JP3910922B2 - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3910922B2
JP3910922B2 JP2003033482A JP2003033482A JP3910922B2 JP 3910922 B2 JP3910922 B2 JP 3910922B2 JP 2003033482 A JP2003033482 A JP 2003033482A JP 2003033482 A JP2003033482 A JP 2003033482A JP 3910922 B2 JP3910922 B2 JP 3910922B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
region
lifetime
semiconductor layer
anode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003033482A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003249662A (ja
Inventor
英樹 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2003033482A priority Critical patent/JP3910922B2/ja
Publication of JP2003249662A publication Critical patent/JP2003249662A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3910922B2 publication Critical patent/JP3910922B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L29/00Semiconductor devices specially adapted for rectifying, amplifying, oscillating or switching and having potential barriers; Capacitors or resistors having potential barriers, e.g. a PN-junction depletion layer or carrier concentration layer; Details of semiconductor bodies or of electrodes thereof ; Multistep manufacturing processes therefor
    • H01L29/02Semiconductor bodies ; Multistep manufacturing processes therefor
    • H01L29/30Semiconductor bodies ; Multistep manufacturing processes therefor characterised by physical imperfections; having polished or roughened surface
    • H01L29/32Semiconductor bodies ; Multistep manufacturing processes therefor characterised by physical imperfections; having polished or roughened surface the imperfections being within the semiconductor body
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L29/00Semiconductor devices specially adapted for rectifying, amplifying, oscillating or switching and having potential barriers; Capacitors or resistors having potential barriers, e.g. a PN-junction depletion layer or carrier concentration layer; Details of semiconductor bodies or of electrodes thereof ; Multistep manufacturing processes therefor
    • H01L29/66Types of semiconductor device ; Multistep manufacturing processes therefor
    • H01L29/86Types of semiconductor device ; Multistep manufacturing processes therefor controllable only by variation of the electric current supplied, or only the electric potential applied, to one or more of the electrodes carrying the current to be rectified, amplified, oscillated or switched
    • H01L29/861Diodes

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Thyristors (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は半導体装置及びその製造方法に関するものであり、特にダイオードのリカバリー特性改善のために好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
図17は、ダイオードの基本構造を示す断面図である。同断面図17において、N+層1P及びN−層2PからなるN基板4Pの表面上には、P型の不純物を拡散することにより、アノード領域3Pが形成されている。アノード領域3Pの表面上にアノード電極5Pが、N基板4Pの裏面にはカソード電極6Pが、それぞれ形成されている。以下に、ダイオードの動作について説明する。
【0003】
図17の構造において、アノード電極5Pとカソード電極6P間に所定のアノード電圧VAK(順バイアス)を印加し、アノード電圧があるしきい値(〜0.6V)を超えると、アノード電極5PからホールがN−層2Pに注入され、ダイオードが導通する。また、カソード電極6Pとアノード電極5P間に所定のアノード電圧VKA(逆バイアス)を印加すると、当該逆バイアスVKAがアノード領域3PとN−層2PからなるPN接合の降伏電圧に達するまでは、ダイオード内には電流は流れない。上記の様子を図18に示す。尚、図18は、図19と共に、本発明の実施の形態の説明中においても援用される。
【0004】
次に、ダイオードに印加するアノード電圧を順バイアスから逆バイアスに切り替えた時の特性は逆回復特性(リカバリー特性)と呼ばれ、逆回復特性は図19に示す様な電流の時間経過(過渡応答)を示すことが知られている。同図19中、記号Irrは逆方向に流れる電流(リカバリー電流)Irのピーク値を示し、又、記号Trrは逆方向に流れた電流Irが消失するまでに要する時間であり、記号Ifは順バイアス時の電流値である。
【0005】
逆回復特性では、リカバリー電流のピーク電流Irrの大きさが小さく、しかも、逆方向に流れる電流Irがゆるやかに消失するものが望まれている。即ち、図19に示すように時間T1,T2を定め、T1>T2のときにはリカバリー特性がハードであり、T1<T2のときにはリカバリー特性がソフトであると定義する。そして、ダイオードをIGBT等の主スイッチング素子とペアで用いるときには、もしリカバリー特性がハードな場合には、サージ電圧の発生やスイッチングロスによる発熱が生じるため、これらを回避すべく、低損失でソフトリカバリーな特性(電流Irの時間変化dIr/dtの減少化)が求められる。以下、リカバリー電流Irのピーク値Irrを「リカバリーピーク電流」と呼ぶ。
【0006】
この逆方向に流れる電流Irの過渡応答に関しては、最近の調査・研究により、次のような点が判明している。即ち、▲1▼リカバリーピーク電流Irrはアノード電極近辺の半導体領域のキャリア密度に依存しており、上記キャリア密度の減少に応じてリカバリーピーク電流Irrも減少する。加えて、▲2▼上記消失時間Trrは、カソード電極近辺の半導体領域のキャリア密度に依存することが知られており、カソード領域のキャリア密度の増大に応じて消失時間Trrも長くなる。
【0007】
そこで、かかる調査結果を踏まえて、逆回復特性改善のための構造が、従来、数多く提案されている。
【0008】
(I) その第一は、例えば、特開平8−46221号公報に開示されているし、後述する三菱電機技報や平成7年電気学会産業応用部門全国大会(No.136,P79)においても従来技術として指摘されている技術である。それは、白金に代表される重金属をライフタイムキラーとしてアノード電極側からドープ・拡散させるものであり、これによりPN接合部付近のN型層のライフタイムは短くコントロールされる。特に、この技術を用いれば、カソード電極側のN型層内のキャリアのライフタイムがアノード側のPN接合部近辺のライフタイムよりも長くなるように白金の拡散をコントロールすることができるので、カソード側のキャリア密度を増大させることができ、以て上述した消失時間Trrを長くすることができる。
【0009】
しかし、この第1従来技術を以てしても、均一性,再現性をも含めて、アノード側のN型層内のキャリアのライフタイムをより一層短くコントロールすることが容易でないという点が、問題点として残る。
【0010】
(II) 第2の従来技術は、特公昭59−49714号公報に開示されているものであり、その従来技術を適用したときのダイオードの縦断面構造を図20に示す。同図20中、図17と同一記号のものは同一のものを示す。この第2従来技術は、表面に形成されるアノード領域3Pを部分的に形成することでアノード領域3Pからのホールの注入を抑制し、以てアノード電極5Pの近辺領域のキャリア密度を下げてリカバリーピーク電流Irrを小さくしようとするものである。
【0011】
しかし、この構造では、部分的に形成したアノード領域3Pとその間隔Wとでアノード近辺のキャリア密度をコントロールするのであるが、アノード領域3Pの間隔Wを広げ過ぎると降伏電圧が低下するため、かかる点がネックとなってアノード近辺のキャリア密度を十分コントロールすることができないという問題点が新たに顕出する。
【0012】
(III) また、第3の従来技術を用いたダイオード構造としては、三菱電機技報Vo1.67.No.9.1993,PP94−97に開示されたものがある。これは、構造的には図17に示したものと基本的に同じではあるが、表面に形成されるアノード領域の構造を変えることで逆回復特性を改善しようとするものである。即ち、同技報の技術では、図17に示したアノード領域3Pの厚みを薄くし、またアノード領域の表面濃度を下げることで、アノード領域3Pからのホールの注入を抑制し、以てアノード近辺のキャリア密度を下げてリカバリーピーク電流Irrを小さくしようとしている。これにより、リカバリーピーク電流Irrは約40%低減され、かつリカバリー時の傾きdIr/dtも約1/2に減少するという結果が報告されている。
【0013】
しかし、この構造でも、降伏電圧を確保するためにはアノード領域3Pの厚みと濃度とをある程度の値に設定することが必要となり、アノード領域の薄膜化及び低濃度化にも限界があることから、第2従来技術(II)と同様に、アノード近辺のキャリアを十分コントロールすることができないという問題点が残る。
【0014】
(IV) 更に、第4の従来技術を適用したダイオード構造としては、平成7年電気学会産業応用部門全国大会PP79−80に開示されたものがある。この構造例を図21に示す。同図21中、図17と同一記号のものは同一のものを示す。図21の記号2PPは、プロトン照射によってダメージを受けた領域を示す。この従来技術では、pin構造において、リカバリー時の損失低減化のために、既述の白金ドープに代えて電子線照射を行いn層内のキャリアのライフタイムを低減化して消失時間Trrの増大化を図ると共に、更に、プロトン照射によってn−層内のライフタイムを局所的にコントロールし、アノード領域近辺のキャリア密度を下げてリカバリーピーク電流Irrを小さくしようとしたものである。これにより、電子線照射のみの場合と比べて、傾きdIr/dtが1/2以下に、リカバリーピーク電流Irrが40%程減少した旨が報告されている。
【0015】
【特許文献1】
特開平8−46221号公報
【特許文献2】
特公昭59−49714号公報
【特許文献3】
特開平8−125200号公報
【特許文献4】
特公昭47−2730号公報
【特許文献5】
特開平5−102161号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、第4の従来技術に係るダイオードの構造に対しては、後程、本願出願人が実証するように、プロトン照射量(プロトンドーズ量)を実用的なレベルにまで上げていくと降伏電圧が著しく低下していくために、上記第1,第2,第3の従来技術と同じく、アノード領域近辺のキャリアを十分にコントロールすることができないという問題点があることを、指摘できる。
【0017】
実際に本願出願人がプロトン照射によって上記第4従来技術と同様なサンプルを試作し、その試作品の、プロトンドーズ量の増加に対する耐圧ないし降伏電圧を評価して得られた実験結果を、図22に示す。尚、図22には、リカバリー前に流していた順方向電流If(図19参照)に対するリカバリーピーク電流Irrの測定結果をも示している。この実験は、プロトンビームの加速エネルギーをアルミホイール等のバッファによって調整することにより、その照射量を変えつつ、アノード近辺にプロトン照射を行い、その後、340゜Cの熱処理を施した後の耐圧を評価したときの結果である。同図22中、横軸は相対値として表わしたプロトンドーズ量を示し、左側の縦軸は降伏電圧Vrを示し、右側の縦軸は比(Irr/If)を示す。ここでは、上述の通り、プロトンが照射される深さないしは照射位置を固定した上で、プロトンの照射量のみを変えている。同図22に示されている通り、プロトン照射量の増大とともに耐圧Vrが低下していることが理解される(図23を対比参照)。尚、この耐圧Vrの低下原因については後で述べる。
【0018】
図21に示した第4の従来技術の場合は、図22の実験結果で言えば、プロトンドーズ量の相対値が1程度の場合に該当する。しかし、重金属拡散や電子線照射によって得られるよりも一層にキャリアのライフタイムの短い低ライフタイム領域をプロトン照射によってN−層内に効果的に形成するには、(つまりリカバリーピーク電流Irrをより一層小さくするには、)図22の比(Irr/If)の測定結果から理解されるように、プロトンの照射量を大きくすることが必要であり、実用的には、相対値で言えば、プロトンのドーズ量としては10〜100cm-3程度の値が望まれる。
【0019】
しかるに、図22に示す通り、その程度の大きさにまでプロトンのドーズ量を増やすと、耐圧劣化の影響は無視できない程に大きくなり、デバイス特性は非実用的なものとならざるを得ないのである。この点が、プロトン照射を用いた第4従来技術の抱える重大な問題点である。そういう意味では、上記第4の従来技術では、局所ライフタイムコントロールについて、十分な最適化の検討がなされていなかったと言える。
【0020】
この発明は上記に述べた全ての問題点を解決するためになされたものである。即ち、この発明は、逆回復特性として、▲1▼第3半導体層近辺のキャリア密度を下げてリカバリーピーク電流(Irr)をより一層小さくなるように、かつ、▲2▼第1半導体層と第2半導体層との界面とは反対面側近辺の第1半導体層のキャリア密度を上げてリカバリー電流消失時間(Trr)を長くなるように、第1半導体層内のキャリアのライフタイムをコントロールしても、▲3▼降伏電圧の低下の無い、新規な構造を有する半導体装置を実現することを、目的としている。
【0021】
特に、この発明では、上記▲1▼,▲3▼を同時に満足させる点に主眼が置かれている。この場合には、更に、例えば既述した第1従来技術を適用することによって第1半導体層のキャリア密度の最適化を図ることで、上記▲2▼をも実現することが可能であり、この点も本発明の副次的な目的である。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る半導体装置は、第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層の主面と第1界面をなす第1主面と前記第1主面に対向する第2主面とを有し、且つ前記第1導電型の不純物を含むと共に、ダメージを受けて格子欠陥化状態にあるダメージ部分をも含む第2半導体層と、前記第2半導体層の前記第2主面と第2界面をなす主面を有する第2導電型の第3半導体層とを備え、前記第2半導体層に於ける第2ライフタイムは前記第1半導体層に於ける第1ライフタイムよりも小さく、前記第2半導体層に於ける抵抗値は前記第2界面から前記第1界面に向けて単調に減少していることを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
実施の形態1では、新規なpin構造を有する半導体装置が提供される。
そのような半導体装置の好適な一例として、ここでは、本発明をダイオードに適用した例を説明する。本実施の形態に係るダイオードは、PN接合のP層とN層との界面からN層内の所定の深さないしは所定位置までにわたって、予め所定のイオンとしてヘリウムイオンが照射されてダメージを与えられたことによって、当該界面から抵抗値が単調に減少してゆくという特性を具備した、ダメージ領域を有している。このようなダメージ領域が上記界面近辺ないし接合付近のN層内に形成されていることで、耐圧ないし降伏電圧に影響をもたらすことなく(不変)、より一層ソフトなリカバリー特性を実現することが、可能となる。以下、より具体的な分析を通じて、上記ダメージ領域を有する本ダイオードについて説明する。
【0024】
(1) 図1は、この発明の実施の形態1に係るダイオードの縦断面図である。同断面図1において、第1導電型の第1半導体層(N型基板)1は、カソードN+層1Aと、その表面上に形成されたN−層1Bとからなる。本実施の形態では、N型の導電型が第1導電型にあたる。
【0025】
この第1半導体層1の第1主面上には、同じくN型の導電性を有する第2半導体層2が軽イオン(例えばHeイオン)照射によりダメージを受けた状態として形成されており、第2半導体層2の第1主面と第1半導体層1の第1主面とは第1界面S1を形成している。この第2半導体層2が本実施の形態の特徴部分であり、後述の説明から後程理解されるように、同層2は、(i)第1半導体層1におけるキャリアのライフタイムτ1(第1ライフタイムタイムと呼ぶ)よりも短いないしは小さいライフタイム(第2ライフタイムと呼ぶ)τ2を有し、且つ(ii)単調減少する抵抗値を有する、領域である。以後、第2半導体層2を「低ライフタイム層ないし低ライフタイム領域」と呼ぶ。
【0026】
低ライフタイム層2の(上記第1主面に対向する)第2主面上には、第2導電型(ここでは、P型)の不純物拡散により形成された第3半導体層(アノード層に該当。以下、アノードP層と呼ぶ)3が配設されており、同層2の第2主面と同層3の第2主面とは第2界面S2を形成している。ここでは、アノードP層3の厚みは薄く設定されており、3μm程度である。
【0027】
更に、アノードP層3の第1主面上にはアノード電極(第1主電極)5が、又、カソードN+層1Aの裏面にあたる第2主面上にはカソード電極(第2主電極)6が、各々形成されている。
【0028】
ここでは、例えば、既述した第1従来技術におけるPt,Au等の重金属の拡散を本デバイスにも採用し、重金属の拡散時間又は拡散温度をコントロールすることで、第1半導体層1中のキャリアのライフタイムτ1を低ライフタイム層2のそれ(τ2)よりも長くなるようにして、カソード側のキャリア密度の増大化を図っている。尚、厳密には、第1半導体層1内の重金属の拡散係数にも若干勾配があるので、カソードN+層1A側のライフタイム(τ1A)の方がN−層1Bのライフタイム(τ1B)よりも若干長くなる。この技術は、勿論、図19に示したリカバリー電流消失時間Trrの増大化を図るためのものである。
【0029】
そして、リカバリーピーク電流Irrの値を従来よりもより小さくし、かつ、重金属拡散技術の適用により得られるリカバリー電流消失時間Trrの長時間化にも影響を与えないようにするという観点から、上記低ライフタイム層2の厚みないしは第2界面S2からの深さdは、後述するように、所定の範囲内の値に制御されている。
【0030】
(2) 次に、この実施の形態のダイオードの動作について説明する。
【0031】
図1の構造において、アノード電極5とカソード電極6間に所定のアノード電圧VAKを順バイアスとして印加し(図18参照)、アノード電圧VAKがあるしきい値(〜0.6V)を超えると、アノード電極5よりホールが低ライフタイム層2を介してN−層1Bに注入され、ダイオードが導通する。そして、アノード電圧VAKが図18に示すオン電圧値Vfに等しくなったときに、定格電流Ifが流れる。また、カソード電極6とアノード電極5間に所定のアノード電圧VKAを逆バイアスとして印加すると(図18参照)、アノード電圧VKAが降伏電圧Vrを超えない限り、ダイオードは導通しない。
【0032】
後述する通り、この低ライフタイム層2はPN接合の降伏電圧に何らの影響をも与えないため、この構造のダイオードでは、▲3▼降伏電圧が、低ライフタイム層2が形成されていない場合のダイオードのそれと比べて低下しないという利点が得られる。しかも、アノード側に低ライフタイム層2が形成されているので、アノード近辺のキャリア密度が著しく低減され、▲1▼リカバリー時のリカバリーピーク電流Irr(図19参照)を既述の第1〜第4従来技術よりもより一層小さくすることができるという利点も同時に得られる。しかも、このダイオードでも、第1従来技術と同様に、予め重金属を第1半導体層1内に拡散させるが、その拡散量をコントロールすることにより、カソードN+層1A側のライフタイムを長くしてカソード側のキャリア密度を高めているので、オン時のオン電圧Vf(図18参照)を低下させて、▲2▼リカバリー電流消失時間Trr(図19参照)を長くすることもできる。
【0033】
(3) 図1のダイオード構造の上記利点を実証すべく、今回、既述した従来の第4技術におけるプロトン照射の場合と本実施の形態のヘリウムイオン照射の場合とにおける、それぞれの照射の降伏電圧への影響を調査した。その調査は、荷電粒子(H+,He+)照射後、熱処理を施した後の各サンプルについて、広がり抵抗(spread resistance:以下、SRと呼ぶ。)を測定することで行われた。ここに、SR測定とは、図2に模式的に例示するように、例えば半導体素子を斜め方向に研磨し(勿論、垂直方向に研磨した場合でも良い)、研磨面SS上に2つの電極針をそれぞれ接触させ、当該両電極針を方向D1に沿って移動させながら両電極針間の広がりSPで生ずる抵抗(即ち、広がり抵抗)を測定することで、半導体素子内の抵抗値ないしは抵抗率を求めるという方法であり、これは既知の測定技術である。
【0034】
従来のプロトン照射の場合のSR測定結果とHeイオン照射を行った本デバイスのSR測定結果を、それぞれ図3及び図4に示す。両図3,4に示す測定は、いずれも米国 SOLID STATE MEASUREMENTS,INC.社の測定器を用いて行われたものであり、両図3,4の横軸は、図1で言えばアノードP層3の第1主面からの深さLとして与えられる荷電粒子照射位置を示す。又、両図3,4中、測定結果R,ρ,Nは、それぞれ、広がり抵抗,素子の抵抗率,不純物濃度を示している。広がり抵抗Rと抵抗率ρないしは不純物濃度Nとの間には、シリコンでは既知の換算値があるので、広がり抵抗Rが測定されれば、その換算値を用いることで、抵抗率ρ、従って不純物濃度Nの値は自動的に算出される。又、両図3,4の縦軸は対数スケールで示される。両図3,4の測定で用いられたサンプルは、いずれも同一基板、同一材料を用いて製作されたものであり、照射源のみが異なるにすぎず(即ち、H+かHe+かの違い)、電気特性(リカバリー特性)が両者で同じになるようにそれぞれの照射量をコントロールしたものである。ドーズ量は、図22の相対値で言えば、実用的な、10〜100cm-3程度の値である。
【0035】
プロトン照射の場合には、図3中の記号R1で示されるように、プロトン照射によるダメージの高抵抗部分とウエハのN−層の間に、低抵抗の領域が測定されている。ここで、「ダメージ」とは、軽イオン照射により半導体層の抵抗が大きくなるという意味で用いられている。これは、プロトンにより形成されたダメージ層がその後の熱処理によりドナー化(不純物化)したものであると考えられる。このドナー化現象は現実的にはダメージ層全体に渡って起こっているものと考えられ、このため、プロトン照射では降伏電圧が低下するのである。
【0036】
一方、図4に示すヘリウムイオン照射の場合には、図3と比較して明らかな通り、図3の領域R1で示されるようなドナー化現象は生じておらず、広がり抵抗Rないし抵抗率ρは、アノードP層3の第1主面からの深さLないしは界面S2からの深さの増大と共に、単調に減少している。即ち、ヘリウムイオン照射により形成されるダメージ部分は高抵抗な領域として測定されており、プロトン照射の様なドナー化現象は起こっていないと判断できる。従って、ヘリウムイオン照射によれば、照射によるダメージのみが接合付近のn層内に形成されるのみであり、そのために降伏電圧Vr(図18)の低下が照射によっても起きないのである。勿論、この点は、ヘリウムイオンの照射量に依存するものではない。
【0037】
図23に、ヘリウムイオン照射量に対する耐圧Vr及びリカバリピーク電流Irrの特性に関する測定結果を示す。同図23の左右の縦軸は、図22の場合と同様に、それぞれ耐圧Vr,相対比(Irr/If)を示す。図22と図23を対比参照すれば明白な通り、ヘリウムイオン照射の場合には、実用的にみて十分に小さなリカバリ電流値Irrを実現しうる照射量10〜100cm-3程度(相対値)のヘリウムイオンを照射しても、耐圧Vrの変化は殆ど見られない。
【0038】
このように、ヘリウムイオン照射による低ライフタイム領域2の形成は、照射を受けたN−層部分を熱処理後もドナー化させないという作用をもたらし、これによって耐圧Vrを不変とさせるのである。
【0039】
(4) 次に、図1の構造のダイオードの逆回復特性について述べる。
【0040】
このダイオードでは、アノード近辺に、即ち、PN接合面たる界面S2周辺に、ヘリウムイオン照射によりダメージを受けた低ライフタイム領域2が形成されている。このため、▲1▼アノード近辺のキャリア密度が著しく低下し、リカバリーピーク電流Irrが著しく小さくなる。しかも、▲3▼上記(3)で述べた通り、照射による耐圧Vrの劣化はない。
【0041】
また、このダイオードでは、ヘリウム照射によるダメージがアノード近辺にのみ局所的に形成されているため、このようなダメージが形成されていない従来のダイオードと比べて、ダメージの形成されていないその他の領域、つまり、図1のN−層1B,カソードN+層1A中のキャリアのライフタイムを長くする必要がある。というのは、低ライフタイム領域2をN−層1B内に局所的に形成しているので、仮にその他のN型層のライフタイムを上記領域2が形成されていないときと同一の値にしてしまうと、オン時のON電圧Vfが高くなってしまい、ロスを生じることとなる。そこで、これを回避するには、その他のN型層のライフタイムをより長くコントロールして、オン電圧Vfを下げる必要があるのである。この点は、低ライフタイム領域2の厚みdを最適化すると共に、既述の重金属拡散技術の適用によって、実現しうる。この長いライフタイムの実現はカソード近辺のキャリア密度を増し、このため、リカバリー電流消失時間Trrが長くなる。
【0042】
(5) 図5は、上記の低ライフタイム領域2を形成した場合のダイオードの逆回復特性を分析するための、シミュレーションのモデルを示すものである。同図5中、図1と同一記号のものは同一部分を示す。但し、このモデルでは、図1の低ライフタイム領域2にあたる領域は、図5の領域2S及び領域2S1に二分されるものとされている。この内、一方の領域2Sは、ヘリウムイオンビームの半値幅(≒10μm)を考慮して設定された領域であり、領域2Sの厚みd1は上記半値幅分に相当するものとされている。従って、図5のモデルにおける他方の領域2S1の部分は、実際にはヘリウムイオン照射を受けたダメージ部分である筈ではあるが、シミュレーションの便宜のために、当該領域2S1は単にN−層1Bと同じライフタイムを有するN型半導体層として扱われている。実際には、両領域2S,2S1は共にヘリウムイオン照射によりダメージを受けた層であるから、各領域2S,2S1のそれぞれのライフタイムをτ2S、τ2S1として表わせば、τ1>τ2S1>τ2Sの関係が成立するものと考えられ、従って、図1では、図5の両領域2S,2S1を含めて両者を一体的に第2半導体層(低ライフタイム層)2として定義している。
【0043】
このシミュレーションを行うに際して、各パラメータは次の通りに設定されている。即ち、モデルのダイオードは耐圧600Vクラスのダイオードに設定しており、N−層1Bの比抵抗を30Ω.cmに、その厚みを30μmに設定している。ただし、実際に拡散ウエハを用いていることに対応させるために、N−層1BとN+層(N+基板)1Aとの間に100μm程度の濃度勾配部分があるものと、本モデルでは設定されている。又、アノードP層3の深さないし厚みは実際のダイオードにあわせて3μmに設定されており、その表面濃度は1e17と設定している。更に、低ライフタイム領域のない場合の、つまり図17に示す従来技術に該当する場合のダイオードのライフタイムは、全領域について、50nsec.としている。一方、低ライフタイム領域の存在する場合には、図5のモデルにおける低ライフタイム領域2Sの幅d1をヘリウムイオンビームの半値幅に対応させて10μmとし、その領域2Sのライフタイムを8nsec.(<1/10×200nsec.)とし、その他の領域(2S1,1B,1A)のライフタイムを200nsec.としている。そして、低ライフタイム領域2ないし2Sの界面S2からの位置ないし深さdを変えて、リカバリー特性のシミュレーションを実行した。
【0044】
シミュレーションは、図18に示すオン電圧Vfと図19に示す逆回復特性(Irr,Trr)とについて、市販のシミュレータMediciを用いて行われている。得られたシミュレーション結果を図6に示す。
【0045】
図6において、それぞれの特性Trr,Irr,Vfはキャリアのライフタイムを全領域で同じにした場合(つまり、領域2Sの形成が無い場合)の各特性に対する規格値として示されている。従って、相対比が1のときは、本デバイスは従来のもの(例えば、図17に示すもの)と同一の特性を示すこととなる。
【0046】
図6のシミュレーション結果を考察すると、次の点が理解される。先ず、オン電圧Vfは、低ライフタイム領域2SがN型基板内に深く形成されるにつれて大きくなる。他方、リカバリーピーク電流Irrは、その深さが20μmのときに極小となり、そのときの位置から照射位置がずれるとその値が大きくなる。又、リカバリー電流消失時間Trrは、オン電圧Vfの場合とは逆に、低ライフタイム領域2Sが深く形成されるにつれて小さくなる。このような結果は、低ライフタイム領域2Sが界面S2から深く形成されるにつれて、低ライフタイム領域2S及びその近辺のキャリア密度が少なくなり、オン電圧Vfが高くなることを示している。また、リカバリーピーク電流Irrが極小値を持つのは、図5のモデルでは領域2S1,2Sが設定されている結果、低ライフタイム領域2Sが深くなると、逆にアノード最近辺のキャリア、つまり領域2S1内のキャリアが多くなるためであると考えられる。さらに、低ライフタイム領域2Sが深く形成されるにつれて、カソード側のキャリアは減少するため、リカバリー電流消失時間Trrは、低ライフタイム領域2Sが深くなるにつれて小さくなる。
【0047】
既述した本発明の目的▲1▼〜▲3▼を達成するためには、図6のシミュレーションにおける相対値で言えば、Vf≒1(オン電圧Vfの不変化→時間Trrを長くする)、Irr<1,Trr>1の関係が成立するように、低ライフタイム領域2ないしは2Sの厚みないし深さdを設定する必要がある。特にIrr<1の関係式の成立が重視されなければならない。かかる観点から図6のシミュレーション結果を評価するならば、低ライフタイム領域2ないしは2Sの厚みdを10μm〜30μmの範囲内にコントロールするときには、従来よりも良好なソフトリカバリー特性が得られることが理解される。
【0048】
さらに、ヘリウムイオン照射位置dを時間Trrが従来の場合と同じになる図6の照射位置30μmに設定したときの、オン状態でのキャリア密度を調査した。その結果、アノード電極5より注入されたホール密度分布がN基板1側の濃度分布と交わる点の深さ、つまり、オン状態での第1半導体層1の不純物濃度と第1半導体層1内に注入されたキャリアの濃度とが同じになる位置は、界面S2からみて58μmの位置にあった。ということは、ヘリウムイオン照射位置dは上記の通り10μm〜30μmの範囲内にコントロールされるので、アノード電極5より注入されたホールがN基板1と交わる点の深さの半分以下にヘリウムイオン照射位置dを設定すれば、リカバリー電流消失時間Trrを、重金属拡散や電子ビーム照射の施されていない従来の場合(図17)よりも長い時間(時間Trrの相対値>1)に設定することが可能になる。
【0049】
(6) 次に、上記シミュレーション結果を踏まえて、実際にダイオードを試作した。試作では、従来のダイオードに比べて全体に施すライフタイムコントロールを弱めたpin構造に対して、上述のヘリウムイオン照射を行ない、その後、熱処理(アニール)を施した上で、上記シミュレーション同様に、各特性Vf,Irr,Trrのヘリウムイオン照射位置依存性を調査した。但し、ここでは、ヘリウムイオン照射位置は、アノードP層3(厚み3μm程度)を含めた深さL(図1参照)で以て表わされる。ヘリウムイオン照射は、シミュレーション同様に、照射ビームの半値幅が10μmである条件で行なわれており、照射量は実用的な相対値レベルで10〜100cm-3程度(図22参照)である。また、本試作では、熱処理を加えたダイオードのSR測定結果を評価し(図4,図8参照)、ダメージを受けた低ライフタイム領域の比抵抗の変化とN基板の比抵抗の変化とが交わる点、図4,図8の例では、点Pを、ヘリウムイオン照射位置Lとしている。その試作結果を図7に示す。図7の縦軸は、図6と同様に、領域2の無い従来構造(図17参照)の特性に対する相対値として与えられている。
【0050】
図7に示されるように、試作結果も図6のシミュレーション結果とほぼ同様の結果であり、オン電圧Vfは低ライフタイム領域2(図1)が深くなるにつれて大きくなる。リカバリーピーク電流Irrは深さLが28μmのときに極小となり、当該深さ(=28μm)からヘリウムイオン照射位置Lがずれると、その値が大きくなる。リカバリー電流消失時間Trrは、オン電圧Vfとは、逆に、低ライフタイム領域2の位置Lが深くなるにつれて小さくなる。図6と図7とでは、アノードP層3の厚みを差し引いたとしても、リカバリーピーク電流Irrの極小値近辺のリカバリーピーク電流Irrのヘリウムイオン照射位置に対する変化に差が生じているが(図7ではリカバリ電流Irrの変化が小さい)、これは、図6のシミュレーションでは図5の領域2S1を非ダメージ領域として扱っていることに起因しているものと、考えられる。従って、図5の領域2S1もダメージ領域として実際に考える必要性が、ここに見出される。
【0051】
図7の試作結果からは、従来の場合と比較して、低ライフタイム領域2の位置Lを15μm〜40μmの範囲内にすると、従来よりもリカバリー特性が改善される(特にリカバリーピーク電流Irr<1となる)。
【0052】
アノードP層3の第1主面からのヘリウムイオン照射位置Lを図7の28μmにコントロールして試作品を試作した場合のSR測定結果を、図8に示す。同図8より理解される通り、ダメージを受けた低ライフタイム領域の抵抗は、ダメージを与える前の約50倍強になっている。ということは、低ライフタイム領域2の抵抗率が第1半導体層1のそれの50倍以上に設定されることが望ましい。又、ライフタイムに関しては、既述したシミュレーションの条件設定からみて、(低ライフタイム領域2のライフタイムτ2)<1/10×(第1半導体層1のライフタイムτ1)の関係が成立していることが望まれる。これにより、N型基板1内のキャリア密度を適切にすることが可能となる。
【0053】
ヘリウムイオン照射位置Lをリカバリーピーク電流Irrが極小となる28μmの位置にコントロールして低ライフタイム領域2を形成した場合のリカバリー特性を、図9に示す。又、ヘリウムイオン照射を行なわない場合のダイオードの逆回復特性の結果を、図10に示す。両図9,10において、記号Ikがアノード−カソード間電流を示している。他の記号は既述した通りである。両図9,10を比較してわかる通り、図9の本発明のダイオードの方が、リカバリーピーク電流Irrがより小さくなっており、且つリカバリー電流消失時間Trrもより長くなっている。
【0054】
(7) 以上の説明では、pin構造において、N型基板1及びアノードP層3をそれぞれ第1導電型の第1半導体層及び第2導電型の第3半導体層とし、その間に挟まれた中間層を低ライフタイム層2とし、アノード電極5及びカソード電極6を各々第1及び第2主電極とする場合であった(図1参照)。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、(i)p型半導体基板を第1導電型の第1半導体層とし、(ii)その上に形成された、よりライフタイムが短く且つ単調減少する抵抗率を有するp型の半導体層を第1導電型の第2半導体層とし、(iii)更にその上に形成されたカソードn層を第2導電型の第3半導体層とし、(iv)カソード電極及びアノード電極をそれぞれ第1及び第2主電極とする、半導体装置にも、適用可能である。この場合の第2半導体層は、ヘリウムイオン等の所定のイオン照射を受けることによってダメージのみを受けた領域であり、その後の熱処理によってもアクセプタ化されない性質(従って、抵抗率の単調減少化)を有する
(8) 又、図1,図6,図7のダイオードは、N−層1B及びN+層1A中に白金等の重金属がヘリウムイオン照射前に予め拡散されていることを前提とした構造であったが、本発明はこれに限られるものではなく、上記重金属が予め拡散されていない場合にヘリウムイオン照射を行って低ライフタイム領域2を形成するダイオードにも適用可能である。この場合には、重金属拡散による効果、即ち、既述した効果▲2▼(カソード側のキャリア密度の増大化・(重金属拡散が施されたときの従来のダイオードに対しての)オン電圧Vfの不変化・消失時間Trrの増大化の維持)は得られないが、上述した特徴的な効果▲1▼(電流Irrの一層の低減化)及び▲3▼(耐圧不変)は得られるため、そのような構造もなお有益な技術を提供する。
【0055】
(9) 図1に基づく上記説明は、軽イオンないし所定のイオンの代表例として、ヘリウムイオンを利用して図1の低ライフタイム領域2を形成した場合であったが、軽イオンとしては、ヘリウムイオン以外のものを利用しても良い。ここでは、「軽イオン」とは、水素イオン、即ちプロトンを除く、原子番号2のヘリウムのイオンから原子番号8の酸素のイオンまでを含む、相対的に軽い原子のイオンを意味するものとして、広義の意味で用いられている。特に、He,Li,Beという、シリコンに対して一般的にドナー,アクセプタという半導体不純物を構成しない部類に属する原子のイオンを、所定のイオンに用いるのが効果的である。
【0056】
(実施の形態2)
以下では、ダイオードの好ましい製造方法について説明する。図11〜図14の縦断面図は、この実施の形態における製造工程を示す。
【0057】
このダイオードを製造するには、図11に示す第1工程において、まずN+層1AとN−層1BとからなるN型基板(第1導電型の第1半導体層に該当)1を用意する。
【0058】
次に第2工程においては、図12に示すように、N−層1Bの露出した表面より、P型不純物を注入、アニールして、アノード領域3(第2導電型の第2半導体層)をN−層表面上に形成する。次に、図13に示すように、N型基板1の表面上にアノード電極(第1主電極)5を、N型基板1の裏面上にカソード電極(第2主電極)6を、各々形成する。尚、カソード電極6については、後述する第3工程後にこれを形成するようにしても良い。
【0059】
次に図14に示す第3工程において、先ず、アノード側に、アノード電極5に対置するように、所定のイオン源を配設する。所定のイオン源は、水素イオン(プロトン)を除いた軽イオン照射源であり、ここでは、それは軽イオンの代表格たるヘリウムイオンビーム照射源である。次に、ヘリウムイオン照射の深さを照射量を変えることなく調節するためのバッファ層(たとえばアルミフォイル)7をアノード電極5の前方に配置し(バッファ層7の厚みによってヘリウムイオンビームの加速エネルギーを減少させる)、このバッファ層7を介して、ヘリウムイオンを界面S2よりN−層1B内に所定の深さdで(アノード領域3の、アノード電極5が形成された一方の表面3S1からみて所定の深さLで)照射し、その後、300゜C〜400゜Cの熱処理(第1熱処理)を照射後のデバイスに加える。これにより、厚みdの低ライフタイム領域2を界面S2近傍のN−層1BS内に形成する。その他のN−層部分は記号1Bとして表わす。このとき、アノード電極5の表面よりヘリウムを照射することで、カソード面側より照射する場合に比べて、アノード面(界面S2)に対する照射位置のバラツキを小さくすることができる。上記所定の深さLの範囲は、アノード領域3の膜厚が3μm程度であることを考えると、実施の形態1で述べた通り、15μm〜40μmであることが望ましい。
【0060】
上記第1〜第3工程を経て、図1に示したような新規なダイオード構造を得ることができる。即ち、リカバリーピーク電流Irrのより小さな低損失ソフトリカバリー特性を有する半導体装置を、耐圧を劣化させることなく、汎用な軽イオン源たるヘリウムイオンビーム発生装置を用いて容易に形成することができる。この場合、工程数は図14の工程が増えるだけに留まる。
【0061】
本実施の形態で述べた技術的思想は、アノード領域内のPN接合面付近に低ライフタイム領域を形成する場合にも、基本的に適用可能である。
【0062】
(実施の形態3)
本実施の形態の工程を示すフローチャートを図15に示す。同図15より理解される通り、本実施の形態の特徴は、ヘリウムイオン照射工程前に、実施の形態2で述べた第2工程中に、図16に示す重金属拡散工程を付加することにある。この重金属拡散工程自体は、既述した第1従来技術に相当しており、図1のカソードN+層1A側のキャリアのライフタイムを増やし、カソード側のキャリア密度を増大させて、低ライフタイム領域2を設けたことにより生じうるオン電圧Vfの増加を防止して時間Trrを長くなるようにする点にある。
【0063】
以下、図16の工程図を参照して、さらにカソード側のライフタイムをより長くコントロールできるダイオードの製造方法について説明する。
【0064】
即ち、実施の形態2に示した製造方法中、図12の工程終了後に、図16に示す通り、アノード領域3の表面上に白金又は金等の重金属をスパッタし、その後、800゜C〜900゜Cの熱処理(第2熱処理)を加えてN−層1BS,N+層1A内に重金属を拡散させる。これにより、N+層1BSからN+層1Aにかけて、低ライフタイム層2のそれよりも長いライフタイムを有する領域が形成される。図14の工程におけるヘリウムイオン照射後の熱処理温度よりも、当該熱処理温度の方が十分に高いので、本実施の形態のように図12の工程と図13の工程との間に重金属拡散工程を付加することで、アノード近辺及びカソード近辺のライフタイムを各々別々の工程としてコントロールすることが可能となる。
【0065】
以上より、本実施の形態の製造方法を用いれば、耐圧を劣化させることなくソフトリカバリー特性(Irr→小,Trr→大)をより一層改善できる半導体装置を提供できる。
【0066】
(まとめ)
この発明の各実施の形態におけるダイオードは、第1主電極側の第3の半導体層の底面から所定の深さまでに形成された、単調減少する抵抗率を有する低ライフタイム領域2を有するため、降伏電圧に影響を及ぼすことなく、第3の半導体層近辺のキャリア密度を低減して、逆回復特性の逆電流を格段に低減することを可能にする。しかも、低ライフタイム領域2のライフタイムとその他の領域のライフタイムとをそれぞれ別々に最適な値にコントロールしているため、第2主電極側の第1半導体層のキャリア密度を増大させる方向にコントロールすることができ、逆回復特性が改善される。
【0067】
そして、この発明におけるダイオードでは、低ライフタイム領域の抵抗が単調に減少しているので、第1半導体層と第3半導体層とで降伏電圧が決まることとなる。
【0068】
この発明におけるダイオードの製造方法では、そのような改善されたソフトリカバリー特性を有するダイオードを容易にかつ汎用性を以て製造することができる。
【0069】
尚、本発明の範囲はクレームによって与えられるものであって、上述した明細書中の説明に限定されるものではない。クレームの範囲内にある、あらゆる修正例及び変形例は、全てこの発明の範囲内にある。
【0070】
(産業上の利用の可能性)
この発明は、半導体装置の内で、特にpinダイオードに利用されるときに、その特徴を効果的に発揮しうる。そして、この発明に係る半導体装置をパワーモジュールにおけるフリーホイールダイオードとして使用しうる。
【0071】
【発明の効果】
本発明に係る半導体装置では、第2半導体層は高抵抗値を有する低ライフタイム領域であって、しかも、その抵抗値は単調に減少するのみである。そのため、第2半導体層から第1半導体層へかけて、不純物のキャリアのライフタイムは単調に増加する。これにより、低ライフタイム領域が第1及び第3半導体領域間に生じても、PN接合の降伏電圧(耐圧)を劣化させることなく大きな値に維持することが可能となる。そして、この低ライフタイム化により、第2界面近傍のキャリア密度は十分に低減される。従って、このPN接合に印加されるバイアスを順方向バイアスから逆バイアスへ変えたときに流れるリカバリー電流のピーク値を既述した第1〜第4技術よりも一層に低減化することが可能となり、ソフトリカバリー特性を格段に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1におけるダイオードの構造を示す縦断面図である。
【図2】 SR測定法を模式的に示す図である。
【図3】 従来の第4技術を適用した場合のダイオードのSR測定結果を示す図である。
【図4】 本発明の実施の形態1に係るダイオードのSR測定結果を示す図である。
【図5】 本発明におけるシミュレーション・モデルを示す縦断面図である。
【図6】 図5のモデルに対するシミュレーション結果を示す図である。
【図7】 本発明の実施の形態1におけるダイオードの試作結果を示す図である。
【図8】 図7の試作結果中、リカバリーピーク電流が最小値を示すときのSR測定結果を示す図である。
【図9】 本発明の実施の形態1に係るダイオードの試作結果を示す図である。
【図10】 図9との比較のために示した、従来のダイオードの測定結果を示す図である。
【図11】 本発明の実施の形態2におけるダイオードの製造方法を示す断面図である。
【図12】 本発明の実施の形態2におけるダイオードの製造方法を示す断面図である。
【図13】 本発明の実施の形態2におけるダイオードの製造方法を示す断面図である。
【図14】 本発明の実施の形態2におけるダイオードの製造方法を示す断面図である。
【図15】 本発明の実施の形態3における製造工程を示すフローチャートである。
【図16】 図15中の第2工程の一部を示す断面図である。
【図17】 従来の一般的なダイオードの構造を示す断面図である。
【図18】 ダイオードの出力特性を示す図である。
【図19】 ダイオードの逆回復特性を示す図である。
【図20】 従来の第2技術を適用したときのダイオードの構造例を示す断面図である。
【図21】 従来の第4技術を適用したときのダイオードの構造を示す断面図である。
【図22】 従来の第4技術を適用したダイオードにおいて、プロトン照射量と降伏電圧及びリカバリーピーク電流との関係を示す図である。
【図23】 ヘリウムイオン照射時の降伏電圧及びリカバリピーク電流の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1 第1半導体層、2 第2半導体層、3 第3半導体層、5 第1主電極、6 第2主電極。

Claims (3)

  1. 第1導電型の第1半導体層と、
    前記第1半導体層の主面と第1界面をなす第1主面と前記第1主面に対向する第2主面とを有し、且つ前記第1導電型の不純物を含むと共に、ダメージを受けて格子欠陥化状態にあるダメージ部分をも含む第2半導体層と、
    前記第2半導体層の前記第2主面と第2界面をなす主面を有する第2導電型の第3半導体層とを備え、
    前記第2半導体層に於ける第2ライフタイムは前記第1半導体層に於ける第1ライフタイムよりも小さく、
    前記第2半導体層に於ける抵抗値は前記第2界面から前記第1界面に向けて単調に減少していることを特徴とする、
    半導体装置。
  2. 請求項1記載の半導体装置であって、
    前記第2半導体層内の前記ダメージ部分は、前記格子欠陥化状態から前記不純物化されてはいないことを特徴とする、
    半導体装置。
  3. 請求項2記載の半導体装置であって、
    前記第2半導体層内の前記第1導電型不純物の濃度は一定であることを特徴とする、
    半導体装置。
JP2003033482A 2003-02-12 2003-02-12 半導体装置 Expired - Lifetime JP3910922B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003033482A JP3910922B2 (ja) 2003-02-12 2003-02-12 半導体装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003033482A JP3910922B2 (ja) 2003-02-12 2003-02-12 半導体装置

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP51299099A Division JP3435166B2 (ja) 1997-08-14 1997-08-14 半導体装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003249662A JP2003249662A (ja) 2003-09-05
JP3910922B2 true JP3910922B2 (ja) 2007-04-25

Family

ID=28672870

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003033482A Expired - Lifetime JP3910922B2 (ja) 2003-02-12 2003-02-12 半導体装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3910922B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005340528A (ja) 2004-05-27 2005-12-08 Fuji Electric Device Technology Co Ltd 半導体装置およびその製造方法
CN101305470B (zh) 2005-11-14 2010-12-08 富士电机系统株式会社 半导体器件及其制造方法
JP5080744B2 (ja) * 2006-03-17 2012-11-21 株式会社豊田中央研究所 半導体デバイス及びその製造方法
JP5124964B2 (ja) * 2006-03-27 2013-01-23 サンケン電気株式会社 半導体装置の製法
JP5776485B2 (ja) 2011-10-12 2015-09-09 三菱電機株式会社 半導体装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003249662A (ja) 2003-09-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3435166B2 (ja) 半導体装置
US11569092B2 (en) Semiconductor device
JP6642609B2 (ja) 半導体装置および半導体装置の製造方法
JP5104314B2 (ja) 半導体装置およびその製造方法
US9263529B2 (en) Semiconductor device with vertically inhomogeneous heavy metal doping profile
US8829519B2 (en) Semiconductor device
US20140246755A1 (en) Semiconductor device and method for producing semiconductor device
US9887190B2 (en) Semiconductor device and method for manufacturing the same
JP2003318412A (ja) 半導体装置およびその製造方法
CN109075213A (zh) 半导体装置
CN103035676A (zh) 半导体装置及其制造方法
EP0614231A2 (en) PN junction and method of manufacturing the same
US9209027B1 (en) Adjusting the charge carrier lifetime in a bipolar semiconductor device
JP3910922B2 (ja) 半導体装置
JPH05102161A (ja) 半導体装置の製造方法とその半導体装置
JP3952452B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP2013004982A (ja) バイポーラ・パンチ・スルー半導体デバイス及びそのような半導体デバイスを製造するための方法
JP2001127308A (ja) 半導体装置
JP2007019518A (ja) フィールドストップを有する半導体部品
EP1298717A1 (en) Method for manufacturing a semiconductor device having a pn junction area
JP6365790B2 (ja) 半導体装置および半導体装置の製造方法
JPH10200132A (ja) 高速ダイオード
JP2004088012A (ja) ダイオード
CN114300544A (zh) 一种快恢复二极管及其制作方法
KR100450598B1 (ko) 반도체 장치

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132

Effective date: 20061024

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061128

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070123

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070125

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100202

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110202

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120202

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130202

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130202

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140202

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term