JP3912334B2 - 埋設拡管用油井管 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油井戸またはガス井戸において用いる鋼管に関し、さらに詳しくは、上記抗井内にて拡管加工し、そのまま油井管として使用する鋼管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、油井管を地表から地下の油田まで埋設する場合、まず所定の深さまで掘削して抗井を設け、その中にケーシングと呼ばれる油井管を埋設し、抗井の壁の崩落を防止する。その後、ケーシングの先端からさらに地下深部に掘削を行ってより深い抗井を設け、先に埋設したケーシング内を通して新たなケーシングを埋設する。このような作業を繰り返して最終的に油田まで到達する油井管(チュービング)を埋設する。
【0003】
図2は、従来の油井管の埋設方法を説明するための図である。図2は、ケーシング1a〜1d及びチュービング2の断面図であり、それぞれの断面を一対のハッチングで示している。
油井管を埋設するためには、図2に示すように、まずケーシング1aの直径より大径の抗井を地表6から深さH1の地点まで掘削し、ケーシング1aを埋設する。次に、ケーシング1aの先端部の地下を深さH2の地点までさらに掘削してケーシング1bを埋設する。このようにして、ケーシング1c、1dを埋設し、最後に油やガスを汲み上げる油井管(チュービング)2を埋設する。
【0004】
この場合、チュービング2の外径は予め決められているので、抗井の深さに比例して、直径がそれぞれ異なる複数種類のケーシングが必要になる。というのは、先に埋設したケーシングの後に埋設する、より小径のケーシングを挿入する際は、ケーシングの曲がり等の形状不良を考慮し、先に埋設したケーシングの内径と後から埋設するケーシングの外径との間に、ある程度のクリアランスが必要になるからである。従って、深い抗井を掘削して油井管を埋設するためには、抗井の径方向における掘削面積を広くしなければならず、掘削する際の費用が嵩むことになる。
【0005】
近年、抗井の掘削費を低減するために、油井管を地中に埋設した後、その内径を一様に拡大させるという拡管方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、ネッキングや延性破壊を起こすことなく歪硬化を生じる可鍛性の鋼種からなる鋼管を、先に埋設されたケーシング内に挿入し、非金属材料からなるテーパ面を有するマンドレルを用いてケーシングを拡管する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
図3は、拡管による埋設方法を説明するための図である。この埋設方法では、図3に示すように、掘削した抗井にケーシング1を埋設し、次いでケーシング1の先端をさらに掘削して抗井を深くして、先に埋設したケーシング1の内部にケーシング3を挿入する。さらに、ケーシング3内に挿入したプラグ(「工具」ともいう。)4を、例えばケーシング3の下部から油圧により上昇せしめて拡管する。この作業を順次繰り返し、最終的に油やガスを汲み上げるためのチュービングを埋設する。
【0007】
図4は、上記拡管方法を適用して埋設を行った油井管の様子を表す図である。この拡管方法を適用して油井管を埋設することにより、図4に示すように、ケーシング1、3を埋設する毎にケーシング同士のクリアランスを小さくすることができるため、掘削面積を小さくすることができ、結局、掘削費を大幅に縮減することが可能となる。
【0008】
ところが、発明者らは、模擬実験により埋設して拡管された油井管は、靭性および地中の外圧に対する耐コラプス性(即ち、圧潰強度)が著しく低下するという二つの問題があることを突き止めた。
単に埋設された油井管の耐コラプス性を高めるための方法は、従来いくつか提案されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3には、適切な成分と焼きならし時の温度とを管理することによって、13Cr鋼の応力−歪み曲線を弾完全塑性型とすることで、高圧潰強度を得る方法が示されている。
【0009】
また、焼入れ焼戻し後に冷間矯正を行わず、且つオーステナイト粒度をASTM No.8以上に微細化することで、上記特許文献3と同様に、応力−歪み曲線を弾完全塑性型とする圧潰強度の優れた鋼管を製造する方法も開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【0010】
しかし、これらの方法によって、通常の油井管の耐コラプス性は改善するかもしれないが、埋設後に拡管された油井管の耐コラプス性を高める方法としては用いることはできない。なぜならば、抗井内での拡管による冷間加工により、応力−歪み曲線は弾完全塑性型から加工硬化型に移行してしまうからである。
【0011】
このため、例えば、焼入れ焼戻しを行った油井管を150℃以上かつ焼戻し以下の温度領域で温間矯正する油井管の製造方法であって、温間矯正によって生じる内面周方向圧縮残留応力を、温間矯正後に条件を調整した水冷によって生じる内面周方向引張残留応力で相殺して、残留応力を低減させることで高圧潰強度を得る方法も提案されている(例えば、特許文献5参照)。しかし、この特許文献5の方法では、温間加工後に水冷する必要が有るため、抗井内での拡管加工によって生じる残留応力若しくは材質変化を抑制することはできない。
【0012】
さらに、80ksi以上の降伏強度を持つ油井管に対し、0℃におけるL方向吸収エネルギーが、ある条件を満たす値以上を保有していれば、高い耐コラプス性を保持するという、耐コラプス性の判別方法が提案されている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、埋設後に拡管される油井管の場合、冷間加工による靭性低下が生じる可能性があるため、拡管前の素管が吸収エネルギーの条件を満たしているからといって、埋設拡管後の耐コラプス性を保証することはできない。
【0013】
そこで、埋設拡管後の耐コラプス性を高める方法の一つとして、拡管前の鋼管の偏肉率について拡管率を変数とする式で規定し、拡管後の鋼管の偏肉率を抑制することで、拡管後の鋼管の耐コラプス性を高めるという提案もある(例えば、特許文献7参照)。しかし、この特許文献7の方法では、埋設拡管された油井管の材質(即ち、強度や靭性)を改善するものではないため、耐コラプス性を高める効果に限界があると考えられる。また、拡管によって減少した圧潰強度を歪時効によって回復させた実験結果を示す報告もある(例えば、非特許文献1参照)。
【0014】
【特許文献1】
特表平7−507610号公報
【0015】
【特許文献2】
国際公開98/00626号パンフレット
【0016】
【特許文献3】
特開平8-109444号公報
【0017】
【特許文献4】
特開昭56−93852号公報
【0018】
【特許文献5】
特許第3175918号公報
【0019】
【特許文献6】
特開平2002−115028号公報
【0020】
【特許文献7】
特開2002−349177号公報
【0021】
【非特許文献1】
CORROSION 2003,Paper No.03108(2003年)
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記非特許文献1においても、拡管前の素管の成分、製管方法に何ら注意が払われていないため、安定して歪時効による圧潰強度上昇を得られないばかりか、歪時効による靭性劣化を抑制することはできない。
【0023】
つまり、埋設拡管後の靭性について、改善策はこれまで検討された例はなく、素管として優れた靭性を有するものを使用することに注意が払われている程度である。
以上のことから、埋設拡管法という新しい技術を導入する場合、拡管しても靭性および耐コラプス性の高い、すなわち高い耐衝撃強度および圧潰強度を有した鋼管が要求される。
【0024】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、抗井内で拡管されて油井管として使用される際に高靭性且つ高耐コラプス性を有する埋設拡管用油井管を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る埋設拡管用油井管は、質量%で、C:0.1〜0.45%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、sol Al:0.001〜0.05%、Ti:0.005〜0.03%を含み、残部がFeおよび不純物からなり、固溶N量が40ppm以上200ppm以下であることを特徴とする。これにより、抗井内で拡管した後も圧潰強度及び靭性の劣化が殆どないため、信頼性の高い油井管として利用することが可能である。
【0026】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る埋設拡管用油井管は、質量%で、 :0.1〜0.45%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜3.0%、P :0.03%以下、S :0.01%以下、sol Al:0.001〜0.05%、Ti:0.005〜0.03%を含み、且つV :0.005〜0.2%、Nb:0.005〜0.03%及びB :0.0005〜0.005%のうち、1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、固溶N量が40ppm以上であることを特徴とする。これにより、焼き戻し時にVCを形成して軟化抵抗を高めたり、Tiと同様にNやCと結合することにより高温で微細な炭窒化物を形成し、高温域での鋼の結晶粒の粗大化を防止したり、鋼の結晶粒界に偏析して冷却時の粒界からのフェライト変態を抑制し、焼入れ性を高めたりすることが可能となる。
【0027】
さらに、本発明に係る埋設拡管用油井管は、質量%で、Cr:0.1〜1.5%及びMo:0.1〜1.0%のうち、1種または2種以上を含有することとしてもよい。これにより、焼入れ性を向上させ、強度を確保することが可能となる。
【0028】
さらにまた、本発明に係る埋設拡管用油井管は、質量%で、Ca:0.001〜0.005%を含有することとしてもよい。これにより、硫化物の形態を制御し、靭性の改善を図ることが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る埋設拡管用油井管(「埋設拡管用鋼管」ともいう。」)について、図面を参照しながら説明する。
本発明に係る埋設拡管用油井管が埋設拡管後に高靭性と高耐コラプス性を保有するためには、適量のTiを添加することと、固溶N量を40ppm以上、好ましくは50ppm以上確保することが肝要である。ここで、「固溶N量」とは、素管から分析用の鋼片を切り出して、化学分析にて鋼中N量を測定し、抽出残渣法によって求められるTi、Nb、Al、V、Bの各窒化物中のN量を差し引いて算出される値とする。
【0030】
本発明者らは、降伏強度(以下「YS」と記す。)が560MPaで、外径194mm、肉厚11mm、長さ12mの焼入れ焼戻し組織を有する鋼管を素管として用いて、抗井内環境下で図1に示すようなプラグ押し込み型の冷間拡管試験を行った。この際、拡管はプラグ4のサイズにより、半径拡大率で10%および20%とした。その後、API規格のRP37に準じて拡管された鋼管5の圧潰強度を測定した。その結果を表1にまとめる。
【0031】
【表1】
Figure 0003912334
【0032】
一般には、拡管加工を施すと、鋼管の径が大きくなると共に肉厚は減少する。このため、外径/肉厚比(以下「D/t」と記す。)が増加することとなり、このような鋼管の形状変化の影響で圧潰強度が低下する。形状変化による圧潰強度変化は、拡管後も素管と同等の強度であれば、鋼管のD/tとYSを主変数とする関数(以下「玉野式」と記す。)で予測できるはずであった(この「玉野式」については、例えば“「塑性と加工」、第30巻、第338号(1989)、第385〜390頁、日本塑性加工学会発行”を参照されたい)。ここで、「素管」とは、拡管を施す前の鋼管又は油井管をいう。
【0033】
しかしながら、表1から分かるとおり、拡管により加工硬化してYSが増加して、むしろ上昇するはずであった拡管後の油井管の圧潰強度は、玉野式で求められた予測値を大きく下回った。従って、抗井に埋設後、拡管された油井管は、埋設後拡管されない通常の油井管に比べて圧潰強度が小さく、油井管としての信頼性において問題となることが予測される。油井管のD/tは、抗井の設計上、容易には変更することができないため、圧潰強度を高めるためにはYSを向上させる必要がある。APIで規格化された強度グレード(例えば、API−L80ならばYS=550〜655MPa)の範囲内で、なるべく高YSの油井管を用いれば、埋設拡管後も高い圧潰強度を保持できると考え、検討を重ねた。その結果、種々の強度グレードにおいて、共通してYSが高めの油井管を得るためには、固溶Nによる固溶強化を利用するのが好適であることを突き止めた。
【0034】
そこで、固溶Nによって固溶強化させた4種類(A鋼〜D鋼)の鋼管を作製し、抗井内環境下で埋設拡管した後も高い圧潰強度を有するかどうかについて調査を行った。この場合の比較対象として、固溶Nを含まない鋼管についても、同一の製管方法で製管し、同一の条件で焼入れ焼戻しを行った。上記4種類の鋼管の成分表を表2に示す。
【0035】
【表2】
Figure 0003912334
【0036】
上記4種類の鋼管に対し、抗井内環境下(温度条件として150℃)でプラグ押し込み型の冷間拡管試験を行った。拡管率は径の異なるプラグを使用することにより、半径拡大率で10%および20%とした(以下「10%拡管材」および「20%拡管材」と記す)。拡管後、鋼管からプラグを引き抜き、この拡管された鋼管を抗井内環境下で100時間保持した。その後、上記抗井内環境下で拡管し保持した鋼管について圧潰強度を測定した。
【0037】
拡管せずに抗井内環境下で保持した鋼管(以下「0%拡管材」と記す。)についても圧潰強度を測定した。測定の結果として、上記4種類の鋼管における拡管後の圧潰強度及び0℃シャルピー衝撃値を表3に示す。
【0038】
【表3】
Figure 0003912334
【0039】
表3に示すように、固溶Nを40ppm以上含むC鋼およびD鋼は、固溶Nを含まないA鋼およびB鋼に比べて、0%拡管材の圧潰強度が若干高く、さらに10%拡管材、20%拡管材の圧潰強度も高い値となった。このことから、固溶Nを含む鋼管は、抗井内環境下で拡管加工されても高い圧潰強度を有する可能性があると推察した。
【0040】
さらに、上記の抗井内環境下で保持した後、周方向に衝撃試験片を取り出して衝撃特性を調査した。表3に示すように、質量パーセントでTiを0.005%も含んでいないC鋼では、抗井内環境にさらされることにより、シャルピー衝撃値が著しく低下した。これは、鋼管中のTiNの析出が少なく、鋼の結晶粒径(旧γ粒径)が粗大であったため、抗井内環境下で固溶Nが結晶粒界に偏析して脆化の一因となったことに因ると考えられる。このことから、Tiが添加された鋼管では、結晶粒が細粒であり、拡管加工後の熱処理において固溶Nの粒界偏析が生じたとしても、靭性の劣化は小さくなる可能性があると推察した。
【0041】
上記の知見をまとめると以下のようになる。
(1)抗井内環境下で埋設拡管された鋼管は、D/tの増加で予想されるよりも、さらに圧潰強度が低下する。
(2)固溶Nを40ppm以上含む鋼管は、そうでない鋼管に比べ、抗井内環境下で埋設拡管されても圧潰強度が劣化しない。
(3)固溶Nを40ppm以上含み、Tiが添加されていない鋼管は、抗井内環境下で埋設拡管することにより、靭性が大幅に低下する。
(4)固溶Nを40ppm以上含み、Tiが0.005%以上添加されている鋼管は、抗井内環境下で埋設拡管されても靭性の低下幅が小さい。従って、この鋼管は、埋設拡管後も高圧潰強度、高靭性を有する油井管として好適に使用できる。
【0042】
さらに、鋼管の固溶N量を40ppmとするには、どのような製造方法が適しているかについても検討した。鋼中の含有N量の管理が重要なのは当然ながら、鋼中N量を固定するTi、Nb、Al、V、Bが鋼に含有している場合、鋼中Nの内、固溶Nとして好適に確保するためには製造過程にも注意する必要がある。なぜならば、Nの原子量が14に対して、Ti、Nb、Al、VおよびBの原子量はそれぞれ48、92、27、51および10.8であり、理論上窒化物生成元素によって固定されるN量は、0.29Ti(%)、0.15Nb(%)、0.52Al(%)、0.27V(%)および1.3B(%)となり、好適に固溶Nを確保するためには多量のNを添加する必要があると予想されるからである。
【0043】
その上重要なことは、従来数多く報告されている溶解度積や熱力学データから予想される、窒化物が速やかに生成・成長する温度を回避することである。例えば、Nbが添加されている鋼の場合、製管時のビレット加熱は1200℃以上で20分以上の均熱状態に保持することが望ましい。また、Al、Vが添加されている鋼の場合、製管時の焼き入れは950℃以上で5分以上の均熱状態を保持し、直ちに水冷等の早い冷却速度で焼入れを行うことが望ましく、また、なるべく低温で短時間の焼戻しをすることが望ましい。
【0044】
さらに、製管後、鋼管の温度がAr3点を下回る前に焼入れを行う直接焼入れ法を利用して固溶N量を確保するのがより好ましい。このような素管の製造上の管理をすることで窒化物を固溶させることにより、または、窒化物の新たな析出を回避することにより、固溶Nを好適に確保することができる。
【0045】
以下では、本発明に係る鋼管における各成分の範囲を上記のとおりに定めた理由について説明する。
【0046】
(A)化学組成
C:
Cは、鋼の強度を確保し、また十分な焼き入れ性を得るために必要な元素である。これらの効果を得るためには、含有量を0.1%以上とする必要がある。含有量が0.1%未満では、必要とされる焼入れ組織を得ることが困難であり、好ましくない。一方、0.45%を超えて含有されると、焼入れ時の焼割れ感受性が増大する。そこで、C含有量の範囲を0.1〜0.45%とした。C含有量の好ましい範囲は、0.15〜0.35%である。
【0047】
Si:
Siは、脱酸剤としての効果、および焼戻し軟化抵抗を高めて強度を上昇させる効果を有する元素である。含有量が0.1%未満ではこれらの効果が十分に得られない。一方、1.5%を超えて多量に含有されると熱間加工性が著しく劣化する。そこで、Si含有量の範囲を0.1〜1.5%とした。Si含有量の好ましい範囲は、0.2〜1.0%である。
【0048】
Mn:
Mnは、鋼の焼入れ性を増し、鋼管の強度確保のために有効な元素である。含有量が0.10%未満ではその効果が得られない。一方、3.0%を超えて多量に含有されると、Mnの偏析が大きくなって靭性を低下させる。そこで、Mn含有量の範囲を0.1〜3.0%とした。Mn含有量の好ましい範囲は、0.3〜1.5%である。
【0049】
P:
Pは、鋼中に不純物として含まれる元素であり、その含有量が0.03%を超えると粒界に偏析して靭性を劣化させる。そこで、P含有量を0.03%以下とした。P含有量は少なければ少ない程良く、好ましくは0.015%以下である。
【0050】
S:
Sは、鋼中に不純物として含まれる元素である、MnやCaなどの元素と硫化物系の介在物を形成し、靭性を劣化させることから、その含有量は少なければ少ないほど良い。含有量が0.01%を超えると靭性の劣化が著しくなるので、含有量を0.01%以下とした。好ましくは0.005%以下である。
【0051】
sol.Al
Alは、通常脱酸剤として使用される元素である。sol.Al含有量が0.05%を超えて含有されても、脱酸効果が飽和するばかりでなく、靭性の低下を招いたり、窒化物を形成して強度上昇に有効な固溶Nを低減させたりする。そこで含有量の上限を0.05%とした。上記の脱酸の効果を得るためには、含有量は0.001%以上であることが好ましい。
【0052】
Ti:
Tiは、NやCと結合することにより、高温で微細な炭窒化物を形成し、高温域での鋼の結晶粒の粗大化を防止する効果を有する元素である。一方、適正量を超えて過度に含有させると、炭窒化物の生成量が増加しすぎて、炭窒化物の粗大化による靭性劣化、さらに強度上昇に有効な固溶Nの量を確保できなくなる。そこで、Ti含有量の範囲を0.005〜0.03%とした。また、Ti含有量の好ましい範囲は0.005〜0.02%である。
【0053】
Nb:
Nbは添加しなくても良いが、添加するとTiと同様にNやCと結合することにより、高温で微細な炭窒化物を形成し、高温域での鋼の結晶粒の粗大化を防止する効果を有する元素である。このような効果を得るためには0.005%以上の含有が必要である。一方、適正量を超えて過度に含有させると、炭窒化物の生成量が増加しすぎて強度上昇に有効な固溶Nの量を確保できなくなる。そこで、Nb含有量の範囲を0.005〜0.05%とした。また、Nb含有量の好ましい範囲は0.005〜0.03%である。
【0054】
V:
Vは添加しなくても良いが、焼き戻し時にVCを形成して軟化抵抗を高める効果を持つ元素である。この効果を得るためにはV含有量を0.005%以上にすればよい。従って、所望の強度を確保するため適宜含有させれば良いが、多量に含有させるとVN生成量が増加して強度上昇に有効な固溶Nの量を確保できなくなる。そこで、V含有量の範囲を0.005〜0.2%とした。
【0055】
Ca:
Caは、硫化物の形態制御に寄与し、靭性改善などに有効な元素である。その効果を得るためには、Ca含有量を0.001%以上とすれば良い。一方、0.005%を超えて含有させると介在物が多量に生成し、孔食の起点となるなど耐食性の面で悪影響が現れる。そこで、Ca含有量の範囲を0.001〜0.005%とした。Ca含有量の好ましい範囲は、0.002〜0.004%である。
【0056】
Cr、Mo:
これらの元素は、適正量を含有させることにより、焼入れ性を向上させ、強度を確保するために有効な元素である。焼入れ性の向上による強度確保の効果を得るためには、これらの元素のうちの1種または2種以上を下記に示す含有量の範囲で含有させれば良い。一方、適正量を超えて過度に含有させると、これらの元素は粗大な炭化物を形成しやすく、かえって靭性の劣化をきたすこととなる。
【0057】
Cr含有量の範囲を0.1〜1.5%とした。また、Cr含有量の好ましい範囲は0.3〜1.0%である。Mo含有量の範囲を0.1〜1.0%とした。また、Mo含有量の好ましい範囲は0.2〜0.7%である。
【0058】
B:
Bは鋼の結晶粒界に偏析して、冷却時の粒界からのフェライト変態を抑制し、焼き入れ性を高める効果を有する元素である。このため、他の元素による焼き入れ性確保が不十分である場合に適宜含有させれば良い。上記の効果を得るためには、0.0005%以上含有させればよい。一方、0.005%を超えて過度に含有させるとBNの形成量が増加し、強度上昇に有効な固溶N量が減少する。そこで、B含有量の範囲を0.0005〜0.005%とした。
【0059】
N:
Nは、固溶状態で鋼中に40ppmを超えて存在する場合に、鋼の強度上昇に好適に寄与する。従って、本発明の拡管加工用鋼管では適正N量を、固溶状態で40ppm以上とした。好ましくは固溶状態で50ppm以上である。一方、固溶N量が200ppmを越えると、抗井内環境下で鉄の窒化物が生成するため強度上昇効果が飽和するため無意味となる。従って、固溶N量の範囲を40ppm〜200ppm、好ましくは50ppm〜200ppmとした。
【0060】
(B)素管の強度グレード
APIで規格化されたいくつかの強度グレードがあるが、それについて特に制限は無い。API−P110グレード、N80グレード等、それぞれの強度グレードに応じて上述のように成分設計思想を適用して素管を製造すればよい。
【0061】
【実施例】
以下、本発明に係る実施例について具体的に説明する。
【0062】
(1)素管の作成
素管は、表4に示す各成分を有する鋼塊を1250℃に加熱後、通常のマンネスマン−マンドレル製管法にて熱間圧延した後、水焼入れ、焼戻し処理を施して29種類作製した(マーク番号1〜29)。これらの素管は、外径194mm、肉厚11mm、そして長さ12mの継目無鋼管である。
【0063】
【表4】
Figure 0003912334
【0064】
なお、マーク番号21〜24の素管に関しては、直接焼入れを実施した。すなわち、マーク番号21〜24の素管の場合は、鋼塊を1250℃に加熱後、熱間圧延して、温度が900℃を下回る前に950℃の炉に挿入して5分保持し、直ちに水焼入れを行った後に焼戻しを行って鋼管を作製した。また、比較例であるマーク番号28の素管については、上記と同様に熱間圧延を行った後、空冷にて一旦室温まで冷却し、その後加熱炉にて880℃で10分間の均熱処理を行い、直ちに水冷によって焼入れを行ってから焼戻しを行い製造した。これらすべての素管の強度は、YS=550〜655MPaの範囲であり、API−L80グレードの強度範囲内である。
【0065】
(2)固溶N量の測定方法
上記のように、固溶N量は、素管から分析用の鋼片を切り出して、化学分析にて鋼中N量を測定し、抽出残渣法によって求められるTi、Nb、Al、V、Bの各窒化物中のN量を差し引いた値とした。
【0066】
(3)拡管試験
図1は、拡管加工中のプラグ周辺の断面図である。図1に示すように、素管5の底部を固定し、プラグ4を機械的に押し込むことで拡管を行った。プラグ先端部のテーパ角αは20度とした。拡管率は素管内径の拡大率にして10%および20%とした。なお、拡管率を以下の式(1)に示す。
【0067】
Figure 0003912334
【0068】
(4)抗井内環境下を模擬した鋼管保持
上記(3)で拡管された鋼管を、抗井内環境下を模擬する熱処理炉内で150℃×10時間、均熱保持を行った。なお、拡管しない鋼管も同様の均熱保持を行って0%拡管材として用意した。
【0069】
(5)拡管加工後鋼管のコラプス試験
上記(4)で均熱保持を行った鋼管の圧潰強度をAPI規格のRP37に準じて測定した。
安全性の面で、圧潰強度はAPI規格値(ここではL80グレードの規格値)の1.3倍以上であることが望ましく、さらに1.4倍以上であることがより望ましい。
【0070】
(6)拡管加工後鋼管の周方向衝撃特性評価
上記(4)で拡管され、抗井内環境下で保持された後の鋼管の周方向の衝撃特性を測定する方法は以下の通りである。
【0071】
拡管後、鋼管から周方向に、5mm厚×10mm幅、2mmVノッチ入りシャルピー衝撃試験片を切り出し、0℃のシャルピー試験を行った。各条件についてN数3の試験を行い、衝撃値の平均値をその鋼管の衝撃値とした。信頼性の面で、0℃の衝撃値は100J/cm2以上が望ましい。
【0072】
以上の試験結果を表5にまとめる。
【表5】
Figure 0003912334
【0073】
表5から明らかなように、本発明に係るマーク番号1〜24の鋼管では、固溶N量が40ppm以上であるため、拡管後の圧潰強度がAPI規格値の1.3倍以上を示しており、良好であることが分かる。特に、マーク番号1、5、7、8、16、19の鋼管、そして素管製管時に直接焼き入れを行ったマーク番号21〜24の鋼管は、固溶N量が50ppm以上であるため、拡管後鋼管の圧潰強度はAPI規格値の1.4倍となり、さらに良好であることが分かる。
【0074】
一方、比較例であるマーク番号25〜28の鋼管では、固溶N量が40ppm以下であるため、圧潰強度が不十分で、API規格値の1.3倍未満であり不十分である。固溶N量が40ppmとなった原因は、比較例であるマーク番号が25および27の鋼管では、鋼に添加したNの総量が不足していること、マーク番号26の鋼管では、窒化物を形成する元素Ti、Nb、V、B、Alの添加量に対して、Nの添加量が十分でなかったこと、マーク番号28の鋼管では、Nの添加量が多量であるが、低温で焼入れ前の加熱を行ったため、Al、Nb等による窒化物の形成が多量になってしまったためである。
【0075】
また、マーク番号27および29の鋼管では、Ti含有量が0.005%より少ないため、拡管加工後にシャルピー衝撃値が著しく低下して100J/cm2を下回り、靭性不足であることが分かる。
以上のように、油井戸内またはガス井戸内において埋設拡管される鋼管に本発明に係る油井管を用いた場合は、抗井内で拡管した後も圧潰強度及び靭性の劣化が殆どないため、信頼性の高い油井管として利用することが可能である。
【0076】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る埋設拡管用油井管は、抗井内で拡管しても高靭性および高耐コラプス性を有しているため、埋設拡管用油井管として使用した場合は、抗井掘削面積の低減化が可能となり、最終的には掘削費用の削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において行った鋼管の拡管試験を模式的に示す図である。
【図2】従来の油井管の埋設方法を説明するための図である。
【図3】ケーシングを抗井内で拡管加工することにより、ケーシング同士のクリアランスを小さくする様子を示す図である。
【図4】抗井内で拡管を行い、より大きな管外径を得ることによって油井戸又はガス井戸の掘削面積を小さくして抗井掘削効率を向上させる方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1、3 ケーシング
1a〜1d ケーシング
2 チュービング
4 プラグ
5 素管

Claims (4)

  1. 質量%で、
    :0.1〜0.45%
    Si:0.1〜1.5%、
    Mn:0.1〜3.0%、
    P :0.03%以下、
    S :0.01%以下、
    sol Al:0.001〜0.05%、
    Ti :0.005〜0.03%を含み、
    残部がFeおよび不純物からなり、固溶N量が40ppm以上200ppm以下である
    ことを特徴とする埋設拡管用油井管。
  2. 質量%で、
    :0.1〜0.45%
    Si:0.1〜1.5%、
    Mn:0.1〜3.0%、
    P :0.03%以下、
    S :0.01%以下、
    sol Al:0.001〜0.05%、
    Ti:0.005〜0.03%を含み、且つ、
    V :0.005〜0.2%、
    Nb:0.005〜0.03%及び
    B :0.0005〜0.005%のうち、1種または2種以上を含有し、
    残部がFeおよび不純物からなり、固溶N量が40ppm以上である
    ことを特徴とする埋設拡管用油井管。
  3. さらに、残部Feの一部に変えて質量%で、
    Cr:0.1〜1.5%及び
    Mo:0.1〜1.0%のうち、1種または2種以上を含有する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の埋設拡管用油井管。
  4. さらに、残部Feの一部に変えて質量%で、
    Ca:0.001〜0.005%を含有する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の埋設拡管用油井管。
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