JP3915493B2 - 内燃機関の振動低減装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用エンジン等の内燃機関において、燃焼圧力変動等に起因して生じる内燃機関のロール振動を低減する内燃機関の振動低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃焼圧力変動等に起因するロール振動を低減するための振動低減装置としては、例えば、特開平11−325186号公報に記載されるものが従来から知られている。
【0003】
この特開平11−325186号公報には、フライホイールに結合されたクランクシャフトの回転駆動力を伝える駆動力伝達機構と、駆動力伝達機構により回転させられて慣性力を生じる副慣性質量体と、を備え、かつ駆動力伝達機構は、弾性体と、この弾性体を介してクランクシャフトの回転を副慣性質量体に伝達するベルトと、を有し、駆動力伝達機構の回転によって生じる補機回転振動系の反共振の周波数を、クランクシャフトの所定回転速度における回転周波数の(自然数/2)倍の周波数うちのいずれかの周波数と略一致させることにより、その運転状態における内燃機関の振動を低減するようにした振動低減装置が開示されている。
【0004】
このような従来の振動低減装置においては、反共振の周波数をコントロールすることにより特定の運転条件で大きな振動低減効果を得ることができ、例えば、アイドル振動に反共振の周波数を設定すれば、大きなアイドル振動の低減効果を得ることができる。
【0005】
ここで、ベルトは、補機類を駆動する必要があるため、そのバネ定数K1をあまり小さくすることができず、ベルトのみを回転振動系のバネ成分として用いる場合には、バネ定数K1の設定範囲が限れてしまうが、上述した従来の振動低減装置において、回転振動系のバネ成分としてベルトの他に弾性体を有しているので、弾性体のバネ定数K2をベルトのバネ定数K1に合わせて適宜設定することによって、ベルトのバネ定数K1を補機駆動という本来の目的のために要求される大きさに設定することができるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、副慣性質量体を駆動する駆動力伝達機構が駆動力を伝達するベルトと弾性体とを有している上述した従来の振動低減装置の場合、内燃機関が6気筒以上の多気筒となり、設定される反共振の周端数が高くなると、それに伴って弾性体のバネ定数K2を大きくしなければならない。
【0007】
ここで、ベルトと弾性体とが直列バネとして駆動力伝達機構のバネ要素となると、駆動力伝達機構全体としてのバネ定数K′は、次式(2)のようになる。
【0008】
【数2】
K′=K1・K2/(K1+K2)=K2/(1+K2/K1) …(2)
通常、K1は、K2に比べて十分大きい値になることを考慮すると、駆動力伝達機構のバネ定数K′の値において、弾性体のバネ定数K2が支配的となる。
【0009】
そこで、多気筒エンジンのように駆動力伝達機構のバネ定数K′の値を大きく設定する場合には、弾性体のバネ定数K2を大きくすることになるが、弾性体のバネ定数K2が大きくなり、ベルトのバネ定数K1の値に近づくと、ベルトのバネ定数K1の影響が大きくなる。そして、ベルトの減衰は、通常弾性体の減衰よりも大きいため、ベルトと弾性体とからなる合成バネ(振動系)全体の減衰が大きくなる。
【0010】
すなわち、反共振の周波数を利用した上述した従来の振動低減装置の場合、その振動低減効果は、合成バネ(振動系)全体の減衰が小さいほど大きくなるので、弾性体のバネ定数K2が大きくなり、バネ定数K′に寄与するベルトのバネ定数K1の影響が相対的に大きくなと、振動低減効果が小さくなってしまうという問題がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、請求項1に記載の発明は、内燃機関の駆動力を回転駆動力として伝達するクランクシャフトと、このクランクシャフトと一体回転する主慣性質量体と、前記クランクシャフトの回転に伴って回転する副慣性質量体と、前記クランクシャフトの回転駆動力を前記副慣性質量体に伝達して該副慣性質量体を回転駆動する駆動力伝達機構と、を備え、前記駆動力伝達機構は、弾性体と、該弾性体を介して前記クランクシャフトの回転を前記副慣性質量体に伝達するベルトとを有し、前記駆動力伝達機構の回転によって生じる補機回転振動系と、内燃機関のロール振動との反共振の周波数を、前記クランクシャフトの所定回転速度における回転周波数の(自然数/2)倍した周波数のうちのいずれかの周波数と略一致させた内燃機関の振動低減装置において、前記駆動力伝達機構の補機回転振動系全体の減衰比が、前記ベルトを完全な剛体として算出した前記駆動力伝達機構の補機回転振動系全体の減衰比よりも小さくなるよう、回転バネ定数比(ベルトの回転バネ定数/弾性体の回転バネ定数)Xが設定されていることを特徴としている。また、請求項2に記載の発明は、内燃機関の駆動力を回転駆動力として伝達するクランクシャフトと、このクランクシャフトと一体回転する主慣性質量体と、前記クランクシャフトの回転に伴って回転する副慣性質量体と、前記クランクシャフトの回転駆動力を前記副慣性質量体に伝達して該副慣性質量体を回転駆動する駆動力伝達機構と、を備え、前記駆動力伝達機構は、弾性体と、該弾性体を介して前記クランクシャフトの回転を前記副慣性質量体に伝達するベルトとを有し、
前記駆動力伝達機構の回転によって生じる補機回転振動系と、前記クランクシャフトの回転変動との反共振の周波数を、前記クランクシャフトの所定回転速度における回転周波数の(自然数/2)倍した周波数のうちのいずれかの周波数と略一致させた内燃機関の振動低減装置において、前記駆動力伝達機構の補機回転振動系全体の減衰比が、前記ベルトを完全な剛体として算出した前記駆動力伝達機構の補機回転振動系全体の減衰比よりも小さくなるよう、回転バネ定数比(ベルトの回転バネ定数/弾性体の回転バネ定数)Xが設定されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記反共振の周波数は、前記クランクシャフトの所定回転速度における回転周波数の(気筒数/2)倍した周波数のうちのいずれかの周波数と略一致するよう設定されていることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記クランクシャフトの所定回転速度は、前記内燃機関がアイドル運転状態にある際の回転速度であることを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記駆動力伝達機構は、前記クランクシャフトに直接結合された内周部と、前記クランクシャフトに回転自由に支持された外周部と、からなるクランクプーリを有し、前記外周部に前記ベルトが巻き掛けられ、前記内周部と前記外周部とが、前記弾性体を介して結合されていると共に、弾性体の回転バネ定数に対するベルトの回転バネ定数の比をX、前記クランクプーリ半径をr1、ベルトの減衰定数をCb、弾性体の回転バネ定数に対する弾性体の減衰定数の比をα、回転振動系全体の回転バネ定数をKとしたときに、前記回転バネ定数比Xが、X≧(r1 2Cb/αK)−1となるよう設定されていることを特徴としている。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記内燃機関は6以上の気筒を持つ多気筒内燃機関であることを特徴としている。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記ベルトは、ゴム製の基材に補強部材が埋設された構造となっており、かつ補強部材にアラミド繊維が使用されていることを特徴としている。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、前記ベルトは、前記内燃機関の補機を駆動するベルトであり、前記内燃機関はこのベルト一本で全ての補機を駆動するサーペンタイン方式であることを特徴としている。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、駆動力伝達機構の補機回転振動系全体の減衰比が、ベルトのバネ定数を∞として算出した駆動力伝達機構の補機回転振動系全体の減衰比よりも小さくなるようなるよう、回転バネ定数比X(ベルトの回転バネ定数/弾性体の回転バネ定数)が設定されているので、ベルトの減衰の影響を受けることなく十分な振動低減効果を得ることができる。
【0019】
また、この回転バネ定数比Xは、より具体的には、請求項5に示す条件式によって表される。
【0020】
そして、請求項7に記載の発明のように、ベルトの心線として剛性の高いアミラド繊維を用いることによって、ベルトの剛性が上がり、ベルトの回転バネ定数が大きくなって、バネ定数比Xが請求項5に示す条件式(1)を確実に満たすよう設定することができ、十分な振動低減効果を確実に得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1及び図2は、本発明に係る振動低減装置を備えた自動車用のV型6気筒内燃機関を示している。エンジン1には、主慣性質量体としてのフライホイール2を後端に備えたクランクシャフト3が設けられていると共に、補機駆動ベルト4を介してクランクシャフト3によって駆動されるオルタネータ5、ファン6、パワーステアリングポンプ7、アイドラープリー8等の補機が備えられている。
【0023】
オルタネータ5は、クランクシャフト3の取り付けられたクランクプーリ9と、オルタネータプーリ10と、これら両プーリ9,10間に巻き掛けられた補機駆動ベルト4等、を主体とする駆動力伝達機構を介し、この補機駆動ベルト4の背面で駆動され、クランクシャフト3に対して逆回転している。
【0024】
また、クランクプーリ9には、エアコンコンプレッサー11を駆動する駆動ベルト12が、補機駆動ベルト2とは別に巻き掛けられている。
【0025】
オルタネータ5は、図3に示すように、オルタネータプーリ10に連結された回転軸15と、この回転軸15の外周に固定された副慣性質量体としてのロータ部16と、ハウジング17の内周面に固定されたステータコイル18と、を有している。
【0026】
クランクプーリ9は、図4及び図5に示すように、クランクシャフト3に直接結合された内周部20と、補機駆動ベルト4が巻き掛けられ、クランクシャフト3にベアリング21を介して回転自由に指示される外周部22と、に二分割されており、内周部20と外周部22とは、弾性体である金属製の4つのコイルバネ23,…23を組み合わせた捩りバネ機構24を介して結合されている。
【0027】
このように、捩りバネ機構24を介して内周部20と外周部22とを結合することにより、補機駆動ベルト4と捩りバネ機構24のコイルバネ23,…23とが直列バネとなり、クランクシャフト3に取り付けられた主慣性質量体であるフライホイール2と、副慣性質量体となるオルタネータ5のロータ部16を質量成分とする補機回転振動系が構成される。
【0028】
そして、上記補機回転振動系の振動とエンジン1のロール振動系の振動とには相互に影響を及ぼし合い、両者の振動が逆相となって互いの振動を打ち消し合う現象、すなわち、反共振現象が生じる領域がある。
【0029】
同様に、上記補機回転振動系の振動とクランクシャフトの回転変動とには相互に影響を及ぼし合い、互いの振動を打ち消し合う反共振現象が生じる領域がある。
【0030】
そこで、この第1実施例においては、エンジン1が所定回転速度で頻繁に使用され、かつロール振動が問題となるような運転領域に、上記反共振現象が現れるように設定する。
【0031】
以下に、反共振現象が所望の運転領域に現れるように設定する際の手法について説明する。
【0032】
ここで、エンジン1本体のロール角変位をθe、フライホイール2の回転角変位をθ1、クランクプーリ9の外周部22の回転角変位をθ12、オルタネータ5のロータ部16の回転角変位をθ2、エンジン1本体のロール方向の慣性質量をIe、フライホイール2、クランクシャフト3及びクランクプーリ9等からなるエンジン回転系の慣性質量をI1、クランクプーリ9の外周部22の慣性質量をI12、オルタネータ5のロータ部16の慣性質量をI2、エンジン1のロール回転バネ定数をKe、エンジン1の減衰定数をCe、捩りバネ機構24の回転バネ定数をKp、捩りバネ機構24の減衰定数をCp、補機駆動ベルト4の延び側のバネ定数をK12、補機駆動ベルト4の延び側の減衰定数をC12、補機駆動ベルト4の縮み側のバネ定数をK21、補機駆動ベルト4の縮み側の減衰定数をC21、クランクプーリ9の半径をr1、オルタネータプーリ10の半径をr2(順回転>0、逆回転<0)、入力トルクをT、とすれば、エンジン1の振動系の運動方程式は、次式(3)〜(6)で表すことができる。
【0033】
【数3】
【0034】
【数4】
【0035】
【数5】
【0036】
【数6】
【0037】
上記式(3)〜式(6)において、I1,I2≫I12であり、減衰項を無視し、エンジン1のロール振動の反共振の条件であるθe=0と置くことにより、エンジン1のロール振動の反共振周波数f1は、次式(7)で表される。
【0038】
【数7】
【0039】
ここで、ρはオルタネータ増速比でありρ=r1/r2である。またKは補機駆動ベルト4のバネと、捩りバネ機構24のバネからなる直列バネの回転バネ定数であり次式(8)で表される。
【0040】
【数8】
【0041】
そして、この反共振周波数f1が、エンジン1、すなわちクランクシャフト3の所定回転速度N(rpm)における回転周波数fn(=N/60)を(自然数/2)倍、すなわち、0.5倍、1倍、1.5倍、2倍、…した周波数のうちのいずれかの周波数と略一致するよう設定する。
【0042】
具体的には、エンジンの燃焼圧力の変動により、4気筒エンジンの場合は、回転速度の2次、4次、6次…、6気筒の場合3次、6次、9次…、8気筒の場合4次、8次、12次…等の周波数成分に起因するロール振動が大きくなるめ、上記反共振周波数f1をこれらの次数の周波数のいずれかの周波数と略一致するように設定することで、エンジンのロール振動を低減することができる。また、気筒間の燃焼バラツキ等により生じる0.5次、1次、1.5次…等の回転次数成分の周波数に起因するロール振動を低減する場合には、上記反共振周波数f1をこれらの次数の周波数のいずれかの周波数と略一致するように設定する。
【0043】
さらに、上記のような種々の次数の周波数成分のなかでも(気筒数/2)倍の次数、すなわち、4気筒の場合2次、6気筒の場合3次、8気筒の場合4次の周波数が最も大きくなるため、上記反共振周波数f1はこれらの回転基本次数の周波数と略一致するように設定するのが最も有効である。
【0044】
この第1実施例においては、アイドル運転時に回転基本次数、つまり、3次の回転周波数fnと一致するように、反共振周波数f1が設定されているので、エンジン1のアイドル振動が低減され、車室内でのアイドル振動及びアイドルこもり音等が低減されている。
【0045】
例えば、アイドル回転数が600rpmの場合には、反共振周波数f1が30Hzとなるよう、上述した式(7)及び式(8)より、補機駆動ベルト4の延び側バネ定数K12、補機駆動ベルト4の縮み側バネ定数K21及び捩りバネ機構24の回転バネ定数Kpを設定する。
【0046】
ここで、捩りバネ機構24の回転バネ定数Kpに対する補機駆動ベルト4の回転バネ定数r1 2(K12+K21)の比Xをパラメータとしたときの反共振時の振動低減効果を図6に示す。このように、回転バネ定数比Xが大きく、つまり補機駆動ベルト4の回転バネ定数が大きくなると、振動低減効果も大きくなり、あるところで効果は収束する。この収束する値は、補機駆動ベルト4が完全に剛体で、捩りバネ機構24のコイルバネ23,…23だけがバネとして働いているときの効果に相当する。
【0047】
このときの補機回転振動系の減衰比ζは、図7に示すようになり、振動低減効果の大きさと、減衰比ζの小ささが対応していることがわかる。
【0048】
減衰比ζは、上述した式(3)〜(6)より、オルタネータ5のロータ部16が共振する振動モードのモード質量Mm、モード剛性Km、モード減衰Cmを求め、次式(9)より算出される。
【0049】
【数9】
【0050】
つまり、振動低減効果が収束する回転バネ定数比Xは、補機回転振動系の減衰比が、補機駆動ベルト4が完全に剛体で捩りバネ機構24だけがバネとして働いているときの減衰比と等しくなるときとして求めることができ、次式(10)で表される領域(図6及び図7を参照)が十分な振動低減効果が得られている領域となる。
【0051】
【数10】
【0052】
尚、Cbは補機駆動ベルト4の減衰定数でありCb=C12+C21で表され、αは捩りバネ機構24の回転バネ定数に対する捩りバネ機構24の減衰定数の比である。
【0053】
ここで、補機駆動ベルト4は、図8に示すように、両面にリブ30…30を有するゴム製の基材31に、多数のアラミド繊維を集合させることによって略円柱形状となった補強部材32,…32が埋設された構造となっている。これらの補強部材32,…32は、その長手方向が補機駆動ベルト4の回転方向に沿って埋設されている。
【0054】
補強部材に通常よく使用されるポリエステル繊維を用いた場合、その剛性が低いため、補機駆動ベルトのバネが柔らかく、上述した回転バネ定数比Xが小さくなり、十分な振動低減効果を得られない(図7を参照)。
【0055】
そこで、この第1実施例においては、補強部材32,…32に剛性の高いアラミド繊維を用いることによって補機駆動ベルト4のバネを硬くしている。それにより、図7に示すように回転バネ定数比Xが式(10)を満たす領域に入り、十分な振動低減効果を得られるようになっている。
【0056】
尚、上述した第1実施例においては、オルタネータプーリ10が補機駆動ベルト4の背面で駆動されているが、図9に示すように、オルタネータプーリ10を補機駆動ベルト4の表面で駆動させ、クランクシャフト3に対してオルタネータ5を順回転させてもよい。
【0057】
次に本発明の第2実施例について説明する。尚、上述した第1実施例と同一構成の部位については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0058】
この第2実施例におけるエンジン35は、直列4気筒エンジンであって、主慣性質量体としてのフライホイール(図示せず)を後端に備えたクランクシャフト3が設けられている。そして、この第2実施例のエンジン35は、オルタネータ5、ファン6、パワーステアリングポンプ7、アイドラープリー8、エアコンプレッサー11等の全ての補機が補機駆動ベルト4を介してクランクプーリ9によって駆動されており、全ての補機が補機駆動ベルト4によって駆動される、いわゆるサーペンタイン方式をとっている。
【0059】
この第2実施例においては、補機回転振動系の振動とエンジン35(クランクシャフト3)の回転変動との反共振周波数f2が、アイドル回転のエンジン基本次数、つまり回転2次の周波数と一致するように設定されている。この反共振周波数f2は、上述した式(3)〜式(6)において、I1,I2≫I12であり、減衰項を無視し、θ1=0とすることにより、次式(11)で表される。
【0060】
【数11】
【0061】
これにより、アイドル回転時のエンジン35の回転変動を低減することができ、エンジン35の回転変動により発生するトランスミッション内でのギヤの歯打ち音等を防止することができる。
【0062】
また、補機駆動ベルト4は、サーペンタイン方式をとっているため、ベルト長が長くなることによってバネ定数が相対的に小さくなってしまうが、剛性の高いアラミド繊維からなる補強部材32が埋設されているので、ベルト長が長くなることによって生じるバネ定数の低下を、アラミド繊維からなる補強部材32の剛性によって補い、上述した回転バネ定数比Xを高くし、上述した式(10)の条件を満足するよう設定されている。そのため、大きな回転変動低減効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃機関の振動低減装置を備えた内燃機関の正面図であって、第1実施例における内燃機関の正面図。
【図2】本発明に係る内燃機関の振動低減装置を備えた内燃機関の側面図であって、第1実施例における内燃機関の側面図。
【図3】図1に示すオルタネータの断面図。
【図4】図1に示すクランクプーリの正面図。
【図5】図1に示すクランクプーリの断面図。
【図6】回転バネ定数比と振動低減効果との関係を示す説明図。
【図7】回転バネ定数比と減衰比ζとの関係を示す説明図。
【図8】図1に示す補機駆動ベルトの断面を示す説明図。
【図9】本発明に係る内燃機関の振動低減装置を備えた内燃機関の正面図であって、第1実施例において、クランクシャフトに対してオルタネータを順回転させた内燃機関の正面図。
【図10】本発明に係る内燃機関の振動低減装置を備えた内燃機関の正面図であって、第2実施例における内燃機関の正面図。
【符号の説明】
1…エンジン
2…フライホイール
3…クランクシャフト
4…補機駆動ベルト(ベルト)
5…オルタネータ
9…クランクプーリ
Claims (8)
- 内燃機関の駆動力を回転駆動力として伝達するクランクシャフトと、このクランクシャフトと一体回転する主慣性質量体と、前記クランクシャフトの回転に伴って回転する副慣性質量体と、前記クランクシャフトの回転駆動力を前記副慣性質量体に伝達して該副慣性質量体を回転駆動する駆動力伝達機構と、を備え、
前記駆動力伝達機構は、弾性体と、該弾性体を介して前記クランクシャフトの回転を前記副慣性質量体に伝達するベルトとを有し、
前記駆動力伝達機構の回転によって生じる補機回転振動系と、内燃機関のロール振動との反共振の周波数を、前記クランクシャフトの所定回転速度における回転周波数の(自然数/2)倍した周波数のうちのいずれかの周波数と略一致させた内燃機関の振動低減装置において、
前記駆動力伝達機構の補機回転振動系全体の減衰比が、前記ベルトを完全な剛体として算出した前記駆動力伝達機構の補機回転振動系全体の減衰比よりも小さくなるよう、回転バネ定数比(ベルトの回転バネ定数/弾性体の回転バネ定数)Xが設定されていることを特徴とする内燃機関の振動低減装置。 - 内燃機関の駆動力を回転駆動力として伝達するクランクシャフトと、このクランクシャフトと一体回転する主慣性質量体と、前記クランクシャフトの回転に伴って回転する副慣性質量体と、前記クランクシャフトの回転駆動力を前記副慣性質量体に伝達して該副慣性質量体を回転駆動する駆動力伝達機構と、を備え、
前記駆動力伝達機構は、弾性体と、該弾性体を介して前記クランクシャフトの回転を前記副慣性質量体に伝達するベルトとを有し、
前記駆動力伝達機構の回転によって生じる補機回転振動系と、前記クランクシャフトの回転変動との反共振の周波数を、前記クランクシャフトの所定回転速度における回転周波数の(自然数/2)倍した周波数のうちのいずれかの周波数と略一致させた内燃機関の振動低減装置において、
前記駆動力伝達機構の補機回転振動系全体の減衰比が、前記ベルトを完全な剛体として算出した前記駆動力伝達機構の補機回転振動系全体の減衰比よりも小さくなるよう、回転バネ定数比(ベルトの回転バネ定数/弾性体の回転バネ定数)Xが設定されていることを特徴とする内燃機関の振動低減装置。 - 前記反共振の周波数は、前記クランクシャフトの所定回転速度における回転周波数の(気筒数/2)倍した周波数のうちのいずれかの周波数と略一致するよう設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の振動低減装置。
- 前記クランクシャフトの所定回転速度は、前記内燃機関がアイドル運転状態にある際の回転速度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の振動低減装置。
- 前記駆動力伝達機構は、前記クランクシャフトに直接結合された内周部と、前記クランクシャフトに回転自由に支持された外周部と、からなるクランクプーリを有し、前記外周部に前記ベルトが巻き掛けられ、前記内周部と前記外周部とが、前記弾性体を介して結合されていると共に、弾性体の回転バネ定数に対するベルトの回転バネ定数の比をX、前記クランクプーリ半径をr 1 、ベルトの減衰定数をC b 、弾性体の回転バネ定数に対する弾性体の減衰定数の比をα、回転振動系全体の回転バネ定数をKとしたときに、前記回転バネ定数比Xが次式(1)を満たすように設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の振動低減装置。
【数1】
X≧(r 1 2 C b /αK)−1 …(1) - 前記内燃機関は6以上の気筒を持つ多気筒内燃機関であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の振動低減装置。
- 前記ベルトは、ゴム製の基材に補強部材が埋設された構造となっており、かつ補強部材にアラミド繊維が使用されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の振動低減装置。
- 前記ベルトは、前記内燃機関の補機を駆動するベルトであり、前記内燃 機関はこのベルト一本で全ての補機を駆動するサーペンタイン方式であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の内燃機関の振動低減装置。
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---|---|---|---|
JP2001370006A JP3915493B2 (ja) | 2001-12-04 | 2001-12-04 | 内燃機関の振動低減装置 |
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