JP3921747B2 - 室温硬化性の組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は湿分存在下で硬化する室温硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
末端に加水分解性ケイ素基を有する各種の重合体を硬化させてシーラント、接着剤等に使用する方法はよく知られており、工業的に有用な方法である。このような重合体のうち、特に主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体は、室温で液状であり、かつ硬化物が比較的低温でも柔軟性を保持し、シーラント、接着剤等に利用する場合好ましい特性を備えている。
【0003】
そのような湿分硬化性の重合体としては、特開平3−72527および特開平3−47825等に記載されている末端に加水分解性ケイ素基を有する重合体が挙げられる。このような末端に加水分解性ケイ素基を有する重合体は、伸びや柔軟性を保持するためにケイ素原子1つ当たり2つの加水分解性基が結合してなる加水分解性ケイ素基を通常有する。
【0004】
しかしこのようなケイ素原子1つ当たり2つの加水分解性基が結合してなる加水分解性ケイ素基を有する重合体は硬化性に劣り、架橋密度が充分でないために耐候劣化により長期的には表面にクラックが入りやすい、という問題があった。この問題を解決するために酸化防止剤や光安定化剤等の安定剤を添加する方法が試みられたが、いずれも硬化性や表面耐候性の改良には充分でなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、加水分解性ケイ素基を有する重合体に対して、その柔軟性や作業性を大きく悪化させることなく良好な硬化特性と表面耐候性が改良できる組成について検討した結果、本発明に至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
下記式(1)で表される加水分解性ケイ素基を有する重合体を含有する室温硬化性組成物であって、
式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基および式(1)中のaが3である加水分解性ケイ素基を併有し、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体(A’)、ならびに、
酸化防止剤(B)および/または耐光安定剤(C)を含有し、
式(1)で表される全加水分解性ケイ素基中の、aが3である加水分解性ケイ素基の割合が5〜80%である室温硬化性組成物を提供する。
本発明はまた、
下記式(1)で表される加水分解性ケイ素基を有する重合体を含有する室温硬化性組成物であって、
式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基を有し、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体(A”)、
式(1)中のaが3である加水分解性ケイ素基を有し、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体(A”’)、ならびに、
酸化防止剤(B)および/または耐光安定剤(C)を含有し、
式(1)で表される全加水分解性ケイ素基中の、aが3である加水分解性ケイ素基の割合が5〜80%である室温硬化性組成物を提供する。
−SiXaR1 3−a ・・・(1)
(式(1)中、R1は炭素数1〜20の置換もしくは非置換の1価の有機基であり、Xは水酸基または加水分解性基であり、aは1、2または3である。ただし、R1が複数個存在するときは同じでも異なってもよく、Xが複数個存在するときは同じでも異なってもよい。)
【0007】
本発明で使用する重合体は、分子鎖末端または側鎖に上記式(1)で表される加水分解性ケイ素基を有する。重合体の主鎖はポリオキシアルキレン鎖である。
【0008】
このような重合体は、たとえば特開平3−47825、特開平3−72527、特開平3−79627、特公昭46−30711、特公昭45−36319、特公昭46−17553等に提案されている。
【0009】
以下、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体について説明する。このような重合体は、下記に述べるように官能基を有するポリオキシアルキレン化合物を原料とし、末端に適宜有機基を介して加水分解性ケイ素基を導入して製造されることが好ましい。
【0010】
原料ポリオキシアルキレン化合物としては、触媒の存在下1つ以上の水酸基を有するヒドロキシ化合物などの開始剤にモノエポキシドなどを反応させて製造する水酸基末端のものが好ましい。
【0011】
モノエポキシドとしてはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ヘキシレンオキシド等が挙げられる。テトラヒドロフラン等も使用できる。触媒としては、カリウム系化合物やセシウム系化合物等のアルカリ金属触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、金属ポルフィリン触媒などが挙げられる。
【0012】
原料ポリオキシアルキレン化合物として高分子量のポリオキシアルキレン化合物を使用する場合には、アルカリ触媒等にて製造した比較的低分子量のポリオキシアルキレン化合物に塩化メチレン等の多ハロゲン化合物を反応させることにより多量化して得られるポリオキシアルキレン化合物を使用できる。
【0013】
複合金属シアン化物錯体触媒を用いて製造したポリオキシアルキレン化合物は、アルカリ触媒を用いた場合に比べ分子量分布が狭く、良好な硬化性が得られるため、このポリオキシアルキレン化合物を用いることが好ましい。
【0014】
複合金属シアン化物錯体としては亜鉛ヘキサシアノコバルテートを主成分とする錯体が好ましく、そのエーテルおよび/またはアルコール錯体が特に好ましい。その組成は本質的に特公昭46−27250に記載されているものが使用できる。エーテルとしてはエチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)等が好ましく、錯体の製造時の取り扱い点からグライムが特に好ましい。アルコールとしては特開平4−145123に記載されているt−ブタノールが好ましい。
【0015】
原料ポリオキシアルキレン化合物の官能基数は2以上が好ましく、硬化物特性として柔軟性を強調したい場合には2または3が特に好ましく、接着性や硬化性を強調したい場合には3〜8が特に好ましい。
【0016】
原料ポリオキシアルキレン化合物としては、具体的にはポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシヘキシレン、ポリオキシテトラメチレンおよびこれらの共重合物が挙げられる。
【0017】
特に好ましい原料ポリオキシアルキレン化合物はポリオキシプロピレンジオールとポリオキシプロピレントリオールである。また、下記(イ)や(ニ)の方法に用いる場合、アリル末端ポリオキシプロピレンモノオールなどのオレフィン末端のポリオキシアルキレン化合物も使用できる。
【0018】
式(1)で表される加水分解性ケイ素基について説明する。
式(1)中R1 は炭素数1〜20の置換もしくは非置換の1価の有機基であり、好ましくは炭素数8以下のアルキル基、フェニル基またはフルオロアルキル基である。特に好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等である。R1 が複数個存在するときはそれらは同じでも異なってもよい。
【0019】
Xにおける加水分解性基としては、たとえばハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミド基、アミノ基、アミノオキシ基、ケトキシメート基、ヒドリド基などがある。
【0020】
これらのうち炭素原子を有する加水分解性基の炭素数は6以下が好ましく、4以下が特に好ましい。好ましいXは炭素数4以下の低級アルコキシ基、特にメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはプロペニルオキシ基が例示できる。またXが複数個存在するときはそれらは同じでも異なってもよい。
【0021】
aは1、2または3である。
重合体中の加水分解性ケイ素基の数は1〜8が好ましく、2〜6が特に好ましい。
加水分解性ケイ素基の原料ポリオキシアルキレン化合物への導入の方法は特には限定されないが、たとえば以下の(イ)〜(ニ)の方法で導入できる。
【0022】
(イ)水酸基を有するポリオキシアルキレン化合物の末端にオレフィン基を導入したものと、式(2)で表されるヒドロシリル化合物を反応させる方法。
HSiXa R1 3-a ・・・(2)
(式(2)中、R1 、X、aは前記に同じ。)
【0023】
ここでオレフィン基を導入する方法としては、不飽和基および官能基を有する化合物をポリオキシアルキレン化合物の末端水酸基に反応させて、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合またはカーボネート結合などにより結合させる方法、またはアルキレンオキシドを重合する際に、アリルグリシジルエーテルなどのオレフィン基含有エポキシ化合物を添加して共重合させることにより原料ポリオキシアルキレン化合物の側鎖にオレフィン基を導入する方法などが挙げられる。
【0024】
(ロ)水酸基を有するポリオキシアルキレン化合物の末端に式(3)で表される化合物を反応させる方法。
R1 3-a−SiXa −R2 NCO ・・・(3)
(式(3)中、R1 、X、aは前記に同じ。R2 は炭素数1〜17の2価炭化水素基。)
【0025】
(ハ)水酸基を有するポリオキシアルキレン化合物の末端にトリレンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物を反応させてイソシアネート基末端とした後、該イソシアネート基に式(4)で表されるケイ素化合物のW基を反応させる方法。
R1 3-a−SiXa −R2 W・・・(4)
(式(4)中、R1 、R2 、X、aは前記に同じ。Wは水酸基、カルボキシル基、メルカプト基およびアミノ基(1級または2級)から選ばれる活性水素含有基。)
【0026】
(ニ)水酸基を有するポリオキシアルキレン化合物の末端にオレフィン基を導入し、そのオレフィン基と、Wがメルカプト基である式(4)で表されるケイ素化合物のメルカプト基を反応させる方法。
【0027】
本発明の組成物は、「式(1)中のaが3である加水分解性ケイ素基」(以下、「加水分解性ケイ素基(D)」という)を有する重合体を含有することを要する。本発明の組成物において、式(1)で表される加水分解性ケイ素基中における加水分解性ケイ素基(D)の数は、用途、必要とする特性などに応じて変えうる。
【0028】
式(1)で表される加水分解性ケイ素基を有する重合体が、該加水分解性ケイ素基として加水分解性ケイ素基(D)のみを有する重合体である場合、すなわち、組成物中における式(1)で表される加水分解性ケイ素基のほぼ100%、すなわち80〜100%が加水分解性ケイ素基(D)である場合、硬化速度が大きくなり、深部硬化性が特に優れた室温硬化性組成物が得られる。この場合、特に式(1)で表される加水分解性ケイ素基の90〜100%、さらには95〜100%が加水分解性ケイ素基(D)であることが好ましい。
【0029】
また、式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基と加水分解性ケイ素基(D)が混在している場合には、良好な伸び特性と速硬化性を両立しうる室温硬化性組成物が得られる。
【0030】
この場合、式(1)で表される全加水分解性ケイ素基中の加水分解性ケイ素基(D)の割合が5〜80%であることが好ましい。この割合を任意に変えることにより要求に応じた特性を自由に制御できる。すなわち加水分解性ケイ素基(D)の割合が5〜50%のときは、硬化性を向上させると同時にシーラントなどで必要とされる良好な伸び特性や柔軟性を提供でき、また加水分解性ケイ素基(D)の割合が50〜80%のときは、弾性接着剤などに必要とされる伸び特性を充分に確保しながら飛躍的に硬化性を改善できる。
【0031】
また、式(1)で表される加水分解性ケイ素基中において加水分解性ケイ素基(D)以外の加水分解性ケイ素基は式(1)中のaが2の加水分解性ケイ素基であることが特に好ましい。
【0032】
式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基と加水分解性ケイ素基(D)が混在した組成物を得るためには、たとえば、下記の方法(ホ)、(ヘ)がある。
【0033】
(ホ)式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基および式(1)中のaが3である加水分解性ケイ素基(D)を併有する重合体を使用する。
(ヘ)式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基を有する重合体および式(1)中のaが3である加水分解性ケイ素基(D)を有する重合体の両方を使用する。(ホ)、(ヘ)の方法を併用してもよい。
【0034】
本発明における重合体の分子量は、その使用される用途に応じて適当な値を選択できる。すなわち柔軟性が重視されるシーラントなどの用途には原料である水酸基を有するポリオキシアルキレン化合物の水酸基価から換算した分子量(以下、水酸基価換算分子量)で4000〜50000の重合体が適する。6000〜50000であることがより好ましく、8000〜25000であることが特に好ましい。また強度が要求される接着剤などの用途には水酸基価換算分子量1000〜30000の重合体が適する。1000未満では硬化物が脆いものとなり30000超では高粘度のため作業性が著しく悪くなる。3000〜20000であることがより好ましく、6000〜20000であることが特に好ましい。
【0035】
本発明において、酸化防止剤(B)および/または耐光安定剤(C)を使用する。
本発明で使用できる酸化防止剤(B)としてはヒンダードフェノール系化合物が好ましい。本発明で使用できるヒンダードフェノール系化合物としては具体的には、以下のものが例示できる。
【0036】
ノクラック200、ノクラックM−17、ノクラックSP、ノクラックSP−N、ノクラックNS−5、ノクラックNS−6、ノクラックNS−30、ノクラック300、ノクラックNS−7、ノクラックDAH(以上いずれも大内新興化学工業製)、MARK AO−30、MARK AO−40、MARK AO−50、MARK AO−60、MARK AO−616、MARK AO−635、MARK AO−658、MARK AO−15、MARK AO−18、MARK 328、MARK AO−37(以上いずれもアデカアーガス化学製)、IRGANOX−245、IRGANOX−259、IRGANOX−565、IRGANOX−1010、IRGANOX−1035、IRGANOX−1076、IRGANOX−1081、IRGANOX−1098、IRGANOX−1222、IRGANOX−1330、IRGANOX−1425WL(以上いずれも日本チバガイギー製)。
【0037】
本発明で使用できる耐光安定剤(C)としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒンダードアミン系化合物およびベンゾエート系化合物から選ばれる1種以上の化合物であることが好ましい。
【0038】
本発明で使用できるベンゾトリアゾール系化合物としては具体的には、チヌビンP、チヌビン234、チヌビン320、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン329、チヌビン213(以上いずれも日本チバガイギー製)が例示できる。
【0039】
本発明で使用できるヒンダードアミン系化合物としては、具体的には、チヌビン622LD、チヌビン144、CHIMASSORB944LD、CHIMASSORB119FL(以上いずれも日本チバガイギー製)、MARK LA−57、MARK LA−62、MARK LA−67、MARK LA−63、MARK LA−68(以上いずれもアデカアーガス化学製)、サノールLS−770、サノールLS−765、サノールLS−292、サノールLS−2626、サノールLS−1114、サノールLS−744(以上いずれも三共製)などが例示できる。
【0040】
本発明で使用できるベンゾエート系化合物としてはチヌビン120(日本チバガイギー製)が例示できる。
また、酸化防止剤(B)と耐光安定剤(C)の混合物であるチヌビンB5353、チヌビンB75(以上いずれも日本チバガイギー製)なども使用できる。
【0041】
酸化防止剤(B)と耐光安定剤(C)は併用してもよく、併用することが特に好ましい。
酸化防止剤(B)または耐光安定剤(C)の使用量は、それぞれ、重合体(重合体(A’)、または、重合体(A”)および(A”’))100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲であることが好ましい。0.1重量部未満では耐候性を改善の効果が少なく、5重量部超では効果に大差がなく経済的に不利である。
【0042】
本発明では重合体(重合体(A’)、または、重合体(A”)および(A”’))を硬化させるために硬化触媒を使用してもよい。硬化触媒としては、加水分解性ケイ素基の加水分解および縮合反応の触媒として公知の化合物が使用できる。すなわち、アルキルチタン酸塩、有機ケイ素チタン酸塩、錫ビス(2−エチルヘキサノエート)およびジブチル錫ジラウレート等のようなカルボン酸の金属塩、ジブチルアミン−2−エチルヘキソエート等のようなアミン塩、ならびに他の酸性触媒および塩基性触媒を使用できる。
硬化触媒の使用量は、重合体(重合体(A’)、または、重合体(A”)および(A”’))100重量部に対し、0.001〜10重量部、特には0.01〜5重量部、が好ましい。
【0043】
本発明の組成物は充填剤、補強剤、タレ止め剤、密着剤などを含有してもよい。充填剤の使用量は重合体(重合体(A’)、または、重合体(A”)および(A”’))100重量部に対して0〜1000重量部、特に50〜250重量部が好ましい。充填剤の具体例としては以下のものが挙げられる。これらの充填剤は1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0044】
炭酸カルシウム、フュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラック、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン、木粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、くるみ穀粉、もみ穀粉、グラファイト、アルミニウム微粉末、フリント粉末等の粉体状充填剤、石綿、ガラス繊維、ガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等の繊維状充填剤。
【0045】
顔料としては酸化鉄、酸化クロム、酸化チタン等の無機顔料およびフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料、タレ止め剤としては有機酸処理炭酸カルシウム、水添ひまし油、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、微粉末シリカ等、密着剤としてはアミノシラン、エポキシシラン等が挙げられる。
【0046】
また、本発明において可塑剤を使用できる。可塑剤としては、公知の可塑剤が使用でき、具体的にはフタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチル等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル、ペンタエリスリトールエステルなどのグリコールエステル類、リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤、塩素化パラフィン等が1種単独でまたは2種以上の混合物で使用できる。
【0047】
本発明の組成物は、さらに公知の種々の添加剤等を含むことができる。添加剤としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の接着付与剤、等が使用できる。
本発明の室温硬化性組成物は、室温で湿分存在下で硬化し、特に弾性シーラント用、接着剤用として使用できる。
【0048】
【実施例】
以下に本発明を製造例(例1〜6)、実施例(例7〜9)、比較例(例10〜13)により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。なお、部は重量部を示し、分子量は水酸基価換算分子量を示す。
【0049】
[例1]
グリセリンを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒を用いてプロピレンオキシドの重合を行い、ポリオキシプロピレントリオールを得た。これにイソシアネートプロピルトリメトキシシランを加え、ウレタン化反応を行い末端をトリメトキシシリル基に変換して、分子量18000の重合体P1を得た。
【0050】
[例2]
水酸化カリウム触媒を用いて得られた平均分子量3000のポリオキシプロピレンジオールを金属ナトリウムの存在下、クロロブロモメタンと反応させて高分子量化を行った。得られたポリオキシプロピレンジオールをナトリウムアルコキシドに変換した後、塩化アリルを反応させて末端にアリルオキシ基を有するポリオキシプロピレンを得た。ヒドロシリル化合物としてトリメトキシシランを白金触媒の存在下に反応させて末端にトリメトキシシリル基を有する分子量9000の重合体を得た。
【0051】
水酸化カリウム触媒を用いて開始剤としてグリセリンにプロピレンオキシドを反応して得られたポリオキシプロピレントリオールの末端水酸基を上記と同様の方法で末端アリルオキシ化した後、ヒドロシリル化合物としてメチルジメトキシシランを白金触媒の存在下に反応させて末端にメチルジメトキシシリル基を有する分子量6000の重合体を得た。
この分子量9000の重合体と分子量6000の重合体を重量比にして60対40の割合で混合し、重合体混合物P2を得た。
【0052】
[例3]
プロピレングリコールを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒を用いてプロピレンオキシドの重合を行い、ポリオキシプロピレンジオールを得た。得られたポリオキシプロピレンジオールの末端水酸基を例2と同様の方法で末端アリルオキシ化した後、ヒドロシリル化合物としてトリメトキシシランとメチルジメトキシシランの70対30重量比の混合物を白金触媒の存在下に反応させて末端にトリメトキシシリル基とメチルジメトキシシリルプロピル基の両方を有する分子量12000の重合体P3を得た。
【0053】
[例4]
グリセリンを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒を用いてプロピレンオキシドの重合を行い、ポリオキシプロピレントリオールを得た。これにイソシアネートプロピルメチルジメトキシシランを加え、ウレタン化反応を行い両末端をメチルジメトキシシリルプロピル基に変換して、分子量18000の重合体P4を得た。
【0054】
[例5]
水酸化カリウム触媒を用いて得られた平均分子量3000のポリオキシプロピレンジオールを金属ナトリウムの存在下、クロロブロモメタンと反応させて高分子量化を行った。得られたポリオキシプロピレンジオールの末端水酸基を例2と同様の方法で末端アリルオキシ化した後、ヒドロシリル化合物としてメチルジメトキシシランを白金触媒の存在下に反応させて末端にメチルジメトキシシリル基を有する分子量9000の重合体を得た。
【0055】
水酸化カリウム触媒を用いて開始剤としてグリセリンにプロピレンオキシドを反応して得られたポリオキシプロピレントリオールの末端水酸基を例2と同様の方法で末端アリルオキシ化した後、ヒドロシリル化合物としてメチルジメトキシシランを白金触媒の存在下に反応させて末端にメチルジメトキシシリル基を有する分子量6000の重合体を得た。
この分子量9000の重合体と分子量6000の重合体を重量比にして60対40の割合で混合し、重合体混合物P5を得た。
【0056】
[例6]
プロピレングリコールを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒を用いてプロピレンオキシドの重合を行い、ポリオキシプロピレンジオールを得た。得られたポリオキシプロピレンジオールの末端水酸基を例2と同様の方法で末端アリルオキシ化した後、ヒドロシリル化合物としてメチルジメトキシシランのみを白金触媒の存在下に反応させて末端にメチルジメトキシシリル基を有する分子量12000の重合体P6を得た。
【0057】
[例7〜13]
例1〜6で得られた重合体(P1〜P6)100部に対し、炭酸カルシウム150部、可塑剤としてフタル酸ジオクチル50部、チキソ性付与剤3部、酸化防止剤(B)としてヒンダードフェノール系化合物IRGANOX245(日本チバガイギー製)を1部および耐光安定剤(C)としてベンゾトリアゾール系化合物チヌビン327(日本チバガイギー製)1部、硬化触媒として錫ビス(2−エチルヘキサノエート)3部およびラウリルアミン0.5部を添加して、3本ペイントロールを用いて混練した。ただし例13は重合体P6を用いた上記組成から酸化防止剤および耐光安定剤を除いた組成とした。
【0058】
この組成物の内部硬化性評価のため、組成物粘度が20℃で160万cPに到達する時間を測定した。また混練した組成物を20℃、65%湿度下に7日、50℃、60%湿度下に7日養生して厚さ5mmのシートを得た。このものの250時間後、500時間後および750時間後の表面耐候性をサンシャインウェザオメータで調べた。評価は、サンシャインウェザオメータ試験後に表面クラックが認められないものを○、ヘアクラックが認められるものを△、明らかにクラックが認められるものを×とした。結果を表1、表2に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【発明の効果】
以上示したように、本発明の室温硬化性組成物はきわめて硬化性および表面耐候性に優れるという特長を有する。
Claims (4)
- 下記式(1)で表される加水分解性ケイ素基を有する重合体を含有する室温硬化性組成物であって、
式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基および式(1)中のaが3である加水分解性ケイ素基を併有し、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体(A’)、ならびに、
酸化防止剤(B)および/または耐光安定剤(C)を含有し、
式(1)で表される全加水分解性ケイ素基中の、aが3である加水分解性ケイ素基の割合が5〜80%である室温硬化性組成物。
−SiXaR1 3−a ・・・(1)
(式(1)中、R1は炭素数1〜20の置換もしくは非置換の1価の有機基であり、Xは水酸基または加水分解性基であり、aは1、2または3である。ただし、R1が複数個存在するときは同じでも異なってもよく、Xが複数個存在するときは同じでも異なってもよい。) - 下記式(1)で表される加水分解性ケイ素基を有する重合体を含有する室温硬化性組成物であって、
式(1)中のaが1または2である加水分解性ケイ素基を有し、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体(A”)、
式(1)中のaが3である加水分解性ケイ素基を有し、主鎖がポリオキシアルキレン鎖である重合体(A”’)、ならびに、
酸化防止剤(B)および/または耐光安定剤(C)を含有し、
式(1)で表される全加水分解性ケイ素基中の、aが3である加水分解性ケイ素基の割合が5〜80%である室温硬化性組成物。
−SiXaR1 3−a ・・・(1)
(式(1)中、R1は炭素数1〜20の置換もしくは非置換の1価の有機基であり、Xは水酸基または加水分解性基であり、aは1、2または3である。ただし、R1が複数個存在するときは同じでも異なってもよく、Xが複数個存在するときは同じでも異なってもよい。) - 重合体(A’)の主鎖が、複合金属シアン化物錯体を触媒として開始剤にアルキレンオキシドを重合させて得られるポリオキシアルキレン鎖である、請求項1記載の室温硬化性組成物。
- 重合体(A”)および(A”’)の主鎖が、複合金属シアン化物錯体を触媒として開始剤にアルキレンオキシドを重合させて得られるポリオキシアルキレン鎖である、請求項2記載の室温硬化性組成物。
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