JP3917651B2 - 粘着チャック装置 - Google Patents
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Description
詳しくは、基板を保持板に対し、粘着で着脱自在に保持する粘着チャック装置に関する。
そこで、これらの問題を解決するため、基板の保持に粘着材を使用した粘着チャック装置がある。
このような粘着チャック装置の一例として、一対のローラに亘り巻き取り自在に張られた粘着シートに対し、上基板を貼り付け保持した後、上基板と下基板の貼り合わせを行ない、その後、複数のモータの駆動で、スピンドルを回転させて粘着シートを巻き取ると同時に、その巻き取り速度と同期した速さで同巻き取り方向へ該スピンドル及び一方のローラを水平移動させることにより、上基板の上面から粘着シートを徐々に剥がすものがある(例えば、特許文献1参照)。
そして、上述したスピンドルによる粘着シートの巻き取りに代えて、両基板を貼り合わせてセルができた後に、複数のアクチュエータの駆動で、カッタ台及びカッタベースを複数のアクチュエータによりカッタの刃の下端位置まで上昇させてから、粘着シートの幅方向へカッタを移動させることにより、上基板が貼り付いている粘着シートを切断し、この粘着シートが付いたままセルを取り出し、適宜な時点でセルから粘着シートを剥ぎ取るようにしている。
更に他の例として、上方の加圧板に開孔を複数設け、これら開孔内にアクチュエータを夫々備え、各アクチュエータから下方に向かって伸びた軸の先端に粘着部材が貼着され、上記アクチュエータの動作により開孔内で粘着部材を下降させ、粘着部材の下面が上基板と接触すると、その粘着作用で加圧板の下面に密着した形で保持され、また基板の貼り合わせ後に上基板から粘着材を剥がす時は、アクチュエータにより開孔内で粘着部材を上昇させると、開孔の周縁部が上基板の移動を阻止して粘着部材から上基板を引き離すものがある(例えば、特許文献2参照)。
また、上方の加圧板に開口を複数設け、これら開口内に回転用アクチュエータと上下駆動用アクチュエータを夫々備え、夫々の回転用アクチュエータから下方に向かって伸びた回転軸の先端に粘着部材が取り付けられ、上下駆動用アクチュエータの動作により開口内で各粘着部材を下降させ、これら粘着部材と吸引吸着で上基板を保持して、位置決めしながら貼り合わせを行い、粘着部材を加圧板内に退行させる時は、粘着部材を基板面に対して回転用アクチュエータにより捻りながら、又は捻ってから上下駆動用アクチュエータにより退行させて、粘着部材を上基板から剥がすものがある(例えば、特許文献3参照)。
また、特許文献2の場合には、加圧板の開孔内で粘着部材を上昇させるために複数のアクチュエータが各粘着部材毎に夫々必要になり、特許文献3の場合には、粘着部材を捻りながら退行させるための回転用アクチュエータ及び上下駆動用アクチュエータが各粘着部材毎に夫々必要に必要になって構造が複雑化するという問題があった。
従って、特許文献1〜3は、特に剥離構造が複雑であるため、故障の発生率が高いだけでなく、特に基板貼り合わせ機を含む基板組立装置や基板搬送装置などに配備する場合には、既設の静電チャックなどの基板保持機構を本発明の粘着チャック装置へ置き換えることが困難であるという問題があった。
更に、上記アクチュエータが例えばモータのような電磁気的な電動機である場合には発熱し易く、例えばガラス製の基板は熱変化に敏感で1℃変化しただけでも約4μmm程度は伸び縮みしてしまい、このような発熱による影響で基板同士を正確に位置合わせするのは困難であるという問題があった。
更にまた、大気圧から所定の真空度へ至る雰囲気中で粘着して保持させると共に該粘着を剥離して開放させる場合には、大気圧から所定の真空度まで変化するが、モータのような電磁気的なアクチュエータを使用すると、真空中のあるタイミングでプラズマ放電を引き起こす恐れがあって、ガラス基板へのダメージにつながるという問題もあった。
なお、上記アクチュエータがエアシリンダのような駆動源であったとしても、それ自体のみで伸縮動作が可能な密封構造であるため、コンパクト化が困難であり、そのために装置全体が大型化して製造コストのアップになるという問題があった。
ところで、特に大型の基板はたわみ変形が発生し易く、このような変形し易い基板を確実に粘着保持して剥離開放するには、基板に対し粘着部材を強い力で接触させるか又は離す必要があるが、このような強い力を得るにはアクチュエータを大型化しなければならず、それにより重くなるという問題もあった。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明の目的に加えて、簡単な構造の空圧機構で基板を確実に粘着・剥離するために必要な力を得ることを目的としたものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の発明の目的に加えて、吸引用配管系や吸引制御を容易に実現しながら基板を確実に保持することを目的としたものである。
請求項4記載の発明は、請求項2または3に記載の発明の目的に加えて、剛体部の往復動を安定させて基板との粘着性能及び剥離性能の向上を図ることを目的としたものである。
請求項5記載の発明は、請求項4に記載の発明の目的に加えて、二次側空間の圧力変化と関係なく基板を粘着保持及び剥離開放することを目的としたものである。
請求項6記載の発明は、請求項1、2、3、4または5に記載の発明の目的に加えて、可動膜自体を大型化しなくとも粘着・剥離を確実に行うためのストロークを確保することを目的としたものである。
請求項7記載の発明は、請求項1、2、3、4、5または6に記載の発明の目的に加えて、空圧機構の圧力制御を容易にすることを目的としたものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に、前記可動膜の一部に剛体部を基板と対向して設け、この可動膜の往復動で該剛体部の先端面を保持板の開口部から出没させて基板と当接した構成を加えたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の構成に、前記可動膜の往復動方向へ貫通する通気路を基板と対向して開設し、この通気路から基板を吸引吸着した構成を加えたことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の発明の構成に、前記可動膜に、剛体部と一体化されたシリンダー部を設け、基板側面に開設された開口部内に、該シリンダー部と対向する隔壁を設け、この隔壁に対しシリンダー部を往復動自在に挿通して軸受けした構成を加えたことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成に、前記開口部内に、相互に離れた2枚の可動膜を設けて、これら可動膜にシリンダー部を挿着して、両可動膜の間に第1空圧室と第2空圧室を別々に区画形成し、該第1空圧室と第2空圧室の圧力差で両可動膜を同時に変形して往復動させた構成を加えたことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1、2、3、4または5記載の発明の構成に、前記可動膜が保持板の基板側面と交差する方向へ変形可能なベローズからなる構成を加えたことを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1、2、3、4、5または6記載の発明の構成に、前記可動膜と連係する付勢部材を設け、この付勢部材で該可動膜をその往復動のどちらか一方へ向けて付勢した構成を加えたことを特徴とする。
従って、簡単な構造の空圧機構で基板を確実に着脱することができる。
その結果、粘着部材と基板とを剥がすためにモータやアクチュエータなどの駆動源が多く必要な従来のものに比べ、特に剥離構造が簡単であるため、故障の発生率を著しく低下でき、特に基板貼り合わせ機を含む基板組立装置や基板搬送装置などに配備する場合には、既設の静電チャックなどの基板保持機構を本発明の粘着チャック装置へ容易に置き換えることができて、製造コストの大幅な低減化が図れる。
更に、静電吸着により基板を保持しないから、静電気を自発的に発生させないという利点もある。
また、電磁気的なアクチュエータの発熱による影響や放電のリスクを回避でき、安全で且つ正確な基板同士の位置合わせができると共に、コンパクト化及び軽量化が可能となって、装置全体を小型化できて製造コストの低減化も図れる。
また更に、大気圧から所定の真空度へ至る雰囲気中で粘着して保持させると共に該粘着を剥離して開放させる場合には、駆動源を空圧とすることで、大気圧から所定の真空度へ至る閉空間との構成的な共存を図ることができ、電磁気的なアクチュエータのように電源へ配線連絡する必要がある従来のものに比べ、真空な閉空間を貫通させる部材が減少して真空漏れなどの発生を防止できる。
従って、簡単な構造の空圧機構で基板を確実に粘着・剥離するために必要な力を得ることができる。
従って、吸引用配管系や吸引制御を容易に実現しながら基板を確実に保持することができる。
更に、吸着時の真空圧力を制御することにより、基板との粘着力の強弱を簡単に調整することができる。
従って、剛体部の往復動を安定させて基板との粘着性能及び剥離性能の向上を図ることができる。
従って、二次側空間の圧力変化と関係なく基板を粘着保持及び剥離開放することができる。
従って、可動膜自体を大型化しなくとも粘着・剥離を確実に行うためのストロークを確保することができる。
その結果、大型基板を粘着保持するために多数の粘着チャック装置を配備する必要がある場合に有効である。
従って、空圧機構の圧力制御を容易にすることができる。
更に、基板貼り合わせ機などように、低真空ポンプと高真空ポンプを連動させて所定の真空度まで到達させる場合には、一次側空間と二次側空間の圧力差に関係なく付勢部材の付勢力により基板の粘着保持状態を維持すれば、上記高真空ポンプを配管上で遮断した後に基板の剥離動作へ切り換え可能となって、それにより、空気漏れが発生しても高真空ポンプの破損を防止できる。
この基板貼り合わせ機は、図1〜図10に示す如く、上下に配置された保持板1,2の平行に対向する保持面1a,2aに二枚のガラス製基板A,Bを夫々保持させ、それらの周囲に区画形成された閉空間S内が所定の真空度(0.5Pa程度)に達してから、上下保持板1,2を相対的にXYθ方向(図面では水平方向)へ調整移動し、基板A,B同士の位置合わせが行われ、その後、上保持板1の保持面1aから上基板Aを強制的に剥離して下基板B上の環状接着剤(シール材)Cへ瞬間的に圧着することにより、両者間を封止して重ね合わせ、その後は、両基板A,Bの内外に生じる気圧差で両基板A,Bの間を所定のギャップまで加圧するものである。
詳しく説明すれば、図1、図3、図4、図7及び図10に示す如く、上下保持板1,2の基板側である保持面1a,2aのどちらか一方か又は両方に、開口部1bを略等間隔毎に複数開設し、これら開口部1b内に可動膜3を該保持面1a,2aと交差するZ方向へ変形自在に夫々設け、上記開口部1bの基板側開口縁か又は可動膜3の基板側表面に、上下基板A,Bの表面A1,B1と対向して粘着保持する粘着部材4を固定し、この可動膜3を挟んで形成される一次側空間5と二次側空間である閉空間Sとの圧力差により、該可動膜3を往復動させることで、粘着部材4の粘着表面と基板A,Bの一方又は両方とを当接させて粘着すると共に、これら両者を強制的に引き離すことで、粘着部材4の粘着表面から基板A,Bの一方又は両方が無理なく剥離されるようにしている。
以下、本発明の各実施例を図面に基づいて説明する。
また、図示例ではスペースの関係上、上基板Aの端部と対向して開口部1b及び可動膜3を2つしか配置していないが、上基板Aの大きさに対応してそれを吊り下げることが可能な数だけ配置されている。
そして、この可動膜3を挟んでその一次側(背後)に区画形成される空圧室5と、二次側に区画形成される閉空間Sとの圧力差により、Z方向へ弾性変形させて往復動させる。
図示例の如く、可動膜3の上下方向への弾性変形を阻害しないように上基板Aへ向け外径が徐々に大径となる断面台形状に形成して、その先端面を各開口部1bの開口縁近くまで拡開させることが好ましい。
また図示例の如く、反対側の固着裏面4bを、各開口部1bの開口縁に対し直接的に粘着して固定するか、或いは各開口部1bに対して着脱自在な固定部品(図示せず)に粘着して固定する。
この点において、上述の如く、着脱自在な固定部品に固着裏面4bを粘着して粘着部材4を固定すれば、粘着表面4aの粘着力の減衰に応じて、固定部品単位で簡単に交換可能である。
先ず、図1(a)の実線に示す如く、上下保持板1,2が上下方向へ離れた初期状態で、上保持板1の保持面1aに上基板Aをセットするが、この時は剛体部3aを上動して保持板1の開口部1b内に待機させておく。
なお、図示せぬが一次側空間(空圧室)5の内圧と二次側空間(閉空間)Sの圧力とを等しくして可動膜3を変形せず略水平なフラット状態にすることで、剛体部3aの先端面が保持面1a及び粘着部材4の粘着表面4aと略同じ高さ位置に待機するか、又はそれより若干上方に待機するようにしても良い。
なお、この際、二次側空間(閉空間)Sは所定の真空度に達しているため、この時点における一次側空間(空圧室)5への気体の供給量は少なくて良い。
この際、上基板Aと粘着部材4との間に発生する粘着力は両者の接触面積に比例するため、上述した押し付け圧力の増減により、上基板Aの表面A1に対し粘着部材4の粘着表面4aが弾性変形して接触面積が増減する構造にすれば、更に粘着力の強弱をより明確に調整できる。
この際、上基板Aと粘着部材4との間に発生する粘着力は両者の接触面積に比例するため、上述した真空吸着力の増減により、上基板Aの表面A1に対し粘着部材4の粘着表面4aが弾性変形して接触面積が増減する構造にすれば、更に粘着力の強弱をより明確に調整できる。
それ以外の例としては、図5に示す如く、粘着部材4の形状を剛体部3aの先端面の外周が部分的に覆われる環状に形成したり、また図6に示す如く、粘着部材4の形状を、固着裏面4bが剛体部3aの先端面全体を覆うと共に、粘着表面4a側へ向かって徐々に表面積が減少するように断面台形状に形成することも可能である。
なお、上述した実施例3と同様に、実施例1及び実施例2においても、上基板Aの大きさや重量に合わせて最適な粘着力が得られるように、粘着表面4aの表面積が異なる複数種類の粘着部材4を用意して交換できようにしても良い。
図示例の場合には、シリンダー部7の外周に隔壁8と係合するストッパー7cを設けて、シリンダー部7の移動量を規制している。
特に、図示例の場合には、剛体部3aの先端面を開口部1b内に没入して粘着部材4を上基板Aから強制的に引き剥がすためのストロークを、可動膜3の径寸法が小型であっても確保できる。
それにより、この高真空雰囲気で、基板Aの剥離動作に切り換える際に、例えば可動膜3に孔が開くなど空気漏れが発生して真空度が一気に低下しても高真空ポンプが破損することはないという利点もある。
更に、真空中で基板A,Bを貼り合わせる基板貼り合わせ機を説明したが、これに限定されず、大気中で基板A,Bを貼り合わせる基板貼り合わせ機でも良く、この場合でも、上述した真空貼り合わせ機と同じ作用効果が得られる。
B 基板(下基板) B1 表面
C 環状接着剤 S 二次側空間(閉空間)
1 上保持板(上定盤) 1a 保持面
1b 開口部 1c 挟持部材
1d 円筒体 1e 通路
1f バネ受け部 2 下保持板(下定盤)
2a 保持面 3 可動膜
3a 剛体部 3b 係合部
3c,3d 可動膜 3e 蛇腹部
3f 密閉室 4 粘着部材
4a 粘着表面 4b 固着裏面
5 一次側空間(空圧室) 5a 第1空圧室
5b 第2空圧室 6 真空吸着手段
6a 通気路 6b 給気源
7 シリンダー部 7a 第1通路
7b 第2通路 7c ストッパー
7d バネ受け部 8 隔壁
9 付勢部材
Claims (6)
- 基板を保持板に対し、粘着で着脱自在に保持する粘着チャック装置において、
前記保持板の基板側に、この基板側面に開設した開口部内で該基板側面と交差する方向へ変形可能な可動膜と、この可動膜の一部にその先端面が基板と平行に対向するように配置される剛体部と、この剛体部の先端面に配置される粘着部材とを設け、上記可動膜の一次側空間と二次側空間の圧力差による該可動膜の往復動で、上記剛体部の先端面及び粘着部材を保持板の開口部から出没させ、その粘着表面を基板と平行に当接させて粘着保持すると共に、これら両者を強制的に引き離して剥離することを特徴とする粘着チャック装置。 - 前記可動膜の往復動方向へ貫通する通気路を基板と対向して開設し、この通気路から基板を吸引吸着した請求項1記載の粘着チャック装置。
- 前記可動膜に、剛体部と一体化されたシリンダー部を設け、基板側面に開設された開口部内に、該シリンダー部と対向する隔壁を設け、この隔壁に対しシリンダー部を往復動自在に挿通して軸受けした請求項3記載の粘着チャック装置。
- 前記開口部内に、相互に離れた2枚の可動膜を設け、これら可動膜にシリンダー部を挿着して、両可動膜の間に第1空圧室と第2空圧室を別々に区画形成し、該第1空圧室と第2空圧室の圧力差で両可動膜を同時に変形して往復動させた請求項4記載の粘着チャック装置。
- 前記可動膜が保持板の基板側面と交差する方向へ変形可能なベローズからなる請求項1、3、4または5記載の粘着チャック装置。
- 前記可動膜と連係する付勢部材を設け、この付勢部材で該可動膜をその往復動のどちらか一方へ向けて付勢した請求項1、3、4、5または6記載の粘着チャック装置。
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