JP3903759B2 - 半導体エピタキシャルウェハ及びヘテロ接合バイポーラトランジスタ - Google Patents
半導体エピタキシャルウェハ及びヘテロ接合バイポーラトランジスタ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体エピタキシャルウェハ及びヘテロ接合バイポーラトランジスタに関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)は、低歪みの信号増幅が可能であり、単一電源での使用ができる等の優れた特長を有することから、ディジタル通信、ミリ波システム等のキーデバイスとして注目されている。特に、InGaPをエミッタ層とするHBTは高い性能を実現するものとして注目されている。
【0003】
図3は従来の半導体エピタキシャルウェハを用いたヘテロ接合バイポーラトランジスタのベース電流−コレクタ電流特性の測定回路図である。
【0004】
HBTは、半絶縁性基板(図示せず。)上にn+−GaAsからなるコレクタコンタクト層8、n-−GaAsからなるコレクタ層7、p+−GaAsからなるベース層6、n−InGaPからなるエミッタ層5及びn+−InGaAsからなるノンアロイ層4が順次積層され、コレクタコンタクト層8上の一部にコレクタ電極3が設けられ、ベース層6上の一部にベース電極2が設けられ、ノンアロイ層4の上にエミッタ電極1が設けられたものである。尚、9はベース電流Ibを測定するための電流計であり、10はコレクタ電流Icを測定するための電流計である。
【0005】
このHBTは、エミッタ層5−ベース層6間の電圧Vbを増加させると、ベース電流Ibが増加すると共に、コレクタ電流Icがベース電流Ibの増加の割合を上まわるように増加する。すなわちコレクタ電流Icはベース電流Ibで増幅される。この増幅率はHBTの基本であるβであり、コレクタ電流Icとベース電流Ibとの比(Ic/Ib)で表される。
【0006】
電流増幅率βは、エピタキシャル層のヘテロ界面の状態に大きく依存すると言われている。そこで、エミッタ層5とベース層6との界面には不純物が少ないことが要求される。通常、InGaPとGaAsとが格子整合するような条件でこれらInGaP及びGaAsを作製すると、界面に再結合中心となる準位ができにくいと言われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の半導体エピタキシャルウェハは、エミッタ層5とベース層6との界面に再結合中心となる準位ができ、電流増幅率βが低下してしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、電流増幅率の高いヘテロ接合バイポーラトランジスタが得られる半導体エピタキシャルウェハ及びヘテロ接合バイポーラトランジスタを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の半導体エピタキシャルウェハは、半絶縁性基板上にコレクタ層、ベース層及びエミッタ層となるエピタキシャル層が順次積層され、上記ベース層がGaAsから成ると共に、エミッタ層にInGaPが含まれるヘテロ接合バイポーラトランジスタ用の半導体エピタキシャルウェハにおいて、エミッタ層及びベース層となるエピタキシャル層の界面にAlxGa1-xAsyP1-y層(0<x<1、0<y<1)が挿入され、上記Al x Ga 1-x As y P 1-y 層のAl組成及びAs比率が、深さ方向に対して変化するとともに、上記エミッタ層とAl x Ga 1-x As y P 1-y 層との界面におけるAl組成及びAs比率は、上記エミッタ層とエネルギーギャップが同等以下かつ格子定数が同等でありかつ、Al x Ga 1-x As y P 1-y 層と上記ベース層との界面におけるAl組成及びAs比率は、上記ベース層とエネルギーギャップが同等以上かつ格子定数が同等であることを特徴とするものである。
【0010】
上記構成に加え本発明の半導体エピタキシャルウェハのAlxGa1-xAsyP1-y層のAl組成は0.25≦x≦0.35であるのが好ましい。
【0011】
本発明のヘテロ接合バイポーラトランジスタは、半絶縁性基板上にコレクタ層、ベース層及びエミッタ層が順次積層され、上記ベース層がGaAsから成ると共に、エミッタ層にInGaPが含まれるヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、エミッタ層及びベース層の界面にAlxGa1-xAsyP1-y層(0<x<1、0<y<1)が挿入され、上記Al x Ga 1-x As y P 1-y 層のAl組成及びAs比率が、深さ方向に対して変化するとともに、上記エミッタ層とAl x Ga 1-x As y P 1-y 層との界面におけるAl組成及びAs比率は、上記エミッタ層とエネルギーギャップが同等以下かつ格子定数が同等でありかつ、Al x Ga 1-x As y P 1-y 層と上記ベース層との界面におけるAl組成及びAs比率は、上記ベース層とエネルギーギャップが同等以上かつ格子定数が同等であることを特徴とするものである。
【0012】
上記構成に加え本発明のヘテロ接合バイポーラトランジスタのAlxGa1-xAsyP1-y層のAl組成は0.25≦x≦0.35であるのが好ましい。
【0013】
本発明によれば、InGaPからなるエミッタ層となるエピタキシャル層とベース層となるエピタキシャル層との間に、AlGaAsP層を挿入することで再結合中心となる準位の濃度が低下する。この結果、電流増幅率の高いヘテロ接合バイポーラトランジスタが得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述説明する。
【0015】
図1は本発明の半導体エピタキシャルウェハを用いたヘテロ接合バイポーラトランジスタのベース電流−コレクタ電流特性の測定回路図である。
【0016】
本発明の半導体エピタキシャルウェハは、半絶縁性基板上にコレクタ層、ベース層及びエミッタ層となるエピタキシャル層が順次積層され、エミッタ層にInGaPが含まれるヘテロ接合バイポーラトランジスタ用の半導体エピタキシャルウェハであって、エミッタ層及びベース層となるエピタキシャル層の界面にAlxGa1-xAsyP1-y層(0<x<1、0<y<1)が挿入されているものである。
【0017】
すなわち、HBTは、半絶縁性基板(図示せず。)上にn+−GaAsからなるコレクタコンタクト層8、n-−GaAsからなるコレクタ層7、p+−GaAsからなるベース層6、AlxGa1-xAsyP1-y層(0<x<1、0<y<1)11、n−InGaPからなるエミッタ層5及びn+−InGaAsからなるノンアロイ層4が順次積層され、コレクタコンタクト層8上の一部にコレクタ電極3が設けられ、ベース層6上の一部にベース電極2が設けられ、ノンアロイ層4の上にエミッタ電極1が設けられたものである。
【0018】
本半導体エピタキシャルウェハのAlxGa1-xAsyP1-y層のAl組成は0.25≦x≦0.35であるのが好ましい。
【0019】
このように半導体エピタキシャルウェハを構成したことで、再結合中心となる準位の濃度が低下する。このような半導体エピタキシャルウェハを用いることにより、電流増幅率の高いヘテロ接合バイポーラトランジスタが得られる。
【0020】
【実施例】
次に具体的な数値を挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
InGaPからなるエミッタ層5の厚さを30nmとし、In組成を0.48とし、エミッタ層5とベース層6との間に挿入されるAlxGa1-xAsyP1-y層11の厚さを5nmとした。
【0022】
ここで、Asの比率yを0.95とし、Al組成xを0.1〜0.5に変えてMOVPE法により成長させたHBT用エピタキシャルウェハの電流増幅率βを測定した。
【0023】
図2は図1に示したヘテロ接合バイポーラトランジスタに用いられる半導体エピタキシャルウェハのAl組成xと電流増幅率βとの関係を示す図である。同図において横軸はAl組成比を示す軸であり、縦軸は電流増幅率βを示す軸である。
【0024】
同図より、Al組成が0.1≦x<0.25及び0.35<x≦0.5の範囲では電流増幅率βの向上が認められなかった。0.4<x≦0.5の範囲では逆に従来のものより低くなってしまった。Al組成の比率が0.25≦x≦0.35の範囲では、従来に比べ10〜15%程度の電流増幅率βの向上が認められた。
【0025】
ここで、AlxGa1-xAsyP1-y層11に関して、厚さはInGaPからなるエミッタ層5よりも薄ければよい。また、Al組成及びAsの比率は、深さ方向に対して一定ではなく、変化させる。また、Al組成やAsの比率の変化の度合いは、グレーデッド、ステップ等多様に考えられる。Al組成及びAsの比率は、InGaP/AlGaAsP界面では、InGaPとエネルギーギャップが同等以下かつ格子定数が同等になるように設定する。AlGaAsP/GaAs界面ではGaAsとエネルギーギャップが同等以上かつ格子定数が同等になるように設定する。
【0027】
InGaPからなるエミッタ層とベース層との間に、AlGaAsP層を挿入することにより、電流増幅率βを最大で15%向上させることができた。
【0028】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、次のような優れた効果を発揮する。
【0029】
電流増幅率の高いヘテロ接合バイポーラトランジスタが得られる半導体エピタキシャルウェハ及びヘテロ接合バイポーラトランジスタの提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体エピタキシャルウェハを用いたヘテロ接合バイポーラトランジスタのベース電流−コレクタ電流特性の測定回路図である。
【図2】図1に示したヘテロ接合バイポーラトランジスタに用いられる半導体エピタキシャルウェハのAl組成xと電流増幅率βとの関係を示す図である。
【図3】従来の半導体エピタキシャルウェハを用いたヘテロ接合バイポーラトランジスタのベース電流−コレクタ電流特性の測定回路図である。
【符号の説明】
1 エミッタ電極
2 ベース電極
3 コレクタ電極
4 ノンアロイ層
5 エミッタ層
6 ベース層
7 コレクタ層
8 コレクタコンタクト層
9、10 電流計
11 AlxGa1-xAsyP1-y層(AlGaAsP層)
Claims (4)
- 半絶縁性基板上にコレクタ層、ベース層及びエミッタ層となるエピタキシャル層が順次積層され、上記ベース層がGaAsから成ると共に、上記エミッタ層にInGaPが含まれるヘテロ接合バイポーラトランジスタ用の半導体エピタキシャルウェハにおいて、上記エミッタ層及び上記ベース層となるエピタキシャル層の界面にAlxGa1-xAsyP1-y層(0<x<1、0<y<1)が挿入され、上記Al x Ga 1-x As y P 1-y 層のAl組成及びAs比率が、深さ方向に対して変化するとともに、上記エミッタ層とAl x Ga 1-x As y P 1-y 層との界面におけるAl組成及びAs比率は、上記エミッタ層とエネルギーギャップが同等以下かつ格子定数が同等でありかつ、Al x Ga 1-x As y P 1-y 層と上記ベース層との界面におけるAl組成及びAs比率は、上記ベース層とエネルギーギャップが同等以上かつ格子定数が同等であることを特徴とする半導体エピタキシャルウェハ。
- 上記AlxGa1-xAsyP1-y層のAl組成は0.25≦x≦0.35である請求項1に記載の半導体エピタキシャルウェハ。
- 半絶縁性基板上にコレクタ層、ベース層及びエミッタ層が順次積層され、上記ベース層がGaAsから成ると共に、上記エミッタ層にInGaPが含まれるヘテロ接合バイポーラトランジスタにおいて、上記エミッタ層及び上記ベース層の界面にAlxGa1-xAsyP1-y層(0<x<1、0<y<1)が挿入され、上記Al x Ga 1-x As y P 1-y 層のAl組成及びAs比率が、深さ方向に対して変化するとともに、上記エミッタ層とAl x Ga 1-x As y P 1-y 層との界面におけるAl組成及びAs比率は、上記エミッタ層とエネルギーギャップが同等以下かつ格子定数が同等でありかつ、Al x Ga 1-x As y P 1-y 層と上記ベース層との界面におけるAl組成及びAs比率は、上記ベース層とエネルギーギャップが同等以上かつ格子定数が同等であることを特徴とするヘテロ接合バイポーラトランジスタ。
- 上記AlxGa1-xAsyP1-y層のAl組成は0.25≦x≦0.35である請求項3に記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタ。
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