JP3907211B2 - パネル形ラウドスピーカ - Google Patents

Description

本発明は、パネル形ラウドスピーカの共振マルチモード放射器エレメント(resonant multi-mode radiator element)に関する。詳しくは、スピーカの作動帯域幅内で空気共振の発生を減少させることにより、そのようなスピーカの音質を改善できる、共振マルチモード放射器エレメントを考える。
米国特許第３，２４７，９２５号は、屈曲波(bending wave)を別にすれば本質的に静止している軽量で堅いパネル中に、屈曲波を起こすことにより動作する、低周波パネル形ラウドスピーカを開示する。
音響歪みが、パネル形ラウドスピーカの、パネルのコア中の空気共振が起きるところで起こり得る。特許出願第ＰＣＴ／ＧＢ９１／０１２６２号は、パネルのコア内で第１の空気共振が起きる周波数がラウドスピーカの作動上限周波数より確実に高くすることにより、いかにしてこの形態の音響歪みを減少させられるかを開示する。この周波数ｆ_coreは、以下のように、空気中の音速ｃと、パネルの厚さｄとの関数である。
f_core=c/2.d
この表現は、ラウドスピーカの望ましい作動周波数帯域幅に従ってパネルのコアの厚さを決定し、ラウドスピーカの望ましい作動上限周波数ｆ_maxは、パネルの厚さに反比例する。
個々のコアのセルのすぐ上の外被(skin)中で、局部的な共振が起きるとき、パネル内で、ある周波数で、パネル形ラウドスピーカに、第２のレベルの音響歪みが起こることが示される。この局部的な外被の共振の効果は、パネルスピーカの実効の曲げスティフネス(effective bending stiffness)を減少させ、従ってパネルの放射効率を減少させる。
本発明は、作動上限周波数ｆ_maxを有するパネル形ラウドスピーカのための共振マルチモード放射器エレメントを提供するものであり、該エレメントは外被及びセル状ベースのコアを有し、該外被は、厚さｈ、ヤング率Ｅ、ポアソン比ν、及び材料の密度ρを有し、該コアは、以下より小さいことを特徴とするセルの大きさｌ_cellを有する。

個々の外被の第１の共振周波数ｆ_skinは、外被の屈曲波長を、コアのセルの大きさの２倍に合わせることにより予想できることが示される。このようにして、曲げスティフネスＢ_skin、単位面積あたりの質量ｍ_skin及びセルの大きさｌ_cellとすると、外被の第１の共振周波数ｆ_skinは、以下により定義される。

ヤング率Ｅ、ポアソン比ν及び材料の密度ρを持つ、厚さｈの等方性の外被については、共振周波数ｆ_skinは以下のようになる。

このようにして、ｆ_skinがラウドスピーカの作動上限周波数ｆ_maxより確実に大きくなるようにコアのセルの大きさを選択することにより、共振効果は十分に減少させられる。方程式（１）を配列し直し、パネル形ラウドスピーカの作動上限周波数に関連させると、適切なセルの大きさｌ_cellは該方程式から予想される。

セルの大きさを小さくすることは、外被の第１の空気共振周波数を、スピーカの作動帯域幅の外側に持っていくことにより、改善された音質を提供する。この周波数はセルの大きさの２乗に反比例するので、セルの大きさの小さい変化により、相当な改善を得ることができる。
本発明の更なる態様は、以上に説明したようなマルチモード放射器エレメントを含むパネル形ラウドスピーカを提供する。減衰をもたらさずに自由状態で、放射器エレメントを支持するか又は該エレメントを支持本体に固着する装着手段と、ラウドスピーカの作動周波数帯内の電気的入力に応答して、放射器エレメントにマルチモードの共振を励振する働きをする、パネルに結合した電気機械的な駆動手段とを更に有するラウドスピーカ。
好適には、ラウドスピーカは、該ラウドスピーカのもっとも下限の作動周波数での屈曲波長(bending wavelength)の半分より小さい平面図の寸法(planform dimension)を持たないことも特徴とする。
本発明による放射器及びスピーカの説明をする際に、”ラウドスピーカ”という用語を便利な名称として使用するが、これは、例えば、ハイファイスピーカだけへの限定を示唆するように読むべきではないことが理解されよう。むしろ、より小さい規模から、例えば大規模な拡声装置システムでの使用のための、非常に大きい規模までのスピーカの大きさの範囲に亘って、本発明は適用できる。
０．５ｍ×０．５ｍ四方の、アルミニウム外被で、アルミニウムのハニカムのコアの複合材料を有する、パネルのコアに関する例を通して、本発明の特有のパネルのコアを以下に説明する。コアの深さは０．０２ｍであり、それぞれの外被の厚さは０．００３ｍである。アルミニウムでは、Ｅ＝７×１０¹⁰、ρ＝２７００及びν＝０．３（ｍｋｓ単位）、従って以下は約３０８１．７ｍ／ｓになる。

望ましい上限周波数を２８ｋＨｚと仮定し、上述の方程式（２）を適用すると、ｌ_cellの最大の望ましい大きさは、約０．０１６ｍになる。

Claims (3)

1. 作動上限周波数ｆ_maxを有するパネル形ラウドスピーカのための共振マルチモード放射器エレメントにおいて、前記エレメントは、外被と、平面図における最も大きい寸法としての大きさをそれぞれが持つ複数のセルを有するようなコアが前記外被との間に位置させられたセル状ベースのコアとを有し、前記外被は、厚さｈ、ヤング率Ｅ、ポアソン比ν及び材料の密度ρを有し、及び前記コアは以下の基準を満たすことを特徴とするセルの大きさｌ_cellを有する、共振マルチモード放射器エレメント。
   

   
2. マルチモード放射器エレメントと、減衰をもたらさずに自由状態で、前記エレメントを支持するか又は前記エレメントを支持本体に固着する装着手段と、前記マルチモード放射器エレメントが請求項１に記載されたようなマルチモード放射器エレメントであることを特徴とする前記ラウドスピーカの作動周波数帯内の電気的入力に応答して、前記放射器パネルにマルチモードの共振を励振する働きをする、前記エレメントに結合した電気機械的な駆動手段とを有することを特徴とするパネル形ラウドスピーカ。
3. 請求項２に記載されたようなパネル形ラウドスピーカで、平面図の寸法が、前記ラウドスピーカの作動下限周波数での屈曲波長の半分より小さくないことを特徴とするラウドスピーカ。