JP3917040B2 - 仮設作業台 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築工事現場、建築物の天井や壁面などの内外装作業、電気配線作業などの高所作業に使用する仮設作業台に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
作業台5として、例えば出願人が先に特願2001−262729号として提案したような、転落防止手段を設けた脚立状のものがある。これは、図8にも示すように、上部に手摺支柱4を延設した一対の支柱脚1間に複数の踏桟2を適宜間隔で取り付けて梯子枠3を形成し、該梯子枠3の一対を対向させ上端を相互に回動自在に軸着し、支柱脚1の上部位置で梯子枠3間に踏板ユニット6を折り畳み自在に架け渡し、転落防止手段として、手摺支柱4の上部に、梯子枠3の外方に向けて略水平方向に突出する手摺枠8、9を取り付けたものである。
【0003】
支柱脚1、手摺支柱4ともに、現場への搬入や現場内での移動が容易に行えるよう軽量な材質として、例えばアルミニウム合金を使用し、断面コ字形に形成した。
【0004】
この作業台5は単体で使用することができるのはもちろんであるが、図9に示すようにかかる脚立状の作業台を2台、間隔をおいて配置し、両作業台間に天板10を架け渡して使用することもできる。かかる場合の天板10も取扱が容易なよう軽量な材質として、例えばアルミニウム合金を使用している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような仮設作業台は、主として建設現場の室内仕上げ作業、コンクリート型枠組立作業、コンクリート打設作業などに使用されるため、塗料、耐火被覆材、コンクリートなどが付着したり、これらにより汚れたりすることが多い。
【0006】
一方、仮設作業台は前記のように軽量化を図るためにアルミニウム合金製としているが、アルミニウム合金はアルカリ性物質に簡単におかされ、腐食する性質を有する。そして、コンクリートは固化していない状態ではアルカリ性であるため、アルミニウム合金製の仮設作業台はコンクリートによって腐食するおそれがあり、かかる不都合を回避するには、使用中に仮設作業台に付着したコンクリートを早期に除去する必要がある。
【0007】
早期に除去しないと、腐食が進行しアルミニウム材料の表面に単に付着している状態とは異なりアルミニウム材料の内部に食い込んでコンクリート除去が困難になる。
【0008】
また、アルミニウム合金は鉄などの他の金属とは異なり、表面が柔らかいために傷つきやすい。このため、一般の整備作業では付着・汚れコンクリートの除去(ケレン)はブラシ作業や爪形状の金属製器具などによる削り取り作業、叩くなどの衝撃による除去作業などの機械的な除去方法が多いが、かかる除去方法を比較的軟質なアルミニウム合金製の作業台に適用することは経年変化が早く進むのでできる限り避けたい。
【0009】
そして、アルミニウム合金はいったん傷がつくと、コンクリートはますます付着しやすくなり、なおいっそう除去が困難になる。
【0010】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、軽量化を図るため仮設作業台をアルミニウム合金製とした場合、使用によりこれにコンクリートなどが飛散しても、これを簡単に除去して腐食することを防止でき、しかもそのための作業も容易で作業性のよい仮設作業台を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するため、上部に手摺支柱や手掛かり棒を延設した一対の支柱脚間に複数の踏桟を適宜間隔で取り付けて梯子枠を形成し、該梯子枠の一対間に天板を架け渡し、前記天板に、コンクリートが付着しにくく、耐候性を有する保護カバーを取り付ける作業台において、前記保護カバーは、天板に係止手段を介して着脱自在に取り付けられ、保護カバーの係止手段は、天板に形成してある滑り防止孔に対応する位置に形成した固定孔であり、該固定孔と滑り防止孔とを合致させ両孔に落下防止ボタンを挿入することを要旨とするものである。
【0016】
請求項1記載の本発明によれば、天板にコンクリートが付着しにくく、耐候性を有する保護カバーを着脱自在に取り付けたから、作業中に天板にコンクリートなどが付着しても、コンクリートは直接的には保護カバーに付着する。よって、天板にコンクリートなどが直接付着することを防止でき、アルミニウム合金製の天板がコンクリートにより腐食することを阻止できる。そして、作業終了後、保護カバーを外し、コンクリートを除去すれば、次の使用に備えることができる。
【0020】
さらに、保護カバーに形成した固定孔を天板に形成した滑り防止孔に合致させてここに落下防止用の突起となるボタンを装着すれば、該落下防止ボタンによって保護カバーが天板に一体に固定される。この場合、落下防止ボタンを固定ボタンに兼用することで、部品が多くなることもなく、取り付け作業も工程が増えることなく、さらに、取付後は、ボタンによって確実に固定される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の仮設作業台の実施の形態を示す要部である支柱脚や手摺支柱、手掛かり棒に取り付ける保護カバーの斜視図、図2は同上踏桟に取り付ける保護カバーの斜視図で、仮設作業台の基本構造は図8に示した従来例と基本的には同様であるから、作業台自体の構成についての詳細な説明は省略する。
【0023】
本発明の作業台5も、一対の梯子枠3と、該梯子枠3間に折り畳み自在に架け渡した踏板ユニット6と、一対の梯子枠3の上部に折り畳み自在にそれぞれ取り付けた手摺枠8、9とで構成する。
【0024】
梯子枠3は、一対の支柱脚1、1の間に適宜間隔(図示の例では高さ方向に約300 mm間隔)で複数本(図示の例では7本)の踏桟2を架け渡し、支柱脚1の上端から手摺支柱4を上方に向けて延設したもので、支柱脚1、手摺支柱4、踏桟2ともに材質としては例えばアルミニウム合金を使用し、断面コ字形に形成した。
【0025】
支柱脚1の上端部に位置させて、対向する支柱脚1、1の間に踏板ユニット6を回動自在に取り付ける。
【0026】
手摺支柱4、4の上端部は突き合わせて、矩形状の回転金具11で回動自在に結合する。図中14は支柱脚1の下部に伸長自在に取り付けた延長脚を示す。
【0027】
かかる作業台5において、支柱脚1、手摺支柱4に保護カバー12を取り付ける。図1は該保護カバー12を示し、コンクリートが付着しにくく、耐候性を有し、弾性を有する材質のものとして、例えば、強化繊維プラスチック(FRP)などの合成樹脂を使用し、内形が支柱脚1、手摺支柱4の外形に等しい、一方の側面を開口部12aとした断面コ字形の長尺物に形成した。
【0028】
図中12bは、踏桟2への係止部となる切欠凹部を示す。
【0029】
図2は踏桟2に取り付ける保護カバー13を示し、該保護カバー13も保護カバー12と同様に強化繊維プラスチック(FRP)製とし、断面コ字形の長尺物に形成するもので、長さは踏桟2と等しくする。図中13aは開口部を示す。
【0030】
図4、図5は天板10に取り付ける保護カバー15を示し、天板10の外形とほぼ等しい外形を有し、四隅にL字形の切欠き部15aを設け、天板10への係止手段として天板10に設けられている滑り防止孔16に対応する位置で、長さ方向の端部近傍にのみ複数、図示の例では5個の固定孔17を穿設した。前記切欠き部15aは、例えば補助手摺りなどを取り付ける場合に備えて、取付金物などの取付に支障が生じないようにするためのものである。
【0031】
また、図5に示すように長手方向の側縁を下方に折り曲げ、この折り曲げ部18を別の係止手段とした。折り曲げ部18は下方に垂直にL字形に折り曲げただけでもよいが、その先端をさらに内側に水平に折り曲げてコ字形の折り曲げ部としてもよい。
【0032】
これら折り曲げ部18は、保護カバー15の長さ方向の全長にわたって形成してもよいが、図6に示すように折り曲げた部分を適宜間隔で削除して切欠き19を形成し、折り曲げ部18が切欠き19を介して適宜間隔で形成されるようにしてもよい。
【0033】
さらに別の係止手段としてゴムバンドなどの結束手段により天板10と保護カバー15とを一体に結束することも考えられる。
【0034】
使用に際し、保護カバー12を支柱脚1、手摺支柱4に取り付けるには、図3に示すように開口部12aを外側に向けて保護カバー12を支柱脚1、手摺支柱4に対して側面から押し込めば、強化繊維プラスチック(FRP)の弾性により開口部12aが多少外側に広がるから簡単に装着でき、装着後は弾性により支柱脚1、手摺支柱4に係止する。
【0035】
また、切欠凹部12bが踏桟2に当接することで、これがストッパーとなって下方に滑り落ちることもない。
【0036】
保護カバー13も同様にして、開口部13aを下方に向けて踏桟2に対して上方から押し込めば、強化繊維プラスチック(FRP)の弾性により開口部12aが多少外側に広がることで簡単に装着でき、装着後は弾性により踏桟2に係止する。
【0037】
また、保護カバー15は、図7に示すように、天板10の上に載せ、天板10に形成してある滑り防止孔16に、保護カバー15に設けた固定孔17を合致させて、両孔に落下防止用の突起となるボタンを挿入することで、保護カバー15を天板10に固定する。この状態で、保護カバー15の側縁に形成した折り曲げ部18が天板10の側部に掛止するから、この折り曲げ部18によっても保護カバー15は天板10に固定される。
【0038】
コンクリート打設や室内仕上げの作業中などにコンクリートや塗料なとが作業台に飛散しても、コンクリートや塗料は作業台5には直接付着せず、保護カバー12、13、15に付着する。よって、アルミニウム合金製の作業台5がコンクリートなどによって腐食することを防げる。
【0039】
コンクリートなどが付着した保護カバー12、13、15は、作業終了後に作業台5から取り外す。この場合、特に天板10に取り付けた保護カバー15は、周縁に切欠き19が設けてあるから、この切欠き19を手掛かりにして着脱することができ、着脱の作業性をよいものにできる。
【0040】
取り外した保護カバー12、13、15は、これに付着したコンクリートなどを除去して再度の使用に備える。保護カバー12、13、15は強化繊維プラスチック(FRP)であるから、コンクリートを剥がしやすい。
【0041】
保護カバー12は、図10に示すように一対の梯子枠3の間に天板10を架け渡したタイプの作業台についても使用できるものであり、天板10の端部で梯子枠3の上部から突設した手掛かり棒20にも取り付けることがてきる。
【0042】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の仮設作業台は、軽量化を図るため作業台をアルミニウム合金製とした場合、作業台に保護カバーを取り付けたから、使用によりこれにコンクリートなどが飛散しても作業台に直接付着することを防止でき、コンクリートなどにより作業台が腐食することを阻止できる。そして、保護カバーは作業台に対して容易に着脱でき、保護カバーからのコンクリートの除去作業も簡単に行えるから、作業性のよいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の仮設作業台の実施形態を示す要部である支柱脚や手摺支柱、手掛かり棒に取り付ける保護カバーの斜視図である。
【図2】 本発明の仮設作業台の実施形態を示す要部である踏桟に取り付ける保護カバーの斜視図である。
【図3】 本発明の仮設作業台の実施形態を示す支柱脚および踏桟に保護カバーをとりつけた状態の斜視図である。
【図4】 本発明の仮設作業台の実施形態を示す要部である天板に取り付ける保護カバーの平面図である。
【図5】 本発明の仮設作業台の実施形態を示す要部である天板に取り付ける保護カバーの正面図である。
【図6】 本発明の仮設作業台の実施形態を示す要部である天板に取り付ける保護カバーの斜視図である。
【図7】 本発明の仮設作業台の実施形態を示す天板に保護カバーを取り付けた状態の平面図である。
【図8】 仮設作業台の斜視図である。
【図9】 天板を取り付けた状態の仮設作業台の斜視図である。
【図10】 手掛かり棒を備えた仮設作業台の正面図である。
【符号の説明】
1…支柱脚 2…踏桟
3…梯子枠 4…手摺支柱
5…作業台 6…踏板ユニット
8…手摺枠 9…手摺枠
10…天板 11…回転金具
12…保護カバー 12a…開口部
12b…切欠凹部 13…保護カバー
13a…開口部 14…延長脚
15…保護カバー 15a…切欠き部
16…滑り防止孔 17…固定孔
18…折り曲げ部 19…切欠き
20…手掛かり棒
Claims (1)
- 上部に手摺支柱や手掛かり棒を延設した一対の支柱脚間に複数の踏桟を適宜間隔で取り付けて梯子枠を形成し、該梯子枠の一対間に天板を架け渡し、前記天板に、コンクリートが付着しにくく、耐候性を有する保護カバーを取り付ける作業台において、前記保護カバーは、天板に係止手段を介して着脱自在に取り付けられ、保護カバーの係止手段は、天板に形成してある滑り防止孔に対応する位置に形成した固定孔であり、該固定孔と滑り防止孔とを合致させ両孔に落下防止ボタンを挿入することを特徴とする仮設作業台。
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