JP3800286B2 - 水中コンクリート用増粘剤 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶性ポリアルキレングリコールを主な原料とする新規な高分子を含むことを特徴とする水中コンクリート用増粘剤、及び該水中コンクリート用増粘剤を含む水中コンクリート用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
水中にコンクリートを打設する際に、水中でモルタルと骨材が分離するのを避ける目的で、コンクリートに水溶性の増粘剤を水中不分離剤として添加することは知られている(例えば特開昭57−123850など)。十分な水中不分離性を発現するためには高い水溶液粘度が必要であるが、この高分子として現在はメチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)やヒドロキシエチルセルロース(HEC)などの水溶性セルロースエーテル類が広く用いられている。
【0003】
しかし水溶性セルロースエーテル類にはコンクリートの硬化時間を遅らせ(凝結遅延)、結果としてコンクリートの強度が低下し易いという問題があった。
【0004】
また、水溶性セルロースエーテル類は原料に特定の天然パルプを用いる半合成高分子であるために比較的高価であり原料コストを押し上げていた。またパルプの資源も限られており、より安価な工業原料から合成できる新しい水中コンクリート用増粘剤が待たれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
水溶性セルロースエーテル類などの既存の水中コンクリート用増粘剤は凝結遅延を生じる点でまだ問題が残っていた。
また、水溶性セルロースエーテル類は原料に特定の天然パルプを用いるために比較的高価であった。また原料の天然パルプの資源も限られており、より安価な工業原料から合成できる水中コンクリート用増粘剤が待たれていた。
従って本発明の目的は、水溶性セルロースエーテル類に替わる、より経済性で水中不分離性に優れ凝結遅延の改善された新しい水中コンクリート用増粘剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、櫛形疎水性ジオールを会合基とする新規な水溶性ポリウレタンからなる水中コンクリート用増粘剤を見出し、本発明を完成した。
本発明は、化学式1(化5)
【0007】
【化5】
で表される繰り返し単位(1)と、化学式2(化6)
【0008】
【化6】
で表される繰り返し単位(2)からなる高分子であり、繰り返し単位(1)のモル比率が0.5以上0.99以下であり、繰り返し単位(2)のモル比率が0.01以上0.5以下であり、GPCにより測定された重量平均分子量が10万から100万の範囲にある水溶性ポリウレタンからなる水中コンクリート用増粘剤である。
【0009】
ただし、AはHO−A−OHが少なくとも両末端に水酸基を有しかつ数平均分子量が400〜100,000の水溶性ポリアルキレンポリオール(化合物A)である2価基であり、BはOCN−B−NCOが全炭素数が3〜18のポリイソシアナート類よりなる群から選ばれたポリイソシアナート化合物(化合物B)である2価基であり、DはHO−D−OHが化学式3(化7)
【0010】
【化7】
【0011】
(ただし、R1は炭素数が1〜20の炭化水素基ないし窒素含有炭化水素基である。またR2およびR3は炭素数が4〜21の炭化水素基である。また該炭化水素基R1、R2およびR3中の水素の一部ないし全部はフッ素、塩素、臭素ないし沃素で置換されていてもよく、R2とR3は同じでも異なっていてもよい。またYおよびY’は水素、メチル基ないしCH2Cl基であり、YとY’は同じでも異なっていてもよい。またZおよびZ’は酸素、硫黄ないしCH2基であり、ZとZ’は同じでも異なっていてもよい。またnはZが酸素の場合は0〜15の整数であり、Zが硫黄ないしCH2基の場合は0である。またn’はZ’が酸素の場合は0〜15の整数であり、Z’が硫黄ないしCH2基の場合は0であり、nとn’は同じでも異なっていてもよい)で表わされる櫛形疎水性ジオール(化合物D)である2価基である。
また本発明は、化合物Dが化学式4(化8)
【0012】
【化8】
【0013】
(ただし、R1'は炭素数が4〜18の鎖状アルキル基であり、R2'およびR3'は炭素数が4〜18のアルキル基ないしアリール基であり、R1'、R2'およびR3'の炭素数の合計が12〜40であり、R2'とR3'は同じ)で表わされる櫛形疎水性ジオールである水中コンクリート用増粘剤である。
【0014】
また本発明は、化合物Bが鎖状脂肪族ジイソシアナートないし環状脂肪族ジイソシアナートである水中コンクリート用増粘剤である。
また本発明は、化合物Bがヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、水素化キシリレンジイソシアナートまたはノルボルネンジイソシアナートである水中コンクリート用増粘剤である。
また本発明は、2%水溶液粘度が1,000〜500,000センチポアズである該水溶性ポリウレタンからなる水中コンクリート用増粘剤である。
また本発明は、該水中コンクリート用増粘剤がセメントに対して0.1〜10重量%添加されたことを特長とする水中コンクリート用組成物である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる高分子は、水溶性ポリアルキレンポリオールと実質的に単分散の櫛形疎水性ジオールをポリイソシアナートで連結して得られる櫛形疎水基を有する高分子である。
【0016】
本発明で用いられる水溶性ポリアルキレンポリオール(化合物A)は、少なくとも高分子鎖の両末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド重合体である。
ただし水酸基を3個以上有するポリアルキレンポリオールを用いると、製品の水への溶解性が低下しやすい。従って高分子鎖の両末端に1級水酸基を有するポリアルキレングリコールを用いることがより好ましい。
【0017】
単量体のアルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクロロヒドリンなどがあるが、水溶性を高めるためにはエチレンオキサイドの含有率が60重量%以上あることがより好ましい。更に好ましくはエチレンオキサイドの重合物(ポリエチレングリコール。以下PEGと略記する)を用いることである。
【0018】
該化合物Aの分子量は数平均分子量で400〜100,000のものが好ましい。より好ましくは1,500〜50,000、更に好ましくは3,000〜20,000である。分子量が400未満では十分な水溶液粘度を示す製品が得られず、増粘剤に用いることができない。また分子量が100,000より大きくなると反応速度が低下し、やはり十分な水溶液粘度を示す製品が得られない。分子量が3,000〜20,000の範囲で、十分な水溶液粘度を示す製品が最も得られ易い。
【0019】
本発明で用いられるポリイソシアナート化合物(化合物B)は、鎖状脂肪族ポリイソシアナート類、環状脂肪族ポリイソシアナート類および芳香族ポリイソシアナートよりなる群から選ばれた全炭素数が(NCO基の炭素を含めて)3〜18のポリイソシアナート化合物である。ポリイソシアナート類の全炭素数が18より大きいと高分子の溶解性が低下し易い。
ただし分子内にNCO基3個以上有するポリイソシアナート類を用いると、製品の水への溶解性が低下しやすい。従って分子内にNCO基を2個有するジイソシアナート類を用いることがより好ましい。
【0020】
ジイソシアナート類とポリアルキレングリコール類の反応では、芳香族ジイソシアナート類>鎖状脂肪族ジイソシアナート類>環状脂肪族ジイソシアナート類の順に反応性が高いが、芳香族ジイソシアナート類は無溶媒で反応させると急激に反応するため、反応が不均一になり易く分子量の制御にやや難がある。
また、芳香族ジイソシアナート類を用いて製造した高分子は、強塩基性であるモルタル中で経時変化をきたし、混練後時間とともに助剤としての効果が低下することがある。モルタルはpHが約14の強アルカリなので、アルカリによる加水分解を受け易い芳香族ジイソシアナート類とポリアルキレングリコール間の結合が切断されるためと考えられる。
【0021】
従って、全炭素数が3〜18の鎖状および環状脂肪族ジイソシアナート類を用いることがより好ましい。更に好ましくはヘキサメチレンジイソシアナート(通称HDIと略す)、イソホロンジイソシアナート(通称IPDIと略す)、水素化キシリレンジイソシアナート(通称HXDIと略す)またはノルボルネンジイソシアナート(通称NBDIと略す)を用いることである。特に好ましくはHDIを用いることである。
【0022】
鎖状脂肪族ジイソシアナート類は、NCO基の間を直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基で繋いだ構造をもつジイソシアナート化合物であり、具体例としては、メチレンジイソシアナート、エチレンジイソシアナート、トリメチレンジイソシアナート、1−メチルエチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ペンタメチレンジイソシアナート、2−メチルブタン−1,4−ジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、ヘプタメチレンジイソシアナート、2,2’−ジメチルペンタン−1,5−ジイソシアナート、リジンジイソシアナートメチルエステル(LDI)、オクタメチレンジイソシアナート、2,5−ジメチルヘキサン−1,6−ジイソシアナート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,5−ジイソシアナート、ノナメチルジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアナート、デカメチレンジイソシアナート、ウンデカメチレンジイソシアナート、ドデカメチレンジイソシアナート、トリデカメチレンジイソシアナート、テトラデカメチレンジイソシアナート、ペンタデカメチレンジイソシアナート、ヘキサデカメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナートなどが挙げられる。
【0023】
環状脂肪族ジイソシアナート類は、NCO基の間を繋ぐアルキレン基が環状構造をもつジイソシアナート化合物であり、具体例としては、シクロヘキサン−1,2−ジイソシアナート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアナート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート、1−メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアナート、1−メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアナート、1−エチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアナート、4,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジイソシアナート、1,2−ジメチルシクロヘキサン−ω,ω’−ジイソシアナート、1,4−ジメチルシクロヘキサン−ω,ω’−ジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメチルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアナート、2,2’−ジメチルジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート、3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート、4,4’−メチレン−ビス(イソシアナトシクロヘキサン)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアナート)(IPCI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、水素化トリレンジイソシアナート(HTDI)、水素化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(HMDI)、水素化キシリレンジイソシアナート(HXDI)、ノルボルネンジイソシアナート(NBDI)などが挙げられる。
【0024】
芳香族ジイソシアナート類は、NCO基の間をフェニレン基、アルキル置換フェニレン基およびアラルキレン基などの芳香族基ないし芳香族基を含有する炭化水素基で繋いだジイソシアナート化合物であり、具体例としては、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアナート、1−メチル−2,4−フェニレンジイソシアナート(2,4−TDI)、1−メチル−2,6−フェニレンジイソシアナート(2,6−TDI)、1−メチル−2,5−フェニレンジイソシアナート、1−メチル−3,5−フェニレンジイソシアナート、1−エチル−2,4−フェニレンジイソシアナート、1−イソプロピル−2,4−フェニレンジイソシアナート、1,3−ジメチル−2,4−フェニレンジイソシアナート、1,3−ジメチル−4,6−フェニレンジイソシアナート、1,4−ジメチル−2,5−フェニレンジイソシアナート、m−キシレンジイソシアナート、ジエチルベンゼンジイソシアナート、ジイソプロピルベンゼンジイソシアナート、1−メチル−3,5−ジエチルベンゼン−2,4−ジイソシアナート、3−メチル−1,5−ジエチルベンゼン−2,4−ジイソシアナート、1,3,5−トリエチルベンゼン−2,4−ジイソシアナート、ナフタリン−1,4−ジイソシアナート、ナフタリン−1,5−ジイソシアナート、1−メチルナフタリン−1,5−ジイソシアナート、ナフタリン−2,6−ジイソシアナート、ナフタリン−2,7−ジイソシアナート、1,1−ジナフチル−2,2’−ジイソシアナート、ビフェニル−2,4’−ジイソシアナート、ビフェニル−4,4’−ジイソシアナート、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート(MDI)、ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート(XDI)などが挙げられる。
【0025】
その他のポリイソシアナートとしては1,6,11−ウンデカトリイソシアナート、1,8−ジイソシアナート−4−イソシアナートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアナートなどが挙げられる。
本発明で用いられる櫛形疎水性ジオール(化合物D)は、化学式3(化9)
【0026】
【化9】
で表わされる、2級水酸基を分子内に2個有し、疎水鎖を分子内に3本有する疎水性のジオール類である。
【0027】
ただし、R1は炭素数が1〜20のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基等の炭化水素基、ないしジアルキルアミノアルキル基等の窒素含有炭化水素基である。またR2およびR3は炭素数が4〜21のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基等の炭化水素基である。また炭化水素基R1、R2およびR3中の水素の一部ないし全部はフッ素、塩素、臭素ないし沃素などのハロゲン原子で置換されていてもよい。R2とR3は同じでも異なっていてもよいが、同じであることがより好ましい。
【0028】
この疎水性ジオール類は1級アミン類に各種オキシラン化合物(オキシラン環を有する化合物)を付加させることにより得ることができる。
オキシラン化合物としては各種グリシジルエーテル類や1,2−エポキシアルカン類、1,2−エポキシアルケン類、グリシジルスルフィド類などを用いることが可能である。
アミン類のアミノ基とオキシラン化合物の付加反応は活性が高く、無触媒でも十分反応が進行するほどである。一方、反応の結果生じた水酸基とオキシラン化合物の付加反応の活性は比較的低く、酸や塩基などの触媒がない条件では殆ど反応は進行しない。そこで、アミン類とオキシラン化合物を無触媒などの温和な反応条件で反応させることにより、付加反応の結果生じたジオールとオキシラン化合物が更に反応することを抑制できる。
【0029】
より具体的に説明すると、1級アミン類としては1級の鎖状ないし環状アルキルアミン類、1級の鎖状ないし環状アルケニルアミン類、1級のアラルキルアミン類、1級のジアルキルアミノアルキルアミン類、1級のN−ベンジルアミノピロリジン類、1級のN−アミノアルキルモルホリン類、1級のアリールアミン類、1級のアミノピリジン類や1級のアミノアルキルピリジン類などを例として挙げることができる。
【0030】
1級鎖状アルキルアミン類の例としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、ter−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、2−アミノヘプタン、n−オクチルアミン、イソオクチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、2−アミノ−6−メチルヘプタン、ノニルアミン、イソノニルアミン、1,4−ジメチルヘプチルアミン、3−アミノノナン、2−アミノ−6−エチルヘプタン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、2−アミノウンデカン、6−アミノウンデカン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、2−アミノトリデカン、n−テトラデシルアミン、2−アミノテトラデカン、n−ペンタデシルアミン、8−アミノペンタデカン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−ノナデシルアミン、2−アミノノナデカン、1−アミノエイコサンなどの鎖状アルキルアミン類などが挙げられる。
1級鎖状アルケニルアミン類の例としてはアリルアミン、オレイルアミンなどが挙げられる。
【0031】
1級環状アルキルアミン類の例としては、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、3−メチルシクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン、アミノメチルシクロヘキサン、シクロオクチルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、4−ter−ブチルシクロヘキシルアミン、1−シクロペンチル−2−アミノプロパン、1−アミノインダン、シクロドデシルアミン、o−アミノビシクロヘキシル、3−アミノスピロ[5,5]ウンデカン、ボルニルアミン、1−アダマンタンアミン、2−アミノノルボルナン、1−アダマンタンメチルアミンなどが挙げられる。
【0032】
1級環状アルケニルアミン類の例としてはジヒドロアビエチルアミン、2−(1−シクロヘキセニル)エチルアミンなどが挙げられる。
1級のアラルキルアミン類の例としてはベンジルアミン、フェネチルアミン、p−メトキシフェネチルアミン、α−フェニルエチルアミン、1−メトキシ−3−フェニルプロピルアミン、N−アミノプロピルアニリンなどが挙げられる。
【0033】
1級ジアルキルアミノアルキルアミン類の例としては、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、1−ジメチルアミノ−2−プロピルアミン、N2,N2−ジメチル−1,2−プロパンジアミン、4−ジメチルアミノブチルアミン、1−ジメチルアミノエチル−2−アミノプロパン、N,N−ジメチルペオペンタンジアミン、1−ジエチルアミノ−2−プロピルアミン、6−ジメチルアミノヘキシルアミン、2−ジ−n−プロピルアミノエチルアミン、N−エチル−N−ブチルエチレンジアミン、7−ヂエチルアミノヘプチルアミン、N1,N1−ジ−n−プロピル−1,2−プロパンジアミン、N’,N’−ジ−n−プロパンジアミン、5−ジエチルアミノアミルアミン、2−アミノ−5−ジエチルアミノペンタン、N,N−ジ−n−ブチルエチレンジアミン、N,N−ジ−tert−ブチルエチレンジアミン、2−ジイソブチルアミノエチルアミン、4−ジイソプロピルアミノブチルアミン、7−エチルアミノヘプチルアミン、3−(ジ−n−ブチルアミノ)プロピルアミン、N,N−ジイソブチル−1,6−ヘキサンジアミン、1−(2−アミノエチルピペリジン、3−ピペリジノプロピルアミン、4−ピロリジノブチルアミン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、3−アミノトロパン、5−ピロリジノアミルアミン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、1−(3−アミノプロピル)−2−ピペコリン、1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクト−3−イルアミン、1−ベンジル−3−アミノピロリジン、N1−エチル−N1−フェニルプロパン−1,3−ジアミンなどが挙げられる。
【0034】
1級のN−ベンジルアミノピロリジン類の例としては、N−ベンジル−3−アミノピロリジン、N−ベンジル−2−メチル−3−アミノピロリジンなどが挙げられる。
1級のN−アミノアルキルモルホリン類の例としては、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルモルホリンなどが挙げられる。
【0035】
1級のアリールアミン類の例としては、アニリン、2−クロロアニリン、2,3−ジクロロアニリン、2,4−ジブロモアニリン、2,4,6−トリブロモアニリン、o−トルイジン、2−クロロ−4−メチルアニリン、2,3−ジメチルアニリン、2,4−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2−エチルアニリン、2−イソプロピルアニリン、4−tert−ブチルアニリン、p−デシルアニリン、p−ドデシルアニリン、p−テトラデシルアニリン、4−シクロヘキシルアニリン、2−アミノビフェニル、1−ナフチルアミン、5−アミノインダン、1−アミノナフタセン、6−アミノクリセン、1−アミノピレンなどが挙げられる。
【0036】
1級のアミノピリジン類の例としては、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、2−アミノ−4−エチルピリジン、2−アミノ−4−プロピルピリジン、2−アミノ−4,6−ジメチルピリジン、2−アミノ−3−ニトロピリジンなどが挙げられる。
1級のアミノアルキルピリジン類の例としては、2−アミノメチルピリジン、3−アミノメチルピリジン、4−アミノメチルピリジン、3−アミノメチル−6−クロロピリジンなどが挙げられる。
その他の1級アミン類としては、2−アミノメチルピラジン、2−アミノピラジン、スルファレンなどのピラジン類などが挙げられる。
【0037】
またグリシジルエーテル類としては、アルキルグリシジルエーテル類、アルケニルグリシジルエーテル類、アラルキルグリシジルエーテル類、アリールグリシジルエーテル類などを例として挙げることができる。
アルキルグリシジルエーテル類の例としては、n−ブチルグリシジルエーテル、sec−ブチルグリシジルエーテル、ter−ブチルグリシジルエーテル、グリシジルペンチルエーテル、グリシジルヘキシルエーテル、グリシジルオクチルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、グリシジルノニルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、グリシジルラウリルエーテル、グリシジルトリデシルエーテル、グリシジルテトラデシルエーテル、グリシジルペンタデシルエーテル、グリシジルヘキサデシルエーテル、グリシジルステアリルエーテル、3−(2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ)−1,2−エポキシプロパン、3−(3−パーフルオロオクチル−2−イオドプロポキシ)−1,2−エポキシプロパンなどが挙げられる。
【0038】
アルケニルグリシジルエーテル類の例としては、アリルグリシジルエーテル、オレイルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
アラルキルグリシジルエーテル類の例としては、ベンジルグリシジルエーテル、フェネチルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
アリールグリシジルエーテル類の例としては、フェニルグリシジルエーテル、4−ter−ブチルフェニルグリシジルエーテル、2−エチルフェニルグリシジルエーテル、4−エチルフェニルグリシジルエーテル、2−メチルフェニルグリシジルエーテル、グリシジル−4−ノニルフェニルエーテル、グリシジル−3−(ペンタデカジエニル)フェニルエーテル、2−ビスフェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、α−ナフチルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0039】
その他のグリシジルエーテル類としてはアルコール類やフェノール類のアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、エピクロロヒドリン付加物など)のグリシジルエーテル類が挙げられる。化学式5に一般式で表す(化10)。
【0040】
【化10】
(ただしRはアルキル基ないしアリール基、Yは水素、メチル基ないしCH2Cl基、nは1〜15の整数である。)
エチレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルの例としては、2−エチルヘキシルアルコール−エチレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、ラウリルアルコール−エチレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、4−ter−ブチルフェノール−エチレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルやノニルフェノール−エチレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル類などが挙げられる。
【0041】
同様にアルコール類やフェノール類のプロピレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド/エチレンオキサイド付加物、エピクロロヒドリン付加物の各々のグリシジルエーテル類を用いることも可能である。工業薬品のグリシジルエーテル類には通常はエピクロロヒドリン付加物のグリシジルエーテル類が副生成物として含まれているが、そのような純度の低い原料も用いることができる。付加数nは1〜15程度が適当である。付加数が15を超えるとポリウレタンの水溶液粘度が低下し易い。
【0042】
また1,2−エポキシアルカン類や1,2−エポキシアルケン類の例としては、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシエイコサン、1,2−エポキシ−7−オクテン、1,2−エポキシ−9−デセンなどが挙げられる。
その他のオキシラン化合物としては2−エチルヘキシルグリシジルスルフィド、デシルグリシジルスルフィドなどのアルキルグリシジルチオエーテル(アルキルグリシジルスルフィド)類や、p−ノニルフェニルグリシジルスルフィドなどのアリールグリシジルチオエーテル(アリールグリシジルスルフィド)類が挙げられる。
【0043】
上記のアミン類とオキシラン化合物類を、アミン1分子にオキシラン化合物2分子の割合で反応させることにより化合物Dを得ることができる。化学式6に反応式を表す(化11)。
【0044】
【化11】
(ただしRa、Rb、Rcは適当な置換基である。)
反応はオキシラン化合物として1,2−エポキシアルカン類、1,2−エポキシアルケン類、グリシジルスルフィド類を用いた場合と比較して、グリシジルエーテル類を用いた場合により容易である。グリシジルエーテル類のアミン類との反応性が高いためと思われる。
【0045】
化合物Dは分子内に3本の疎水鎖を有するが、これらの疎水鎖が互いに近接していることにより、水溶液中での水溶性ポリウレタン間の疎水的会合を容易にする効果がある。各疎水鎖の炭素数は高分子が十分な会合を形成しうる長さが必要である。アミン類の炭素数は1以上20以下が好ましい。炭素数が20を超えるアミン類を用いるとポリウレタンの溶解性が低下することがある。より好ましくは炭素数が1〜18の鎖状ないし環状アルキルアミン類、更に好ましくは炭素数が4〜18の鎖状アルキルアミン類である。
【0046】
グリシジルエーテル類の疎水基の炭素数は4以上21以下が好ましい。炭素数が4未満のグリシジルエーテルを用いるとポリウレタンの水溶液粘度が充分に高くならないことがある。炭素数が21を超えるグリシジルエーテルを用いるとポリウレタンの溶解性が低下することがある。より好ましくは炭素数が4〜18の直鎖状ないし分岐鎖状アルキル基を疎水基として有するアルキルグリシジルエーテル類、ないし炭素数が6〜18の芳香族基またはアルキル置換芳香族基を疎水基として有するアリールグリシジルエーテル類である。
同様の理由により1,2−エポキシアルカン、1,2−エポキシアルケン、アルキルグリシジルチオエーテル、アリールグリシジルチオエーテルの疎水基の炭素数は4以上21以下が好ましい。
【0047】
また、3本の疎水鎖の炭素数の合計(上述した化学式(3)の置換基R1、R2およびR3の各々の炭素数の合計)が大きいほど、高分子は水中で会合し易く高い水溶液粘度を得易いが、炭素数の合計が大きすぎると高分子の水への溶解性が低下し易い。疎水基の炭素数の合計は12〜40の範囲にあることがより好ましい。更に好ましくは炭素数の合計が12〜34の範囲にあることである。最も好ましくは炭素数の合計が12〜24の範囲にあることである。炭素数の合計が12より小さいと、高い水溶液粘度を示す高分子が得られ難い。また炭素数の合計が40を超えると、ポリウレタンの水への溶解性が低下し易い。
【0048】
以下に櫛形疎水性ジオールの製造方法を説明するが、本発明に用いる櫛形疎水性ジオールの合成方法はこの例に限定されるものではない。
攪拌装置、原料導入機構、温度制御機構を有する反応容器に、原料のアミン類とオキシラン化合物類を仕込み、所定の反応温度において撹拌しながら反応させる。
反応は無溶媒で行うことができるが、DMFなどの一般的な溶媒を用いてもよい。
原料の導入は、アミン類とオキシラン化合物類を一括して仕込んでもよいし、どちらか一方を反応容器に仕込み、他方を連続的ないし段階的に導入してもよい。
反応温度は室温〜160℃程度、より好ましくは60℃〜120℃程度が適当である。
反応時間は、反応温度等にも依るが、0.5〜10時間程度である。
反応終了後のジオールは、GPCにより分散度を求めることができる。
また常法によりOH価を求めることができる。
櫛形疎水基を有する水溶性ポリウレタンは、化学式7(化12)
【0049】
【化12】
【0050】
に表すように、ポリアルキレングリコール(化合物A)および櫛状疎水性ジオール(化合物D)の2個の水酸基とジイソシアナート化合物(化合物B)の2個のNCO基の反応により合成される。繰り返し単位(1)のモル比率が(1−x)でかつ繰り返し単位(2)のモル比率がxである水溶性ポリウレタンは、化合物Aと化合物Dのモル比率が(1−x):xの比率で反応させることにより得られる。
【0051】
以下に水溶性ポリウレタンの製造方法を例を挙げて説明するが、勿論本発明は以下の製造方法に限定されるものではない。
攪拌装置、原料導入機構、温度制御機構を有する反応容器内を不活性ガスで置換する。ポリアルキレングリコールを反応容器へ仕込む。場合によっては溶媒を仕込む。
反応容器を設定された反応温度に制御しつつ触媒を加える。容器内を攪拌しつつジイソシアナート化合物、櫛形疎水性ジオールを反応容器へ導入する。導入方法は特に限定するものではない。連続的に導入しても断続的に導入してもよい。またジイソシアナート化合物と櫛形疎水性ジオールは、同時に導入しても、ジイソシアナート化合物の導入後に櫛形疎水性ジオールを導入しても、櫛形疎水性ジオールの導入後にジイソシアナート化合物を導入してもよい。
【0052】
触媒は必ずしも反応前にポリアルキレングリコールに添加する必要はなく、ポリアルキレングリコールにジイソシアナート化合物や櫛形疎水性ジオールを加えた後に触媒を加え、反応を開始することも可能である。または、ジイソシアナート化合物や櫛形疎水性ジオールに予め触媒を添加しておき、これらをポリアルキレングリコールに加え反応させることも可能である。
所定の反応時間後に生成物を反応容器から取り出し、ペレット状、フレーク状、粉末状や溶液などに加工して製品とする。
【0053】
反応に用いられる触媒は特に限定するものではなく、有機金属化合物、金属塩、3級アミン、その他の塩基触媒や酸触媒などの、一般にイソシアナート類とポリオール類の反応に用いられる公知の触媒を用いることができる。例を挙げれば、ジブチル錫ジラウレート(以下DBTDLと略す)、ジブチル錫ジ(ドデシルチオラート)、第一錫オクタノエート、フェニル水銀アセテート、亜鉛オクトエート、鉛オクトエート、亜鉛ナフテナート、鉛ナフテナート、トリエチルアミン(TEA)、テトラメチルブタンジアミン(TMBDA)、N−エチルモルホリン(NEM)、1,4−ジアザ[2.2.2]ビシクロオクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、N,N‘−ジメチル−1,4−ジアザシクロヘキサン(DMP)などがある。なかでもDBTDLがより好ましい。
【0054】
反応に用いる触媒の量は、反応温度や触媒の種類によっても異なり特に限定するものではないが、ポリアルキレングリコールの1モル当たり0.0001〜0.1モル、より好ましくは0.001〜0.1モル程度で十分である。
【0055】
反応は無溶媒で行うこともできるが、生成物の溶融粘度を下げるために溶媒を用いて反応させることもできる。溶媒としては、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクレンなどのハロゲン系溶剤や、キシレン、トルエン、ベンゼンなどの芳香族系溶剤や、デカン、オクタン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタンなどの飽和炭化水素系溶剤や、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶剤や、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、ジメチルケトンなどのケトン系溶剤や、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル系溶剤、などの活性水素を持たない溶剤が有効に用いられる。
ただし溶媒を用いないことは、脱溶剤の工程が不用となるので製造コストの点で有利であり、また環境汚染の恐れが少ないのでより好ましい。
【0056】
反応に用いるジイソシアナート化合物の量は、ポリアルキレングリコールと櫛形疎水性ジオールの各々のモル数の合計が1モルに対して、ジイソシアナート化合物のモル数(NCO/OH)が0.8〜1.3モル、より好ましくは0.9〜1.2モル、更に好ましくは1.0〜1.1である。0.8未満または1.3を超えると生成物の平均分子量が小さく、水中コンクリート用増粘剤助剤としての能力が十分でない。ジイソシアネートのモル数とポリアルキレングリコールと櫛形疎水性ジオールのモル数の合計とがほぼ等量である条件で最も分子量の大きな生成物が得られる。
ただし、ポリアルキレングリコールや櫛形疎水性ジオールに水分が含まれる場合には、上述のジイソシアナート化合物の量は、水分によりジイソシアナートが分解する分だけ余分に用いる必要がある。従って、十分に乾燥した原料を用いることがより好ましい。できれば原料に含まれる水分は5,000ppm以下が好ましい。より好ましくは1,000ppm以下、更に好ましくは200ppm以下である。
【0057】
反応に用いる櫛形疎水性ジオールの量は、ポリアルキレングリコールの分子量や櫛形疎水性ジオールの疎水基の炭素数によっても異なるが、櫛形疎水性ジオールのモル数がポリアルキレングリコールの1モル当たり0.01〜1モル(xが0.01〜0.5)が適当である。0.01モル未満では増粘効果が表われないことがある。また1モルを超えて反応させることは溶解性を低下させる場合があるので好ましくない。なお、()内の数値は該化学式7中のxの値を表している。
【0058】
該ポリアルキレングリコールとして数平均分子量が3,000〜20,000の範囲にあるポリエチレングリコールを用いた場合に、水中コンクリート用増粘剤助剤として最も優れたポリウレタンが得られ易い。この場合に反応に用いる櫛形疎水性ジオールの量としては、ポリエチレングリコール1モル当たり0.01〜1モル(xが0.01〜0.5)が好ましい。より好ましくは0.03〜0.67モル(xが0.03〜0.4)である。0.01モル未満では水中コンクリート用増粘剤助剤としての効果が十分でないことがある。
【0059】
反応温度は用いる触媒の種類や量などによっても異なるが、50〜180℃が適当である。より好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜120℃の範囲である。反応温度が50℃未満では反応速度が遅く経済的でない。また180℃を超えると生成物が熱分解することがある。
反応時間は用いる触媒の種類や量、反応温度などにより異なり特に限定するものではないが、1分〜10時間程度で十分である。
反応圧力は特に限定されない。常圧、減圧ないし加圧状態で反応させることができる。より好ましくは常圧ないし弱加圧状態で反応させる。
【0060】
以下に本発明により得られる水溶性ポリウレタンの特性を記す。
本発明には2%水溶液粘度(ポリウレタンの濃度が2重量%の水溶液の20℃での粘度を、B型回転粘度計を用いて回転数6rpmで測定した値)がおよそ1,000から500,000センチポアズ(cP)の会合性高分子が有効に用いられる。2%水溶液粘度が1,000cP未満のものはコンクリートの骨材不分離性が不十分になり易い。また2%水溶液粘度が500,000cPを超えるものは粘着力が強すぎてコンクリートのポンプ圧送性が低下し易い。
【0061】
水中コンクリート用増粘剤として用いるには、GPCにより測定された重量平均分子量がおよそ10万から100万の範囲の高分子が適している。GPCはクロロホルム溶液を用い、標準ポリスチレンにより分子量を校正した。重量平均分子量が10万未満では水溶液粘度が十分でないことが多い。また重量平均分子量が100万を超えると水溶液が曳糸性をもつために水中コンクリート用増粘剤として適さないことがある。
【0062】
これらの水溶性ポリウレタンを水中コンクリート用増粘剤として用いるには、フレーク状の固体で用いたり、水溶液やアルコールなどの溶剤に希釈して用いることもできるが、取り扱い易さなどから粉体で用いるのがより好ましい。粉体の粒径は16メッシュ(1mm)以下のものを用いるのが好ましい。粒径が16メッシュを超える粉体は溶解性が劣ることがある。
該水中コンクリート用増粘剤は該水溶性ポリウレタンを主成分として、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、希釈剤、固結防止剤などを含んでいてもよい。
【0063】
本発明で用いられる水中コンクリート用組成物は、従来から水中コンクリート用増粘剤として用いられているメチルセルロースやヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロースエーテル類の替わりに本発明による水中コンクリート用増粘剤を含むことを除けば、他の組成については公知の水中コンクリート用組成物と同等のものが有効に用いられる。具体的には普通ポルトランドセメント、特殊ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント、石膏などの水硬性粉体を主成分とし、細骨材、粗骨材、水と水中コンクリート用増粘剤を含む。
その他にもフライアッシュ、シリカヒューム、ベントナイト、粘土等の無機材料や、再乳化樹脂粉末や各種減水剤、界面活性剤、消泡剤、凝結促進剤、凝結遅延剤等を含んでいてもよい。
【0064】
本発明の水中コンクリート用増粘剤の添加量は、用いるコンクリートの組成によっても異なるが、セメントなどの水硬性粉体に対して通常0.1〜10重量%程度、より好ましくは0.2〜5重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%が適当である。0.1重量%未満では十分な増粘剤の効果が得られないことがある。また10重量%を超えて添加するのは粘着力が強すぎ、作業性が低下するので好ましくない。
【0065】
本発明の水中コンクリート用増粘剤の特長の一つは、セメントに対して10重量%程度添加してもコンクリートの凝結遅延が殆ど生じない点にある。セルロースエーテル類などの従来の増粘剤では0.5〜5重量%程度の添加量でも、凝結遅延がコンクリートの強度に悪影響を及ぼすおそれがあった。
増粘剤のコンクリートへの添加方法は粉体の増粘剤をコンクリートに加えて攪拌しながら溶解してもよいし、増粘剤を水溶液としコンクリートに加えてもよい。また、セメントに予め水中コンクリート用増粘剤を粉体で混合したものをコンクリートの原料に用いてもよい。
勿論、本発明の水中コンクリート用増粘剤とセルロースエーテル類、ポリアクリル系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール等の他の既存の増粘剤を併用して用いることもできる。
【0066】
該組成物に含まれる水の比率は、用いる細骨材や粗骨材の種類や量などにより異なり一概には言えないが、セメントなど水硬性粉体に対する水の重量比(水/セメント比)は0.2〜1の範囲が好ましい。より好ましくは0.3〜0.7、更に好ましくは0.3〜0.5が程度適当である。水/セメント比が1を超えると十分なコンクリートの強度が得られないことがある。また0.2未満ではセメントの水和に要する水分が不足し、やはり強度の高いコンクリートが得られないことがある。
【0067】
細骨材の量は従来の水中コンクリートと同程度であればよいが、典型的には砂等の細骨材はセメントなどの水硬性粉体に対して10〜500重量%程度である。
粗骨材の量は従来の水中コンクリートと同程度であればよいが、典型的にはセメントなどの水硬性粉体に対して10〜500重量%程度である。
【0068】
水中コンクリートの製造方法は特に限定するものではないが、例えば生コンクリートに増粘剤の粉末ないし水溶液を所定量加え混合する。また、セメントに予め増粘剤の粉体を混合したものをコンクリートの原料に用いることもできる。
得られた水中コンクリート用組成物は従来の水中コンクリートと同様の方法で施工することができる。例を挙げれば、自由落下ないし輸送ポンプを用いて水中に供給し、またはバケット、シュート、ホースやレイミー管などを介して水中に供給し、水中で硬化させることができる。
【0069】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明するが、勿論本発明はこの実施例に限られるものではない。
(櫛形疎水性ジオールの合成例)
実施例1
500mlの丸底フラスコにマグネチックスターラー、温度計および滴下ロートを設置し、2−エチルヘキシルアミン(関東化学)64.6gを仕込み、フラスコ内を窒素で置換した。オイルバスでフラスコを60℃に加熱し、攪拌しながら、滴下ロートから2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(ナガセ化成工業、デナコールEX−121、エポキシ価188)188.0gを40分かけて滴下した。滴下終了後、オイルバスの温度を80℃に上げて、フラスコを10時間加熱した。続いて、オイルバスの温度を120℃に上げて、真空ポンプを用いて、3mmHgの真空度で少量の未反応物を減圧留去した。2−エチルヘキシルアミン1モルに対して2−エチルヘキシルグリシジルエーテルが2モルの比率で付加した櫛形疎水性ジオール1(OH価からの平均分子量490)を収率98%で得た。
【0070】
実施例2
n−ブチルアミン(東京化成)1モルに対してn−ブチルグリシジルエーテル(東京化成)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール2を合成した。
実施例3
n−ブチルアミン1モルに対して2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール3を合成した。
実施例4
ドデシルアミン(関東化学)1モルに対して2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール4を合成した。
【0071】
実施例5
n−オクチルアミン(東京化成)1モルに対してドデシルグリシジルエーテル(アルドリッチ社製ドデシル/テトラデシルグリシジルエーテルを蒸留精製したもの)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール5を合成した。
実施例6
n−オクタデシルアミン(関東化学)1モルに対してn−オクチルグリシジルエーテル(P&B)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール6を合成した。
実施例7
n−ブチルアミン1モルに対してオクタデシルグリシジルエーテル(日本油脂、エピオールSK)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール7を合成した。
表1に結果を纏めた。
【0072】
【表1】
【0073】
(水溶性ポリウレタンの合成例)
以下に実施例1の疎水性ジオールを用いた水溶性ポリウレタンの合成例を示すが、勿論本発明は以下の例に限定されるものではない。
実施例8
500mlのSUS製セパラブルフラスコに市販のPEG#6000(純正化学、数平均分子量8、700)を100g仕込み、窒素シール下で150℃にて溶融した。これを攪拌しながら減圧下(3mmHg)で3時間乾燥した。残留する水分は200ppmであった。80℃まで温度を下げ、フラスコ内を攪拌しながら、実施例1で得た櫛形疎水性ジオール1を1.00g、ヘキサメチレンジイソシアナート(東京化成)を2.35g仕込んだ。触媒としてDBTDLを0.01g添加すると、10分程で急激に増粘した。攪拌を止めて、さらに2時間反応させた。
反応終了後に生成物をフラスコから取り出し、小片に裁断後放冷した。これを液体窒素で冷却し、電動ミルで粒径1mm(16メッシュ)以下に粉砕した。
2%水溶液粘度は200,000cP、GPCにより測定された重量平均分子量は55万であった。
【0074】
実施例9〜12
櫛形疎水性ジオール1の仕込み量とHDIの量が異なることを除いては、実施例8と同じである。HDIのモル数がPEGと櫛形疎水性ジオールの各々のモル数の合計の1.03倍になるように(NCO/OH=1.03)、HDIの量を選んだ。結果を表2に纏めた。
【0075】
【表2】
【0076】
実施例13〜23
櫛形疎水性ジオールの種類と仕込み量が異なることを除いては、実施例8と同じである。ただし、実施例18、19はPEGの合成ロットが異なるために分子量が若干異なる。
実施例20、21
PEGとして市販のPEG#4000(数平均分子量3,000)を用いた。
実施例22、23
PEGとして市販のPEG#20000(数平均分子量20,000)を用いた。
表3に結果を纏めた。
【0077】
【表3】
【0078】
表2および表3の中で、「PEGの分子量」はOH価(OHV)から求めたPEGの数平均分子量である。
また「疎水基の全炭素数」は疎水性ジオールの疎水基R1、R2およびR3の炭素数の合計である。
また「疎水性ジオール/PEG」はPEGに対する疎水性ジオールの原料における重量比を百分率で表わしたものである。「繰返単位の係数x」は該化学式7で表した繰り返し単位の係数xである。
また「2%水溶液粘度」は濃度が2重量%の水溶液を20℃において、B型回転粘度計を用い、回転数6rpmで測定した水溶液粘度(単位はセンチポアズ、cP)である。
また「重量平均分子量」は単分散のポリスチレンを標準としてGPCの測定により求めた値である。溶媒はクロロホルムを用いた。
xが0.01〜0.5、重量平均分子量が10万〜100万の範囲で、2%水溶液粘度が1,000〜500,000cPの水溶性ポリウレタンが得られている。
【0079】
(凝結遅延時間の測定)
実施例8で得られた水溶性ポリウレタンの凝結遅延時間を測定し、市販のセルロースエーテルと比較した。
測定はセメントペーストとモルタルで行ったが両者の結果はほぼ同じだったので、セメントペーストの結果のみを以下に示す。測定方法は、普通ポルトラントセメント100gに増粘剤の粉末を所定量加え混合し、更に水40gを加えてよく混合し、セメントペーストを得た。これを円筒形の断熱容器内に充填し、中心部分に熱電対を挿入してセメントペースト内部の温度の時間変化を記録した。
結果を表4に表す。
【0080】
【表4】
【0081】
市販のメトローズが凝結遅延しているのに対して、本発明の増粘剤は実質的に凝結遅延はないと言える。セルロースエーテル類がセメントの凝結遅延を引き起こすことは広く知られているが、その理由としてはポリマー主鎖に多数存在する水酸基の影響であると一般に考えられている。水酸基などの強い極性基がポリマー中に多数存在すると、ポリマーがセメントのカルシウムと強く結合し、水和反応に必要なカルシウムの濃度が不足することなどが原因として挙げられている。
【0082】
一方、本発明の水中コンクリート用増粘剤が凝結遅延を生じない理由はまだ解明されていない点もあるが、理由の一つとしてポリマー主鎖の親水基であるエーテル基は極性が比較的弱く、カルシウムと強くは結合しないので凝結遅延が生じないと考えられる。
(水中コンクリートの打設試験)
セメント、砂、砂利、増粘剤と水からなるコンクリートを用いて試験を行った。
【0083】
普通ポルトランドセメント100重量部、砂180重量部、砂利250重量部に所定量の増粘剤を加え、コンクリートミキサーで混合した。この組成物に水を50重量部加え更に混合し、水中コンクリート用組成物を得た。このコンリートを水中自由落下により、水深1mのプールに沈めた直径10cm、高さ20cmの円筒型枠へ充填した。24時間後にこの試験体を取り出し、型枠を外して水中養生させ、7日強度および28日強度を測定した。また試験体内部の骨材分離の有無を観察した。
【0084】
表5に実施例および比較例に用いた増粘剤の種類と添加量(セメントに対する重量%)、の水/セメント比(W/C)、水中不分離性(水中で骨材を分離させない能力)、養生後の圧縮強度を示した。
骨材分離の有無の判定は、圧縮強度測定前後の試験体を観察し、分離がまったくない場合は良(◎)、分離が若干認められるが顕著でない場合は可(○)、分離が明瞭に認めらる場合は不良(×)とした。
比較例として、市販品のセルロースエーテル系増粘剤として代表的なメチルセルロースである信越化学製90SH−30000を用いた例および増粘剤を添加しない例を示した。
【0085】
【表5】
【0086】
実施例と比較例を比較すると、本発明による水中コンクリート用増粘剤は市販品(水溶性セルロースエーテル類)と比較して、少なくとも同等な水中不分離性を有しかつ強度においては市販品と比較して勝っていることが明らかである。
水中不分離性は、コンクリートの高いチクソ性を反映していると考えられる。理由は必ずしも明らかではないが、本発明のコンクリート(水中コンクリート用組成物)の高いチクソ性は水溶性ポリウレタン水溶液の粘度が高いのみならず、水溶性ポリウレタンの櫛形疎水基とセメント粒子の間の適度な相互作用の効果を反映していると考えられる。
硬化後の強度については、市販品を用いたコンクリートと比較して特に初期の強度が優っている。凝結遅延がないためと考えられる。
【0087】
(実施例1〜7以外の疎水性ジオールの合成例とそれらを用いた水溶性ポリウレタンの合成例)
実施例44
2−エチルヘキシルアミン1モルに対してフェニルグリシジルエーテル(ナガセ化成工業、デナコールEX−141)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール8を合成した。
実施例45
n−ブチルアミン1モルに対してp−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル(ナガセ化成工業、デナコールEX−146)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール9を合成した。
【0088】
実施例46
2−シクロヘキシルエチルアミン(アルドリッチ)1モルに対して2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール10を合成した。
実施例47
2−エチルヘキシルアミン1モルに対してラウリルアルコール(EO)15グリシジルエーテル(ナガセ化成工業、デナコールEX−171)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール11を合成した。(EO)15はラウリルアルコール1モルにエチレンオキサイドを15モル付加させたEO付加物のグリシジルエーテルであることを表している。
実施例48
n−ブチルアミン1モルに対して3−[2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ]−1,2−エポキシプロパン(関東化学)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール11を合成した。
【0089】
実施例49
n−ブチルアミン1モルに対してグリシジル−3−(ペンタデカジエニル)フェニルエーテル(アルドリッチ)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール12を合成した。
実施例50
ジブチルアミノプロピルアミン(広栄化学)1モルに対して2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール13を合成した。
実施例51
2−エチルヘキシルアミン1モルに対して1,2−エポキシドデカン(東京化成)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール14を合成した。
実施例52
p−ドデシルアニリン(和光純薬)1モルに対して2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール15を合成した。実施例53
2−エチルヘキシルアミン1モルに対してデシルグリシジルチオエーテルを2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール16を合成した。
表6に疎水性ジオール合成結果を纏めた。
【0090】
【表6】
【0091】
表7にポリウレタンの合成結果を纏めた。最後の3例はジイソシアナートとしてHDIの替わりにイソホロンジイソシアナート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアナート(NBDI)および水素化キシリレンジイソシアナート(HXDI)を用いた例である。
【0092】
【表7】
表8に水中打設試験の結果を纏めた。
【0093】
【表8】
【0094】
【発明の効果】
本発明によって水中不分離性が高く、水中での強度が改善された安価な水中コンクリート用増粘剤が利用できるようになった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶性ポリアルキレングリコールを主な原料とする新規な高分子を含むことを特徴とする水中コンクリート用増粘剤、及び該水中コンクリート用増粘剤を含む水中コンクリート用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
水中にコンクリートを打設する際に、水中でモルタルと骨材が分離するのを避ける目的で、コンクリートに水溶性の増粘剤を水中不分離剤として添加することは知られている(例えば特開昭57−123850など)。十分な水中不分離性を発現するためには高い水溶液粘度が必要であるが、この高分子として現在はメチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)やヒドロキシエチルセルロース(HEC)などの水溶性セルロースエーテル類が広く用いられている。
【0003】
しかし水溶性セルロースエーテル類にはコンクリートの硬化時間を遅らせ(凝結遅延)、結果としてコンクリートの強度が低下し易いという問題があった。
【0004】
また、水溶性セルロースエーテル類は原料に特定の天然パルプを用いる半合成高分子であるために比較的高価であり原料コストを押し上げていた。またパルプの資源も限られており、より安価な工業原料から合成できる新しい水中コンクリート用増粘剤が待たれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
水溶性セルロースエーテル類などの既存の水中コンクリート用増粘剤は凝結遅延を生じる点でまだ問題が残っていた。
また、水溶性セルロースエーテル類は原料に特定の天然パルプを用いるために比較的高価であった。また原料の天然パルプの資源も限られており、より安価な工業原料から合成できる水中コンクリート用増粘剤が待たれていた。
従って本発明の目的は、水溶性セルロースエーテル類に替わる、より経済性で水中不分離性に優れ凝結遅延の改善された新しい水中コンクリート用増粘剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、櫛形疎水性ジオールを会合基とする新規な水溶性ポリウレタンからなる水中コンクリート用増粘剤を見出し、本発明を完成した。
本発明は、化学式1(化5)
【0007】
【化5】
で表される繰り返し単位(1)と、化学式2(化6)
【0008】
【化6】
で表される繰り返し単位(2)からなる高分子であり、繰り返し単位(1)のモル比率が0.5以上0.99以下であり、繰り返し単位(2)のモル比率が0.01以上0.5以下であり、GPCにより測定された重量平均分子量が10万から100万の範囲にある水溶性ポリウレタンからなる水中コンクリート用増粘剤である。
【0009】
ただし、AはHO−A−OHが少なくとも両末端に水酸基を有しかつ数平均分子量が400〜100,000の水溶性ポリアルキレンポリオール(化合物A)である2価基であり、BはOCN−B−NCOが全炭素数が3〜18のポリイソシアナート類よりなる群から選ばれたポリイソシアナート化合物(化合物B)である2価基であり、DはHO−D−OHが化学式3(化7)
【0010】
【化7】
【0011】
(ただし、R1は炭素数が1〜20の炭化水素基ないし窒素含有炭化水素基である。またR2およびR3は炭素数が4〜21の炭化水素基である。また該炭化水素基R1、R2およびR3中の水素の一部ないし全部はフッ素、塩素、臭素ないし沃素で置換されていてもよく、R2とR3は同じでも異なっていてもよい。またYおよびY’は水素、メチル基ないしCH2Cl基であり、YとY’は同じでも異なっていてもよい。またZおよびZ’は酸素、硫黄ないしCH2基であり、ZとZ’は同じでも異なっていてもよい。またnはZが酸素の場合は0〜15の整数であり、Zが硫黄ないしCH2基の場合は0である。またn’はZ’が酸素の場合は0〜15の整数であり、Z’が硫黄ないしCH2基の場合は0であり、nとn’は同じでも異なっていてもよい)で表わされる櫛形疎水性ジオール(化合物D)である2価基である。
また本発明は、化合物Dが化学式4(化8)
【0012】
【化8】
【0013】
(ただし、R1'は炭素数が4〜18の鎖状アルキル基であり、R2'およびR3'は炭素数が4〜18のアルキル基ないしアリール基であり、R1'、R2'およびR3'の炭素数の合計が12〜40であり、R2'とR3'は同じ)で表わされる櫛形疎水性ジオールである水中コンクリート用増粘剤である。
【0014】
また本発明は、化合物Bが鎖状脂肪族ジイソシアナートないし環状脂肪族ジイソシアナートである水中コンクリート用増粘剤である。
また本発明は、化合物Bがヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、水素化キシリレンジイソシアナートまたはノルボルネンジイソシアナートである水中コンクリート用増粘剤である。
また本発明は、2%水溶液粘度が1,000〜500,000センチポアズである該水溶性ポリウレタンからなる水中コンクリート用増粘剤である。
また本発明は、該水中コンクリート用増粘剤がセメントに対して0.1〜10重量%添加されたことを特長とする水中コンクリート用組成物である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる高分子は、水溶性ポリアルキレンポリオールと実質的に単分散の櫛形疎水性ジオールをポリイソシアナートで連結して得られる櫛形疎水基を有する高分子である。
【0016】
本発明で用いられる水溶性ポリアルキレンポリオール(化合物A)は、少なくとも高分子鎖の両末端に水酸基を有するアルキレンオキサイド重合体である。
ただし水酸基を3個以上有するポリアルキレンポリオールを用いると、製品の水への溶解性が低下しやすい。従って高分子鎖の両末端に1級水酸基を有するポリアルキレングリコールを用いることがより好ましい。
【0017】
単量体のアルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクロロヒドリンなどがあるが、水溶性を高めるためにはエチレンオキサイドの含有率が60重量%以上あることがより好ましい。更に好ましくはエチレンオキサイドの重合物(ポリエチレングリコール。以下PEGと略記する)を用いることである。
【0018】
該化合物Aの分子量は数平均分子量で400〜100,000のものが好ましい。より好ましくは1,500〜50,000、更に好ましくは3,000〜20,000である。分子量が400未満では十分な水溶液粘度を示す製品が得られず、増粘剤に用いることができない。また分子量が100,000より大きくなると反応速度が低下し、やはり十分な水溶液粘度を示す製品が得られない。分子量が3,000〜20,000の範囲で、十分な水溶液粘度を示す製品が最も得られ易い。
【0019】
本発明で用いられるポリイソシアナート化合物(化合物B)は、鎖状脂肪族ポリイソシアナート類、環状脂肪族ポリイソシアナート類および芳香族ポリイソシアナートよりなる群から選ばれた全炭素数が(NCO基の炭素を含めて)3〜18のポリイソシアナート化合物である。ポリイソシアナート類の全炭素数が18より大きいと高分子の溶解性が低下し易い。
ただし分子内にNCO基3個以上有するポリイソシアナート類を用いると、製品の水への溶解性が低下しやすい。従って分子内にNCO基を2個有するジイソシアナート類を用いることがより好ましい。
【0020】
ジイソシアナート類とポリアルキレングリコール類の反応では、芳香族ジイソシアナート類>鎖状脂肪族ジイソシアナート類>環状脂肪族ジイソシアナート類の順に反応性が高いが、芳香族ジイソシアナート類は無溶媒で反応させると急激に反応するため、反応が不均一になり易く分子量の制御にやや難がある。
また、芳香族ジイソシアナート類を用いて製造した高分子は、強塩基性であるモルタル中で経時変化をきたし、混練後時間とともに助剤としての効果が低下することがある。モルタルはpHが約14の強アルカリなので、アルカリによる加水分解を受け易い芳香族ジイソシアナート類とポリアルキレングリコール間の結合が切断されるためと考えられる。
【0021】
従って、全炭素数が3〜18の鎖状および環状脂肪族ジイソシアナート類を用いることがより好ましい。更に好ましくはヘキサメチレンジイソシアナート(通称HDIと略す)、イソホロンジイソシアナート(通称IPDIと略す)、水素化キシリレンジイソシアナート(通称HXDIと略す)またはノルボルネンジイソシアナート(通称NBDIと略す)を用いることである。特に好ましくはHDIを用いることである。
【0022】
鎖状脂肪族ジイソシアナート類は、NCO基の間を直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基で繋いだ構造をもつジイソシアナート化合物であり、具体例としては、メチレンジイソシアナート、エチレンジイソシアナート、トリメチレンジイソシアナート、1−メチルエチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ペンタメチレンジイソシアナート、2−メチルブタン−1,4−ジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、ヘプタメチレンジイソシアナート、2,2’−ジメチルペンタン−1,5−ジイソシアナート、リジンジイソシアナートメチルエステル(LDI)、オクタメチレンジイソシアナート、2,5−ジメチルヘキサン−1,6−ジイソシアナート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,5−ジイソシアナート、ノナメチルジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアナート、デカメチレンジイソシアナート、ウンデカメチレンジイソシアナート、ドデカメチレンジイソシアナート、トリデカメチレンジイソシアナート、テトラデカメチレンジイソシアナート、ペンタデカメチレンジイソシアナート、ヘキサデカメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナートなどが挙げられる。
【0023】
環状脂肪族ジイソシアナート類は、NCO基の間を繋ぐアルキレン基が環状構造をもつジイソシアナート化合物であり、具体例としては、シクロヘキサン−1,2−ジイソシアナート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアナート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート、1−メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアナート、1−メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアナート、1−エチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアナート、4,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジイソシアナート、1,2−ジメチルシクロヘキサン−ω,ω’−ジイソシアナート、1,4−ジメチルシクロヘキサン−ω,ω’−ジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルメチルメタン−4,4’−ジイソシアナート、ジシクロヘキシルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアナート、2,2’−ジメチルジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート、3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート、4,4’−メチレン−ビス(イソシアナトシクロヘキサン)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアナート)(IPCI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、水素化トリレンジイソシアナート(HTDI)、水素化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(HMDI)、水素化キシリレンジイソシアナート(HXDI)、ノルボルネンジイソシアナート(NBDI)などが挙げられる。
【0024】
芳香族ジイソシアナート類は、NCO基の間をフェニレン基、アルキル置換フェニレン基およびアラルキレン基などの芳香族基ないし芳香族基を含有する炭化水素基で繋いだジイソシアナート化合物であり、具体例としては、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアナート、1−メチル−2,4−フェニレンジイソシアナート(2,4−TDI)、1−メチル−2,6−フェニレンジイソシアナート(2,6−TDI)、1−メチル−2,5−フェニレンジイソシアナート、1−メチル−3,5−フェニレンジイソシアナート、1−エチル−2,4−フェニレンジイソシアナート、1−イソプロピル−2,4−フェニレンジイソシアナート、1,3−ジメチル−2,4−フェニレンジイソシアナート、1,3−ジメチル−4,6−フェニレンジイソシアナート、1,4−ジメチル−2,5−フェニレンジイソシアナート、m−キシレンジイソシアナート、ジエチルベンゼンジイソシアナート、ジイソプロピルベンゼンジイソシアナート、1−メチル−3,5−ジエチルベンゼン−2,4−ジイソシアナート、3−メチル−1,5−ジエチルベンゼン−2,4−ジイソシアナート、1,3,5−トリエチルベンゼン−2,4−ジイソシアナート、ナフタリン−1,4−ジイソシアナート、ナフタリン−1,5−ジイソシアナート、1−メチルナフタリン−1,5−ジイソシアナート、ナフタリン−2,6−ジイソシアナート、ナフタリン−2,7−ジイソシアナート、1,1−ジナフチル−2,2’−ジイソシアナート、ビフェニル−2,4’−ジイソシアナート、ビフェニル−4,4’−ジイソシアナート、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート(MDI)、ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート(XDI)などが挙げられる。
【0025】
その他のポリイソシアナートとしては1,6,11−ウンデカトリイソシアナート、1,8−ジイソシアナート−4−イソシアナートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアナートなどが挙げられる。
本発明で用いられる櫛形疎水性ジオール(化合物D)は、化学式3(化9)
【0026】
【化9】
で表わされる、2級水酸基を分子内に2個有し、疎水鎖を分子内に3本有する疎水性のジオール類である。
【0027】
ただし、R1は炭素数が1〜20のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基等の炭化水素基、ないしジアルキルアミノアルキル基等の窒素含有炭化水素基である。またR2およびR3は炭素数が4〜21のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基等の炭化水素基である。また炭化水素基R1、R2およびR3中の水素の一部ないし全部はフッ素、塩素、臭素ないし沃素などのハロゲン原子で置換されていてもよい。R2とR3は同じでも異なっていてもよいが、同じであることがより好ましい。
【0028】
この疎水性ジオール類は1級アミン類に各種オキシラン化合物(オキシラン環を有する化合物)を付加させることにより得ることができる。
オキシラン化合物としては各種グリシジルエーテル類や1,2−エポキシアルカン類、1,2−エポキシアルケン類、グリシジルスルフィド類などを用いることが可能である。
アミン類のアミノ基とオキシラン化合物の付加反応は活性が高く、無触媒でも十分反応が進行するほどである。一方、反応の結果生じた水酸基とオキシラン化合物の付加反応の活性は比較的低く、酸や塩基などの触媒がない条件では殆ど反応は進行しない。そこで、アミン類とオキシラン化合物を無触媒などの温和な反応条件で反応させることにより、付加反応の結果生じたジオールとオキシラン化合物が更に反応することを抑制できる。
【0029】
より具体的に説明すると、1級アミン類としては1級の鎖状ないし環状アルキルアミン類、1級の鎖状ないし環状アルケニルアミン類、1級のアラルキルアミン類、1級のジアルキルアミノアルキルアミン類、1級のN−ベンジルアミノピロリジン類、1級のN−アミノアルキルモルホリン類、1級のアリールアミン類、1級のアミノピリジン類や1級のアミノアルキルピリジン類などを例として挙げることができる。
【0030】
1級鎖状アルキルアミン類の例としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、ter−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、2−アミノヘプタン、n−オクチルアミン、イソオクチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、2−アミノ−6−メチルヘプタン、ノニルアミン、イソノニルアミン、1,4−ジメチルヘプチルアミン、3−アミノノナン、2−アミノ−6−エチルヘプタン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、2−アミノウンデカン、6−アミノウンデカン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、2−アミノトリデカン、n−テトラデシルアミン、2−アミノテトラデカン、n−ペンタデシルアミン、8−アミノペンタデカン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−ノナデシルアミン、2−アミノノナデカン、1−アミノエイコサンなどの鎖状アルキルアミン類などが挙げられる。
1級鎖状アルケニルアミン類の例としてはアリルアミン、オレイルアミンなどが挙げられる。
【0031】
1級環状アルキルアミン類の例としては、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、3−メチルシクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン、アミノメチルシクロヘキサン、シクロオクチルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、4−ter−ブチルシクロヘキシルアミン、1−シクロペンチル−2−アミノプロパン、1−アミノインダン、シクロドデシルアミン、o−アミノビシクロヘキシル、3−アミノスピロ[5,5]ウンデカン、ボルニルアミン、1−アダマンタンアミン、2−アミノノルボルナン、1−アダマンタンメチルアミンなどが挙げられる。
【0032】
1級環状アルケニルアミン類の例としてはジヒドロアビエチルアミン、2−(1−シクロヘキセニル)エチルアミンなどが挙げられる。
1級のアラルキルアミン類の例としてはベンジルアミン、フェネチルアミン、p−メトキシフェネチルアミン、α−フェニルエチルアミン、1−メトキシ−3−フェニルプロピルアミン、N−アミノプロピルアニリンなどが挙げられる。
【0033】
1級ジアルキルアミノアルキルアミン類の例としては、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、1−ジメチルアミノ−2−プロピルアミン、N2,N2−ジメチル−1,2−プロパンジアミン、4−ジメチルアミノブチルアミン、1−ジメチルアミノエチル−2−アミノプロパン、N,N−ジメチルペオペンタンジアミン、1−ジエチルアミノ−2−プロピルアミン、6−ジメチルアミノヘキシルアミン、2−ジ−n−プロピルアミノエチルアミン、N−エチル−N−ブチルエチレンジアミン、7−ヂエチルアミノヘプチルアミン、N1,N1−ジ−n−プロピル−1,2−プロパンジアミン、N’,N’−ジ−n−プロパンジアミン、5−ジエチルアミノアミルアミン、2−アミノ−5−ジエチルアミノペンタン、N,N−ジ−n−ブチルエチレンジアミン、N,N−ジ−tert−ブチルエチレンジアミン、2−ジイソブチルアミノエチルアミン、4−ジイソプロピルアミノブチルアミン、7−エチルアミノヘプチルアミン、3−(ジ−n−ブチルアミノ)プロピルアミン、N,N−ジイソブチル−1,6−ヘキサンジアミン、1−(2−アミノエチルピペリジン、3−ピペリジノプロピルアミン、4−ピロリジノブチルアミン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、3−アミノトロパン、5−ピロリジノアミルアミン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、1−(3−アミノプロピル)−2−ピペコリン、1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクト−3−イルアミン、1−ベンジル−3−アミノピロリジン、N1−エチル−N1−フェニルプロパン−1,3−ジアミンなどが挙げられる。
【0034】
1級のN−ベンジルアミノピロリジン類の例としては、N−ベンジル−3−アミノピロリジン、N−ベンジル−2−メチル−3−アミノピロリジンなどが挙げられる。
1級のN−アミノアルキルモルホリン類の例としては、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルモルホリンなどが挙げられる。
【0035】
1級のアリールアミン類の例としては、アニリン、2−クロロアニリン、2,3−ジクロロアニリン、2,4−ジブロモアニリン、2,4,6−トリブロモアニリン、o−トルイジン、2−クロロ−4−メチルアニリン、2,3−ジメチルアニリン、2,4−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2−エチルアニリン、2−イソプロピルアニリン、4−tert−ブチルアニリン、p−デシルアニリン、p−ドデシルアニリン、p−テトラデシルアニリン、4−シクロヘキシルアニリン、2−アミノビフェニル、1−ナフチルアミン、5−アミノインダン、1−アミノナフタセン、6−アミノクリセン、1−アミノピレンなどが挙げられる。
【0036】
1級のアミノピリジン類の例としては、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、2−アミノ−4−エチルピリジン、2−アミノ−4−プロピルピリジン、2−アミノ−4,6−ジメチルピリジン、2−アミノ−3−ニトロピリジンなどが挙げられる。
1級のアミノアルキルピリジン類の例としては、2−アミノメチルピリジン、3−アミノメチルピリジン、4−アミノメチルピリジン、3−アミノメチル−6−クロロピリジンなどが挙げられる。
その他の1級アミン類としては、2−アミノメチルピラジン、2−アミノピラジン、スルファレンなどのピラジン類などが挙げられる。
【0037】
またグリシジルエーテル類としては、アルキルグリシジルエーテル類、アルケニルグリシジルエーテル類、アラルキルグリシジルエーテル類、アリールグリシジルエーテル類などを例として挙げることができる。
アルキルグリシジルエーテル類の例としては、n−ブチルグリシジルエーテル、sec−ブチルグリシジルエーテル、ter−ブチルグリシジルエーテル、グリシジルペンチルエーテル、グリシジルヘキシルエーテル、グリシジルオクチルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、グリシジルノニルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、グリシジルラウリルエーテル、グリシジルトリデシルエーテル、グリシジルテトラデシルエーテル、グリシジルペンタデシルエーテル、グリシジルヘキサデシルエーテル、グリシジルステアリルエーテル、3−(2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ)−1,2−エポキシプロパン、3−(3−パーフルオロオクチル−2−イオドプロポキシ)−1,2−エポキシプロパンなどが挙げられる。
【0038】
アルケニルグリシジルエーテル類の例としては、アリルグリシジルエーテル、オレイルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
アラルキルグリシジルエーテル類の例としては、ベンジルグリシジルエーテル、フェネチルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
アリールグリシジルエーテル類の例としては、フェニルグリシジルエーテル、4−ter−ブチルフェニルグリシジルエーテル、2−エチルフェニルグリシジルエーテル、4−エチルフェニルグリシジルエーテル、2−メチルフェニルグリシジルエーテル、グリシジル−4−ノニルフェニルエーテル、グリシジル−3−(ペンタデカジエニル)フェニルエーテル、2−ビスフェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、α−ナフチルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0039】
その他のグリシジルエーテル類としてはアルコール類やフェノール類のアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、エピクロロヒドリン付加物など)のグリシジルエーテル類が挙げられる。化学式5に一般式で表す(化10)。
【0040】
【化10】
(ただしRはアルキル基ないしアリール基、Yは水素、メチル基ないしCH2Cl基、nは1〜15の整数である。)
エチレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルの例としては、2−エチルヘキシルアルコール−エチレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、ラウリルアルコール−エチレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、4−ter−ブチルフェノール−エチレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルやノニルフェノール−エチレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル類などが挙げられる。
【0041】
同様にアルコール類やフェノール類のプロピレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド/エチレンオキサイド付加物、エピクロロヒドリン付加物の各々のグリシジルエーテル類を用いることも可能である。工業薬品のグリシジルエーテル類には通常はエピクロロヒドリン付加物のグリシジルエーテル類が副生成物として含まれているが、そのような純度の低い原料も用いることができる。付加数nは1〜15程度が適当である。付加数が15を超えるとポリウレタンの水溶液粘度が低下し易い。
【0042】
また1,2−エポキシアルカン類や1,2−エポキシアルケン類の例としては、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシエイコサン、1,2−エポキシ−7−オクテン、1,2−エポキシ−9−デセンなどが挙げられる。
その他のオキシラン化合物としては2−エチルヘキシルグリシジルスルフィド、デシルグリシジルスルフィドなどのアルキルグリシジルチオエーテル(アルキルグリシジルスルフィド)類や、p−ノニルフェニルグリシジルスルフィドなどのアリールグリシジルチオエーテル(アリールグリシジルスルフィド)類が挙げられる。
【0043】
上記のアミン類とオキシラン化合物類を、アミン1分子にオキシラン化合物2分子の割合で反応させることにより化合物Dを得ることができる。化学式6に反応式を表す(化11)。
【0044】
【化11】
(ただしRa、Rb、Rcは適当な置換基である。)
反応はオキシラン化合物として1,2−エポキシアルカン類、1,2−エポキシアルケン類、グリシジルスルフィド類を用いた場合と比較して、グリシジルエーテル類を用いた場合により容易である。グリシジルエーテル類のアミン類との反応性が高いためと思われる。
【0045】
化合物Dは分子内に3本の疎水鎖を有するが、これらの疎水鎖が互いに近接していることにより、水溶液中での水溶性ポリウレタン間の疎水的会合を容易にする効果がある。各疎水鎖の炭素数は高分子が十分な会合を形成しうる長さが必要である。アミン類の炭素数は1以上20以下が好ましい。炭素数が20を超えるアミン類を用いるとポリウレタンの溶解性が低下することがある。より好ましくは炭素数が1〜18の鎖状ないし環状アルキルアミン類、更に好ましくは炭素数が4〜18の鎖状アルキルアミン類である。
【0046】
グリシジルエーテル類の疎水基の炭素数は4以上21以下が好ましい。炭素数が4未満のグリシジルエーテルを用いるとポリウレタンの水溶液粘度が充分に高くならないことがある。炭素数が21を超えるグリシジルエーテルを用いるとポリウレタンの溶解性が低下することがある。より好ましくは炭素数が4〜18の直鎖状ないし分岐鎖状アルキル基を疎水基として有するアルキルグリシジルエーテル類、ないし炭素数が6〜18の芳香族基またはアルキル置換芳香族基を疎水基として有するアリールグリシジルエーテル類である。
同様の理由により1,2−エポキシアルカン、1,2−エポキシアルケン、アルキルグリシジルチオエーテル、アリールグリシジルチオエーテルの疎水基の炭素数は4以上21以下が好ましい。
【0047】
また、3本の疎水鎖の炭素数の合計(上述した化学式(3)の置換基R1、R2およびR3の各々の炭素数の合計)が大きいほど、高分子は水中で会合し易く高い水溶液粘度を得易いが、炭素数の合計が大きすぎると高分子の水への溶解性が低下し易い。疎水基の炭素数の合計は12〜40の範囲にあることがより好ましい。更に好ましくは炭素数の合計が12〜34の範囲にあることである。最も好ましくは炭素数の合計が12〜24の範囲にあることである。炭素数の合計が12より小さいと、高い水溶液粘度を示す高分子が得られ難い。また炭素数の合計が40を超えると、ポリウレタンの水への溶解性が低下し易い。
【0048】
以下に櫛形疎水性ジオールの製造方法を説明するが、本発明に用いる櫛形疎水性ジオールの合成方法はこの例に限定されるものではない。
攪拌装置、原料導入機構、温度制御機構を有する反応容器に、原料のアミン類とオキシラン化合物類を仕込み、所定の反応温度において撹拌しながら反応させる。
反応は無溶媒で行うことができるが、DMFなどの一般的な溶媒を用いてもよい。
原料の導入は、アミン類とオキシラン化合物類を一括して仕込んでもよいし、どちらか一方を反応容器に仕込み、他方を連続的ないし段階的に導入してもよい。
反応温度は室温〜160℃程度、より好ましくは60℃〜120℃程度が適当である。
反応時間は、反応温度等にも依るが、0.5〜10時間程度である。
反応終了後のジオールは、GPCにより分散度を求めることができる。
また常法によりOH価を求めることができる。
櫛形疎水基を有する水溶性ポリウレタンは、化学式7(化12)
【0049】
【化12】
【0050】
に表すように、ポリアルキレングリコール(化合物A)および櫛状疎水性ジオール(化合物D)の2個の水酸基とジイソシアナート化合物(化合物B)の2個のNCO基の反応により合成される。繰り返し単位(1)のモル比率が(1−x)でかつ繰り返し単位(2)のモル比率がxである水溶性ポリウレタンは、化合物Aと化合物Dのモル比率が(1−x):xの比率で反応させることにより得られる。
【0051】
以下に水溶性ポリウレタンの製造方法を例を挙げて説明するが、勿論本発明は以下の製造方法に限定されるものではない。
攪拌装置、原料導入機構、温度制御機構を有する反応容器内を不活性ガスで置換する。ポリアルキレングリコールを反応容器へ仕込む。場合によっては溶媒を仕込む。
反応容器を設定された反応温度に制御しつつ触媒を加える。容器内を攪拌しつつジイソシアナート化合物、櫛形疎水性ジオールを反応容器へ導入する。導入方法は特に限定するものではない。連続的に導入しても断続的に導入してもよい。またジイソシアナート化合物と櫛形疎水性ジオールは、同時に導入しても、ジイソシアナート化合物の導入後に櫛形疎水性ジオールを導入しても、櫛形疎水性ジオールの導入後にジイソシアナート化合物を導入してもよい。
【0052】
触媒は必ずしも反応前にポリアルキレングリコールに添加する必要はなく、ポリアルキレングリコールにジイソシアナート化合物や櫛形疎水性ジオールを加えた後に触媒を加え、反応を開始することも可能である。または、ジイソシアナート化合物や櫛形疎水性ジオールに予め触媒を添加しておき、これらをポリアルキレングリコールに加え反応させることも可能である。
所定の反応時間後に生成物を反応容器から取り出し、ペレット状、フレーク状、粉末状や溶液などに加工して製品とする。
【0053】
反応に用いられる触媒は特に限定するものではなく、有機金属化合物、金属塩、3級アミン、その他の塩基触媒や酸触媒などの、一般にイソシアナート類とポリオール類の反応に用いられる公知の触媒を用いることができる。例を挙げれば、ジブチル錫ジラウレート(以下DBTDLと略す)、ジブチル錫ジ(ドデシルチオラート)、第一錫オクタノエート、フェニル水銀アセテート、亜鉛オクトエート、鉛オクトエート、亜鉛ナフテナート、鉛ナフテナート、トリエチルアミン(TEA)、テトラメチルブタンジアミン(TMBDA)、N−エチルモルホリン(NEM)、1,4−ジアザ[2.2.2]ビシクロオクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、N,N‘−ジメチル−1,4−ジアザシクロヘキサン(DMP)などがある。なかでもDBTDLがより好ましい。
【0054】
反応に用いる触媒の量は、反応温度や触媒の種類によっても異なり特に限定するものではないが、ポリアルキレングリコールの1モル当たり0.0001〜0.1モル、より好ましくは0.001〜0.1モル程度で十分である。
【0055】
反応は無溶媒で行うこともできるが、生成物の溶融粘度を下げるために溶媒を用いて反応させることもできる。溶媒としては、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクレンなどのハロゲン系溶剤や、キシレン、トルエン、ベンゼンなどの芳香族系溶剤や、デカン、オクタン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタンなどの飽和炭化水素系溶剤や、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶剤や、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、ジメチルケトンなどのケトン系溶剤や、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル系溶剤、などの活性水素を持たない溶剤が有効に用いられる。
ただし溶媒を用いないことは、脱溶剤の工程が不用となるので製造コストの点で有利であり、また環境汚染の恐れが少ないのでより好ましい。
【0056】
反応に用いるジイソシアナート化合物の量は、ポリアルキレングリコールと櫛形疎水性ジオールの各々のモル数の合計が1モルに対して、ジイソシアナート化合物のモル数(NCO/OH)が0.8〜1.3モル、より好ましくは0.9〜1.2モル、更に好ましくは1.0〜1.1である。0.8未満または1.3を超えると生成物の平均分子量が小さく、水中コンクリート用増粘剤助剤としての能力が十分でない。ジイソシアネートのモル数とポリアルキレングリコールと櫛形疎水性ジオールのモル数の合計とがほぼ等量である条件で最も分子量の大きな生成物が得られる。
ただし、ポリアルキレングリコールや櫛形疎水性ジオールに水分が含まれる場合には、上述のジイソシアナート化合物の量は、水分によりジイソシアナートが分解する分だけ余分に用いる必要がある。従って、十分に乾燥した原料を用いることがより好ましい。できれば原料に含まれる水分は5,000ppm以下が好ましい。より好ましくは1,000ppm以下、更に好ましくは200ppm以下である。
【0057】
反応に用いる櫛形疎水性ジオールの量は、ポリアルキレングリコールの分子量や櫛形疎水性ジオールの疎水基の炭素数によっても異なるが、櫛形疎水性ジオールのモル数がポリアルキレングリコールの1モル当たり0.01〜1モル(xが0.01〜0.5)が適当である。0.01モル未満では増粘効果が表われないことがある。また1モルを超えて反応させることは溶解性を低下させる場合があるので好ましくない。なお、()内の数値は該化学式7中のxの値を表している。
【0058】
該ポリアルキレングリコールとして数平均分子量が3,000〜20,000の範囲にあるポリエチレングリコールを用いた場合に、水中コンクリート用増粘剤助剤として最も優れたポリウレタンが得られ易い。この場合に反応に用いる櫛形疎水性ジオールの量としては、ポリエチレングリコール1モル当たり0.01〜1モル(xが0.01〜0.5)が好ましい。より好ましくは0.03〜0.67モル(xが0.03〜0.4)である。0.01モル未満では水中コンクリート用増粘剤助剤としての効果が十分でないことがある。
【0059】
反応温度は用いる触媒の種類や量などによっても異なるが、50〜180℃が適当である。より好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜120℃の範囲である。反応温度が50℃未満では反応速度が遅く経済的でない。また180℃を超えると生成物が熱分解することがある。
反応時間は用いる触媒の種類や量、反応温度などにより異なり特に限定するものではないが、1分〜10時間程度で十分である。
反応圧力は特に限定されない。常圧、減圧ないし加圧状態で反応させることができる。より好ましくは常圧ないし弱加圧状態で反応させる。
【0060】
以下に本発明により得られる水溶性ポリウレタンの特性を記す。
本発明には2%水溶液粘度(ポリウレタンの濃度が2重量%の水溶液の20℃での粘度を、B型回転粘度計を用いて回転数6rpmで測定した値)がおよそ1,000から500,000センチポアズ(cP)の会合性高分子が有効に用いられる。2%水溶液粘度が1,000cP未満のものはコンクリートの骨材不分離性が不十分になり易い。また2%水溶液粘度が500,000cPを超えるものは粘着力が強すぎてコンクリートのポンプ圧送性が低下し易い。
【0061】
水中コンクリート用増粘剤として用いるには、GPCにより測定された重量平均分子量がおよそ10万から100万の範囲の高分子が適している。GPCはクロロホルム溶液を用い、標準ポリスチレンにより分子量を校正した。重量平均分子量が10万未満では水溶液粘度が十分でないことが多い。また重量平均分子量が100万を超えると水溶液が曳糸性をもつために水中コンクリート用増粘剤として適さないことがある。
【0062】
これらの水溶性ポリウレタンを水中コンクリート用増粘剤として用いるには、フレーク状の固体で用いたり、水溶液やアルコールなどの溶剤に希釈して用いることもできるが、取り扱い易さなどから粉体で用いるのがより好ましい。粉体の粒径は16メッシュ(1mm)以下のものを用いるのが好ましい。粒径が16メッシュを超える粉体は溶解性が劣ることがある。
該水中コンクリート用増粘剤は該水溶性ポリウレタンを主成分として、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、希釈剤、固結防止剤などを含んでいてもよい。
【0063】
本発明で用いられる水中コンクリート用組成物は、従来から水中コンクリート用増粘剤として用いられているメチルセルロースやヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロースエーテル類の替わりに本発明による水中コンクリート用増粘剤を含むことを除けば、他の組成については公知の水中コンクリート用組成物と同等のものが有効に用いられる。具体的には普通ポルトランドセメント、特殊ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント、石膏などの水硬性粉体を主成分とし、細骨材、粗骨材、水と水中コンクリート用増粘剤を含む。
その他にもフライアッシュ、シリカヒューム、ベントナイト、粘土等の無機材料や、再乳化樹脂粉末や各種減水剤、界面活性剤、消泡剤、凝結促進剤、凝結遅延剤等を含んでいてもよい。
【0064】
本発明の水中コンクリート用増粘剤の添加量は、用いるコンクリートの組成によっても異なるが、セメントなどの水硬性粉体に対して通常0.1〜10重量%程度、より好ましくは0.2〜5重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%が適当である。0.1重量%未満では十分な増粘剤の効果が得られないことがある。また10重量%を超えて添加するのは粘着力が強すぎ、作業性が低下するので好ましくない。
【0065】
本発明の水中コンクリート用増粘剤の特長の一つは、セメントに対して10重量%程度添加してもコンクリートの凝結遅延が殆ど生じない点にある。セルロースエーテル類などの従来の増粘剤では0.5〜5重量%程度の添加量でも、凝結遅延がコンクリートの強度に悪影響を及ぼすおそれがあった。
増粘剤のコンクリートへの添加方法は粉体の増粘剤をコンクリートに加えて攪拌しながら溶解してもよいし、増粘剤を水溶液としコンクリートに加えてもよい。また、セメントに予め水中コンクリート用増粘剤を粉体で混合したものをコンクリートの原料に用いてもよい。
勿論、本発明の水中コンクリート用増粘剤とセルロースエーテル類、ポリアクリル系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール等の他の既存の増粘剤を併用して用いることもできる。
【0066】
該組成物に含まれる水の比率は、用いる細骨材や粗骨材の種類や量などにより異なり一概には言えないが、セメントなど水硬性粉体に対する水の重量比(水/セメント比)は0.2〜1の範囲が好ましい。より好ましくは0.3〜0.7、更に好ましくは0.3〜0.5が程度適当である。水/セメント比が1を超えると十分なコンクリートの強度が得られないことがある。また0.2未満ではセメントの水和に要する水分が不足し、やはり強度の高いコンクリートが得られないことがある。
【0067】
細骨材の量は従来の水中コンクリートと同程度であればよいが、典型的には砂等の細骨材はセメントなどの水硬性粉体に対して10〜500重量%程度である。
粗骨材の量は従来の水中コンクリートと同程度であればよいが、典型的にはセメントなどの水硬性粉体に対して10〜500重量%程度である。
【0068】
水中コンクリートの製造方法は特に限定するものではないが、例えば生コンクリートに増粘剤の粉末ないし水溶液を所定量加え混合する。また、セメントに予め増粘剤の粉体を混合したものをコンクリートの原料に用いることもできる。
得られた水中コンクリート用組成物は従来の水中コンクリートと同様の方法で施工することができる。例を挙げれば、自由落下ないし輸送ポンプを用いて水中に供給し、またはバケット、シュート、ホースやレイミー管などを介して水中に供給し、水中で硬化させることができる。
【0069】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明するが、勿論本発明はこの実施例に限られるものではない。
(櫛形疎水性ジオールの合成例)
実施例1
500mlの丸底フラスコにマグネチックスターラー、温度計および滴下ロートを設置し、2−エチルヘキシルアミン(関東化学)64.6gを仕込み、フラスコ内を窒素で置換した。オイルバスでフラスコを60℃に加熱し、攪拌しながら、滴下ロートから2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(ナガセ化成工業、デナコールEX−121、エポキシ価188)188.0gを40分かけて滴下した。滴下終了後、オイルバスの温度を80℃に上げて、フラスコを10時間加熱した。続いて、オイルバスの温度を120℃に上げて、真空ポンプを用いて、3mmHgの真空度で少量の未反応物を減圧留去した。2−エチルヘキシルアミン1モルに対して2−エチルヘキシルグリシジルエーテルが2モルの比率で付加した櫛形疎水性ジオール1(OH価からの平均分子量490)を収率98%で得た。
【0070】
実施例2
n−ブチルアミン(東京化成)1モルに対してn−ブチルグリシジルエーテル(東京化成)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール2を合成した。
実施例3
n−ブチルアミン1モルに対して2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール3を合成した。
実施例4
ドデシルアミン(関東化学)1モルに対して2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール4を合成した。
【0071】
実施例5
n−オクチルアミン(東京化成)1モルに対してドデシルグリシジルエーテル(アルドリッチ社製ドデシル/テトラデシルグリシジルエーテルを蒸留精製したもの)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール5を合成した。
実施例6
n−オクタデシルアミン(関東化学)1モルに対してn−オクチルグリシジルエーテル(P&B)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール6を合成した。
実施例7
n−ブチルアミン1モルに対してオクタデシルグリシジルエーテル(日本油脂、エピオールSK)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール7を合成した。
表1に結果を纏めた。
【0072】
【表1】
【0073】
(水溶性ポリウレタンの合成例)
以下に実施例1の疎水性ジオールを用いた水溶性ポリウレタンの合成例を示すが、勿論本発明は以下の例に限定されるものではない。
実施例8
500mlのSUS製セパラブルフラスコに市販のPEG#6000(純正化学、数平均分子量8、700)を100g仕込み、窒素シール下で150℃にて溶融した。これを攪拌しながら減圧下(3mmHg)で3時間乾燥した。残留する水分は200ppmであった。80℃まで温度を下げ、フラスコ内を攪拌しながら、実施例1で得た櫛形疎水性ジオール1を1.00g、ヘキサメチレンジイソシアナート(東京化成)を2.35g仕込んだ。触媒としてDBTDLを0.01g添加すると、10分程で急激に増粘した。攪拌を止めて、さらに2時間反応させた。
反応終了後に生成物をフラスコから取り出し、小片に裁断後放冷した。これを液体窒素で冷却し、電動ミルで粒径1mm(16メッシュ)以下に粉砕した。
2%水溶液粘度は200,000cP、GPCにより測定された重量平均分子量は55万であった。
【0074】
実施例9〜12
櫛形疎水性ジオール1の仕込み量とHDIの量が異なることを除いては、実施例8と同じである。HDIのモル数がPEGと櫛形疎水性ジオールの各々のモル数の合計の1.03倍になるように(NCO/OH=1.03)、HDIの量を選んだ。結果を表2に纏めた。
【0075】
【表2】
【0076】
実施例13〜23
櫛形疎水性ジオールの種類と仕込み量が異なることを除いては、実施例8と同じである。ただし、実施例18、19はPEGの合成ロットが異なるために分子量が若干異なる。
実施例20、21
PEGとして市販のPEG#4000(数平均分子量3,000)を用いた。
実施例22、23
PEGとして市販のPEG#20000(数平均分子量20,000)を用いた。
表3に結果を纏めた。
【0077】
【表3】
【0078】
表2および表3の中で、「PEGの分子量」はOH価(OHV)から求めたPEGの数平均分子量である。
また「疎水基の全炭素数」は疎水性ジオールの疎水基R1、R2およびR3の炭素数の合計である。
また「疎水性ジオール/PEG」はPEGに対する疎水性ジオールの原料における重量比を百分率で表わしたものである。「繰返単位の係数x」は該化学式7で表した繰り返し単位の係数xである。
また「2%水溶液粘度」は濃度が2重量%の水溶液を20℃において、B型回転粘度計を用い、回転数6rpmで測定した水溶液粘度(単位はセンチポアズ、cP)である。
また「重量平均分子量」は単分散のポリスチレンを標準としてGPCの測定により求めた値である。溶媒はクロロホルムを用いた。
xが0.01〜0.5、重量平均分子量が10万〜100万の範囲で、2%水溶液粘度が1,000〜500,000cPの水溶性ポリウレタンが得られている。
【0079】
(凝結遅延時間の測定)
実施例8で得られた水溶性ポリウレタンの凝結遅延時間を測定し、市販のセルロースエーテルと比較した。
測定はセメントペーストとモルタルで行ったが両者の結果はほぼ同じだったので、セメントペーストの結果のみを以下に示す。測定方法は、普通ポルトラントセメント100gに増粘剤の粉末を所定量加え混合し、更に水40gを加えてよく混合し、セメントペーストを得た。これを円筒形の断熱容器内に充填し、中心部分に熱電対を挿入してセメントペースト内部の温度の時間変化を記録した。
結果を表4に表す。
【0080】
【表4】
【0081】
市販のメトローズが凝結遅延しているのに対して、本発明の増粘剤は実質的に凝結遅延はないと言える。セルロースエーテル類がセメントの凝結遅延を引き起こすことは広く知られているが、その理由としてはポリマー主鎖に多数存在する水酸基の影響であると一般に考えられている。水酸基などの強い極性基がポリマー中に多数存在すると、ポリマーがセメントのカルシウムと強く結合し、水和反応に必要なカルシウムの濃度が不足することなどが原因として挙げられている。
【0082】
一方、本発明の水中コンクリート用増粘剤が凝結遅延を生じない理由はまだ解明されていない点もあるが、理由の一つとしてポリマー主鎖の親水基であるエーテル基は極性が比較的弱く、カルシウムと強くは結合しないので凝結遅延が生じないと考えられる。
(水中コンクリートの打設試験)
セメント、砂、砂利、増粘剤と水からなるコンクリートを用いて試験を行った。
【0083】
普通ポルトランドセメント100重量部、砂180重量部、砂利250重量部に所定量の増粘剤を加え、コンクリートミキサーで混合した。この組成物に水を50重量部加え更に混合し、水中コンクリート用組成物を得た。このコンリートを水中自由落下により、水深1mのプールに沈めた直径10cm、高さ20cmの円筒型枠へ充填した。24時間後にこの試験体を取り出し、型枠を外して水中養生させ、7日強度および28日強度を測定した。また試験体内部の骨材分離の有無を観察した。
【0084】
表5に実施例および比較例に用いた増粘剤の種類と添加量(セメントに対する重量%)、の水/セメント比(W/C)、水中不分離性(水中で骨材を分離させない能力)、養生後の圧縮強度を示した。
骨材分離の有無の判定は、圧縮強度測定前後の試験体を観察し、分離がまったくない場合は良(◎)、分離が若干認められるが顕著でない場合は可(○)、分離が明瞭に認めらる場合は不良(×)とした。
比較例として、市販品のセルロースエーテル系増粘剤として代表的なメチルセルロースである信越化学製90SH−30000を用いた例および増粘剤を添加しない例を示した。
【0085】
【表5】
【0086】
実施例と比較例を比較すると、本発明による水中コンクリート用増粘剤は市販品(水溶性セルロースエーテル類)と比較して、少なくとも同等な水中不分離性を有しかつ強度においては市販品と比較して勝っていることが明らかである。
水中不分離性は、コンクリートの高いチクソ性を反映していると考えられる。理由は必ずしも明らかではないが、本発明のコンクリート(水中コンクリート用組成物)の高いチクソ性は水溶性ポリウレタン水溶液の粘度が高いのみならず、水溶性ポリウレタンの櫛形疎水基とセメント粒子の間の適度な相互作用の効果を反映していると考えられる。
硬化後の強度については、市販品を用いたコンクリートと比較して特に初期の強度が優っている。凝結遅延がないためと考えられる。
【0087】
(実施例1〜7以外の疎水性ジオールの合成例とそれらを用いた水溶性ポリウレタンの合成例)
実施例44
2−エチルヘキシルアミン1モルに対してフェニルグリシジルエーテル(ナガセ化成工業、デナコールEX−141)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール8を合成した。
実施例45
n−ブチルアミン1モルに対してp−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル(ナガセ化成工業、デナコールEX−146)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール9を合成した。
【0088】
実施例46
2−シクロヘキシルエチルアミン(アルドリッチ)1モルに対して2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール10を合成した。
実施例47
2−エチルヘキシルアミン1モルに対してラウリルアルコール(EO)15グリシジルエーテル(ナガセ化成工業、デナコールEX−171)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール11を合成した。(EO)15はラウリルアルコール1モルにエチレンオキサイドを15モル付加させたEO付加物のグリシジルエーテルであることを表している。
実施例48
n−ブチルアミン1モルに対して3−[2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ]−1,2−エポキシプロパン(関東化学)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール11を合成した。
【0089】
実施例49
n−ブチルアミン1モルに対してグリシジル−3−(ペンタデカジエニル)フェニルエーテル(アルドリッチ)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール12を合成した。
実施例50
ジブチルアミノプロピルアミン(広栄化学)1モルに対して2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール13を合成した。
実施例51
2−エチルヘキシルアミン1モルに対して1,2−エポキシドデカン(東京化成)を2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール14を合成した。
実施例52
p−ドデシルアニリン(和光純薬)1モルに対して2−エチルヘキシルグリシジルエーテルを2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール15を合成した。実施例53
2−エチルヘキシルアミン1モルに対してデシルグリシジルチオエーテルを2モルの比率で付加して、櫛形疎水性ジオール16を合成した。
表6に疎水性ジオール合成結果を纏めた。
【0090】
【表6】
【0091】
表7にポリウレタンの合成結果を纏めた。最後の3例はジイソシアナートとしてHDIの替わりにイソホロンジイソシアナート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアナート(NBDI)および水素化キシリレンジイソシアナート(HXDI)を用いた例である。
【0092】
【表7】
表8に水中打設試験の結果を纏めた。
【0093】
【表8】
【0094】
【発明の効果】
本発明によって水中不分離性が高く、水中での強度が改善された安価な水中コンクリート用増粘剤が利用できるようになった。
Claims (6)
- 化学式1(化1)
ただし、AはHO−A−OHが少なくとも両末端に水酸基を有しかつ数平均分子量が400〜100,000の水溶性ポリアルキレンポリオール(化合物A)である2価基であり、BはOCN−B−NCOが全炭素数が3〜18のポリイソシアナート類よりなる群から選ばれたポリイソシアナート化合物(化合物B)である2価基であり、DはHO−D−OHが化学式3(化3)
- 化合物Bが鎖状脂肪族ジイソシアナートないし環状脂肪族ジイソシアナートである請求項1ないし2に記載の水中コンクリート用増粘剤。
- 化合物Bがヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、水素化キシリレンジイソシアナートまたはノルボルネンジイソシアナートである請求項1、2ないし3のいずれかに記載の水中コンクリート用増粘剤。
- 2%水溶液粘度が1,000〜500,000センチポアズである請求項1、2、3ないし4のいずれかに記載の水中コンクリート用増粘剤。
- 請求項1、2、3、4ないし5のいずれかに記載の水中コンクリート用増粘剤がセメントに対して0.1〜10重量%添加されたことを特長とする水中コンクリート用組成物。
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