JP3914341B2 - 自動変速機の変速操作入力装置 - Google Patents

自動変速機の変速操作入力装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シフトレバーの揺動経路が相互に直交する第1、第2の方向にそれぞれ延びる複数の直線経路の組み合わせにより構成されたジグザグ形状の経路とされ、上記レバーの複数の揺動位置がそれぞれ該揺動経路に沿って配置されていると共に、所定の条件が整わなければ所定の揺動位置から他の揺動位置へのシフトレバーの揺動を許可しないシフトロック機構が備えられた自動変速機の変速操作入力装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動変速機が搭載された車両の変速操作入力装置には、P(駐車),R(後退),N(中立),D(ドライブ)等の複数のレンジ選択位置が一方向(以下、「シフト方向」という。)に一列に配置されたものの他に、上記複数のレンジ選択位置が一列に配置されず、上記シフト方向に対して直交する方向(以下、「セレクト方向」という。)にずらせて配置され、それに伴ってレバーの揺動経路がジグザグ形状とされたものがある。
【0003】
この種の自動変速機においては、特開平4−307162号公報に開示されているように、例えば、エンジン始動後にブレーキペダルが踏み込まれていないと、Pレンジ選択位置から他の走行レンジ選択位置に揺動できないようにして車両の不意な発進等を防止したり、車速が所定値以下に下がらないと、シフトレバーをDレンジ等の前進走行レンジ選択位置からNレンジ選択位置を介してRレンジ選択位置に揺動できないようにして前進後退切換時のショック等を回避するシフトロック機構が通常備えられている。
【0004】
そして、上記のエンジン始動後のブレーキペダルの踏込等の条件を満足していない場合には、上記シフトロック機構に属するストッパ部材がシフトレバーに当接する位置に揺動されることにより、該シフトレバーの揺動を規制するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、運転者は、シフトレバーの操作をする際、そのレバーの揺動操作が規制されているかいないかを意識することなく、自己の所望の操作が行なえるものとして該レバー操作をすることが多い。これにより、エンジン始動後の発進時等においてシフトレバーをPレンジからRレンジ方向に操作しようとしたときや車庫入れ等の前進後退切換時においてシフトレバーをNレンジからRレンジ方向に操作しようとしたときには、そのときセレクト操作されるシフトレバーが、上記ストッパ部材に勢いよく当接することになり、該ストッパ部材が破損等しやすくなる。
【0006】
よって、上記ストッパ部材にかかる荷重を軽減することが必要で、特許第2657330号公報には、シフトレバーの基部に設けられた係合突部が、まず、上記ストッパ部材に相当するロック部材に当接し、該ロック部材が上記シフトレバーを支持する支持枠の一側面により受け止められるように構成したものが開示されている。
【0007】
ところで、この種の自動変速機においては、一般に、シフトロック機構の作動不良時の措置として、ストッパ部材によるシフトレバーの揺動規制を手動操作で強制的に解除するための解除部材が通例備えられる。一方、変速操作入力装置には、上記のようなシフトロック機構や、このようなシフトロック強制解除機構の他に、例えば、シフトレバーの揺動操作に節度感を与えるレバー操作節度機構等の各種機構ないし該機構に属する各種部材等が配設される。したがって、特に、上記シフトロック強制解除機機構や該機構に属する上記規制解除部材を、このような他の種々の機構や部材との干渉を避けながら、どのようにしてレイアウト性よく変速操作入力装置に配置するかが問題となる。
【0008】
さらには、上記のようなシフトロック機構によるシフトレバーの揺動規制時の荷重受けについての対応も必要となる。
【0009】
そこで、本発明は、自動変速機の変速操作入力装置において、シフトロックの際のレバーの荷重受けと、シフトロック強制解除機機構の配置位置との問題に併せて対処することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、次のように構成したことを特徴とする。
【0011】
まず、請求項1に記載の発明(以下、「第1発明」という。)は、シフトレバーの揺動経路が相互に直交する第1、第2の方向に延びる複数の経路の組み合わせにより構成され、該揺動経路に沿ってシフトレバーの複数の揺動位置が配置されていると共に、所定の条件の下で上記シフトレバーに当接することにより該レバーの所定の揺動位置から他の揺動位置への揺動操作を規制する規制部材と、運転者の手動操作により該規制部材によるシフトレバーの上記揺動操作に対する規制を解除する規制解除部材とが備えられた自動変速機の変速操作入力装置において、シフトレバーの上記揺動操作を規制したときに上記規制部材に入力される荷重を背後で受け止めるように、上記規制解除部材が、シフトレバーの上記揺動操作の線上でその規制位置にある規制部材の背面側に近接配置されていることを特徴とする。
【0012】
次に、請求項2に記載の発明(以下、「第2発明」という。)は、第1発明において、シフトレバーを揺動自在に支持するベース部材に、規制解除部材を嵌合状態で保持する膨出部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
上記第1、第2発明により、次のような作用が得られる。
【0014】
まず、第1発明の自動変速機の変速操作入力装置によれば、シフトレバーの上記揺動操作を規制したときに上記規制部材に入力される荷重を背後で受け止めるように、上記規制解除部材を、シフトレバーの上記揺動操作の線上でその規制位置にある規制部材の背面側に近接配置したので、シフトレバーから規制部材を介して伝わる荷重を受けとめる部分を、シフトレバーを支持するベース部材等に設ける必要がなくなり、規制解除部材に、シフトレバーの揺動規制の解除と、シフトレバーから規制部材を介して伝わる荷重の受けとめという2つの役割を両立させて、規制解除部材の有効利用を図ることができる。
【0015】
また、特に、規制解除部材を規制部材の背面側に近接配置したので、シフトロック強制解除機構がシフトロック機構に近接して配置されることになり、他の機構との干渉が避けることができて、レイアウト性が向上する。
【0016】
そして、第2発明の自動変速機の変速操作入力装置によれば、シフトレバーを揺動自在に支持するベース部材に、規制解除部材を嵌合状態で保持する膨出部を設けたので、当接時には、規制部材にシフトレバーの揺動操作による荷重がかかることになるが、その当接時に作用するシフトレバー側からの荷重が剛性の高いベース部材の膨出部によって確実に受け止められて、シフトレバーの揺動を阻止する規制解除部材の耐久性低下が抑制されることになる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(A)シフトゲートの形状とシフト操作
まず、図1〜図4に基づいて、この実施の形態に係る変速操作入力装置におけるシフトゲートの形状、及び該シフトゲートによって規定されるシフトレバーの揺動経路ないし該揺動経路に沿って行なわれるシフト操作について説明する。図1は上記変速操作入力装置1のうち車両の乗員室内に現れた部分の平面図、図2は乗員室内に現れない部分を含む同装置1の概略平面図、図3は同装置1を左側方からみた一部切欠き側面図、及び図4は図2のア−ア線に沿う同装置1の縦断面図である。
【0019】
この変速操作入力装置1は運転席と助手席との間のコンソールXに備えられ、該コンソールXの上面に設けられた開口Y内に上記装置1のカバー2が位置している。このカバー2には車体前後方向(図1及び図2において上下の方向並びに図3及び図4において左右の方向をいい、以下単に「前後方向」ともいう。)及び車体幅方向(図1及び図2において左右の方向並びに図3及び図4において手前向こう間の方向をいい、以下単に「幅方向」又は「左右方向」ともいう。)にそれぞれ延びる複数の短い直線状の貫通溝が組み合わされて全体として車体前後方向に長い鉤型形状とされた開口2aが形成され、この開口2aを介してシフトレバー3の上部が上方に突出している。
【0020】
シフトレバー3は、その上半部を構成する円柱部材4と、下半部を構成する樹脂性の基部材5とがインサート成形により一体化されたもので、該レバー3の上端部を構成する上記円柱部材4の上端部に運転者がレバー操作をする際グリップするノブ4aが取り付けられて該上端部が操作部とされている。なお、基部材5の詳しい形状については後述する。
【0021】
カバー2の下方には変速操作入力装置1の下層部分を構成するベース部材6が配置され、該ベース部材6は前後四箇所のボルト穴7…7に挿通されたボルト8…8によって車体に取り付けられていると共に、このベース部材6の上方には変速操作入力装置1の上層部分を構成するアッパープレート9が配置され、該アッパープレート9は前後三箇所のビス穴に挿通されたビス10…10によって上記ベース部材6に取り付けられている。そして、上記カバー2がこのアッパープレート9を上方から覆うように該アッパープレート9に図示しないフックによって係止されている。
【0022】
ベース部材6の中央部には下方へ突出する中空箱状の突出部12が設けられ、シフトレバー3は後に詳しく説明するようにこの突出部12内において第1のケース部材13及び第2のケース部材14を介して車体前後方向及び車体幅方向に揺動自在に支持されていると共に、アッパープレート9にはこの揺動支点から上方に延び且つカバー2から突出するシフトレバー3が挿通するようにシフトゲート15が形成されている。
【0023】
このシフトゲート15は、図2に円柱部材4で表わされるシフトレバー3の図示の位置から左方へ所定の長さだけ延びる第1連通路G1と、該第1連通路G1の終端部から後方へ延びる第2連通路G2と、該第2連通路G2の終端部から右方へ上記第1連通路G1の長さより短い長さだけ延びる第3連通路G3と、該第3連通路G3の終端部からさらに後方へ延びる第4連通路G4と、該第4連通路G4の終端部からさらに右方へ延びて上記第1連通路G1の始端部と幅方向において同じ位置に戻る第5連通路G5と、該第5連通路G5の終端部からさらに後方へ所定の長さだけ延びる第6連通路G6と、該第6連通路G6の終端部から再び左方へ上記第1連通路G1の長さと同じ長さだけ延びて上記第1連通路G1の終端部ないし第3連通路G3の始端部と幅方向において同じ位置に至る第7連通路G7と、該第7連通路G7の終端部から前方へ上記第6連通路G6の長さより短い長さだけ延びる第8連通路G8と、上記第7連通路G7の終端部から後方へ上記第8連通路G8の長さと略同じ長さだけ延びる第9連通路G9とから構成されて、上記カバー2の開口2aと同様に全体として車体前後方向に長い鉤型形状とされている。
【0024】
そして、このアッパープレート9のシフトゲート15と上記カバー2の開口2aとが相互に形状が対応するように上下に重なり合って配置され、シフトレバー3がこれらのシフトゲート15と開口2aとを同時に挿通していると共に、シフトレバー3が前後左右に揺動されたときには、このレバー3は、シフトゲート15、より具体的には該シフトゲート15の縁部とのみ当接し、カバー2の開口2aとは当接しないようになっている。したがって、このシフトレバー3とシフトゲート15との当接によって該レバー3の揺動が規制され、これにより該シフトレバー3の揺動経路が実質的に上記シフトゲート15の形状によって決定されて、このシフトレバー3の揺動経路は上記第1〜第9連通路G1〜G9に沿うものとなっている。
【0025】
そして、第1連通路G1の始端部がPレンジの選択位置とされ、以下ここから後方に向って順に、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジの各選択位置が上記シフトゲート15ないしシフトレバー3の揺動経路に沿って配置されて、具体的には、第3連通路G3の終端部及び第4連通路G4の始端部がRレンジの選択位置、第5連通路G5の終端部及び第6連通路G6の始端部がNレンジの選択位置、第6連通路G6の終端部及び第7連通路G7の始端部がDレンジの選択位置とされている。
【0026】
ここで、この変速操作入力装置1を搭載した車両の自動変速機は、上記Dレンジが選択されたときには、予め車速やエンジン負荷(スロットル開度)等に応じて設定された変速特性に基づいて変速段を切り換える自動変速を達成するようになっているが、同じ前進走行レンジとしてDレンジとは別にMレンジが設けられ、このMレンジが選択されたときには、シフトレバー3の揺動に応じて変速段を切り換える手動変速を達成するようになっている。そして、このMレンジの選択位置もまた上記シフトゲート15ないし該レバー3の揺動経路に沿って配置されて、具体的には、上記Dレンジ選択位置の左方の第7連通路G7の終端部並びに第8及び第9連通路G8,G9の始端部がMレンジの中立位置、第8連通路G8の終端部が変速段を一段シフトアップさせるMレンジのシフトアップ位置、第9連通路G9の終端部が変速段を一段シフトダウンさせるMレンジのシフトダウン位置とされている。
【0027】
以上により、Pレンジ選択位置にあるシフトレバー3を第1連通路G1に沿って左方へ揺動させたのち(以下シフトレバー3が左右に揺動されるこの方向を適宜「セレクト方向」といい、またこの「セレクト方向」におけるシフトレバー3の揺動操作を適宜「セレクト操作」という。)、第2連通路G2に沿って後方へ揺動させ(以下シフトレバー3が前後に揺動されるこの方向を適宜「シフト方向」といい、またこの「シフト方向」におけるシフトレバー3の揺動操作を適宜「シフト操作」という。)、次に第3連通路G3に沿ってセレクト方向において右方へ揺動させることによってRレンジが選択され、ここからさらに第4連通路G4に沿ってシフト方向において後方へ揺動させたのち、第5連通路G5に沿ってセレクト方向において右方へ揺動させることによってNレンジが選択され、ここからさらに第6連通路G6に沿ってシフト方向において後方へ揺動させることによってDレンジが選択され、ここからさらに第7連通路G7に沿ってセレクト方向において左方へ揺動させることによってMレンジが選択されて、このMレンジの選択位置を全体として構成し且つMレンジ選択位置内における手動変速のためのシフトレバー3の揺動通路を全体として構成する第8及び第9連通路G8,G9に沿ってシフトレバー3を中立位置からシフト方向において前方へ揺動させることによって変速段が一段シフトアップされ、同じくシフト方向において後方へ揺動させることによって変速段が一段シフトダウンされることになる。
【0028】
なお、後述するように、シフトレバー3は常時セレクト方向において右方へ付勢されており、したがって、例えばPレンジからRレンジへの切換え時には、運転者の行なう操作としては、シフトレバー3を上記付勢力に抗してセレクト方向において左方へ揺動させたのちシフト方向において後方へ揺動させればよく、シフトレバー3は第2連通路G2の終端部に至った時点で上記付勢力によって第3連通路G3の終端部まで右方へひとりでに揺動することになる。
【0029】
このように、この変速操作入力装置1においてはシフトレバー3の揺動位置としての該レバー3によるP、R、N、D、Mの五つのレンジ選択位置がシフト方向において4ポジション、セレクト方向において3ポジション(Pレンジ選択位置とRレンジ選択位置との間の切換え操作時にシフトレバー3が通過する第2連通路G2も含めて考える。)となるように展開配置されている。特に、Mレンジ選択位置を、Rレンジ選択位置や、あるいは該Rレンジ選択位置とPレンジ選択位置との間の切換え操作時にシフトレバー3が通過する第2連通路G2等と同様に、セレクト方向において同じ位置で一列配置されたPレンジ選択位置、Nレンジ選択位置及びDレンジ選択位置の左側に配置したことにより、該Mレンジ選択位置だけを右側に配置したとき、すなわち、シフト方向において4ポジション、セレクト方向においても4ポジション(同じく、Pレンジ選択位置とRレンジ選択位置との間の切換え操作時にシフトレバー3が通過する第2連通路G2も含めて考える。)としたときに比べて、上記レバー3のセレクト方向における操作幅が短くコンパクトになり、運転者が該シフトレバー3の揺動操作に窮屈さを感じることが回避され、とりわけMレンジ選択位置内における手動変速操作時に窮屈さを感じることが回避される。
【0030】
ここで、カバー2とアッパープレート9との間には上記開口2a及びシフトゲート15を閉鎖するようにスライドシート16が挟み込まれている。このスライドシート16は上記アッパープレート9の中央部において前後方向に延びるように形成されたガイド用凹部17内に配置されてそのスライド移動が前後方向においてのみ可能とされていると共に、幅方向に延びる長穴18(図1参照)を介してシフトレバー3に係合され、該シフトレバー3がセレクト方向において揺動されたときには該レバー3が上記長穴18内を移動するのみとなるが、該レバー3がシフト方向において揺動されたときにはその揺動に連動して上記スライドシート16が上記ガイド用凹部17に沿って前後方向にスライドするようになっている。
【0031】
(B)シフトレバーの取付構造
次に、図2〜図8に基づいて、ベース部材6に対するシフトレバー3の取付構造について説明する。図5はこの変速操作入力装置1を右側方からみた要部側面図、図6はシフトレバー3の直前方において該レバー3に沿う切断面における同装置1の正面側からの要部縦断面図、図7はシフトレバー3の直後方において該レバー3に沿う切断面における同装置1の背面側からの要部縦断面図、及び図8はシフトレバー3の周辺構造を示す平断面図である。
【0032】
前述したように、このシフトレバー3はベース部材6に第1のケース部材13及び第2のケース部材14を介して車体前後方向及び車体幅方向に揺動自在に支持されている。
【0033】
シフトレバー3の下半部を構成する基部材5は、上半部を構成する円柱部材4が突入する略四角柱状の本体21と、該本体21の前面に設けられたブロック状部22から上方に延びたのち前方に突出する前側板状体23と、同じく該本体21の左側面から左方へ延びる当接突起部99と、同じく該本体21の後面から後方に延びたのち上方に突出する後側板状体24とを有する構成で、上記本体21の下端部に前後方向に延びる円柱ボス部25が形成されている。
【0034】
また、第1、第2のケース部材13,14は、それぞれ前後左右の側面を有し、そのうち第1のケース部材13は第2のケース部材14に比べて相対的に大寸法とされて、前部左寄りの位置に、後述する変速制御等のための操作用ケーブル26が連結された上方延設部27と、後部右寄りの位置に、複数のディテント凹部が形成された側面視で扇形状の後方延設部28とを備える構成とされ、一方、第2のケース部材14は第1のケース部材13に比べて相対的に小寸法とされて、左右の両側面の上端部に、それぞれ前後方向の突起と切欠きとで構成される概略T字状の係止部29,29が形成され、且つ、後面が上記シフトレバー3における後側板状体24との干渉を避けるため後方に退出した形状とされている。
【0035】
そして、ベース部材6の前述の下方突出部12には、該突出部12の左右の両側面間に渡って挿通された支軸31が備えられ、この支軸31に、第2のケース部材14が第1のケース部材13内に収容された状態で、これらの両ケース部材13,14が各々の左右の両側面の下端部において回動自在に支持されて、これらの両ケース部材13,14が共にベース部材6に対して前後方向に揺動自在に備えられていると共に、第2ケース部材13の前後の両側面間に渡って第2の支軸32が挿通され、この支軸32に、シフトレバー3の基部材5が該第2ケース部材14内に収容された状態で、該レバー3がその下端ボス部25において回動自在に支持されて、このシフトレバー3が第2ケース部材14に対して左右方向に揺動自在に備えられている。
【0036】
したがって、第1ケース部材13及び第2ケース部材14は共にベース部材6に対して前後方向においてのみ揺動自在とされ、且つ、その場合に、これらの両ケース部材13,14は該前後方向において相互に相対的に揺動自在とされていると共に、シフトレバー3は、これらの両ケース部材13,14に対して左右方向において揺動自在とされ、且つ、その場合に、該シフトレバー3は上記前後方向において第2ケース部材14と一体に揺動自在とされて、これにより、該シフトレバー3がベース部材6に車体前後方向及び車体幅方向において揺動自在に支持されていることになる。
【0037】
そして、例えば、該レバー3がシフト方向において揺動されたときには、その揺動に伴って第2ケース部材14もまた左右方向に架設された上記第1の支軸31を中心に前後方向に揺動する一方で、該レバー3がセレクト方向において揺動されたときには、該レバー3のみが前後方向に架設された上記第2の支軸32を中心に左右方向に揺動し、第1、第2の両ケース部材13,14が連動して該左右方向に揺動することがないように構成されている。
【0038】
(C)各機構の構造
この変速操作入力装置1には、(1)シフトレバー3をセレクト方向において右方へ付勢するレバー付勢機構、(2)シフトレバー3の揺動操作に節度感を与えるレバー操作節度機構、(3)Mレンジ選択位置内においてシフトレバー3を中立位置へ付勢する中立付勢機構、(4)Mレンジ選択位置内におけるシフトレバー3のシフトアップ操作及びシフトダウン操作を検出するシフトアップスイッチ及びシフトダウンスイッチの操作機構、(5)キーインターロック機構のためのロックケーブルをシフトレバー3のPレンジ選択位置に対する動きに連動させて移動させるケーブル移動機構、(6)本発明の特徴部分を構成し、Pレンジ選択位置及びNレンジ選択位置からのシフトレバー3のセレクト操作すなわちシフト操作を規制するシフトロック機構、(7)同じく本発明の特徴部分を構成し、上記シフトロック機構の作動不良時にシフトロックを手動により強制解除するためのシフトロック強制解除機構、(8)上記シフトロック機構によるシフトロック時のシフトレバー3の揺動荷重を受け止めるシフトロック荷重受け機構、(9)シフトレバー3と操作用ケーブル26との連係を切断するケーブル切離し機構、(10)シフトレバー3のDレンジ選択位置からのセレクト操作によりMレンジが選択されたことを検出するMレンジスイッチの操作機構、及び、(11)シフトレバー3と上記シフトゲート15との当接時の衝撃力を抑制するシフト操作荷重受け機構等の各機構が具備されている。以下、これらの各機構の構成及び作用を必要に応じて上記鉤型シフトゲート15ないし揺動経路に沿うシフトレバー3の動作と関連づけて順に説明する。
【0039】
(1)レバー付勢機構
この機構の説明には図4、図5、図7を参照する。この機構は、シフトレバー3の右側方で前後方向に延びるようにベース部材6の上面に立設された壁部41と、シフトレバー3の基部材5に形成された前面ブロック状部22にビス止めされた板バネ部材42とで構成されている。
【0040】
上記立設壁部41のシフトレバー3側の面は、前述の下方突出部12の右側内面と連続する平坦面とされているが、該壁部41の反シフトレバー3側の面、すなわち右側外面は、その前半部において、上方に幅が狭く下方に幅が広い曲折面41aとされている。
【0041】
また、板バネ部材42は、シフトレバー3の前面ブロック状部22から右側方に延び、第1ケース部材13の右側面に形成された開口43を経て、その先端部が上記立設壁部41の右側外面の曲折面41aに係り止まっている。
【0042】
その場合に、この板バネ部材42が係止する立設壁部41の曲折面41aは、シフトレバー3がセレクト方向において左方に揺動され、それに伴って上記板バネ部材42が全体としてこの立設壁部41から左方向に遠ざかったときには、該板バネ部材42の先端部が上記曲折面41aに沿って上方に持ち上げられ、その結果、該板バネ部材42に下方に押し戻ろうとする弾性復元力が生じるような形状に形成されており、このような立設壁部41と板バネ部材42との係合によって、シフトレバー3に常に右方向への付勢力が作用するようになっている。そして、そのような形状に形成された曲折面41aは、シフトレバー3がPレンジ選択位置とNレンジ選択位置との間にある範囲内において上記板バネ部材42が係止するように、立設壁部41の前半部に設けられている。
【0043】
したがって、シフトレバー3が、シフトゲート15ないし揺動経路の最右端部に位置するPレンジ選択位置にあるときは、上記の右方向への付勢力によって、該レバー3は安定的に上記Pレンジ選択位置に位置し、ここからシフトレバー3をRレンジ選択位置へ移動させるときには、これらのレンジ選択位置間に相互に直交する第1連通路G1と第2連通路G2と第3連通路G3とがあるから、まず上記付勢力に抗して該レバー3を第1連通路G1に沿って左方へセレクト操作する必要が生じ、その付勢力が作用している状態で該シフトレバー3を第2連通路G2に沿って後方へシフト操作することになる。そののち、第3連通路G3に沿う該レバー3の右方への揺動は上記の付勢力によって行なわれることになる。そして、このRレンジ選択位置にシフトレバー3があるときは、該レバー3にはまだ幾分の右方向への付勢力が作用している状態にある。
【0044】
一方、Rレンジ選択位置からNレンジ選択位置へのシフトレバー3の移動は、これらのレンジ選択位置間に相互に直交する第4連通路G4と第5連通路G5とがあるが、第5連通路G5に沿う該レバー3の揺動が上記の付勢力によって行なわれることになるから、操作としては、単に該レバー3を幾分まだ付勢力が作用している状態で第4連通路G4に沿って後方へシフト操作すればよく、また、該Nレンジ選択位置からDレンジ選択位置へのシフトレバー3の移動は、これらのレンジ選択位置間にシフト方向に延びる第6連通路G6があるのみであるから、単に上記シフトレバー3を後方へシフト操作すればよい。そして、このDレンジ選択位置にシフトレバー3が揺動された時点では、該レバー3の板バネ部材42と上記壁部41における前半部の曲折面41aとの係合が終了している。
【0045】
(2)レバー操作節度機構
この機構の説明には図4、図5、図7〜図9を参照する。この機構は、第1ケース部材13の後面右側端部に後方に延びるように設けられた扇状延設部28と、シフトレバー3の後方右寄りの位置でベース部材6の上面に立設された支持部43に前方に延びるように備えられた第2の板バネ部材44とで構成されている。
【0046】
上記扇状延設部28の上面は、シフトレバー3の前後方向の揺動支点である第1の支軸31を中心としたほぼ円弧面とされ、この円弧面に後方からPレンジ用、Rレンジ用、Nレンジ用、及びD,M両レンジ兼用の各位置決めのためのディテント凹部p,r,n,dが設けられている。
【0047】
また、上記の第2の板バネ部材44は、上記支持部43にボルト45及び回り止めピン46を用いて後端部が固定されて前方へ延びていると共に、その前端部は曲折成形された係合部とされて、上記扇状延設部28の各レンジ用凹部p,r,n,dのうちのシフトレバー3の揺動位置に対応する凹部に係合される。これによって、シフトレバー3が各レンジ選択位置において位置決めされて、シフトレバー3がPレンジ選択位置とDレンジ選択位置との間の範囲でシフト方向に揺動されたときに、そのレンジ選択操作に節度感が与えられるようになっている。
【0048】
一方、前述のシフトレバー付勢機構を構成する立設壁部41の後半部は、該レバー付勢用の前半部の上記曲折面41aが途切れて、その代わりに、同じく曲折面であるが、その上端部が上記レバー付勢用の前半部の曲折面41aの上端部よりも低くなるように設定された第2の曲折面41bが形成されている。そして、シフトレバー3がDレンジ選択位置に揺動されたときには、該レバー3に備えられた上記の第1の板バネ部材42がこの第2の曲折面41bに係止し、該シフトレバー3がこのDレンジ位置と該Dレンジ位置の左側方に配置されたMレンジ選択位置との間でセレクト方向に揺動されたときに、上記第1板バネ部材42が、その弾性復元力に抗して、この後半部の第2の曲折面41bにおける中間部の山高部を乗り越えるようになっている。これによって、シフトレバー3がDレンジ選択位置とMレンジ選択位置との間でセレクト方向に揺動されたときに、そのレンジ選択操作に節度感が与えられるようになっている。
【0049】
なお、このD,Mレンジ間の選択操作の際には、上記のようにシフトレバー3がセレクト方向において揺動されるが、このレバー3と第1ケース部材13とは、セレクト方向においては一体となっては揺動しないから、第1ケース部材13の上記扇状延設部28と第2の板バネ部材44との係合は、D,M両レンジ兼用ディテント凹部dにおいて留まっている。
【0050】
このように、Pレンジ選択位置とDレンジ選択位置との間の範囲内でのシフト方向におけるレンジ選択操作に対しては、扇状延設部28と第2の板バネ部材44との係合により節度感が与えられ、上記シフト方向と直交するセレクト方向におけるDレンジ選択位置とMレンジ選択位置との間でのレンジ選択操作に対しては、立設壁部41の後半部の曲折面41bと第1の板バネ部材42との係合により節度感が与えられるようになっている。
【0051】
(3)中立付勢機構
(4)シフトアップスイッチ及びシフトダウンスイッチの操作機構
これらの機構の説明には図2、図7、図10〜図12を参照する。アッパプレート9の下面には、Mレンジ選択位置の左側方において、下方に突出する支軸51が突設されており、この支軸51に、シフトゲート15において上記Mレンジ選択位置を全体として構成する第8連通路G8及び第9連通路G9内にそれぞれ進出する前後一対のアーム部52,52を有するカム部材53が回動自在に支持されている。また、同じくアッパプレート9の下面には、Dレンジ選択位置の右側後方において、下方に突出する支持部54が突設されており、この支持部54に、左側方に延びる第3の板バネ部材55が取り付けられて、この第3の板バネ部材55の先端部が上記カム部材53の後面に設けられた位置決め用の凹部56に係合されている。そして、この状態で、カム部材53に形成された上記の前後一対のアーム部52,52間の半円形の凹部57が、Mレンジの中立位置、すなわち、シフトレバー3がDレンジ選択位置からセレクト方向において左方に揺動されたときに取り得る位置に一致して位置している。
【0052】
一方、カム部材53のほぼ中央部には板状突起58が上方に突設されていると共に、この突起58を挟んで前方の位置にシフトアップ用のスイッチ61が、また後方の位置にシフトダウン用のスイッチ62がそれぞれアッパプレート9の下面に取り付けられている。
【0053】
これにより、シフトレバー3が第7連通路G7に沿ってDレンジからMレンジに切換え操作されたときには、該レバー3の円柱部材4が、カム部材53の半円形凹部57に嵌り込み、この中立位置で上記カム部材53と第3板バネ部材55との係合によって、上記シフトレバー3がこのMレンジの中立位置に付勢保持されると共に、この中立位置から図12に示すように第3板バネ部材55の付勢力に抗してシフトレバー3を第8連通路G8に沿って前方に揺動させれば、カム部材53の板状突起58によってシフトアップスイッチ61の切片が押圧されて該スイッチ61がオンされる一方、逆に、この中立位置から第3板バネ部材55の付勢力に抗してシフトレバー3を第9連通路G9に沿って後方に揺動させれば、カム部材53の板状突起58によってシフトダウンスイッチ62の切片が押圧されて該スイッチ62がオンされることになる。
【0054】
その場合に、これらのカム部材53やシフトアップスイッチ61あるいはシフトダウンスイッチ62がそれぞれアッパプレート9の下面に取り付けられており、この取付位置は、例えばベース部材6上の位置に比べて、上記スイッチ機構を操作するシフトレバー3の揺動支点から上方に比較的離れた場所であるから、このスイッチ機構は、該レバー3のシフト方向における一定角度の揺動に対して大きなストロークでオンオフ操作されることになる。
【0055】
これによって、上記カム部材53や両スイッチ61,62の寸法精度や取付位置に多少の誤差が生じても、シフトレバー3の揺動を確実に検出することができると共に、そのような誤差によりスイッチ61,62をオンオフさせる位置がばらついても、運転者の手動変速のための揺動操作については影響が少なく、常にほぼ一定のタイミングで変速動作が開始されることになる。
【0056】
また、シフトレバー3で直接スイッチ61,62を操作するのではなく、カム部材53を介してオンオフ操作するように構成したから、上記スイッチ61,62のレイアウトの自由度が大きくなり、例えばシフトゲート15と干渉しない位置に配置する等、最適な位置に配置することが可能となる。
【0057】
そして、第3の板バネ部材55の中立位置への付勢力によって、シフトレバー3がDからMへ操作されたときには、確実に該Mレンジでの中立位置においてカム部材53の半円形の凹部57と係合すると共に、手動変速操作においても適度な抵抗力がシフトレバー3に与えられることになる。
【0058】
なお、このシフトレバー3のMレンジにおける手動変速のための前後の揺動操作時には、前述のレバー操作節度機構の扇状延設部28と第2の板バネ部材44との係合部位もD,M両レンジ兼用ディテント凹部d内において前後に移動し、これによっても、該レバー3がMレンジの中立位置に付勢され、且つ、シフトアップ操作時及びシフトダウン操作時に、シフトレバー3に第2板バネ部材44による抗力が作用することになる。
【0059】
(5)ケーブル移動機構
この機構の説明には図2、図4〜図6、図8、図9、図13を参照する。この機構は、シフトレバー3がPレンジ選択位置にないときは運転席のキー操作部におけるキーシリンダからのエンジン始動キーの抜取りを規制するキーインターロック機構のためのロックケーブルをシフトレバー3のPレンジ選択位置に対する動きに連動させて移動させるものである。
【0060】
まず、上記キーインターロック機構について概説すると、この変速操作入力装置1が搭載された車両の運転席におけるステアリングコラム(図示せず)には、運転者によりエンジン始動キーがLOCK(シフトロック)、Acc(アクセサリ)、ON(エンジン電気系統オン)、START(エンジン始動)等の複数の回動位置に回動操作されるキー操作部が配置され、このキー操作部と変速操作入力装置1との間にロックケーブル70が矢印A,Bで示すように軸方向に移動可能に配設されている。
【0061】
そして、このロックケーブル70が矢印A方向に移動したときは、上記キー操作部で始動キーを他の回動位置から該キーが抜き取り可能なLOCK位置へ回動することができ、逆に、ロックケーブル70が矢印B方向に移動したときには、上記キー操作部で始動キーを他の回動位置から上記LOCK位置へ回動することができないようになっている。これにより、シフトレバー3をPレンジ選択位置に投入しなければ、始動キーの抜き取りを禁止するキーインターロックが実現されることになる。
【0062】
ケーブル移動機構は、上記ロックケーブル70を、変速操作入力装置1においてシフトレバー3が他のレンジ選択位置からPレンジ選択位置に投入されたときに矢印A方向(変速操作入力装置1については前方)に移動させ、逆に、シフトレバー3がPレンジ選択位置から他のレンジ選択位置へ抜け出たときには矢印B方向(変速操作入力装置1については後方)に移動させるものであって、シフトレバー3の前方で上下方向に延びる柱状の部材81と、該レバー3の上記前側板状体23とで構成されている。
【0063】
上記柱状部材81は、ベース部材6の上面に突設された支軸(図示せず)と、アッパープレート9の下面に形成されたボス部82とにそれぞれ上下両端部が回動自在に支持されて、これらのベース部材6とアッパープレート9とに跨がって架設されていると共に、アッパープレート9に近いその上部に、シフトレバー3側に後方に延びる上側延設部83が、また、ベース部材6に近いその下部に、右側方に延びる下側延設部84がそれぞれ設けられて、この下側延設部84の水平に延びる端部に上記ロックケーブル70の他端が連結されている。
【0064】
そして、柱状部材81は、この下側延設部84とベース部材6とに両端部がそれぞれ係止されたツル巻きバネ85によって、常に平面視で時計回り方向へ付勢されており、図13に鎖線で示すように、上側延設部83が左方向に、下側延設部84が後方向にそれぞれ移動している。
【0065】
そして、シフトレバー3がPレンジ以外の他のレンジ選択位置からこのPレンジ選択位置に揺動されるときには、その際上記第1連通路に沿って行なわれるセレクト方向における右方への揺動によって、シフトレバー3の基部材5から前方に突出する前側板状体23が上記上側延設部83を右方向へ押圧し、その結果、その押圧力を受けて、図13に実線で示すように、柱状部材81がツル巻きバネ85の付勢力に抗して平面視で反時計回りに回動し、これにより、上記ケーブル70が前方、つまりA方向に移動して、キー操作部において始動キーが抜き取り可能となると共に、逆に、シフトレバー3がPレンジ選択位置からそれ以外の他のレンジ選択位置に揺動されるときには、その際上記第1連通路に沿って行なわれるセレクト方向における左方への揺動によって、上記前側板状体23の上側延設部83に対する押圧力が除去され、その結果、図13に鎖線で示すように、上記ツル巻きバネ85の付勢力を受けて、柱状部材81が平面視で時計回りに回動し、これにより、上記ケーブル70が後方、つまりB方向に移動して、キー操作部において始動キーが抜き取り不能となることになる。
【0066】
その場合に、回動することによって、ロックケーブル70を、始動キーの抜取りが可能な位置と不能な位置との間で移動させる上記柱状部材81が上下方向に延設され、シフトレバー3の押圧力が入力される入力部を構成する後方延設部83が上部に、上記ケーブル70が連結される連結部を構成する右方延設部84が下部に、それぞれ離間して配置されているから、ロックケーブル70を、アッパープレート9の前端部やスライドシート16等の他の部材と干渉させることなく、レイアウト性よくキー操作部との間に配設することができると共に、シフトレバー3の押圧力が入力される方の延設部83がシフトレバー3の揺動支点から上方に比較的離れたアッパプレート9に近接した部位に配置されているから、前述のMレンジにおけるスイッチ機構と同様、この上側延設部83は、該レバー3のセレクト方向における一定角度の揺動に対して大きなストロークで押圧、回動操作されることになる。
【0067】
したがって、上記柱状部材81やその上下の延設部83,84において、多少の寸法精度ないし取付位置の誤差が生じても、上記柱状部材81はシフトレバー3の揺動により確実に大きな振り幅で回動され、これにより、ロックケーブル70を確実に有効な長さだけA,B方向に移動することができて、キーインターロック機構の信頼性が図られることになる。そして、このように二つの延設部83,84における相互に異なる目的がそれぞれ達成されて、各目的の両立が図られることになる。
【0068】
また、柱状部材81は、その上下の両端部がアッパープレート9とベース部材6とに支持されて、これら二つの部材6,9に上下に渡って架設されているから、その支持剛性が高められると共に、さらに、アッパープレート9の上方にはカバー2が備えられ、この柱状部材81がこれら二つの部材2,9の重なり合った場所の下方に配置されているから、乗員室内で誤って例えば飲料がこぼれて、コンソールXの開口Yから内部に侵入しても、その飲料はカバー2ないしアッパープレート9の上面を伝ってベース部材6に落下し、この柱状部材81にかかって汚染されるというような不具合が回避される。
【0069】
(6)シフトロック機構
次に、本発明の特徴部分を構成するシフトロック機構について説明する。この機構の説明には図3、図6、図14〜図19を参照する。ベース部材6の左側縁部でシフトレバー3の第1支軸31のほぼ直上方の位置には矩形状の膨出部91が上方へ向けて立設されていると共に、この膨出部91の内壁には上下方向に貫通孔を有する円筒形のボス部92が設けられ、このボス部92に上半部が当接ブロック部93及び下半部が摺動軸部94とされた規制部材95の該軸部94がわずかに水平方向にあそびをもって摺動自在に挿通している。
【0070】
また、同じくベース部材6の左側縁部で上記膨出部91の前方にはソレノイド96が据え付けられており、該ソレノイド96のプランジャ97がやや上方に傾斜した状態で、後方へ、すなわち上記膨出部91へ向けて突出している。そして、このソレノイド96の配置位置と上記膨出部91との間に形成された棚状の壁部98の内面には内方へ突出する支軸99が設けられ、この支軸99にレバー部材100が回動自在に支持されて、その両端部がそれぞれ上記ソレノイド96のプランジャ97、及び上記ボス部92から下方へ突出する規制部材95の摺動軸部94の下端部と連結されている。
【0071】
ここで、上記ソレノイド96は、ブレーキペダル(図示せず)が踏み込まれていない間はオフ(非励磁)とされ、ブレーキペダルの踏込みが検出されたときにオン(励磁)とされて、該ソレノイド96がオフで非励磁のときにはプランジャ97が飛び出し、これにより上記規制部材95全体がレバー100の回動を介してボス部92の貫通孔に沿って下方へ移動される一方で、該ソレノイド96がオンで励磁されたときにはプランジャ97が引き込み、これにより上記規制部材95全体が上方へ移動されるようになっている。
【0072】
そして、シフトレバー3の基部材5の左側面に設けられた当接突起部99が、上記膨出部91ないし規制部材95が配設された左側方へ延びており、ブレーキペダルが踏み込まれておらず、したがってソレノイド96がオフで、図18に実線で示すように上記規制部材95が下方へ移動しているときは、Pレンジ選択位置にあるシフトレバー3を該Pレンジ選択位置から後方の他のレンジ選択位置へシフト操作しようとして、該レバー3を鉤型シフトゲート15の第1連通路G1に沿ってセレクト方向において左方へ揺動した場合に、図15に示すように、該レバー3の上記当接突起部99の先端面が、上記規制部材95の当接ブロック部93の内面、より具体的には該ブロック部93の前半部の内面93aと当接して、上記セレクト操作が阻止され、その結果、Pレンジ選択位置から後方の他のレンジ選択位置へのシフトレバー3のシフト操作が禁止される(Pレンジシフトロック)。
【0073】
逆に、ブレーキペダルが踏み込まれ、したがってソレノイド96がオンで、図18に鎖線で示すように上記規制部材95が上方へ移動しているときは、Pレンジ選択位置にあるシフトレバー3を該Pレンジ選択位置から後方の他のレンジ選択位置へシフト操作しようとして、該レバー3を上記第1連通路G1に沿ってセレクト方向において左方へ揺動した場合に、図16に示すように、該レバー3の上記当接突起部99の先端面が、上記規制部材95の当接ブロック部93の前半部の内面93aと当接せず、当接突起部99の先端部が当接ブロック部93の下方に潜り込むかたちで上記セレクト操作が許容され、その結果、Pレンジ選択位置からのシフトレバー3のシフト操作が許可される(Pレンジシフトロックの解除)。
【0074】
また、Nレンジ選択位置にあるシフトレバー3をRレンジ選択位置へ、あるいは該Rレンジ選択位置を経てPレンジ選択位置へシフト操作する場合、もしくはNレンジ選択位置より後方のDレンジやMレンジの選択位置にあるシフトレバー3をNレンジ選択位置を経由させてRレンジ選択位置やPレンジ選択位置へシフト操作する場合においても、ブレーキペダルが踏み込まれておらず、図18に実線で示すように規制部材95が下方のシフトロック位置へ移動しているときは、シフトレバー3をNレンジ選択位置から鉤型シフトゲート15の第5連通路G5に沿ってセレクト方向において左方へ揺動した場合に、図6に示すように、該レバー3の上記当接突起部99の先端面が、上記規制部材95の当接ブロック部93の内面、より具体的には該ブロック部93の後半部の内面93bと当接して、上記セレクト操作が阻止され、その結果、Nレンジ選択位置から前方のレンジ選択位置へのシフトレバー3のシフト操作が禁止される(Nレンジシフトロック)。
【0075】
逆に、ブレーキペダルが踏み込まれ、図18に鎖線で示すように規制部材95が上方のシフトロック解除位置へ移動しているときは、シフトレバー3をNレンジ選択位置から上記第5連通路G1に沿ってセレクト方向において左方へ揺動した場合に、図17に示すように、該レバー3の上記当接突起部99の先端面が、上記規制部材95の当接ブロック部93の後半部の内面93bと当接せず、当接突起部99の先端部が当接ブロック部93の下方に潜り込むかたちで上記セレクト操作が許容され、その結果、Nレンジ選択位置から前方のレンジ選択位置へのシフトレバー3のシフト操作が許可される(Nレンジシフトロックの解除)。
【0076】
これにより、Pレンジでは、ブレーキペダルを踏まないと、該Pレンジ選択位置からシフトレバー3をセレクト操作できないため、より具体的には、セレクト方向において左方へ揺動させることが阻止されるため、結局、該シフトレバー3を後方の走行レンジ方向へ揺動させることができなくなる。これを特に前述のキーインターロック機構の動作と組み合わせると、エンジン始動時には、レンジがPレンジになっていなければエンジンを始動させることができず、しかもそののちブレーキペダルが踏まれた状態でなければ、シフトレバー3を前進又は後進走行レンジへ移動することができないことになる。これによって、エンジン始動と同時に車両が不意に飛び出したり、あるいは走行レンジへのレンジの切換えと同時に車両が不意に発進したりすることが有効に回避されることになる。
【0077】
また、Nレンジにおいても、ブレーキペダルを踏まないと、該Nレンジ選択位置からシフトレバー3をセレクト操作できないため、より具体的には、上記Pレンジの場合と同じセレクト方向においてやはり同じ左方へ揺動させることが阻止されるため、結局、該シフトレバー3をNレンジを経由させてDレンジ方向から前方のRレンジ後方へ揺動させることができなくなる。これによって、前後進切換時のショックや、自動変速機における変速歯車機構の損傷等が有効に回避されることになる。
【0078】
なお、このようにPレンジシフトロック及びNレンジシフトロックの解除条件をブレーキペダルの踏込みという一つの共通条件とすることにより、ソレノイド96のオンオフ制御、つまり当該シフトロック制御の簡素化が図られる。ただし、これに限らず、例えば、Pレンジシフトロックについてはブレーキペダルの踏込みをシフトロックの解除条件としつつ、Nレンジシフトロックについては車速が所定車速より低いことをシフトロックの解除条件としてもよい。そうすることによって、前後進切換時のショックや変速歯車機構の損傷等の回避が図られると共に、いちいちブレーキペダルを踏み込まずとも前後進の切換えを繰り返すことができて有利な場合もある。
【0079】
そして、このように、規制部材95がソレノイド96のオンオフ切換えにより移動して位置するシフトロック位置とシフトロック解除位置とが、シフトレバー3の操作方向であるシフト方向(前後方向)又はセレクト方向(左右方向)においてではなく、これらの方向と交差する上下方向に沿って配置されているから、上記シフトロック位置及びシフトロック解除位置をシフトレバー3の操作方向である前後方向又は左右方向において確保したり、あるいは上記シフトロック位置及びシフトロック解除位置に規制部材95が支障なく移動して位置できるだけの領域を同じくシフトレバー3の操作方向である前後方向又は左右方向において確保する必要がなくなる。これにより、当該シフトロック機構ないし変速操作入力装置1の前後方向又は左右方向における寸法拡大が回避されて、コンソールXの大型化が避けられ、乗員室内が広くなると共に、当該機構ないし当該装置1の車体への組付け自由度やレイアウト性の向上が図られて、鉤型シフトゲート15におけるシフトレバー3の操作領域のコンパクト化とも符合することになる。
【0080】
また、上記シフトロック位置とシフトロック解除位置とが、シフトレバー3の揺動操作が行なわれない方向である上下方向に沿って配置され、したがって規制部材95が同じくこれらの両位置間で上下方向に沿って移動するから、シフトロックを解除するときには、シフト操作時におけるシフトレバー3の前後方向あるいは左右方向の揺動量の大小に拘らず、規制部材95を該シフトレバー3の左側方延設突起部99と当接しなくなる位置まで上方に退避させればよいことになる。これにより、シフトロック解除位置をシフトロック位置に比較的近づけて配置することができて、上記規制部材95を両位置間で移動させるソレノイド96の駆動量が少なくて済み、その結果、より小型でコンパクトなソレノイドを用いることが可能となる。また、ソレノイドをオンとする電力消費も少なくて済む。
【0081】
さらに、このシフトロック機構においては、シフトロック位置を下方に、シフトロック解除位置を上方に配置して、シフトロック解除時には規制部材95が上方移動するようになっている。これは、シフトレバー3の揺動支点(特にセレクト方向の揺動支点である第2支軸32)がこれらの両位置よりもさらに下方に位置しており、該揺動支点32を中心にシフトレバー3がセレクト方向において揺動し、該レバー3がより傾斜すると、該レバー3の上記突起部99が上下方向において下方に移動するから、シフトロック解除時に規制部材95が該突起部99との当接を回避するためには、その逆方向、つまり上方に移動する方がその移動量が少なくて済むからである。これによっても、シフトロック解除位置をシフトロック位置に比較的近づけて配置することができて、上記規制部材95を両位置間で移動させるソレノイド96の駆動量が少なくて済み、その結果、より小型でコンパクトなソレノイドを用いることが可能となる。また、ソレノイドをオンとする電力消費も少なくて済む。
【0082】
そして、上記規制部材95は、Pレンジ選択位置にあるシフトレバー3の左側方延設突起部99と当接する前半部の内面93aと、Nレンジ選択位置にあるシフトレバー3の上記突起部99が当接する後半部の内面93bとを有するPレンジシフトロック及びNレンジシフトロック兼用の単一の部材とされているから、各レンジ専用の規制部材を個々に備え、さらに各規制部材毎にシフトロック位置とシフトロック解除位置とをそれぞれ設定する場合に比べて、部品点数の増加が抑制され、且つシフトロック機構の構造の複雑化が回避される。
【0083】
また、上記規制部材95は、下方のシフトロック位置に位置してPレンジ又はNレンジのいずれかをシフトロックしたときには他のレンジもまたシフトロックし、逆に上方のシフトロック解除位置に位置していずれかのシフトロックを解除したときには他のレンジのシフトロックもまた解除するから、Pレンジ選択位置又はNレンジ選択位置にあるシフトレバー3のシフトロックを解除してからそのままこれらの両レンジ間に位置するRレンジ選択位置を経由させてもう一方のシフトロック対象レンジであるNレンジ選択位置又はPレンジ選択位置まで移動させることが可能となる。したがって、いずれかのレンジがシフトロックされたときには他のレンジがシフトロック解除され、逆にいずれかのレンジがシフトロック解除されたときには他のレンジがシフトロックされる場合に比べて、他方のレンジに対するシフトロック又は同解除の条件項目を過度に付加する必要がなく、またシフトロックが解除されたのちはシフトレバー3を円滑にシフト操作することができる。
【0084】
ここで、シフトレバー3の当接突起部99が当接する規制部材95の当接ブロック部93の内面は二段面とされて、Nレンジシフトロック時に上記突起部99が当接する後半部の内面93bの方が、Pレンジシフトロック時に上記突起部99が当接する前半部の内面93aに比べてより内方に張り出している。これは、Pレンジ選択位置からのシフト操作時にシフトレバー3が通過する第1連通路G1に比べて、Nレンジ選択位置からのシフト操作時にシフトレバー3が通過する第5連通路G5が短く、したがって、Nレンジシフトロック時には、該レバー3のNレンジからRレンジへの移動を確実に阻止するべく、上記当接突起部99を早期に規制部材95に当接させるためである。
【0085】
また、この変速操作入力装置1においては、Pレンジ選択位置にあるシフトレバー3のシフト方向における傾斜角度と、Nレンジ選択位置にあるシフトレバー3のシフト方向における傾斜角度との相違や、上記のように、Pレンジ選択位置にあるシフトレバー3の当接突起部99が規制部材95と当接するときの該レバー3のセレクト方向における傾斜角度と、Nレンジ選択位置にあるシフトレバー3の当接突起部99が規制部材95と当接するときの該レバー3のセレクト方向における傾斜角度との相違等に起因して、図18に示すように、Pレンジシフトロック時には、上記突起部99が規制部材95の当接ブロック部93の前半部内面93aと相対的に低い位置で当接し、Nレンジシフトロック時には、上記突起部99が規制部材95の当接ブロック部93の後半部内面93bと相対的に高い位置で当接する。したがって、Nレンジシフトロックを解除するためには、その高い位置での突起部99と規制部材95との当接を回避するべく、該規制部材95を、Pレンジシフトロックを解除するときに比べて、より多く上方に移動させなければならないことになる。
【0086】
このシフトロック機構においては、上記不具合に対処するために、Nレンジシフトロック時に上記突起部99が当接する規制部材95の後半部内面93bの下部に切欠き93cを設けて、Pレンジシフトロックを解除するときと同じ少ない方の規制部材95の上方への移動量で、このNレンジシフトロックが解除されるようにしている。これにより、規制部材95の移動量を統一できると共に、これによっても、シフトロック解除位置をシフトロック位置に比較的近づけて配置することができて、上記規制部材95を両位置間で移動させるソレノイド96の駆動量が少なくて済み、その結果、より小型でコンパクトなソレノイドを用いることが可能となる。また、ソレノイドをオンとする電力消費も少なくて済む。
【0087】
そして、前述したように、Pレンジシフトロックが解除されたとき又はNレンジシフトロックが解除されたときのいずれにおいても、シフトレバー3の当接突起部99は、上方のシフトロック解除位置に移動した規制部材95の当接ブロック部93の下方に潜り込み、これにより、相互に対向する上記突起部99の先端面とブロック部93の内面93a,93bとの当接が回避されてシフトレバー3の左方へのセレクト操作が可能となる。ここで、PレンジとNレンジとの間に配置されたRレンジの選択位置は、該Pレンジ又はNレンジの選択位置のいずれよりもさらに左方に位置し、また、PレンジとRレンジとの間に配置された第2連通路G2も、該Pレンジ又はNレンジの選択位置のいずれよりもさらに左方に位置している。したがって、特に図19に示すように、いったんブレーキペダルが踏み込まれてPレンジシフトロックが解除されたのちは、Pレンジ選択位置から抜け出たシフトレバー3がRレンジ選択位置を経由してNレンジ選択位置の直前まで揺動される期間中、該レバー3の上記突起部99が上方移動した規制部材95の当接ブロック部93の下方に潜り込んだ状態が継続して維持され、また同様に、いったんブレーキペダルが踏み込まれて、あるいは車速が所定車速より低くなってNレンジシフトロックが解除されたのちは、Nレンジ選択位置から抜け出たシフトレバー3がRレンジ選択位置を経由してPレンジ選択位置の直前まで揺動される期間中、該レバー3の上記突起部99が上方移動した規制部材95の当接ブロック部93の下方に潜り込んだ状態が継続して維持されることになる。
【0088】
したがって、シフトレバー3がRレンジ選択位置にあるとき、ないし上記期間中に、例えば上記シフトロックの解除条件であるブレーキペダルの踏込みがたとえ中止され、その結果ソレノイド96がオフとなり、規制部材95が下方のシフトロック位置へ移動しようとしても、相互に対向する該規制部材95の当接ブロック部93の下面とシフトレバー3の上記突起部99の上面とが当接して該規制部材95の下方への移動が阻止されるから、該規制部材95は上方のシフトロック解除位置に保持されることになり、これにより、シフトロック解除条件がシフト操作の途中で満足されなくなったのちにおいても、その状態でシフトレバー3をRレンジ選択位置からPレンジ選択位置又はNレンジ選択位置までそのまま支障なく揺動操作することが可能となる。
【0089】
なお、上記ソレノイド96のプランジャ97に一端部が連結されたレバー部材100の該一端部と膨出部91との間にはリターンスプリング101が介設されて、上記レバー部材100は常に規制部材95をシフトロック解除位置へ上方移動させるように付勢されている。これは、ソレノイド96がオンされ続けるとプランジャ97の引込力が次第に弱まるから、それを補助するためのものである。
【0090】
(7)シフトロック強制解除機構
(8)シフトロック荷重受け機構
次に、同じく本発明の特徴部分を構成するシフトロックの強制解除機構をシフトロック荷重受け機構と併せて説明する。これらの機構の説明には図1〜図3、図6、図15〜図19を参照する。まず、シフトロック強制解除機構は、例えば、上記シフトロック機構におけるソレノイド96が作動不良を起こしたり、そのプランジャー97がスティックする等してシフトロックが解除されなくなった場合の措置として、手動による押圧操作によって上記シフトロック機構における規制部材95を強制的にシフトロック解除位置に上方移動させるものである。
【0091】
この強制解除機構は、ベース部材6の左側縁部に立設された前述の矩形状膨出部91内に上下方向に摺動自在に収容された強制移動部材111を含む。その場合に、この移動部材111は、シフトレバー3に対して、シフトロック機構における規制部材95の真後ろに位置し、該規制部材95と対向するその内面と該規制部材95とが、より詳しくは該規制部材95の上半部のブロック部93とが対接している。また、強制移動部材111のその内面には、規制部材95を摺動自在に嵌装する上記円筒ボス部92を前後に挟んで一対の受支板112,112が内方へ突設されており、該受支板112,112が上記規制部材95のブロック部93の直下方に位置している。
【0092】
一方、アッパープレート9には、その中央部に形成されたガイド用凹部17から左方へ延びる庭部113が設けられていると共に、該庭部113の左側縁部から水平断面コ字状の縦壁部114が下方へ延設されて、該縦壁部114の下端部に設けられた水平断面L字状の突起115,115が、上記ベース部材6の膨出部91に形成された同形状の溝部116,116に緩く嵌合した状態で、該縦壁部114と膨出部91とが上下方向において当接し合っている。これにより、ビス10による締結がなされていないこの左側前部におけるアッパープレート9とベース部材6との上下方向における支持が行なわれている。なお、この左側前部におけるアッパープレート9とベース部材6とのビス10による締結がなされていないのは、該アッパープレート9とベース部材6との締結を行なったのちにおけるこれらの間に配設される種々の部材の組付け作業性、例えば第1ケース部材13の上方延設部27への操作用ケーブル26の連結作業性を確保するためである。
【0093】
また、その場合に、アッパープレート9の上記コ字状縦壁部114と強制移動部材111との間には水平方向において間隙が空けられており、上記ベース部材6の膨出部91が強制移動部材111の下部をしっくりと嵌装するのに対して、この縦壁部114は該移動部材111の上部をカバーするも、該移動部材111とは水平方向において接触することがないように構成されている。
【0094】
さらに、強制移動部材111の上面には上方へ延びる柱状部121が設けられ、この柱状部121が、アッパープレート9の上記庭部113に形成された凹部113aの底面を貫通して上方に臨んでいる。一方、該凹部113a内には支軸122を中心に回動するシーソー式のレバー123が係止されており、該レバー123における外側の一端部に上記柱状部121の上端が係合されていると共に、該レバー123における内側の他端部は、カバー2に上下方向に移動自在に備えられたシフトロック解除ボタン125の直下方に位置している。
【0095】
そして、上記凹部113aの底面と強制移動部材111との間にリターンスプリング126が介装されており、通常時は、このスプリング126の付勢力によって、強制移動部材111が下方に位置し、したがってレバー123の外側の一端部が下がり、内側の他端部が上がり、該他端部によってシフトロック解除ボタン125が上方の非作動位置に押し上げられている。この状態では、シフトロック機構における規制部材95のシフトロック位置とシフトロック解除位置との間の上下移動は支障なく行なわれ、ソレノイド96のオンオフ切換えによる上記シフトロック機構の本来的な機能が奏される。
【0096】
一方、シフトロック解除ボタン125が下方に押し下げられたときには、図16、及び図18に鎖線で示すように、その手動押圧力によって、レバー123の内側の他端部が下がり、外側の一端部が上がり、該一端部によって強制移動部材111が上記スプリング126の付勢力に抗して上方に移動し、これに伴い、該強制移動部材111の内面に突設された受支板112,112が規制部材95、より具体的には該規制部材95の当接ブロック部93を下方から受支した状態でこれを上方のシフトロック解除位置へ強制移動させる。これにより、シフトロック機構の作動不良時等において、Pレンジ選択位置又はNレンジ選択位置からのシフトレバー3のセレクト操作を規制する上記規制部材95をシフトロック解除位置へ強制的に上方移動させることができ、したがってシフトロックが解除され、上記解除ボタン125を下方へ押圧した状態でシフトレバー3をPレンジ選択位置又はNレンジ選択位置からそれぞれRレンジ選択位置方向へシフト操作することが可能となる。
【0097】
なお、シフトレバー3をRレンジ選択位置方向へシフト操作したのちは、シフトロック解除ボタン125の押圧操作をそこで打ち切ってよいことになるが、このときは、前述のシフトロック機構が本来的に機能した場合と同様に、シフトレバー3の当接突起部99が上方へ強制移動された規制部材95のブロック部93の下方に潜り込んだ状態となるから、シフトロック解除ボタン125の押圧操作による強制移動部材111ないし規制部材95の強制的な上方移動が解かれても、図17に示すように、強制移動部材111のみが下方に下がり、該移動部材111の受支板112,112による規制部材95の下方からの受支が解除された状態で、規制部材95のシフトロック位置への下方移動が阻止されることになる。
【0098】
このように、シフトロックを手動で解除するためのシフトロック解除ボタン125の押圧操作が下方へ向けて行なわれるのに対し、シフトロック解除のための規制部材95のシフトロック解除位置への移動、ないし該規制部材95をシフトロック解除位置へ移動させるための強制移動部材111の移動がそれとは逆の上方へ向けて行なわれるように構成されていても、上記解除ボタン125と強制移動部材111との間に介設されたシーソー式のレバー123の回動という簡単な動作によって、上記の下方への押圧操作力が反転されて、強制移動部材111ないし規制部材95に上方への移動力として無理なく円滑に伝達されることになる。
【0099】
また、上記規制部材95が下方のシフトロック位置に移動しているときにシフトレバー3がPレンジ選択位置又はNレンジ選択位置から左方へセレクト操作されたときには、該レバー3の当接突起部99の先端面が上記規制部材95の当接ブロック部93の内面93a,93bと当接してその揺動が阻止され、そのときのシフトレバー3の揺動に伴う当接時の衝撃荷重が上記規制部材95に作用することになるが、上記レバー3に対してこの規制部材95の真後ろには、シフトロック強制解除機構に属する強制移動部材111が位置しており、これらの移動部材111と規制部材95の当接ブロック部93とが相互に対接しているから、該強制移動部材111によって上記のシフトレバー3の水平方向の衝撃荷重が受け止められることになる。これにより、シフトロック時の荷重受け機構が実現されて、上記規制部材95の摺動軸部94がわずかに水平方向にあそびをもって円筒ボス部92に挿通していることとも相まって、該規制部材95の当接ブロック部93がシフトロック時に摺動軸部94に対して外方向に撓んだり、破損したりするというような規制部材95の耐久性の低下の問題が抑制されることになる。
【0100】
その場合に、上記規制部材95を背後から支持してシフトレバー3の衝撃荷重を受け止める強制移動部材111自体が、ベース部材6に上方に立設された矩形状膨出部91にしっくりと嵌装された状態で支持されているから、上記シフトレバー3の衝撃荷重は、さらに上記膨出部91ないしベース部材6、ひいては最終的に車体によってしっかりと受け止められることになり、強制移動部材111自体の耐久性の低下の問題もまた低減されることになる。
【0101】
このように、当該シフトロック強制解除機構が、その本来の機能と併せて、シフトロック時におけるシフトレバー3の衝撃荷重受け機構としての機能をもまた兼ね備えているから、該荷重受けのための縦壁等を例えばベース部材6等に専用に形成する必要がなくなり、変速操作入力装置1としての全体構造がより簡単化する。
【0102】
ここで、上記シフトロック機構(兼シフトロック荷重受け機構)の配置位置の前方には、第1ケース部材13の上方延設部27に連結された操作用ケーブル26や、キーインターロック機構のためのロックケーブル70を移動させる前述のケーブル移動機構等が配設され、また後方には、次に説明するケーブル切り離し機構等の各種の機構ないしその部材が多数配設されている。したがって、当該シフトロック強制解除機構を上記のようにシフトロック機構の配置位置と前後方向において重ねて配設することにより、上記の他の機構や部材との干渉が避けられて、各機構間のレイアウト性が向上すると共に、そのような他の機構や部材との干渉が避けられることにより、強制移動部材111やレバー123、ないしはカバー2におけるシフトロック解除ボタン125の配置位置についての自由度が確保されて、該解除ボタン125を運転者が押圧操作し易い位置に配置することが可能となる。
【0103】
なお、上記解除ボタン125の押圧操作によって下方へ押し下げられるレバー123の内方端部の下面は、所定の長さの範囲でアッパープレート9の凹部113aの底面と当接するように三角形状とされて、該底面の一点に上記押圧力が集中することが回避されていると共に、解除ボタン125を過度に押圧操作することを規制するストッパの機能を有している。
【0104】
(9)ケーブル切り離し機構
(10)Mレンジスイッチの操作機構
これらの機構の説明には図4〜図9を参照する。前述したようにシフトレバー3を第2支軸32で直接支持する第2のケース部材14は、ほぼ上記レバー3の基部材5における角柱状本体21に沿う範囲で展開された左右の両壁部201,202を有する。そして、その左右両壁部201,202の各上端部は、それぞれ、前部及び後部に上下二段の突出部t…t及び該突出部t…tに挟まれた切欠き部k…kを有する概略T字状の段付き形状の係止部29,29とされている。その場合に、右側の係止部29の寸法は左側の係止部29の寸法に比べて、前後方向の幅が全体的に小さく設定されている。
【0105】
そして、この係止部29,29、すなわち第2ケース部材14の左右の両壁部201,202の上端部に、移動ブロック体203が嵌め込み組み付けられている。この移動ブロック体203は、平面視で外形が多角形状とされ、且つ、その内部には、同じく平面視で多角形状の開口部204が形成されている。そして、その開口部204は、大きく三つの部分から構成され、前後方向の幅が最も狭い平面視で最右側の部分と、その幅より大きい前後方向の幅を有する中央部の部分と、その幅よりさらに大きい前後方向の幅を有する最左側の部分とからなる。
【0106】
その場合に、最右側の開口部の幅は、第2ケース部材14の右側壁部202の係止部29の切欠き部k,k間の幅と略同じとされ、中央部の開口部の幅は、レバー3の基部材5の本体を構成する四角柱部分21の前後方向の幅や、左側壁部201の係止部29の切欠き部k,k間の幅、及び右側壁部202の係止部29の突出部t,t間の幅と略同じとされ、そして、最左側の開口部の幅は、左側壁部201の係止部29の突出部t,t間の幅と略同じとされている。
【0107】
そして、この移動ブロック体203は、上記中央部の開口部に、レバー3の基部材5の本体四角柱部分21と、右側壁部202の係止部29の突出部t,tとが共に挿通し、且つ、上記最左側の開口部に、左側壁部201の係止部29の突出部t,tが挿通するように、上方からシフトレバー3と第2ケース部材14とに嵌入され、この状態で、右方向にスライド移動されることによって、右側壁部202の係止部29の切欠き部k,kと最右側の開口部とが係合し、レバー3の基部材5の本体四角柱部分21がそのまま中央部の開口部内に留まってこれら両者が係合し、且つ、左側壁部201の係止部29の切欠き部k,kと中央部の開口部とが係合して、これによって第2のケース部材14に支持され、この移動ブロック体203は、上記左右の係止部29,29と開口部204との係合を介して、車体幅方向において該第2ケース部材14に対して相対移動可能とされており、また、同じく車体幅方向においてシフトレバー3に対しても相対移動可能とされている。また、シフトレバー3と第2ケース部材14とが一体となって車体前後方向において揺動したときは、この移動ブロック体203は、該レバー3及び第2ケース部材14と一体となって前後方向に移動することになる。
【0108】
さらに、上記移動ブロック体203は、第2ケース部材14の左側壁部201の外面との間に介設されたスプリング210により、常時、左方向へ付勢されており、この状態で、上記中央部の開口部と最右側の開口部との境に形成された移動ブロック体203の前後の段部と、レバー3の本体四角柱部分21の右側の前後の角部とが当接して、上記スプリング210の付勢力による移動ブロック体203の左方向への移動が阻止されている。
【0109】
そして、シフトレバー3が例えばPレンジやNレンジあるいはDレンジの選択位置にあって、該レバー3が上記付勢機構により右方へ付勢されて、セレクト方向において最も右側に位置している状態では、上記レバー3の角部とブロック体203の段部との当接により、該ブロック体203もまた最も右側へ移動されており、特に、シフトレバー3がPレンジ選択位置又はNレンジ選択位置にあるときには、上記シフトロック強制解除機構のレバー123が収容されるアッパープレート9の凹部113aの下面から垂下して前後方向に延びる垂下壁211の内面に、上記ブロック体203の左側端部が近接して臨まれた状態となる(図15〜図17も参照)。
【0110】
そして、シフトレバー3が上記Pレンジ選択位置又はNレンジ選択位置から上記付勢機構による右方への付勢力に抗してセレクト方向において左方に揺動されると、該レバー3の角部とブロック体203の段部との当接位置も左方に移動し、該ブロック体203が上記スプリング210の付勢力によって左方向に移動して、その左側端部が上記垂下壁211の内面と当接する。なお、このとき、第2ケース部材14は前述したように左右方向へは揺動されない。
【0111】
そして、上記レバー3がさらに左方に揺動されても、該ブロック体203は上記垂下壁211との当接によってそれ以上の左方向への移動が阻止されているから、該垂下壁211の配設位置を越えては左方へは移動しない。また、第2ケース部材14は左右方向に揺動されないから、シフトレバー3のさらなる左方への揺動に伴ってスプリング210がさらに圧縮され、その結果、過剰に大きな付勢力がブロック体203ないし垂下壁211に作用するというようなこともない。つまり、シフトレバー3のみが、上記レバー付勢機構による右方への付勢力のみに抗して左方ヘ揺動され、ブロック体203にはそのシフトレバー3の幅方向の揺動が伝達されないことになる。
【0112】
一方、第1ケース部材13においては、前面左側部の上方延設部27に操作用ケーブル26の一端が連結され、その上方延設部27に車体幅方向の厚肉部が設けられていると共に、後面右側端部における前述の後方への扇状延設部28の前端部分もまた車体幅方向の厚肉部とされている。そして、ブロック体203の外形としては、これに対応するように、左側前部に前方に突出する前方突出部220が、また、右側後部に後方に突出する後方突出部221がそれぞれ形成されて、これらの前方後方突出部220,221間の前後方向の長さと、上記第1ケース部材13における上方延設部27の後端部と扇状延設部28の前端部との間の前後方向の長さとが略同じとされている。
【0113】
そして、移動ブロック体203が前述のように左側方の垂下壁211でその左側への移動が阻止されている期間中は、換言すれば、該ブロック体203が第1ケース部材13に対して比較的右側に位置している期間中は、このブロック体203における上記の左側前方突出部220が、第1ケース部材13における左側前部のケーブル連結部27の厚肉部と対接すると共に、ブロック体203における上記の右側後方突出部221が、第1ケース部材13における右側後部の扇状延設部28の厚肉部と対接し、これにより、該ブロック体203は第1ケース部材13に対して、車体幅方向においては相対移動するも、車体前後方向においては一体化する。
【0114】
したがって、この状態でシフトレバー3が前後に揺動されたときには、もともとこの方向において該レバー3と一体化している第2ケース部材14はもとより、これらのシフトレバー3と第2ケース部材14との双方に支持されている上記ブロック体203もまた前後方向に移動するのみならず、このブロック体203と上記の対接関係を介して一体化された第1ケース部材13もまた前後方向において揺動することになる。
【0115】
したがって、この第1ケース部材13に連結された上記操作ケーブル26は、シフトレバー3のシフト方向における揺動に伴って前後方向に移動し、このケーブル移動に連動して、当該車両の自動変速機における油圧制御回路に配設されたマニュアルバルブ(図示せず)が各レンジ用の位置に移動して、上記油圧制御回路の油路が各レンジ用に切り換えられることになる。
【0116】
以上により、第1ケース部材13がブロック体203を介してシフトレバー3及び第2ケース部材14と一体化されて前後方向において揺動することにより、この第1ケース部材13に連結された操作ケーブル26の移動に連動してマニュアルバルブが各レンジ用の位置に移動し、上記油圧制御回路の油路が各レンジ用に切り換えられることになる。
【0117】
そして、上記垂下壁211は、シフトレバー3がDレンジの選択位置に位置するときに上記ブロック体203が位置する場所に対応して、その後端部が途切れている。したがって、この位置においては、上記ブロック体203の左側端部は何にも当接せず、上記垂下壁211を越えて左方へ移動することが可能な状態となる。そして、その場合に、上記レバー付勢機構による右方への付勢力が、上記ブロック体203を左方へ付勢するスプリング210の付勢力よりも大きく設定されている。したがって、シフトレバー3が前方から揺動されてきて、このDレンジ選択位置に至ったとしても、その瞬間に上記ブロック体203が上記垂下壁211を越えて左方へ移動することはなく、シフトレバー3が上記レバー付勢機構による右方への付勢力に抗して左方へセレクト操作されたときに初めて上記ブロック体203が上記垂下壁211を越えて左方向へ移動することになる。
【0118】
そして、このようにシフトレバー3がDレンジから左方へセレクト操作されたとき、つまりMレンジ選択位置に切り換えられたときには、該レバー3がMレンジの中立位置に至ることになり、このときブロック体203が左方向へ移動するが、この時点で、図9に示すように、該ブロック体203と第1ケース部材13との対接が解除され、したがってこれらの間の一体化が解除される。つまり、Mレンジに切り換えられたのちの状態においては、シフトレバー3が手動変速のために前後方向に揺動されたときには、図9に鎖線で示すように、該レバー3とブロック体203と第2ケース部材14とが一体となって前後方向に揺動ないし移動するが、第1ケース部材13にはその前後方向の揺動が伝達されないことになる。その結果、Mレンジ内で手動変速のためにシフトレバー3がシフト操作されても、第1ケース部材13は前後方向に揺動されず、したがって、上記操作ケーブル26が移動することがなく、その結果、マニュアルバルブが油圧制御回路内で移動せず、DレンジないしMレンジの前進走行レンジが選択されたときの位置に留まることになる。したがって、前進走行用の油路が、例えば隣接するNレンジ用油路等の他のレンジ用油路に近づいたり、切り換わったりすることがなく、前進走行時に締結されている摩擦要素に対する作動圧がドレンによって低下し、締結用に必要な油圧が不足する等といった不具合が確実に回避されることになる。
【0119】
そして、シフトレバー3が再びMレンジからDレンジへ右に揺動されると、ブロック体203は該レバー3との段部及び角部の当接を介して同様に右方へ移動し、その際に、再び第1ケース部材13との対接、一体化状態が復活して、以後、シフトレバー3の前方への揺動にしたがって、ケーブル26も移動することになる。
【0120】
なお、この場合、ブロック体203と第1ケース部材13との一体化が解除されている期間中、つまりMレンジが選択されている期間中は、第1ケース部材13の後部の扇状延設部28と第2板バネ44との係合により、該第1ケース部材13はDレンジあるいはMレンジ位置において保持されているから、該期間中に、第1ケース部材13が自由に前後方向に揺動して、MからDへの切換え時に、ブロック体203と第1ケース部材13との一体化が実現しないというような不具合は回避される。
【0121】
一方、上記垂下壁211の後端部が途切れた位置に対応してその左外側方には、Mレンジが選択されたことを検出するMレンジスイッチ250が、前述のシフトロック機構等における膨出部91に隣接してベース部材6に配置されており、上記のDレンジからMレンジへのシフトレバー3の操作時におけるブロック体203の左方向への移動が、このMレンジスイッチ250の操作機構を構成している。すなわち、上記のようにブロック体203が上記垂下壁211を越えて左方向へ移動したときには、該ブロック体203の左側端部が上記Mレンジスイッチ250の切片を押圧し、これにより該スイッチ250をオンさせるのである。そして、その場合に、該ブロック体230の左側端部は、前後方向に充分の長さを有し、図9に鎖線で示すように、シフトレバー3が手動変速時にシフト方向に操作されたときにおいても常に該ブロック体203が上記Mレンジスイッチ250をオンし続けるようになっている。
【0122】
このように、この操作ケーブル切離し機構においては、シフトレバー3がDレンジ位置からMレンジ位置に揺動されたときにのみ、該シフトレバー3と操作ケーブル26との連係が切断され、そして再びシフトレバー3がMレンジ位置からDレンジ位置に揺動されたときに、該シフトレバー3と操作ケーブル26との連係が接続される。
【0123】
そして、そのレバー3とケーブル26との連係の切断が、ブロック体203と第1ケース部材13との一体化が解除されることによって行なわれるが、その一体化を解除するための上記ブロック体203のセレクト方向における移動が、Dレンジ位置ないしMレンジ位置においてのみ可能とされており、他のレンジ位置では上記ブロック体203のセレクト方向における移動が垂下壁211によって阻止されている。しかしながら、このときレバー3とブロック体203とがセレクト方向において相対揺動ないし相対移動可能な関係とされているから、前述したようにシフトレバー3が大きくセレクト方向において揺動されても、それに伴う過剰な押圧力等がブロック体203や垂下壁211等に伝達されることがない。
【0124】
したがって、PレンジからRレンジへの切換え時に、シフトレバー3が第1連通路G1に沿って揺動経路の最左側まで揺動されても、レバー3とケーブル26との連係が切断されることがないのみならず、ブロック体203が垂下壁211を破壊し、該垂下壁211を越えて、レバー3とケーブル26との連係を切断する位置まで移動するようなことが有効に回避されることになる。
【0125】
また、その場合に、移動ブロック体203が第2ケース部材14の上端部で、左右両壁201,202の二箇所で支持されているから、たとえ該ブロック体203の両端部が垂下壁211や第1ケース部材13と当接して、シフトレバー3の軸心を中心とする水平方向の応力が作用しても、該ブロック体203は同方向にこじれることがなく安定的に支持される。
【0126】
さらに、移動ブロック体203と第2ケース部材14とが、寸法の相互に異なる左右の係止部29,29とブロック体203の左、中、右の三種類の開口とによって簡便な形態で係合されているから、該ブロック体203の組付け作業性の向上が図られる。
【0127】
(11)シフト操作荷重受け機構
最後に、シフトレバー3とシフトゲート15との当接時の衝撃荷重を柔らげる荷重受け機構を説明する。この機構の説明には図2、図4、図10〜図12を参照する。この機構は、シフトレバー3の基部材5の本体21の後面から上方に突出する後側板状体24と、該レバー3の後方でアッパープレート9の下面に設けられた下方突起301とで構成されている。
【0128】
前述したように、シフトレバー3はアッパープレート9に形成されたシフトゲート15と当接することにより、その前後左右方向の揺動が規制され、これにより、該シフトレバー3の揺動経路が上記シフトゲート15の形状によって決定される。したがって、レンジ選択操作の度に、シフトゲート15は上記レバー3によって当接され、その際に当接衝撃力が加えられるから、このシフトゲート15には、そのような無数回に及ぶレバー3の揺動の衝撃に耐え得るだけの耐久性が求められる。
【0129】
そして、この変速操作入力装置1におけるシフトゲート15では、Mレンジ選択位置が設けられ、その結果、Nレンジ選択位置とDレンジ選択位置との間の第6連通路G6と、上記Mレンジ選択位置の一部を構成する第8連通路G8とが共にシフト方向に延びるように平行に配置されていると共に、シフトゲート15がジグザグの鉤型形状とされ、且つ、特に、セレクト方向において同じ位置で一列に配置したPレンジ選択位置、Nレンジ選択位置及びDレンジ選択位置に対して、Mレンジ選択位置とRレンジ選択位置とを同じ側に配置したことにより、Rレンジ選択位置からNレンジ選択位置への切換え操作経路の一部を構成する第4連通路G4の終端部と、上記第8連通路G8の終端部(シフトアップ位置)とが相互に近接して設けられているため、第5連通路G5、第6連通路G6、第7連通路G7及び第8連通路G8で囲まれた部分のシフトゲート15の形状(より具体的にはシフトゲート15を形成するためのアッパープレート9のその部分Zの形状)が、基部が細い突出部となっている。したがって、この突出部Zに対して前後左右の四方向からレバー3の当接力が加えられたときには、その耐久性の問題が顕著となる。
【0130】
この機構は、特に上記のような突出部Zの耐久性の向上を図るもので、図10に矢印Cで示すように、シフトレバー3の円柱部材4が、RからNへの操作時にシフトゲート15における上記突出部Zの前端部と当接するときには、上記板状体24の後端部と下方突起301の前端部とが、矢印Dで示すように、これとは別の場所で当接し、また、図12に矢印Eで示すように、シフトレバー3の円柱部材4が、Mレンジのシフトアップ位置から右方向へ揺動された場合にシフトゲート15における上記突出部Zの左側部と当接するときには、上記板状体24の右側部と下方突起301の左側部とが、矢印Fで示すように、これとは別の場所で当接するようになっている。
【0131】
これにより、レバー3とゲート15との当接力が分散されて該ゲート15の耐久性の向上が図られることになる。また、上記板状体24がシフトレバー3に、下方突起301がアッパープレート9に設けられ、さらにアッパープレート9にはシフトゲート15も形成されているから、これらの相互の位置関係が正確に図られて、それぞれの当接がほぼ同時に起こるように設定し易くなり、効果的に衝撃力が分散されることになる。
【0132】
また、NからDへの切換え時には、図10に矢印Gで示すように、上記板状体24が下方突起301の右側方を干渉することなく通過し、またDからMへの切換え時には、図11に矢印Hで示すように、上記板状体24が下方突起301の後方を干渉することなく通過する。
【0133】
このように、第5、第6、第7、第8の四つの連通路G5〜G8で囲まれたアッパープレート9の突出部Zが基部の細い脆弱な部分となっているが、この部分Zについては、上記のRからNへのシフト操作時と、シフトアップ位置での右への揺動時だけでなく、他の二方向からも当接衝撃力が加えられる可能性がある。すなわち、NからDへの切換え時においてレバーが左へ揺動操作されるときと、DからMへの切換え時においてレバーが前へ揺動操作されるときとであるが、これらはいずれもレンジの切換え途中であり、位置決め用ディテント凹部の山を越えている最中であるから、そのようなレバー3の操作は起こりにくい。しかし、それらの場合においても、板状体24と下方突起301とが当接するようになっているから、やはりゲート15の耐久性は確保されることになる。
【0134】
また、この場合、上記の基部の細い、耐久性に問題が生じる部分Zにおいて、アッパプレート9に、例えば金属板等の補強材を埋め込んで耐久性を向上させるようにしてもよい。
【0135】
なお、以上説明した実施の形態においては、前後方向がシフト方向、左右方向がセレクト方向とされたが、シフト方向ないしセレクト方向はこのような車体の向きとは無関係なものであることはいうまでもない。
【0136】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、シフトロック強制解除機構に属する強制移動部材をシフトロック機構に属する規制部材に近接配置することにより、該強制移動部材にシフトレバーの揺動規制の強制的解除の機能とシフトレバーの水平方向の衝撃荷重の受け止めという機能との2つの役割の兼用と、該強制移動部材ないしシフトロック強制解除機構のレイアウト性の向上とが併せて実現される。本発明は、特に、シフトロック機構とシフトロック強制解除機構とを合わせ持つ鉤型シフトゲートを備えた自動変速機に好ましく適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る変速操作入力装置のうち車両の乗員室内に現れた部分の平面図である。
【図2】 同装置全体の概略平面図である。
【図3】 同装置の一部切欠き左側面図である。
【図4】 図2のア−ア線に沿う縦断面図である。
【図5】 同装置のシフトレバーの周辺構造を示す右側面図である。
【図6】 同装置のシフトレバーの周辺構造を前方から示す縦断面図である。
【図7】 同じく後方から示す縦断面図である。
【図8】 同じく上方から示す一部切欠き平断面図である。
【図9】 Mレンジが選択されたときの同装置のシフトレバーの周辺構造を上方から示す平断面図である。
【図10】 R−Nシフト操作時のシフトレバーの動きを上方から示す概略図である。
【図11】 D−Mシフト操作時のシフトレバーの動きを上方から示す概略図である。
【図12】 手動シフトアップ操作時のシフトレバーの動きを上方から示す概略図である。
【図13】 Pレンジ選択操作時のシフトレバーの動きを上方から示す概略図である。
【図14】 同装置の要部拡大一部切欠き左側面図である。
【図15】 Pレンジシフトロックが行なわれたときの同装置のシフトレバーの周辺構造を前方から示す縦断面図である。
【図16】 Pレンジシフトロックが解除されたときの同装置のシフトレバーの周辺構造を前方から示す縦断面図である。
【図17】 Nレンジシフトロックが解除されたときの同装置のシフトレバーの周辺構造を前方から示す一部切欠き縦断面図である。
【図18】 シフトレバー側からみたシフトロック機構の要部拡大側面図である。
【図19】 シフトロック機構の要部拡大平断面図である。
【符号の説明】
1 変速操作入力装置
2 同装置のカバー
3 シフトレバー
4 同レバーの円柱部材
5 同レバーの基部材
6 ベース部材
9 アッパープレート
15 鉤型シフトゲート
21 シフトレバー基部材の角柱状本体
31 シフトレバーのシフト方向揺動支軸
32 シフトレバーのセレクト方向揺動支軸
91 ベース部材左側縁部の上方膨出部
92 同膨出部内壁の円筒形ボス部
93 シフトロック機構の規制部材の当接ブロック部
93a 同当接ブロック部のPレンジシフトロック用前半部内面
93b 同当接ブロック部のNレンジシフトロック用後半部内面
94 シフトロック機構の規制部材の摺動軸部
95 シフトロック機構の規制部材
96 シフトロック機構のソレノイド
97 同ソレノイドのプランジャ
99 シフトレバー基部材の当接突起部
100 シフトロック機構のレバー部材
111 シフトロック強制解除機構の強制移動部材(規制解除部材)
112 同強制移動部材の受支板
121 同強制移動部材の柱状部
122 シフトロック強制解除機構のレバーの支軸
123 シフトロック強制解除機構のレバー
125 シフトロック解除ボタン
126 シフトロック強制解除機構のリターンスプリング

Claims (2)

  1. シフトレバーの揺動経路が相互に直交する第1、第2の方向に延びる複数の経路の組み合わせにより構成され、該揺動経路に沿ってシフトレバーの複数の揺動位置が配置されていると共に、所定の条件の下で上記シフトレバーに当接することにより該レバーの所定の揺動位置から他の揺動位置への揺動操作を規制する規制部材と、運転者の手動操作により該規制部材によるシフトレバーの上記揺動操作に対する規制を解除する規制解除部材とが備えられた自動変速機の変速操作入力装置であって、シフトレバーの上記揺動操作を規制したときに上記規制部材に入力される荷重を背後で受け止めるように、上記規制解除部材が、シフトレバーの上記揺動操作の線上でその規制位置にある規制部材の背面側に近接配置されていることを特徴とする自動変速機の変速操作入力装置。
  2. シフトレバーを揺動自在に支持するベース部材に、規制解除部材を嵌合状態で保持する膨出部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速操作入力装置。
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