JP3904324B2 - 金属メッキされた樹脂成形品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波シールド機能を必要とする樹脂成形品、金属調の光沢を必要とする自動車用部品などに用いることができる、意匠性メッキ樹脂成形品として好適であり、特に、メッキ密着強度が格段に向上した金属メッキされた樹脂成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属メッキを施した樹脂成形品は、その金属光沢を生かして自動車の意匠部品やOA機器の電磁波シールド部品など、様々な分野において使用されてきている。これら金属メッキされた樹脂成形品の基材樹脂としては、ABS樹脂が一般的に使用されている。しかし、ABS樹脂は、ゴム成分の含有によりメッキ性にはすぐれているが、耐熱性や溶融流動性に劣る場合があり、成形品の適用分野が限定されるという問題を有している。この為、ABS樹脂に代えて、大型成形品として使用されているポリプロピレンなど他の樹脂からなる成形品にメッキすることが行われようとしている。これら、ポリプロピレンなどは無極性で化学的に安定なため、メッキ性に劣るという欠点がある。
【0003】
メッキ性に劣るポリプロピレンのメッキ性の向上手段としては、一般にABSにならって、樹脂にゴム成分を添加し、樹脂中にドメインを形成させ、酸によるエッチングにより成形品の表面に穴をあけ、そのアンカー効果により、メッキの密着強度を高める手法が採用されている。この手法は、それなりのメッキ強度を有しており、実用的に用いられる場合もあるが、必ずしも十分ではなく、以下に示すような問題点を残しており、その使用できる分野が制限されているのが実情である。
【0004】
(1)樹脂の流動方向が長い成形品、厚みの薄い成形品など、成形時に剪断がかかるような場合には、成形品表面のゴム成分が配向しメッキ強度が低くなる。また、成形品の各部でメッキ強度が異なり、メッキ性評価試験片で1〜2Kg/cmのメッキ膜剥離強度があるものでも、成形品の一部では、0.5Kg/cm程度のところもあり、実用化は困難である場合がある。(2)ゴム成分は、樹脂との粘度差、混練時の剪断力の大きさなどにより、分散相の大きさが変化し、メッキ密着性が不良になるなどメッキ安定性に欠ける場合がある。(3)アンカー効果は樹脂とゴム成分との酸に対する溶解度の差によるエッチングによるものであるが、その差は意外と小さく、エッチングの条件によっては、樹脂の溶解も進み、せっかくのアンカーもなだらかになり、逆にメッキ強度が低くなる場合がある。(4)アンカーからの金属の引き抜きなので、これ以上メッキ強度を実質的に高めることが困難であり、振動やサーマルショックなどの特別な条件下で使用される場合には、剥離が生じるなどその使用分野は大幅に制限される場合がある。(5)金属と樹脂の線膨張の差により、応力が発生し、メッキ膜にクラックが発生する場合がある。
【0005】
ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂成形品にメッキする方法については、種々提案されている。例えば、特開平9−66557号公報:ポリプロピレンにエラストマー、無機フイラー、テルペン樹脂を配合する方法。特開平6−240462号公報:ポリプロピレンに炭酸カルシウム、メタクリレートグラフトポリプロピレンを配合する方法。特開平5−279503、6−279602号公報:ポリオレフィンに酸可溶性の無機フイラーを配合した組成物成形品の表面のポリオレフィンスキン層を酸処理で除去した後エッチング処理する方法。特開平7−70446、7−240590号公報:カチオン系帯電防止剤を添加する方法。しかしながらこれらの方法では、かなり優れたメッキ性の改良は図られるものの未だ十分とはいえない。しかも、それぞれの実施例からも明らかなように、通常は、樹脂成分に、エラストマーや共重合体など樹脂成分よりも酸溶解性が良好な成分の配合、20重量%以下の酸可溶性無機フイラーの配合あるいはこれらの併用である。また、特開平5−59587号公報には、メッキし難いポリオレフィンに粒径10μm以下の炭酸カルシウムを配合した成形品を通常のABS樹脂のメッキ処理工程でメッキする方法が提案されている。しかし、この明細書の図面には、アンカー状の穴に金属メッキが食い込んでメッキ強度が発現していることが明確に示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、従来の樹脂のメッキにおける、ゴム成分を主として用いたアンカー効果によるメッキ強度の発現機構の問題点を解消し、メッキ強度が大幅に向上し、大型成形品や振動、サーマルショックなどの過酷な使用条件下においても、安定したメッキ状態を維持できる金属メッキされた樹脂成形品を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、金属メッキされた樹脂成形品における樹脂基材とメッキ相との界面について鋭意研究を重ねた結果、メッキ前のエッチング段階において、樹脂表面が特定構造、すなわち、エッチング処理で溶出して形成される穴が樹脂の内部において、連続する構造となる場合に、メッキ強度が大幅に向上することを見出した。本発明は、この知見に基づいて完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、(1)金属メッキ層との界面近傍の基材樹脂内部に、金属が連続して絡み合った構造を有する金属メッキされた樹脂成形品。
(2)金属メッキ膜の膜剥離強度が、90度または180度のいずれかの剥離試験において、2Kg/cm以上である上記(1)記載の金属メッキされた樹脂成形品。
(3)樹脂成形品が、平均粒子径が0.1〜2μmの酸可溶性無機フイラーを20〜60重量%含有する熱可塑性樹脂である上記(1)または(2)に記載の金属メッキされた樹脂成形品。
(4)熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂である上記(3)記載の金属メッキされた樹脂成形品。
(5)金属メッキが無電解Cuまたは無電解Niメッキである上記(1)〜(4)のいずれかに記載の金属メッキされた樹脂成形品、および
(6)金属メッキとして電気メッキが施された上記(1)〜(5)のいずれかに記載の金属メッキされた樹脂成形品を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の金属メッキされた樹脂成形品において、用いられる樹脂としては、溶融成形できる熱可塑性樹脂であれば特に制限はなく、様々な樹脂を使用することができる。この熱可塑性樹脂としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂,ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン、AS樹脂などのポリスチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,6などのナイロン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、ポリエステルポリカーボネートなどのポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリ芳香族エステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフエニレンスルフイド樹脂、ポリフエニレンエーテル樹脂などが挙げられる。
【0010】
これらの中で、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが、特にポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好ましく用いられる。ポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、エチレン;プロピレン;ブテン−1;3−メチルブテン−1;3−メチルペンテン−1;4−メチルペンテン−1などのα−オレフィンの単独重合体やこれらの共重合体、あるいはこれらと他の共重合可能な不飽和単量体との共重合体などが挙げられる。代表例としては、高密度,中密度,低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレン,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのポリエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体,プロピレン−エチレンブロック共重合体やランダム共重合体,プロピレン−エチレン−ジエン化合物共重合体などのポリプロピレン系樹脂、ポリブテン−1,ポリ4−メチルペンテン−1あるいは無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したポリオレフィンなどを挙げることができるが、特にプロピレン単独重合体やエチレンなどの他のオレフィンを含有するプロピレン共重合体が好ましい。本発明においては、前記熱可塑性樹脂は、一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】
本発明で用いられる基材樹脂成形品は、通常、樹脂成形品表面の酸によるエッチング処理によって特定の樹脂表面の部分構造を得るために、酸可溶性無機フィラーを含有するものである。この、酸可溶性無機フィラーは、樹脂成形品に優れたエッチング性と高い剛性及び強度などを付与するために用いられるものであって、その種類については特に制限はなく、従来プラスチックの無機フィラーとして用いられているものの中から、酸可溶性のものを適宜選択して用いることができる。このようなものとしては、例えば炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化マグネシウム,塩基性マグネシウムオキシサルフェートなどの粉体が挙げられる。この酸可溶性無機フィラーの形状については特に制限はないが、メッキされたときに、金属が連続して絡まった構造をとり、すぐれたメッキ膜の膜剥離強度を達成するために、平均粒子径0.05〜5μm程度のものが好ましく、特に0.1〜2μmのものが好適である。
【0012】
これらの酸可溶性無機フィラーの中で炭酸カルシウムが好ましく、この炭酸カルシウムとしては特に制限はなく、沈降性炭酸カルシウム,重質炭酸カルシウム,軽質炭酸カルシウムなど、いずれも用いることができる。この酸可溶性無機フィラーは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、所望により、この酸可溶性無機フィラーに酸不溶性無機フィラーを適宜組み合わせて用いてもよい。この酸不溶性無機フィラーとしては、例えばタルク,クレー,マイカ,ガラス繊維,硫酸バリウム,ケイ藻土などが挙げられる。
【0013】
本発明の樹脂成形品は、本発明の目的を損なわない範囲で、適量のゴム成分を含有していてもよい。ゴム成分としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。このようなものとしては、例えば天然ゴム,ポリブタジエン,ポリイソプレン,ポリイソブチレン,ネオプレン,シリコーンゴム,スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(SBR),スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS),水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS),スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIR),スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS),水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS),エチレンプロピレンゴム(EPM),エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM),エチレンブチレンゴム(EBM)等またはこれらを変性したゴム等が挙げられる。これらの中で、特にEPM,EPDM,EBM及びSEBSが好適である。これらのドメインを形成するゴム成分は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、射出成形時などに配向を生じてメッキ性を低下させないためにも、メッキ性とともに、樹脂成形品に要求される耐衝撃性、耐熱性などの要求を考慮して、その使用量を適宜決定することが必要である。
【0014】
本発明の金属メッキされた樹脂成形品は、金属メッキ層との界面近傍の基材樹脂内部に、金属が連続して絡み合った構造を有するものである。すなわち、言い換えれば、メッキされる金属が基材樹脂表面近傍の内部に形成された連続した穴の中に侵入し、樹脂と金属が相互網目構造を形成するものである。樹脂成形品の具体例は、少なくとも熱可塑性樹脂と酸可溶性の無機フイラーからなるものである。無機フイラーの含有率は、熱可塑性樹脂の種類や酸可溶性無機フイラーの種類、粒子径などによって、一律に決めることは困難であるんが、20〜60重量%、好ましくは、25〜50重量%の範囲である。酸可溶性の無機フイラーの含有量が20重量%未満では、成形品表面を酸でエッチング処理した場合に、穴は形成できるが、穴同志が成形品の内部で連続しない場合が多い。また、60重量%を越えると、樹脂成形品の衝撃強度などの物性が低下したり、成形性が低下する場合があるとともに、成形品の表面部の樹脂量が少なくなり、エッチング過多となる場合がある。したがって、酸可溶性の無機フイラーの含有量は、粒子径と量の関係から最適な範囲を選定することが必要となる。
【0015】
なお、本発明の金属メッキされた樹脂成形品を得るためには、樹脂成形品のメッキ性(メッキ工程の改善を含む)をより向上するために、あるいは、成形品の耐熱性、長期安定性を確保するために、各種添加剤を併用することができる。例えば、メッキ性を向上するために、(1)アミン塩、四級アンモニウム塩などのカチオン系界面活性剤(帯電防止剤)を用いることができる。具体例としては、脂肪族第一級アミン塩酸塩、脂肪族第一級アミン塩酸塩、脂肪族第三級アミン塩酸塩などの脂肪族アミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩などの脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトリウム塩などの芳香族四級アンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩などの複素環四級アンモニウム塩などがあり、これらの中でも脂肪族四級アンモニウム塩が好適である。
【0016】
(2)アミノシラン系カップリング剤が用いられる。このアミノシラン系カップリング剤を用いることにより、成形品中のメッキ強度のバラツキが少なく、かつメッキ強度の高い成形品が得られる。これは、無機フィラーの表面にアミノシラン系カップリング剤が結合し、そのアミノ基に触媒が担持し、そこに金属が析出されるため、更に、遊離したカップリング剤が成形品表面に移行し、そのアミノ基に触媒が担持するためと考えられる。このアミノシラン系カップリング剤としては、特に制限はなく、従来公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。該アミノシラン系カップリング剤の例としては、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン,γ−アミノプロピルトリエトキシシラン,N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらのアミノシラン系カップリング剤は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、これらのカップリング剤はメッキ性に加えて、樹脂中の無機フイラーとの接着性の向上にも寄与するものである。
【0017】
(3)酸エッチング処理面に、電荷を付与するために極性を持つ化合物で処理する極性付与処理剤を用いることもできる。具体例としては、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、スルホコハク酸、メチルタウリン酸、βーナフタレンスルホン酸ーホルマリン縮合物などのリチウム、ナトリウム、カリウムなどの塩、ポリアクリル酸、ボリメタアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸及びこれらの塩、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリビニルメチルエーテル、ポリオキサゾリン、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド共重合体などの水溶液が例示できる。これらの中で、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミドなどの高分子アミン水溶液が好適である。
【0018】
これらのメッキ性を向上させる添加剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、それぞれ、0.1〜5重量部の割合で添加するのが好ましい。この量が0.1重量部未満では添加の効果が充分に発揮されないおそれがあり、5重量部を超えるとその量の割には効果の向上が認められず、むしろ経済的に不利となる場合がある。
【0019】
本発明では、樹脂成形品の性能を向上させる目的で、所望により、酸化防止剤、金属不活性化剤を含有させることができる。酸化防止剤としては、特に制限はなく、従来公知のもの、例えばフェノール系,リン系,硫黄系のものなどが用いられる。ここで、フェノール系酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール,n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート,テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン,2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート,2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート,トリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕,1,6−ヘキサンジオール−ビス−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕,3,9−ビス〔1,1−ジ−メチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン,1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン,トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート,トリス(4−t−ブチル−2,6−ジ−メチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
【0020】
また、リン系酸化防止剤としては、例えばトリス(ノニルフェニル)フォスファイト,トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト,ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト,ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト,ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト,メチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルフォスファイト,テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト,テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイトなどが挙げられる。
【0021】
さらに、硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート,ジステアリルチオジプロピオネート,グリセリントリブチルチオプロピオネート、グリセリントリオクチルチオプロピオネート、グリセリントリラウリルチオプロピオネート、グリセリントリステアリルチオプロピオネート、トリメチロールエタントリブチルチオプロピオネート、トリメチロールエタントリオクチルチオプロピオネート、トリメチロールエタントリラウリルチオプロピオネート、トリメチロールエタントリステアリルチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラブチルチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラオクチルチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラステアリルチオプロピオネートなどが挙げられる。
【0022】
また、金属不活性化剤としては、銅害を防止するものであればよく、特に制限されず、従来公知のもの、例えばシュウ酸誘導体,サリチル酸誘導体,ヒドラジン誘導体などが用いられる。具体的には、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、デカメチレンカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、N,N−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン、イソフタル酸ビス(2−フェノキシプロピオニルヒドラジド)、N−ホルミル−N’−サリシロイルヒドラジン、2,2−オキザミドビス−〔エチル−3−(3,5−ジ−t−チル−4−ハイドロオキシフェニル)プロピオネート〕、オキザリル−ビス−ベンジリデン−ヒドラジドなどが挙げられる。
【0023】
これらの酸化防止剤や金属不活性化剤は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その添加量は、熱可塑性樹脂100重量部当たり、通常0.01〜2.0重量部の範囲である。この含有量が0.01重量部未満では酸化防止効果が充分に発揮されないおそれがあり、2.0重量部を超えるとその量の割には効果の向上がみられず、むしろ非経済的である上、他の物性が低下する場合がある。酸化防止効果,経済性,他の物性などの面から、好ましい含有量は、0.1〜1.5重量部の範囲である。
【0024】
さらに、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ、公知の各種添加成分、例えば光安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、滑剤、他の各種フィラー、難燃剤、難燃助剤、強化剤、顔料などの添加剤を含有させてもよい。
本発明の金属メッキされた樹脂成形品を得るためには、熱可塑性樹脂と酸可溶性無機フイラー、必要に応じて添加する添加剤成分を、従来公知の方法、例えばV型ブレンダー,リボンブレンダー,ヘンシェルミキサーなどの混合機により混合する方法、又は押出機,ミキシングロール,バンバリーミキサー,ニーダなどの混練機により混練する方法、あるいは混合機と混練機を組み合わせて、混合・混練する方法を用いて成形原料としてのペレットを製造する。ついで、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形などの成形手段により、目的の樹脂成形品を成形する。
【0025】
ついで、本発明の金属メッキされた樹脂成形品は、このようにして得られた樹脂成形品を公知のメッキ工程によりメッキ加工することにより得ることができる。メッキ処理工程については、ポリオレフィン系樹脂のような無極性樹脂の場合でも、改良技術の採用によっては、このメッキ処理においてエッチング前処理(溶剤処理)工程に加え極性付与工程を必要としない場合がある。
【0026】
このメッキ処理方法としては、得られる金属メッキされた樹脂成形品の使用目的に応じて、例えば(1)(a)エッチング処理工程,(b)触媒担持処理工程,(c)無電解銅メッキ及び/又は無電解ニッケルメッキ処理工程を順次施す方法、(2)上記(a)工程,(b)工程,(c)工程及び(d)電気メッキ処理工程を順次施す方法、(3)上記(a)工程,(b)工程及び(d)工程を順次施す方法などが好ましく用いられる。また、必要により、エッチング前処理(溶剤処理)、極性付与工程が追加される。
【0027】
前記(1),(2)及び(3)の方法における(a)のエッチング処理工程は、基材樹脂である成形品表面部分の酸可溶性成分、特に酸可溶性無機フイラーを溶出して、溶出できた穴が樹脂の内部において、連続する構造をとるようにその条件が制御される。エッチング方法については特に制限はなく、従来、プラスチック成形品のメッキ処理において慣用されている方法を用いることができる。エッチング剤としては、例えば重クロム酸,重クロム酸/濃硫酸混液,クロム酸,クロム酸/硫酸混液,トリクロロエタン,トリクロロエチレン,キシレンなどが用いられる。エッチング処理後は、樹脂成形品表面に残存するエッチング剤を、中和や洗浄などにより除去する。
【0028】
本発明の金属メッキされた樹脂成形品となるためには、エッチングによって形成される穴が、樹脂成形品の基材樹脂表面部の内部で連続して絡み合うように形成されることが必要であり、この状態を作り出すためには、熱可塑性樹脂の種類、酸可溶性無機フイラーの種類と粒子径、含有量や、エッチング液の種類、温度、処理時間などを考慮して最適な条件を見つけだすことが必要である。樹脂成形品の表面部のエッチング処理により、上記のような、穴が連続している構造であるかどうかは、後記の実験例の図で示すように、電子顕微鏡により、エッチング処理面を観察することにより確認することができる。
【0029】
次に、前記(1),(2)及び(3)の方法における(b)の触媒担持処理工程は、(1),(2)の方法においては、次工程の無電解銅メッキ又は無電解ニッケルメッキを、(3)の方法においては、次工程の電気メッキを進行させるための工程であって触媒を担持する方法については特に制限はなく、従来、プラスチック成形品のメッキ処理において慣用されている方法を用いることができる。例えば、(1),(2)の方法において、次工程で無電解銅メッキ又は無電解ニッケルメッキ処理を行う場合には、一般に、触媒粒子として負電荷をもつ塩化第一スズと塩化パラジウムのコロイドを用い、まずキャタリスティングにより、極性が付与された成形品表面にスズとパラジウムのコロイド物質を析出させ、次いでアクセレーションにより、スズを離脱させ、パラジウムのみを残すことによって、無電解銅メッキ又は無電解ニッケルメッキ用触媒(金属触媒)を担持する方法、あるいはセンシタイジング(感応性付与処理)、例えば塩化第一スズ溶液に、極性が付与された成形品を浸漬させて、成形品表面に還元力のあるイオン性スズを吸着させる処理を行ったのち、アクチベーション、例えば塩化パラジウム溶液にこの成形品を浸漬して、上記ズズの作用でパラジウムを析出させる処理により、無電解銅メッキ又は無電解ニッケルメッキ用触媒(金属触媒)を担持する方法を用いることができる。
【0030】
一方、(3)の方法において、次工程で直接電気メッキ処理を行う場合には、一般に、触媒粒子として負電荷をもつ塩化第一スズと塩化パラジウムのコロイドを用い、まずキャタリスティングにより、極性が付与された成形品表面にスズとパラジウムのコロイド物質を析出させ、次いでスズを銅に置換させる方法が用いられる。
【0031】
さらに、前記(1)及び(2)の方法における(c)の無電解銅メッキや無電解ニッケルメッキ処理工程は、上記(b)の触媒担持処理工程を経た成形品の表面において、銅イオン又はニッケルイオンを還元析出させ、銅又はニッケル皮膜を形成させる工程である。この無電解銅メッキ又は無電解ニッケルメッキ方法については特に制限はなく、従来、樹脂成形品のメッキ処理において慣用されている方法を用いることができる。例えば10〜50℃程度の還元剤を含有する銅塩又はニッケル塩水溶液に、上記(b)工程で得られた成形品を2〜20分間程度浸漬することにより、その表面に銅メッキ又はニッケルメッキ皮膜を形成することができる。
【0032】
なお、この(c)工程においては、前記のようにして無電解銅メッキ処理を施し、形成された銅メッキ皮膜を常法により活性化したのち、その上に前記と同様にして無電解ニッケルメッキ処理を施し、ニッケルメッキ皮膜を形成させてもよい。
最後に、(d)電気メッキ処理工程は、前記(2)の方法においては、(c)工程で設けられた無電解銅メッキ皮膜又は無電解ニッケルメッキ皮膜の上に電気メッキ処理を行う工程であり、一方、前記(3)の方法においては、(b)工程で処理された成形品の表面に直接電気メッキ処理を行う工程である。この電気メッキ処理方法については特に制限はなく、従来、樹脂成形品のメッキ処理において慣用されている方法を用いることができる。メッキの種類としては特に制限はなく、金属メッキされた樹脂成形品の用途に応じて適宜選択すればよい。この電気メッキ処理により、単一の金属皮膜、あるいは複数の金属による多層皮膜を設けることができるが、一般には最上層の皮膜をクロムとするもの、例えばニッケル・クロム又は銅・ニッケル・クロムからなる多層皮膜を設けることが多い。
【0033】
このようにして金属メッキされた樹脂成形品が本発明である。金属メッキ層との界面近傍の基材樹脂内部に、金属が連続して絡み合った構造、すなわち、メッキ用の金属が基材樹脂表面部の内部の連続した穴に侵入して相互網目構造が形成されているかどうかは、メッキ膜の剥離試験により明確となる。すなわち、メッキ膜の膜剥離試験を行った後の、メッキ面、樹脂面の観察において、金属が単に引き抜かれた跡であるアンカー効果である単純なものではなく、剥離面に樹脂が引き延ばされた跡が電子顕微鏡写真で観察されることにより明確に区別される。なお、本発明の金属メッキされた樹脂成形品の金属メッキ膜の膜剥離強度は、90度または180度のいずれかの剥離試験において、1.5Kg/cm以上、好ましくは2Kg/cm以上、特に2.5〜10Kg/cmである。
【0034】
前記(1)の方法で得られた電気メッキされた樹脂成形品は、一般に、各種電磁波シールド(EMIシールド)部品、例えば自動車のEMIシールド部品,電気自動車のEMIシールド部品,各種通信機器やOA機器のEMIシールド部品などとして、好適に用いられる。一方、前記(2)及び(3)の方法で得られたメッキ成形品は、意匠メッキが施されており、例えばバンパーコーナー,バンパー,フェンダー,ラジエータグリル,スポイラー,ドアハンドル,バンパーモール,ランプハウジングなどの自動車部品分野、さらには、家電製品分野,通信機器分野,OA機器分野,住設分野などに好適に用いられる。
【0035】
【実施例】
次に、本発明を実験例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実験例1
ポリプロピレン単独重合体〔出光石油化学(株)製、商品名:IDEMITSU PP J−900GP,MI:13g/10分(230℃,2.16kg荷重)〕および平均粒子径0.7μmの炭酸カルシウムとを各所定量秤量し、ドライブレンドした後、二軸混練機で溶融混練して原料ペレットを得た。なお、本願の実験例においては、樹脂、炭酸カルシウム、ゴムの主要成分100重量部に対して、ヒンダードフエノール系酸化防止剤:テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン=0.3重量部、ヒドラジン系金属不活性剤:(N,N−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフエニル)プロピオニル〕ヒドラジン=0.2重量部を含有したものを用いた。
【0036】
得られたペレットを乾燥後、射出成形により140×140×3mmの平板を作製した。この平板を脱脂処理後、重クロム酸/濃硫酸(1/1:容量)混合液にて、80℃で30分間エッチング処理を施し、水洗、中和還元し、極性付与処理(水溶性高分子アミンによる)を実施した。次いで、キャタライジングにより、触媒として塩化第一スズ・塩化パラジウムのコロイド粒子を吸着、担持させた。その後、アクセレータとして、パラジウムを還元して金属パラジウムを析出させ、その後無電解銅メッキ処理を施し金属メッキされた樹脂成形品を得た。
【0037】
次に、コンディショニング後、銅,ニッケル,クロムの順で電気メッキ処理を施したのち、乾燥処理して金属メツキされた樹脂成形品を作製した(各工程後、洗浄処理を行ったが、記載は省略した。)。最終的に得られた金属メッキされた樹脂成形品について、表面外観を目視により観察した結果、良好であった。
なお、前記工程において、無電解銅メッキ処理後のそれぞれのメッキ皮膜について、JIS C6481に準拠し、オートグラフを用い、引張速度50mm/分で90度メッキ膜剥離試験を実施し、メッキ膜剥離強度を測定した。図1に、メッキ膜剥離強度と炭酸カルシウム含有量との関係を示した。図1より、炭酸カルシウムの含有量が約20重量%の点を境に、全く異なった挙動を示し、約20重量%以上で急速にメッキ膜剥離強度が向上していることが明らかである。次に、この違いの原因について検討するため、炭酸カルシウム含有量が、40重量%の試料と、10重量%の試料について、電子顕微鏡写真により、下記の状態における表面の観察を行った。対応する電子顕微鏡写真を図2〜7に示し、その説明を以下に示す。
【0038】
図2:炭酸カルシウム(0.7μm)40重量%含有成形試験片のエッチング後の表面状態・・・単なるアンカーではなく、連続した、複雑な穴が確認される。
図3:炭酸カルシウム(0.7μm)10重量%含有成形試験片のエッチング後の表面状態・・・従来説明されている、アンカーとなる穴のみの存在が確認される。
【0039】
図4:炭酸カルシウム(0.7μm)40重量%含有成形試験片のメッキ膜の膜剥離試験後のメッキ膜側面の状態。
図5:炭酸カルシウム(0.7μm)40重量%含有成形試験片のメッキ膜の膜剥離試験後の樹脂成形品側面の状態。
・・・図4、図5より、単なる金属の引き抜きでなく、両面に樹脂が伸びて引きちぎられた後が観察され、相互網目構造の形成によることが確認された。
【0040】
図6:炭酸カルシウム(0.7μm)10重量%含有成形試験片のメッキ膜の膜剥離試験後のメッキ膜側面の状態。
図7:炭酸カルシウム(0.7μm)10重量%含有成形試験片のメッキ膜の膜剥離試験後の樹脂成形品側面の状態。
・・・図6、図7より、メッキ膜側面には引き抜けた金属が見受けられるものの、樹脂はみられない。一方の樹脂成形側面には、金属が引き抜けた穴が観察されるのみであり、剥離強度は金属の引き抜きによるものであり、樹脂と金属が絡み合った構造はないことが明らかとなった。なお、電子顕微鏡写真は、上記の炭酸カルシウムの含有量が、40重量%と10重量%の場合について示したが、炭酸カルシウム25重量%以上の試料において、40重量%の場合に類似するメッキ膜剥離面の状態が観察される。
実験例2
実験例1において、ポリプロピレン単独重合体〔出光石油化学(株)製、商品名:IDEMITSU PP J−900GP,MI:13g/10分(230℃,2.16kg荷重)〕およびムーニー粘度〔ML1+4 (100℃)〕60で、かつプロピレン単位含有量27重量%のエチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)とを各所定量秤量し、ドライブレンドして原料ペレットを得た以外は実験例1に準じて実施して金属メッキされた樹脂成形品を作製し、評価を行った。図1にメッキ膜剥離強度とエチレン−プロピレン共重合体ゴム含有量との関係を示した。図1より、メッキ強度が非常に低いレベルであることが、明らかであり、ゴムの含有量の影響も特別な関係は見られなかった。
実験例3
実験例1において、ポリプロピレン単独重合体〔出光石油化学(株)製、商品名:IDEMITSU PP J−900GP,MI:13g/10分(230℃,2.16kg荷重)〕および平均粒子径10μmの炭酸カルシウムとを各所定量秤量し、ドライブレンドして原料ペレットを得た以外は実験例1に準じて実施して金属メッキされた樹脂成形品を作製し、評価を行った。図1にメッキ膜剥離強度と炭酸カルシウム含有量との関係を示した。図1より、炭酸カルシウムの含有量の増加によりメッキ膜剥離強度が高くなって行く傾向が見られるが、実験例1に見られるような変曲点はない。なお、エッチング後の成形品表面には連続した穴部は形成されていないことが剥離後の電子顕微鏡で観察された。
実験例4
実験例1において、ペレットの製造において、カチオン系界面活性剤(脂肪族第四級アンモニウムサルフェート)を1重量部添加し、炭酸カルシウム(0.7μm)の含有量を40重量%とした以外は実験例1に準じて実施して金属メッキされた樹脂成形品を作製し、評価を行った。エッチング後の成形品表面には連続した穴部が形成されており、メッキ膜剥離後の表面に樹脂が伸びて引きちぎられたことが電子顕微鏡で観察され、メッキ膜剥離強度は、5.7Kg/cmと非常に高いレベルであった。
実験例5
実験例1において、プロピレンエチレンブロック共重合体〔出光石油化学(株)製、商品名:IDEMITSU PP J−750HP,MI:14g/10分(230℃,2.16kg荷重)〕60重量%および平均粒子径(0.7μm)の炭酸カルシウム40重量%からなる100重量部に対して、さらにカチオン系界面活性剤(脂肪族第四級アンモニウムサルフェート)を1重量部添加し、ドライブレンドして原料ペレットを得た以外は実験例1に準じて実施して金属メッキされた樹脂成形品を作製し、評価を行った。エッチング後の成形品表面には連続した穴部が形成されており、メッキ膜剥離後の表面に樹脂が伸びて引きちぎられたことが電子顕微鏡で観察され、メッキ膜剥離強度は、4.6Kg/cmと非常に高いレベルであった。
【0041】
【発明の効果】
本発明の金属メッキされた樹脂成形品は、従来の樹脂と金属メッキ相がアンカー効果で結合していたのに対して、樹脂と金属の絡み合い構造により形成され、高いメッキ膜剥離強度を発現する。しかも、ゴム粒子ドメインを必ずしも必要としないので、樹脂の表面の樹脂の配向によるメッキ強度のばらつきが解消される。したがって、樹脂流動長の長い大型成形品、振動やサーマルショックなど比較的過酷な用途への適用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例1、実験例2、実験例3で得られた炭酸カルシウム(0.7μm)、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、炭酸カルシウム(10μm)の含有量と金属メッキ膜剥離強度との関係を示すグラフである。
【図2】炭酸カルシウム(0.7μm)40重量%含有成形試験片のエッチング後の表面状態の電子顕微鏡写真である。
【図3】炭酸カルシウム(0.7μm)10重量%含有成形試験片のエッチング後の表面状態の電子顕微鏡写真である。
【図4】炭酸カルシウム(0.7μm)40重量%含有成形試験片のメッキ膜の剥離試験後のメッキ膜側面の電子顕微鏡写真である。
【図5】炭酸カルシウム(0.7μm)40重量%含有成形試験片のメッキ膜の剥離試験後の樹脂成形品側面の電子顕微鏡写真である。
【図6】炭酸カルシウム(0.7μm)10重量%含有成形試験片のメッキ膜の剥離試験後のメッキ膜側面の電子顕微鏡写真である。
【図7】炭酸カルシウム(0.7μm)10重量%含有成形試験片のメッキ膜の剥離試験後の樹脂成形品側面の電子顕微鏡写真である。

Claims (5)

  1. 金属メッキ層との界面近傍の基材樹脂内部に、樹脂と金属の相互網目構造を有する金属メッキがされた樹脂成形品であって、
    該金属メッキに供される樹脂成形品が、平均粒子径0.1〜2μmの酸可溶性無機フィラーを20〜60重量%含有する熱可塑性樹脂からなるものである、金属メッキされた樹脂成形品。
  2. 金属メッキ膜の膜剥離強度が、90度または180度のいずれかの剥離試験において、2Kg/cm以上である請求項1記載の金属メッキされた樹脂成形品。
  3. 熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂である請求項1又は2記載の金属メッキされた樹脂成形品。
  4. 金属メッキが無電解Cuまたは無電解Niメッキである請求項1〜3のいずれかに記載の金属メッキされた樹脂成形品。
  5. 金属メッキとして電気メッキが施された請求項1〜4のいずれかに記載の金属メッキされた樹脂成形品。
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