JP3908406B2 - 櫛形ジオールおよび水溶性ポリウレタンおよび押出成形助剤 - Google Patents

櫛形ジオールおよび水溶性ポリウレタンおよび押出成形助剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶性ポリアルキレングリコールを主な原料とする新規な高分子、及び該高分子からなる押出成形助剤、及び該押出成形助剤を含むことを特徴とするセメント系材料押出成形用組成物、及び該セメント系材料押出成形用組成物を押出成形して得られる強度の改善されたセメント系材料押出成形物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からセメント、細骨材、繊維、水等からなるモルタルを真空押出成形機などで押出成形しセメント板等を製造する際に、押出中にモルタルから水を分離することなく成形するためには、言い替えればモルタルに保水性を付与するためには、水溶性の高分子をモルタルに添加する必要があった(例えば特公昭43−7134)。十分な保水性を発現するためには高い水溶液粘度が必要であるが、この高分子として現在はメチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)やヒドロキシエチルセルロース(HEC)などの水溶性セルロースエーテル類が専ら用いられている。
【0003】
また押出直後の成形体の形状を保持するためには、言い替えればモルタルに保形性を付与するためには、モルタルが高いチクソ性を示すことが必要であるが、モルタルにメチルセルロースなどの水溶性高分子を添加するだけでは十分な保形性は得られなかった。そのため、従来は石綿(アスベスト)が水溶性セルロースエーテル類と併用されてきた(例えば特公昭43−7134)。
従って従来の押出成形では、水溶性セルロースエーテル類と石綿を併用することで、押出成形に必要なモルタルの保水性と保形性を満たしていたと言える。
ところが、近年になって石綿の有害性が指摘され、押出成形においても石綿の使用は制限されるようになり、現在では石綿の代替物として、各種ポリマー繊維やガラス繊維などの石綿代替繊維類が用いられるようになってきた。しかしながら、これらの石綿代替繊維類を用いたモルタルは石綿を用いたモルタルと比較して保形性に劣っていた。そのため、石綿代替繊維類を用いても、モルタルに保水性と同時に十分な保形性を付与しうる新規な押出成形助剤の開発が望まれていた。
【0004】
また、水溶性セルロースエーテル類はモルタルの混練時に泡をかみ易く、泡により成形品の強度が低下し易いという問題があった。
また、水溶性セルロースエーテル類は原料に特定の天然パルプを用いる半合成高分子であるために比較的高価であり、押出成形品の原料コストを押し上げていた。またパルプの資源も限られており、より安価な工業原料から合成できる新しい押出成形助剤が待たれていた。
そこで本発明者らは櫛形疎水基を有する高分子を用いた押出成形助剤を見出し、既に特許出願(特許出願番号平11−067751)したが、粘着力が比較的強く、成形圧力が若干高くなるという問題があり、まだ改善の余地を残していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
水溶性セルロースエーテル類などの既存の押出成形助剤は、石綿を用いないセメント系材料の押出成形に用いるには保形性の点でまだ問題が残っていた。
また、水溶性セルロースエーテル類はモルタルの混練時に泡をかみ易く、泡により成形品の強度が低下し易いという問題があった。
また、水溶性セルロースエーテル類は原料に特定の天然パルプを用いるために比較的高価であった。また原料の天然パルプの資源も限られており、より安価な工業原料から合成できる押出成形助剤が待たれていた。
これらの問題を解決するために発明された新規な押出成形助剤は成形性にまだ改善の余地を残していた。
従って本発明の目的は、水溶性セルロースエーテル類に替わる、より経済性でモルタルの保形性と成形品の強度に優れ、かつ成形性の改善された新しい押出成形助剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、櫛形ジオールの構造を改良することにより成形性が改善されることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
また本発明は、化学式1(化5)
【0008】
【化5】
Figure 0003908406
で表される新規なジオール(化合物D)である。
ただし、R1は炭素数が1〜20の炭化水素基である。またR2およびR3は炭素数が4〜21の炭化水素基である。また該炭化水素基R1、R2およびR3中の水素の一部ないし全部はフッ素、塩素、臭素ないし沃素で置換されていてもよく、R2とR3は同じでも異なっていてもよい。またY、Y’およびY”は水素、メチル基ないしCH2Cl基であり、YとY’は同じでも異なっていてもよい。またZおよびZ’は酸素、硫黄ないしCH2基であり、ZとZ’は同じでも異なっていてもよい。またR4は全炭素数が2〜4のアルキレン基であり、kは0〜15の整数である。またnはZが酸素の場合は0〜15の整数であり、Zが硫黄ないしCH2基の場合は0である。またn’はZ’が酸素の場合は0〜15の整数であり、Z’が硫黄ないしCH2基の場合は0であり、nとn’は同じでも異なっていてもよい。
また本発明は、化学式(2)(化6)
【0009】
【化6】
Figure 0003908406
で表される櫛形ジオール(化合物D)である。
ただし、R1'は炭素数が1〜18のアルキル基である。またR2'およびR3'は炭素数が4〜21の炭化水素基であり、R2'とR3'は同じである。またR4'は1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基ないし1,4−ブチレン基である。
また本発明は、化学式3(化7)
【0010】
【化7】
Figure 0003908406
で表される繰り返し単位(1)と、化学式4(化8)
【0011】
【化8】
Figure 0003908406
で表される繰り返し単位(2)からなる高分子であり、繰り返し単位(1)のモル比率が0.5以上0.999以下であり、繰り返し単位(2)のモル比率が0.001以上0.5以下であり、GPCによる重量平均分子量が1万から1,000万の範囲にある水溶性ポリウレタンである。
ただし、AはHO−A−OHが少なくとも両末端に水酸基を有しかつ数平均分子量が400〜100,000の水溶性ポリアルキレンポリオール(化合物A)である2価基であり、BはOCN−B−NCOが全炭素数が3〜18のポリイソシアナート類よりなる群から選ばれたポリイソシアナート化合物(化合物B)である2価基であり、DはHO−D−OHが上に記載の該櫛形ジオール(化合物D)である2価基である。
【0012】
また本発明は、繰り返し単位(1)のモル比が0.5以上0.99以下であり、繰り返し単位(2)のモル比率が0.01以上0.5以下であり、化合物Aが3,000〜20,000のポリエチレングリコールであり、化合物Bが全炭素数が3〜18の脂肪族ジイソシアナート類よりなる群から選ばれたジイソシアナート化合物であり、化合物Dが化学式2で表される該櫛型ジオールであり、GPCによる重量平均分子量が10万から100万の範囲にある該水溶性ポリウレタンである。
また本発明は、該化合物Bがヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、水素化キシリレンジイソシアナート、水素化トリレンジイソシアナートまたはノルボルネンジイソシアナートである該水溶性ポリウレタンである。
【0013】
また本発明は、該記の櫛形疎水基を有する水溶性ポリウレタンでありかつ2.5%水溶液粘度が1,000〜1,000,000センチポアズである高分子からなるセメント系材料用押出成形助剤である。
また本発明は、水硬性無機粉体と細骨材と繊維と該押出成形助剤と水を含むことを特徴とするセメント系材料押出成形用組成物である。
また本発明は、繊維として石綿代替繊維を用いることを特徴とする該セメント系材料押出成形用組成物である。
また本発明は、該セメント系材料押出成形用組成物を押出成形して得られる強度の改善されたセメント系材料押出成形物である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明により得られる高分子は、水溶性ポリアルキレンポリオールと構造の改良された櫛形ジオールをポリイソシアナートで連結して得られる櫛形疎水基を有する高分子である。
本発明で用いられる水溶性ポリアルキレンポリオール(化合物A)は、少なくとも高分子鎖の両末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド重合体である。
ただし水酸基を3個以上有するポリアルキレンポリオールを用いると、製品の水への溶解性が低下しやすい。従って高分子鎖の両末端に1級水酸基を有するポリアルキレングリコールを用いることがより好ましい。
【0015】
単量体のアルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクロロヒドリンなどがあるが、水溶性を高めるためにはエチレンオキサイドの含有率が60重量%以上あることがより好ましい。更に好ましくはエチレンオキサイドの重合物(ポリエチレングリコール。以下PEGと略記する)を用いることである。
【0016】
該化合物Aの分子量は数平均分子量で400〜100,000のものが好ましい。より好ましくは1,500〜50,000、更に好ましくは3,000〜20,000である。分子量が400未満では十分な水溶液粘度を示す製品が得られず、増粘剤に用いることができない。また分子量が100,000より大きくなると反応速度が低下し、やはり十分な水溶液粘度を示す製品が得られない。分子量が3,000〜20,000の範囲で、十分な水溶液粘度を示す製品が最も得られ易い。
【0017】
本発明で用いられるポリイソシアナート化合物(化合物B)は、鎖状脂肪族ポリイソシアナート類、環状脂肪族ポリイソシアナート類および芳香族ポリイソシアナートよりなる群から選ばれた全炭素数が(NCO基の炭素を含めて)3〜18のポリイソシアナート化合物である。ポリイソシアナート類の全炭素数が18より大きいと高分子の溶解性が低下し易い。
ただし分子内にNCO基3個以上有するポリイソシアナート類を用いると、製品の水への溶解性が低下しやすい。従って分子内にNCO基を2個有するジイソシアナート類を用いることがより好ましい。
ジイソシアナート類とポリアルキレングリコール類の反応では、芳香族ジイソシアナート類>鎖状脂肪族ジイソシアナート類>環状脂肪族ジイソシアナート類の順に反応性が高いが、芳香族ジイソシアナート類は無溶媒で反応させると急激に反応するため、反応が不均一になり易く分子量の制御にやや難がある。
【0018】
また、芳香族ジイソシアナート類を用いて製造した高分子は、強塩基性であるモルタル中で経時変化をきたし、混練後時間とともに助剤としての効果が低下することがある。モルタルはpHが約14の強アルカリなので、アルカリによる加水分解を受け易い芳香族ジイソシアナート類とポリアルキレングリコール間の結合が切断されるためと考えられる。
従って、全炭素数が3〜18の脂肪族ジイソシアナート類(鎖状脂肪族ジイソシアナート類および環状脂肪族ジイソシアナート類)を用いることがより好ましい。更に好ましくはヘキサメチレンジイソシアナート(通称HDIと略す)、イソホロンジイソシアナート(通称IPDIと略す)、水素化キシリレンジイソシアナート(通称HXDIと略す)、水素化トリレンジイソシアナート(通称HTDIと略す)またはノルボルネンジイソシアナート(通称NBDIと略す)を用いることである。特に好ましくはHDIを用いることである。
【0019】
鎖状脂肪族ジイソシアナート類は、NCO基の間を直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基で繋いだ構造をもつジイソシアナート化合物であり、具体例としては、メチレンジイソシアナート、エチレンジイソシアナート、トリメチレンジイソシアナート、1−メチルエチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ペンタメチレンジイソシアナート、2−メチルブタン−1,4−ジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、ヘプタメチレンジイソシアナート、2,2’−ジメチルペンタン−1,5−ジイソシアナート、リジンジイソシアナートメチルエステル(LDI)、オクタメチレンジイソシアナート、2,5−ジメチルヘキサン−1,6−ジイソシアナート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,5−ジイソシアナート、ノナメチルジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアナート、デカメチレンジイソシアナート、ウンデカメチレンジイソシアナート、ドデカメチレンジイソシアナート、トリデカメチレンジイソシアナート、テトラデカメチレンジイソシアナート、ペンタデカメチレンジイソシアナート、ヘキサデカメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナートなどが挙げられる。
【0020】
環状脂肪族ジイソシアナート類は、NCO基の間を繋ぐアルキレン基が環状構造をもつジイソシアナート化合物であり、具体例としては、シクロヘキサン−1,2−ジイソシアナート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアナート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート、1−メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアナート、1−メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアナート、1−エチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアナート、4,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジイソシアナート、1,2−ジメチルシクロヘキサン−ω,ω’−ジイソシアナート、1,4−ジメチルシクロヘキサン−ω,ω’−ジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメチルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアナート、2,2’−ジメチルジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート、3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート、4,4’−メチレン−ビス(イソシアナトシクロヘキサン)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアナート)(IPCI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、水素化トリレンジイソシアナート(HTDI)、水素化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(HMDI)、水素化キシリレンジイソシアナート(HXDI)、水素化トリレンジイソシアナート(通称HTDIと略す)、ノルボルネンジイソシアナート(NBDI)などが挙げられる。
【0021】
芳香族ジイソシアナート類は、NCO基の間をフェニレン基、アルキル置換フェニレン基およびアラルキレン基などの芳香族基ないし芳香族基を含有する炭化水素基で繋いだジイソシアナート化合物であり、具体例としては、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアナート、1−メチル−2,4−フェニレンジイソシアナート(2,4−TDI)、1−メチル−2,6−フェニレンジイソシアナート(2,6−TDI)、1−メチル−2,5−フェニレンジイソシアナート、1−メチル−3,5−フェニレンジイソシアナート、1−エチル−2,4−フェニレンジイソシアナート、1−イソプロピル−2,4−フェニレンジイソシアナート、1,3−ジメチル−2,4−フェニレンジイソシアナート、1,3−ジメチル−4,6−フェニレンジイソシアナート、1,4−ジメチル−2,5−フェニレンジイソシアナート、m−キシレンジイソシアナート、ジエチルベンゼンジイソシアナート、ジイソプロピルベンゼンジイソシアナート、1−メチル−3,5−ジエチルベンゼン−2,4−ジイソシアナート、3−メチル−1,5−ジエチルベンゼン−2,4−ジイソシアナート、1,3,5−トリエチルベンゼン−2,4−ジイソシアナート、ナフタリン−1,4−ジイソシアナート、ナフタリン−1,5−ジイソシアナート、1−メチルナフタリン−1,5−ジイソシアナート、ナフタリン−2,6−ジイソシアナート、ナフタリン−2,7−ジイソシアナート、1,1−ジナフチル−2,2’−ジイソシアナート、ビフェニル−2,4’−ジイソシアナート、ビフェニル−4,4’−ジイソシアナート、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート(MDI)、ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート(XDI)などが挙げられる。
その他のポリイソシアナートとしては1,6,11−ウンデカトリイソシアナート、1,8−ジイソシアナート−4−イソシアナートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアナートなどが挙げられる。
【0022】
本発明の櫛形ジオール(化合物D)は、化学式5(化9)
【0023】
【化9】
Figure 0003908406
で表わされる1級アミン類に化学式6(化10)
【0024】
【化10】
Figure 0003908406
で表されるオキシラン化合物を、該1級アミン類1モル当たり該オキシラン化合物2モル付加させることによって得られる。
これを反応式で表せば、化学式7(化11)
【0025】
【化11】
Figure 0003908406
のようになる。式中のRbは化学式5に表された適当な置換基、またRaおよびRcは化学式6に表された適当な置換基である。
【0026】
ただし、R1は炭素数が1〜20のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基等の炭化水素基である。またR2およびR3は炭素数が4〜21のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基等の炭化水素基である。また炭化水素基R1、R2およびR3中の水素の一部ないし全部はフッ素、塩素、臭素ないし沃素などのハロゲン原子で置換されていてもよい。R2とR3は同じでも異なっていてもよいが、同じであることがより好ましい。またY、Y’およびY”は水素、メチル基ないしCH2Cl基であり、YとY’は同じでも異なっていてもよいが、同じであることがより好ましい。R4は全炭素数が2〜4のアルキレン基であり、kは0〜15の整数である。またZおよびZ’は酸素、硫黄ないしCH2基であり、ZとZ’は同じでも異なっていてもよいが、同じであることがより好ましい。更に好ましくはZおよびZ’がともに酸素であることである。またnはZが酸素の場合は0〜15の整数であり、Zが硫黄ないしCH2基の場合は0である。またn’はZ’が酸素の場合は0〜15の整数であり、Z’が硫黄ないしCH2基の場合は0であり、nとn’は同じでも異なっていてもよいが、同じであることがより好ましい。
【0027】
本発明の特長の一つは、このポリウレタンを添加したモルタルの粘着力が従来の疎水性ジオールを用いたポリウレタンのそれより低く、その結果セメント板の押出成形時の吐出圧力が低いことにある。
粘着力が低い理由はまだ十分には明らかでないが、一つは1級アミン類の構造に原因があると思われる。アミンのアミノ基と疎水基(炭化水素基)の間に炭素数が2〜4のアルキレンオキシ基が1〜16個(k+1個)挿入され、エーテル結合により炭化水素基とアミノ基の間の運動性が向上したことで疎水基同士の会合・解離がより効果的に行われたことなどが考えられる。
アルキレン基R4はより具体的には1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,2−プロピレン基、1,4−ブチレン基、2,3−ブチレン基などが挙げられる。
【0028】
より具体的に説明すると、1級アミン類としては2−アルコキシエチルアミン類、3−アルコキシプロピルアミン類、4−アルコキシブチルアミン類、アルケニルオキシアルキルアミン類、アラルキルオキシアルキルアミン類、アリールオキシアルキルアミン類、アルコール−アルキレンオキシド付加物のアミノアルキルエーテル類、フェノール/アルキル置換フェノール−アルキレンオキシド付加物のアミノアルキルエーテル類などが挙げられる。
【0029】
2−アルコキシエチルアミン類としては、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、2−プロポキシエチルアミン、2−イソプロポキシエチルアミン、2−ブトキシエチルアミン、2−(イソブトキシ)エチルアミン、2−(ter−ブトキシ)エチルアミン、2−ペンチルオキシエチルアミン、2−ヘキシルオキシエチルアミン、2−ヘプチルオキシエチルアミン、2−オクチルオキシエチルアミン、2−(2−エチルヘキシルオキシ)エチルアミン、2−(α−ブチルオクチルオキシ)エチルアミン、2−デシルオキシエチルアミン、2−ドデシルオキシエチルアミン、2−テトラデシルオキシエチルアミン、2−ペンタデシルオキシエチルアミン、2−ヘキサデシルオキシエチルアミン、2−ヘプタデシルオキシエチルアミン、2−オクタデシルオキシエチルアミン、2−ノナデシルエチルアミン、2−エイコシルエチルアミンなどが挙げられる。
【0030】
3−アルコキシプロピルアミン類の例としては、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−(イソブトキシ)プロピルアミン、3−(ter−ブトキシ)プロピルアミン、3−ペンチルオキシプロピルアミン、3−ヘキシルオキシプロピルアミン、3−ヘプチルオキシプロピルアミン、3−オクチルオキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3−(α−ブチルオクチルオキシ)プロピルアミン、3−デシルオキシプロピルアミン、3−ドデシルオキシプロピルアミン、3−、3−テトラデシルオキシプロピルアミン、3−ペンタデシルオキシプロピルアミン、3−ヘキサデシルオキシプロピルアミン、3−ヘプタデシルオキシプロピルアミン、3−オクタデシルオキシプロピルアミン、3−ノナデシルプロピルアミン、3−エイコシルプロピルアミンなどが挙げられる。
【0031】
4−アルコキシブチルアミン類の例としては、4−メトキシブチルアミン、4−エトキシブチルアミン、4−プロポキシブチルアミン、4−イソプロポキシブチルアミン、4−ブトキシブチルアミン、4−(イソブトキシ)ブチルアミン、4−(ter−ブトキシ)ブチルアミン、4−ペンチルオキシブチルアミン、4−ヘキシルオキシブチルアミン、4−ヘプチルオキシブチルアミン、4−オクチルオキシブチルアミン、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ブチルアミン、4−(α−ブチルオクチルオキシ)ブチルアミン、4−デシルオキシブチルアミン、4−ドデシルオキシブチルアミン、4−テトラデシルオキシブチルアミン、4−ペンタデシルオキシブチルアミン、4−ヘキサデシルオキシブチルアミン、4−ヘプタデシルオキシブチルアミン、4−オクタデシルオキシブチルアミン、4−ノナデシルブチルアミン、4−エイコシルブチルアミン、4−(2,4−ジ−ter−アミルフェノキシ)ブチルアミンなどが挙げられる。
アルケニルオキシアルキルアミン類の例としては、3−ビニルプロピルアミン、2−アリルオキシエチルアミン、3−オレイルオキシプロピルアミンなどが例として挙げられる。
【0032】
アラルキルオキシアルキルアミン類の例としては、2−ベンジルオキシエチルアミン、3−フェネチルオキシプロピルアミンなどが例として挙げられる。
アリールオキシアルキルアミン類としては、2−フェニルオキシエチルアミン、3−(p−ノニルフェニルオキシ)プロピルアミンなどが例として挙げられる。
その他のアミン類としてはアルコール類やフェノール類のアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、エピクロロヒドリン付加物など)のアミノアルカノールエーテル類が挙げられる。
【0033】
アルコール−エチレンオキサイド付加物のアミノアルカノールエーテルの例としては、2−[2−(ドデシルオキシ)エトキシ]エチルアミン、3,6,9−トリオキサペンタデシルアミンなどが挙げられる。
同様にアルコール類やフェノール類のプロピレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド/エチレンオキサイド付加物、エピクロロヒドリン付加物の各々のアミノアルカノールエーテル類を用いることも可能である。付加数kは1〜15程度が適当である。付加数が15を超えるとポリウレタンの水溶液粘度が低下し易い。
オキシラン化合物としては各種グリシジルエーテル類や1,2−エポキシアルカン類、1,2−エポキシアルケン類、グリシジルスルフィド類などを用いることが可能である。
【0034】
アルキルグリシジルエーテル類の例としては、n−ブチルグリシジルエーテル、sec−ブチルグリシジルエーテル、ter−ブチルグリシジルエーテル、グリシジルペンチルエーテル、グリシジルヘキシルエーテル、グリシジルオクチルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、グリシジルノニルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、グリシジルラウリルエーテル、グリシジルトリデシルエーテル、グリシジルテトラデシルエーテル、グリシジルペンタデシルエーテル、グリシジルヘキサデシルエーテル、グリシジルステアリルエーテル、3−(2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ)−1,2−エポキシプロパン、3−(3−パーフルオロオクチル−2−イオドプロポキシ)−1,2−エポキシプロパンなどが挙げられる。
【0035】
アルケニルグリシジルエーテル類の例としては、アリルグリシジルエーテル、オレイルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
アラルキルグリシジルエーテル類の例としては、ベンジルグリシジルエーテル、フェネチルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
アリールグリシジルエーテル類の例としては、フェニルグリシジルエーテル、4−ter−ブチルフェニルグリシジルエーテル、2−エチルフェニルグリシジルエーテル、4−エチルフェニルグリシジルエーテル、2−メチルフェニルグリシジルエーテル、グリシジル−4−ノニルフェニルエーテル、グリシジル−3−(ペンタデカジエニル)フェニルエーテル、2−ビスフェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、α−ナフチルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
その他のグリシジルエーテル類としてはアルコール類やフェノール類のアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、エピクロロヒドリン付加物など)のグリシジルエーテル類が挙げられる。
【0036】
エチレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルの例としては、2−エチルヘキシルアルコール−エチレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、ラウリルアルコール−エチレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、4−ter−ブチルフェノール−エチレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルやノニルフェノール−エチレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル類などが挙げられる。同様にアルコール類やフェノール類のプロピレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド/エチレンオキサイド付加物、エピクロロヒドリン付加物の各々のグリシジルエーテル類を用いることも可能である。工業薬品のグリシジルエーテル類には通常はエピクロロヒドリン付加物のグリシジルエーテル類が副生成物として含まれているが、そのような純度の低い原料も用いることができる。付加数nは1〜15程度が適当である。付加数が15を超えるとポリウレタンの水溶液粘度が低下し易い。
【0037】
また1,2−エポキシアルカン類や1,2−エポキシアルケン類の例としては、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシエイコサン、1,2−エポキシ−7−オクテン、1,2−エポキシ−9−デセンなどが挙げられる。
その他のオキシラン化合物としては2−エチルヘキシルグリシジルスルフィド、デシルグリシジルスルフィドなどのアルキルグリシジルチオエーテル(アルキルグリシジルスルフィド)類や、p−ノニルフェニルグリシジルスルフィドなどのアリールグリシジルチオエーテル(アリールグリシジルスルフィド)類が挙げられる。
【0038】
上記のアミン類とオキシラン化合物類を、アミン1分子にオキシラン化合物2分子の割合で反応させることにより化合物Dを得ることができるが、その反応はオキシラン化合物として1,2−エポキシアルカン類、1,2−エポキシアルケン類、グリシジルスルフィド類を用いた場合と比較して、グリシジルエーテル類を用いた場合により容易である。グリシジルエーテル類のアミン類との反応性が高いためと思われる。
【0039】
化合物Dは分子内に3本の疎水鎖を有するが、これらの疎水鎖が互いに近接していることにより、水溶液中での水溶性ポリウレタン間の疎水的会合を容易にする効果がある。各疎水鎖の炭素数は高分子が十分な会合を形成しうる長さが必要である。アミン類の炭素数は1以上20以下が好ましい。炭素数が20を超えるアミン類を用いるとポリウレタンの溶解性が低下することがある。より好ましくは炭素数が1〜18の鎖状ないし環状アルキルアミン類、更に好ましくは炭素数が4〜18の鎖状アルキルアミン類である。
【0040】
グリシジルエーテル類の疎水基の炭素数は4以上21以下が好ましい。炭素数が4未満のグリシジルエーテルを用いるとポリウレタンの水溶液粘度が充分に高くならないことがある。炭素数が21を超えるグリシジルエーテルを用いるとポリウレタンの溶解性が低下することがある。より好ましくは炭素数が4〜18の直鎖状ないし分岐鎖状アルキル基を疎水基として有するアルキルグリシジルエーテル類、ないし炭素数が6〜18の芳香族基またはアルキル置換芳香族基を疎水基として有するアリールグリシジルエーテル類である。
同様の理由により1,2−エポキシアルカン、1,2−エポキシアルケン、アルキルグリシジルチオエーテル、アリールグリシジルチオエーテルの疎水基の炭素数は4以上21以下が好ましい。
【0041】
また、3本の疎水鎖の炭素数の合計(上述した化学式1ないし化学式2の置換基R1、R 2およびR3の各々の炭素数の合計)が大きいほど、高分子は水中で会合し易く高い水溶液粘度を得易いが、炭素数の合計が大きすぎると高分子の水への溶解性が低下し易い。疎水基の炭素数の合計は12〜40の範囲にあることが好ましい。より好ましくは炭素数の合計が12〜37の範囲にあることである。更に好ましくは炭素数の合計が12〜28の範囲にあることである。炭素数の合計が12より小さいと、高い水溶液粘度を示す高分子が得られ難い。また炭素数の合計が40を超えると、ポリウレタンの水への溶解性が低下し易い。
【0042】
以下に櫛形疎水性ジオールの製造方法を説明するが、本発明に用いる櫛形疎水性ジオールの合成方法はこの例に限定されるものではない。
攪拌装置、原料導入機構、温度制御機構を有する反応容器に、原料のアミン類とオキシラン化合物類を仕込み、所定の反応温度において撹拌しながら反応させる。
反応は無溶媒で行うことができるが、DMFなどの一般的な溶媒を用いてもよい。
原料の導入は、アミン類とオキシラン化合物類を一括して仕込んでもよいし、どちらか一方を反応容器に仕込み、他方を連続的ないし段階的に導入してもよい。
【0043】
反応温度は室温〜160℃程度、より好ましくは60℃〜120℃程度が適当である。
反応時間は、反応温度等にも依るが、0.5〜10時間程度である。
反応終了後のジオールは、GPCにより分散度を求めることができる。
また常法によりOH価を求めることができる。
【0044】
櫛形疎水基を有する水溶性ポリウレタンは、化学式8(化12)
【0045】
【化12】
Figure 0003908406
に表すように、ポリアルキレングリコール(化合物A)および櫛状疎水性ジオール(化合物D)の2個の水酸基とジイソシアナート化合物(化合物B)の2個のNCO基の反応により合成される。繰り返し単位(1)のモル比率が(1−x)でかつ繰り返し単位(2)のモル比率がxである水溶性ポリウレタンは、化合物Aと化合物Dのモル比率が(1−x):xの比率で反応させることにより得られる。
以下に水溶性ポリウレタンの製造方法を例を挙げて説明するが、勿論本発明は以下の製造方法に限定されるものではない。
【0046】
攪拌装置、原料導入機構、温度制御機構を有する反応容器内を不活性ガスで置換する。ポリアルキレングリコールを反応容器へ仕込む。場合によっては溶媒を仕込む。
反応容器を設定された反応温度に制御しつつ触媒を加える。容器内を攪拌しつつジイソシアナート化合物、櫛形疎水性ジオールを反応容器へ導入する。導入方法は特に限定するものではない。連続的に導入しても断続的に導入してもよい。またジイソシアナート化合物と櫛形疎水性ジオールは、同時に導入しても、ジイソシアナート化合物の導入後に櫛形疎水性ジオールを導入しても、櫛形疎水性ジオールの導入後にジイソシアナート化合物を導入してもよい。
【0047】
触媒は必ずしも反応前にポリアルキレングリコールに添加する必要はなく、ポリアルキレングリコールにジイソシアナート化合物や櫛形疎水性ジオールを加えた後に触媒を加え、反応を開始することも可能である。または、ジイソシアナート化合物や櫛形疎水性ジオールに予め触媒を添加しておき、これらをポリアルキレングリコールに加え反応させることも可能である。
所定の反応時間後に生成物を反応容器から取り出し、ペレット状、フレーク状、粉末状や溶液などに加工して製品とする。
【0048】
反応に用いられる触媒は特に限定するものではなく、有機金属化合物、金属塩、3級アミン、その他の塩基触媒や酸触媒などの、一般にイソシアナート類とポリオール類の反応に用いられる公知の触媒を用いることができる。例を挙げれば、ジブチル錫ジラウレート(以下DBTDLと略す)、ジブチル錫ジ(ドデシルチオラート)、第一錫オクタノエート、フェニル水銀アセテート、亜鉛オクトエート、鉛オクトエート、亜鉛ナフテナート、鉛ナフテナート、トリエチルアミン(TEA)、テトラメチルブタンジアミン(TMBDA)、N−エチルモルホリン(NEM)、1,4−ジアザ[2.2.2]ビシクロオクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、N,N‘−ジメチル−1,4−ジアザシクロヘキサン(DMP)などがある。なかでもDBTDLがより好ましい。
【0049】
反応に用いる触媒の量は、反応温度や触媒の種類によっても異なり特に限定するものではないが、ポリアルキレングリコールの1モル当たり0.0001〜0.1モル、より好ましくは0.001〜0.1モル程度で十分である。
反応は無溶媒で行うこともできるが、生成物の溶融粘度を下げるために溶媒を用いて反応させることもできる。溶媒としては、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクレンなどのハロゲン系溶剤や、キシレン、トルエン、ベンゼンなどの芳香族系溶剤や、デカン、オクタン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタンなどの飽和炭化水素系溶剤や、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶剤や、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、ジメチルケトンなどのケトン系溶剤や、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル系溶剤、などの活性水素を持たない溶剤が有効に用いられる。
ただし溶媒を用いないことは、脱溶剤の工程が不用となるので製造コストの点で有利であり、また環境汚染の恐れが少ないのでより好ましい。
【0050】
反応に用いるジイソシアナート化合物の量は、ポリアルキレングリコールと櫛形疎水性ジオールの各々のモル数の合計が1モルに対して、ジイソシアナート化合物のモル数(NCO/OH)が0.8〜1.3モル、より好ましくは0.9〜1.2モル、更に好ましくは1.0〜1.1である。0.8未満または1.3を超えると生成物の平均分子量が小さく、押出成形助剤としての能力が十分でない。ジイソシアネートのモル数とポリアルキレングリコールと櫛形疎水性ジオールのモル数の合計とがほぼ等量である条件で最も分子量の大きな生成物が得られる。
ただし、ポリアルキレングリコールや櫛形疎水性ジオールに水分が含まれる場合には、上述のジイソシアナート化合物の量は、水分によりジイソシアナートが分解する分だけ余分に用いる必要がある。従って、十分に乾燥した原料を用いることがより好ましい。できれば原料に含まれる水分は5,000ppm以下が好ましい。より好ましくは1,000ppm以下、更に好ましくは200ppm以下である。
【0051】
反応に用いる櫛形疎水性ジオールの量は、ポリアルキレングリコールの分子量や櫛形疎水性ジオールの疎水基の炭素数によっても異なるが、櫛形疎水性ジオールのモル数がポリアルキレングリコールの1モル当たり0.001〜1モル(xが0.001〜0.5)が適当である。0.001モル未満では増粘効果が表われないことがある。また1モルを超えて反応させることは溶解性を低下させる場合があるので好ましくない。なお、()内の数値は該化学式9中のxの値を表している。
【0052】
該ポリアルキレングリコールとして数平均分子量が3,000〜20,000の範囲にあるポリエチレングリコールを用いた場合に、押出成形助剤として最も優れたポリウレタンが得られ易い。この場合に反応に用いる櫛形疎水性ジオールの量としては、ポリエチレングリコール1モル当たり0.01〜1モル(xが0.01〜0.5)がより好ましい。更に好ましくは0.03〜0.67モル(xが0.03〜0.4)である。0.01モル未満では押出成形助剤としての効果が十分でないことがある。
【0053】
反応温度は用いる触媒の種類や量などによっても異なるが、50〜180℃が適当である。より好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜120℃の範囲である。反応温度が50℃未満では反応速度が遅く経済的でない。また180℃を超えると生成物が熱分解することがある。
反応時間は用いる触媒の種類や量、反応温度などにより異なり特に限定するものではないが、1分〜10時間程度で十分である。
反応圧力は特に限定されない。常圧、減圧ないし加圧状態で反応させることができる。より好ましくは常圧ないし弱加圧状態で反応させる。
【0054】
以下に本発明により得られる水溶性ポリウレタンの特性を記す。
本発明により2.5%水溶液粘度(ポリウレタンの濃度が2.5重量%の水溶液の25℃での粘度を、B型回転粘度計を用いて回転数6rpmで測定した値)がおよそ100から1,000,000センチポアズ(cP)を超える会合性高分子が得られる。特に押出成形助剤として用いるには、2.5%水溶液粘度が1,000〜1,000,000cP、より好ましくは10,000〜500,000cPのものが適している。押出成形助剤として用いた場合、2.5%水溶液粘度が1,000cP未満のものは保水性が不十分になり易く、押出成形時に水を分離し易い。また2.5%水溶液粘度が1,000,000cPを超えるものは粘着力が強すぎて押出成形体の表面平滑性が損なわれ易い。
【0055】
高分子濃度が2.5%の水溶液40重量部とセメント100重量部を混合すると、セメントに対する高分子の比率が1重量%、セメントに対する水の比率が40重量%となるが、これらの比率は後述する様に押出成形用モルタルに典型的な値である。従って、押出成形助剤の特性を表すには2.5%水溶液粘度が適している。
【0056】
本発明により得られる高分子の重量平均分子量はおよそ1万から1,000万の範囲にある。特に押出成形助剤として用いるには、重量平均分子量が10万〜100万の範囲の高分子がより適している。重量平均分子量が10万未満では水溶液粘度が十分でないことが多い。また重量平均分子量が100万を超えると水溶液が曳糸性をもつために、押出成形助剤として適さないことがある。
これらの水溶性ポリウレタンはフレーク状の固体で用いることも、水溶液やアルコールなどの溶剤に希釈して用いることもできるが、押出成形助剤として用いるには、取り扱い易さなどから粉体で用いるのがより好ましい。粉体の粒径は16メッシュ(1mm)以下のものを用いるのが好ましい。粒径が16メッシュを超える粉体は溶解性が劣ることがある。
該押出成形助剤は該水溶性ポリウレタンを主成分として、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、希釈剤、固結防止剤などを含んでいてもよい。
【0057】
本発明で用いられるセメント系材料押出成形用組成物は、従来から押出成形助剤として用いられているメチルセルロースやヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロースエーテル類の替わりに本発明による押出成形助剤を含むことを除けば、他の組成については公知のセメント系材料押出成形用組成物と同等のものが有効に用いられる。具体的には普通ポルトランドセメント、特殊ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント、石膏などの水硬性粉体を主成分とし、細骨材、繊維、水と成形用増粘剤を含む。
【0058】
細骨材は用いなくても押出成形は可能であるが、押出成形品の寸法精度の向上や原料のコストを低減させるために通常は用いられる。細骨材としては砂が主に用いられるが、その他としてパーライト、バーミクライト、シラスバルーン、軽石、発泡コンリート破砕物、発泡プラスチック破砕物等の軽量骨材を用いることができる。
【0059】
繊維類は該組成物(モルタル)の保形性を高めるために添加される。繊維としては、石綿、ロックウール、ガラス繊維、炭素繊維、ポリマー繊維等の各種繊維が用いられる。ただし、安全性の面から、ロックウール、ガラス繊維、炭素繊維、ポリマー繊維(ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維など)等の石綿以外の繊維(以下、石綿代替繊維と略す)を用いることがより好ましい。
その他にもフライアッシュ、シリカヒューム、ベントナイト、粘土等の無機材料やパルプ、吸水性樹脂などの吸水剤や、再乳化樹脂粉末や各種減水剤、界面活性剤、消泡剤等を含んでいてもよい。
【0060】
本発明の押出成形助剤の添加量は、用いるモルタルの組成によっても異なるが、押出成形建材用セメント組成物中の水硬性粉体に対して通常0.1〜5重量%程度、より好ましくは0.2〜3重量%、更に好ましくは0.5〜1.5重量%が適当である。0.1重量%未満では十分な押出成形助剤の効果が得られないことがある。また5重量%を超えて添加するのは粘着力が強すぎ、生産性が低下するので好ましくない。最適な添加量は該組成物の組成や押出成形機の能力、成形体の形態等の具体的成形条件により異なるが、一般的に従来添加していたセルロースエーテル類の50〜95重量%程度で充分である。添加方法はフレーク状や粉体の押出成形助剤をセメント組成物の他の成分と、乾燥したまま攪拌混合してもよいし、押出成形助剤を水溶液としセメント組成物の他の成分に加えてもよい。
勿論、押出成形助剤として本発明の成形用増粘剤とセルロースエーテル類、ポリアクリルアミド系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール等の他の既存の増粘剤を併用して用いることもできる。
【0061】
該組成物に含まれる水の比率は、用いる細骨材や繊維の種類や量などにより異なり一概には言えないが、セメントなど水硬性粉体に対する水の重量比(水/セメント比)は0.2〜1の範囲が好ましい。より好ましくは0.3〜0.7、更に好ましくは0.3〜0.4が適当である。水/セメント比が1を超えると十分な曲げ強度が得られないことがある。また0.2未満ではセメントの水和に要する水分が不足し、やはり曲げ強度の高い成形体が得られないことがある。特に高強度の成形体を得るには水/セメント比が0.3〜0.7の範囲にあることがより好ましい。更に好ましくは、水/セメント比が0.3〜0.4の範囲であり、この範囲で最も高い強度の成形体が得られやすい。
【0062】
細骨材の添加量は従来の押出成形に用いるモルタルと同程度であればよいが、典型的には砂等の細骨材はセメントなどの水硬性粉体に対して10〜500重量%程度、より好ましくは30〜300重量%である。
繊維の添加量はモルタルの組成や押出成形の形状などにより異なるが、本発明の成形助剤を用いる利点として、従来の押出成形で用いられた繊維の添加量より少ない量で、モルタルに十分な保形性が得られることが挙げられる。繊維として石綿を用いる場合には、石綿の使用量を従来の70〜95%程度に削減してもよい。ポリマー繊維などの石綿代替繊維を用いる場合には、より大きな繊維量低減効果があり、繊維の使用量を従来の50〜90%程度に削減することができる。石綿代替繊維においてより大きな繊維量低減効果が得られるのは、石綿代替繊維が石綿と比較して保形性に劣っているためである。この保形性の不足を本発明の成形助剤により補うことができる。繊維の添加量は典型的にはセメントなどの水硬性粉体に対して0.1〜10重量%程度、より好ましくは0.5〜5重量%である。
【0063】
これらのセメント系材料組成物は、混練機で混練後、セメント系材料用押出成形機で押出成形する等、従来の方法で押出成形することができる。
混練方法は特に限定するものではないが、一般的には押出成形用のモルタルの製造はセメント、細骨材、成形助剤、繊維が入った各ホッパーからミキサー内に各成分を必要量投入し、十分混合した後、水を必要量加えてさらに混合し、これをニーダー等に移して混練する。
混練された組成物は真空押出成形機等によりセメント板、中空セメント板、セメント系サイディングボード、円柱、パイプなどの各種成形体に成形される。該成形体は水蒸気養生やオートクレーブ養生され製品となる。
【0064】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明するが、勿論本発明はこの実施例に限られるものではない。
【0065】
(櫛形疎水性ジオールの合成例)
実施例1
500mlの丸底フラスコにマグネチックスターラー、温度計および滴下ロートを設置し、3−[(2−エチルヘキシル)オキシ]−1−プロピルアミン(広栄化学)93.6gを仕込み、フラスコ内を窒素で置換した。オイルバスでフラスコを60℃に加熱し、攪拌しながら、滴下ロートから2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(ナガセ化成工業、デナコールEX−121、エポキシ価188)188.0gを40分かけて滴下した。滴下終了後、オイルバスの温度を80℃に上げて、フラスコを10時間加熱した。続いて、オイルバスの温度を120℃に上げて、真空ポンプを用いて、3mmHgの真空度で少量の未反応物を減圧留去した。3−[(2−エチルヘキシル)オキシ]−1−プロピルアミン1モルに対して2−エチルヘキシルグリシジルエーテルが2モルの比率で付加した櫛形疎水性ジオール1(OH価からの平均分子量560)を収率98%で得た。
【0066】
実施例2
3−(ブチルオキシ)−1−プロピルアミン(東京化成)とn−ブチルグリシジルエーテル(東京化成)から櫛形疎水性ジオール2を合成した。
【0067】
実施例3
3−(ブチルオキシ)−1−プロピルアミン(東京化成)と2−エチルヘキシルグリシジルエーテルから櫛形疎水性ジオール3を合成した。
【0068】
実施例4
3−(ドデシルオキシ)−1−プロピルアミン(広栄化学)と2−エチルヘキシルグリシジルエーテルから櫛形疎水性ジオール4を合成した。
【0069】
実施例5
3−(ドデシルオキシ)−1−プロピルアミンアミン(広栄化学)とドデシルグリシジルエーテル(アルドリッチ社製ドデシル/テトラデシルグリシジルエーテルを蒸留精製したもの)から櫛形疎水性ジオール5を合成した。
【0070】
実施例6
2−エトキシエチルアミン(東京化成)とn−オクチルグリシジルエーテル(P&B)から櫛形疎水性ジオール6を合成した。
【0071】
実施例7
4−メトキシブチルアミン(SALOR)とオクタデシルグリシジルエーテル(日本油脂、エピオールSK)から櫛形疎水性ジオール7を合成した。
【0072】
実施例8
3−(ブチルオキシ)−1−プロピルアミン(東京化成)とオクタデシルグリシジルエーテル(日本油脂、エピオールSK)から櫛形疎水性ジオール8を合成した。
表1に結果を纏めた。
【0073】
【表1】
Figure 0003908406
【0074】
比較例1
2−エチルヘキシルアミン(関東化学)64.6gと2−エチルグリシジルエーテル188gから従来型の疎水性ジオールを合成した。平均分子量は490であった。
【0075】
(水溶性ポリウレタンの合成例)
以下に実施例1の疎水性ジオールを用いた水溶性ポリウレタンの合成例を示すが、勿論本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0076】
実施例9
500mlのSUS製セパラブルフラスコに市販のPEG#6000(純正化学、数平均分子量8、700)を100g仕込み、窒素シール下で150℃にて溶融した。これを攪拌しながら減圧下(3mmHg)で3時間乾燥した。残留する水分は200ppmであった。80℃まで温度を下げ、フラスコ内を攪拌しながら、実施例1で得た櫛形疎水性ジオール1を0.80g、ヘキサメチレンジイソシアナート(東京化成)を2.30g仕込んだ。触媒としてDBTDLを0.01g添加すると、10分程で急激に増粘した。攪拌を止めて、さらに2時間反応させた。
反応終了後に生成物をフラスコから取り出し、小片に裁断後放冷した。これを液体窒素で冷却し、電動ミルで粒径1mm(16メッシュ)以下に粉砕した。
2.5%水溶液粘度は100,000cP、GPCによる重量平均分子量は48万であった。
【0077】
実施例10〜14
櫛形疎水性ジオール1の仕込み量とHDIの量が異なることを除いては、実施例8と同じである。HDIのモル数がPEGと櫛形疎水性ジオールの各々のモル数の合計の1.03倍になるように(NCO/OH=1.03)、HDIの量を選んだ。
【0078】
実施例15〜17
PEGの分子量が20,000ないし3,000であることを除けば実施例9〜14と同様に合成した。
【0079】
比較例2
比較例1のジオールを用いてポリウレタンを合成した。NCO/OHは1.03とした。結果を表2に実施例9〜17の結果と合わせて示した。
【0080】
【表2】
Figure 0003908406
【0081】
(押出成形試験)
セメント、砂、石綿代替繊維、押出成形助剤と水からなるモルタルを用いて板状成形体(セメント板)の成形試験を行った。
普通ポルトランドセメント100重量部、標準砂100重量部、ビニロン繊維(ユニチカビニロン−タイプABセミハード)1.5重量部に所定量の成形助剤を加え、高速ミキサー(宮崎鉄工製MHS−100)で3分間混合した。この組成物に所定の水/セメント比になるように水を加え、更に3分間混合し、セメント系材料押出成形用組成物を得た。このモルタルをスクリュー式の混練機(宮崎鉄工製MP−30−1)で混練した。この混練物をスクリュー式の真空押出成形機(宮崎鉄工製FM−30−1)を用い、一定の押出速度で厚さ10mm、幅20mmの板状に押出成形した。成形体を28日間水中養生し、曲げ強度を測定した。
【0082】
2.5%水溶液粘度がほぼ等しい、実施例9、比較例2の水溶性ポリウレタンと市販品の押出成形助剤として広く用いられているメトローズ90SH−30000の3種類を同量添加したモルタルのダイスでの吐出圧力、成形時の水分離の有無、表面形状、成形体の保形性、養生後の曲げ強度を比較した。
表3に実施例および比較例に用いた成形助剤の種類と添加量(セメントに対する重量%)、モルタル中の水/セメント比(W/C)、吐出圧力、成形時の水分離の有無、表面形状、成形体の保形性、養生後の曲げ強度を示した。
【0083】
水分離の有無の判定は、押出成形時にダイス部分からの水の流出を観察し、水分離がまったくない場合は良(◎)、水分離が若干認められるが押出成形可能な場合は可(○)、水分離が明瞭に認められ押出成形不能な場合は不良(×)とした。
表面形状の判定は、押出成形直後の成形体の表面が滑らかな場合は良(◎)、凹凸が若干認められる場合は可(○)、凹凸が明瞭に認められる場合は不良(×)とした。
成形体の保形性の判定は、押出成形直後の成形体を長さ20cmに切断し、間隔10cmで配置した2個のブロックの間に水平に載せ、25℃湿度100%のもとで、24時間後に成形体中央部が垂直方向に垂れ下がった距離を計り、これが15mm未満であれば良(◎)、15mm以上20mm未満であれば可(○)、20mm以上であれば不良(×)とした。
曲げ強度はJIS R−5201に準じて測定した。
【0084】
【表3】
Figure 0003908406
【0085】
実施例18は比較例3よりも吐出圧力が低く、保形性、曲強度は比較例3とほぼ同等で比較例4(市販品)より優れている。本発明による押出成形助剤が保形性や成形体の強度の点で市販品より優れていることが解る。また吐出圧力は市販品と同等あり、粘着力の点で改良されていることが解る。
表4にその他の押出成形助剤を用いた例を示した。
【0086】
【表4】
Figure 0003908406
本発明の押出成形助剤は起泡性が低く、成形時の真空脱気の効率が高いことも特長の一つである。
【0087】
【発明の効果】
本発明によって保形性の高い、粘着力の改善された安価な押出成形助剤が利用できるようになった。またこの押出成形助剤を用いることにより強度の向上した押出成形セメント板を得ることができるようになった。

Claims (9)

  1. 化学式(1)(化1)
    Figure 0003908406
    で表される櫛形ジオール(化合物D)。
    ただし、R1は炭素数が1〜20の炭化水素基である。またR2およびR3は炭素数が4〜21の炭化水素基である。また該炭化水素基R1、R2およびR3中の水素の一部ないし全部はフッ素、塩素、臭素ないし沃素で置換されていてもよく、R2とR3は同じでも異なっていてもよい。またY、Y’およびY”は水素、メチル基ないしCH2Cl基であり、YとY’は同じでも異なっていてもよい。またZおよびZ’は酸素、硫黄ないしCH2基であり、ZとZ’は同じでも異なっていてもよい。またR4は全炭素数が2〜4のアルキレン基であり、kは0〜15の整数である。またnはZが酸素の場合は0〜15の整数であり、Zが硫黄ないしCH2基の場合は0である。またn’はZ’が酸素の場合は0〜15の整数であり、Z’が硫黄ないしCH2基の場合は0であり、nとn’は同じでも異なっていてもよい。
  2. 化学式(2)(化2)
    Figure 0003908406
    で表される櫛形ジオール(化合物D)。
    ただし、R1'は炭素数が1〜18のアルキル基である。またR2'およびR3'は炭素数が4〜21の炭化水素基であり、R2'とR3'は同じである。またR4'は1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基ないし1,4−ブチレン基である。
  3. 化学式3(化3)
    Figure 0003908406
    で表される繰り返し単位(1)と、化学式4(化4)
    Figure 0003908406
    で表される繰り返し単位(2)からなる高分子であり、繰り返し単位(1)のモル比率が0.5以上0.999以下であり、繰り返し単位(2)のモル比率が0.001以上0.5以下であり、GPCによる重量平均分子量が1万から1,000万の範囲にある水溶性ポリウレタン。
    ただし、AはHO−A−OHが少なくとも両末端に水酸基を有しかつ数平均分子量が400〜100,000の水溶性ポリアルキレンポリオール(化合物A)である2価基であり、BはOCN−B−NCOが全炭素数が3〜18のポリイソシアナート類よりなる群から選ばれたポリイソシアナート化合物(化合物B)である2価基であり、DはHO−D−OHが請求項1ないし2に記載の櫛形ジオール(化合物D)である2価基である。
  4. 繰り返し単位(1)のモル比が0.5以上0.99以下であり、繰り返し単位(2)のモル比率が0.01以上0.5以下であり、化合物Aが3,000〜20,000のポリエチレングリコールであり、化合物Bが全炭素数が3〜18の脂肪族ジイソシアナート類よりなる群から選ばれたジイソシアナート化合物であり、化合物Dが請求項2に記載の櫛型ジオールであり、GPCによる重量平均分子量が10万から100万の範囲にある請求項3に記載の水溶性ポリウレタン。
  5. 化合物Bがヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、水素化キシリレンジイソシアナート、水素化トリレンジイソシアナートまたはノルボルネンジイソシアナートである請求項3ないし4に記載の水溶性ポリウレタン。
  6. 請求項3、4ないし5に記載の水溶性ポリウレタンでありかつ2.5%水溶液粘度が1,000〜1,000,000センチポアズである高分子からなるセメント系材料用押出成形助剤。
  7. 水硬性無機粉体と細骨材と繊維と請求項6に記載の押出成形助剤と水を含むことを特徴とするセメント系材料押出成形用組成物。
  8. 繊維として石綿代替繊維を用いることを特徴とする請求項7に記載のセメント系材料押出成形用組成物。
  9. 請求項7、8に記載のセメント系材料押出成形用組成物を押出成形して得られる強度の改善されたセメント系材料押出成形物。
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