JP2007031467A - 含フッ素弾性共重合体用プライマー組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 接着性に優れ、特に不飽和ビニルエステルモノマーに基づく繰り返し単位を含む含フッ素弾性共重合体を各種被着体に安定的、強固に接着するプライマー組成物の提供。
【解決手段】
(I)下記平均組成式(1)
1 a2 b(OR3cSiO(4-a-b-c)/2 (1)
(R1は1価炭化水素基、R2は炭素−炭素不飽和結合又はエポキシ基を有する1価有機官能基、R3はアルキル基、a、b、cは0≦a≦3、0<b≦3、0<c≦4、0<a+b+c≦4を満たす数)で示されるオルガノアルコキシシラン又はシロキサンと
(II)上記(I)成分の縮合触媒を含有するプライマー組成物を使用する。これは、特に不飽和ビニルエステルモノマーに基づく繰り返し単位を含有する含フッ素弾性共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン−プロピレン−クロトン酸ビニル共重合体)用のプライマー組成物として好適に使用できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた接着性を有する含フッ素弾性共重合体用プライマー組成物に関し、より詳しくは、特に不飽和ビニルエステルモノマーに基づく繰り返し単位を含有するテトラフルオロエチレン−プロピレン系含フッ素弾性共重合体を各種の被着体に接着させることができるプライマー組成物に関する。
従来、含フッ素弾性共重合体(以下「フッ素ゴム」ということもある。)を、金属等被着体に接着させることは、通常のアクリルゴム等に比較して、ずっと困難であり、これに対し、各種のプライマー組成物を塗布し加硫接着する方法が提案されている。
例えば、当該プライマー組成物として、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランとγ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、有機チタン化合物、アルコール系溶剤および水からなるプライマー組成物(特許文献1を参照。)、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランとγ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、有機チタン化合物、水および有機溶剤からなるプライマー組成物(特許文献2を参照)が提案されている。
上記のプライマー組成物は、一般的なフッ化ビニリデン系フッ素ゴム(例えば、フッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン系ゴム、通常「FKMゴム」と称される。)等に対してはある程度の効果はあるものの、本発明者らの検討によれば、特定のフッ素系ゴム、例えばテトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合体ゴム、特に、不飽和ビニルエステルモノマーに基づく繰り返し単位を含有するテトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合体ゴム(以下これらを「FEPM」ゴムということがある。)と各種の被着体との接着には極めて不満足な接着力しか得られない。
通常のフッ素ゴムであるFKMゴム等は、強アルカリやアミン系の薬剤、防錆剤等の薬剤に対して極めて脆弱であるため、これらを含むエンジンオイル、スチーム等と接触する、メカニカルシール、Oリング、オイルシールとした場合容易に劣化してしまう。一方、上記FEPMゴムはこれらの用途に対しても耐アルカリ性、耐スチーム性、耐薬品性が高く、好適に適用可能である。従って、このような優れた特性を有する、不飽和ビニルエステルモノマーに基づく繰り返し単位を含有するテトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合体ゴムに対して適用可能で、各種被着体との安定的な接着性を付与しうるプライマー組成物を創出することは極めて意義のあることである。
なお、上記特許文献記載の当該プライマー組成物はシランカップリング剤の縮合触媒である有機チタン化合物と水とを含むために、保存安定性が十分でないという問題もある。
特開平10−8021号公報(特許請求の範囲(請求項1〜3)、〔0008〕〜〔0012〕) 特開2001−226642号公報(特許請求の範囲(請求項1〜3)、〔0008〕〜〔0018〕)
本発明の目的は、接着性に優れ、含フッ素弾性共重合体、特に不飽和ビニルエステルモノマーに基づく繰り返し単位を含むテトラフルオロエチレン−プロピレン系弾性共重合体を各種被着体に安定的、かつ、強固に接着させることができるプライマー組成物を提供することである。
本発明に従えば、以下のプライマー組成物が提供される。
〔1〕
含フッ素弾性共重合体用のプライマー組成物(A)において、当該組成物が、
(I)下記平均組成式(1)
1 a2 b(OR3cSiO(4-a-b-c)/2 (1)
(式中R1は非置換又は置換の1価炭化水素基、R2は炭素−炭素不飽和結合またはエポキシ基を有する1価有機官能基、R3は非置換又はアルコキシ置換のアルキル基であり、a、b、cはそれぞれ0≦a≦3、0<b≦3、0<c≦4、0<a+b+c≦4を満たす数である。)
で示されるオルガノアルコキシシラン又はシロキサン 100質量部、及び
(II)上記(I)成分の縮合触媒 0.1〜500質量部
を含有する組成物であることを特徴とする、不飽和ビニルエステルモノマーに基づく繰り返し単位を含有する含フッ素弾性共重合体(B)用のプライマー組成物。
〔2〕
前記含フッ素弾性共重合体(B)が不飽和ビニルエステルモノマーに基づく繰り返し単位を含むテトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合体である〔1〕に記載のプライマー組成物。
また、本発明によれば、以下の基材表面に含フッ素弾性共重合体が固着された成形物品が提供される。
〔3〕
成形基材表面上に〔1〕又は〔2〕に記載のプライマー組成物(A)を塗布し、この上に未加硫の含フッ素弾性共重合体(B)を重ねて加熱プレスし、加硫接着せしめてなる当該成形基材上に含フッ素弾性共重合体が固着された成形物品。
本発明のプライマー組成物(A)は、以下詳述するように、優れた接着性を有し、含フッ素弾性共重合体、特に不飽和ビニルエステルモノマーに基づく繰り返し単位を含有するテトラフルオロエチレン−プロピレン系弾性共重合体を鉄、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、亜鉛、錫メッキ鋼板などの金属系基材や各種プラスチック基材などの被着体に接着させるのに好適に使用できる。
例えば複写機のロール部分やエンジン周り部品などに使用される金属系材料又はその他各種基材と含フッ素弾性共重合体との接着におけるプライマーとして特に有効に使用できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(プライマー組成物(A))
本発明のプライマー組成物(A)は、(I)オルガノアルコキシシラン又はシロキサンと、その(II)縮合触媒成分を含有する組成物である。
当該オルガノアルコキシシラン又はシロキサン(I)とは、
下記平均組成式(1)
1 a2 b(OR3cSiO(4-a-b-c)/2 (1)
(式中R1は非置換又は置換の1価炭化水素基、R2は炭素−炭素不飽和結合またはエポキシ基を有する1価有機官能基、R3は非置換又はアルコキシ置換のアルキル基であり、a、b、cはそれぞれ0≦a≦3、0<b≦3、0<c≦4、0<a+b+c≦4を満たす数である。)
で示されるオルガノアルコキシシラン又はシロキサンである。
上記式(1)において、R1で示される非置換又は置換の1価炭化水素基としては、好ましくは脂肪族不飽和結合を除く炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6のものであり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、セチル基、ノニル基、デシル等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基や、これらの基の水素原子をハロゲン原子、シアノ基等で置換したクロロメチル基、ブロムエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などが挙げられる。
また、式(1)におけるR2は、炭素−炭素不飽和結合またはエポキシ基を有する1価有機官能基であり、当該不飽和基等を有していることにより、本発明の対象とする含フッ素弾性共重合体と被着体(基材)を強固に接着する。
これらの有機官能基は、一般式R’−(Z)x−(ここで、R’は上記官能基、Zはエーテル結合性酸素原子が介在してもよい炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキレン基、xは0又は1である。)で示されるもので、例えばビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基等のアルケニル基、アクリル基、メタクリル基、3−メタクリロキシプロピル基、クロチル基などの炭素−炭素不飽和結合を有する1価有機基や、エポキシ基、グリシジル基、3−グリシドキシプロピル基のようなエポキシ基を有する1価有機基が例示される。
さらに式(1)中のR3で示される非置換又はアルコキシ置換のアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜4のものであって、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の基が挙げられる。
式(1)において、a、b、cはそれぞれ0≦a≦3、0<b≦3、0<c≦4、0<a+b+c≦4であり、より好ましくは0≦a≦1、0<b≦1、2≦c≦4、2≦a+b+c≦4を満たす数である。
式(1)であらわされるオルガノアルコキシシランとして具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、メチルビニルジエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシメチルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどが例示される。
また、これらは、その部分加水分解や部分共加水分解によって得られる、1分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上のアルコキシ基が残存するアルコキシシロキサンであってもよい。このようなオルガノアルコキシシラン又はシロキサンは、2種以上を使用することも可能である。
(縮合触媒成分)
発明のプライマー組成物(A)は、上記(I)オルガノアルコキシシラン又はシロキサン(I)の縮合触媒成分(II)を含有する。
本発明に使用される(II)成分は、上記(I)成分の縮合触媒であり、当該プライマー組成物(A)を縮合硬化して風乾性を与え、その皮膜と被着体(基材)との接着性を向上させるために必要なものである。
縮合触媒成分(II)としては、(i)有機チタン酸エステル化合物、(ii)有機スズ化合物、及び(iii)有機アルミニウム化合物などが例示される。
(i)有機チタン酸エステル化合物としては、例えばテトラメチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、チタンテトラキス(ビス−2,2(アリロキシメチル)ブトキサイド)、テトラキス(トリメチルシロキシ)チタン、(トリイソプロピルチタノキシ)トリ−n−ブチルスズ、(2−メタクリロキシエチル)トリイソプロピルチタネート、チタンジイソプロポキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジ−n−ブトキサイドビス−(エチルアセトアセテート)、チタンラクテート、チタンメタクリレートトリイソプロポキサイド、チタンアリルアセトアセテートトリイソプロポキサイド、チタンメタクリロキシエチルアセトアセテートトリイソプロポキサイド、チタノセンジフェノキサイドおよびその部分加水分解物や部分共加水分解物などが例示される。
(ii)有機スズ化合物としては、テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラプロポキシスズ、テトライソプロポキシスズ、テトラブトキシスズ、テトラ−t−ブトキシスズ、ジブチルスズジラウレート等が例示され、このうち、テトラ−t−ブトキシスズが好ましい。
(iii)有機アルミニウム化合物としては、アルミニウム(III)エトキサイド、アルミニウム(III)イソプロポキサイド、アルミニウム(III)S−ブトキサイド、アルミニウム(III)n−ブトキサイド、モノ−S−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が例示される。上記(i)〜(iii)の触媒成分は、その1種または2種以上を組みあわせて使用することができる。
(成分割合)
本発明のプライマー組成物(A)において、(I)成分と(II)成分の配合割合は、(I)成分100質量部に対して(II)成分0.1〜500質量部、好ましくは0.3〜100質量部である。(II)成分の配合割合が0.1部未満では、風乾が十分に進行せず、組成物の皮膜の強度が不足し、十分な接着強度が得られなくなり、また(II)成分が500質量部を超えると、プライマー組成物の皮膜が脆くなり、十分な接着強度が得られなくなる。
(溶剤等)
本発明のプライマー組成物(A)は、基本的には上記した(I)及び(II)成分の所定量を均一に混合することによって得ることができるが、必要に応じて、当該組成物の塗布性や作業性等を向上させるため、溶剤に溶解、又は分散させて用いることができる。当該溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、トルエン、キシレン等の脂肪族または芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール類;塩化メチレン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類から選択される1種又は2種以上の溶剤を添加して希釈してもよい。
さらにプライマー組成物(A)には、また、(I)成分と共加水分解縮合して当該プライマー層を変性する成分として、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ(エトキシメトキシ)シラン、メチルトリメトキシシランやこれらの部分加水分解物、ジメチルポリシロキサンなどを混合することができる。
これらの変性成分はその1種又は2種以上の混合物として用いられ、その配合量は、(I)成分100質量部に対して0.1〜500質量部、好ましくは0.3〜100質量部である。
(含フッ素弾性共重合体(B))
上記した本発明のプライマー組成物(A)との接着に用いられる含フッ素弾性共重合体(B)は、基本的には、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、一般式CF2=CF−O−Rf(式中、Rfは炭素原子数1〜8の飽和ペルフルオロアルキル基またはペルフルオロ(アルコキシアルキル)基である。)で表されるペルフルオロビニルエーテルからなる群より選ばれる1種以上の含フッ素モノマー(L)に基づく繰り返し単位(l)(以下「基本繰り返し単位」ということがある。)を含有するものであるが、後記するように、当該基本繰り返し単位と共に、不飽和ビニルエステルモノマーに基づく繰り返し単位(m)を含有することを特徴とする。
(基本繰り返し単位(l))
(以下、テトラフルオロエチレンを「TFE」、ヘキサフルオロプロピレンを「HFP」、フッ化ビニリデンを「VdF」、一般式CF2=CF−O−Rfで表されるパーフルオロビニルエーテルを「PAVE」、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)を「PMVE」、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)を「PPVE」という。また、エチレンを「E」、プロピレンを「P」という。)
前記含フッ素弾性共重合体(B)は、上記した含フッ素モノマーを1種のみ用いた共重合体であってもよいし、含フッ素モノマーを2種以上組み合わせて用いた共重合体であってもよいが、含フッ素モノマー1種のみ用いた含フッ素弾性共重合体が好ましい。含フッ素モノマーを1種のみ用いた含フッ素弾性共重合体としては、TFE系共重合体が好ましい。
含フッ素モノマー(L)の1種を用いている含フッ素弾性共重合体としては、例えばTFE/P系共重合体、E/PAVE系共重合体、E/HFP系共重合体等が挙げられる、このうち、TFE/P系共重合体が好ましい。
また、含フッ素モノマー(L)の2種以上を用いている含フッ素弾性共重合体としては、例えばVdF/HFP系共重合体、TFE/VdF/HFP系共重合体、TFE/PAVE系共重合体、TFE/PMVE系共重合体、TFE/PPVE系共重合体、TFE/P/VdF系共重合体、TFE/PMVE/PPVE系共重合体、VdF/PAVE系共重合体等が挙げられる。含フッ素弾性共重合体としては、このうち、TFE/P/VdF系共重合体、VdF/HFP系共重合体、TFE/VdF/HFP系共重合体、TFE/PPVE系共重合体、TFE/PMVE/PPVE系共重合体が好ましい。
含フッ素弾性共重合体(B)としては、以下(1)〜(11)のような共重合組成のものであることがより好ましい。共重合組成が以下の範囲であると、その架橋ゴムは架橋ゴム物性に優れ、耐熱性および耐薬品性、低温特性が良好である。すなわち:
(1)TFE/P系共重合体においては、TFEに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位=40/60〜60/40(モル比)、
(2)TFE/P/VdF系共重合体においては、TFEに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位/VdFに基づく繰り返し単位=40〜60/60〜40/1〜10(モル比)、
(3)VdF/HFP系共重合体においては、VdFに基づく繰り返し単位/HFPに基づく繰り返し単位=20/80〜95/5(モル比)、
(4)TFE/VdF/HFP系共重合体においては、TFEに基づく繰り返し単位/VdFに基づく繰り返し単位/HFPに基づく繰り返し単位=20〜40/20〜40/20〜40(モル比)、
(5)TFE/PAVE系共重合体においては、TFEに基づく繰り返し単位/PAVEに基づく繰り返し単位=40/60〜70/30(モル比)、
(6)TFE/PMVE系共重合体においては、TFEに基づく繰り返し単位/PMVEに基づく繰り返し単位=40/60〜70/30(モル比)、
(7)TFE/PPVE系共重合体においては、TFEに基づく繰り返し単位/PPVEに基づく繰り返し単位=40/60〜70/30(モル比)、
(8)TFE/PMVE/PPVE系共重合体においては、TFEに基づく繰り返し単位/PMVEに基づく繰り返し単位/PPVEに基づく繰り返し単位=40〜70/3〜57/3〜57(モル比)、
(9)VdF/PAVE系共重合体においては、VdFに基づく繰り返し単位/PAVEに基づく繰り返し単位=60/40〜95/5(モル比)、
(10)E/PAVE系共重合体においては、Eに基づく繰り返し単位/PAVEに基づく繰り返し単位=40/60〜60/40(モル比)、
(11)E/HFP系共重合体においては、Eに基づく繰り返し単位/HFPに基づく繰り返し単位=40/60〜60/40(モル比)。
(不飽和ビニルエステルモノマー(M)に基づく繰り返し単位(m))
本発明に用いられる含フッ素弾性共重合体(B)は、含フッ素モノマー(L)に基づく基本繰り返し単位(l)と共に、一般式CR45=CR6COOCH=CH2(式中、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基またはエーテル性酸素原子を含む炭素原子数1〜10のアルコキシアルキル基であり、R6は水素原子、フッ素原子またはメチル基である。)で表される不飽和ビニルエステルモノマー(M)に基づく繰り返し単位(m)を含有するものである。この点が本発明の対象とする含フッ素弾性共重合体において、最も特徴とする点である。
前記不飽和ビニルエステルモノマー(M)としては、R5およびR6が水素原子であることが好ましい。好ましい具体例としては、R4、R5およびR6が水素原子であるアクリル酸ビニル、R4がメチル基でありR5およびR6が水素原子であるクロトン酸ビニル、およびR4、R5およびR6が水素原子であるメタクリル酸ビニルが好ましく、クロトン酸ビニルがより好ましい。これら前記ビニルエステルモノマーは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ビニルエステルモノマー(M)は、炭素−炭素不飽和二重結合を2つ持っているので、一方の炭素−炭素不飽和二重結合が含フッ素モノマー(L)との共重合に使用され、他の炭素−炭素不飽和二重結合は、当該含フッ素弾性共重合体に残存しており、架橋反応に供されることになる。
(炭化水素モノマー(N)に基づく繰り返し単位(n))
本発明に用いられる含フッ素弾性共重合体(B)は、繰り返し単位(l)および繰り返し単位(m)に加え、エチレン、プロピレン、一般式CH2=CH−O−R7(式中、R7は炭素原子数1〜8の飽和アルキル基またはアルコキシアルキル基である。)で表されるビニルエーテルからなる群から選ばれる1種以上の炭化水素モノマー(N)に基づく繰り返し単位(n)を含有することが好ましい。炭化水素モノマーとしては、E及びPが好ましく、Pがより好ましい。これら炭化水素モノマーは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(含フッ素弾性共重合体組成)
本発明における含フッ素弾性共重合体(B)が繰り返し単位(m)を含有する場合には、繰り返し単位比(n)/(l)は1/99〜70/30(モル比)であることが好ましく、20/80〜65/35(モル比)がより好ましく、60/40〜40/60(モル比)がさらに好ましい。繰り返し単位の比がこの範囲にあると、当該含フッ素弾性共重合体は、架橋ゴム物性に優れ、耐熱性および耐薬品性、低温特性が良好であり好ましい。
前記ビニルエステルモノマー(M)に基づく繰り返し単位(m)の含有量は、(m)/((l)+(n))=0.0001〜0.1(モル比)の割合であり、(m)/((l)+(n))=0.0001〜0.05(モル比)の割合が好ましく、(m)/((l)+(n))=0.0005〜0.01(モル比)の割合がより好ましく、(m)/((l)+(n))=0.001〜0.008(モル比)の割合が特に好ましい。繰り返し単位の比がこの範囲にあると、当該含フッ素弾性共重合体(B)は架橋反応性に優れ、得られる架橋ゴムは、引張り強度、耐薬品性、耐熱性、圧縮永久歪み等の架橋ゴム物性に優れるので好ましい。なお、含フッ素弾性共重合体が、繰り返し単位(n)を含有しない場合には、上式中(n)=0とする。
(含フッ素弾性共重体の調製)
本発明に使用する含フッ素弾性共重合体(B)の製造方法としては、それ自身公知の乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等いずれによってもかまわないが、分子量および共重合組成の調整、生産性に優れることから、乳化重合が好ましい。
また、開始反応には、ラジカル重合開始剤、レドックス重合開始剤、熱、放射線等を用いることができる。
(加硫剤等)
これらの含フッ素弾性共重合体(B)は、通常、過酸化物、特に有機過酸化物で加硫される。当該有機過酸化物は、−O−O−結合を持つ有機過酸化物であり、具体例としては、ジtert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキシド類;1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシマレイン酸、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等が挙げられる。これらのうち、ジアルキルパーオキシド類が特に好ましい。
有機過酸化物は、含フッ素弾性共重体(B)に配合されるが、配合量は、当該含フッ素弾性共重合体100質量部に対して、0.3〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部がより好ましく、0.5〜3質量部が最も好ましい。当該配合量がこの範囲にあると、引張り強度と伸びのバランスに優れた架橋ゴムが得られる。
加硫剤としての有機過酸化物を配合する場合は、加硫助剤として不飽和多官能性化合物を混合してもよい。当該不飽和多官能性化合物の具体例としては、例えば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートオリゴマー、トリメタリルイソシアヌレート、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、トリアリルトリメリテート等が挙げられる。これらのうち、特に、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレートが好ましく、トリアリルイソシアヌレートが最も好ましい。これらの不飽和多官能性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加硫助剤としての不飽和多官能性化合物の配合量は、当該含フッ素弾性共重合体100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜7質量部がより好ましい。加硫助剤の配合量がこの範囲にあると、強度と伸びのバランスのとれた架橋ゴム物性が得られる。
(補強剤等)
本発明における含フッ素弾性共重合体(B)には、補強材、充填材、添加剤などの各種フィラーを適宜含有させてもよい。補強材、充填材としては、従来架橋ゴムの製造に際して通常使用されるゴム補強材や、充填材などが挙げられ、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラックやホワイトカーボン;炭酸マグネシウム、表面処理した炭酸カルシウムなどの無機補強材;炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ、珪藻土、アルミナ、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの無機充填材;さらにその他の充填材が挙げられる。
また、添加剤としては、顔料、酸化防止剤、安定剤、加工助剤、内部離型剤などの添加剤などが挙げられる。補強材、充填材、添加剤は、それぞれ1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。補強材や充填剤の配合量は、適宜選定すればよいが、含フッ素弾性共重合体100質量部に対して1〜100質量部が好ましい。
また、本発明における含フッ素弾性共重合体(B)には、EPDM、シリコーンゴム、アクリルゴム、その他のゴムや、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂などを1種以上配合してもよい。
(プライマー組成物(A)に対する他の配合成分)
本発明のプライマー組成物(A)には、加硫接着時に、(I)式(1)で表されるオルガノアルコキシシラン又はシロキサン成分や、含フッ素弾性共重合体(B)と共加硫して含フッ素弾性共重合体との接着力を高める成分として、上記した含フッ素弾性共重合体(B)の加硫剤や加硫助剤、加硫部位として共重合される不飽和ビニルエステルモノマーをさらに配合することもできる。すなわち、具体的には、前記の有機過酸化物や不飽和多官能性化合物などが挙げられる。これらは1種又は2種以上の混合物として用いられ、配合量は、(I)成分100質量部に対して0.01〜500質量部、好ましくは0.05〜100質量部である。
また、本発明のプライマー組成物(A)には、その他の任意成分として、当該組成物が、基材上に確実に塗布されたことを確認するために、各種の顔料や染料、例えばカーボン、ベンガラ、酸化チタンなどの無機系顔料又は各種の有機系顔料を添加することができる。また、当該プライマー組成物から得られる皮膜の強度や耐熱性を向上させるために、各種の無機質充填剤、例えばヒュームドシリカ、酸化セリウム、酸化チタン等を添加してもよい。なお、上記任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で目的に応じた任意量とすることができる。
(加硫接着)
本発明のプライマー組成物(A)を被着体(基材)の表面に塗布し、この塗布面に含フッ素弾性共重合体を重ねて密着せしめ、100〜300℃、好ましくは140〜250℃程度の温度でプレス加硫し、当該共重合体を架橋することにより、当該含フッ素弾性共重合体が被着体と接着する。かくして、任意の形状の被着体上に含フッ素弾性共重合体が固着された成形物品が得られる。
すなわち、本発明のプライマー組成物(A)における式(1)のオルガノアルコキシシラン又はシロキサンはシランカップリング剤として働くが、特に炭素−炭素不飽和結合又はエポキシ基を含む官能基を含有し、また、含フッ素弾性共重合体(B)は不飽和ビニルエステルモノマーを有するから、加硫時に、当該弾性共重合体とともに架橋して被着体(基材)との安定的かつ強固な接着(加硫接着)を形成すると考えられる。
なお当該プライマー組成物(A)は、特に溶剤で希釈して使用される場合には、塗布後10〜60分間程度風乾させてから含フッ素弾性共重合体と密着させることが好ましく、この塗布面を100〜200℃程度に加熱して5〜60分間程度焼付処理をすることによりプライマーと被着体との密着性が向上しやすい。塗布方法は特に限定するものでなく、刷毛塗り、スプレー塗布、ディッピング等被着体の形状等に応じて任意の手段が採用されうる。
(被着体)
本発明のプライマー組成物(A)は、上記のように、不飽和ビニルエステルモノマーに基づく繰り返し単位を含有する含フッ素弾性共重合体(B)、特に不飽和ビニルエステルモノマーに基づく繰り返し単位を含有するテトラフルオロエチレン−プロピレン系弾性共重合体を各種被着体に接着させるのに有効に使用できるが、対象とする被着体としては、特に制限はなく、例えば鉄、ステンレス、アルミニウム、ニッケル、銅、スズ、クローム、亜鉛、錫メッキ鋼板、トタン、ブリキ等の金属系基材;ガラス、ホーロー、タイル、大理石、コンクリート、スレート、モルタル、酸化チタン、酸化鉄、グラファイト、ホーロー鋼板、カーボンブラック等の無機系基材;アクリル系樹脂(PMMA)、硬質塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、フェノール樹脂等の各種プラスチック系材料などが挙げられる。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲がこれに限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の部はいずれも質量部を示す。
下記の例においてのプライマー組成物の接着性試験は、次の方法で行った。
接着性試験方法:
縦50mm×横25mm×厚さ1mmの鉄板の両端から15mmを除く中央部20mmの幅に、被測定対象のプライマー組成物を塗布し、室温で30分乾燥した。この鉄板を金型にセットし、含フッ素弾性共重合体組成物を、上記プライマー組成物が塗布された鉄板上に置いてプレス成型機で170℃×10分加熱し加硫させた。200℃×4時間二次加硫して、鉄板に含フッ素弾性共重合体組成物を接着した接着性試験サンプルを成形した。
この接着性試験サンプルを引っ張り試験器にセットし、引っ張り速度50mm/分のスピードで90度剥離での接着力を測定し、そのときの接着部分の破壊状況を観察し、その結果を次の基準で評価した。
○:接着性良好。(100%凝集破壊)
△:接着性可。(一部界面剥離)
×:接着性不良。(100%界面剥離又はプライマー層の破壊)
〔参考例1〕
不飽和ビニルエステルとしてクロトン酸ビニルエステルモノマーを使用し共重合して得られた、テトラフルオロエチレン/プロピレン/クロトン酸ビニル=55.2/44.6/0.2(モル比)の弾性共重合体(ムーニー粘度ML1+10(100℃)=75)100部、MTカーボン30部、酸化マグネシウム3部、トリアリルイソシアヌレート5部、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−ジイソプロピルベンゼン1部を2本ロールで均一に混合して、未加硫の含フッ素弾性共重合体組成物を得た(以下「含フッ素弾性共重合体組成物1」という。)。
〔参考例2〕
比較のためクロトン酸ビニルエステルモノマーを共重合しないで得られた、テトラフルオロエチレン/プロピレン=55.5/44.5(モル比)の弾性共重合体(ムーニー粘度ML1+10(100℃)=85)100部、MTカーボン30部、酸化マグネシウム3部、トリアリルイソシアヌレート5部、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−ジイソプロピルベンゼン1部を2本ロールで均一に混合して、未加硫の含フッ素弾性共重合体組成物を得た(以下「含フッ素弾性共重合体組成物2」という。)。
〔実施例1〕
(1)メタノール2000部に、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン100部、テトラエトキシシラン40部、およびテトラブチルチタネート20部を順次加えてよく混合してプライマー組成物を得た(以下「プライマー組成物1」という。)。
(2)次にこのプライマー組成物1を、上記接着試験方法に従って、被着体(基材)である鉄板の重ね合わせ部分に塗布し、1時間風乾した後、参考例1で調製した含フッ素弾性共重合体組成物1を重ねて加熱加硫し、接着性試験サンプル(硬化後のJIS−A硬度5)を作成した。
(3)当該接着性試験サンプルについて、接着性試験を行った。その結果、プライマー組成物1では100%凝集破壊であり、接着性良好(○)と評価された。
〔比較例1〕
(1)比較のため、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを使用しない以外は実施例1と同様にしてプライマー組成物を得た(以下「プライマー組成物2」という。)。
(2)次にこのプライマー組成物2を、実施例1と同様にして、被着体(基材)である鉄板の重ね合わせ部分に塗布し、1時間風乾した後、同様に含フッ素弾性共重合体組成物1を重ねて加熱加硫し、接着性試験サンプル(硬化後のJIS−A硬度5)を作成した。
(3)当該接着性試験サンプルについて、接着性試験を行った。その結果、プライマー組成物2では界面剥離し、接着性不良(×)と評価された。
〔実施例2〕
(1)γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの代わりにγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを使用する以外は上記実施例1と同様にしてプライマー組成物を得た(以下「プライマー組成物3」という。) 。
(2)次にこのプライマー組成物3を、実施例1と同様にして、被着体(基材)である鉄板の重ね合わせ部分に塗布し、含フッ素弾性共重合体組成物1を重ねて加熱加硫し、接着性試験サンプル(硬化後のJIS−A硬度5)を作成した。
(3)当該接着性試験サンプルについて、接着性試験を行った。その結果、プライマー組成物3では100%凝集破壊であり、接着性良好(○)と評価された。
〔実施例3〕
(1)γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの代わりにビニルトリメトキシシランを使用する以外は上記実施例1と同様にしてプライマー組成物を得た(以下「プライマー組成物4」という。) 。
(2)次にこのプライマー組成物4を、実施例1と同様にして、被着体(基材)である鉄板の重ね合わせ部分に塗布し、含フッ素弾性共重合体組成物1を重ねて加熱加硫し、接着性試験サンプル(硬化後のJIS−A硬度5)を作成した。
(3)当該接着性試験サンプルについて、接着性試験を行った。その結果、プライマー組成物4では100%凝集破壊であり、接着性良好(○)と評価された。
〔実施例4〕
(1)メタノール2000部に、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン100部、テトラエトキシシラン40部、およびテトラブチルチタネート20部、クロトン酸ビニル1部を順次加えてよく混合してプライマー組成物を得た(以下「プライマー組成物5」という。)。
(2)次にこのプライマー組成物5を、実施例1と同様にして、被着体(基材)である鉄板の重ね合わせ部分に塗布し、含フッ素弾性共重合体組成物1を重ねて加熱加硫し、接着性試験サンプル(硬化後のJIS−A硬度5)を作成した。
(3)当該接着性試験サンプルについて、接着性試験を行った。その結果、プライマー組成物5では100%凝集破壊であり、接着性良好(○)と評価された。
〔実施例5〕
(1)メタノール2000部に、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン100部、テトラエトキシシラン40部、およびテトラブチルチタネート20部、トリアリルイソシアヌレート1部を順次加えてよく混合してプライマー組成物を得た(以下「プライマー組成物6」という。)。
(2)次にこのプライマー組成物6を、実施例1と同様にして、被着体(基材)である鉄板の重ね合わせ部分に塗布し、含フッ素弾性共重合体組成物1を重ねて加熱加硫し、接着性試験サンプル(硬化後のJIS−A硬度5)を作成した。
(3)当該接着性試験サンプルについて、接着性試験を行った。その結果、プライマー組成物6では100%凝集破壊であり、接着性良好(○)と評価された。
〔比較例2〕
含フッ素弾性共重合体組成物1の代わりに、参考例2で調製した含フッ素弾性共重合体組成物2を使用する以外は、上記実施例と同様にしてプライマー組成物1を使用して接着性試験を行った。その結果プライマー組成物1では界面剥離し、接着性不良(×)と評価された。
本発明のプライマー組成物は、クロトン酸ビニルエステルモノマーのような不飽和ビニルエステルモノマーに基づく繰り返し単位を有しない含フッ素弾性共重合に対しては、これを基材に加熱接着させる効果は、ほとんど奏されないことがわかる。
〔比較例3〕
(1)γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの代わりにγ−アミノピロピルトリメトキシシランを使用する以外は上記実施例1と同様にしてプライマー組成物を得た(以下「プライマー組成物7」という。)。
(2)次にこのプライマー組成物7を使用して、実施例1と同様にして接着性試験を行った。その結果プライマー組成物7では界面剥離し、接着性不良(×)と評価された。
(3)プライマー組成物におけるオルガノアルコキシシラン等が炭素−炭素不飽和結合またはエポキシ基を有しない場合は、含フッ素弾性共重合体組成物を基材に加熱接着させる効果は、ほとんど奏されないことがわかる。
本発明のプライマー組成物(A)は、上記したように、特に不飽和ビニルエステルモノマーに基づく繰り返し単位を含有する含フッ素弾性共重合体を鉄、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、亜鉛、錫メッキ鋼板などの金属系基材や各種プラスチック基材などの被着体に接着させるのに、安定して強固な接着性を付与することができ、好適に使用できる。
例えば複写機のロール部分やエンジン周り部品などに使用される金属系材料又はその他各種基材と含フッ素弾性共重合体との接着におけるプライマーとして特に有効に使用できるものであり、その産業上の利用可能性はきわめて大きい。

Claims (3)

  1. 含フッ素弾性共重合体用のプライマー組成物(A)において、当該組成物が、
    (I)下記平均組成式(1)
    1 a2 b(OR3cSiO(4-a-b-c)/2 (1)
    (式中R1は非置換又は置換の1価炭化水素基、R2は炭素−炭素不飽和結合またはエポキシ基を有する1価有機官能基、R3は非置換又はアルコキシ置換のアルキル基であり、a、b、cはそれぞれ0≦a≦3、0<b≦3、0<c≦4、0<a+b+c≦4を満たす数である。)
    で示されるオルガノアルコキシシラン又はシロキサン 100質量部、及び
    (II)上記(I)成分の縮合触媒 0.1〜500質量部
    を含有する組成物であることを特徴とする、不飽和ビニルエステルモノマーに基づく繰り返し単位を含有する含フッ素弾性共重合体(B)用のプライマー組成物。
  2. 前記含フッ素弾性共重合体(B)が不飽和ビニルエステルモノマーに基づく繰り返し単位を含むテトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合体である請求項1に記載のプライマー組成物。
  3. 成形基材表面上に請求項1又は2に記載のプライマー組成物(A)を塗布し、この上に未加硫の含フッ素弾性共重合体(B)を重ねて加熱プレスし、加硫接着せしめてなる当該成形基材上に含フッ素弾性共重合体が固着された成形物品。
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