JP3914453B2 - 防音パネル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として車輌等の走行に伴う騒音を遮音・吸音するために、高速道路や鉄道等の側縁に沿って設置される防音パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、高速道路等に設置される防音壁は、図5(イ)の如く、高速道路や鉄道等の側縁に沿って設けられた壁高欄aに、一定間隔をおいて立設された断面H型の支柱bの間に、順次防音パネルcを段積して形成される。
【0003】
しかしながら、従来の防音壁は、その最下段の防音パネルcと壁高欄aとの間に、図5(ロ)の如く隙間dが生じることがある。この様な隙間dが生じると、騒音漏れが発生して防音性能が著しく低下し、又この隙間を風が通ると風切り音が発生することがある。
【0004】
このため、従来では、鉄板等でその隙間を塞いでいたが十分な閉塞ができず、また、壁高欄の不陸や防音パネルの傾斜に適確に対応できず、期待する防音効果が得られなかった。
【0005】
そこで、本出願人による特開2001−329632号公報において、防音パネルと、その防音パネルの下端部にほぼ全範囲にわたって取着され、防音パネルの下端部より垂下された可撓性を有するシート材とを備えた防音パネルにより、防音パネルと壁高欄との間で発生していた騒音漏れや風切り音を防止できる発明が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開2001−329632号公報に記載の防音パネルについては、シート材を防音パネルの下端に取り付ける際には、リベットやボルト等の締結手段を用いたり、粘着材を塗布して接着するといった方法が示されているが、締結手段を用いる方法では、防音パネルの下端部及びシート材に貫通孔を設ける必要があり、また締結時に孔位置を合わせる必要がある等、取り付けの際に煩雑な工程が必要であった。また、粘着材などを塗布してシート材を防音パネルの下端部に接着させる方法でも、粘着材などを塗布して、且つ塗布直後に貼り付けるといった煩雑な工程が必要であった。
【0007】
そこで本発明は、上記の如き課題を解決し、シート材を容易に取り付けることが可能で、防音性能の低下が解消されると共に隙間によって発生していた風切り音を解消することができる防音パネルを提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成としている。すなわち、防音機能を有するパネルである本体と、該本体の下端部にほぼ全範囲にわたって取着され、本体の下端部より垂下された可撓性を有するシート材とを備えた防音パネルであって、本体の下端部には開口部が狭くなされた蟻溝状の取付溝が設けられ、シート材は一縁部に全長に亘って突起部が一体に設けられ、本体の下端部には前記突起部が挿入される取付溝が設けられ、該取付溝の開口縁部間の寸法が突起部の厚さより小さくなされ、遮音板の周囲に遮音板を保持する枠体が形成されて本体となされ、枠体は上枠材に相対向して下枠材が設けられたものであって、該下枠材は前側の壁面と後側の壁面とにより下方が開口された開口部が設けられ、前側の壁面の下端部に前記開口溝が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、シート材と一体に設けられた突起部が、本体の下端部に設けられ開口縁部の寸法がシート材の突起部の厚さより狭くなされた取付溝に挿入されることで、シート材は取付溝の端部から挿入して取付溝内を摺動させたり、またシート材が可撓性のものであることから、シート材の突起部を変形させて開口部から取付溝に挿入することで、容易に防音パネル下端部に取り付けることが可能となる。また、開口縁部の寸法が突起部の厚さより小さくなされていることで突起部が抜け止めとなり、シート材が防音パネルから外れにくくなる。
【0010】
かかる構成により、可撓性を有するシート材を容易に取り付けて垂下させ、防音パネルを壁高欄上に設置した場合において、このシート材により防音パネルと壁高欄の間に生じる隙間が閉塞されるので、防音性能の低下が解消されると共に隙間によって発生していた風切り音を解消することができる。
【0011】
本発明における防音パネルは、透光性を有する遮音板であってもよい
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は本発明に係る防音パネルの実施の一形態を示す正面図であり、防音パネル10は、透光性の遮音板2の周囲に遮音板2を保持する枠体3が形成されて本体Aとなされ、本体Aの、上枠材3Bに相対向する下枠材3Aの下端部にはほぼ全範囲に亘ってシート材1が取り付けられている。
【0013】
図2は、図1に示した防音パネルの断面図である。本体Aの下枠材3Aは下方が開口された開口部Bを有するものであり、防音パネル10が設置された状況において、この開口部Bに落下防止の索条や通信用のケーブル等が挿通可能となされている。更に下枠材3Aの下端部に設けられた取付溝3A1にシート材1が取り付けられている。
【0014】
図3は、取付溝3A1へのシート材1の取り付けの詳細を示す説明図であり、下枠材3Aの下端部に設けられた取付溝3A1は、開口部3A2が狭くなされた蟻溝状のものであり、シート材1には全長に亘って突起部11がシート材と一体に設けられている。蟻溝状となされた開口部3A2の、開口縁部の寸法d1は突起部の付け根の厚みd2より大きいものとなされ、且つ突起部の厚みd3より小さいものとなされていることで、突起部11が前記蟻溝状の取付溝3A1内に遊嵌され、シート材1の取り付けを容易にすると共に、突起部11が開口部3A2からの抜け止めとなされるものである。
【0015】
シート材1は、EPDMやEPT等、任意のゴムや合成樹脂エラストマー等で形成されてよく、更には厚みの小さいアルミニウムや鋼板等の金属により形成されるものであってもよい。又シート材1は施工現場で切り込みを入れたりして微調整がし易いように通常厚みを1〜5mm程度としている。
【0016】
前記形態における本体Aは、透光性を有する遮音板2を用いて形成するものに限定されず、例えば多数の透孔を有する前面板と遮音性を有する背面板及び側面板とによって形成された中空体内に吸音材が充填されたものでもよく、さらにコンクリート等からなる透光性を有しない遮音板であってもよく、本発明における防音パネル10の形態は特に限定されるものではない。
【0017】
また取付溝3A1及び突起部11の形状は、図4に示す如きものであってよい。(イ)に示すようにシート材1の突起部11及び下枠材3Aの取付溝3A1の形状を円形のものとすれば、遊嵌時の抵抗を小さくでき、シート材1を摺動させて取り付けるのが容易となる。また(ロ)に示すように矩形のものとすれば、取付溝3A1の底面3A3により突起部11が支えられることで、シート材1に強い力がかかった場合でも突起部11を取付溝3A1から抜け辛くできる。更に(ハ)に示すように、底面3A3を開口部3A2に向かって漸進的に傾斜させた形状とすることで、より一方の端部11を取付溝3A1から抜け辛くすることができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、防音パネルの下端部には、開口部より広くなされた中空部を有し、同一の断面形状が連続する取付溝が設けられ、且つシート材の一方の端部が取付溝内で摺動可能に取り付けられていることで、シート材は取付溝の端部から挿入して取付溝内を摺動させることで、容易に防音パネル下端部に取り付けることが可能となる。また、中空部が開口部より広くなされていることで、中空部と補完形状となされたシート材の一方の端部が抜け止めとなり、シート材が防音パネルから外れにくくなる。
【0019】
かかる構成により、可撓性を有するシート材を容易に取り付けて垂下させ、防音パネルを壁高欄上に設置した場合において、このシート材により防音パネルと壁高欄の間に生じる隙間が閉塞されるので、防音性能の低下が解消されると共に隙間によって発生していた風切り音を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防音パネルの実施の一形態を示す正面図である。
【図2】図1に示した防音パネルの断面図である。
【図3】図1及び図2に示した防音パネルの、シート材の取り付けの詳細を示す説明図である。
【図4】本発明に係わる防音パネルの、シート材の取り付けの他の実施形態を示す断面図である。
【図5】従来の防音パネルの施工例を示し、(イ)はその正面図、(ロ)は平面図である。
【符号の説明】
1 シート材
11 突起部
2 遮音板
3 枠材
3A 下枠材
3A1 取付溝
3A2 開口部
3A3 底面

Claims (2)

  1. 防音機能を有するパネルである本体と、該本体の下端部にほぼ全範囲にわたって取着され、本体の下端部より垂下された可撓性を有するシート材とを備えた防音パネルであって、本体の下端部には開口部が狭くなされた蟻溝状の取付溝が設けられ、シート材は一縁部に全長に亘って突起部が一体に設けられ、本体の下端部には前記突起部が挿入される取付溝が設けられ、該取付溝の開口縁部間の寸法が突起部の厚さより小さくなされ、遮音板の周囲に遮音板を保持する枠体が形成されて本体となされ、枠体は上枠材に相対向して下枠材が設けられたものであって、該下枠材は前側の壁面と後側の壁面とにより下方が開口された開口部が設けられ、前側の壁面の下端部に前記開口溝が設けられていることを特徴とする防音パネル。
  2. 本体は、透光性を有する遮音板であることを特徴とする請求項1に記載の防音パネル。
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