸塩518.4mg(2.0mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物367.8mg(2.4mmol)及びベンゾトリアゾリル−N−ヒドロキシトリスジメチルアミノホスホニウムヘキサフルオロリン化物塩(Bop 試薬)1063.2mg(2.4mmol) をDMF7ml に溶解し、氷冷下でトリエチルアミン0.98ml(7.0mmol)を加え1時間撹拌後、室温でさらに16時間撹拌した。反応終了後、4%炭酸水素ナトリウム50mlを加え、酢酸エチル50mlで2回抽出した。有機層を4%炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで2回、水50mlで1回及び飽和食塩水50mlで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、粗Boc−L−バリル−L−ヒスチジンメチルエステル774.3mg を得た。この粗体をカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル、クロロホルム:メタノール(100 :3 ))することで、白色粉末のBoc−L−バリル−L−ヒスチジンメチルエステル553.0mg を得た。収率75.0%。
FAB−MS m/Z 369(M+H)+。
【0033】
実施例5
Boc−AHPA−L−バリル−L−ヒスチジンメチルエステルの合成
Boc−L−バリル−L−ヒスチジンメチルエステル513.6mg(1.39mmol) に4N塩酸−ジオキサン7mlを加え、室温で1時間撹拌後、溶媒を留去することで、白色粉のL−バリル−L−ヒスチジンメチルエステル・2塩酸塩を得た。このうちの178.9mg(0.52mmol) にBoc−AHPA 177.5mg(0.60mmol) 、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物92.1mg(0.6mmol)、ベンゾトリアゾリル−N−ヒドロキシトリスジメチルアミノホスホニウムヘキサフルオロリン化物塩266.8mg(0.6mmol)及びDMF 2mlを加えて溶解し、氷冷下でトリエチルアミン0.245ml(1.75mmol)を加え1時間撹拌後、室温でさらに16時間撹拌した。反応終了後、4%炭酸水素ナトリウム50mlを加え、酢酸エチル50mlで2回抽出した。有機層を4%炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで1回、及び飽和食塩水50mlで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、粗Boc−AHPA−L−バリル−L−ヒスチジンメチルエステル299.2mg を得た。この粗体をカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル、クロロホルム:メタノール(100:6))することで、白色粉末のBoc−AHPA−L−バリル−L−ヒスチジンメチルエステル230.6mg を得た。収率81.1%。
FAB−MS m/Z 546(M+H)+。
【0034】
実施例6
AHPA−L−バリル−L−ヒスチジンの合成
Boc−AHPA−L−バリル−L−ヒスチジンメチルエステル216.4mg(0.40mmol) にメタノール3.96mlを加えて溶解し、1Mの水酸化ナトリウム水溶液0.87ml(0.79mmol)を加え室温で3.5 時間撹拌後、トリフルオロ酢酸0.083ml を加え、溶媒留去することで、粗Boc−AHPA−L−バリル−L−ヒスチジン350.2mg を得た。これにトリフルオロ酢酸2.5ml を加え、室温で1時間撹拌後、溶媒留去し、粗AHPA−L−バリル−L−ヒスチジン・1トリフルオロ酢酸塩を得た。この粗体をHPLC精製(カラム:CAPCELL PAK C18、SHISEIDO社、20×250mm 、溶離液:アセトニトリル:0.1 %トリフルオロ酢酸=9:91、流速:8ml /min.、検出波長:210nm)し、AHPA−L−バリル−L−ヒスチジンを含むフラクションを濃縮乾固した。これをメタノール2mlに溶解し、メタノールで膨潤させたセファデックスLH−20(550ml)のカラムに付し、メタノールで展開した。AHPA−L−バリル−L−ヒスチジン・1トリフルオロ酢酸塩を含むフラクションを減圧濃縮し、166.8mg の白色粉末を得た。収率78.3%。
FAB−MS m/Z 432(M+H)+。
【0035】
実施例7
Boc−L−フェニルアラニル−L−ヒスチジンメチルエステルの合成
Boc−L−フェニルアラニン636.5mg(2.4mmol)、L−ヒスチジンメチルエステル・2塩酸塩518.3mg(2.0mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物367.6mg(2.4mmol)及びベンゾトリアゾリル−N−ヒドロキシトリスジメチルアミノホスホニウムヘキサフルオロリン化物塩1063.2mg(2.4mmol) をDMF7ml に溶解し、氷冷下でトリエチルアミン0.98ml(7.0mmol)を加え1時間撹拌後、室温でさらに16時間撹拌した。反応終了後、4%炭酸水素ナトリウム50mlを加え、酢酸エチル50mlで2回抽出した。有機層を4%炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで2回、水50mlで1回及び飽和食塩水50mlで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、粗Boc−L−フェニルアラニル−L−ヒスチジンメチルエステル854.4mg を得た。この粗体をカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル、クロロホルム:メタノール(100 :3))することで、白色粉末のBoc−L−フェニルアラニル−L−ヒスチジンメチルエステル779.3mg を得た。収率93.6%。
FAB−MS m/Z 417(M+H)+。
【0036】
実施例8
Boc−AHPA−L−フェニルアラニル−L−ヒスチジンメチルエステルの合成
Boc−L−フェニルアラニル−L−ヒスチジンメチルエステル735.8mg(1.77mmol) に4N塩酸−ジオキサン10mlを加え、室温で1時間撹拌後、溶媒を留去することで、白色粉末のL−フェニルアラニル−L−ヒスチジンメチルエステル・2塩酸塩を得た。このうちの194.6mg(0.5mmol)にBoc−AHPA 177.4mg(0.6mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物92.3mg(0.6mmol)、ベンゾトリアゾリル−N−ヒドロキシトリスジメチルアミノホスホニウムヘキサフルオロリン化物塩265.9mg(0.6mmol)及びDMF 2.5ml を加えて溶解し、氷冷下でトリエチルアミン0.245ml(1.75mmol)を加え1時間撹拌後、室温でさらに16時間撹拌した。反応終了後、4%炭酸水素ナトリウム50mlを加え、酢酸エチル50mlで2回抽出した。有機層を4%炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで1回、及び飽和食塩水50mlで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、粗Boc−AHPA−L−フェニルアラニン−L−ヒスチジンメチルエステル321.4mg を得た。この粗体をカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル、クロロホルム:メタノール(100:5))することで、白色粉末のBoc−AHPA−L−フェニルアラニル−L−ヒスチジンメチルエステル262.5mg を得た。収率88.3%。
FAB−MS m/Z 594(M+H)+。
【0037】
実施例9
AHPA−L−フェニルアラニル−L−ヒスチジンの合成
Boc−AHPA−L−フェニルアラニル−L−ヒスチジンメチルエステル225.2mg(0.38mmol) にメタノール3.8ml を加えて溶解し、1Mの水酸化ナトリウム水溶液0.834ml(0.83mmol) を加え室温で3.5 時間撹拌後、トリフルオロ酢酸0.078ml を加え、溶媒留去することで、粗Boc−AHPA−L−フェニルアラニル−L−ヒスチジン351.3mg を得た。これにトリフルオロ酢酸2.5ml を加え、室温で1時間撹拌後、溶媒留去し、粗AHPA−L−フェニルアラニル−L−ヒスチジン・1トリフルオロ酢酸塩を得た。この粗体をHPLC精製(カラム:CAPCELL PAK C18、SHISEIDO社、20×250mm 、溶離液:アセトニトリル:0.1 %トリフルオロ酢酸=3:22、流速:8ml /min.、検出波長:210nm)し、AHPA−L−フェニルアラニル−L−ヒスチジンを含むフラクションを濃縮乾固した。これをメタノール2mlに溶解し、メタノールで膨潤させたセファデックスLH−20(550ml)のカラムに付し、メタノールで展開した。AHPA−L−フェニルアラニル−L−ヒスチジン・1トリフルオロ酢酸塩を含むフラクションを減圧濃縮し、165.2mg の白色粉末を得た。収率73.4%。
FAB−MS m/Z 480(M+H)+。
【0038】
実施例10
Boc−L−ヒスチジル(Nπ−ベンジルオキシメチル)−L−フェニルアラニンベンジルエステルの合成
Boc−L−ヒスチジル(Nπ−ベンジルオキシメチル)・1水和物592.1mg(1.5mmol)、L−フェニルアラニンベンジルエステル・p−トルエンスルホン酸塩705.7mg(1.65mmol) 及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物254.5mg(1.66mmol) をDMF 6.5mlに溶解し、氷冷下でトリエチルアミン0.235ml(1.65mmol)を加えて15分撹拌後、水溶性カルボジイミド・1塩酸塩318.4mg(1.65mmol) を加え、2時間撹拌した。さらに、室温で16時間撹拌した。反応終了後、10%クエン酸水溶液50mlを加え、酢酸エチル50mlで2回抽出した。有機層を10%クエン酸水溶液50mlで1回、4%炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで2回及び飽和食塩水50mlで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、粗Boc−L−ヒスチジール(Nπ−ベンジルオキシメチル)−L−フェニルアラニンベンジルエステル937.1mg を得た。この粗体に酢酸エチルを加えて溶解し、これにヘキサンを加え、低温で結晶化させた。結晶を濾取し、ヘキサンで洗浄後、乾燥することで白色結晶のBoc−L−ヒスチジル(Nπ−ベンジルオキシメチル)−L−フェニルアラニンベンジルエステル838.8mg を得た。収率91.3%。
FAB−MS m/Z 613(M+H)+。
【0039】
実施例11
Boc−AHPA−L−ヒスチジル(Nπ−ベンジルオキシメチル)−L−フェニルアラニンベンジルエステルの合成
Boc−L−ヒスチジル(Nπ−ベンジルオキシメチル)−L−フェニルアラニンベンジルエステル805.1mg(1.31mmol) に4N塩酸−ジオキサン8ml を加え、室温で1時間撹拌後、溶媒を留去することで、白色粉末のL−ヒスチジル(Nπ−ベンジルオキシメチル)−L−フェニルアラニンベンジルエステル・2塩酸塩・1ジオキサン877.8mg を得た。このうちの335.8mg(0.50mmol) にBoc−AHPA 164.8mg(0.56mmol) 、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物86.0mg(0.56mmol)及びDMF 3.5ml を加えて溶解し、氷冷下でトリエチルアミン0.154ml(1.1mmol)を加えて15分撹拌後、水溶性カルボジイミド・1塩酸塩108.3mg(0.56mmol) を加え、2時間撹拌した。さらに、室温で16時間撹拌した。反応終了後、10%クエン酸水溶液50mlを加え、酢酸エチル50mlで2回抽出した。有機層を10%クエン酸水溶液50mlで1回、4%炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで2回及び飽和食塩水50mlで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、粗Boc−AHPA−L−ヒスチジル(Nπ−ベンジルオキシメチル)−L−フェニルアラニンベンジルエステル425.4mg を得た。この粗体をカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル、クロロホルム:メタノール(100:3))することで、白色粉末のBoc−AHPA−L−ヒスチジル(Nπ−ベンジルオキシメチル)−L−フェニルアラニンベンジルエステル348.1mg(0.44mmol) を得た。収率88.0%。
FAB−MS m/Z 790(M+H)+。
【0040】
実施例12
AHPA−L−ヒスチジル−L−フェニルアラニンの合成
Boc−AHPA−L−ヒスチジル(Nπ−ベンジルオキシメチル)−L−フェニルアラニンベンジルエステル242.0mg(0.31mmol) にパラジウム黒50mg、酢酸2m及びメタノール2ml を加え、系内を水素置換後、室温で27時間接触還元した。さらにパラジウム黒50mg及び酢酸3ml を加え、室温で20時間接触還元した。触媒を濾別後、濾液を溶媒留去することで、白色粉末Boc−AHPA−L−ヒスチジル−L−フェニルアラニン206.0mg を得た。これに、トリフルオロ酢酸1mlを加え、室温で1時間撹拌後、溶媒留去し、粗AHPA−L−ヒスチジル−L−フェニルアラニン・1トリフルオロ酢酸塩266.7mg を得た。この粗体をHPLC精製(カラム:CAPCELL PAK C18、SHISEIDO社、20×250mm 、溶離液:アセトニトリル:0.1 %トリフルオロ酢酸=9:41、流速:8ml/min.、検出波長:210nm)し、AHPA−L−ヒスチジル−L−フェニルアラニンを含むフラクションを濃縮乾固した。これをメタノール2mlに溶解し、メタノールで膨潤させたセファデックスLH−20(550ml)のカラムに付し、メタノールで展開した。AHPA−L−ヒスチジル−L−フェニルアラニン・1トリフルオロ酢酸塩を含むフラクションを減圧濃縮し、151.8mg(0.256mmol)の白色粉末を得た。収率83.7%。
FAB−MS m/Z 480(M+H)+。
【0041】
実施例13
Boc−AHCAの合成
AHCA 2.38g(10.0mmol)にジ−t−ブチルジカルボナート2.42g(11.1mmol) 、水20mlおよびジオキサン40mlを加えて溶解し、氷冷下でトリエチルアミン2.94ml(21.0mmol)を加えて30分間撹拌した。室温でさらに16時間撹拌後、溶媒留去した。次いで、反応混合物を水10mlで希釈し、5%硫酸水素カリウム水溶液でpH2に調整後、酢酸エチル30mlで3回抽出した。油層を飽和食塩水30mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、Boc−AHCA3.00g を得た。収率99.4%。
Rf 0.52(クロロホルム:メタノール:酢酸=90:10:5)。
FAB−MS m/z 324(M+Na)+。
【0042】
実施例14
Boc−AHCA−L−バリル−L−フェニルアラニンベンジルエステルの合成
実施例2で得られたL−バリル−L−フェニルアラニンベンジルエステル・1塩酸塩100.4mg(0.26mmol) にBoc−AHCA 86.8mg(0.29mmol) 、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1 水和物44.2mg(0.29mmol)及びDMF1mlを加えて溶解し、氷冷下でトリエチルアミン0.04ml(0.29mmol)及び水溶性カルボジイミド・1塩酸塩55.3mg(0.767mmol)を加え2時間撹拌後、室温でさらに16時間撹拌した。反応終了後、10%クエン酸水溶液50mlを加え、酢酸エチル50mlで2回抽出した。有機層を10%クエン酸水溶液50mlで1回、4%炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで2回及び飽和食塩水50mlで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、粗Boc−AHCA−L−バリル−L−フェニルアラニンベンジルエステル165.1mg を得た。この粗体にクロロホルムを加えて溶解し、これにヘキサンを加え、低温で結晶化させた。結晶を濾取し、ヘキサンで洗浄後、乾燥することで白色結晶のBoc−AHCA−L−バリル−L−フェニルアラニンベンジルエステル148.2mg を得た。収率89.4%。
FAB−MS m/Z 638(M+H)+。
【0043】
実施例15
AHCA−L−バリルーL−フェニルアラニンの合成
Boc−AHCA−L−バリル−L−フェニルアラニンベンジルエステル109.4mg(0.17mmol) にパラジウム黒15mg、酢酸1ml及びメタノール1mlを加え、系内を水素置換後、室温で1時間接触還元した。触媒を濾別後、濾液を溶媒留去することで、白色粉末のBoc−AHCA−L−バリル−L−フェニルアラニン106.1mg を得た。これにトリフルオロ酢酸1mlを加え、室温で1時間撹拌後、溶媒留去し、粗AHCA−L−バリル−L−フェニルアラニン72.9mg得た。この粗体にメタノールを加え溶解し、これにイソプロピルエーテルを加え、結晶化させた。結晶を濾取し、イソプロピルエーテルで洗浄後、乾燥した。さらにメタノール1mlに溶解し、メタノールで膨潤させたセファデックスLH−20(550ml)のカラムに付し、メタノールで展開した。AHCA−L−バリル−L−フェニルアラニンを含むフラクションを減圧濃縮し、59.6mgの白色粉末を得た。収率78.3%。
FAB−MS m/Z 448(M+H)+。
【0044】
実施例16
Boc−AHCA−L−ヒスチジル(Nπ−ベンジルオキシメチル)−L−フェニルアラニンベンジルエステルの合成
実施例14で得られたL−ヒスチジル(Nπ−ベンジルオキシメチル)−L−フェニルアラニンベンジルエステル・2塩酸塩・1ジオキサン236.4mg(0.35mmol) にBoc−AHCA 117.4mg(0.39mmol) 、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物61.7mg(0.39mmol)及びDMF 2.5mlを加えて溶解し、氷冷下でトリエチルアミン0.108ml(0.77mmol)を加えて15分撹拌後、水溶性カルボジイミド・1塩酸塩74.6mg(0.39mmol)を加え、2時間撹拌した。さらに室温で16時間撹拌した。反応終了後、10%クエン酸水溶液50mlを加え、酢酸エチル50mlで2回抽出した。有機層を10%クエン酸水溶液50mlで1回、4%炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで2回及び飽和食塩水50mlで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、粗Boc−AHCA−L−ヒスチジル(Nπ−ベンジルオキシメチル)−L−フェニルアラニンベンジルエステル272.0mg を得た。この粗体をカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル、クロロホルム:メタノール(100:2))することで、白色粉末のBoc−AHCA−L−ヒスチジル(Nπ−ベンジルオキシメチル)−L−フェニルアラニンベンジルエステル240.1mg(0.30mmol) を得た。収率86.3%。
FAB−MS m/Z 796(M+H)+。
【0045】
実施例17
AHCA−L−ヒスチジル−L−フェニルアラニンの合成
Boc−AHCA−L−ヒスチジル(Nπ−ベンジルオキシメチル)−L−フェニルアラニンベンジルエステル240.1mg(0.30mmol) にパラジウム黒60mg、酢酸2.5ml 及びメタノール2.5ml を加え、系内を水素置換後、室温で25時間接触還元した。さらに、パラジウム黒60mg及び酢酸1mlを加え、室温で28時間接触還元した。触媒を濾別後、濾液を溶媒留去することで、白色粉末のBoc−AHCA−L−ヒスチジル−L−フェニアラニン223.5mg を得た。これにトリフルオロ酢酸1.5mlを加え、室温で1時間撹拌後、溶媒留去し、粗AHCA−L−ヒスチジル−L−フェニルアラニン・1トリフルオロ酢酸塩271.3mg を得た。この粗体をHPLC精製(カラム:CAPCELL PAK C18、SHISEIDO社、20×250mm 、溶離液:アセトニトリル:0.1 %トリフルオロ酢酸= 11:39、流速:8ml/min.、検出波長:210nm)し、AHCA−L−ヒスチジル−L−フェニルアラニンを含むフラクションを濃縮乾固した。これをメタノール2mlに溶解し、メタノールで膨潤させたセファデックスLH−20(550ml)のカラムに付し、メタノールで展開した。AHCA−L−ヒスチジル−L−フェニルアラニン・1トリフルオロ酢酸塩を含むフラクションを減圧濃縮し、125.4mg(0.21mmol) の白色粉末を得た。収率59.7%。
FAB−MS m/Z 486(M+H)+。
【0046】
実施例18
Z−AHCAの合成
AHCA 2.38g(10.0mmol)にS−ベンジルオキシカルボニル−4,6−ジメチル−2−チオピリミジン3.30g(12.0mmol) 、水 9.0ml、ジオキサン 9.0ml及びトリエチルアミン3.50ml(25.0mmol)を加え、室温で20時間撹拌した。反応終了後、水45mlを加え、酢酸エチル40mlで2回洗浄後、水層を氷浴で冷却した。水層に6N塩酸 3.5mlを加えpH2に調整後、酢酸エチル30mlで3回抽出した。油層を1N塩酸30mlで3回及び飽和食塩水30mlで 2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、Z−AHCA1.48g を得た。一方、先の酢酸エチル洗浄液より回収した粗Z−AHCAをカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル、クロロホルム:メタノール:酢酸=200:2:1 〜50:2:1)することで、Z−AHCA1.68g を得た。収率94.1%。
【0047】
融点 124〜125°C
[α]24/D+51.3°(c1.0,メタノール)
FAB−MS m/z 334(M−H)−
1H−NMR(CD3 OD)
δ:0.75−1.37(m,6H)
1.38−1.90(m,7H)
4.15 (d,1H,J=1.5Hz)
4.27 (m,1H)
5.06,5.21(ABq,2H,J=12.2Hz)
5.15 (d,1H,J=9.8Hz)
6.09 (br d)
7.23−7.40(m,5H)
【0048】
実施例19
Boc−L−アルギニル(Z2)−L−フェニルアラニンベンジルエステルの合成
Boc−L−アルギニン(Z2)352.7mg(0.650mmol)、L−フェニルアラニンベンジルエステル・p−トルエンスルホン酸塩292.2mg(0.683mmol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール175.9mg(1.302mmol)をDMF 3.0mlに溶解し、氷冷化でトリエチルアミン 0.096ml(0.686mmol) 及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩162.0mg(0.845mmol)を加え2時間撹拌後、室温でさらに6時間撹拌した。反応終了後、反応液を酢酸エチル30mlで希釈したのち、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、10%クエン酸水溶液および飽和食塩水各15mlで順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、粗体の白色固体を得た。次いで、この白色固体をカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル、クロロホルム:メタノール(100:1))することで、白色粉末状のBoc−L−アルギニル(Z2)−L−フェニルアラニンベンジルエステル492.9mg を得た。収率97.2%。
【0049】
融点 138.5〜139.5°C
[α]26/D+6.6°(c1.0,クロロホルム)
FAB−MS m/z 780(M+H)+
1H−NMR(CDCl3 )
δ:1.40 (s,9H)
1.45−1.78(m,4H)
2.81 (dd,1H,J=6.8,14.0Hz)
3.00 (dd,1H,J=5.9,14.0Hz)
3.70−3.94(m,2H)
4.19 (m,1H)
4.77 (ddd,1H,J=5.9,6.8,7.8Hz)
5.05,5.09(ABq,2H,J=12.2Hz)
5.05,5.14(ABq,2H,J=12.7Hz)
5.21,5.23(ABq,2H,J=12.2Hz)
5.55 (br d,1H,J=6.8Hz)
6.74 (d,1H,J=7.8Hz)
6.94 (m,2H)
7.02−7.47(m,18H)
9.24 (br s,1H)
9.42 (br s,1H)
【0050】
実施例20
Z−AHCA−L−アルギニル(Z2)−L−フェニルアラニンベンジルエステルの合成
Boc−L−アルギニル(Z2)−L−フェニルアラニンベンジルエステル253.4mg(0.325mmol)にトリフルオロ酢酸 2mlを加え、室温で40分間撹拌後、溶媒留去し、さらにトルエン 2mlを加えて溶媒留去する操作を2回行うことでシロップ状のL−アルギニル(Z2)−L−フェニルアラニンベンジルエステル・トリフルオロ酢酸塩を得た。この塩にZ−AHCA118.3mg(0.353mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール 88.5mg(0.655mmol)及びDMF 2.5mlを加えて溶解し、氷冷下でトリエチルアミン0.050ml(0.357mmol)及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩 87.2mg(0.455mmol)を加え2時間撹拌後、室温でさらに6時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を酢酸エチル25mlで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、10%クエン酸水溶液及び飽和食塩水各10mlで順次洗浄した。油層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、油状の粗体を得た。この粗体をカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル、ヘキサン:酢酸エチル:メタノール(70:30:1〜60:40:2))することで、白色固体としてZ−AHCA−L−アルギニル(Z2)−L−フェニルアラニンベンジルエステル85.7mgを得た。収率57.3%。次いで、この白色固体をクロロホルム−ヘキサン系で結晶化させた。
【0051】
融点 131〜133°C
[α]26/D+3.4°(c1.1,クロロホルム)
FAB−MS m/z 997(M+H)+
1H−NMR(CDCl3 )
δ:0.72−0.99(m,2H)
1.00−1.88(m,15H)
2.95 (dd,1H,J=7.3,13.8Hz)
3.06 (dd,1H,J=6.1,13.8Hz)
3.85 (m,3H)
3.95 (m,1H)
4.10 (d,1H,J=5.9Hz)
4.45 (br ddd,1H)
4.76 (br ddd,1H)
4.96,5.03(ABq,2H,J=12.7Hz)
5.04,5.10(ABq,2H,J=12.2Hz)
5.05,5.10(ABq,2H,J=11.7Hz)
5.19,5.22(ABq,2H,J=12.2Hz)
5.32 (d,1H,J=8.8Hz)
6.94−7.05(m,3H)
7.06−7.19(m,3H)
7.20−7.43(m,21H)
9.27 (br s,1H)
9.39 (br s,1H)
【0052】
実施例21
AHCA−L−アルギニル−L−フェニルアラニンの合成
Z−AHCA−L−アルギニル(Z2)−L−フェニルアラニンベンジルエステル183.5mg(0.184mmol)をメタノール−酢酸−水(7:2:3)溶液6mlに溶解し、Pd−ブラック触媒の存在下に、水素雰囲気下で2日間撹拌した。触媒を濾別後、濾液を溶媒留去することで得られた粗体をカラムクロマトグラフィー精製(セファデックスLH−20、1%酢酸−メタノール展開、次いでODS、水−メタノール−酢酸(50:50:1))することで、白色粉末としてAHCA−L−アルギニル−L−フェニルアラニン・3/2 酢酸塩92.4mgを得た。
【0053】
融点 141〜148°C
[α]26/D+8.3°(c0.72,メタノール)
FAB−MS m/z 505(M−酢酸+1)+
1H−NMR(CD3 OD)
δ:0.86−1.06(m,2H)
1.14−1.92(m,15H)
1.93 (s,4.5H)
2.94 (dd,1H,J=8.3,13.9Hz)
3.13 (t,2H,J=6.8Hz)
3.22 (dd,1H,J=4.4,13.9Hz)
3.54 (m,1H)
4.15 (d,1H,J=3.4Hz)
4.33 (t,1H,J=6.6Hz)
4.49 (dd,1H,J=4.4,8.3Hz)
7.10−7.30(m,5H)
【0054】
実施例22
Boc−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニンベンジルエステルの合成
Boc−L−フェニルアラニン132.9mg(0.501mmol)、L−フェニルアラニンベンジルエステル・p−トルエンスルホン酸塩224.6mg(0.525mmol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール135.4mg(1.002mmol)をDMF1.5ml に溶解し、氷冷化でトリエチルアミン 0.074ml(0.529mmol) 及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩124.6mg(0.650mmol)を加え2時間撹拌後、室温でさらに19時間撹拌した。反応終了後、反応液を酢酸エチル15mlで希釈したのち、4%炭酸水素ナトリウム水溶液、10%クエン酸水溶液および飽和食塩水各10mlで順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、粗体の結晶を得た。次いで、この白色固体をカラムクロマトグラフィー精製(セファデックスLH−20、メタノール展開)することで、Boc−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニンベンジルエステル251.2mg を得た。収率99.8%。
【0055】
融点 127°C
[α]23/D+8.8°(c1.0,クロロホルム)
FAB−MS m/z 503(M+H)+
1H−NMR(CDCl3 )
δ:1.39 (s,9H)
2.94−3.10(m,4H)
4.31 (m,1H)
4.81 (dt,1H,J=6.4,6.8Hz)
4.93 (br s,1H)
5.09 (s,2H)
6.27 (d,1H,J=6.8Hz)
6.89 (m,2H)
7.10−7.40(m,13H)
【0056】
実施例23
Z−AHCA−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニンベンジルエステルの合成
Boc−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニンベンジルエステル250.2mg(0.498mmol)にトリフルオロ酢酸 2mlを加え、室温で40分間撹拌後、溶媒留去し、さらにトルエン 2mlを加えて溶媒留去する操作を2回行うことで白色固体のL−フェニルアラニル−L−フェニルアラニンベンジルエステル・トリフルオロ酢酸塩を得た。この塩にZ−AHCAL175.4mg(0.523mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール135.1mg(1.000mmol)及びDMF 2.0mlを加えて溶解し、氷冷下でトリエチルアミン0.074ml(0.529mmol)及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩124.1mg(0.647mmol)を加え2時間撹拌後、室温でさらに17時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を酢酸エチル20mlで希釈し、4%炭酸水素ナトリウム水溶液、10%クエン酸水溶液10ml、飽和食塩水各15mlで順次洗浄した。油層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、白色固体の粗体を得た。この粗体をカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル、ヘキサン:酢酸エチル:メタノール(60:40:1〜60:40:2))することで、白色固体としてZ−AHCA−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニンベンジルエステル 316.9mgを得た。収率88.4%。次いで、この白色固体をクロロホルム−ヘキサン系で結晶化させた。
【0057】
融点 127〜128°C
[α]28/D−3.7°(c1.0,クロロホルム)
FAB−MS m/z 720(M+H)+
1H−NMR(CDCl3 )
δ:0.73−1.00(m,2H)
1.02−1.48(m,5H)
1.52−1.84(m,6H)
2.85−3.12(m,4H)
3.93 (m,1H)
3.98 (dd,1H,J=2.9,5.9Hz)
4.53 (br d,1H)
4.61 (br ddd,1H)
4.78 (br ddd,1H)
4.94−5.13(m,4H)
5.35 (d,1H,J=8.3Hz)
6.61 (br d,1H)
6.92 (m,2H)
7.05−7.39(m,19H)
【0058】
実施例24
AHCA−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニンの合成
Z−AHCA−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニンベンジルエステル316.5mg(0.440mmol)をメタノール−酢酸−水(6:2:1)溶液6mlに溶解し、Pd−ブラック触媒の存在下に、水素雰囲気下で24時間撹拌した。触媒を濾別後、濾液を溶媒留去することで得られた粗体をカラムクロマトグラフィー精製(セファデックスLH−20、5%酢酸−メタノール展開することで、AHCA−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニン217.0mg を得た。収率99.6%。
【0059】
FAB−MS m/z 496(M+H)+
1H−NMR(CD3 OD)
δ:0.77−1.00(m,2H)
1.13−1.40(m,5H)
1.48 (m,1H)
1.60−1.79(m,5H)
2.96 (dd,1H,J=9.6,13.4Hz)
3.03 (dd,1H,J=6.4,13.4Hz)
3.16 (dd,1H,J=4.8,13.4Hz)
3.21 (dd,1H,J=4.8,13.4Hz)
4.42 (ddd,1H,J=3.4,7.0,7.0Hz)
4.10 (d,1H,J=3.4Hz)
4.45 (dd,1H,J=4.8,6.4Hz)
4.53 (dd,1H,J=4.8,9.6Hz)
7.10−7.32(m,10H)
【0060】
実施例25
Z−EtAhpの合成
EtAhp・トリフルオロ酢酸塩5.99mmol相当にS−ベンジルオキシカルボニル−4,6−ジメチル−2−チオピリミジン1.97g(7.18mmol) 、水 6.0ml、ジオキサン 6.0ml及びトリエチルアミン2.10ml(15.0mmol)を加え、室温で24時間撹拌した。次いで、水40mlを加えて反応混合物を希釈したのち、1N塩酸14mlを加えpH 2に調整し、酢酸エチル20mlで3回抽出した。油層を1N塩酸30mlで2回及び飽和食塩水30mlで1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、粗Z−EtAhpを得た。この粗体をカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル、クロロホルム:メタノール:酢酸=96:3:1)することで、Z−EtAhp1.18g を得た。収率73.7%。
FAB−MS m/z 268(M+H)+。
【0061】
実施例26
Z−EtAhp−L−アルギニル(Z2)−L−フェニルアラニンベンジルエステルの合成
Boc−L−アルギニル(Z2)−L−フェニルアラニンベンジルエステル239.1mg(0.307mmol)にトリフルオロ酢酸 2mlを加え、室温で1時間撹拌後、溶媒留去し、さらにトルエン 2mlを加えて溶媒留去する操作を3回行うことでL−アルギニル(Z2)−L−フェニルアラニンベンジルエステル・トリフルオロ酢酸塩を得た。この塩にZ−EtAhp86.2mg(0.323mmol) 、Bop試薬142.7mg(0.323mmol)及びクロロホルム 3.0mlを加えて溶解し、トリエチルアミン0.129ml(0.921mmol)を加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物より溶媒留去した後、酢酸エチル15mlで希釈し、4%炭酸水素ナトリウム水溶液、10%クエン酸水溶液及び飽和食塩水各10mlで順次洗浄した。油層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去することで、油状の粗体を得た。この粗体をカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル、ヘキサン:酢酸エチル:メタノール(50:50:1))することで、アモルファス状の固体192.9mg を得た。収率67.7%。この固体の一部を物性測定用にさらにカラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル、クロロホルム:アセトニトリル(100 :1〜10:1))することで、Z−EtAhp−L−アルギニル(Z2)−L−フェニルアラニンベンジルエステルを得た。
【0062】
FAB−MS m/z 929(M+H)+
1H−NMR(CDCl3 )
δ:0.88 (t,3H,J=7.3Hz)
1.30−1.95 (m,6H)
2.95 (dd,1H,J=7.3,13.9Hz)
3.07 (dd,1H,J=5.9,13.9Hz)
3.74 (m,1H)
3.79−3.98 (m,3H)
4.09 (br,1H)
4.45 (br ddd,1H)
4.76 (br ddd,1H)
4.88−5.16 (m,6H)
5.19,5.21 (ABq,2H,J=12.2Hz)
5.37 (d,1H,J=9.3Hz)
6.91−ca.7.41(m,26H,overlapping)
7.42 (d,1H,J=8.3Hz)
9.28 (br s,1H)
9.40 (br s,1H)
【0063】
実施例27
EtAhp−L−アルギニル−L−フェニルアラニンの合成
Z−EtAhp−L−アルギニル(Z2)−L−フェニルアラニンベンジルエステル84.9mg(0.440mmol) をメタノール−酢酸−水(7:2:1)溶液10mlに溶解し、Pd−ブラック触媒の存在下に、水素雰囲気中で24時間撹拌した。触媒を濾別後、濾液を溶媒留去することで、EtAhp−L−アルギニル−L−フェニルアラニン・酢酸塩49.5mgを得た。収率100%(但し1.75酢酸塩として)。
【0064】
FAB−MS m/z 437(M−酢酸+1)+
1H−NMR(CD3 OD)
δ:1.04 (t,3H,J=7.3Hz)
1.46−ca.1.87(m,6H,overlapping)
2.95 (dd,1H,J=8.3,13.7Hz)
3.03−ca.3.17(m,2H,overlapping)
3.22 (dd,1H,J=4.0,13.7Hz)
3.37 (m,1H)
4.22 (br s)
4.32 (t,1H,J=6.4Hz)
4.48 (m,1H)
7.07−7.30 (m,5H)
但しδ1.95に酢酸由来のシングレットピークあり。
【0065】
試験例
抗アミノペプチダーゼN活性は、J. Antibiotics,38,1629〜1630 (1985)に記載の方法の改良法で行った。即ち、2mMのL−ロイシン−β−ナフチルアミド0.05ml、0.1 Mのトリス−塩酸緩衝液(pH7.0 )0.1ml 、検体を含む溶液0.035ml を加えた混合溶液を37℃で、3分間加温した後、アミノペプチダーゼN(ベーリンガ・マンハイム社製)溶液0.015ml を加え、37℃で1時間反応させた。10%ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(和光純薬工業製)および0.2 %ファーストガーネットGBC 塩(Sigma Chemical Company) を含む0.5 Mクエン酸ナトリウム緩衝液(pH3.78)を加えて反応を停止し、525nm における吸光度(a) を測定した。同時に検体を含まない緩衝液のみを用いた盲検の吸光度(b) を測定し、アミノペプチダーゼN(AP−N)阻害率を[(b-a)/b]×100 の式により計算した。50%阻害率を示す検体の濃度をIC50の値とした。
抗ロイシンアミノペプチダーゼ(Leu−AP)及び抗アミノペプチダーゼA(AP−A)阻害活性はAoyagiらの方法[J. Antibiotics,31,636 (1978)]、抗アミノペプチダーゼB(AP−B)阻害活性はUmezawa らの方法[J. Antibiotics,29,97(1976)]によって行った。結果を表4に示す。
表4の結果から明らかなように、本発明化合物は、特にアミノペプチダーゼNに対して優れた阻害活性を示す。
【0066】
【表4】
Claims (2)
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