JP3903549B2 - 室温硬化性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は湿分存在下で硬化する室温硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
末端に加水分解性ケイ素基を有する各種の重合体を硬化させてシーラント、接着剤等に使用する方法はよく知られており、工業的に有用である。このような重合体のうち、特に主鎖がポリオキシアルキレンである重合体は、室温で液状であり、かつ硬化体が比較的低温でも柔軟性を保持し、シーラント、接着剤等に利用する場合好ましい特性を備えている。
【0003】
そのような湿分硬化性の重合体としては、特開平3−72527および特開平3−47825等に記載されている末端に加水分解性ケイ素基を有する重合体が挙げられる。このような末端に加水分解性ケイ素基を有する重合体は、伸びや柔軟性を保持するためにケイ素原子1つ当たり2つの加水分解性基が結合してなる加水分解性ケイ素基を通常有する。
【0004】
しかしこのようなケイ素原子1つ当たり2つの加水分解性基が結合してなる加水分解性ケイ素基を有する重合体は硬化性に劣り、硬化体の架橋密度が充分でないために、低分子量の可塑剤を使用した場合には可塑剤が表面にしみ出す、いわゆるブリードアウトが生じ、硬化体の表面や塗料が施される場合はその塗料が空気中の塵埃を付着し、汚染されやすい問題があった。この問題を解決するために高分子可塑剤の使用が特公昭60−8024等で提案されているが、ケイ素原子1つ当たり2つの加水分解性基が結合してなる加水分解性ケイ素基を有する重合体を用いた場合には硬化性、耐汚染性の改良は充分ではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、加水分解性ケイ素基を有する重合体に対して、その柔軟性や作業性を大きく悪化させることなく硬化性や硬化体の耐汚染性を向上する組成について検討した結果、本発明に至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記式(1)で表される加水分解性ケイ素基を有する重合体(A)を含有する室温硬化性組成物であって、重合体(A)として、式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基および式(1)中のaが3である加水分解性ケイ素基を併有し、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体(A’)、硬化触媒(B)、ならびに分子量1000以上の高分子可塑剤(C)および/または25℃での粘度が8P以上の可塑剤(D)を必須成分とし、重合体(A)における、式(1)で表される全加水分解性ケイ素基中の、aが3である加水分解性ケイ素基の割合が5〜80%である室温硬化性組成物である。
本発明はまた、式(1)で表される加水分解性ケイ素基を有する重合体(A)を含有する室温硬化性組成物であって、重合体(A)として、式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基を有し、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体(A”)、および式(1)中のaが3である加水分解性ケイ素基を有し、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体(A”’)、硬化触媒(B)、ならびに、分子量1000以上の高分子可塑剤(C)および/または25℃での粘度が8P以上の可塑剤(D)を必須成分とし、重合体(A)における、式(1)で表される全加水分解性ケイ素基中の、aが3である加水分解性ケイ素基の割合が5〜80%である室温硬化性組成物である。
−SiXaR1 3−a ・・・(1)
(式(1)中、R1は炭素数1〜20の置換もしくは非置換の1価の有機基であり、Xは水酸基または加水分解性基であり、aは1、2または3である。ただし、R1が複数個存在するときは同じでも異なってもよく、Xが複数個存在するときは同じでも異なってもよい。)
【0007】
本発明で使用する重合体は、上記式(1)で表される加水分解性ケイ素基を有する。加水分解性ケイ素基の位置は分子鎖末端または側鎖末端が好ましい。重合体の主鎖はポリオキシアルキレン鎖である。
【0008】
このような重合体は、たとえば特開平3−47825、特開平3−72527、特開平3−79627、特公昭46−30711、特公昭45−36319、特公昭46−17553等に提案されている。
【0009】
以下、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体について説明する。このような重合体は、下記に述べるように官能基を有するポリオキシアルキレン重合体を原料とし、末端に適宜有機基を介して加水分解性ケイ素基を導入して製造されることが好ましい。
【0010】
原料ポリオキシアルキレン重合体としては、触媒の存在下1つ以上の水酸基を有するヒドロキシ化合物などの開始剤にモノエポキシドなどを反応させて製造される水酸基末端のものが好ましい。
【0011】
モノエポキシドとしてはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ヘキシレンオキシド等が挙げられる。テトラヒドロフラン等も使用できる。触媒としては、カリウム系化合物やセシウム系化合物等のアルカリ金属触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、金属ポルフィリン触媒などが挙げられる。
【0012】
原料ポリオキシアルキレン重合体として高分子量のポリオキシアルキレン重合体を使用する場合には、アルカリ触媒等にて製造した比較的低分子量のポリオキシアルキレン重合体に塩化メチレン等の多ハロゲン化合物を反応させることにより多量化して得られるポリオキシアルキレン重合体を使用できる。
【0013】
複合金属シアン化物錯体触媒を用いて製造したポリオキシアルキレン重合体は、アルカリ触媒を用いた場合に比べ分子量分布が狭く、良好な硬化性が得られるため、このポリオキシアルキレン重合体を用いることが好ましい。
【0014】
複合金属シアン化物錯体としては亜鉛ヘキサシアノコバルテートを主成分とする錯体が好ましく、そのエーテルおよび/またはアルコール錯体が特に好ましい。その組成は本質的に特公昭46−27250に記載されているものが使用できる。エーテルとしてはエチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)等が好ましく、錯体の製造時の取り扱い点からグライムが特に好ましい。アルコールとしては特開平4−145123に記載されているt−ブタノールが好ましい。
【0015】
原料ポリオキシアルキレン重合体の官能基数は2以上が好ましく、硬化体特性として柔軟性を強調したい場合には2または3が特に好ましく、接着性や硬化性を強調したい場合には3〜8が特に好ましい。
【0016】
原料ポリオキシアルキレン重合体としては、具体的にはポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシヘキシレン、ポリオキシテトラメチレンおよびこれらの共重合物が挙げられる。
【0017】
特に好ましい原料ポリオキシアルキレン重合体はポリオキシプロピレンジオールとポリオキシプロピレントリオールである。また、下記(イ)や(ニ)の方法に用いる場合、アリル末端ポリオキシプロピレンモノオールなどのオレフィン末端のポリオキシアルキレン重合体も使用できる。
【0018】
式(1)で表される加水分解性ケイ素基について説明する。
式(1)中R1 は炭素数1〜20の置換もしくは非置換の1価の有機基であり、好ましくは炭素数8以下のアルキル基、フェニル基またはフルオロアルキル基である。特に好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等である。R1 が複数個存在するときは同じでも異なってもよい。
【0019】
Xにおける加水分解性基としては、たとえばハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミド基、アミノ基、アミノオキシ基、ケトキシメート基、ヒドリド基などがある。
【0020】
これらのうち炭素原子を有する加水分解性基の炭素数は6以下が好ましく、4以下が特に好ましい。好ましいXは炭素数4以下の低級アルコキシ基、特にメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはプロペニルオキシ基が例示できる。またXが複数個存在するときは同じでも異なってもよい。
【0021】
aは1、2または3である。
重合体中の加水分解性ケイ素基の数は1〜8が好ましく、2〜6が特に好ましい。
加水分解性ケイ素基の原料ポリオキシアルキレン重合体への導入の方法は特には限定されないが、たとえば以下の(イ)〜(ニ)の方法で導入できる。
【0022】
(イ)水酸基を有するポリオキシアルキレン重合体の末端にオレフィン基を導入したものと、式(2)で表されるヒドロシリル化合物を反応させる方法。
HSiXa R1 3-a ・・・(2)
(式(2)中、R1 、X、aは前記に同じ。)
【0023】
ここでオレフィン基を導入する方法としては、不飽和基および官能基を有する化合物をポリオキシアルキレン重合体の末端水酸基に反応させて、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合またはカーボネート結合などにより結合させる方法、またはアルキレンオキシドを重合する際に、アリルグリシジルエーテルなどのオレフィン基含有エポキシ化合物を添加して共重合させることにより原料ポリオキシアルキレン重合体の側鎖にオレフィン基を導入する方法などが挙げられる。
【0024】
(ロ)水酸基を有するポリオキシアルキレン重合体の末端に式(3)で表される化合物を反応させる方法。
R1 3-a−SiXa −R2 NCO ・・・(3)
(式(3)中、R1 、X、aは前記に同じ。R2 は炭素数1〜17の2価炭化水素基。)
【0025】
(ハ)水酸基を有するポリオキシアルキレン重合体の末端にトリレンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物を反応させてイソシアネート基末端とした後、該イソシアネート基に式(4)で表されるケイ素化合物のW基を反応させる方法。
R1 3-a−SiXa −R2 W・・・(4)
(式(4)中、R1 、R2 、X、aは前記に同じ。Wは水酸基、カルボキシル基、メルカプト基およびアミノ基(1級または2級)から選ばれる活性水素含有基。)
【0026】
(ニ)水酸基を有するポリオキシアルキレン重合体の末端にオレフィン基を導入し、そのオレフィン基と、Wがメルカプト基である式(4)で表されるケイ素化合物のメルカプト基を反応させる方法。
【0027】
本発明の組成物は、「式(1)中のaが3である加水分解性ケイ素基」(以下、「加水分解性ケイ素基(Z)」という)を有する重合体を含有することを要する。本発明の組成物において、重合体(A)中の式(1)で表される加水分解性ケイ素基中における加水分解性ケイ素基(Z)の数は、用途、必要とする特性などに応じて変えうる。
【0028】
重合体(A)が、該加水分解性ケイ素基として加水分解性ケイ素基(Z)のみを有する重合体である場合、すなわち、重合体(A)中における式(1)で表される加水分解性ケイ素基のほぼ100%、すなわち80〜100%が加水分解性ケイ素基(Z)である場合、硬化速度が大きいという効果があり、深部硬化性が特に優れた室温硬化性組成物が得られる。この場合、特に式(1)で表される加水分解性ケイ素基の90〜100%、さらに好ましくは95〜100%が、加水分解性ケイ素基(Z)であることが好ましい。
【0029】
また、式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基と加水分解性ケイ素基(Z)が混在している場合には、良好な伸び特性と速硬化性を両立しうる室温硬化性組成物が得られる。
【0030】
この場合、重合体(A)における式(1)で表される全加水分解性ケイ素基中の加水分解性ケイ素基(Z)の割合が5〜80%であることが好ましい。この割合を任意に変えることにより要求に応じた特性を自由に制御できる。すなわち加水分解性ケイ素基(Z)の割合が5〜50%のときは、硬化性を向上させると同時にシーラントなどで必要とされる良好な伸び特性や柔軟性を提供でき、また加水分解性ケイ素基(Z)の割合が50〜80%のときは、弾性接着剤などに必要とされる伸び特性を充分に確保しながら飛躍的に硬化性を改善できる。
【0031】
また、式(1)で表される加水分解性ケイ素基中において加水分解性ケイ素基(Z)以外の加水分解性ケイ素基は式(1)中のaが2の加水分解性ケイ素基であることが特に好ましい。
【0032】
式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基と加水分解性ケイ素基(Z)が混在した組成物を得るためには、たとえば、下記の方法(ホ)、(ヘ)がある。(ホ)、(ヘ)の方法を併用してもよい。
【0033】
(ホ)式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基および式(1)中のaが3である加水分解性ケイ素基(Z)を併有する重合体を使用する。
(ヘ)式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基を有する重合体および式(1)中のaが3である加水分解性ケイ素基(Z)を有する重合体の両方を使用する。
【0034】
本発明における重合体(A)の分子量は、その使用される用途に応じて適当な値を選択できる。すなわち柔軟性が重視されるシーラントなどの用途には原料である水酸基を有するポリオキシアルキレン重合体の水酸基価から換算した分子量(以下、水酸基価換算分子量)で4000〜50000の重合体が適する。6000〜50000であることがより好ましく、8000〜25000であることが特に好ましい。
【0035】
また強度が要求される接着剤などの用途には水酸基価換算分子量1000〜30000の重合体が適する。1000より低い場合は硬化体が脆いものとなり30000を超える場合は高粘度のため作業性が著しく悪くなる。3000〜20000であることがより好ましく、6000〜20000であることが特に好ましい。
【0036】
本発明では重合体(A)を硬化させるために硬化触媒(B)が必須である。硬化触媒(B)を使用しない場合、加水分解性ケイ素基の架橋反応は有意な反応速度を得にくい。硬化触媒の使用量としては、重合体(A)100重量部に対し、0.001〜10重量部の範囲で使用するのがよく、0.01〜5重量部使用するのが特に好ましい。硬化触媒(B)としては下記の化合物が挙げられる。
アルキルチタン酸塩、有機ケイ素チタン酸塩、およびジブチルスズジラウレート等のような各種金属のカルボン酸の塩、アセチルアセトナート錯体、アセト酢酸エステレート錯体、各種の酸および塩基物質。
【0037】
具体的には、スズビス(2−エチルヘキサノエート)、鉛ビス(2−エチルヘキサノエート)、ジアルキルスズジカルボン酸塩、および、ジブチルスズビスアセチルアセトナート等の金属塩、有機アミン、ジブチルアミン−2−エチルヘキサノエート等のようなアミン塩、等が挙げられる。これらの触媒は単独でまたは併用して使用できる。
【0038】
本発明における分子量1000以上の高分子可塑剤(C)としては、分子量1000であって、かつ式(1)で表される加水分解性ケイ素基を有しない有機重合体であることが好ましい。有機重合体はポリオキシアルキレン、ポリエステル、ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、アルキド樹脂、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、水添ポリブテン、エポキシ化ポリブタジエンおよびブタジエン−アクリロニトリル共重合体から選ばれる1種以上が好ましい。分子量は1000〜30000が好ましい。
【0039】
高分子可塑剤(C)は重合体(A)との相溶性が良いものが好ましい。特に、高分子可塑剤(C)がアルキレンオキシドを重合させて得られる分子量1000〜30000のポリオキシアルキレンであって、かつ加水分解性ケイ素基を有しない重合体が好ましい。
【0040】
このようなポリオキシアルキレンは、重合体(A)と同様な方法で製造されることが好ましい。低分子量の不純物含有量が少ないほうが発明の効果が大きく、複合金属シアン化物錯体などの触媒を用いて製造されたポリオキシアルキレンがより好ましい。また、水酸基含有ポリオキシアルキレンでもよく、その水酸基を他の有機基に変換して得られる重合体でもよい。末端水酸基の80%以上を他の有機基に変換してなる重合体が特に好ましい。具体的には末端水酸基をエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合などの結合を介して、アルキル基、アルケニル基などの炭化水素基で封止した重合体が特に好ましい。最も好ましくはエーテル結合を介してアリル基で封止した重合体である。
【0041】
25℃での粘度が8P以上の可塑剤(D)としては、分子量1000以上の高分子可塑剤(C)であって、かつ、25℃での粘度が8P以上の化合物を使用できる。それ以外の化合物としては芳香環を有する化合物が好ましく使用できる。具体的にはビス(α−メチルベンジル)キシレンや1−キシリル−1−(3−α−メチルベンジルフェニル)エタン等のトリアリールジエタン、1−フェニル−1−キシリルエタン、それらの異性体混合物が挙げられる。
【0042】
高分子可塑剤(C)および/または25℃での粘度が8P以上の可塑剤(D)の使用量は合量で、重合体(A)100重量部に対して1〜200重量部が好ましい。
【0043】
本発明の効果を発現するために高分子可塑剤(C)および/または25℃での粘度が8P以上の可塑剤(D)は必須成分であるが、組成物の相溶性を制御する等の目的のために、少量であればその他の可塑剤も併用できる。そのような可塑剤としては、公知の可塑剤が使用できる。可塑剤の使用量は使用する高分子可塑剤(C)と25℃での粘度が8P以上の可塑剤(D)の合計に対して同重量以下が好ましく、特に50重量%以下が好ましい。併用する可塑剤の具体例としては以下のものが挙げられる。
【0044】
フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル;ペンタエリスリトールエステルなどのアルコールエステル類;リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、4,5−エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤、塩素化パラフィン。
【0045】
その他の公知の充填剤も併用できる。充填剤の使用量は重合体(A)100重量部に対して50〜800重量部が好ましい。50〜250重量部が特に好ましい。充填剤の具体例としては以下のものが挙げられる。これらの充填剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0046】
炭酸カルシウム、フュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラック、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン、木粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、くるみ穀粉、もみ穀粉、グラファイト、アルミニウム微粉末、フリント粉末等の粉体状充填剤、石綿、ガラス繊維、ガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等の繊維状充填剤。
【0047】
本発明の組成物は、さらに公知の種々の添加剤などを含有してもよい。添加剤としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂などの接着性付与剤、水添ひまし油などのチキソ性付与剤、顔料、各種の老化防止剤、紫外線吸収剤などが使用できる。
【0048】
顔料には酸化鉄、酸化クロム、酸化チタン等の無機顔料およびフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料が、タレ止め剤として有機酸処理炭酸カルシウム、水添ひまし油、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、微粉末シリカ等が、密着剤としてはアミノシラン、エポキシシラン等が挙げられる。
【0049】
本発明の室温硬化性組成物は、シーリング材、防水剤、接着剤、コーティング剤等に使用しうる。特に硬化体自体の充分な強度や高い接着性が要求される用途に好適である。
【0050】
【実施例】
以下に本発明を実施例、参考例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。例1〜6は実施例、参考例および比較例で使用する重合体(P1〜P6)の製造例であり、例7は、高分子可塑剤(C)(P7)の製造例である。なお、部は重量部を示し、分子量は水酸基価換算分子量を示す。
【0051】
[例1]
グリセリンを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒を用いてプロピレンオキシドの重合を行い、ポリオキシプロピレントリオールを得た。これにイソシアネートプロピルトリメトキシシランを加え、ウレタン化反応を行い末端をトリメトキシシリル基に変換して、分子量18000の重合体P1を得た。
【0052】
[例2]
水酸化カリウム触媒を用いて得られた平均分子量3000のポリオキシプロピレンジオールを金属ナトリウムの存在下、クロロブロモメタンと反応させて高分子量化を行った。得られたポリオキシプロピレンジオールをナトリウムアルコキシドに変換した後、塩化アリルを反応させて末端にアリルオキシ基を有するポリオキシプロピレンを得た。ヒドロシリル化合物としてトリメトキシシランを白金触媒の存在下に反応させて末端にトリメトキシシリル基を有する分子量9000の重合体を得た。
【0053】
水酸化カリウム触媒を用いて開始剤としてグリセリンにプロピレンオキシドを反応させて得られたポリオキシプロピレントリオールの末端水酸基を上記と同様の方法で末端アリルオキシ化した後、ヒドロシリル化合物としてメチルジメトキシシランを白金触媒の存在下に反応させて末端にメチルジメトキシシリル基を有する分子量6000の重合体を得た。
この分子量9000の重合体と分子量6000の重合体を重量比にして60対40の割合で混合し、重合体混合物P2を得た。
【0054】
[例3]
プロピレングリコールを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒を用いてプロピレンオキシドの重合を行い、ポリオキシプロピレンジオールを得た。得られたポリオキシプロピレンジオールの末端水酸基を例2と同様の方法で末端アリルオキシ化した後、ヒドロシリル化合物としてトリメトキシシランとメチルジメトキシシランの70対30重量比の混合物を白金触媒の存在下に反応させて末端にトリメトキシシリル基とメチルジメトキシシリルプロピル基の両方を有する分子量12000の重合体P3を得た。
【0055】
[例4]
グリセリンを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒を用いてプロピレンオキシドの重合を行い、ポリオキシプロピレントリオールを得た。これにイソシアネートプロピルメチルジメトキシシランを加え、ウレタン化反応を行い両末端をメチルジメトキシシリルプロピル基に変換して、分子量18000の重合体P4を得た。
【0056】
[例5]
水酸化カリウム触媒を用いて得られた平均分子量3000のポリオキシプロピレンジオールを金属ナトリウムの存在下、クロロブロモメタンと反応させて高分子量化を行った。得られたポリオキシプロピレンジオールの末端水酸基を例2と同様の方法で末端アリルオキシ化した後、ヒドロシリル化合物としてメチルジメトキシシランを白金触媒の存在下に反応させて末端にメチルジメトキシシリル基を有する分子量9000の重合体を得た。
【0057】
水酸化カリウム触媒を用いて開始剤としてグリセリンにプロピレンオキシドを反応させて得られたポリオキシプロピレントリオールの末端水酸基を例2と同様の方法で末端アリルオキシ化した後、ヒドロシリル化合物としてメチルジメトキシシランを白金触媒の存在下に反応させて末端にメチルジメトキシシリル基を有する分子量6000の重合体を得た。
この分子量9000の重合体と分子量6000の重合体を重量比にして60対40の割合で混合し、末端にメチルジメトキシシリルプロピル基のみを有する重合体混合物P5を得た。
【0058】
[例6]
プロピレングリコールを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒を用いてプロピレンオキシドの重合を行い、ポリオキシプロピレンジオールを得た。得られたポリオキシプロピレンジオールの末端水酸基を例2と同様の方法で末端アリルオキシ化した後、ヒドロシリル化合物としてメチルジメトキシシランのみを白金触媒の存在下に反応させて末端にメチルジメトキシシリル基を有する分子量12000の重合体P6を得た。
【0059】
[例7]
プロピレングリコールを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒を用いてプロピレンオキシドの重合を行い、分子量6000のポリオキシプロピレンジオールP7を得た。
【0060】
[実施例(例9〜10)、参考例(例8)および比較例(例11〜14)]
表に示した重合体100部に対し、炭酸カルシウム150部、高分子可塑剤(C)としてP7を50部、チキソ性付与剤3部、アミノシラン2部、硬化触媒としてジブチルスズジラウレート/ラウリルアミンの重量比3/1混合物2部を添加して、均一に混合し組成物を得た。ただし例14は重合体P6を用いた上記組成でP7の代わりに、DOPを50部使用した組成とした。
【0061】
次に直径4cmの円筒形のカップ中に3cmの厚みになるように組成物を流し込み、20℃で65%湿度の雰囲気下に6時間放置した。その後にJIS−K2530に準拠した針入度計を用い、表面から深さ方向への硬化の様子をみた。針入度が大きい方が表面からの硬化が進んでいないことを表している。
【0062】
また上記組成物を室温で7日間養生し硬化体とした後、水性アクリルエマルジョン塗料を塗布し70℃で7日間乾燥させた。JIS−Z8901に規定された汚染源粉体を振りかけ、余分な粉体を振り落とした後、軽く水洗し室温乾燥後、試験体表面の塗料汚染状態を目視観察した。○:汚染源は水洗により除去される、塗料汚染なし、△:汚染源のうち水洗により除去され部分あり、塗料汚染一部あり、×:汚染源は水洗により除去されない、塗料汚染顕著、とした。
結果を表に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】
以上示したように、本発明の室温硬化性組成物はきわめて硬化性および塗料耐汚染性に優れるという特徴を有する。
Claims (5)
- 下記式(1)で表される加水分解性ケイ素基を有する重合体(A)を含有する室温硬化性組成物であって、
重合体(A)として、式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基および式(1)中のaが3である加水分解性ケイ素基を併有し、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体(A’)、
硬化触媒(B)、ならびに、
分子量1000以上の高分子可塑剤(C)および/または25℃での粘度が8P以上の可塑剤(D)を必須成分とし、
重合体(A)における、式(1)で表される全加水分解性ケイ素基中の、aが3である加水分解性ケイ素基の割合が5〜80%である室温硬化性組成物。
−SiXaR1 3−a ・・・(1)
(式(1)中、R1は炭素数1〜20の置換もしくは非置換の1価の有機基であり、Xは水酸基または加水分解性基であり、aは1、2または3である。ただし、R1が複数個存在するときは同じでも異なってもよく、Xが複数個存在するときは同じでも異なってもよい。) - 下記式(1)で表される加水分解性ケイ素基を有する重合体(A)を含有する室温硬化性組成物であって、
重合体(A)として、式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基を有し、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体(A”)、および式(1)中のaが3である加水分解性ケイ素基を有し、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体(A”’)、
硬化触媒(B)、ならびに、
分子量1000以上の高分子可塑剤(C)および/または25℃での粘度が8P以上の可塑剤(D)を必須成分とし、
重合体(A)における、式(1)で表される全加水分解性ケイ素基中の、aが3である加水分解性ケイ素基の割合が5〜80%である室温硬化性組成物。
−SiX a R 1 3−a ・・・(1)
(式(1)中、R 1 は炭素数1〜20の置換もしくは非置換の1価の有機基であり、Xは水酸基または加水分解性基であり、aは1、2または3である。ただし、R 1 が複数個存在するときは同じでも異なってもよく、Xが複数個存在するときは同じでも異なってもよい。) - 重合体(A)の主鎖が、複合金属シアン化物錯体を触媒として開始剤にアルキレンオキシドを重合させて得られるポリオキシアルキレン鎖である、請求項1または2記載の室温硬化性組成物。
- 複合金属シアン化物錯体が亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体である、請求項3記載の室温硬化性組成物。
- 高分子可塑剤(C)が、アルキレンオキシドを重合させて得られる分子量1000〜30000のポリオキシアルキレン重合体であって、かつ式(1)で表される加水分解性ケイ素基を有しない重合体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の室温硬化性組成物。
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