JP3914324B2 - 水性接着剤組成物、並びにそれを用いた接着方法および接着物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、各種基材、特にエラストマーの接着に好適な水性接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
接着剤または接着剤組成物は、金属、ガラス、プラスチック、エラストマー等の各種の基材同士を同等に強固に接着できることが望ましい。しかし、特にエラストマーの場合は、硬化方法等によって多くの異なった種類があるため、これらを他の基材に同等に強固に接着する接着剤または接着剤組成物を開発することは困難であり、また、たとえ開発されても環境汚染など、別の面で問題を有していた。すなわち、エラストマーのうち、例えば、多くの天然ゴム組成物は種々の硫黄化合物を利用して硬化される。
【0003】
またシリコーンゴム、ニトリルブタジエンゴムおよびフルオロエラストマーのようなエラストマーはポリオール又は過酸化物を利用して硬化される(非硫黄硬化型と呼ばれる)。これらの非硫黄硬化型エラストマーは、高温や有機流体環境のような苛酷な条件に耐えうる高性能特殊エラストマーとしてシールおよびガスケットの製造に利用され、工業的に極めて有用な材料である。しかし、このような非硫黄硬化型エラストマーの接着に、硫黄硬化型エラストマーを効果的に接着する接着剤または接着剤組成物を適用しても、必ずしも同等の接着性能を示さない。一般に、非硫黄硬化型エラストマーは硫黄硬化型エラストマーに比べて接着が困難だからである。
【0004】
一方、非硫黄硬化型エラストマーである過酸化物硬化性シリコーンゴムの接着用として開発された接着剤組成物のー例が米国特許第3,022,196号に記載されている。この接着剤組成物は基材との密着性、耐熱性及び耐オイル性に優れているが、その主成分は、水不溶性のビニルトリエトキシシランとγ−アミノプロピルトリエトキシシランとの混合物(混合比は重量比で約5:1)であるため、有機溶剤にしか溶解しない。すなわち、この組成物は有機溶剤系である。有機溶剤、特に揮発性溶剤の使用は、環境汚染を起し易い。
【0005】
過酸化物硬化性エラストマー用の水性接着剤組成物の別の例が特開平5−86335に示されている。この接着剤組成物の主成分は、有機溶剤を含まないものであるが、アルコキシシランと、腐食性のある不飽和酸との混合物であるため、鉄、鋼等の錆び易い基材に接着した場合、接着面が腐食し、十分な接着が得られないという欠点がある。しかも、この接着剤組成物は、基材との密着性、耐熱性及び耐オイル性に関して、有機溶剤系接着剤組成物と同等レベルまで達していないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような事情に鑑みなされたもので、その目的は、各種基材間の接着に有用で、特に非硫黄硬化型エラストマーを、強固に接着でき、しかも有機溶剤系接着剤組成物と同等の密着性、耐熱性および耐オイル性を備えた、環境的に安全な水性接着剤組成物、並びにそれを用いた接着方法および接着物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、 99.5〜50重量%の下記単量体(A)、0.5〜50重量%の下記単量体(B)および0〜49.5重量%の下記単量体(C)からなる共重合体100重量部と、下記(D)のアルコキシシラン10〜200重量部と、下記(E)のアルコキシシラン0〜100重量部とを加水分解・縮合に供して得られる縮合重合体と、
該縮合重合体を含む水性媒体とを含有することを特徴とする水性接着剤組成物を提供する。
(A)一般式(1):
【0008】
【化2】
〔式中、R1は水素原子またはメチル基であり、Qは−OR2または−NR3R4(但し、R2は少なくとも1個の、アミノ基またはアンモニウム塩基を含有する1価有機基であり、R3およびR4は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または少なくとも1個の、アミノ基もしくはアンモニウム塩基を含有する1価有機基である。)である。〕
で表わされる不飽和単量体。
【0009】
(B)一般式(2):
R5Si(OR6)n(R7)3-n ・・・(2)
(式中、R5は少なくとも1個の重合可能な炭素−炭素不飽和結合を含有する1価有機基であり、R6は炭素数1〜3のアルキル基または炭素数2〜6のアルコキシアルキル基であり、R7は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、またnは1〜3の整数である。)
で表わされるアルコキシシラン単量体。
(C)前記(A)および(B)成分以外のエチレン性不飽和単量体。
(D)一般式(3):
R8Si(OR9)n(R10)3-n ・・・(3)
(式中、R8は少なくとも1個の重合可能な炭素−炭素不飽和結合を含有する1価有機基であり、R9は炭素数1〜3のアルキル基または炭素数2〜6のアルコキシアルキル基であり、R10は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、またnは1〜3の整数である。)
で表わされるアルコキシシラン。
(E)一般式(4):
R11Si(OR12)n(R13)3-n ・・・(4)
(式中、R11は、アミノ基含有アルキル基、エポキシ基含有アルキル基、
または、炭素数1〜3のアルコキシ基であり、
R12は、炭素数1〜3のアルキル基であり、
R13は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、
またnは1〜3の整数である。)で表わされるアルコキシシラン。
【0010】
また、本発明は上記接着剤組成物を基材間に適用し、次いで全体に熱および圧力を加えて前記基材同士を接着する工程からなることを特徴とする接着方法を提供する。
更にまた、本発明は基材としてエラストマーおよび金属を用いて上記接着方法に従って調製されたエラストマー−金属接着物を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。まず、本発明で使用される材料について説明する。
水性媒体
本発明で用いられる水性媒体としては水が最適である。しかし、接着剤組成物の基材に対する濡れ性を高めたりすることを目的として、水に、水と相溶性のある有機溶剤を混合使用してもよい。この有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルカルビトール、エチルカルビトール、メチルセロソルプ、エチルセロソルブ、酢酸、前記アルコールの酢酸エステル類等が挙げられる。これら有機溶剤を単独、あるいは2種以上混合して使用してもよい。有機溶剤の割合は、有機溶剤−水混合物の50重量%未満が好ましい。
【0012】
(A) 成分の単量体
前記共重合体の合成に使用される一般式(1)で表わされる不飽和単量体(A)の具体例としては、アクリルアミド、メ夕クリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロイルモルホリン、およびこれらにアルキルハライドが付加した第4級化塩等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記例の中でもN,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミドおよびN,N-ジエチルメタクリルアミドが、得られる接着剤組成物の接着性が良好であるという点から望ましい。
【0013】
重合に供される上記不飽和単量体(A)は全単量体(A)+(B)+(C)に対し99.5〜50重量%、好ましくは95〜60重量%の量である。不飽和単量体(A)が50重量%未満では、得られる組成物の水溶性および接着性が低下する。また99.5重量%より多い場合は、接着性が不十分となる。
【0014】
(B) 成分の単量体
前記共重合体の合成に使用される一般式(2)で表わされるアルコキシシラン単量体(B)の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記例の中でもビニルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランは、得られる接着剤組成物の接着性が良好であるという点から好ましい。
【0015】
重合に供されるアルコキシシラン単量体(B)は全単量体(A)+(B)+(C)に対し0.5〜50重量%、好ましくは3〜30重量%の量である。アルコキシシラン単量体(B)が0 .5重量%未満では上記不飽和単量体(A)と同様、得られる接着剤組成物の接着性が不十分となる。またこの単量体(B)が50重量%より多い場合、組成物の水溶性が低下する。
【0016】
(C) 成分の単量体
前記共重合体の合成に使用される前記単量体(A)および単量体(B)以外のエチレン性不飽和単量体(C)の具体例としては、酢酸ビニル、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用するようにしてもよい。上記例の中でも共重合性が良好なこと、および得られる組成物の水溶性が良好なことから、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
重合に供される工チレン性不飽和単量体(C)は全単量体(A)+(B)+(C)に対し49.5〜0重量%、好ましくは35〜0重量%の量である。
【0017】
(D) 成分のアルコキシシラン
前記共重合体とともに加水分解縮合させる、一般式(3)で表わされるアルコキシシラン(D)の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記例の中でもビニルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが、得られる接着剤組成物の接着性が良好であるという点から好ましい。
(E) 成分のアルコキシシラン
前記共重合体に加水分解縮合させる、一般式(4)で表わされるアルコキシシラン(E)の具体例としては、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(βアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(βアミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記例の中でも、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランは、接着剤組成物としての接着性が良好であるという点から好ましい。
【0018】
次に以上の単量体(A)、(B)、(C)、(D)および(E)を用いて共重合体および縮合重合体を製造する方法について説明する。
共重合体の製造
上記単量体(A)、(B)および(C)を用いて共重合体を製造するには、媒体に重合開始剤を添加し、所産量のこれら単量体の混合物を60〜90℃で1〜5時間かけて滴下し重合させる。なお、必要ならば、予め、分子量調節を目的としてドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤を添加する。
重合に用いる媒体としては、必ずしも水は必要とせず、有機溶媒が用いられる。この有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルカルビトール、エチルカルビトール、メチルセロソルプ、エチルセロソルブ、酢酸、前記アルコールの酢酸エステル類等が挙げられる。これら有機溶剤を1種単独で、あるいは2種以上混合して使用してもよい。
上記重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、2,2-アゾビスアミノジプロパン塩酸塩、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等のラジカル重合開始剤が挙げられる。
【0019】
縮合重合体の製造
以上のようにして得られた共重合体を用いて縮合重合体を製造するには、この共重合体とアルコキシシラン(D)および(E)を加水分解・縮合反応させる。具体的には、共重合体製造後、共重合体にアルコキシシラン(D)、(E)および水を添加し、室温〜80℃で2〜5時間反応させる。アルコキシシラン(D)の量は前記共重合体100重量部に対して10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部使用する。アルコキシシラン(D)が10重量部未満では得られる接着剤組成物の接着性が不充分となり、200重量部を超えると、組成物のゲル化を引き起こし易い。この工程では、アルコキシシラン(D)、(E)が有するアルコキシ基及び共重合体が有するアルコキシ基が加水分解を起こし、シラノール基が生成する。シラノール基は生成すると直ぐにシラノール基同士で縮合し、前記の縮合重合体を生成する。
アルコキシシラン(E)は、前記共重合体100重量部に対して0〜100重量部、好ましくは、0〜80重量部使用する必要がある。アルコキシシラン(E)が100重量部を超えると、接着性が不十分となり、組成物のゲル化をも引き起こす。
【0020】
この加水分解・縮合反応に必要な水の量は、共重合体及びアルコキシシラン(D)、(E)中の全アルコキシ基に対して、0.2〜0.9モル倍の範囲が好ましい。水の量が多すぎると反応時にゲル化し易く、反応制御が難しくなることがあり、また少なすぎると、得られる組成物の水溶性が低下することがある。なお、加水分解触媒もこの反応で任意成分として使用できる。加水分解触媒としては、酢酸、塩酸、蟻酸、プロピオン酸、硝酸、リン酸等の酸化合物;テトラブチルチタネート、ジブチル錫ジラウレート、アルミニウムアセチルアセトナート等の金属化合物;フッ化カリウム、フッ化テトラブチルアンモニウム等の含フッ素化合物が挙げられる。上記加水分解触媒を使用する場合、その使用量は、共重合体とアルコキシシラン(D)、(E)の合計100重量部当り、通常約0.0005〜30、好ましくは約0.005〜10重量部の範囲内である。
【0021】
以上のようにして得られる縮合重合体は良好な水溶性を示す。従って、この縮合重合体を前述のような水性媒体に適当な濃度で溶解すれば、本発明の水性接着剤組成物が得られる。
【0022】
その他の含有成分
本発明の接着剤組成物には、必要に応じて、本発明の目的,効果を損わない範囲で、可塑剤、充填剤、顔料、補強剤、造膜肋剤、消泡剤、増粘防止剤等を含む他の周知の添加物を添加することができる。これらは1種単独で又は2種以上組合せて添加することができる。代表的な添加物としては、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化亜鉛、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ブチルセロソルブアセテート等が挙げられる。
【0023】
接着方法
本発明の接着方法は、まず上記水性接着剤組成物を同種または異種の接着させる基材の少なくとも一方に塗布するか、あるいは必要ならば、水、または水と相溶性のある有機溶剤からなる水性混合溶剤で希釈して塗布し、乾燥する。この場合の塗布液の濃度(全有効成分の含有量)は、通常約1〜25重量%、好ましくは約2〜15重量%の範囲が適当である。塗布方法としては、吹き付け、浸漬、はけ塗り、ワイピング等、従来の方法が採用できる。塗布後の乾燥温度は通常、室温〜150℃の範囲でよい。
次に、こうして塗布した基材に他方の基材を重ね、この重ねた基材を加圧下に加熱する。加圧・加熱条件は基材の種類、厚さ、基材として未加硫エラストマーを用いた場合はその硬化速度等によって変化する。例えば2つの基材が金属および未加硫エラストマーである場合、金属基材とエラストマーとの界面に、ー般に約20〜170メガパスカル(MPa)、好ましくは20〜50MPaの範囲の圧力を加え、同時に該重ねた基材を100〜300℃、好ましくは150〜170℃の温度に加熱する。なお、加圧・加熱時間はこの基材の場合、エラストマーの硬化速度および厚さによって変化するが、一般に3〜60分間である。以上のようにしてエラストマー-金属基材接着複合物が得られる。
【0024】
本発明方法により接着される基材としては、エラストマー、ガラス、布、プラスチック、金属等が挙げられる。接着される2つの基材は同一又は異なる材料でよく、良好な接着性を示すが、本発明の組成物は、従来困難だったエラストマー、特に非硫黄硬化型であるポリオール硬化性または過酸化物硬化性のエラストマーと、鉄、鋼(ステンレス鋼を含む)、鉛、アルミニウム、銅、黄銅、青銅、ニッケル、亜鉛、等の金属材料との組み合わせにも効果的である点で特徴的である。非硫黄硬化型エラストマーとしては、天然ゴム、ポリクロロプレン、ポリブタジエン、ネオプレン、ブチルゴム、臭化ブチルゴム、ニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム等のオレフィン系合成ゴムやシリコーンゴム、フルオロエラストマー等が挙げられるが、中でもニトリルブタジエンゴム、シリコーンゴム、フルオロエラストマーのようなポリオール硬化性又は過酸化物硬化性エラストマーに対して効果的である。
【0025】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を更に詳述する。
まず下記配合例の過酸化物硬化性エラストマーを常法により調製した。これらの例中、部は全て重量部である。
配合例 1
シリコーンゴム(KE555U、信越化学工業製品) 100部
ジクミルパーオキシド 0.6部
配合例 2
フルオロシリコーンゴム(FE2611U、信越化学工業製品) 100部
ジクミルパーオキシド 0.6部
配合例 3
ニトリルブタジエンゴム(ニポールDN302、日本ゼオン製品) 100部
FEFカーボンブラック 60部
亜鉛華 5部
ステアリン酸 1部
2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン 1部
ジオクチルフタレート 5部
トリアリルイソシアヌレート 0.8部
1,3-ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン 6部
【0026】
実施例1〜 11 、比較例1〜3
各例において、攪拌装置、還流冷却器を備えた4つ口フラスコに、イソプロパノール100g、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1.0gを仕込んだ。これに攪拌下、イソプロパノールの還流温度で、下記表1〜表4に示す単量体(A)、(B)、(C)の混合物を2時間かけて滴下した。さらに、内容物を2時間、還流温度で熟成した。冷却後、表1〜表4に示す量(部は全て重量部)のアルコキシシラン(D)、(E)脱イオン水および触媒を添加し、50℃で、2時間攪拌後冷却し、接着剤組成物を得た。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
こうして得られた各例の製品を脱イオン水で10倍希釈し、水溶性を評価した。完全に溶解したものを〇、うすく濁りを生じたものを△、不溶性沈殿物を生じたものを×とした。これらの結果を表5、表6に示す。
接着剤組成物の10%水溶液をサンドブラスト処理した軟鋼板上にハケ塗布後、105℃で10分間乾燥し、配合例1、2および3の厚さ3mmの各未加硫エラストマーシートを重ね、165℃で10分間、加圧加硫を行った。得られた接着複合物について、直ぐにJIS K-6301に従って90゜剥離試験を行った。また接着後、接着複合物を200℃の条件下で2日間放置した後、上記と同様の剥離試験に供し、耐熱接着性を評価した。これらの結果を表5、表6に示す。
【0032】
【表5】
【0033】
【表6】
【0034】
【発明の効果】
本発明の接着剤組成物は水性であるため、環境的に安全である上、金属、エラストマー、ガラス、プラスチック等の各種基材、特にポリオール硬化性エラストマーおよび過酸化物硬化性エラストマーのような非硫黄硬化型エラストマーを、硫黄硬化型エラストマーと同様に強固に接着でき、しかも有機溶剤系接着剤組成物と同等の密着性、耐熱性および耐オイル性を備えている。したがって、2つの異なる基材、特に、エラストマー基材、例えばオイルシール、ガスケット、パッキン、バルブ等、複雑に孔加工または溝加工された工業用ゴム部品と、金属基材との接着に有効に利用することができる。
Claims (3)
- 99.5〜50重量%の下記単量体(A)、0.5〜50重量%の下記単量体(B)および0〜49.5重量%の下記単量体(C)からなる共重合体100重量部と、下記(D)のアルコキシシラン10〜200重量部と、下記(E)のアルコキシシラン0〜100重量部とを加水分解・縮合に供して得られる縮合重合体と、該縮合重合体を含む水性媒体とを含有することを特徴とする水性接着剤組成物。
(A)一般式(1):
で表わされる不飽和単量体。
(B)一般式(2):
R5Si(OR6)n(R7)3-n ・・・(2)
(式中、R5は少なくとも1個の重合可能な炭素−炭素不飽和結合を含有する1価有機基であり、R6は炭素数1〜3のアルキル基であり、R7は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、またnは1〜3の整数である。)
で表わされるアルコキシシラン単量体。
(C)前記(A)および(B)成分以外のエチレン性不飽和単量体。
(D)一般式(3):
R8Si(OR9)n(R10)3-n ・・・(3)
(式中、R8は少なくとも1個の重合可能な炭素−炭素不飽和結合を含有する1価有機基であり、R9は炭素数1〜3のアルキル基であり、R10は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、またnは1〜3の整数である。)
で表わされるアルコキシシラン単量体。
(E)一般式(4):
R11Si(OR12)n(R13)3-n ・・・(4)
(式中、R11は、アミノ基含有アルキル基、エポキシ基含有アルキル基、
または、炭素数1〜3のアルコキシ基であり、
R12は、炭素数1〜3のアルキル基であり、
R13は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、
またnは1〜3の整数である。)で表わされるアルコキシシラン。 - 請求項1に記載の接着剤組成物を二つの基材間に適用し、次いで得られた複合体全体に熱および圧力を加えて前記基材同士を接着し、接着複合体を得る工程を有することを特徴とする接着方法。
- 請求項2に記載の方法により製造された、接着複合物。
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---|---|---|---|
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Applications Claiming Priority (3)
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---|---|---|---|
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JP3698497 | 1997-02-05 | ||
JP03679398A JP3914324B2 (ja) | 1997-02-05 | 1998-02-03 | 水性接着剤組成物、並びにそれを用いた接着方法および接着物 |
Publications (2)
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