JP3903576B2 - 光ディスク装置と、これに使用される距離検出装置及び検出方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクの信号を記録または再生するための光ディスク装置と、これに使用される距離検出装置及び距離検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば光磁気ディスク(MO)等の光ディスクに対する情報信号の記録及び再生は、光ディスク装置により行なわれる。
この光ディスク装置は、光ディスクを回転駆動するスピンドルモータ等の回転駆動手段と、回転する光ディスクに対して光源から対物レンズを含む光学系を介して光を照射し、光ディスクの信号記録面からの戻り光を対物レンズを介して光検出器により検出する光学ピックアップと、対物レンズを2軸方向、即ちフォーカシング方向及びトラッキング方向に移動可能に支持する2軸アクチュエータと、光ディスクに対して記録すべき信号に基づいて磁界を発生する記録磁気ヘッドとから構成されている。
【0003】
これにより、再生の場合には、光学ピックアップの光源から出射された光ビームは、光学系を介して光ディスクの信号記録面上に集光される。光ディスクからの戻り光ビームは、光学系により光源から出射された光ビームと分離されて光検出器に導かれる。これにより、光検出器からの検出信号に基づいて、光ディスクに記録された情報信号の再生が行なわれる。
その際、光源から出射された光ビームは、光ディスクの反り等に起因して発生する光ディスクの面方向と直交する方向の光ディスクの変位に追従して、光ディスクの信号記録面上で合焦されるように、対物レンズの光軸方向の位置が調整される。
【0004】
同時に、光源から出射された光ビームの光ディスク上のスポットの位置が、光ディスクの偏心や光ディスク上に形成されたトラックの蛇行に追従するように、対物レンズの光軸と直交する方向の位置が調整される。
また、記録の場合には、光源から出射された光ビームは、光学系を介して対物レンズによって光ディスクの信号記録面上に集光される。この場合、光源からの光ビームは高出力であり、記録磁気ヘッドが発生する磁界に基づいて、光ディスクの信号記録面に対して情報信号の磁気記録が行なわれるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光ディスクの高密度化等によって、光ディスクと対物レンズの光ディスク側の面との間の距離Dを光学的なコンタクト状態とし、光学系の開口率(NA)を1以上とすることにより記録密度を高めるようにした、所謂ニアフィールド光記録技術が開発されてきている。
このようなニアフィールド光記録技術の実用化においては、上記距離Dの光学的なコンタクト状態を保持することが重要である。このため、磁気ディスク記録再生装置、所謂ハードディスクドライブ装置におけるヘッドスライダの技術を応用して、対物レンズを光ディスクの表面に対して所定間隔に保持することが試みられている。
【0006】
しかしながら、ハードディスクドライブ装置の場合には、記録媒体としての磁気ディスクに対する信号の記録・再生にて、磁気ヘッドと磁気ディスクとの距離の増加に比例して、信号の記録または再生強度は単純に低下することになるが、光磁気ディスク装置の場合には、対物レンズと光ディスクとの距離が増加すると、光ディスクからの戻り光との干渉により、距離の増加に比例して光量が減少することにはならず、光量の増減が生じることになってしまう。このため、上記距離Dの変動に伴ってS/N比が変動してしまうため、記録・再生性能が低下してしまうという問題があった。
さらに、記録時においては、対物レンズと光ディスクとの間の距離Dの変動は、光ディスクの信号記録面上におけるスポットの光量を大きく変動させることになり、場合によっては書込エラーを生ずることになるため、記録データの信頼性を損なうことになるという問題があった。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、光学的なコンタクト状態にある対物レンズと光ディスクとの間の距離を検出するようにした距離検出装置及び距離検出方法と、これを使用した光ディスク装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、本発明によれば、光学的なコンタクト状態にあって、開口率が1以上に構成された光学レンズ及び光ディスクに関して、メインビーム及び少なくとも1つのサイドビームから成る光ビームを前記光学レンズを介して前記光ディスクに照射する光源と、前記光ディスクからの前記メインビーム及びサイドビームの戻り光を検出する光検出手段と、前記光検出手段からの前記各戻り光の検出信号の差に基づいて、前記光学レンズと光ディスクの間の距離を検出する演算手段とを備え、前記メインビーム及びサイドビームの各光路が、前記光学レンズと光ディスクの間の距離に関して、互いに異なる距離を有するように構成されていることにより達成される。
【0009】
また、上記目的は、本発明によれば、光学的なコンタクト状態にあって、開口率が1以上に構成されており、光源から照射されるメインビーム及び少なくとも1つのサイドビームの各光路が、前記光学レンズと光ディスクの間の距離に関して、互いに異なる距離を有するように構成されている光学レンズ及び光ディスクに関して、前記メインビーム及びサイドビームから成る光ビームを前記光学レンズを介して前記光ディスクに照射し、前記光ディスクからの前記メインビーム及びサイドビームの戻り光を検出し、検出した前記戻り光の光量差に基づいて、前記光学レンズと光ディスクの間の距離を検出することにより達成される。
【0010】
さらに、上記目的は、本発明によれば、光ディスクを回転駆動する回転駆動手段と、回転する前記光ディスクに対して、光学的なコンタクト状態になるように、かつ開口率が1以上になるように保持された光学レンズを介して光を照射し、前記光ディスクの信号記録面からの戻り光を前記光学レンズを介して光検出器により検出する光学ピックアップと、前記光学レンズを2軸方向に移動可能に支持する2軸アクチュエータと、前記光検出器からの検出信号に基づいて、再生信号を生成する信号処理回路と、前記光検出器からの検出信号に基づいて、前記光学ピックアップの対物レンズを2軸方向に移動させるサーボ回路とを備えた光ディスク装置であって、前記光学ピックアップが、メインビーム及び少なくとも1つのサイドビームから成る光ビームを前記光学レンズを介して前記光ディスクに照射する光源と、前記光ディスクからの前記メインビーム及びサイドビームの戻り光を検出する光検出手段と、前記光検出手段からの前記各戻り光の検出信号の差に基づいて、前記光学レンズと光ディスクの間の距離を検出する演算手段とを含んでおり、前記メインビーム及びサイドビームの各光路が、前記光学レンズと光ディスクの間の距離に関して、互いに異なる距離を有するように構成されていることにより達成される。
【0011】
上記構成によれば、光ディスク装置等において、光学ピックアップの光源からのメインビーム及びサイドビームが、それぞれ光学レンズを介して光ディスクの信号記録面に達し、この光ディスクからの戻り光が、再び光学レンズを介して光検出手段に入射する。ここで、光検出手段は、上記メインビーム及びサイドビームの戻り光をそれぞれ検出し、各ビームの光量に基づいて検出信号を出力する。これにより、演算手段は、各ビームに対する検出信号に基づいて、その差を演算することにより、光学レンズと光ディスクの間の距離を検出する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を添付図を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0013】
図1は、本発明による距離検出装置の第1の実施形態を組み込んだ光ディスク装置の構成を示している。
図1において、光ディスク装置10は、光磁気ディスクである光ディスク11を回転駆動する駆動手段としてのスピンドルモータ12と、光学ピックアップ13と、その駆動手段としての送りモータ14と、光ディスク11に対して情報記録を行なうための記録磁気ヘッドとしての記録磁気ヘッド15等を備えている。
【0014】
ここで、スピンドルモータ12は、システムコントローラ16及びサーボ制御回路18により駆動制御され、所定の回転数で回転される。
光ディスク11は、複数の種類の光ディスクを選択して、それぞれ再生できるようになっている。従って、例えば光ディスクとして、光磁気ディスクだけでなく、コンパクトディスク(CD)等の再生専用光ディスクを再生することも可能である。
また、光学ピックアップ13は、この回転する光ディスク11の信号記録面に対して対物レンズ(図示せず)により光を照射して、信号復調器及び誤り訂正回路17からの信号に基づいて記録磁気ヘッド15と共に信号の記録を行ない、またこの信号記録面からの戻り光を検出し、信号復調器及び誤り訂正回路17に対して戻り光に基づく再生信号を出力する。
【0015】
これにより、信号復調器及び誤り訂正回路17の信号復調部にて復調された記録信号は、誤り訂正部を介して誤り訂正され、光ディスク装置10がコンピュータのデータストレージ用である場合には、インターフェイス19を介して外部コンピュータ等に送出される。これにより、外部コンピュータ等は、光ディスク11に記録された信号を再生信号として受け取ることができるようになっている。また、光ディスク装置10がオーディオ用である場合には、上記誤り訂正された記録信号は、点線で示すように、D/A,A/D変換器20のD/A変換部でデジタル/アナログ変換され、オーディオ信号として出力される。
【0016】
上記光学ピックアップ13には、例えば光ディスク11上の所定の記録トラックまで移動させるための送りモータ14が接続されている。そして、スピンドルモータ12,送りモータ14の制御、そして光学ピックアップ13の対物レンズを保持する2軸アクチュエータのフォーカシング方向及びトラッキング方向の制御は、それぞれサーボ制御回路18により行なわれる。
さらに、上記光ディスク装置10は、光ディスク11と光学ピックアップ13の対物レンズ13aの光ディスク11側の表面との間の距離を検出するための距離検出装置21を備えている。
【0017】
図2は、本発明による距離検出装置の第1の実施形態を示している。
図2において、距離検出装置21は、図示の場合、上記光学ピックアップ13の対物レンズ13aに対してメインビームL1及びサイドビーム(図示の場合、メインビームの両側の2本のサイドビームL2,L3)を照射する光源22と、光源22からのメインビームL1,サイドビームL2,L3の光ディスク11からの戻り光をそれぞれ検出する光検出手段23と、光検出手段23からの各検出信号が入力される演算回路24とから構成されている。
【0018】
ここで、上記対物レンズ13aは、図2に示すように、上側、即ち光源側が凸状に形成されていると共に、下側、即ち光ディスク側が中心に平坦な凸部を有する平面として形成されている。この凸部とその周辺領域との間の段差は、例えば光学ピックアップの光源で使用する光の波長λの約1/8程度に選定されている。
このような凸部を有する対物レンズ13aは、凸部の周りの領域を例えばエッチング等により除去し、あるいは凸部をスパッタリングや蒸着等により成膜することによって容易に形成される。
【0019】
例えば、対物レンズ13aが屈折率1.8のガラスから構成されている場合、エッチングでは、例えばArガス雰囲気中でのイオンミリング法や、CF4 ,C2 F6 等のガスに僅かな酸素を導入した雰囲気中でのRIE(反応性イオンエッチング)法を利用することにより、表面粗さが例えば5nm以下の光学面が形成される。また、凸部の成膜では、SiO2 とTa2 O5 との混合ターゲットを利用したスパッタリング法等により、屈折率1.8の膜が形成される。
【0020】
これにより、上記光源22からの各光ビームのうち、メインビームL1は、対物レンズ13aに入射した後、上記凸部から出射して光ディスク11に達し、このメインビームL1の戻り光が再び対物レンズ13aの凸部から入射すると共に、サイドビームL2,L3は、対物レンズ13aに入射した後、上記凸部の両側で出射して光ディスク11に達し、このサイドビームL2,L3の戻り光が再び対物レンズ13aの凸部の両側で入射するようになっている。
かくして、メインビームL1とサイドビームL2,L3の光路に関して、対物レンズ13aと光ディスク11との間の距離、所謂エアギャップが異なるように構成されている。
【0021】
さらに、上記対物レンズ13aは、スライダ25上に搭載されており、このスライダ25が、その光ディスク11側に形成される空気潤滑面25aにより、光ディスク11の表面に対して一定の浮上量で走行することにより、上記対物レンズ13aが光ディスク11に対して光学的なコンタクト状態に保持されるようになっている。
上記演算回路24は、光検出手段23からの各検出信号の差を演算し、さらにこの差信号から対物レンズ13aと光ディスク11との間の距離を演算する。
尚、上記光源22は、光学ピックアップ13の光源が使用可能であると共に、メインビームから2つのサイドビームを分割するためには、例えばグレーティング,ホログラム素子等の光分割手段が使用可能である。
また、上記光検出手段23は、例えば3ビーム法によるトラッキングサーボを行なう方式の光学ピックアップにおける光検出器がそのまま利用可能である。
【0022】
本発明による光ディスク装置10は、以上のように構成されており、図2にて、光源からのメインビームL1及びサイドビームL2,L3が、上方から対物レンズ13aを介して、光ディスク11の信号記録面に結像される。そして、光ディスク11からの戻り光、即ちメインビームL1及びサイドビームL2,L3の戻り光が、それぞれ再び対物レンズ13aを介して光検出手段23に入射し、各ビームL1,L2,L3に関する戻り光が検出される。
このとき、メインビームL1は、対物レンズ13aの凸部を通って光ディスク11に入射し、再びこの凸部から対物レンズ13a内に入射するので、対物レンズ13aから光ディスク11までのエアギャップが小さい。これに対して、サイドビームL2,L3は、対物レンズ13aの凸部の両側を通って光ディスク11に入射し、再びこの凸部の両側から対物レンズ13a内に入射するので、対物レンズ13aから光ディスク11までのエアギャップが大きい。
【0023】
従って、光検出手段23により検出されるメインビームL1とサイドビームL2,L3の戻り光の光量は、このエアギャップの差に基づいて異なることになる。
これは、戻り光の光量は、対物レンズ13aの屈折率,NA,光ディスクの構成及び屈折率,そして光源22からの光の波長と、光源22から光検出手段23までの距離に基づいて決まると共に、この光源22から光検出手段23までの距離が上記エアギャップの差だけ異なるからである。
【0024】
これにより、上記メインビームL1とサイドビームL2,L3の戻り光に対する光検出手段23の検出信号の差を取ることにより、対物レンズ13aの凸部における対物レンズ13aと光ディスク11との間の距離が演算されることになる。
かくして、このようにして演算された上記距離を常時モニタすることにより、上記距離が変動したときには、即時にその変動が検出されることになり、この距離変動による光ディスクに対する記録エラーの発生が、記録された光ディスクを再生することなく予測されることになり、記録データの信頼性が向上することになる。
【0025】
尚、上記距離の演算は、メインビームL1の戻り光の検出信号と、サイドビームL2,L3のうち、何れか一方の戻り光の検出信号とにより行なわれるが、演算回路24が、双方のサイドビームL2,L3の戻り光の検出信号の差信号を取ることにより、その正負及び大きさに基づいて光ディスク11に対する対物レンズ13aの傾き(スキュー)を検出することも可能である。
この場合、従来のスキュー検出手段の場合のように光学ピックアップの再生信号を利用せず、独立したスキュー信号が得られることになり、このスキュー信号に基づいて適宜の方法により対物レンズ13aのスキューサーボを行なうことが可能である。
【0026】
図3は、本発明による距離検出装置の第2の実施形態を示している。
図3において、距離検出装置30は、基本的には図2に示した距離検出装置20とほぼ同様の構成であるが、対物レンズ13aの光ディスク11に対する光学的なコンタクト状態の保持が、スライダではなく、アクチュエータ31によって行なわれている点でのみ異なる構成になっている。
この場合、アクチュエータ31は、対物レンズ13aの光軸の周りに循環するように形成されたコイルによって構成されている。
【0027】
このような構成の距離検出装置30によれば、対物レンズ13aは、上記アクチュエータ31により、光ディスク11に対して光学的なコンタクト状態に保持されると共に、光源22からのメインビームL1及びサイドビームL2,L3が対物レンズ13aを介して光ディスク11に照射され、その光ディスク11からの戻り光が、それぞれ光検出手段23によって検出されることにより、図2に示した距離検出装置20と同様に、対物レンズ13aと光ディスク11との間の距離が検出されることになる。
【0028】
図4は、このような構成の距離検出装置20の具体例における概略的な計算結果による上記エアギャップの距離と対物レンズ13aの透過率の関係を示している。
ここで、この計算結果は、平行波における干渉信号と、エバネッセント減少する信号とを現実に近い状態になるように組み合わせた計算であるので、実際の関係と一致する範囲は、集光された光が平行に進行するとみなされる領域、即ち焦点深度内である領域あるいはその領域に近い領域となり、例えば波長λの1/4または1/2以下程度と考えられる。
【0029】
図4(A)は、上記メインビームL1に関する光ディスク11での入射光量を示しており、図4(B)は、上記サイドビームL2またはL3に関する光ディスク11での入射光量を示している。
これにより、演算回路24で得られる差信号は、図4(C)に示すようになり、距離が近い領域、即ち図4(C)にて横軸の目盛(距離×2Pi/λ)が1以下において上記差信号と距離が一義的に対応するので、差信号に基づいて上記距離即ちエアギャップが求められることになる。
【0030】
上述した実施形態においては、メインビームが対物レンズ13aの凸部を通過するように構成されているが、これに限らず、サイドビームが対物レンズ13aの凸部を通過するようにしてもよい。この場合、対物レンズ13aの凸部は、前述したと同様に周囲のエッチングまたは凸部の成膜によって形成されるが、凸部の成膜の場合には、対物13aの本体部分と凸部との屈折率を等しくする必要がない。従って、成膜条件として、対物レンズ13aの本体部分への密着性を重視したSiN等の材料を選定することも可能であり、また光ディスクへの衝突対策として、光ディスクの表面に形成される保護膜と同じ材質の膜を形成するようにしてもよい。
【0031】
また、上記実施形態においては、対物レンズ13aの凸部と周囲との段差は、約λ/8に選定されているが、これに限らず、これより小さくてもよい。
さらに、上記実施形態においては、光磁気ディスクの記録再生を行なう光磁気ディスク装置について説明したが、これに限らず、ニアフィールド光記録技術が採用される他の種類の光ディスク、例えば相変化記録式光ディスクやコンパクトディスク(CD)等の再生専用光ディスクのための光ディスク装置に対しても本発明を適用することができる。
【0032】
以上述べたように、光ディスク装置等において、光学ピックアップの光源からのメインビーム及びサイドビームが、それぞれ光学レンズを介して光ディスクの信号記録面に達し、この光ディスクからの戻り光が、再び光学レンズを介して光検出手段に入射する。ここで、光検出手段は、上記メインビーム及びサイドビームの戻り光をそれぞれ検出し、各ビームの光量に基づいて検出信号を出力する。これにより、演算手段は、各ビームに対する検出信号に基づいて、その差を演算することにより、光学レンズと光ディスクの間の距離を検出することになる。
【0033】
従って、検出された光学レンズと光ディスクの間の距離に基づいて、距離の変化を監視することにより、光ディスクの記録エラーが事前に把握できることになり、記録データの信頼性が向上することになる。
また、メインビームに対して両側のサイドビームについて、光学レンズと光ディスクの間の距離を検出することにより、光ディスクに対する光学レンズの傾斜が検出され得ることになり、光学ピックアップの再生信号を利用することなく、スキューサーボのための信号が得られるので、再生信号に対して独立した傾斜信号が得られることになる。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、光学的なコンタクト状態にある対物レンズと光ディスクとの間の距離を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による距離検出装置の第1の実施形態を組み込んだ光磁気ディスク装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】図1の光磁気ディスク装置における距離検出装置の構成を示す概略断面図である。
【図3】本発明による距離検出装置の第2の実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図4】図2の距離検出装置における検出すべき距離とエアギャップの透過率を示すグラフであって、(A)メインビーム,(B)サイドビーム及び(C)両者の差を示す。
【符号の説明】
10・・・光ディスク装置、11・・・光ディスク、12・・・スピンドルモータ、13・・・光学ピックアップ、14・・・送りモータ、15・・・記録磁気ヘッド、16・・・システムコントローラ、17・・・信号変復調器及び誤り訂正回路、18・・・サーボ制御回路、19・・・インタフェース、20・・・D/A,A/D変換器、21・・・距離検出装置、22・・・光源、23・・・光検出手段、24・・・スライダ、24a・・・空気潤滑面、25・・・演算回路、30・・・距離検出装置、31・・・アクチュエータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクの信号を記録または再生するための光ディスク装置と、これに使用される距離検出装置及び距離検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば光磁気ディスク(MO)等の光ディスクに対する情報信号の記録及び再生は、光ディスク装置により行なわれる。
この光ディスク装置は、光ディスクを回転駆動するスピンドルモータ等の回転駆動手段と、回転する光ディスクに対して光源から対物レンズを含む光学系を介して光を照射し、光ディスクの信号記録面からの戻り光を対物レンズを介して光検出器により検出する光学ピックアップと、対物レンズを2軸方向、即ちフォーカシング方向及びトラッキング方向に移動可能に支持する2軸アクチュエータと、光ディスクに対して記録すべき信号に基づいて磁界を発生する記録磁気ヘッドとから構成されている。
【0003】
これにより、再生の場合には、光学ピックアップの光源から出射された光ビームは、光学系を介して光ディスクの信号記録面上に集光される。光ディスクからの戻り光ビームは、光学系により光源から出射された光ビームと分離されて光検出器に導かれる。これにより、光検出器からの検出信号に基づいて、光ディスクに記録された情報信号の再生が行なわれる。
その際、光源から出射された光ビームは、光ディスクの反り等に起因して発生する光ディスクの面方向と直交する方向の光ディスクの変位に追従して、光ディスクの信号記録面上で合焦されるように、対物レンズの光軸方向の位置が調整される。
【0004】
同時に、光源から出射された光ビームの光ディスク上のスポットの位置が、光ディスクの偏心や光ディスク上に形成されたトラックの蛇行に追従するように、対物レンズの光軸と直交する方向の位置が調整される。
また、記録の場合には、光源から出射された光ビームは、光学系を介して対物レンズによって光ディスクの信号記録面上に集光される。この場合、光源からの光ビームは高出力であり、記録磁気ヘッドが発生する磁界に基づいて、光ディスクの信号記録面に対して情報信号の磁気記録が行なわれるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光ディスクの高密度化等によって、光ディスクと対物レンズの光ディスク側の面との間の距離Dを光学的なコンタクト状態とし、光学系の開口率(NA)を1以上とすることにより記録密度を高めるようにした、所謂ニアフィールド光記録技術が開発されてきている。
このようなニアフィールド光記録技術の実用化においては、上記距離Dの光学的なコンタクト状態を保持することが重要である。このため、磁気ディスク記録再生装置、所謂ハードディスクドライブ装置におけるヘッドスライダの技術を応用して、対物レンズを光ディスクの表面に対して所定間隔に保持することが試みられている。
【0006】
しかしながら、ハードディスクドライブ装置の場合には、記録媒体としての磁気ディスクに対する信号の記録・再生にて、磁気ヘッドと磁気ディスクとの距離の増加に比例して、信号の記録または再生強度は単純に低下することになるが、光磁気ディスク装置の場合には、対物レンズと光ディスクとの距離が増加すると、光ディスクからの戻り光との干渉により、距離の増加に比例して光量が減少することにはならず、光量の増減が生じることになってしまう。このため、上記距離Dの変動に伴ってS/N比が変動してしまうため、記録・再生性能が低下してしまうという問題があった。
さらに、記録時においては、対物レンズと光ディスクとの間の距離Dの変動は、光ディスクの信号記録面上におけるスポットの光量を大きく変動させることになり、場合によっては書込エラーを生ずることになるため、記録データの信頼性を損なうことになるという問題があった。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、光学的なコンタクト状態にある対物レンズと光ディスクとの間の距離を検出するようにした距離検出装置及び距離検出方法と、これを使用した光ディスク装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、本発明によれば、光学的なコンタクト状態にあって、開口率が1以上に構成された光学レンズ及び光ディスクに関して、メインビーム及び少なくとも1つのサイドビームから成る光ビームを前記光学レンズを介して前記光ディスクに照射する光源と、前記光ディスクからの前記メインビーム及びサイドビームの戻り光を検出する光検出手段と、前記光検出手段からの前記各戻り光の検出信号の差に基づいて、前記光学レンズと光ディスクの間の距離を検出する演算手段とを備え、前記メインビーム及びサイドビームの各光路が、前記光学レンズと光ディスクの間の距離に関して、互いに異なる距離を有するように構成されていることにより達成される。
【0009】
また、上記目的は、本発明によれば、光学的なコンタクト状態にあって、開口率が1以上に構成されており、光源から照射されるメインビーム及び少なくとも1つのサイドビームの各光路が、前記光学レンズと光ディスクの間の距離に関して、互いに異なる距離を有するように構成されている光学レンズ及び光ディスクに関して、前記メインビーム及びサイドビームから成る光ビームを前記光学レンズを介して前記光ディスクに照射し、前記光ディスクからの前記メインビーム及びサイドビームの戻り光を検出し、検出した前記戻り光の光量差に基づいて、前記光学レンズと光ディスクの間の距離を検出することにより達成される。
【0010】
さらに、上記目的は、本発明によれば、光ディスクを回転駆動する回転駆動手段と、回転する前記光ディスクに対して、光学的なコンタクト状態になるように、かつ開口率が1以上になるように保持された光学レンズを介して光を照射し、前記光ディスクの信号記録面からの戻り光を前記光学レンズを介して光検出器により検出する光学ピックアップと、前記光学レンズを2軸方向に移動可能に支持する2軸アクチュエータと、前記光検出器からの検出信号に基づいて、再生信号を生成する信号処理回路と、前記光検出器からの検出信号に基づいて、前記光学ピックアップの対物レンズを2軸方向に移動させるサーボ回路とを備えた光ディスク装置であって、前記光学ピックアップが、メインビーム及び少なくとも1つのサイドビームから成る光ビームを前記光学レンズを介して前記光ディスクに照射する光源と、前記光ディスクからの前記メインビーム及びサイドビームの戻り光を検出する光検出手段と、前記光検出手段からの前記各戻り光の検出信号の差に基づいて、前記光学レンズと光ディスクの間の距離を検出する演算手段とを含んでおり、前記メインビーム及びサイドビームの各光路が、前記光学レンズと光ディスクの間の距離に関して、互いに異なる距離を有するように構成されていることにより達成される。
【0011】
上記構成によれば、光ディスク装置等において、光学ピックアップの光源からのメインビーム及びサイドビームが、それぞれ光学レンズを介して光ディスクの信号記録面に達し、この光ディスクからの戻り光が、再び光学レンズを介して光検出手段に入射する。ここで、光検出手段は、上記メインビーム及びサイドビームの戻り光をそれぞれ検出し、各ビームの光量に基づいて検出信号を出力する。これにより、演算手段は、各ビームに対する検出信号に基づいて、その差を演算することにより、光学レンズと光ディスクの間の距離を検出する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を添付図を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0013】
図1は、本発明による距離検出装置の第1の実施形態を組み込んだ光ディスク装置の構成を示している。
図1において、光ディスク装置10は、光磁気ディスクである光ディスク11を回転駆動する駆動手段としてのスピンドルモータ12と、光学ピックアップ13と、その駆動手段としての送りモータ14と、光ディスク11に対して情報記録を行なうための記録磁気ヘッドとしての記録磁気ヘッド15等を備えている。
【0014】
ここで、スピンドルモータ12は、システムコントローラ16及びサーボ制御回路18により駆動制御され、所定の回転数で回転される。
光ディスク11は、複数の種類の光ディスクを選択して、それぞれ再生できるようになっている。従って、例えば光ディスクとして、光磁気ディスクだけでなく、コンパクトディスク(CD)等の再生専用光ディスクを再生することも可能である。
また、光学ピックアップ13は、この回転する光ディスク11の信号記録面に対して対物レンズ(図示せず)により光を照射して、信号復調器及び誤り訂正回路17からの信号に基づいて記録磁気ヘッド15と共に信号の記録を行ない、またこの信号記録面からの戻り光を検出し、信号復調器及び誤り訂正回路17に対して戻り光に基づく再生信号を出力する。
【0015】
これにより、信号復調器及び誤り訂正回路17の信号復調部にて復調された記録信号は、誤り訂正部を介して誤り訂正され、光ディスク装置10がコンピュータのデータストレージ用である場合には、インターフェイス19を介して外部コンピュータ等に送出される。これにより、外部コンピュータ等は、光ディスク11に記録された信号を再生信号として受け取ることができるようになっている。また、光ディスク装置10がオーディオ用である場合には、上記誤り訂正された記録信号は、点線で示すように、D/A,A/D変換器20のD/A変換部でデジタル/アナログ変換され、オーディオ信号として出力される。
【0016】
上記光学ピックアップ13には、例えば光ディスク11上の所定の記録トラックまで移動させるための送りモータ14が接続されている。そして、スピンドルモータ12,送りモータ14の制御、そして光学ピックアップ13の対物レンズを保持する2軸アクチュエータのフォーカシング方向及びトラッキング方向の制御は、それぞれサーボ制御回路18により行なわれる。
さらに、上記光ディスク装置10は、光ディスク11と光学ピックアップ13の対物レンズ13aの光ディスク11側の表面との間の距離を検出するための距離検出装置21を備えている。
【0017】
図2は、本発明による距離検出装置の第1の実施形態を示している。
図2において、距離検出装置21は、図示の場合、上記光学ピックアップ13の対物レンズ13aに対してメインビームL1及びサイドビーム(図示の場合、メインビームの両側の2本のサイドビームL2,L3)を照射する光源22と、光源22からのメインビームL1,サイドビームL2,L3の光ディスク11からの戻り光をそれぞれ検出する光検出手段23と、光検出手段23からの各検出信号が入力される演算回路24とから構成されている。
【0018】
ここで、上記対物レンズ13aは、図2に示すように、上側、即ち光源側が凸状に形成されていると共に、下側、即ち光ディスク側が中心に平坦な凸部を有する平面として形成されている。この凸部とその周辺領域との間の段差は、例えば光学ピックアップの光源で使用する光の波長λの約1/8程度に選定されている。
このような凸部を有する対物レンズ13aは、凸部の周りの領域を例えばエッチング等により除去し、あるいは凸部をスパッタリングや蒸着等により成膜することによって容易に形成される。
【0019】
例えば、対物レンズ13aが屈折率1.8のガラスから構成されている場合、エッチングでは、例えばArガス雰囲気中でのイオンミリング法や、CF4 ,C2 F6 等のガスに僅かな酸素を導入した雰囲気中でのRIE(反応性イオンエッチング)法を利用することにより、表面粗さが例えば5nm以下の光学面が形成される。また、凸部の成膜では、SiO2 とTa2 O5 との混合ターゲットを利用したスパッタリング法等により、屈折率1.8の膜が形成される。
【0020】
これにより、上記光源22からの各光ビームのうち、メインビームL1は、対物レンズ13aに入射した後、上記凸部から出射して光ディスク11に達し、このメインビームL1の戻り光が再び対物レンズ13aの凸部から入射すると共に、サイドビームL2,L3は、対物レンズ13aに入射した後、上記凸部の両側で出射して光ディスク11に達し、このサイドビームL2,L3の戻り光が再び対物レンズ13aの凸部の両側で入射するようになっている。
かくして、メインビームL1とサイドビームL2,L3の光路に関して、対物レンズ13aと光ディスク11との間の距離、所謂エアギャップが異なるように構成されている。
【0021】
さらに、上記対物レンズ13aは、スライダ25上に搭載されており、このスライダ25が、その光ディスク11側に形成される空気潤滑面25aにより、光ディスク11の表面に対して一定の浮上量で走行することにより、上記対物レンズ13aが光ディスク11に対して光学的なコンタクト状態に保持されるようになっている。
上記演算回路24は、光検出手段23からの各検出信号の差を演算し、さらにこの差信号から対物レンズ13aと光ディスク11との間の距離を演算する。
尚、上記光源22は、光学ピックアップ13の光源が使用可能であると共に、メインビームから2つのサイドビームを分割するためには、例えばグレーティング,ホログラム素子等の光分割手段が使用可能である。
また、上記光検出手段23は、例えば3ビーム法によるトラッキングサーボを行なう方式の光学ピックアップにおける光検出器がそのまま利用可能である。
【0022】
本発明による光ディスク装置10は、以上のように構成されており、図2にて、光源からのメインビームL1及びサイドビームL2,L3が、上方から対物レンズ13aを介して、光ディスク11の信号記録面に結像される。そして、光ディスク11からの戻り光、即ちメインビームL1及びサイドビームL2,L3の戻り光が、それぞれ再び対物レンズ13aを介して光検出手段23に入射し、各ビームL1,L2,L3に関する戻り光が検出される。
このとき、メインビームL1は、対物レンズ13aの凸部を通って光ディスク11に入射し、再びこの凸部から対物レンズ13a内に入射するので、対物レンズ13aから光ディスク11までのエアギャップが小さい。これに対して、サイドビームL2,L3は、対物レンズ13aの凸部の両側を通って光ディスク11に入射し、再びこの凸部の両側から対物レンズ13a内に入射するので、対物レンズ13aから光ディスク11までのエアギャップが大きい。
【0023】
従って、光検出手段23により検出されるメインビームL1とサイドビームL2,L3の戻り光の光量は、このエアギャップの差に基づいて異なることになる。
これは、戻り光の光量は、対物レンズ13aの屈折率,NA,光ディスクの構成及び屈折率,そして光源22からの光の波長と、光源22から光検出手段23までの距離に基づいて決まると共に、この光源22から光検出手段23までの距離が上記エアギャップの差だけ異なるからである。
【0024】
これにより、上記メインビームL1とサイドビームL2,L3の戻り光に対する光検出手段23の検出信号の差を取ることにより、対物レンズ13aの凸部における対物レンズ13aと光ディスク11との間の距離が演算されることになる。
かくして、このようにして演算された上記距離を常時モニタすることにより、上記距離が変動したときには、即時にその変動が検出されることになり、この距離変動による光ディスクに対する記録エラーの発生が、記録された光ディスクを再生することなく予測されることになり、記録データの信頼性が向上することになる。
【0025】
尚、上記距離の演算は、メインビームL1の戻り光の検出信号と、サイドビームL2,L3のうち、何れか一方の戻り光の検出信号とにより行なわれるが、演算回路24が、双方のサイドビームL2,L3の戻り光の検出信号の差信号を取ることにより、その正負及び大きさに基づいて光ディスク11に対する対物レンズ13aの傾き(スキュー)を検出することも可能である。
この場合、従来のスキュー検出手段の場合のように光学ピックアップの再生信号を利用せず、独立したスキュー信号が得られることになり、このスキュー信号に基づいて適宜の方法により対物レンズ13aのスキューサーボを行なうことが可能である。
【0026】
図3は、本発明による距離検出装置の第2の実施形態を示している。
図3において、距離検出装置30は、基本的には図2に示した距離検出装置20とほぼ同様の構成であるが、対物レンズ13aの光ディスク11に対する光学的なコンタクト状態の保持が、スライダではなく、アクチュエータ31によって行なわれている点でのみ異なる構成になっている。
この場合、アクチュエータ31は、対物レンズ13aの光軸の周りに循環するように形成されたコイルによって構成されている。
【0027】
このような構成の距離検出装置30によれば、対物レンズ13aは、上記アクチュエータ31により、光ディスク11に対して光学的なコンタクト状態に保持されると共に、光源22からのメインビームL1及びサイドビームL2,L3が対物レンズ13aを介して光ディスク11に照射され、その光ディスク11からの戻り光が、それぞれ光検出手段23によって検出されることにより、図2に示した距離検出装置20と同様に、対物レンズ13aと光ディスク11との間の距離が検出されることになる。
【0028】
図4は、このような構成の距離検出装置20の具体例における概略的な計算結果による上記エアギャップの距離と対物レンズ13aの透過率の関係を示している。
ここで、この計算結果は、平行波における干渉信号と、エバネッセント減少する信号とを現実に近い状態になるように組み合わせた計算であるので、実際の関係と一致する範囲は、集光された光が平行に進行するとみなされる領域、即ち焦点深度内である領域あるいはその領域に近い領域となり、例えば波長λの1/4または1/2以下程度と考えられる。
【0029】
図4(A)は、上記メインビームL1に関する光ディスク11での入射光量を示しており、図4(B)は、上記サイドビームL2またはL3に関する光ディスク11での入射光量を示している。
これにより、演算回路24で得られる差信号は、図4(C)に示すようになり、距離が近い領域、即ち図4(C)にて横軸の目盛(距離×2Pi/λ)が1以下において上記差信号と距離が一義的に対応するので、差信号に基づいて上記距離即ちエアギャップが求められることになる。
【0030】
上述した実施形態においては、メインビームが対物レンズ13aの凸部を通過するように構成されているが、これに限らず、サイドビームが対物レンズ13aの凸部を通過するようにしてもよい。この場合、対物レンズ13aの凸部は、前述したと同様に周囲のエッチングまたは凸部の成膜によって形成されるが、凸部の成膜の場合には、対物13aの本体部分と凸部との屈折率を等しくする必要がない。従って、成膜条件として、対物レンズ13aの本体部分への密着性を重視したSiN等の材料を選定することも可能であり、また光ディスクへの衝突対策として、光ディスクの表面に形成される保護膜と同じ材質の膜を形成するようにしてもよい。
【0031】
また、上記実施形態においては、対物レンズ13aの凸部と周囲との段差は、約λ/8に選定されているが、これに限らず、これより小さくてもよい。
さらに、上記実施形態においては、光磁気ディスクの記録再生を行なう光磁気ディスク装置について説明したが、これに限らず、ニアフィールド光記録技術が採用される他の種類の光ディスク、例えば相変化記録式光ディスクやコンパクトディスク(CD)等の再生専用光ディスクのための光ディスク装置に対しても本発明を適用することができる。
【0032】
以上述べたように、光ディスク装置等において、光学ピックアップの光源からのメインビーム及びサイドビームが、それぞれ光学レンズを介して光ディスクの信号記録面に達し、この光ディスクからの戻り光が、再び光学レンズを介して光検出手段に入射する。ここで、光検出手段は、上記メインビーム及びサイドビームの戻り光をそれぞれ検出し、各ビームの光量に基づいて検出信号を出力する。これにより、演算手段は、各ビームに対する検出信号に基づいて、その差を演算することにより、光学レンズと光ディスクの間の距離を検出することになる。
【0033】
従って、検出された光学レンズと光ディスクの間の距離に基づいて、距離の変化を監視することにより、光ディスクの記録エラーが事前に把握できることになり、記録データの信頼性が向上することになる。
また、メインビームに対して両側のサイドビームについて、光学レンズと光ディスクの間の距離を検出することにより、光ディスクに対する光学レンズの傾斜が検出され得ることになり、光学ピックアップの再生信号を利用することなく、スキューサーボのための信号が得られるので、再生信号に対して独立した傾斜信号が得られることになる。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、光学的なコンタクト状態にある対物レンズと光ディスクとの間の距離を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による距離検出装置の第1の実施形態を組み込んだ光磁気ディスク装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】図1の光磁気ディスク装置における距離検出装置の構成を示す概略断面図である。
【図3】本発明による距離検出装置の第2の実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図4】図2の距離検出装置における検出すべき距離とエアギャップの透過率を示すグラフであって、(A)メインビーム,(B)サイドビーム及び(C)両者の差を示す。
【符号の説明】
10・・・光ディスク装置、11・・・光ディスク、12・・・スピンドルモータ、13・・・光学ピックアップ、14・・・送りモータ、15・・・記録磁気ヘッド、16・・・システムコントローラ、17・・・信号変復調器及び誤り訂正回路、18・・・サーボ制御回路、19・・・インタフェース、20・・・D/A,A/D変換器、21・・・距離検出装置、22・・・光源、23・・・光検出手段、24・・・スライダ、24a・・・空気潤滑面、25・・・演算回路、30・・・距離検出装置、31・・・アクチュエータ
Claims (6)
- 光学的なコンタクト状態にあって、開口率が1以上に構成された光学レンズ及び光ディスクに関して、
メインビーム及び少なくとも1つのサイドビームから成る光ビームを前記光学レンズを介して前記光ディスクに照射する光源と、
前記光ディスクからの前記メインビーム及びサイドビームの戻り光を検出する光検出手段と、
前記光検出手段からの前記各戻り光の検出信号の差に基づいて、前記光学レンズと光ディスクの間の距離を検出する演算手段とを備え、
前記メインビーム及びサイドビームの各光路が、前記光学レンズと光ディスクの間の距離に関して、互いに異なる距離を有するように構成されている
ことを特徴とする距離検出装置。 - 前記異なる距離が、前記光学レンズのレンズ面に形成された段差により与えられる請求項1に記載の距離検出装置。
- 前記光学レンズが、前記光ディスクの表面に対して、空気潤滑面により一定の浮上量を保持するスライダによって、光学的なコンタクト状態に保持されている請求項1に記載の距離検出装置。
- 前記光学レンズが、前記光ディスクの表面に対して、アクチュエータによって、光学的なコンタクト状態に保持されている請求項1に記載の距離検出装置。
- 光学的なコンタクト状態にあって、開口率が1以上に構成されており、光源から照射されるメインビーム及び少なくとも1つのサイドビームの各光路が、前記光学レンズと光ディスクの間の距離に関して、互いに異なる距離を有するように構成されている光学レンズ及び光ディスクに関して、
前記メインビーム及びサイドビームから成る光ビームを前記光学レンズを介して前記光ディスクに照射し、
前記光ディスクからの前記メインビーム及びサイドビームの戻り光を検出し、検出した前記戻り光の光量差に基づいて、前記光学レンズと光ディスクの間の距離を検出する
ことを特徴とする距離検出方法。 - 光ディスクを回転駆動する回転駆動手段と、
回転する前記光ディスクに対して、光学的なコンタクト状態になるように、かつ開口率が1以上になるように保持された光学レンズを介して光を照射し、前記光ディスクの信号記録面からの戻り光を前記光学レンズを介して光検出器により検出する光学ピックアップと、
前記光学レンズを2軸方向に移動可能に支持する2軸アクチュエータと、
前記光検出器からの検出信号に基づいて、再生信号を生成する信号処理回路と、
前記光検出器からの検出信号に基づいて、前記光学ピックアップの対物レンズを2軸方向に移動させるサーボ回路とを備えた光ディスク装置であって、
前記光学ピックアップが、
メインビーム及び少なくとも1つのサイドビームから成る光ビームを前記光学レンズを介して前記光ディスクに照射する光源と、
前記光ディスクからの前記メインビーム及びサイドビームの戻り光を検出する光検出手段と、
前記光検出手段からの前記各戻り光の検出信号の差に基づいて、前記光学レンズと光ディスクの間の距離を検出する演算手段とを含んでおり、
前記メインビーム及びサイドビームの各光路が、前記光学レンズと光ディスクの間の距離に関して、互いに異なる距離を有するように構成されている
ことを特徴とする光ディスク装置。
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