JP3905420B2 - 放射線測定器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は放射線測定器に関し、特に入射放射線の線種を判別して線量を演算する放射線測定器に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開2001−215277公報には個人線量計が開示されている。この個人線量計は、放射線センサからの検出信号に対して時分割で3段階の波高弁別を行い、それにより得られた3つの計数値から入射放射線のエネルギーを推定している。そして、その推定されたエネルギーに基づいて、電磁波(X線、γ線)線量が補正されている。なお、本明細書では、低エネルギー電磁波をX線と称し、高エネルギー電磁波をγ線と称する。それらの区分は厳密なものではなく、便宜上のものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の個人線量計では、β線が入射すると、それが測定結果に反映されてしまい、電磁波の線量測定の誤差要因となる。
【0004】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、入射放射線の線種に応じて精度よく線種ごとに線量の演算を行えるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、低エネルギー電磁波、高エネルギー電磁波、及び、β線を測定するために設けられ、測定信号に対するn段階の波高弁別を行って、n個の第1計数値を求める第1測定手段と、前記高エネルギー電磁波のみを測定するために設けられ、測定信号に対する波高弁別を行って、第2計数値を求める第2測定手段と、前記n個の第1計数値及び前記第2計数値に基づいて、入射放射線の種類を判定する判定手段と、前記判定手段が判定した入射放射線の種類に応じて、前記n個の第1計数値及び前記第2計数値に基づいて線量を演算する演算手段と、を含むことを特徴とする放射線測定器に関する。
【0006】
上記構成によれば、第1測定手段の他に第2測定手段が設けられ、その第2測定手段により高エネルギー電磁波だけの検出がなされる。つまり、n個の第1計数値及び第2計数値の総合評価によって、入射放射線の線種に応じた線量演算が可能となる。なお、n個の計数値から線量(線量当量であってもよい)を演算する場合には、各計数値に対して重み付け係数を乗算するようにしてもよいし、各計数値を求める計数期間を調整して時間的に重み付けを行うようにしてもよい。
【0007】
上記構成において、前記判定手段は、エネルギー軸上における低エネルギー側領域において、前記n個の第1計数値の相互比率に基づいて、入射放射線が低エネルギー電磁波であるか否かを判定する第1判定手段と、前記エネルギー軸上における前記低エネルギー側領域よりも高い高エネルギー領域において、前記第1判定手段が低エネルギー電磁波でないと判定した場合に、少なくとも前記第2計数値を利用して、入射放射線が高エネルギー電磁波であるか又はβ線であるかを判定する第2判定手段と、を含み、前記高エネルギー側領域は、前記低エネルギー側領域とは異なり、電磁波についてのn個の第1計数値の相互比率とβ線についてのn個の第1計数値の相互比率とが類似する領域であり、当該高エネルギー側領域において入射放射線の種類を判定するために前記第2測定手段及び前記第2判定手段が設けられた、ことを特徴とする。
【0008】
上記構成において、第2判定手段は、少なくとも第2計数値を利用するが、更にn個の第1計数値を考慮するようにしてもよい。また、第1計数値及び第2計数値については、相互調整の必要性から、必要に応じて係数が乗算される。
【0009】
本発明者の実験によれば、上記特開2001−215277公報に開示されていた方式によると、高エネルギー電磁波が入射した場合における3つの計数値の相互比率のパターンと、β線が入射した場合における3つの計数値の相互比率のパターンとが類似し、両者を弁別することは困難である。これに対し、高エネルギー電磁波だけの検出結果が得られれば、その有無あるいは大きさから、高エネルギー電磁波及びβ線の弁別が可能となる。なお、低エネルギー電磁波についての3つの計数値の相互比率のパターンは、高エネルギー電磁波及びβ線についての3つの計数値の相互比率のパターンと異なる傾向にあるので、その弁別は容易である。
【0010】
望ましくは、前記演算手段は、前記n個の第1計数値から第1線量を演算する手段と、前記第2計数値から第2線量を演算する手段と、入射放射線が低エネルギー電磁波であると判定された場合には、前記第1線量に基づいて電磁波線量を演算する手段と、入射放射線が高エネルギー電磁波であると判定された場合には、前記第1線量又は前記第2線量を電磁波線量とする手段と、入射放射線がβ線であると判定された場合には、前記第1線量及び前記第2線量を用いた差分演算により、β線線量を演算する手段と、を含むことを特徴とする。
【0011】
望ましくは、前記第2測定手段は、放射線センサと、前記放射線センサの前面に設けられ、β線を遮断するためのフィルタと、を含む。ここで、低エネルギー電磁波をフィルタによってカットしてもよいが、高エネルギー電磁波を検出する関係から、完全にカットすることは難しいので、検出信号の波高弁別によって、信号中における低エネルギー電磁波の成分を除外するようにしてもよい。
【0012】
望ましくは、前記判定手段は、入射放射線が低エネルギー電磁波であると判定された場合に、前記n個の第1計数値の相互比率に基づいて、当該低エネルギー電磁波のエネルギーを判定し、前記演算手段は、入射放射線が低エネルギー電磁波であると判定された場合に、前記判定されたエネルギーに基づいて、エネルギー補正された線量を演算する。
【0013】
望ましくは、当該放射線測定器は個人線量計であり、前記線量として線量当量が演算される。
【0014】
望ましくは、当該放射線測定器は、第1測定手段及び前記第2測定手段を収容する筐体をさらに含み、前記筐体は、低エネルギー電磁波、高エネルギー電磁波、及び、β線を前記第1測定手段の検出器に入射する入射窓を有し、前記第2測定手段の検出器は、前記第1測定手段に対して前記入射窓とは反対側に設けられ、前記低エネルギー電磁波及び高エネルギー電磁波が前記第2測定手段に入射する。
【0015】
これによれば、第1測定手段の検出器と第2測定手段の検出器とを積み重ねることにより、余分な空間を必要とせず、コンパクトにまとめ、放射線測定器の小型化を図ることができる。
【0016】
望ましくは、前記筐体は棒状であり、前記入射窓、前記第1測定手段の検出器、及び、前記第2測定手段の検出器が前記筐体のいずれか一方の端部付近に設けられている。また、望ましくは、筐体には、固定用のクリップが設けられている。
【0017】
これによれば、放射線測定器を衣服の胸ポケット等に入れて持ち歩くことができ、放射線測定器の携帯性を向上させることができる。
【0018】
望ましくは、当該放射線測定器は、前記入射窓側に前記第1測定手段の検出器を保持する基板と、前記基板の前記入射窓とは反対側にβ線を遮断するためのフィルタと、をさらに含み、前記第2測定手段の検出器は、前記フィルタに接して設けられている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1には、本発明に係る放射線測定器の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示すブロック図である。この放射線測定器は、本実施形態において原子力発電所などの施設で作業に従事する作業者に携帯される個人線量計である。
【0021】
図1において、本実施形態に係る個人線量計は、第1測定ユニット6、第2測定ユニット8、計測処理部30、表示器42及び入力器44などを備えている。この個人線量計は、電磁波(低エネルギー電磁波としてのX線及び高エネルギー電磁波としてのγ線)及びβ線を測定するものである。
【0022】
まず、第1測定ユニット6について説明すると、第1センサ10は、電磁波及びβ線を検出する。この第1センサ10は、後述する第2センサ12と同様に例えば半導体型のセンサである。第1センサ10からの出力信号はアンプ16において増幅され、その増幅された信号が波高弁別器18の一方の入力端子に入力される。波高弁別器18の他方の入力端子には、電圧発生器20から出力された電圧が入力される。電圧発生器20は、その出力電圧をV1,V2,V3,と段階的に切換え、そのような電圧の切換えを循環的に行う。
【0023】
波高弁別器18においては、アンプ16から出力された信号(パルス)が電圧V1,V2,V3のいずれかの電圧と比較されることになり、電圧発生器20で発生した電圧よりも波高値が高いパルスが入力された場合には、波高弁別器18からパルスが出力される。電圧V1,V2,V3はそれぞれ異なる電圧であって、各電圧を形成する期間は互いに一致していてもよいし、異なっていてもよい。前者の場合には、後の演算上で重み付けが行われ、後者の場合には、各電圧の発生期間を調整することにより重み付けが達成される。
【0024】
次に、第2測定ユニット8について説明する。第2センサ12は、上述したように、半導体型のセンサなどによって構成され、その前面すなわち放射線有感面上にはフィルタ14が設けられている。このフィルタ14はβ線を遮蔽するためのものであり、電磁波の内でγ線についてはそれが第2センサ12に到達し、電磁波の内X線についてはフィルタ14によってある程度の減弱を受けつつもそれが第2センサ12に到達する。もちろん、フィルタ14の作用は、その材料や厚みなどを適宜調整することによって可変できる。
【0025】
第2センサ12から出力された信号がアンプ22において増幅された後に、その信号が波高弁別器24の一方の入力端子に入力される。波高弁別器24の他方の入力端子には電圧発生器26によって発生された電圧V4が入力されている。
【0026】
波高弁別器24においては、電圧V4を超える信号(パルス)が入力された場合に、パルスを出力する。ここで、その電圧V4は、X線に相当する信号を排除するように設定され、波高弁別器24から出力されるパルスは、γ線の入射に起因したものとなる。一方、上述した波高弁別器18から出力されるパルスは、弁別電圧にもよるが、X線、γ線及びβ線の全部に起因したものとなる。
【0027】
次に、計測処理部30について説明する。波高弁別器18から出力されるパルスはカウンタ32に入力される。このカウンタ32では、各電圧V1,V2,V3の発生期間ごとに、入力されるパルスを計数する。ここで、電圧V1,V2,V3に対応する、各電圧期間ごとの個別的な計数値をC1,C2,C3で表すものとする。
【0028】
積算器34は、所定の期間内において、計数値C1を積算し、これと同様に計数C2及び計数C3についても積算を行う。これにより各電圧に対応した積算値ΣC1,ΣC2,ΣC3が求められ、それらが演算部40へ出力される。
【0029】
一方、カウンタ36は、波高弁別器24から出力されるパルスを計数する。その計数期間を、上記の各電圧V1,V2,V3の期間に合わせて間欠的に設定してもよいし、上記の所定の期間に合わせてもよい。前者の場合には、図1に示されるように例えば積算器38などを設け、各期間ごとの計数値C4の積算値ΣC4を求めるようにしてもよい。あるいは、連続的に所定期間内にわたって計数を行う場合には、カウンタ36において積算値ΣC4が求められることになる。各計数値の演算手法については、各種の方式を採用し得る。いずれにしても、演算部40には、積算値ΣC1,ΣC2,ΣC3,ΣC4が入力されることになる。演算部40は、それらの積算値に基づいて、入射放射線の線種を判定すると共に、電磁波の線量当量及びβ線の線量当量などの演算を行っている。その具体的な演算手法については後に図2を用いて説明する。演算部40の演算結果は、表示器42に出力される。
【0030】
一方、入力器44はキーボードなどによって構成され、その入力器44を介してユーザはデータや命令などを個人線量計に入力することができる。この個人線量計にはバッテリ46が設けられており、このバッテリ46から、各構成は電力を受ける。計測処理部30は、例えばマイコンなどによって構成してもよいし、さらに複数の電子回路の集合体として構成してもよい。
【0031】
図1に示した演算部40の作用の説明に先だって、図3及び図4を用いて線種の判定及びエネルギー判定について説明する。
【0032】
図3において、横軸は電磁波のエネルギーを示しており、縦軸は各積算値の相対的な比率を表している。具体的には、トータルの計数値をA×ΣC1+B×ΣC2+C×ΣC3とした場合(ここで、A,B,Cはそれぞれ相互の積算値を調整するための係数を表す)、符号100は、トータルの積算値に対するC×ΣC3の比率を表しており、符号102はトータルの積算値に対するB×ΣC2の比率を表しており、符号104はトータルの積算値に対するA×ΣC1の比率を表している。
【0033】
図3に示されるように、電磁波のエネルギー(区分)に応じて、各部分の比率が異なっており、すなわちその縦軸に示される各部分の比率から、入射電磁波のエネルギーを推定することが可能である。ここで、そのエネルギー推定の原理については、上述した特開2001−215277公報にも開示されている。
【0034】
一方、図4には、β線のエネルギー(最大残留エネルギー)が示されており、縦軸は図3に示した縦軸と同様の計数値の相互比率を表している。図3及び図4の対比から明らかなように、β線の各積算値の比率パターン(分布パターン)は図3に示した高エネルギー電磁波であるγ線についての比率パターンに類似している。つまり、図3において、便宜上、200keVを境として低エネルギー側領域と高エネルギー側領域とを区分すると、この高エネルギー側領域の分布パターンに対してβ線についての分布パターンが似たものとなる。したがって、電磁波の測定を行っている場合において、β線が入射すると、それが高エネルギー電磁波すなわちγ線との判別が困難なため、線種ごとに線量等を測定することができない。
【0035】
そこで、本実施形態においては、図1に示した第2測定ユニット8が設けられており、この検出結果を考慮することによって入射放射線の線種を判定し、それに基づいて測定精度を向上させている。これについて図2を用いて詳述する。
【0036】
図2には、図1に示した演算部40の具体的な動作例が示されている。もちろんこれは一例であって、他の手法を採用することもできる。
【0037】
S101では、第1測定ユニット6の測定結果に基づいて第1線量当量(第1の仮の線量当量)D1が演算され、また、第2測定ユニット8の測定結果に基づいて第2線量当量(第2の仮の線量当量)D2が演算される。具体的には、以下の演算が実行される。
【0038】
DE1=(A×ΣC1+B×ΣC2+C×ΣC3)/D1 ・・・(1)
DE2=(ΣC4/D2) ・・・(2)
上記2つの計算式において、A,B,Cは重み付け係数である。ただし、上述したように、波高弁別器18において各電圧期間を調整することにより、時間的に重み付けが行われる場合には、それらの重み付け係数の乗算は不要となる。D1,D2は線量当量への換算定数を示している。
【0039】
一方、S102においては、積算値A×ΣC1,B×ΣC2,C×ΣC3の相互比率から、入射放射線がX線か、あるいは、β線、γ線かが判定される。すなわち、図3及び図4に示したように、β線が混同されるのは、図3に示したような高エネルギー側領域であり、低エネルギー側領域においては上記の意味での混同は生じないため、このS102では入射放射線がX線であるか否かが判定されている。
【0040】
入射放射線がX線であれば、処理がS103からS104へ移行し、図3に示したような比率に従って、具体的にはA×ΣC1,B×ΣC2,C×ΣC3の相互比率からエネルギー(区分)が推定される。そして、S105では、そのエネルギー(区分)から、補正係数Gが求められる。そして、S106においては、電磁波についての1cm線量当量H(10)が以下のように演算される。
【0041】
H(10)=G×DE1 ・・・(3)
よって、以上の演算により、上記の特開2001−215277公報に開示された演算手法と同様の手法を利用してX線についての線量当量を求めることができる。
【0042】
一方、S102において、入射放射線がβ線またはγ線であると、判定された場合には、処理がS103からS107へ移行し、ここで、β線かγ線かを弁別するために以下の計算が実行される。
【0043】
S=DE1−(E×DE2) ・・・(4)
すなわち、第2測定ユニット8においてはγ線に対応する計数値のみが求められ、その一方において、第1測定ユニット6においては全線種についての計数値が求められているため、両者の比較により、入射放射線の弁別を行うものである。ちなみに、上記のEは1に近くかつ1より大きい定数である。
【0044】
ここで、上記のSが負となる場合は、β線の混在がなくγ線のみの場合である。したがって、この場合には処理がS108からS109に移行し、電磁波(すなわちγ線)についての線量当量H(10)としてDE1の値が用いられる。すなわち、以下の計算が実行される。
【0045】
H(10)=DE1 ・・・(5)
なお、高エネルギー側領域においては上記の補正係数Gは本実施形態において1とされているため、エネルギー補正はなされていないが、必要に応じて補正係数の乗算などを行ってもよい。
【0046】
一方、上記のSが正である場合には、β線とγ線が混在している場合である。したがって、この場合には処理がS108からS110へ移行する。ここでは、β線についての線量当量H(β)が以下のように演算される。
【0047】
H(β)=(DE1−DE2)×F ・・・(6)
上記計算式においてFは換算係数である。また、このS110においては電磁波についての線量当量も同時に求められ、その場合においては、以下の計算式が実行される。
【0048】
H(10)=DE2 ・・・(7)
よって、以上のS110の処理によれば、電磁波が存在している場において、例えば突発的にβ線などが発生しても、電磁波についての線量当量を精度良く求めることができ、しかもその混入したβ線についての線量当量を独立して評価することが可能となる。
【0049】
S111においては、1cm線量当量を基礎として70μm線量当量が以下の計算式に従って計算される。
【0050】
H(0.07)=H(10)×I ・・・(8)
上記計算式においてIは換算定数である。もちろん、3mm線量当量H(3)を演算するようにしてもよい。S112においては、以上のように求められた各演算結果が表示器に表示される。なお、図2のS101においては、DE2の演算を行ったが、その演算については、S110において行うようにしてもよい。以上のように、上記実施形態においては、γ線のみを測定する第2測定ユニット8を設け、その検出結果を第1測定ユニット6の検出結果と突き合わせることにより、入射放射線の線種を判定し、またその線種判定結果に基づいて最適な線量当量演算を実現することが可能となる。
【0051】
図1に示した実施形態において説明したことを基に、ここでは主に具体的な構成について説明する。図5は、センサ部分の具体的配置を示す断面図である。
【0052】
図5に示すように放射線測定器は、収容ケース200を有する。この収容ケース200は、第1測定ユニット6、第2測定ユニット8、計測処理部30、表示器42及び入力器44などを収納する。収容ケース200は、たとえば樹脂により加工形成され、所定の位置に所定の大きさの入射窓202が設けられている。β線は収容ケース200を透過することができないので、この入射窓202がβ線の入射口として機能する。X線とγ線は収容ケース200を透過することができるので、それらは、この入射窓202から、もちろん入射するが、この入射窓202に限らず入射する。第1センサ10は、スペーサ210を介して、基板210(たとえば、ガラスエポキシ製)に設けられている。第2センサ12は、フィルタ14を介して基板220に設けられている。第1センサ10と第2センサ12は、互いに基板220の反対側に設けられている。さらに、第1センサ10の対応位置に入射膜204を有するシールド206が収容ケース200の内側に設けられ、第1センサ10、第2センサ12等を被っている。入射膜204、シールド206とも、遮光と電磁シールドの機能を有している。
【0053】
入射窓202は、第1センサ10の対応位置に設けられている。第1センサ10がスペーサ210より入射窓202に近づくように設けられているので、第1センサ10はβ線を効率よく検出できる。本実施形態では、入射角は120°である。第1センサ10に入射したβ線はフィルタ14によって遮断され、第2センサ12には到達することができない。
【0054】
以上のとおり、第1センサ10と第2センサ12とを積み重ねる配置により、余分な空間を必要とせず、コンパクトにまとめることができる。第1センサ10では、β線、X線、γ線の検出が可能であり、第2センサ12では、X線とγ線の検出が可能である。
【0055】
図6は、図5に示した具体的配置を応用した具体的な構成を示す断面図である。
【0056】
本構成においては、収容ケース200は、棒状(あるいは、ペン状)の形態を有する。入射窓202、第1センサ10、スペーサ210、基板220、フィルタ14、第2センサ12、入射膜204、及びシールド206は、収容ケース200のいずれか一方の端部付近に設けられている。また、収容ケース200には、入射窓202側の所定位置にクリップ230が設けられている。
【0057】
以上の構成により、放射線測定器を携帯性に優れた形態とすることができる。すなわち、入射窓202部分を外に露出させた状態で収容ケース200を衣服の胸ポケットに収め、クリップ230を用いて胸ポケットに収容ケース200を固定して持ち歩いて使用することができる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、入射放射線の線種に応じて精度良く線種ごとに線量の演算を行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る放射線測定器の好適な実施形態を示すブロック図である。
【図2】 図1に示す演算部の作用を説明するためのフローチャートである。
【図3】 電磁波のエネルギーと積算値の比率分布の関係を示す図である。
【図4】 β線のエネルギーと積算値の比率分布との関係を示す図である。
【図5】 図1に示した実施形態に係るセンサ部分の具体的配置を示す断面図である。
【図6】 図5に示したセンサ部分の具体的配置を内蔵した具体的な構成を示す断面図である。
【符号の説明】
6 第1測定ユニット、8 第2測定ユニット、10 第1センサ、12 第2センサ、14 フィルタ、18 波高弁別器、20 電圧発生器、24 波高弁別器、26 電圧発生器、30 計測処理部、40 演算部、42 表示器、44 入力器。
Claims (9)
- 低エネルギー電磁波、高エネルギー電磁波、及び、β線を測定するために設けられ、測定信号に対するn段階の波高弁別を行って、n個の第1計数値を求める第1測定手段と、
前記高エネルギー電磁波のみを測定するために設けられ、測定信号に対する波高弁別を行って、第2計数値を求める第2測定手段と、
前記n個の第1計数値及び前記第2計数値に基づいて、入射放射線の種類を判定する判定手段と、
前記判定手段が判定した入射放射線の種類に応じて、前記n個の第1計数値及び前記第2計数値に基づいて線量を演算する演算手段と、
を含み、
前記判定手段は、
エネルギー軸上における低エネルギー側領域において、前記n個の第1計数値の相互比率に基づいて、入射放射線が低エネルギー電磁波であるか否かを判定する第1判定手段と、
前記エネルギー軸上における前記低エネルギー側領域よりも高い高エネルギー領域において、前記第1判定手段が低エネルギー電磁波でないと判定した場合に、少なくとも前記第2計数値を利用して、入射放射線が高エネルギー電磁波であるか又はβ線であるかを判定する第2判定手段と、
を含み、
前記高エネルギー側領域は、前記低エネルギー側領域とは異なり、電磁波についてのn個の第1計数値の相互比率とβ線についてのn個の第1計数値の相互比率とが類似する領域であり、当該高エネルギー側領域において入射放射線の種類を判定するために前記第2測定手段及び前記第2判定手段が設けられた、ことを特徴とする放射線測定器。 - 請求項1記載の放射線測定器において、
前記演算手段は、
前記n個の第1計数値から第1線量を演算する手段と、
前記第2計数値から第2線量を演算する手段と、
入射放射線が低エネルギー電磁波であると判定された場合には、前記第1線量に基づいて電磁波線量を演算する手段と、
入射放射線が高エネルギー電磁波であると判定された場合には、前記第1線量又は前記第2線量を電磁波線量とする手段と、
入射放射線がβ線であると判定された場合には、前記第1線量及び前記第2線量を用いた差分演算により、β線線量を演算する手段と、
を含むことを特徴とする放射線測定器。 - 請求項1記載の放射線測定器において、
前記第2測定手段は、
放射線センサと、
前記放射線センサの前面に設けられ、β線を遮断するためのフィルタと、
を含むことを特徴とする放射線測定器。 - 請求項1記載の放射線測定器において、
前記判定手段は、入射放射線が低エネルギー電磁波であると判定された場合に、前記n個の第1計数値の相互比率に基づいて、当該低エネルギー電磁波のエネルギーを判定し、
前記演算手段は、入射放射線が低エネルギー電磁波であると判定された場合に、前記判定されたエネルギーに基づいて、エネルギー補正された線量を演算することを特徴とする放射線測定器。 - 請求項1記載の放射線測定器において、
当該放射線測定器は個人線量計であり、前記線量として線量当量が演算されることを特徴とする放射線測定器。 - 低エネルギー電磁波、高エネルギー電磁波、及び、β線を測定するた めに設けられ、測定信号に対するn段階の波高弁別を行って、n個の第1計数値を求める第1測定手段と、
前記高エネルギー電磁波のみを測定するために設けられ、測定信号に対する波高弁別を行って、第2計数値を求める第2測定手段と、
前記n個の第1計数値及び前記第2計数値に基づいて、入射放射線の種類を判定する判定手段と、
前記判定手段が判定した入射放射線の種類に応じて、前記n個の第1計数値及び前記第2計数値に基づいて線量を演算する演算手段と、
を含み、
前記第1測定手段及び前記第2測定手段を収容する筐体をさらに含み、
前記筐体は、低エネルギー電磁波、高エネルギー電磁波、及び、β線が前記第1測定手段の検出器に入射する入射窓を有し、
前記第2測定手段の検出器は、前記第1測定手段に対して前記入射窓とは反対側に設けられ、前記低エネルギー電磁波及び高エネルギー電磁波が前記第2測定手段に入射することを特徴とする放射線測定器。 - 請求項6に記載の放射線測定器において、
前記筐体は棒状であり、前記入射窓、前記第1測定手段の検出器、及び、前記第2測定手段の検出器が前記筐体のいずれか一方の端部付近に設けられていることを特徴とする放射線測定器。 - 請求項7に記載の放射線測定器において、
前記筐体には、固定用のクリップが設けられていることを特徴とする放射線測定器。 - 請求項6乃至8のいずれか1項に記載の放射線測定器において、
前記入射窓側に前記第1測定手段の検出器を保持する基板と、
前記基板の前記入射窓とは反対側にβ線を遮断するためのフィルタと、
をさらに含み、
前記第2測定手段の検出器は、前記フィルタに接して設けられていることを特徴とする放射線測定器。
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