JP3905715B2 - 板タンブラ錠 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンダ錠に関し、更に詳しくはキーの鍵山で操作する板タンブラを備え、正規のキーが鍵孔に挿入されると板タンブラが内筒内に没して内筒が回転可能になるよう形成された板タンブラ錠に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種のシリンダ錠としては、キーの鍵山を板厚方向の中央の尾根部で仕切って左右に二列状に形成し、このキーを挿し込む板タンブラのキー挿通孔に、キーの鍵山と係合する係合段差部を形成し、この係合段差部にキーの鍵山が係合すると板タンブラが内筒内に没して内筒が外筒に対し回転自在になるよう形成したものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところでこの種のシリンダ錠は、キーの鍵山を二列に形成し、各板タンブラとの組み合わせの多種多様化を可能にして鍵山が一列のものよりキーの複製や不正開錠行為(以下、「ピッキング」という)を困難にさせるものである。
【0004】
而して従来のこの種のシリンダ錠は、板タンブラのキー挿通孔に、鍵山に対応する凸部と凹部が形成されているだけであったから、従来品の場合は板タンブラの係合段差部にピッキング用具をあてがって板タンブラを操作し易いものであった。従って従来品を使用すると、防犯性能が不十分でピッキングの被害を受け易い、という問題点があった。
【0005】
本発明は、このような従来品の問題点に鑑み、提案されたものである。
【0006】
従って本発明の技術的課題は、キーの複製やピッキングを困難にさせ、防犯性が高くなるよう形成した板タンブラ錠を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために、次のような技術的手段を採る。
【0008】
即ち本発明は、図1等に示されるように、キー1の鍵山1aが板厚方向の中央の尾根部1bで仕切られて左右に二列状に形成され、このキー1が挿し込まれる板タンブラ3のキー挿通孔3aに、キー1の鍵山1aと係合する係合段差部3bが形成され、この係合段差部3bにキー1の鍵山1aが係合すると板タンブラ3が内筒2内に没して内筒2が外筒4に対し回転自在になる板タンブラ錠であって、上記の板タンブラ3が、同一方向にバネ5で弾発されると共に、キー1の尾根部1bに対応するキー挿通孔3aの短辺の真中の位置に、この短辺の両肩位置に段差状に形成されている係合段差部3bより凹まれて切り欠き部3cが形成され、この切り欠き部3cが各板タンブラ3について高低を違えて形成され、上記のバネ5で弾発されるこの板タンブラ3を係止するためのストッパー6が、内筒2の横孔2dから板タンブラ3を収納する内筒2の収納溝2cに突き出され、このストッパー6の先端部が板タンブラ3の側部の係止段部3dに係止するように形成されていることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
ここで、上記の係合段差部3bは、キー挿通孔3aの短辺の両肩位置に段差状に形成されるものである。又ここで、切り欠き部3cが各板タンブラ3について高低を違えて形成され、とは、切り欠き部3cの高さ(深さ)H(図6等参照)を板タンブラ3ごと相違させる、ということを意味し、具体的には図7に示されるように、キー挿通孔3aの短辺の真中に、切り欠き部3cの切り欠き長さを夫々違えて形成することで実現される。
【0010】
又本発明は、切り欠き部3cが各板タンブラ3について高低を違えて形成されるのに代え、図10に示されるように、隣り合う板タンブラ3について違えられているのでも良い(請求項2)。
【0011】
なぜならこの場合も、本発明の課題を達成できるからである。又この場合は、切り欠き部3cが同じ状態の板タンブラ3を組み合わせて使用できるから、その分、製造コスト、加工コストを低廉化できる。なお図10において、31は、切り欠き部3cの高さHが同一の板タンブラである。
【0012】
又本発明の場合、切り欠き部3cは、図示されるように、矩形状に形成されているのが好ましい(請求項3)。
【0013】
本発明の場合、切り欠き部3cの形状は、例えば凹湾曲状や蟻溝状等、任意である。但しこの本発明のように、切り欠き部3cが矩形状に形成される場合は、例えば打ち抜き金型の製造を容易化できるから、これによれば板タンブラ3の加工、製造を、簡単化、低コスト化できる、という利点がある。
【0014】
更に本発明は、外筒4の内周面に形成されている板タンブラ3との係止溝4aが、軸心を中心に周方向に90度ずつあけられて上下左右の位置に形成されているのが好ましい(請求項4)。
【0015】
なぜならこれによれば、90度の回転操作で施開錠でき、使い勝手が良くなるからである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に従って説明する。
【0017】
図1〜図4等において、1はキーであり、1aはこのキー1の鍵山である。この鍵山1aは、板厚方向の中央の尾根部1bで仕切られて左右に二列状に形成されている。又このキー1は、上下端を兼用できるよう、鍵山1aが上下に同じ状態で形成されると共に、両側面に溝1cが高さを違え、且つ長手方向に沿って延長状に形成されている。この溝1cは、内筒2の鍵孔2aの内面に形成された凸段差部2bと係合するものである。従って本発明品は、この凸段差部2bと係合する溝1cを有するキー1だけが鍵孔2aに挿し込み可能になるものである。
【0018】
又3は、板タンブラである。この板タンブラ3は、一定の間隔をあけて軸方向に複数並列状に配置されている。この板タンブラ3は、キー1が挿し込まれるキー挿通孔3aを備えて形成されている。このキー挿通孔3aには、キー1の鍵山1aと係合する係合段差部3bが形成されている。
【0019】
板タンブラ3は、係合段差部3bにキー1の鍵山1aが係合すると、内筒2内に没して外筒4との係止状態が解かれるものである。そしてこれにより内筒2が、外筒4に対して回転可能になるものである。
【0020】
上記の板タンブラ3は、内筒2の収納溝2cに収納され、図8に示されるように、バネ5でこの実施形態では下方に弾発されている。又この板タンブラ3は、キー1の尾根部1bに対応するキー挿通孔3aの位置に、上記の係合段差部3bより凹まれて切り欠き部3cが形成されている。
【0021】
上記の切り欠き部3cは、この実施形態では矩形状に形成され、図6、図7に示されるように、各板タンブラ3について高低を違えて形成されている。図6において、Hは、切り欠き部3cの高さ(深さ)を示す。本発明品は、この切り欠き部3cの高さHが、各板タンブラ3について異なるよう形成されている。
【0022】
上記の外筒4は、図1等に示されるように、内周面に板タンブラ3との係止溝4aが形成されている。この係止溝4aは、この実施形態では軸心を中心に周方向に90度ずつあけられて上下左右の位置に夫々形成されている。
【0023】
又6(図1、図8参照)は、バネ5で弾発される板タンブラ3を係止させるためのストッパーである。このストッパー6は、内筒2の横孔2dから収納溝2cに突き出され、先端部が板タンブラ3の側部の係止段部3dと係止するよう形成されている。
【0024】
次に本発明の作用を、図8、図9、図11等を参照して説明する。
【0025】
先ず使用者が、キー1を内筒2の鍵孔2aに挿し込むと、鍵山1aが板タンブラ3の係合段差部3bに係合し、各板タンブラ3がバネ5の弾発力に抗して、図8の状態から押し上げられ、図1に示されるように、内筒2内に没する。従ってこれにより、内筒2と外筒4のシェアラインが一致し、内筒2がキー1と共に回転可能になる。
【0026】
而して本発明品は、上記の通り、各板タンブラ3の切り欠き部3cが高低を違えて形成されている。従って不正開錠を行なおうとする者が、例えば図11に示されるように、ピッキング用具7を鍵孔2aに挿し込んで操作すると、本発明品の場合は切り欠き部3cの高低に応じて板タンブラ3が押し上げられることになる。換言すると本発明品の場合は、ピッキング用具7によって各板タンブラ3を一律に操作できず、何れかの板タンブラ3の上端又は下端が外筒4の係止溝4aに係止され、その結果不正開錠が防止されるものである。
【0027】
以上の処において、本発明は、全ての板タンブラ3が、切り欠き部3cの高さH(図6等参照)を違えて形成される場合には限られない。即ち本発明は、図10に示されるように、隣り合う板タンブラ3について切り欠き部3cの高さHが違えられて形成されるのでも良い。この実施形態の場合は、切り欠き部3cの高さHが同一に形成された複数の板タンブラ31を組み合わせて形成されているものである。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、鍵山を二列状に形成したキーを使用する板タンブラ錠であって、各板タンブラを同一方向にバネで弾発し、キーの尾根部に対応するキー挿通孔の短辺の真中の位置に、この短辺の両肩位置に段差状に形成している係合段差部より凹ませて切り欠き部を形成し、この切り欠き部を各板タンブラについて高低を違えて形成し、上記のバネで弾発されるこの板タンブラを係止するためのストッパーを、内筒の横孔から板タンブラを収納する内筒の収納溝に突き出し、このストッパーの先端部を板タンブラの側部の係止段部に係止させるように形成したものである。
【0029】
従って本発明の場合は、鍵孔にピッキング用具を挿し込んで板タンブラを操作しようとしても、各板タンブラについて切り欠き部の高低が違えられているため、各板タンブラを一律に操作することができない。
それ故これによれば、不正開錠され難いから、ピッキングの被害を減らすことができ、防犯性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の板タンブラ錠の好適な一実施形態を示す要部縦断面図である。
【図2】図1のIIーII線における要部断面図である。
【図3】キーの側面図である。
【図4】図3のIVーIV線における拡大断面図である。
【図5】同上板タンブラ錠の要部側面図である。
【図6】Aは図5のAーA線における板タンブラの正面図、Bは図5のBーB線における板タンブラの正面図である。
【図7】A〜Iとも板タンブラを示す正面図である。
【図8】同上板タンブラ錠の施錠時の要部縦断面図である。
【図9】図8のIXーIX線における要部断面図である。
【図10】同上板タンブラ錠の他の実施形態を示す要部縦断面図である。
【図11】同上板タンブラ錠の作用を説明するための要部縦断面図である。
【符号の説明】
1 キー
1a 鍵山
1b 尾根部
2 内筒
3 板タンブラ
3a キー挿通孔
3b 係合段差部
3c 切り欠き部
4 外筒
5 バネ
Claims (4)
- キーの鍵山が板厚方向の中央の尾根部で仕切られて左右に二列状に形成され、このキーが挿し込まれる板タンブラのキー挿通孔に、キーの鍵山と係合する係合段差部が形成され、この係合段差部にキーの鍵山が係合すると板タンブラが内筒内に没して内筒が外筒に対し回転自在になる板タンブラ錠であって、上記の板タンブラが、同一方向にバネで弾発されると共に、キーの尾根部に対応するキー挿通孔の短辺の真中の位置に、この短辺の両肩位置に段差状に形成されている係合段差部より凹まれて切り欠き部が形成され、この切り欠き部が各板タンブラについて高低を違えて形成され、上記のバネで弾発されるこの板タンブラを係止するためのストッパーが、内筒の横孔から板タンブラを収納する内筒の収納溝に突き出され、このストッパーの先端部が板タンブラの側部の係止段部に係止するように形成されていることを特徴とする板タンブラ錠。
- 請求項1記載の板タンブラ錠であって、切り欠き部が各板タンブラについて高低を違えて形成されるのに代え、隣り合う板タンブラについて違えられていることを特徴とする板タンブラ錠。
- 請求項1又は2記載の板タンブラ錠であって、切り欠き部が矩形状に形成されていることを特徴とする板タンブラ錠。
- 請求項1乃至3の何れかに記載の板タンブラ錠であって、外筒の内周面に形成されている板タンブラの係止溝が、軸心を中心に周方向に90度ずつあけられて上下左右の位置に形成されていることを特徴とする板タンブラ錠。
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