JP3905957B2 - アスファルト合材製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路舗装材であるアスファルト合材を製造する装置に関し、特に、新材ドライヤと廃材ドライヤとを併設し、各ドライヤに1基のバーナから発生する熱風を分流させて供給するアスファルト合材製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路工事等によって掘り起こされたアスファルト舗装廃材(以下「廃材」という)を加熱再生して新規骨材に混入してアスファルト合材として再利用するために、新規骨材を加熱する新材ドライヤと廃材を加熱する廃材ドライヤが併設されることが多くなっている。
【0003】
そして、本出願人は新材ドライヤと廃材ドライヤを併設するシステムの組み合わせ構成の一つとして、廃材ドライヤにて発生する悪臭を脱臭処理でき、また熱効率も良い装置として、特開平5−39605号公報に記載の如く、一基のバーナの前方に脱臭炉を兼ねた燃焼室を設け、該燃焼室を通過する熱風を新材ドライヤに導く一方、燃焼室内の熱風の一部を分流させて廃材ドライヤに導くと共に、廃材ドライヤから排出される排ガスを燃焼室に還元させるように構成し、廃材ドライヤの排ガスを燃焼室で再加熱して熱の有効利用を図っているアスファルト合材製造装置を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例のように、一基のバ−ナにて発生させた熱風を新材ドライヤと廃材ドライヤの両方に分流して送り込む場合、例えば、一方の新材ドライヤ側に流れる熱風量が何らかの要因(例えば、骨材供給量の増減、含水率の変動)で変動すると、その影響で他方の廃材ドライヤ側の熱風量も変動する。この変動は廃材の加熱温度に影響を及ぼすが、廃材温度に影響が出てからバーナの燃焼量制御を行っていたのでは、タイムラグによって廃材温度が乱れることが予想される。そこで、この種の装置では、一方のドライヤへ流れる熱風量が変動した時に他方のドライヤにその影響が及ばないように改良することが望まれる。
【0005】
本発明は上記の点に鑑み、一基のバ−ナを使用して新材ドライヤ、廃材ドライヤに熱風を供給し、一方のドライヤへ流れる熱風量が変動しても他方のドライヤにその影響が及ばず、安定した運転が行え、加熱効率も良いアスファルト合材製造装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を達成するために、燃焼室を備えたバーナの前方に所定長さの混合室を配設し、該混合室の下流に新材ドライヤを配設すると共に、新材ドライヤと混合室との連通部には熱量調整用ダンパーを配設し、かつ前記混合室には熱風導出ダクトを連結し、該熱風導出ダクトを廃材を加熱する廃材ドライヤに連結すると共に、廃材ドライヤの排気ダクトを前記燃焼室に排風機を介して連結し、更に前記混合室に室内圧力を検出する圧力センサを備え、該圧力センサにより検出される室内圧力が常に高めの所定圧を維持するようにバーナからの熱風量を調整制御し、一方のドライヤに送り込む熱風量に変動が生じても他方のドライヤへの熱風が過不足なく送り込まれるようにしたことを特徴としている。
【0007】
また、前記熱量調整用ダンパーは新材ドライヤから排出される加熱骨材の温度に基づいて開閉制御されることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のアスファルト合材製造装置によれば、新材ドライヤ、廃材ドライヤの運転時には、混合室の出口の熱量調整用ダンパーによって混合室内の室内圧力を高め、この室内圧力を圧力センサによって常に検出し、室内圧力がほぼ所定圧になるようにバーナの燃焼量を制御する。したがって、新材ドライヤまたは廃材ドライヤに送り込む熱風量に変動を生じても、他方のドライヤ側へは熱風が過不足なく送り込まれ続け、熱風量の変動による影響も少なくて安定した運転が行え、加熱骨材または加熱廃材の温度変動も少なく、加熱効率も良い。
【0009】
また、新材ドライヤから排出される加熱骨材の温度制御を新材ドライヤ上流の熱量調整用ダンパーにて行うようにすれば、このダンパーの開閉によって、新材ドライヤに流れ込む熱風が即座に増減されて応答性の良い骨材温度制御が行われることとなる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0011】
図中の1は新規骨材を加熱乾燥するアスファルトプラントの新材ドライヤであって、内部に多数の掻上げ羽根を周設した円筒状のドラム2を回転自在に傾斜支持し、駆動装置(図示せず)により所定の速度で回転させている。
【0012】
3は新材ドライヤ1のホットホッパ4上流側に設けたバーナであって、燃焼室5内で火炎を形成し、その熱風を混合室6内を通過させてドラム2に送り込む一方、コールドホッパ7側に設けたコンベヤ8を介して新規骨材を投入し、新規骨材を掻上げ羽根で掻き上げながら転動流下させる間に新規骨材を所定温度まで加熱して排出部9より排出する。
【0013】
混合室6とドラム2を連結する連通部10には熱量調整用のダンパー11を配設し、該ダンパー11の流路抵抗によって混合室6内の圧力を高めると共に、その開度調整によってドラム2内を通過する熱風量を調整している。この熱量調整用ダンパー11はドラム2の排出部9から排出される加熱骨材の温度と設定骨材温度の差値量に基づいて開閉制御されて必要な熱量を取り込む。なお、熱量調整用ダンパー11の開閉度は、例えば、取り込みに必要な熱量と混合室6内の熱風温度から取り込む熱風量を演算して開度調整し、その後微調整を行なうようにすると良い。
【0014】
前記混合室6ではバーナ3からの高温熱風と廃材ドライヤ24からの排ガスを混合するために必要な通過時間があれば良いものであるが、更に排ガス中の悪臭成分を燃焼させることも目的とするなら熱風が熱風温度が700℃以上で通過するのに0.6秒以上かかる熱風通路を確保することが好ましい。なお、燃焼室5と混合室6とに分けて図示しているが、混合室6を縦型として熱風の流れを変えて混合を良好にするのと省スペース化のためであって、燃焼室を長くなどして兼用させるなど適宜変更しても良い。
【0015】
混合室6には室内の圧力を検出する圧力センサ12を備えており、該圧力センサ12により検出する圧力信号はバーナの燃焼量を制御するバーナ燃焼制御装置13に入力される。
【0016】
バーナ燃焼制御装置13は、バーナの燃焼量を制御する制御部14と、混合室6内の圧力値を設定入力する入力部15と、入力した各種データを記憶する記憶部16と、圧力センサの信号を受け入れたり制御部からの制御信号を出力する入出力部17とを備えている。そして、圧力センサ12により検出する圧力値と設定圧力値と比較し、その差値量に見合って燃焼量を増減調整し、これによって混合室6の室内圧力が常に設定圧力値付近となるようにプログラミングされている。
【0017】
また、新材ドライヤ1のコールドホッパ7には排ガスを導出させる排気煙道18を連結し、その下流には排ガスを吸引する排風機19と排ガス中のダストを除去するバグフィルター20及び排ガスを大気中に放出する煙突21を配設しており、更に、排気煙道18の途中を分岐してリターン煙道22を連結し、風量調整ダンパー23を介してその端部を燃焼室5の上流側に連結している。なお、風量調整ダンパー23の開閉制御は、混合室6の室内温度に基づいて行っており、室内温度が上昇しすぎると内壁の材料によっては焼損に至ることがあるためにダンパー開度を調整して室内温度を低下調整できるようにしている。
【0018】
24は廃材を加熱再生する廃材ドライヤであって、新材ドライヤ1とほぼ同様の構造をしており、回転自在に傾斜支持した円筒状のドラム25内に掻上げ羽根を周設し、一端部にホットホッパ26を、他端部にコールドホッパ27を配設している。そしてコンベヤ28により廃材をホットホッパ26側から供給し、掻上げ羽根で掻き上げながらドラム25内を転動流下させる間に廃材を所定温度まで加熱し、排出部29より排出する。
【0019】
バーナ3により発生する熱風を廃材ドライヤ24に導くために、燃焼室5の下流側の混合室6と廃材ドライヤ24のホットホッパ26とを熱風導出ダクト30により連結している。また、廃材ドライヤ24のコールドホッパ27には排気ダクト31を連結し、該排気ダクト31の途中にサイクロン集塵機32及び排風機33を配設すると共に、その他端部を風量調整用ダンパー34を介して新材ドライヤ1の燃焼室5の上流側に連結している。なお、風量調整用ダンパー34は排風機33によって廃材ドライヤ24に導入する熱風量を調整するもので、その開閉制御は、廃材ドライヤ24から排出される加熱廃材温度や排ガス温度に基づいて行うようにしている。
【0020】
また、排気ダクト31には必要に応じて排風機33の下流を分岐させて循環ダクト35を連結し、該循環ダクト35の途中に風量調整用ダンパー36を配設すると共に、その他端部を熱風導出ダクト30に連結し、廃材ドライヤ24から排出される温度の低下した排ガスの一部を循環させて熱風導出ダクト30内の高温熱風と合流させている。風量調整用ダンパー36の開閉制御は、廃材ドライヤ23の入り口の熱風温度に基づいて行い、廃材ドライヤ24に導入する熱風を廃材の加熱に適した温度に適宜調整できるようにしている。なお、廃材ドライヤ24に導入する熱風温度の調整は外気を吸引して行っても良い。
【0021】
37は排気煙道18の排風機19下流に配設した風量調整用ダンパーであって、新材ドライヤ1のホットホッパ4内隅部の静圧を検出してこの静圧をほぼ大気圧程度に維持するように開閉制御され、ホットホッパ4の隙間から余分な外気をを吸引しないようにしている。また、38は熱風導出ダクト29に配設した風量調整用ダンパーであって、前記と同様に廃材ドライヤ24のホットホッパ24内隅部の静圧に基づいて開閉制御される。
【0022】
しかして、アスファルト合材製造装置を運転して新規骨材と廃材を加熱する場合には、バーナ3を燃焼させて燃焼室5内に火炎を形成すると共に、下流の排風機19により熱風を吸引して混合室6及びドラム2内を通過する高温ガス流を維持しながらコンベヤ8によって新規骨材をドラム2内に供給する。
【0023】
新材ドライヤ1内に送り込まれる熱風量の調整は、ドラム2から排出される加熱骨材の温度を検出し、これを設定骨材温度と比較してその差値量に基づいて熱量調整用ダンパー11の開度を調整することによって行われる。また、新材ドライヤ1を通過する熱風は、ホットホッパ4内隅部の静圧がほぼ大気圧となるように風量調整用ダンパー37の開度調整が行われて排風機19により吸引排気される。
【0024】
また、廃材ドライヤ24の下流の排風機33を駆動して熱風を混合室6の熱風導出ダクト30を通してドラム25内へと導きながらコンベヤ28にて廃材をドラム25内に供給する。廃材ドライヤ24へ導く熱風量の調整は、ドラム25から排出される廃材の温度に応じて風量調整用ダンパー34の開度を調整することによって行われる。
【0025】
この新材ドライヤ1、廃材ドライヤ24の運転時には、混合室6に配設した圧力センサ12によって混合室6内の室内圧力を常に検出し、予め設定した室内圧力の許容範囲を越えて上下すると、バーナ燃焼制御装置13によってバーナ3の燃焼量を制御して送り込む熱風量を調整して所定圧となるようにしている。この設定室内圧は新材ドライヤ1及び廃材ドライヤ24の熱風量の変動に対し即座に供給できる程度に適宜設定される。
【0026】
そして、新材ドライヤ1、廃材ドライヤ24側に吸引される熱風量に何らかの要因(例えば、骨材供給量の増減、含水率の変動)で変動を生じると、混合室6内の圧力が変動するが、圧力センサ12にてその圧力変動を検出し、バーナ燃焼制御装置13が混合室6内の圧力を所定圧に戻すようにバーナの燃焼量を増減する。
【0027】
また、廃材ドライヤ24の排ガスはサイクロン集塵機32によりダストが除去された後、その一部は熱風導出ダクト35側に導かれて混合室6から吸引する熱風と混合されて廃材加熱に適した温度に調整される。また排ガスの多くは燃焼室5側に流れ、燃焼室5にて約1200℃程度の火炎に晒され、また混合室6内を通過する間にバーナ3の高温熱風と混合されて再加熱される。なお、このとき脱臭効果も上げようとするなら混合室6を700℃以上に維持し、0.6秒程度以上かかって通過させると排ガス中に含まれる悪臭成分が燃焼分解されて脱臭される。なお、混合室6内の温度は新材ドライヤ1と廃材ドライヤ24への材料送り量によって変動するが、新材ドライヤ1のみ運転するときが最高温度となり、両ドライヤを運転するときが最低温度となる。
【0028】
また、新材ドライヤ1より排気煙道18に導出される排ガスはバグフィルター20を通過してダスト分を除去された後に煙突21より大気中に放散されるが、リターン煙道22の風量調整ダンパー23を調整して排ガスの適宜量を燃焼室5に帰還させ、バーナ3により送り込む熱風と合流させてその熱風量を増加させて混合室6を通過する熱風温度が必要以上に高温にならないように調整している。
【0029】
このように、混合室6の室内圧力を常に高めの所定圧に維持するようにバーナの燃焼制御を行い、この混合室6から新材ドライヤ1と廃材ドライヤ24に熱風を分流供給しているので、一方のドライヤへ流れる熱風量が変動しても他方のドライヤへの影響が少なく、安定した運転が行える。また、両ドライヤへの熱風量の増減の応答性も早くて骨材温度制御も正確に行える。
【0030】
また、廃材ドライヤ24側に導く熱風はほぼ一定量が循環しているだけであるので、煙突21から排気される排ガス量は新材ドライヤ1にて必要とされる熱風量だけとなり、排ガス量を少なくできて環境負荷も低減できるとともに、また廃材ドライヤ24で温度降下した熱量分だけ燃焼室5や混合室6にて補充していけば排ガスは最大限有効に活用できて加熱効率の良い装置となる。更に、廃材ドライヤ24の排ガスは燃焼室5にて加熱され、また混合室6内において高温ガスと十分に混合されるので、廃材ドライヤ24の排ガス温度が大きく変動してもその変動が緩和されるとともに、混合室6内のガス温度によって熱量調整用ダンパー11の開度調整をして新材ドライヤ1に流れる熱量を調整できるので、廃材ドライヤ24の排ガス全量を循環使用していても加熱骨材による温度制御もしやすく、加熱骨材の温度変動も少ないものとできる。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明に係るアスファルト合材製造装置によれば、燃焼室を備えたバーナの前方に所定長さの混合室を配設し、該混合室の下流に新材ドライヤを配設すると共に、新材ドライヤと混合室との連通部には熱量調整用ダンパーを配設し、かつ前記混合室には熱風導出ダクトを連結し、該熱風導出ダクトを廃材を加熱する廃材ドライヤに連結すると共に、廃材ドライヤの排気ダクトを前記燃焼室に排風機を介して連結し、更に前記混合室に室内圧力を検出する圧力センサを備え、該圧力センサにより検出される室内圧力が常に高めの所定圧を維持するようにバーナからの熱風量を調整制御し、一方のドライヤに送り込む熱風量に変動が生じても他方のドライヤへの熱風が過不足なく送り込まれるようにしたので、一基のバーナにて新材ドライヤ、廃材ドライヤの両方に必要な熱風を効率良く供給でき、また一方のドライヤへ流れる熱風量を変化させても他方のドライヤにその影響が及ばず、安定した運転が行えて加熱効率も良い。
【0032】
また、前記熱量調整用ダンパーは新材ドライヤから排出される加熱骨材の温度に応じて開閉制御すれば、新材ドライヤに流れ込む熱風が即座に増減されて応答性の良い骨材温度制御が行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアスファルト合材製造装置の一実施例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1…新材ドライヤ 3…バーナ
5…燃焼室 6…混合室
10…連通部 11…熱量調整用ダンパー
12…圧力センサ 13…バーナ燃焼制御装置
18…排気煙道 19…排風機
22…リターン煙道 24…廃材ドライヤ
30…熱風導出ダクト 31…排気ダクト
33…排風機 35…循環ダクト
Claims (2)
- 燃焼室を備えたバーナの前方に所定長さの混合室を配設し、該混合室の下流に新材ドライヤを配設すると共に、新材ドライヤと混合室との連通部には熱量調整用ダンパーを配設し、かつ前記混合室には熱風導出ダクトを連結し、該熱風導出ダクトを廃材を加熱する廃材ドライヤに連結すると共に、廃材ドライヤの排気ダクトを前記燃焼室に排風機を介して連結し、更に前記混合室に室内圧力を検出する圧力センサを備え、該圧力センサにより検出される室内圧力が常に高めの所定圧を維持するようにバーナからの熱風量を調整制御し、一方のドライヤに送り込む熱風量に変動が生じても他方のドライヤへの熱風が過不足なく送り込まれるようにしたことを特徴とするアスファルト合材製造装置。
- 前記熱量調整用ダンパーは新材ドライヤから排出される加熱骨材の温度に基づいて開閉制御されることを特徴とする請求項1記載のアスファルト合材製造装置。
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