JP3911764B2 - 空冷吸収式冷凍装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
【0002】
本願発明は、空冷吸収式冷凍装置に関し、さらに詳しくは空冷吸収式冷凍装置における2次冷媒の過熱を防止する機構に関するものである。
【従来の技術】
【0003】
一般に、空冷吸収式冷凍装置は、1次冷媒が循環し、再生器、気液分離器、1次冷媒(例えば、1次冷媒蒸気)から暖房熱源を得る温熱熱交換器、空冷凝縮器、1次冷媒(例えば、凝縮1次冷媒液)から冷房熱源を得る蒸発器および空冷吸収器を接続してなる1次冷媒回路と、2次冷媒が循環し、前記温熱熱交換器、利用側熱交換器および前記蒸発器を接続してなる2次冷媒回路とを備えて構成されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成の空冷吸収式冷凍装置の場合、暖房運転時における暖房熱源として気液分離器から供給される高温の1次冷媒蒸気の保有する熱を温熱熱交換器により2次冷媒へ伝達するようにしているため、冷房運転時においても、温熱熱交換器を流れる2次冷媒は、高温の1次冷媒蒸気にさらされることとなる。この場合、2次冷媒として水を用いている空冷吸収式冷凍装置においては、2次冷媒回路を循環する水が高圧となるおそれがある点を除いてあまり問題はない。なお、循環水の高圧化を防止するために、冷水が得られる蒸発器と温熱熱交換器とを直列に接続したものがある。
【0005】
ところが、2次冷媒としてフロン系冷媒(例えば、R407c等の混合冷媒)を用いた場合、空冷吸収式冷凍装置を上記構成のままとすると、冷房運転時において温熱熱交換器に高温の1次冷媒蒸気(150℃)が供給されることとなるため、2次冷媒であるフロン系冷媒が高温にさらされることとなる。すると、フロン系冷媒が分解してしまうという不具合が生じる。
【0006】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、冷房運転時における2次冷媒の異常過熱を防止することにより、2次冷媒にフロン系冷媒を用いたとしても冷媒分解が生じないようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の第1の基本構成では、上記課題を解決するための手段として、1次冷媒が循環し、再生器1、気液分離器4、暖房熱源を得るための温熱熱交換器5、空冷凝縮器9、冷房熱源を得るための蒸発器12および空冷吸収器15を順次接続してなる1次冷媒回路Xと、2次冷媒yが循環し、前記温熱熱交換器5、利用側熱交換器17および前記蒸発器12を順次接続してなる2次冷媒回路Yとを備えた空冷吸収式冷凍装置において、前記2次冷媒yとしてフロン系冷媒を採用するとともに、前記温熱熱交換器5の1次冷媒通路を前記気液分離器4の気相部に連通させる一方、前記空冷凝縮器9の下流側と前記温熱熱交換器5の1次冷媒通路とを接続する凝縮液供給回路33と、該凝縮液供給回路33に介設され且つ冷房運転時に所定時間開作動される開閉弁34と、前記凝縮液供給回路33を介して1次冷媒凝縮液dを前記温熱熱交換器5の1次冷媒通路に圧送するポンプ装置11とを付設している。
【0008】
上記のように構成したことにより、冷房運転時においては、ポンプ装置11の駆動により温熱熱交換器5における1次冷媒通路に空冷凝縮器9の下流側から凝縮液供給回路33を介して低温の1次冷媒凝縮液dが充填される。従って、温熱熱交換器5の1次冷媒通路への高温の1次冷媒蒸気aが流入することができなくなる結果、2次冷媒yの異常過熱が防止され、2次冷媒yとして用いられているフロン系冷媒の分解が防止されることとなり、装置の信頼性を確保することができる。また、暖房運転時においては、温熱熱交換器5における1次冷媒通路から1次冷媒凝縮液dを排出すれば、温熱熱交換器5の1次冷媒通路へ高温の1次冷媒蒸気aが供給可能となり、該1次冷媒蒸気aの保有する熱が暖房熱源として2次冷媒yへ伝達されることとなる。
【0009】
本願発明の第1の基本構成において、前記温熱熱交換器5の1次冷媒通路における液位を検出する液位検出手段35と、冷房運転開始時に前記開閉弁34を開作動させ、前記液位検出手段35により満液状態が検出された時点で前記開閉弁34を閉作動させる制御手段36とを付設した場合、温熱熱交換器5における1次冷媒通路への1次冷媒凝縮液dの充填を自動的に確実に行うことができる。
【0010】
本願発明の第2の基本構成では、上記課題を解決するための手段として、1次冷媒が循環し、再生器1、気液分離器4、暖房熱源を得るための温熱熱交換器5、空冷凝縮器9、冷房熱源を得るための蒸発器12および空冷吸収器15を順次接続してなる1次冷媒回路Xと、2次冷媒yが循環し、前記温熱熱交換器5、利用側熱交換器17および前記蒸発器12を順次接続してなる2次冷媒回路Yとを備えた空冷吸収式冷凍装置において、前記2次冷媒yとしてフロン系冷媒を採用するとともに、前記温熱熱交換器5の1次冷媒通路を前記気液分離器4の液相部に接続し且つ前記温熱熱交換器5を前記気液分離器4と同一高さもしくはそれより低位に配置し、冷房起動時に前記気液分離器4を介して前記温熱熱交換器5の1次冷媒通路に吸収希溶液cを充填するポンプ装置18を付設している。
【0011】
上記のように構成したことにより、冷房運転起動時においては、ポンプ装置18の駆動により温熱熱交換器5における1次冷媒通路に気液分離器4を介して低温の吸収希溶液cが充填される。従って、温熱熱交換器5の1次冷媒通路への高温の1次冷媒(即ち、吸収濃溶液b)が流入することができなくなる結果、2次冷媒yの異常過熱が防止され、2次冷媒yとして用いられているフロン系冷媒の分解が防止されることとなり、装置の信頼性を確保することができる。また、暖房運転時においては、気液分離器4から温熱熱交換器5の1次冷媒通路へ高温の吸収濃溶液bが供給されることとなり、該吸収濃溶液bの保有する熱が暖房熱源として2次冷媒yへ伝達されることとなる。
【0012】
本願発明の第2の基本構成において、前記温熱熱交換器5における1次冷媒通路の出口を、前記気液分離器4からの1次冷媒蒸気aが供給されるとともに前記温熱熱交換器5より高位であって前記気液分離器4と同一高さもしくはそれより低位に配置された暖房用吸収器37を介して前記再生器1に接続した場合、暖房運転時において温熱熱交換器の1次冷媒通路に供給された吸収濃溶液が暖房吸収器37に入り、そこで1次冷媒蒸気aを吸収して吸収希溶液cとなって再生器1へ還流されることとなり、暖房運転時における1次冷媒の搬送をスムーズに行うことができる。
【発明の実施の形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の幾つかの参考例および好適な実施の形態について詳述する。
【0014】
以下の各参考例および各実施の形態においては、吸収液として例えば臭化リチウム水溶液(LiBr水溶液)が採用され、1次冷媒回路Xを循環する1次冷媒として水および水蒸気が採用され、2次冷媒回路Yを循環する2次冷媒yとしてフロン系冷媒(例えば、R407c等の混合冷媒)が採用されている。
【0015】
第1の参考例
図1には、本願発明の第1の参考例にかかる空冷吸収式冷凍装置の全体的な冷凍システムの構成が示されている。
【0016】
図1において、符号1は高温再生器であり、ガスバーナ等の加熱源2を備えている。該高温再生器1の上方には、沸騰気液通路3を介して連通された気液分離器4が設けられている。前記高温再生器1においては、吸収希溶液c(即ち、臭化リチウム希溶液)を加熱沸騰させて、沸騰気液通路3を介して上方に位置する気液分離器4に供給し、ここで1次冷媒蒸気である水蒸気aと吸収濃溶液b(即ち、臭化リチウム濃溶液)とに分離再生するようになっている。
【0017】
前記臭化リチウム希溶液cは、後に詳述する空冷吸収器15において吸収濃溶液である臭化リチウム濃溶液bに1次冷媒凝縮液である水dを吸収して得られ、低温溶液熱交換器14および高温溶液熱交換器7を経て予熱されて気液分離器4に供給され、その後高温再生器1へ還流されることとなっている。
【0018】
また、符号5は温熱熱交換器であり、該温熱熱交換器5は、後に詳述する利用側熱交換器17を含む2次冷媒回路Yを循環する2次冷媒y(例えば、R407C)と気液分離後の水蒸気aとが熱交換して暖房運転時の温熱源を得る作用をなす。なお、本参考例においては、この温熱熱交換器5として、1次冷媒蒸気aの通路となるシェル19内に2次冷媒yが流通するコイル20を内蔵してなるシェルアンドコイルタイプのものが採用されている。なお、前記コイルに代えて直管状のチューブをシェル内に配設したシェルアンドチューブタイプのものを採用してもよい。
【0019】
前記温熱熱交換器5において熱交換した後の水蒸気aは低温再生器6に送られ、凝縮した1次冷媒凝縮液d(即ち、凝縮水)は開閉弁22を介設した凝縮液還流回路21を介して前記気液分離器4へ還流される。この開閉弁22は、冷房運転時には閉弁され、暖房運転時には開弁されることとなっている。
【0020】
さらに、前記気液分離器4において分離された臭化リチウム濃溶液bは、前記高温溶液熱交換器7において前記した臭化リチウム希溶液cと熱交換した後に前記低温再生器6へ供給される。符号8は排ガスを排出するための排ガス通路である。
【0021】
前記低温再生器6においては、気液分離器4から供給された水蒸気aと臭化リチウム濃溶液bとを熱交換させることにより、水蒸気aを凝縮させるとともに臭化リチウム濃溶液b中に含まれる残余水分を蒸発させてさらに高濃度の臭化リチウム溶液をとりだす。
【0022】
前記低温再生器6において臭化リチウム濃溶液bから蒸発された水蒸気aは、空冷凝縮器9に送られて凝縮液化されて1次冷媒凝縮液(即ち、凝縮水d)となり冷媒タンク10に溜められる。また、前記低温再生器6において凝縮液化された凝縮水dも空冷凝縮器9の下端において合流した後冷媒タンク10に溜められる。
【0023】
前記冷媒タンク10に溜められた凝縮水dは、冷媒ポンプ11により蒸発器12の散布装置13へ供給される。また、前記低温再生器6から取り出された臭化リチウム濃溶液bは、低温溶液熱交換器14において前記した臭化リチウム希溶液cと熱交換した後に空冷吸収器15の吸収液分配容器16に供給される。
【0024】
前記蒸発器12は、利用側熱交換器17を含む2次冷媒回路Yを循環する2次冷媒y(例えば、R407C等)と冷媒タンク10から送られる凝縮水dとを熱交換させるものであり、冷房運転時の冷熱源を得る作用をなす。なお、蒸発器12において蒸発しきれなかった凝縮水dは、凝縮水還流回路29を介して冷媒ポンプ18の上流側に還流される。
【0025】
そして、前記空冷吸収器15から取り出された臭化リチウム希溶液cは、溶液ポンプ18により前述したように低温溶液熱交換器14および高温溶液熱交換器7を経て気液分離器4に戻される。
【0026】
しかして、本参考例においては、前記温熱熱交換器5における1次冷媒通路であるシェル19と気液分離器4から低温再生器6とを接続する水蒸気回路23とを連絡する連絡配管24には、開閉弁25が介設されている。該開閉弁25は、冷房運転時には閉弁され、暖房運転時には開弁されることとなっている。
【0027】
図面中、符号26,27冷暖切換弁であり、それぞれ冷房運転時には開弁され、暖房運転時には閉弁されることとなっている。
【0028】
上記のように構成された空冷吸収式冷凍装置は、次のように作用する。
(I) 冷房運転時
開閉弁22,25を閉弁し、冷暖切換弁26,27を開弁した状態において、加熱源であるガスバーナ2に点火して高温再生器1を作動させると、沸騰気液が気液分離器4へ供給され、ここで水蒸気aと臭化リチウムの中間濃溶液bとに分離され、水蒸気aは低温再生器6へ、中間濃溶液bは高温溶液熱交換器7において臭化リチウム希溶液cを加熱した後低温再生器6へ供給される。
【0029】
低温再生器6においては、中間濃溶液bが水蒸気aとの熱交換により加熱されて水蒸気aを蒸発させ、自身さらに濃縮される。ここで、中間濃溶液bとの熱交換により凝縮した凝縮水dは空冷凝縮器9の下部を経て冷媒タンク10に溜め込まれる。一方、低温再生器6において中間濃溶液bから蒸発した水蒸気aは空冷凝縮器9において凝縮されて凝縮水dとなり、冷媒タンク10に溜め込まれる。
【0030】
冷媒タンク10に溜められた凝縮水dは、冷媒ポンプ11により散布装置13へ供給された後、蒸発器12に散布され、ここで、2次冷媒yと熱交換して自身蒸発するとともに、2次冷媒yを冷却する。かくして冷却された2次冷媒yは利用側熱交換器17において冷房用の冷熱源として利用される。
【0031】
一方、前記低温再生器6から取り出された臭化リチウム濃溶液bは、低温溶液熱交換器14において前記した臭化リチウム希溶液cと熱交換した後に吸収液分配容器16を経て空冷吸収器15に供給され、前記蒸発器12で得られた水蒸気aを吸収し、臭化リチウム希溶液cとなる。
【0032】
そして、前記空冷吸収器15から取り出された臭化リチウム希溶液cは、溶液ポンプ18により前述したように低温溶液熱交換器14および高温溶液熱交換器7を経る過程において余熱されて気液分離器4に戻される。
【0033】
上記したように、冷房運転時においては、開閉弁22,25の閉作動により温熱熱交換器5における1次冷媒通路(即ち、シェル19)への高温の1次冷媒蒸気(即ち、水蒸気a)の供給が停止される。従って、温熱熱交換器5において2次冷媒yが高温にさらされることがなくなる結果、2次冷媒yとして用いられているフロン系冷媒の分解が防止されることとなり、装置の信頼性を確保することができる。
(II) 暖房運転時
開閉弁22,25を開弁し、冷暖切換弁26,27を閉弁した状態において、加熱源であるガスバーナ2に点火して高温再生器1を作動させると、沸騰気液が気液分離器4へ供給され、ここで水蒸気aと臭化リチウムの中間濃溶液bとに分離され、水蒸気aは温熱熱交換器5へ供給される。
【0034】
そして、温熱熱交換器5においては、コイル20を流通する2次冷媒yとの熱交換により水蒸気aが凝縮され、得られた凝縮水は凝縮液循環回路21を介して気液分離器4へ還流され、その後高温再生器1へ戻される。つまり、水蒸気aの保有する熱は、2次冷媒yに暖房用の温熱源として与えられるのである。
【0035】
上記したように、暖房運転時においては、開閉弁22,25の開作動により温熱熱交換器5の1次冷媒通路(即ち、シェル19)へ高温の1次冷媒蒸気(即ち、水蒸気a)が供給され、該水蒸気aの保有する熱が暖房熱源として2次冷媒yへ伝達されることとなる。
【0036】
第2の参考例
図2には、本願発明の第2の参考例にかかる空冷吸収式冷凍装置の全体的な冷凍システムの構成が示されている。
【0037】
この場合、温熱熱交換器5として、1次冷媒蒸気aの通路となる外管30内に2次冷媒yが流通する内管31を挿通してなる二重管タイプのものが採用されている。その他の構成および作用効果は第1の参考例におけると同様なので説明を省略する。
【0038】
第3の参考例
図3には、本願発明の第3の参考例にかかる空冷吸収式冷凍装置の全体的な冷凍システムの構成が示されている。
【0039】
この場合、温熱熱交換器5として、複数の伝熱プレート32,32・・を積層し、該伝熱プレート32,32・・の間に隣り合って1次および2次冷媒を流通させるように構成したプレート式熱交換器が採用されている。その他の構成および作用効果は第1の参考例におけると同様なので説明を省略する。
【0040】
第4の参考例
図4には、本願発明の第4の参考例にかかる空冷吸収式冷凍装置の全体的な冷凍システムの構成が示されている。
【0041】
この場合、凝縮液還流回路21には、開閉弁22に代えてU字管状の液シール部38が介設されている。このようにすると、冷房運転時に気液分離器4で分離された高温の水蒸気が液シール部38により遮断されることとなり、温熱熱交換器5の温度は100℃程度に抑えられる。従って、温熱熱交換器5における2次冷媒yの異常過熱が防止されることとなり、2次冷媒yとして用いられるフロン系冷媒(例えば、R407c)の分解を防止することができる。しかも弁の数が減るためコストダウンにもなる。なお、本参考例における温熱熱交換器5としては、シェルアンドコイル式熱交換器、シェルアンドチューブ式熱交換器、二重管式熱交換器、プレート式熱交換器等を用いることができる。その他の構成および作用効果は第1の参考例におけると同様なので説明を省略する。
【0042】
第5の参考例
図5には、本願発明の第5の参考例にかかる空冷吸収式冷凍装置の全体的な冷凍システムの構成が示されている。
【0043】
この場合、開閉弁25に代えて液シール部39が用いられている。このようにすると、弁の数をさらに少なくでき、より一層のコストダウンを図ることができる。なお、本実施の形態における温熱熱交換器5としては、シェルアンドコイル式熱交換器、シェルアンドチューブ式熱交換器、二重管式熱交換器、プレート式熱交換器等を用いることができる。その他の構成および作用効果は第1の参考例におけると同様なので説明を省略する。
【0044】
第1の実施の形態(請求項1、2に対応)
図6には、本願発明の第1の実施の形態にかかる空冷吸収式冷凍装置の全体的な冷凍システムの構成が示されている。
【0045】
この場合、第1の参考例における開閉弁25を廃止している。その他の構成は第1の参考例におけると同様なので説明を省略する。
【0046】
上記のように構成した空冷吸収式冷凍装置は、次のように作用する。
【0047】
冷房運転開始時においては、第1冷暖切換弁22を閉弁し、開閉弁34および第2〜第4冷暖切換弁26〜28を開弁した状態で、高温再生器1を作動させる前に冷媒ポンプ11を駆動する。すると、温熱熱交換器5におけるシェル19内に空冷凝縮器9の下流側から凝縮液供給回路33を介して低温の1次冷媒凝縮液(即ち、凝縮水d)が充填されるが、液位検出手段35により満液状態が検出された時点で開閉弁34が閉弁される。このようにすれば、温熱熱交換器5におけるシェル19への凝縮水dの充填を自動的に確実に行うことができる。なお、冷媒ポンプ11の駆動開始から所定時間経過した時点で開閉弁34を閉弁するようにしてもよい。
【0048】
この状態のもとに、高温再生器1を作動させると、温熱熱交換器5のシェル19内に凝縮水dが充填されているため、気液分離器4から送られてくる高温の水蒸気aは、温熱熱交換器5のシェル19内に流入することができなくなる。従って、温熱熱交換器5における2次冷媒yの異常過熱が防止され、2次冷媒yとして用いられているフロン系冷媒の分解が防止されることとなり、装置の信頼性を確保することができる。
【0049】
また、暖房運転時においては、開閉弁22を開弁して温熱熱交換器5におけるシェル19から凝縮水dを排出すれば、温熱熱交換器5のシェル19へ高温の水蒸気aが供給可能となり、該水蒸気aの保有する熱が暖房熱源として2次冷媒yへ伝達されることとなる。
【0050】
その他の作用効果は第1の参考例におけると同様なので説明を省略する。
【0051】
第2の実施の形態(請求項1に対応)
図7には、本願発明の第2の実施の形態にかかる空冷吸収式冷凍装置の全体的な冷凍システムの構成が示されている。
【0052】
この場合、温熱熱交換器5として二重管式熱交換器を採用している点が第4の参考例と相異しているのみである。なお、本実施の形態の場合、液位検出手段35および制御手段36は省略されている。その他の構成および作用効果は第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0053】
第3の実施の形態(請求項1に対応)
図8には、本願発明の第3の実施の形態にかかる空冷吸収式冷凍装置の全体的な冷凍システムの構成が示されている。
【0054】
この場合、温熱熱交換器5としてプレート式熱交換器を採用している点が第4の参考例と相異しているのみである。なお、本実施の形態の場合、液位検出手段35および制御手段36は省略されている。その他の構成および作用効果は第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0055】
第4の実施の形態(請求項3、4に対応)
図9には、本願発明の第4の実施の形態にかかる空冷吸収式冷凍装置の全体的な冷凍システムの構成が示されている。
【0056】
この場合、シェルアンドコイル式の温熱熱交換器5の1次冷媒通路(即ち、シェル19)を気液分離器4の液相部に接続し且つ前記温熱熱交換器5を前記気液分離器4と同一高さもしくはそれより低位に配置している。なお、冷房起動時に前記気液分離器4を介して前記温熱熱交換器5の1次冷媒通路(即ち、シェル19)に吸収希溶液cを充填するポンプ装置としては溶液ポンプ18を利用している。
【0057】
また、前記温熱熱交換器5における1次冷媒通路(即ち、シェル19)の出口は、前記気液分離器4からの1次冷媒蒸気(即ち、水蒸気a)が供給されるとともに前記温熱熱交換器5より高位であって前記気液分離器4と同一高さもしくはそれより低位に配置された暖房用吸収器37を介して前記再生器1に接続されている。その他の構成は第1の参考例におけると同様なので説明を省略する。
【0058】
上記のように構成したことにより、冷房運転時においては、溶液ポンプ18の駆動により温熱熱交換器5における1次冷媒通路(即ち、シェル19)に気液分離器4を介して低温の吸収希溶液cが充填される。従って、温熱熱交換器5の1次冷媒通路(即ち、シェル19)への高温の1次冷媒(即ち、吸収濃溶液b)が流入することができなくなる結果、2次冷媒yの異常過熱が防止され、2次冷媒yとして用いられているフロン系冷媒の分解が防止されることとなり、装置の信頼性を確保することができる。また、暖房運転時においては、気液分離器4から温熱熱交換器5の1次冷媒通路(即ち、シェル19)へ高温の吸収濃溶液bが供給されることとなり、該吸収濃溶液bの保有する熱が暖房熱源として2次冷媒yへ伝達されることとなる。
【0059】
また、暖房運転時において温熱熱交換器5の1次冷媒通路(即ち、シェル19)に供給された吸収濃溶液bが暖房吸収器37に入り、そこで1次冷媒蒸気(即ち、水蒸気a)を吸収して吸収希溶液cとなって高温再生器1へ還流されることとなり、暖房運転時における1次冷媒の搬送をスムーズに行うことができる。その他の作用効果は第1の参考例におけると同様なので説明を省略する。
【0060】
第5の実施の形態(請求項3、4に対応)
図10には、本願発明の第5の実施の形態にかかる空冷吸収式冷凍装置の全体的な冷凍システムの構成が示されている。
【0061】
この場合、温熱熱交換器5として二重管式熱交換器を採用している点が第4の実施の形態と相異しているのみである。その他の構成および作用効果は第4の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0062】
第6の実施の形態(請求項3、4に対応)
図11には、本願発明の第6の実施の形態にかかる空冷吸収式冷凍装置の全体的な冷凍システムの構成が示されている。
【0063】
この場合、温熱熱交換器5としてプレート式熱交換器を採用している点が第4の実施の形態と相異しているのみである。その他の構成および作用効果は第4の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【発明の効果】
【0064】
本願発明の第1の基本構成によれば、冷房運転起動時に、ポンプ装置11の駆動により温熱熱交換器5における1次冷媒通路に空冷凝縮器9の下流側から凝縮液供給回路33を介して低温の1次冷媒凝縮液dが充填されて、温熱熱交換器5の1次冷媒通路への高温の1次冷媒蒸気aが流入することができなくなるようにしているので、温熱熱交換器5において2次冷媒yが高温にさらされることがなくなる結果、2次冷媒yとして用いられているフロン系冷媒の分解が防止されることとなり、装置の信頼性を確保することができるという優れた効果がある。また、暖房運転時においては、温熱熱交換器5における1次冷媒通路から1次冷媒凝縮液dを排出すれば、温熱熱交換器5の1次冷媒通路へ高温の1次冷媒蒸気aが供給されるようにしているので、該1次冷媒蒸気aの保有する熱が暖房熱源として2次冷媒yへ伝達されるという効果もある。
【0065】
本願発明の第1の基本構成において、前記温熱熱交換器5の1次冷媒通路における液位を検出する液位検出手段35と、冷房運転開始時に前記開閉弁34を開作動させ、前記液位検出手段35により満液状態が検出された時点で前記開閉弁34を閉作動させる制御手段36とを付設した場合、温熱熱交換器5における1次冷媒通路への1次冷媒凝縮液dの充填を自動的に確実に行うことができる。
【0066】
本願発明の第2の基本構成によれば、冷房運転起動時においては、ポンプ装置18の駆動により温熱熱交換器5における1次冷媒通路に気液分離器4を介して低温の吸収希溶液cが充填されて、温熱熱交換器5の1次冷媒通路への高温の1次冷媒(即ち、吸収濃溶液b)が流入することができなくなるようしているので、温熱熱交換器5において2次冷媒yが高温にさらされることがなくなる結果、2次冷媒yとして用いられているフロン系冷媒の分解が防止されることとなり、装置の信頼性を確保することができるという優れた効果がある。また、暖房運転時においては、気液分離器4から温熱熱交換器5の1次冷媒通路へ高温の吸収濃溶液bが供給されるようにしているので、該吸収濃溶液bの保有する熱が暖房熱源として2次冷媒yへ伝達されるという効果もある。
【0067】
本願発明の第2の基本構成において、前記温熱熱交換器5における1次冷媒通路の出口を、前記気液分離器4からの1次冷媒蒸気aが供給されるとともに前記温熱熱交換器5より高位であって前記気液分離器4と同一高さもしくはそれより低位に配置された暖房用吸収器37を介して前記再生器1に接続した場合、暖房運転時において温熱熱交換器5の1次冷媒通路に供給された吸収濃溶液bが暖房吸収器37に入り、そこで1次冷媒蒸気aを吸収して吸収希溶液cとなって再生器1へ還流されることとなり、暖房運転時における1次冷媒の搬送をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の第1の参考例にかかる空冷吸収式冷凍装置の冷凍サイクルを示す回路図である。
【図2】 本願発明の第2の参考例にかかる空冷吸収式冷凍装置の冷凍サイクルを示す回路図である。
【図3】 本願発明の第3の参考例にかかる空冷吸収式冷凍装置の冷凍サイクルを示す回路図である。
【図4】 本願発明の第4の参考例にかかる空冷吸収式冷凍装置の冷凍サイクルを示す回路図である。
【図5】 本願発明の第5の参考例にかかる空冷吸収式冷凍装置の冷凍サイクルを示す回路図である。
【図6】 本願発明の第1の実施の形態にかかる空冷吸収式冷凍装置の冷凍サイクルを示す回路図である。
【図7】 本願発明の第2の実施の形態にかかる空冷吸収式冷凍装置の冷凍サイクルを示す回路図である。
【図8】 本願発明の第3の実施の形態にかかる空冷吸収式冷凍装置の冷凍サイクルを示す回路図である。
【図9】 本願発明の第4の実施の形態にかかる空冷吸収式冷凍装置の冷凍サイクルを示す回路図である。
【図10】 本願発明の第5の実施の形態にかかる空冷吸収式冷凍装置の冷凍サイクルを示す回路図である。
【図11】 本願発明の第6の実施の形態にかかる空冷吸収式冷凍装置の冷凍サイクルを示す回路図である。
【符号の説明】
1は再生器(高温再生器)、4は気液分離器、5は温熱熱交換器、6は低温再生器、9は空冷凝縮器、11はポンプ装置(冷媒ポンプ)、12は蒸発器、15は空冷吸収器、17は利用側熱交換器、18はポンプ装置(溶液ポンプ)、21は凝縮液還流回路、22は開閉弁、23は水蒸気回路、24は連絡配管、33は凝縮液供給回路、34は開閉弁、35は液位検出手段、36は制御手段、37は暖房用吸収器、38,39は液シール部、aは1次冷媒蒸気(水蒸気)、bは吸収濃溶液(臭化リチウム濃溶液)、cは吸収希溶液(臭化リチウム希溶液)、dは1次冷媒凝縮液(凝縮水)、Xは1次冷媒回路、Yは2次冷媒回路、yは2次冷媒。
Claims (4)
- 1次冷媒が循環し、再生器(1)、気液分離器(4)、暖房熱源を得るための温熱熱交換器(5)、空冷凝縮器(9)、冷房熱源を得るための蒸発器(12)および空冷吸収器(15)を順次接続してなる1次冷媒回路(X)と、2次冷媒(y)が循環し、前記温熱熱交換器(5)、利用側熱交換器(17)および前記蒸発器(12)を順次接続してなる2次冷媒回路(Y)とを備えた空冷吸収式冷凍装置であって、前記2次冷媒(y)としてフロン系冷媒を採用するとともに、前記温熱熱交換器(5)の1次冷媒通路を前記気液分離器(4)の気相部に連通させる一方、前記空冷凝縮器(9)の下流側と前記温熱熱交換器(5)の1次冷媒通路とを接続する凝縮液供給回路(33)と、該凝縮液供給回路(33)に介設され且つ冷房運転時に所定時間開作動される開閉弁(34)と、前記凝縮液供給回路(33)を介して1次冷媒凝縮液(d)を前記温熱熱交換器(5)の1次冷媒通路に圧送するポンプ装置(11)とを付設したことを特徴とする空冷吸収式冷凍装置。
- 前記温熱熱交換器(5)の1次冷媒通路における液位を検出する液位検出手段(35)と、冷房運転開始時に前記開閉弁(34)を開作動させ、前記液位検出手段(35)により満液状態が検出された時点で前記開閉弁(34)を閉作動させる制御手段(36)とを付設したことを特徴とする前記請求項1記載の空冷吸収式冷凍装置。
- 1次冷媒が循環し、再生器(1)、気液分離器(4)、暖房熱源を得るための温熱熱交換器(5)、空冷凝縮器(9)、冷房熱源を得るための蒸発器(12)および空冷吸収器(15)を順次接続してなる1次冷媒回路(X)と、2次冷媒(y)が循環し、前記温熱熱交換器(5)、利用側熱交換器(17)および前記蒸発器(12)を順次接続してなる2次冷媒回路(Y)とを備えた空冷吸収式冷凍装置であって、前記2次冷媒(y)としてフロン系冷媒を採用するとともに、前記温熱熱交換器(5)の1次冷媒通路を前記気液分離器(4)の液相部に接続し且つ前記温熱熱交換器(5)を前記気液分離器(4)と同一高さもしくはそれより低位に配置し、冷房起動時に前記気液分離器(4)を介して前記温熱熱交換器(5)の1次冷媒通路に吸収希溶液(c)を充填するポンプ装置(18)を付設したことを特徴とする空冷吸収式冷凍装置。
- 前記温熱熱交換器(5)における1次冷媒通路の出口を、前記気液分離器(4)からの1次冷媒蒸気(a)が供給されるとともに前記温熱熱交換器(5)より高位であって前記気液分離器(4)と同一高さもしくはそれより低位に配置された暖房用吸収器(37)を介して前記再生器(1)に接続したことを特徴とする前記請求項3記載の空冷吸収式冷凍装置。
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