JP3905361B2 - 検出装置、及びそれにおける検出データ送信方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリアル通信ネットワークにより接続された検出器が検出情報を送信するときのデータ通信方法に係り、特にモータ可動軸の位置や速度を検出する位置検出器のデータ通信の耐ノイズ性の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、モータの回転軸の回転位置や速度を検出する位置検出器とモータの回転軸の位置制御や速度制御を行うサーボコントローラとの接続には、大幅な省配線化のためにシリアル通信ネットワークが使用されている。
【0003】
以下図を参照しながら従来の検出器のデータ通信方法の通信動作について説明する。図5はモータ12を制御するサーボコントローラ13と位置検出器10をシリアル通信ネットワークによりと接続した一般的な接続例を示している。図6は、図5の位置検出器10の内部の一例を表す構成ブロック図である。また、図7は図6の位置検出器10の動作を示すタイミングチャート図である。
【0004】
位置検出器10内の位置センサ2の入力軸1は、モータ12のロータ軸11に直結され、ロータ軸11の回転によって位置センサ2から、回転位置の正弦値と余弦値にそれぞれ比例した電圧信号AとBを出力する。また、サーボコントローラ13は、モータ制御周期と同じ一定の時間間隔をおいて、位置データ要求命令である特定のシリアル信号RQを信号線RXを通じて送信している。受信回路6は、信号線RXからシリアル信号を受信するとマイクロコンピュータ5へ受信割込信号RINTを出力する。マイクロコンピュータ5は受信割込信号RINTを受信すると受信処理(図7の処理r)を開始し、受信回路6がシリアル信号をパラレルデータにデコードした受信データを読みとる。マイクロコンピュータ5は読みとった受信データが、位置データ要求命令であると誤りなく識別すると、2チャンネル入力のA/D変換器3に変換スタートを指令する信号STを出力する。A/D変換器3は、変換スタート指令が入力されると回転位置の正弦値と余弦値にそれぞれ比例した電圧信号A,Bを、デジタルデータDAとDBに変換してマイクロコンピュータ5へ出力する。また、電圧信号A,Bはカウンタ4にも出力され、カウンタ4は電圧信号A,Bの信号の極性変化から信号変化周期の1/4周期でアップカウント又はダウンカウントするデジタルデータCTをマイクロコンピュータ5へ出力する。次にマイクロコンピュータ5では、デジタルデータDA,DBとCTを読みとり、それらのデータから位置検出処理(図7の処理d)を行い、位置センサ2の入力軸1の回転位置を示す位置データθnを求める。さらに、マイクロコンピュータ5は、位置データθnに自局アドレスやステータス情報などを付加したデータを、送信回路7へ書き込む(図7の処理s)。送信回路7では、マイクロコンピュータ5によって書き込まれたデータに誤り検出用のデータを付加し、当該データをシリアルデータにエンコードして、信号線TXを通じてサーボコントローラ13へ送信する。サーボコントローラ13では、信号線TXから受信した位置センサ2の入力軸1の位置データθnをもとに、モータ動力線UVWの電流を制御することにより、モータ12のロータ軸11の速度制御又は位置制御を行う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成及びデータの通信方法では、信号線RXにノイズが混入した場合、受信回路6で位置データ要求命令であるシリアル信号RQを正常に受信できず、マイクロコンピュータ5が位置データ要求命令を受信したことを認識できなくなり、位置データが送信されないこととなる(例えば図7のI,IIで示すタイミング)。このときサーボコントローラ13は、位置データを受け取ることができないため、モータ13に対し的確な速度制御を行うことが難しくなる。
【0006】
また、サーボコントローラによるモータ動力線の電流制御では、強力なスイッチングノイズが発生する。位置検出器はモータと結合しているため、サーボコントローラと位置検出器をつなぐシリアル通信ネットワークはスイッチングノイズの影響を受け易い。特に、小型化要求が高く回路規模に制約を受ける位置検出器の受信回路はノイズ対策が十分にとれないため、スイッチングノイズの影響を強く受けることとなり、信号線RXにノイズが混入した場合の制御は重要な課題となっている。
【0007】
本発明は、上述のような事情から成されたものであり、検出器のデータ通信の耐ノイズ性を向上させた通信方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、バス形式のシリアル通信ネットワークにより接続され、前記ネットワークを介して、一定の時間間隔で外部から受信した要求信号に応じて、検出データを送信する検出装置、及びそれにおける検出データ送信方法であって、要求信号に従って、前記一定の時間間隔に同期した送信指示信号を一定間隔で常時発生させ、この送信指示信号に従って前記検出情報を送信するものである。
【0009】
また、上記従来例の問題点を解決するための本発明は、所定の検出対象についての検出結果から検出データを生成し、外部から所定の時間間隔で間欠的に受信される要求信号に応答して、前記検出データを外部に送信する検出装置であって、バス形式のシリアル通信ネットワークを介し、外部から要求信号を受信する手段と、前記要求信号を受信すべきタイミングに同期し、前記要求信号が受信されるか否かに関わらず当該同期したタイミングで送信指示信号を生成する手段と、を含み、前記送信指示信号に従って前記検出データを前記バス形式のシリアル通信ネットワークを介して送信することを特徴としている。
【0010】
また、本発明のある態様によると、所定の検出対象についての検出結果から検出データを生成し、外部からバス形式のシリアル通信ネットワークを介して所定の時間間隔で間欠的に要求信号を受信し、当該要求信号に応答して、前記検出データを外部に送信する検出データの送信方法であって、前記要求信号を受信すべきタイミングに同期して、前記要求信号が受信されるか否かに関わらず当該同期したタイミングで送信指示信号を生成し、当該送信指示信号に従って前記検出データを前記バス形式のシリアル通信ネットワークを介して送信することとしている。
【0011】
これにより、一定の時間間隔で外部から受信すべき要求信号がノイズ等により、正常に受信できない場合でも、検出データを送信するための指令つまり送信指示信号は自走的に常時発生している。したがって、送信指示信号と要求信号との位相関係の差がある範囲内にある限り、検出情報が正常に送信され、検出器での検出結果の送信における耐ノイズ性を向上させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、図5に示した従来の位置検出器10に対応するもので、本実施の形態の検出データの送信方法を使用する検出装置としての位置検出器のブロック図である。また、図2は図1の位置検出器の動作を示すタイミングチャートである。
【0013】
マイクロコンピュータ8は、サーボコントローラ13から送信された位置データの送信間隔と位置検出のタイミング時間を示す情報とを受信回路9によって受信し、バスSETを介して受信した位置データ送信間隔となる時間Tと検出タイミングとなる時間DTとを同期信号発生器9に予め設定している。この同期信号発生器9が本発明の送信指示信号を生成する手段に相当し、ここでの同期信号が本発明の送信指示信号に相当する。
【0014】
サーボコントローラ13は、モータ制御周期と同じ一定の時間間隔をおいて、信号線RXへ位置データ要求命令(要求信号)であるシリアル信号RQの送信を繰り返す。受信回路6は、信号線RXから位置データ要求命令を受信するとマイクロコンピュータ8へ受信割込信号RINTを出力する。マイクロコンピュータ8は受信割込信号RINTを受信すると受信処理(図2の処理r)を開始し、受信回路6がシリアル信号をパラレルデータにデコードした受信データを読みとる。マイクロコンピュータ8は読みとった受信データが、位置データ要求命令であると誤り無く識別すると、信号TRGを同期信号発生器9へ出力するとともに、連続受信不能回数を示す変数ECを「ー1」に設定する。ここで「ー1」は、受信不能でなかったことを、すなわち「ー1」への設定は、連続受信不能回数をリセットする動作に相当する。
【0015】
同期信号発生器9では、入力された信号TRGに対して予め設定された時間DTだけずれた位相関係になるよう調整した同期信号SYNCを、同じく予め設定された時間Tの間隔をおいて常時出力する。ここで常時出力とは、要求信号が受信されず、信号TRGの入力がなくても当該同期信号SYNCを出力することを意味する。
【0016】
同期信号SYNCは、A/D変換器3の変換スタート指令とマイクロコンピュータ8の位置検出処理開始の割込指令として、A/D変換器3とマイクロコンピュータ8に入力される。マイクロコンピュータ8では、位置検出処理開始の割込指令を受けると、デジタルデータDA,DBとCTを読みとり、それらのデータから位置検出処理(図2の処理d)を行い、位置センサ2の入力軸1の回転位置を示す位置データθnを求める。さらに、マイクロコンピュータ8は、連続受信不能回数を示す変数ECをインクリメントし、その値が2以下であれば、位置データθnに自局アドレスやステータス情報などを付加したデータを、送信回路7へ書き込む(図2の処理s)。送信回路7は、マイクロコンピュータ8によって書き込まれたデータに誤り検出用のデータを付加したデータをシリアルデータにエンコードして、信号線TXを通じてサーボコントローラ13へ送信する。
【0017】
以上のような動作によって、図2のIII,IVのタイミングに示すように、信号線RXにノイズが混入し、受信回路6が位置データ要求命令であるシリアル信号RQを正常に受信できない場合でも、位置検出と位置データの送信を行うための同期信号SYNCが常時出力されるため、正常な位置データの送信を行っている。また、Vのタイミングのように、位置データ要求命令を連続して失敗し、連続受信不能回数を示す変数ECが「3」以上となった場合は、位置データの送信を停止させている。これにより、ノイズによって連続して位置データ要求命令を受信できない状態が長く続く場合に、位置データ要求命令の送信タイミングと同期信号SYNCの発生タイミングの位相差が大きくなって通信ができなくなるのを防止している。なお、位置データ要求命令が3回以上連続してノイズ受ける確率は非常に低いため、このようにすることによる耐ノイズ性の低下はほとんど無視できる。
【0018】
ここまでの説明では、シリアルネットワークを信号線RXと信号線TXの2つの信号ラインを用いた例を述べたが、本発明は1つの信号ラインを用いたバス形式のネットワークでも実現できる。図3に、バス形式のネットワークを用いた本発明の検出データ送信方法の例を示す。
【0019】
図3において、位置検出器15は、図1に示したものと同等のもので、本発明の検出データ送信方法を実現している。また、直線型位置検出器16も、図1に示したブロック図と同等のものである。ただし、両者の位置検出は、図1に示した信号線RXと信号線TXが接続され双方向に信号の送受信が可能なBUS17に接続されている点が図1の例とは異なっている。また、図4は図3の検出装置の通信動作を説明するタイミングチャートである。
【0020】
図3の位置検出器15では、サーボコントローラ14から送信された情報から、内蔵する同期信号発生器に位置データ要求命令送信間隔の1/2の時間と位置検出のタイミング時間に相当する値が予め設定されている。直線型位置検出器16は、サーボコントローラ14から送信された情報から、内蔵する同期信号発生器に位置データ要求命令送信間隔と位置検出のタイミング時間に相当する値が予め設定されている。
【0021】
サーボコントローラ14は、モータ制御周期と同じ一定の時間間隔をおいて、BUS17へ位置データ要求命令である信号RQを間欠的に送信する。位置検出器15と直線型位置検出器16では、信号RQの受信によって、それぞれの内部で信号TRGを発生させ、内蔵する同期信号発生器から、信号TRGに同期し位置データ要求命令の送信間隔の1/2の周期で出力される第1同期信号SYNCaと位置データ要求命令送信間隔と同じ周期の第2同期信号SYNCbとを生成している。位置検出器15と直線型位置検出器16とは、それぞれ第1同期信号SYNCaと第2同期信号SYNCbに応じて位置検出処理と位置データの送信処理を行っている。ここで、直線型位置検出器16は、位置検出器15の位置データ(図4のDa)の送信完了を待ってから検出した位置データ(図4のDb)を送信する点が位置検出器15とは異なっている。例えば直線型位置検出器16に内蔵された送信回路がバスBUSを監視して、位置検出器15の位置データDaの送信が行われ、これが完了するのを待機して送信対象となった位置データDbを送信する。
【0022】
このような動作によって、図4のBUSに示すように、位置検出器15は、位置データ要求命令である信号RQの送信周期の1/2の周期で、その位置データDaを送信し、直線型位置検出器16は信号RQと同じ周期でその位置データDbの送信を行う。ここでそれぞれの送信周期は、一般的に位置検出器15はモータの速度制御に使用され、短い検出周期が要求されるのに対し、位置制御に使用される直線型位置検出器16は、モータに直結したボールネジなどで駆動される送り軸の位置検出に使用され、速度制御よりも長い検出周期でよいことに基づくものである。
【0023】
図4のタイミングチャートに示すように、本発明のデータ通信方法では、一つの位置データ要求命令で、1台の位置検出器から位置データを複数回送信させることが可能であるため、1つの信号ラインを用いたバス形式のネットワーク上で、通信効率を向上できる。
【0024】
なお、位置データ要求命令を連続して受信できない時に送信を停止することは、図3のように高密度にデータの送受信を行うバス形式のネットワークでは、特に有効である。これは、送信を停止しないと、大きなノイズを受けて位置データ要求命令と位置データの送信のタイミングがずれた場合に、サーボコントローラからの送信される命令が検出器から送信される位置データと衝突する(すなわち一斉にバスに送信してしまう)可能性が高くなるからであり、位置検出器はサーボコントローラからの命令を受信できなくなってしまうためである。それに対して、位置データ要求命令を連続して受信できない時に送信を停止すれば、位置データ要求命令を停止させ、位置検出器からの位置データの送信が停止するまで待って、所定の命令を送信することで、この問題を回避することができる。
【0025】
【発明の効果】
以上述べたように、検出器のデータ通信方法によれば、データ通信の耐ノイズ性を向上させることができる。また、バス形式のネットワークの通信効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のデータ通信方法を実現するブロック図。
【図2】 図1のブロック図の動作を説明するタイミングチャート。
【図3】 本発明のデータ通信方法をバス形式のネットワークに適用した例。
【図4】 図3のブロック図の動作を説明するタイミングチャート。
【図5】 位置検出器をシリアル通信ネットワークによりと接続した一般的な接続例。
【図6】 従来のデータ通信方法を実現するブロック図。
【図7】 図3のブロック図の動作を説明するタイミングチャート。
【符号の説明】
1 入力軸、2 位置センサ、3 A/D変換器、4 カウンター、5,8 マイクロコンピュータ、6 受信回路、7 送信回路、9 同期信号発生器、10,15 位置検出器、11 モータローラ軸、12 モータ、13,14サーボコントローラ、16 直線型位置検出器、17 バス結合型ネットワーク。
Claims (4)
- 所定の検出対象についての検出結果から検出データを生成し、外部から所定の時間間隔で間欠的に受信される要求信号に応答して、前記検出データを外部に送信する検出装置であって、
バス形式のシリアル通信ネットワークを介し、外部から要求信号を受信する手段と、
前記要求信号を受信すべきタイミングに同期し、前記要求信号が受信されるか否かに関わらず当該同期したタイミングで送信指示信号を生成する手段と、
を含み、前記送信指示信号に従って前記検出データを前記バス形式のシリアル通信ネットワークを介して送信することを特徴とする検出装置。 - 所定の検出対象についての検出結果から検出データを生成し、外部からバス形式のシリアル通信ネットワークを介して所定の時間間隔で間欠的に要求信号を受信し、当該要求信号に応答して、前記検出データを外部に送信する検出データの送信方法であって、
前記要求信号を受信すべきタイミングに同期して、前記要求信号が受信されるか否かに関わらず当該同期したタイミングで送信指示信号を生成し、当該送信指示信号に従って前記検出データを前記バス形式のシリアル通信ネットワークを介して送信することを特徴とする検出データ送信方法。 - 請求項2に記載の検出データ送信方法であって、
前記同期したタイミングは、前記要求信号を受信すべきタイミングの時間間隔の1/2以下の整数分の1の時間のタイミングであることを特徴とする検出データ送信方法。 - 請求項2又は3に記載の検出データ送信方法であって、
前記要求信号が受信されない期間に送信指示信号を生成した回数を計数し、前記回数が予め設定したしきい値を越えた場合に、検出データの送信を停止することを特徴とする検出データ送信方法。
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JP2001360255A JP3905361B2 (ja) | 2001-11-27 | 2001-11-27 | 検出装置、及びそれにおける検出データ送信方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2001360255A JP3905361B2 (ja) | 2001-11-27 | 2001-11-27 | 検出装置、及びそれにおける検出データ送信方法 |
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JP2001360255A Expired - Lifetime JP3905361B2 (ja) | 2001-11-27 | 2001-11-27 | 検出装置、及びそれにおける検出データ送信方法 |
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-
2001
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