JP3917445B2 - プレーナ型アクチュエータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレーナ型アクチュエータ及びその製造方法に関し、特に、半導体製造技術を応用したマイクロマシニング技術で製造する2次元走査型のプレーナ型アクチュエータ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のプレーナ型アクチュエータは、レーザ光等の光ビームの偏向走査等に利用され、電磁力を利用する電磁型や静電力を利用する静電型等がある。
以下に、電磁型のアクチュエータの例を説明する。
プレーナ型電磁アクチュエータとしては、本出願人により先に提案された例えば特許公報第2722314号に記載されたものがあり、図11にその構成を示し説明する。
【0003】
この2次元走査型のプレーナ型電磁アクチュエータは、シリコン基板の固定部1に外側トーションバー2で枠状の外側可動板3を揺動可能に軸支し、外側可動板3に外側トーションバー2と軸方向が直交する内側トーションバー4で揺動可能に平板状の内側可動板5を軸支する。これら固定部1、外側及び内側トーションバー2,4及び外側及び内側可動板3,5は、半導体基板で一体に形成する。外側可動板3には、通電により磁界を発生する駆動コイル6(図では模式的に1本線で示す)を形成し、駆動コイル6は、固定部1に形成した一対の外側電極端子7A,7Aに外側トーションバー2の一方を介して電気的に接続する。内側可動板5には、中央部に反射ミラー8を形成し、その周縁部に通電により磁界を発生する駆動コイル9(図では模式的に1本線で示す)を形成する。駆動コイル9は、内側トーションバー4の一方から外側可動板3部分を通り、外側トーションバー2の他方側を介して固定部1の一対の内側電極端子10A,10Bに電気的に接続する。更に、互いに対をなす静磁界発生手段(例えば永久磁石)を、外側及び内側トーションバー2,4の軸方向とそれぞれ平行な各可動板3,5の対辺の駆動コイル部分に静磁界が作用するよう可動板周囲に設ける。図11の例では、一対の永久磁石11A,11B〜14A,14Bを、固定部1の上下に陽極接合する、例えばガラス等からなる上側絶縁基板15及び下側絶縁基板16に、静磁界が駆動コイル6,9を可動板と平行な方向に横切るよう上下に位置をずらすようにして配置してある。
【0004】
かかる構成の電磁アクチュエータは、駆動コイル6,9に電流を流すことにより発生する磁界と、永久磁石11A,11B〜14A,14Bの作る静磁界との相互作用により可動板3,5を駆動する。
即ち、可動板3,5の両側では、永久磁石11A,11B〜14A,14Bによって可動板3,5の平面に沿って駆動コイル6,9を横切るような方向に静磁界を形成する。この静磁界中の駆動コイル6,9に電流を流すと、可動板3,5の両端に、電流・磁束密度・力のフレミングの左手の法則に従った方向に電磁力が作用して可動板3,5が回動する。可動板3,5が回動するとトーションバー2,4が捩じられてばね反力が発生し、電磁力とばね反力が釣り合う位置まで可動板3,5が回動する。可動板3,5の回動角は駆動コイル6,9に流れる電流に比例し、電流を制御することで可動板3,5の回動角を制御できる。そして、駆動コイル6,9に流す交流電流の周波数を、トーションバー2,4の材質、形状等で規定される共振周波数と同じ周波数とすることにより、その電流値における最大の回動角が得られる。これにより、反射ミラー8に入射するレーザ光等の光の反射方向を自由に制御でき、可動板3,5を連続的に反復動作させることで、レーザ光のスキャニング等、光の走査が可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、レーザ光等の光を2次元走査してレーザレーダ等の物体検知や絵や文字等の画像表示を行うには、ラスタ走査で行うのが一般的であり、この場合、水平走査と垂直走査の周波数比は大きい方がよい。しかしながら、上述した従来のプレーナ型アクチュエータは、外側と内側のトーションバー2,4が同一の材料(半導体基板材料と同じシリコン)で形成されているため、断面形状等を異ならせたとしてもその剛性を大きく変化させることが難しい。このため、外側可動板3と内側可動板5の共振周波数比を大きくとれず、ラスタ走査しようとすると走査軌跡がリサージュ曲線になってしまう。そのため、従来のプレーナ型アクチュエータで物体検知や画像表示を行おうとすると、リサージュ曲線を制御する必要があるが、リサージュ曲線はわずかな周波数の違いにより曲線形状が大きく変わるため制御が難しいという問題がある。
【0006】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、外側可動板と内側可動板の共振周波数比を大きくでき、光の偏向走査等に利用する場合にラスタ走査を可能とするプレーナ型アクチュエータ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明は、固定部に外側トーションバーで揺動可能に軸支した枠状の外側可動板と、該外側可動板に前記外側トーションバーと軸方向が直交する内側トーションバーで揺動可能に軸支した内側可動板と、前記各可動板を駆動する駆動手段とを備えたアクチュエータにおいて、前記外側トーションバーと内側トーションバーを剛性の異なる材料で形成し、剛性の低い材料で形成したトーションバー側に、軸ずれ防止用補強材として当該トーションバー形成材料より剛性の高い材料を設けることを特徴とする。
【0008】
かかる構成では、外側可動板と内側可動板の共振周波数比を大きくすることが可能となるので、光走査用のアクチュエータに適用した場合にラスタ走査が容易に可能となる。また、剛性の低いトーションバー側の軸ずれを抑制でき、このトーションバーで軸支される可動板の揺動動作が安定するようになる。
前記駆動手段は、具体的には請求項2のように、前記各可動板にそれぞれ設けた駆動コイルと、前記各駆動コイルに静磁界を作用する静磁界発生手段とを備え、前記各駆動コイルに電流を流すことにより発生する電磁力により前記各可動板をそれぞれ駆動する構成とするとよい。
【0009】
請求項3のように、前記外側トーションバーと内側トーションバーのいずれか一方を、剛性を決定する主材料としてシリコンを用いて形成し、他方を、剛性を決定する主材料として前記シリコンより剛性の低い材料を用いて形成する構成とするとよい。また、請求項5のように、シリコンの代わりに、当該シリコンより剛性の高い弾性材料、例えば窒化ケイ素、アルミナ、窒化アルミ及びジルコニア等を用いる構成としてもよい。
【0010】
請求項4のように、前記シリコンを主材料とするトーションバー側の少なくとも上面に、耐衝撃性の高い材料で形成した保護層を設けるとよい。また、請求項6のように、前記シリコンより剛性の高い弾性材料を主材料とするトーションバー側の少なくとも上面に、耐衝撃性の高い材料で形成した保護層を設ける構成とするとよい。保護層としては、具体的には請求項のように、ポリイミドを用いればよい。
【0011】
かかる構成では、剛性の高い材料を主材料とするトーションバー側の耐衝撃性が向上するようになり、脆性破壊等に対する強度が向上するようになる。
請求項7の発明では、前記シリコンより剛性の低い材料を弾性材料、例えばポリイミド、ポリプロピレン、弗化樹脂等のような有機材料とするとよい。
【0012】
記軸ずれ防止用補強材としては、請求項のように、シリコン、窒化ケイ素、アルミナ、窒化アルミ及びジルコニア等を用いるようにするとよい。
請求項10の発明では、前記外側トーションバーと内側トーションバーのいずれか一方を、剛性を決定する主材料としてシリコンを用いて形成し、他方を、剛性を決定する主材料として前記シリコンより剛性の高い弾性材料を用いて形成する構成とした。
【0013】
具体的には請求項11のように、前記シリコンより剛性の高い弾性材料が、窒化ケイ素、アルミナ、窒化アルミ及びジルコニア等のうちいずれか1つである。
また、請求項12のように、前記両トーションバーの少なくとも上面に、耐衝撃性の高い材料で形成した保護層、例えば請求項13のようにポリイミドからなる保護層を設けるとよい。
【0014】
かかる構成では、各トーションバーの耐衝撃性が向上するようになり、脆性破壊等に対する強度が向上するようになる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明に係るプレーナ型アクチュエータの第1実施形態の参考例の要部平面図を示す。
図1において、本参考例のプレーナ型電磁アクチュエータ20は、シリコン基板の固定部21に外側トーションバー22で枠状の外側可動板23を揺動可能に軸支し、外側可動板23に外側トーションバー22と軸方向が直交する内側トーションバー24で揺動可能に平板状の内側可動板25を軸支する。外側可動板23には、通電により磁界を発生する外側駆動コイル26(図1では点線で模式的に1本線で示す)を形成し、外側駆動コイル26は、固定部21に形成した一対の外側電極端子27A,27Aに外側トーションバー22の一方を介して電気的に接続する。内側可動板25には、表面周縁部に通電により磁界を発生する内側駆動コイル29(図1では点線で模式的に1本線で示す)を形成し、裏面全面にアルミニウムや金等の薄膜からなる反射ミラー28(図4()に示す)を形成する。内側駆動コイル29は、内側トーションバー24の一方から外側可動板23部分を通り、外側トーションバー22の他方側を介して固定部21の一対の内側電極端子30A,30に電気的に接続する。尚、図示を省略するが、外側及び内側トーションバー22,24の軸方向とそれぞれ平行な各可動板23,25の対辺の駆動コイル部分に静磁界作用する静磁界発生手段として例えば図11に示す永久磁石11A,11B〜14A,14Bを、従来同様に可動板23,25の周囲に配置してある。尚、反射ミラー28は、従来と同様に内側可動板25の表面側に形成してもよいことは言うまでもない。
【0018】
参考例の電磁アクチュエータ20は、外側トーションバー22と内側トーションバー24を、剛性の異なる材料で形成してある。例えば内側トーションバー24は、剛性が高く共振周波数の高い材料、例えば半導体基板と同じシリコンで形成し、外側トーションバー22は、剛性が低く共振周波数の低い弾性材料として例えばポリイミドで形成してある。尚、前記剛性が低く共振周波数の低い弾性材料としては、有機材料が好ましく、有機材料のうち前記ポリイミドの他には、ポリプロピレン、弗化樹脂等が好ましい。また、トーションバー部分に駆動コイル部分を配線するので、前記弾性材料は絶縁性を有することが望ましい。
【0019】
図2の(A)に外側トーションバー22の断面状態を示し、(B)に内側トーションバー24の断面状態を示す。尚、図2(A)では、後述する製造工程において残存する酸化膜(SiO2)は図示を省略する。
かかる構成の電磁アクチュエータ20によれば、外側可動板23を低い共振周波数で駆動し、内側可動板25を高い共振周波数で駆動することが可能となり、外側可動板23と内側可動板25の共振周波数比が大きくとれる。従って、外側可動板23と内側可動板25を駆動制御してレーザ光のラスタ走査が容易に可能となり、レーザ光等を利用した物体検知や画像表示のための光走査装置に好適な電磁アクチュエータが提供できる。また、ポリイミドは剛性が低く、小さい力で所定の位置に可動板を停止させることが可能であるので、外側可動板23をステップ的に回動動作させることが可能となり、レーザ光の水平走査が可能となる。また、ポリイミドは耐衝撃性が良好であり、外側トーションバー22の脆性破壊等に対する耐久性を向上できる。また、内側可動板25が、内側トーションバー24と一体に剛性の高いシリコンで形成されているので、反り等の変形を抑制できる。
【0020】
次に、上記参考例のプレーナ型電磁アクチュエータの製造工程を、図3及び図4の概略図を参照しながら説明する。尚、図3及び図4の図は、図1のA−O−Bに沿った断面を示す。
例えば厚さ400μmのシリコン基板101の上下面を熱酸化して厚さ1μmの酸化膜(SiO2)102を形成する(a工程)。
【0021】
次に、シリコン基板101表面側の酸化膜102上にスパッタリングによりアルミニウム薄膜を2μmの厚さで形成し、駆動コイル26,29、固定部21上に形成する電極端子27A,27、30A,30、所定のトーションバー部分に形成する配線部分(図示せず)及びコンタクト部にそれぞれ相当する部分を、ポジ型レジストでマスクし、アルミニウム薄膜をエッチングした後、ポジ型レジストを除去する。これにより、電極端子27A,27、30A,30に相当するアルミニウム層(図示せず)、1層目の駆動コイル26,29にそれぞれ相当するアルミニウム層103a,104a、駆動コイル26,29と電極端子27A,27、30A,30とを接続する配線部分、1層目のコンタクト部105aが形成される。尚、図示しないが外側駆動コイル26のコンタクト部も外側可動板23に相当する部位に形成される(工程b)。
【0022】
次に、感光性ポリイミドを2μmの厚さで塗布し、1層目のアルミニウム層103a,104aと外側トーションバーに相当する部分をマスクした後、ポリイミドを除去する。これにより、1層目のアルミニウム層103a,104aを厚さ2μmのポリイミドの絶縁層106で覆うと共に、シリコンと剛性の異なる材料(ポリイミド)からなる外側トーションバー22のポリイミド層107aを形成する。(工程c)。
【0023】
次に、工程bと同様に、シリコン基板101表面側にスパッタリングによりアルミニウム薄膜を2μmの厚さで形成し、駆動コイル26,29、電極端子27A,27、30A,30及びコンタクト部にそれぞれ相当する部分を、ポジ型レジストでマスクし、アルミニウム薄膜をエッチングした後、ポジ型レジストを除去する。これにより、2層目の駆動コイル26,29に相当するアルミニウム層103b,104bが形成される。また、コンタクト部105aと接続する2層目のコンタクト部105bが形成され、このコンタクト部105で内側駆動コイル29の1層目と2層目のアルミニウム層104a,104bが電気的に接続して駆動コイル29が形成される。また、図示しない固定部21上の電極端子27A,27、30A,30の厚さが厚くなる。尚、図示しないが、外側駆動コイル26のコンタクト部も同様に形成される(工程d)。
【0024】
次に、感光性ポリイミドを2μmの厚さで塗布し、2層目のアルミニウム層103b,104b、コンタクト部105及び外側トーションバーに相当する部分をマスクした後、ポリイミドを除去する。これにより、2層目のアルミニウム層及びコンタクト部105を厚さ2μmのポリイミドの絶縁層108で覆うと共に、外側トーションバー部分に2μmのポリイミド層107bを積層して外側トーションバー22部分を形成する。(工程e)。
【0025】
尚、この段階で、外側トーションバー22部分のポリイミド層の厚さが足りない場合は、更に、外側トーションバー22部分のみにポリイミド層を所定厚さとなるように形成する工程が追加される。
次に、ポジ型レジストで、シリコン基板101裏面側の外側トーションバー22、外側可動板と固定部間の貫通部及び外側可動板と内側可動板間の貫通部に相当する部分以外をマスクし、RIE(Reactive Ion Etching)装置等によるドライエッチングやフッ酸系のウエットエッチングにより酸化膜102をエッチングして除去する。そして、レジストと酸化膜をマスクとして、RIE装置やアルカリ性溶液(例えば水酸化カリウム)を用いてシリコン基板101裏面側を100μm(内側トーションバー24の厚さに相当する)エッチングした後、レジストを除去する(工程f)。
【0026】
次に、工程fと同様にして、ポジ型レジストで、シリコン基板101裏面側の外側トーションバー22、内側トーションバー24、貫通部、外側可動板23及び内側可動板25に相当する部分以外をマスクし、酸化膜102をエッチングして除去する。更に、レジストと酸化膜をマスクとして、シリコン基板101裏面側を貫通部が貫通するまで(約300μm)エッチングした後、レジストを除去する(工程g)。
【0027】
次に、シリコン基板101表裏両側の酸化膜102をエッチングにより除去する。これにより、貫通部が貫通し、固定部21、外側トーションバー22、内側トーションバー24、外側可動板23及び内側可動板25が形成される。その後、内側可動板25裏面にアルミニウムや金等の薄膜からなる反射ミラー28を形成する(工程h)。
【0028】
上記の参考例のように、外側トーションバー22をポリイミド単体で形成した場合、ポリイミドは剛性が低いため軸ずれが生じ易い。このため、本発明のプレーナ型アクチュエータの第1実施形態では、外側トーションバー22を、軸ずれ防止のために図5のように、主材料をポリイミド110として剛性の高い材料を補強材として設ける構成とした
図5(A)は、主材料のポリイミド110の下面に、補強材としてポリイミドより剛性の高いシリコン111を設ける構成である。図5(B)は、ポリイミド110の中心部にシリコン111を設ける構成である。図5(C)は、ポリイミド110の中間層にシリコン111を設ける構成である。図5(D)は、ポリイミド110の下面にシリコンより剛性の高い窒化ケイ素(SiN)112を設ける構成である。図5(E)は、ポリイミド110の中心部に窒化ケイ素112を設ける構成である。図5(F)は、ポリイミド110の中間層に窒化ケイ素112を設ける構成である。
【0029】
尚、図5(A)〜(F)に示す構成の外側トーションバー22の主材料はポリイミド110であり、その共振周波数は主材料のポリイミド110により支配されるので、ポリイミド単体の場合と同様に、外側可動板23を低い共振周波数で駆動できる。
図5のように剛性の高いシリコンや窒化ケイ素を補強材として設けることにより、ポリイミドを主材料として形成した外側トーションバー22の共振周波数を高めずに軸ずれを抑制でき、低い共振周波数で駆動する可動板の動作を安定化できる。尚、補強材として、アルミナ、窒化アルミ、ジルコニア等を用いてもよい。
【0030】
また、上記の第1実施形態では、内側トーションバー24をシリコン単体で形成したが、シリコンは剛性が高く衝撃等に弱いので、耐衝撃性向上のために図6に示すように、主材料のシリコンにポリイミドを保護層として設けるとよい。
図6(A)は、主材料のシリコン111の上面に保護層としてポリイミド110を設ける構成である。図6(B)は、シリコン111の周囲をポリイミド110で覆う構成である。図6(C)は、シリコン111の上下面に保護層としてポリイミド110を設ける構成である。
【0031】
図6のように耐衝撃性の良好なポリイミドを保護材として設けることにより、シリコンを主材料として形成した内側トーションバー24の耐衝撃性が向上し脆性破壊等による破損を抑制できる。尚、アクチュエータ形状は、図1と同様である。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。尚、アクチュエータ形状は図1の第1実施形態と同様であるので図示を省略し、以下の説明では図1を代用して説明する。
【0032】
第2実施形態の電磁アクチュエータは、高い共振周波数で駆動する内側可動板25を軸支する内側トーションバー24を、シリコンより剛性の高い弾性材料、例えば窒化ケイ素を設けて形成したものである。即ち、図7の断面状態に示すように、内側トーションバー24を、シリコン111表面側にシリコンより剛性が高く共振周波数の高い窒化ケイ素112を主材料として設けて形成する。尚、図7では、後述する製造工程において残存する酸化膜(SiO2)は図示を省略する。その他の構成及び形状は図1の第1実施形態と同様であるので説明を省略する
かかる構成の第2実施形態の電磁アクチュエータ20によれば、内側可動板25を、より一層高い共振周波数で駆動することが可能となり、外側可動板23と内側可動板25の共振周波数比が更に大きくとれる。従って、レーザ光のラスタ走査の際の走査線数の増大が可能となり、画像表示等に適用した場合に表示画像の精細度を高めることが可能となる。
【0033】
尚、シリコンより剛性の高い弾性材料としては、窒化ケイ素の他に、アルミナ、窒化アルミ、ジルコニア等が考えられる。また、前記弾性材料は絶縁性を有することが望ましい。
次に、上記第2実施形態のプレーナ型電磁アクチュエータの製造工程の参考例を、図8及び図9の概略図を参照しながら説明する。尚、図8及び図9の図は、図1のA−O−Bに沿った断面を示す。
【0034】
磁アクチュエータの製造工程は、シリコン基板101上下面の酸化膜(SiO2)102形成工程(a工程)の次に、窒化ケイ素の薄膜形成工程が追加されたこと以外は、前述の参考例の電磁アクチュエータの製造工程と同様である。
即ち、シリコン基板101上下面の酸化膜(SiO2)102形成工程(a工程)の次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により、酸化膜102表面に厚さ2μmの窒化ケイ素(SiN)の薄膜を形成し、ポジ型レジストで内側トーションバーに相当する部分をマスクし、窒化ケイ素薄膜をエッチングした後、レジストを除去する。これにより、内側トーションバー部分に窒化ケイ素112が形成される(b工程)。
【0035】
その後の工程c〜工程iは、図3及び図4に示す参考例の製造工程b〜工程hと同様であり、説明を省略する。
主材料を窒化ケイ素112とした内側トーションバー24の構成は、図7に限るものではなく、図10のような種々の構成が考えられる。図10(A)は窒化ケイ素112だけの構成である。(B)は窒化ケイ素112の上下にポリイミド110を設ける構成である。(C)は窒化ケイ素112の周囲をポリイミド110で覆う構成である。(D)は窒化ケイ素112の上面にポリイミド110を設ける構成である。これら図10(B)〜(D)の構成によれば、図6と同様に、耐衝撃性の良好なポリイミド110により、剛性の高い内側トーションバー24の耐衝撃性が向上し脆性破壊等による破損を抑制できる。(E)は窒化ケイ素112の上下にシリコン111を設ける構成であり、(F)は窒化ケイ素112の周囲をシリコン111で覆う構成であり、(G)は窒化ケイ素112の上面にシリコン111を設ける構成である。この場合、シリコン111は、厚さ20μm以下の薄膜とする。また、(H)のようにシリコン111の上下に窒化ケイ素112を設ける構成としてもよく、(I)のようにシリコン111の周囲に窒化ケイ素112を設ける構成としてもよい。
【0036】
外側トーションバー22については、第1実施形態と同様に、図5(A)〜(F)のような構成とすることで軸ずれを抑制できるようになる。
上述の各実施形態では、内側トーションバー24を剛性の高い材料で形成し、外側トーションバー22を剛性の低い材料で形成するようにしたが、逆に外側トーションバー22を剛性の高い材料で形成し、内側トーションバー24を剛性の低い材料で形成してもよいことは言うまでもない。
【0037】
また、高い共振周波数で駆動する側のトーションバーを図7や図10(A)〜(G)のような窒化ケイ素112等のシリコンより剛性の高い弾性材料を主材料とする構成とし、低い共振周波数で駆動する側のトーションバーを図2や図6のようなシリコン112を主材料とする構成としても、従来より共振周波数比を大きくとれるので、電磁アクチュエータによるラスタ走査は可能である。
【0038】
尚、特許公報第2722314号の図20に示されているように、薄膜磁石を可動板側に形成し、各駆動コイルを固定部21の所定位置に形成するように構成した電磁アクチュエータにおいて、外側トーションバーと内側トーションバーを、剛性の異なる材料で形成するようにしてもよいことは言うまでもない。
また、本発明が適用可能なアクチュエータは電磁型に限らない。内側可動板及び外側可動板の各トーションバー軸方向と平行な対辺部分にそれぞれ対称に一対の電極板を設け、これら可動板側電極板と対面させて固定電極板を設け、可動板側電極板と固定電極板間に電圧を印加して静電引力を発生して内側可動板及び外側可動板をそれぞれ駆動する静電型アクチュエータにも適用できることは言うまでもない。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、外側可動板を軸支する外側トーションバーと内側可動板を軸支する内側トーションバーを剛性の異なる材料で形成したので、両可動板を大きな共振周波数比で駆動することが可能となる。従って、レーザ光のラスタ走査が可能となり、レーザ光等を利用した物体検知や画像表示のための光走査装置に好適なアクチュエータが提供できる。更に、剛性の低いトーションバー側に剛性の高い軸ずれ防止用補強材を設けるので、剛性の低いトーションバーの軸ずれを抑制でき、低い共振周波数で駆動する可動板の動作を安定化できる。
【0040】
また、剛性の低い側のトーションバーをポリイミドで形成すれば、ポリイミドは剛性が低く小さい力で所定の位置に可動板を停止させることが可能であるので、可動板をステップ的に回動動作させることが可能で、レーザ光の水平走査が可能となり、物体検知や画像表示のための光走査装置により好適なアクチュエータが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアクチュエータの第1実施形態の参考例を示す要部の平面図
【図2】(A)外側トーションバーの断面状態図、(B)内側トーションバーの断面状態図
【図3】参考例の製造工程の説明図
【図4】図3に続く製造工程の説明図
【図5】本発明に係るアクチュエータの第1実施形態の外側トーションバー構成例を示す断面状態図
【図6】内側トーションバーの別の構成例を示す断面状態図
【図7】本発明の第2実施形態の内側トーションバーの断面状態図
【図8】第2実施形態の参考例の製造工程の説明図
【図9】図8に続く製造工程の説明図
【図10】内側トーションバーの別の構成例を示す断面状態図
【図11】電磁アクチュエータの基本構成の説明図
【符号の説明】
11A,11B〜14A,14B 永久磁石
20 電磁アクチュエータ
21 固定部
22 外側トーションバー
23 外側可動板
24 内側トーションバー
25 内側可動板
26 外側駆動コイル
27A,27 外側電極端子
28 反射ミラー
29 内側駆動コイル
30A,30 内側電極端子
110 ポリイミド
111 シリコン
112 窒化ケイ素

Claims (13)

  1. 固定部に外側トーションバーで揺動可能に軸支した枠状の外側可動板と、該外側可動板に前記外側トーションバーと軸方向が直交する内側トーションバーで揺動可能に軸支した内側可動板と、前記各可動板を駆動する駆動手段とを備えたアクチュエータにおいて、
    前記外側トーションバーと内側トーションバーを剛性の異なる材料で形成し、剛性の低い材料で形成したトーションバー側に、軸ずれ防止用補強材として当該トーションバー形成材料より剛性の高い材料を設けることを特徴とするプレーナ型アクチュエータ。
  2. 前記駆動手段は、前記各可動板にそれぞれ設けた駆動コイルと、前記各駆動コイルに静磁界を作用する静磁界発生手段とを備え、前記各駆動コイルに電流を流すことにより発生する電磁力により前記各可動板をそれぞれ駆動する構成である請求項1に記載のプレーナ型アクチュエータ。
  3. 前記外側トーションバーと内側トーションバーのいずれか一方を、剛性を決定する主材料としてシリコンを用いて形成し、他方を、剛性を決定する主材料として前記シリコンより剛性の低い材料を用いて形成する構成とした請求項1又は2に記載のプレーナ型アクチュエータ。
  4. 前記シリコンを主材料とするトーションバー側の少なくとも上面に、耐衝撃性の高い材料で形成した保護層を設けた請求項3に記載のプレーナ型アクチュエータ。
  5. 前記シリコンの代わりに、当該シリコンより剛性の高い弾性材料を用いる構成とした請求項3に記載のプレーナ型アクチュエータ。
  6. 前記弾性材料を主材料とするトーションバー側の少なくとも上面に、耐衝撃性の高い材料で形成した保護層を設けた請求項5に記載のプレーナ型アクチュエータ。
  7. 前記シリコンより剛性の低い材料が弾性材料である請求項3〜6のいずれか1つに記載のプレーナ型アクチュエータ。
  8. 前記軸ずれ防止用補強材が、シリコン、窒化ケイ素、アルミナ、窒化アルミ及びジルコニアのうちいずれか1つである請求項3〜7のいずれか1つに記載のプレーナ型アクチュエータ。
  9. 前記保護層がポリイミドからなる請求項4、6に記載のプレーナ型アクチュエータ。
  10. 前記外側トーションバーと内側トーションバーのいずれか一方を、剛性を決定する主材料としてシリコンを用いて形成し、他方を、剛性を決定する主材料として前記シリコンより剛性の高い弾性材料を用いて形成する構成とした請求項1又は2に記載のプレーナ型アクチュエータ。
  11. 前記シリコンより剛性の高い弾性材料が、窒化ケイ素、アルミナ、窒化アルミ及びジルコニアのうちいずれか1つである請求項10に記載のプレーナ型アクチュエータ。
  12. 前記両トーションバーの少なくとも上面に、耐衝撃性の高い材料で形成した保護層を設けた請求項10又は11に記載のプレーナ型アクチュエータ。
  13. 前記保護層がポリイミドからなる請求項12に記載のプレーナ型アクチュエータ。
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