JP3902554B2 - 通信デバイス、通信装置、電源装置および電力供給デバイス - Google Patents

通信デバイス、通信装置、電源装置および電力供給デバイス Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号を伝達する通信装置および信号の伝達を実現するための通信デバイスに関し、特に複数の通信デバイスを用いて信号の伝達を行う通信技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークにおいて、複数の通信端末が同軸ケーブルや光ファイバなどにより接続されている。これらの通信端末は、ネットワーク中のアドレスを指定することにより、所望の通信端末に信号を伝達する。従来のネットワークは、通信端末同士を有線にて接続することが一般であり、近年では、これを無線で接続するシステムも提案されている。例えば、移動デバイスであるノードの全てが所定の伝送半径をもち、ノード間で無線通信を行うアドホックネットワークが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−268127号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
通信ネットワークや実装基板においては端末や素子などを個別配線により物理的に接続しているため、仮に配線が切断された場合には信号を伝達することができなくなり、通信機能が停止する事態も生じうる。また、通信システムにおいては、効率よく電力を供給することが好ましい。
【0005】
そこで本発明は、このような従来の問題を解決するべく、通信装置および通信デバイスに関する新規な通信技術、さらには電力供給技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、他の通信素子に対して信号を伝達する通信デバイスであって、第1信号層および第2信号層と、これらの層に電磁的に接続する通信素子と、これらの層の間に配置される誘電層を備える通信デバイスを提供する。通信デバイスは、誘電層に電磁場を発生させることにより信号を発信する。通信素子は、第1信号層および第2信号層の間で電流を流すかまたは光を放出することにより電磁場を発生させてもよい。通信素子は、電磁場の変化により信号を認識する。
【0007】
第1信号層および第2信号層は導電性材料により形成されてもよい。また通信デバイスは、第1信号層よりも高い抵抗値を有し且つ第1信号層に電気的に接続する高抵抗層と、この高抵抗層に電気的に接続し且つ通信素子に電磁的に接続して通信素子に電圧を印加する電源層をさらに備えてもよい。このとき、第2信号層はグランド層であってよく、通信素子は、電源層およびグランド層との電磁的な接続を交互に切り替えて、それぞれから電圧を印加されることにより電磁場を発生する。なお、通信素子は、電源層およびグランド層の差電圧よりも小さい振幅の交流電圧を印加することにより、電磁場を発生させてもよい。
【0008】
なお、第1信号層は電源層であり、第2信号層はグランド層であってよい。また、第1信号層および第2信号層は、誘電層の誘電率よりも小さい誘電率を有してもよい。通信デバイスは、シリコン上に形成されてもよい。
【0009】
本発明の別の態様は、複数の通信素子が分散配置され、各通信素子は第1信号層および第2信号層に電磁的に接続しており、通信素子は、第1信号層と第2信号層の間で電流を流すかまたは光を放出することにより信号を発信する通信装置を提供する。第1信号層または第2信号層は、複数の低抵抗領域と高抵抗領域に分割して形成され、通信素子は、低抵抗領域に配置されることが好ましい。低抵抗領域および高抵抗領域の抵抗値は、低抵抗領域の通信素子より発信される信号が、隣接する低抵抗領域の通信素子に伝達されるように設定されることが好ましい。また、低抵抗領域および高抵抗領域の抵抗値は、低抵抗領域の通信素子より発信される信号が、隣接する低抵抗領域の通信素子以外には伝達されないように設定されることが好ましい。
【0010】
通信素子は、隣接する低抵抗領域に配置された通信素子からの信号を観測する一方で、自身の低抵抗領域の電位を略一定に保持してもよい。低抵抗領域の形状が複数種類存在してもよく、また1次元通信を可能とする低抵抗領域と、2次元通信を可能とする低抵抗領域とが組み合わされて配置されていてもよい。
【0011】
通信素子は、親素子として、自身の周囲に位置する子素子を管轄下におき、子素子は、親素子である通信素子との間でのみ通信を可能とするように通信装置を構成してもよい。また、第1信号層は、所定のパターンを形成された信号線シートを有してもよい。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、電気的に接続された複数の電源ブロックにより構成される電源層を備え、電源ブロック間は、電気的に切断可能な接続部により接続されていることを特徴とする電源装置を提供する。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、複数の通信素子が分散配置され、各通信素子は電源層またはグランド層から電圧を印加されて信号を発信する通信装置であって、電源層は、電気的に接続された複数の電源ブロックにより構成され、電源ブロック間は、電気的に切断可能な接続部により接続されていることを特徴とする通信装置を提供する。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、機器に電力を供給する電力供給デバイスであって、機器の信号線と接続するための複数のコネクタと、コネクタに電気的に接続する導電層とを備え、個別配線を設けることなく、導電層から直接コネクタに電力を供給する電力供給デバイスを提供する。機器がコネクタに接続された場合の最大の電流値に応じて、導電層のシート抵抗値が定められることが好ましい。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、信号を伝達する通信デバイスであって、グランド層および電源層と、グランド層および電源層に電磁的に接続する通信素子と、グランド層および電源層の間に積層された第1誘電層、信号層、第2誘電層を備える通信デバイスを提供する。通信素子は、第1誘電層および第2誘電層に、電場または電磁場を発生させることにより信号を発信することが好ましい。通信素子は、グランド層および電源層に挟持され、周囲を第1誘電層、信号層および第2誘電層に囲まれている構造を有する。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、複数の通信素子が分散配置され、各通信素子はグランド層および電源層と電磁的に接続しており、グランド層および電源層の間に第1誘電層、信号層、第2誘電層がこの順に積層されていることを特徴とする通信装置を提供する。通信素子は、第1誘電層および第2誘電層に、電場または電磁場を発生させることにより信号を発信することが好ましい。信号層は、複数の低抵抗領域と高抵抗領域に分割して形成され、通信素子は、低抵抗領域に配置されることが好ましい。低抵抗領域および高抵抗領域の抵抗値は、低抵抗領域の通信素子より発信される信号が、隣接する低抵抗領域の通信素子に伝達されるように設定されてもよい。また、低抵抗領域および高抵抗領域の抵抗値は、低抵抗領域の通信素子より発信される信号が、隣接する低抵抗領域の通信素子以外には伝達されないように設定されてもよい。
【0017】
なお、本発明の表現を装置、方法、システムまたはプログラムの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0018】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の実施の形態に係る通信技術の方式を説明するための図である。図1には、小さな円で示す複数の通信素子が空間内に分散して配置されている状態が示される。各通信素子は、その周辺に配置された他の通信素子に対して信号を伝達する局所的な通信機能を有する。この局所的な通信により隣り合う通信素子間で信号を順次連鎖的に中継し、最終目的地である通信素子まで信号を伝達する。この通信方式を連鎖伝達型の通信方式と呼ぶ。
【0019】
信号の送信元が通信素子200aであり、最終目的地が通信素子200bである場合、連鎖伝達型通信方式によると、信号が通信素子200aから通信素子200cおよび200dを介して通信素子200bに伝達される。信号の伝達方法としては、例えば通信素子200aが、信号が届く範囲にある周辺の全ての通信素子に信号を伝達し、この信号を受けた全ての通信素子が更に周辺の通信素子に信号を伝達することによって、信号を最終目的地まで同心円状に伝達させてもよい。さらに好ましい方法としては、通信素子200aおよび200b間の経路を予めまたはリアルタイムで設定し、この経路により特定の通信素子のみを介して信号を伝達してもよい。特に後者の方法を採用する場合には、信号伝達に必要な通信素子のみが発信するため、電力消費を少なくすることができ、また他の通信素子の通信に対する干渉を低減することも可能となる。連鎖伝達型の通信方式における通信経路の設定方法および信号伝達の方法は後に詳述する。
【0020】
本発明による通信装置は、空間内に複数の通信素子を配置し、この空間内には通信素子間を物理的に接続するための個別配線が形成されていないことが好ましい。例えば、これらの通信素子は、平坦な導電層または導電性基板、交流信号を伝達可能な電磁作用伝達層などに接続されてもよい。信号の送信は、導電層における電荷の放出により実現されてもよい。ここで通信素子は、チップとして構成されるものに限定されず、本発明の実施の形態において説明する通信機能を備えたものを含む概念であり、その形態および形状は問わない。
【0021】
各通信素子は、信号の伝達可能な距離(以下、「有効通信距離」とも呼ぶ)を比較的短く設定されていることが好ましい。信号の通信距離を長くすることは、それだけ電力消費量を大きくし且つ通信に寄与しない他の通信素子に対して悪影響を及ぼす可能性がある。連鎖伝達型の通信方式によると、自身の近傍に存在する通信素子に信号を伝達できれば十分であるため、有効通信距離は周辺の通信素子までの平均距離に応じて設定されることが好ましい。
【0022】
本発明の通信技術は、様々な用途に応用することができる。例えば、LSIやメモリなどの電子部品(回路素子)に本発明の通信機能をもたせることによって、各電子部品を個別に配線することなく、複数の電子部品を基板実装する技術を提供することが可能である。また、近年、皮膚の感覚を持つロボットの研究が盛んに行われているが、ロボットの触覚センサに本発明の通信機能をもたせ、触覚センサの検知情報をロボットの頭脳コンピュータに送信する技術を提供することも可能である。また建物の床に本発明の通信機能を有するセンサを点在させることにより、一人暮らしの老人の行動を監視したり、留守中の防犯に役立てることも可能である。また、発光素子に本発明の通信機能をもたせることにより、布状の表示装置などを製造することも可能となる。また、タグに本発明の通信機能をもたせることにより、安価で精度のよい情報の読み取りを可能とするタグを作製することも可能となる。さらに無線通信素子に本発明の通信機能をもたせて例えばコンピュータにそれを装備させ、無線通信素子の近傍に相手方のコンピュータの無線通信素子を配置することによって、コンピュータ間の情報の送受信を容易に行うことも可能となる。また自動車の導電性内壁に本発明の通信機能を備えた通信素子を埋め込み、煩わしい個別配線を不要とした通信装置を実現することも可能となる。
【0023】
この通信技術は、比較的短い距離に配置された通信素子間で信号を伝達するため、距離による信号の減衰および劣化が少なく、高いスループットでノード数によらない高速伝送を可能とする。また空間内に多くの通信素子を分散して配置させることにより、センサなどの所定の機能をもつチップとの情報交換媒体として広範囲の信号伝達領域を実現する。また、通信素子を比較的自由な位置に配置することができるため、簡易な設計により所望の機能を備えた人工皮膚や表示装置などを生成することも可能である。また配線などの基板回路設計を不要とし、少ないプロセスで基板回路を製造することも可能である。通信素子を導電層で挟持する場合には電磁ノイズ放射がなくなるため、特に病院などの公共性の高い場所においてはその有用性が高い。さらに、導電層などに障害が生じた場合であっても、チップ間の経路を再設定することができ、新たな通信経路を確立することができるという自己修復機能もあわせ持つ。
【0024】
図2は、本発明の第1の実施の形態にかかる通信装置100の外観構成を示す。この通信装置100においては、複数の通信素子200が2枚の導電層16および18によって挟持されている。各通信素子200は、この2枚の導電層16および18に電磁的に接続される。導電層16および18は、単層構造を有していても、また多層構造を有していてもよく、この例では二次元的に一面に広がった構成を有している。図2は、通信素子200が挟持されていることを説明するために、導電層16と導電層18とが開いた状態を示す。
【0025】
例えば、本発明による通信装置100をロボットの表面を覆う人工皮膚として応用する場合、導電層16および18を導電性のゴム材料により形成する。可撓性のあるゴム材料で人工皮膚を形成することにより、この人工皮膚はロボットの動作に合せて自在に伸縮することが可能となる。また、個別配線が存在せず、伸縮性のある導電層16および18を介して信号を伝達するため、断線などにより通信機能に障害が生じる可能性を低減し、安定した通信能力を提供できる。また本発明による通信装置100を回路基板として応用する場合、導電層16および18を導電性のゴム材料で形成することによって、フレキシブルな回路基板を実現することも可能となる。
【0026】
各通信素子200は通信機能以外に、さらに他の機能を有していてもよい。通信装置100をロボットの人工皮膚として応用する場合には、通信素子200のいくつかが触覚センサとしての機能も有し、外部から受けた刺激を検出した後、他の通信素子と協同して検出した信号を目的の通信素子まで伝達する。また通信装置100を基板の実装技術として応用する場合には、通信素子200が、例えばLSIやメモリなどの回路素子としての機能を有してもよい。このように、本明細書において「通信装置」は少なくとも通信機能を有する装置の意味で用い、これに付加した他の機能、例えば人工皮膚としてのセンサ機能や電子回路としての演算機能などを有してもよいことは、当業者に理解されるところである。
【0027】
図3は、通信素子200の機能ブロック図である。通信素子200は、通信部50、処理部60およびメモリ70を備える。通信部50は、導電層16および18(図2参照)を介して、他の通信素子との間で信号の送受を行ってもよい。また、図2に示していないが、通信装置100は、通信素子200の周囲に配置されて、導電層16および18に挟持される誘電層を備え、通信部50が、この誘電層に発生する電磁場により他の通信素子200との間で信号の送受を行ってもよい。処理部60は、通信素子200の通信機能を制御する。具体的に処理部60は、周囲の信号の監視、受信信号の解析や、送信信号の生成および送信タイミングの制御など、他の通信素子200との間の信号伝達に関する処理を行う。また処理部60は、センサ機能や演算機能など通信機能以外の他の機能を実現してもよい。メモリ70は、通信機能や他の機能を実現するために必要な情報を予め記録し、また必要に応じて記録していく。
【0028】
図4(a)は、通信装置100の断面を示し、局所的通信を実現する通信デバイス300の構造の一例を説明するための図である。本明細書において「通信デバイス」は、局所的な通信機能を実現する構造の意味で用いる。
【0029】
この例において通信デバイス300は、第1信号層20および第2信号層30と、第1信号層20および第2信号層30に電磁的に接続する通信素子200と、第1信号層20および第2信号層30の間に配置される誘電層22とを備える。図示のごとく、第1信号層20および第2信号層30は、誘電層22および複数の通信素子200を挟持する。通信素子200と誘電層22は、電磁的に接続する。第2信号層30は接地されたグランド層であってもよい。
【0030】
通信デバイス300は、信号を発信するために、第1信号層20および第2信号層30の通信素子200側の表面から、電荷の吸出しおよび放出を繰り返し、交流電流Iを発生させる。層厚などの条件を適宜定めることにより、交流電流Iにより発生する電磁場を誘電層22に閉じ込めることができ、電磁波動を誘電層22内で2次元放射状に伝達させることができる。第1信号層20および第2信号層30に流れる電流は、誘電層22側の表面付近のみを流れ、第1信号層20および第2信号層30の電気伝導率によって、電磁波動の伝達距離がきまる。これらの電気伝導率が大きいほど、減衰は小さく、伝達距離、すなわち有効通信距離が長くなる。
【0031】
第1信号層20および第2信号層30は、金属や導電性ゴム材料などの導体により構成されてよいが、誘電体により構成されてもよい。第1信号層20および第2信号層30が誘電体で構成される場合、第1信号層20および第2信号層30は、誘電層22の誘電率よりも小さい誘電率を有する材料から構成される。これにより、誘電層22内に電磁場を閉じ込めることが可能となる。なお、第1信号層20および第2信号層30は、空気や真空のような構成をとってもよい。
【0032】
通信素子200は電荷の充放電を行うためのコンデンサを有してもよい。また電磁場を発生させる交流電流Iは、均一な電流であってもよいが、変位電流であってもよい。なお電磁場を発生させるために、レーザーやLEDによる光などの電磁波を用いることも可能である。
【0033】
図4(b)は、局所的通信を実現する通信デバイス300の構造の別の例を説明するための図である。この例では、通信デバイス300が、第1信号層20および第2信号層30と、第1信号層20および第2信号層30に電磁的に接続する通信素子200と、第1信号層20および第2信号層30の間に配置される誘電層22aおよび22bと、誘電層22aと誘電層22bとの間に配置される導電層24を備える。通信デバイス300がこのような構造をとった場合であっても、通信素子200中に交流電流を発生させることにより、電磁場を利用した通信が可能となる。
【0034】
図5(a)は、本実施の形態における通信デバイス300が信号を発信する基本原理を説明するための図である。通信デバイス300は、スイッチ26を交互に切り替えて、第1信号層20および第2信号層30の間で電荷の吸出し、放出を行い、交流電流を生じさせることにより、電磁場を発生させる。この電磁場は、第1信号層20および第2信号層30に挟持される誘電層22中を伝わって、近傍に位置する通信デバイス300まで伝達される。
【0035】
図5(b)は、通信デバイス300が信号を発信する原理の別の例を説明するための図である。通信デバイス300は、一組のスイッチ26aおよびスイッチ26bを同時に交互に切り替えることにより、第1信号層20および第2信号層30の間に交流電流を発生させ、電磁場を発生させる。
【0036】
図6は、通信デバイス300の構造の実現例を示す。この通信デバイス300は、図4(a)に示した構造と同様に、第1信号層20および第2信号層30と、第1信号層20および第2信号層30に電磁的に接続する通信素子200と、第1信号層20および第2信号層30の間に配置される誘電層22とを備える。第1信号層20および第2信号層30は、誘電層22および複数の通信素子200を挟持し、通信素子200および誘電層22は電磁的に接続されている。第2信号層30は接地されたグランド層であってもよい。
【0037】
第1信号層20には、第1信号層20よりも高い抵抗値を有する高抵抗層42が電気的に接続され、この高抵抗層42には、通信素子200に電力を供給する電源層44が電気的に接続されている。図示のとおり、高抵抗層42および電源層44は、この順に第1信号層20上に積層される。誘電層22は、第1信号層20と第2信号層30の間において電流が定常的に流れる状態を回避する役割ももつ。電源層44と、グランド層として作用する第2信号層30は、その抵抗値が非常に小さくなるように形成される。第1信号層20には、電源層44から、図示しない電力経路を通じて電力が印加される。第1信号層20と電源層44との間に高抵抗層42を介在させることにより、第1信号層20の全面に電力が供給される状態を防止し、通信素子200からの発信信号が近傍の通信素子200のみに伝達されるように通信装置100を構成することができる。
【0038】
図7(a)は、通信デバイス300を実現する回路動作の概要を示す。通信デバイス300は半導体製造技術を用いてシリコン上に形成されてもよい。通信デバイス300は、pMOSとnMOSを並列接続したMOSスイッチなどのスイッチ26を有し、スイッチ26は、通信素子200と、グランド層である第2信号層30および電源層44との電磁的な接続を交互に切り替える。具体的には、スイッチ26が、送信すべき信号の論理値に応じて、第1信号層20および第2信号層30の接続と、第1信号層20および電源層44の接続とを切り替え、電磁波動として信号を発信する。入力部52には、送信すべき信号の論理値に応じた電圧が印加され、スイッチ26によるスイッチング動作が実行される。通信素子200内の処理部60(図3参照)が入力部52に入力信号を供給する。
【0039】
スイッチ26によるスイッチング動作の結果、第1信号層20から第2信号層30に、また電源層44から第1信号層20に電流が発生し、第1信号層20と第2信号層30の間に存在する誘電層22、および電源層44と第1信号層20の間に存在する高抵抗層42において、2次元放射状に広がる電磁場が発生する。このとき、高抵抗層42は誘電層として作用する。この電磁場は、隣接する通信素子200に伝播される。
【0040】
隣接する通信素子200は、電磁場の変化を観測し、信号を検出する。隣接する通信素子200は、誘電層22において発生した電磁場から信号を検出してもよく、また高抵抗層42において発生した電磁場から信号を検出してもよい。なお、通信素子200は、誘電層22および高抵抗層42の両方において発生した電磁場から信号を検出してもよい。誘電層22および高抵抗層42における電磁場をそれぞれ検出し、誘電層22および高抵抗層42における電磁場の差分を検出することによって、信号を高い精度で検出することが可能となる。差分をとることにより、外部から混入するノイズの影響を最小とすることができ、SN比をあげることができる。この場合、通信素子200は、高抵抗層42における信号を受信するための構造をもつ必要がある。
【0041】
図8は、誘電層22および誘電層43における電磁場の変化を観測できる通信素子200を備えた通信デバイス300を示す。この通信デバイス300は、グランド層である第2信号層30および電源層44と、第2信号層30および電源層44に電磁的に接続する通信素子200と、第2信号層30および電源層44の間に積層された誘電層22、第1信号層20、誘電層43を備える。通信素子200は、誘電層22および誘電層43に、電場または電磁場を発生させることにより信号を発信する。通信素子200は、第2信号層30および電源層44に挟持され、周囲を誘電層22、第1信号層20および誘電層43に囲まれて構成される。誘電層22、第1信号層20および誘電層43は、通信素子200に電磁的に接続している。この構造により、通信素子200は、誘電層22および誘電層43における電場または電磁場をそれぞれ検出し、誘電層22および誘電層43における電場または電磁場の差分を検出することによって、信号を高い精度で検出することが可能となる。差分をとることにより、外部から混入するノイズの影響を最小とすることができ、SN比をあげることができる。第1信号層20と、電源層44および第2信号層30の間に図7(a)のようなスイッチ26を設けることにより、第1信号層20と電源層44、および第1信号層20と第2信号層30の間をショートすることができ、第1信号層20の電位をふりやすくなる。これは、通信素子200が電源層44およびグランド層である第2信号層30に接続したことの利点である。
【0042】
図7(b)は、第1信号層20に印加する交流電圧の振幅を制限する回路の例を示す。電源層44および第2信号層30から第1信号層20に電圧を印加する電力経路のそれぞれに、電圧を制限するための電圧制限素子54、この例ではダイオード列を配置させる。電圧制限素子54として、1個または複数個のダイオードを順方向にそれぞれの電力経路に挿入することにより、第1信号層20に印加する電圧を制限することができる。電圧制限素子54を設けない場合、第2信号層30からのグランド電圧(0[V])と、電源層44からの電源電圧(E[V])とが交互に第1信号層20に印加されるが、第2信号層30からの電力経路と電源層44からの電力経路にそれぞれn個のダイオード列を順方向に挿入した場合には、第1信号層20には、ne[V]と(E−ne)[V]の電圧が交互に印加されることになる。ここでe[V]は、ダイオードの順方向電圧を示す。
【0043】
電圧制限素子54を設けることにより、電源電圧が信号発信に必要な電圧よりも十分高い場合であっても、印加電圧を必要なレベルにまで下げることが可能となる。また、電圧制限素子54を電力経路に挿入することによって、電流量が減るため、消費電力を下げることができ、通信デバイス300の省電力化に寄与することになる。なお、第2信号層30と第1信号層20の間に設けられる電圧制限素子54aと、電源層44と第1信号層20の間に設けられる電圧制限素子54bの抵抗値は異なってもよい。
【0044】
図9(a)は、通信素子200の具体的な構成例を示す。通信素子200は、上述の通信機能を備えたLSIとして構成され、図9(a)は、第1信号層20に接触するLSIの上面を示している。通信素子200は、図3に示した処理部60およびメモリ70の各機能を備えたデジタル回路202を有する。円形の電極204は通信部50として作用する。図示しないLSIの裏面の電極は、第2信号層30と電磁的に接続されている。電極204は、スイッチ26(図5(a)および図5(b)参照)のスイッチング動作により、第1信号層20を介して電源層44から電源電圧を印加され、また裏面の第2信号層30からグランド電圧を印加される。既述のごとく、通信素子200は、スイッチ26を交互にスイッチして、交流電流を発生することで、電磁場を変化させ、信号を発信する。
【0045】
図9(b)および図9(c)は、通信素子200による信号発信の原理を説明するための図である。図中、Sで示す領域は、通信素子200の電極204を示す。第1信号層20および第2信号層30の導電率をσとし、誘電層22の誘電率をεとする。既述のごとく、誘電層22が、第1信号層20および第2信号層30に挟まれた構造につき考察する。なお、図9(b)および図9(c)では、誘電層22の図示を省略している。この構造において、電磁波動を発生し、誘電層22中を伝達させる。
【0046】
図示のごとく、円柱座標をとり、各層に垂直方向のz軸まわりの解を求める。円柱座標の原点を、円形の電極204の中心点の垂直下方向であって、且つ第1信号層20の下面と第2信号層30の上面との中間点にとる。第1信号層20と第2信号層30の間隔、すなわち誘電層22の厚さを2d、電極204の半径をrとする。z軸に対称な解においては、磁場ベクトルBはθ成分のみをもち、それをB(r,z)と表現する。また、z軸を対称軸とする半径rの円柱面を外に向かって横切る表皮電流の総和をI(r)と表現する。電磁波動の周波数をωとすると、一般解は、以下のように表現される。なお、第1信号層20および第2信号層30ともに導体とし、以下の発信原理の説明において、それぞれの層を区別せずに、導体層と呼ぶ。
【数1】
Figure 0003902554
は磁場の強さを表す定数である。ここで、上記一般解における各パラメータの値を、以下のように設定する。
【数2】
Figure 0003902554
Re[k]は、誘電層22中の電磁波動の波数であり、cは誘電層22における光速である。Im[k]は伝播する電磁波動の減衰を与えるパラメータである。Re[p]は表皮深さを与えるパラメータである。
また、
(2)(z)≡J(z)−jN(z)
である(ハンケル関数)。
【0047】
なお、マイクロ波を伝達し、上記の解が成立するためには、以下の条件を満たす必要がある。
1)|σ/ω|>>ε(σは導体層の導電率)を満たすこと。
2)表皮深さが導電層の厚みよりも小さいこと。
3)減衰距離が、その周波数に対応する真空中の電磁波長よりも大きいこと。すなわち、−Im[k]がRe[k]と同程度か、それより小さいこと。
4)導電層の間隔が、
【数3】
Figure 0003902554
を満たすこと。
なお、透磁率は誘電層22、導体層ともにμであることと仮定した。
【0048】
以上の伝達条件を満たすことにより、誘電層22において2次元放射状にマイクロ波を伝達させることが可能となる。例えば、周波数を10〜100GHz程度、伝達距離を10cm程度、d=1〜0.1mm程度とすることにより、以上のマイクロ波伝達条件を満足するような導電率の材料を容易に見つけることができる。なお、表面深さが導電層の厚みよりも大きい場合であっても電磁作用は伝達するが、その場合には、電磁波は、導電層の外にも漏出することになる。
【0049】
電磁波動をマイクロ波として伝達することにより信号伝達速度は光速となる。このように、本実施の形態における通信装置100は、1ビットの情報を送るのに1波長分程度の幅をもったリング状の電磁場を生成し、この電磁場を利用して通信を行うため、少ない消費電力で1GHzをこえる信号伝達を行うことが可能となる。これにより、通信装置100は、コンピュータなどのクロックと同期して高周波数の論理信号を伝送可能となる。
【0050】
中心から距離rの点における上側導体層表面、すなわち第1信号層20表面と、下側導体層表面、すなわち第2信号層30表面との電位差をV(r)とすると、半径rの円柱面を横切って流れる電流I(r)とV(r)(その地点での電極間の電位差2dE)の比は、
【数4】
Figure 0003902554
で与えられる。関数P(x)を
【数5】
Figure 0003902554
と設定する。
【0051】
図10は、実数xに対するP(x)のプロットを示す。P(x)の虚部は原点付近で対数的に発散する。電磁波動の波長よりrが著しく小さい場合にはP(x)において対数の絶対値が大きくなり、容量性リアクタンスが支配的となるが、その増大は緩やかである。半径rの円形電極204のスイッチングによって電磁波動を放出する場合、その電極204を垂直方向に横切る電流と電極間電圧のインピーダンスは、
【数6】
Figure 0003902554
である。したがって例えば|kr|が0.27以上(rが波長の4.3%以上)であればインピーダンスの実部は虚部より大きくなり、実部で消費されるエネルギーが電磁波動のエネルギーに変換されることになる。
【0052】
なお、導電層の伝導率が十分大きい場合、z軸方向の電場は、
【数7】
Figure 0003902554
で与えられる。
【0053】
図11は、導電層の導電率を無限大(そのときkは実数)と仮定したときの、中心からの無次元距離x=krにおいて変化する導電層に垂直な方向の電場の絶対値を示す。なお、距離による変化率をみるのが目的であるため、ωεμ=B=1と設定する。したがってr=λ/2π(波長の約6分の1)の半径の電極部において導電層に所定の電圧を発生させると、r=(35/2π)λにおいてその17%の電圧振幅が観測されることになる。導電層の抵抗率が有限の場合にはこれに指数関数的な減衰が乗ぜられることになり、これによって有効通信距離が決まる。
【0054】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、第1の実施の形態で説明した電磁場を用いる通信デバイス300に限らず、他の方法で信号発信を行う通信デバイスにも適用できる通信装置100の構造を説明する。他の信号発信方法の例として、図4(a)の構造において第1信号層20および第2信号層30を短絡させることが考えられる。その結果、第1信号層20と第2信号層30の間に電圧降下が生じ、近傍の通信素子200がその影響を受け、この電圧降下を信号として観測する。例えば、通信素子200がコンデンサを有して構成され、ある通信素子200から放出された電荷が有効通信距離内に配置されている周辺の通信素子200のコンデンサに蓄積され、その電圧変化により周辺の通信素子200が信号を認識することとしてもよい。このように、短絡による電圧降下を利用して信号の伝達を行う通信デバイスも、第2の実施の形態による通信装置100の構造の利点を享受することができる。なお、以下では、第1信号層20についての説明を行うが、第2信号層30も第1信号層20と同様の構造および機能等を具備することができる。
【0055】
図12(a)は、通信装置100における第1信号層20の抵抗分布を示す。第1信号層20は、複数のサイト210と、サイト210を囲む高抵抗領域212を含む。サイト210は、高抵抗領域212よりも低い抵抗値を示し、低抵抗領域を構成する。通信素子200はサイト210に配置され、最も単純な構造においては、1つのサイト210につき1つの通信素子200が存在する。図示のごとく、第1信号層20において、5×5の四角形のサイト210が形成されている。
【0056】
最初に、信号を発信する通信素子200の周囲に連続的な電圧勾配が生じ、この電圧降下を検出することにより、信号を認識する場合について考察する。電極の大きさが電圧降下の生じる拡散距離よりも著しく小さい場合、電極付近での電圧降下が大きくなる。図12(b)は、均一な抵抗で第1信号層20が形成されているときの電圧振幅分布を示す。発信する通信素子200から離れた地点に所定の閾値以上の電圧を発生させるためには、発信する通信素子200の電極における信号振幅を大きくする必要がある。
【0057】
第1信号層20に図12(a)に示すような抵抗分布を設定し、通信素子200を発信させると、サイト210内では、ほぼ均一な電圧を伝達できるようになる。高抵抗領域212の抵抗値を適切に定めれば、信号を発したサイト210から一定の距離までは閾値以上の信号電圧が到達し、それより遠くでは閾値以下となるように、到達信号強度を段階的に変化させることができるようになる。これにより、安定した信号伝達が可能になる。なおサイト210は四角形に限らず、任意の形状であってよい。
【0058】
図12(c)は、第1信号層20を抵抗分布をつけて形成したときの電圧振幅分布を示す。図12(c)は、図12(a)において図示する通信素子200eが信号を発信したときの横方向の電圧振幅分布を示している。第1信号層20において、サイト210内では電位に大きな変動はなく、高抵抗領域212を通過するときに、大きな電圧降下が生じることになる。通信素子200eが発信したサイト210aにおいては、電位が、電源層44から印加される電位Vに保たれる。また、横方向に隣り合うサイト210bにおいては電位が全体的にVに保たれ、さらに横方向に位置するサイト210cにおいては電位が全体的にVに保たれる。したがって、各サイト210における通信素子200の受信電圧の閾値をVからVの間に設定しておけば、発信する通信素子200に隣接する通信素子200のみが信号を受信することができ、さらに隣の通信素子200は信号を受信することができなくなる。すなわち、第1信号層20における抵抗分布および通信素子200の受信電圧閾値を適切に設定することにより、近傍の通信素子200のみに信号を伝達することが可能となる。これにより、信号の有効通信距離を制限し、信号の衝突を減少させることができるため、連鎖伝達型の通信を安定的に実現することができる。
【0059】
以上は、電圧降下を利用した信号伝達を行う通信デバイス300を備えた通信装置100の例であるが、第1の実施の形態で説明した電磁場を利用した信号伝達を行う通信デバイス300に対しても、第1信号層20に抵抗分布を設けることは有効である。
【0060】
電磁波動の減衰率は、第1信号層20および第2信号層30の伝導率、言い換えると電気抵抗によって定まる。そのため、高抵抗領域212においては電磁波動の減衰が大きくなる。このことを利用して、高抵抗領域212により電磁波動を強く減衰させることにより、電磁場を近傍のサイト210に局在させることが可能となる。すなわち、隣接するサイト210における通信素子200のみが電磁場の変化を観測できるように、第1信号層20を形成することができる。
【0061】
図13は、第1信号層20および第2信号層30に厚み分布を設けた構造を示す。第1信号層20および第2信号層30の間隔を一部狭めることにより、電磁波動の減衰効果を高めてもよい。図示のごとく、電磁波動の伝達経路、すなわち誘電層22の厚みに変化をもたせることにより、狭くなった伝達経路において電磁波動を反射させ、これにより、信号の有効通信距離を制限し、信号の衝突を減少させることができ、連鎖伝達型の通信を安定的に実現することができる。なお、電磁波の吸収体や反射体を第1信号層20と第2信号層30との間に配置し、信号の有効通信距離を制限することも可能である。この場合、電磁波動が通過するスペースはあけておく必要がある。
【0062】
図14(a)は、サイト210を六角形とした場合の第1信号層20の抵抗分布を示す。それぞれのサイト210の中心部に通信素子200を配置することにより、隣接する6つの通信素子200との間の距離を等しくすることが可能となる。
【0063】
図14(b)は、図14(a)に示したサイト210内に、さらに高抵抗領域214を形成した場合の第1信号層20の抵抗分布を示す。高周波の信号伝達を可能とするためには、第1信号層20と第2信号層30との間の容量を減らすことが好ましい。この目的のもと、図14(a)に示したサイト210の中に高抵抗領域214のパターンを形成し、サイト210の面積を減らすことにより、第1信号層20と第2信号層30との間の容量を減らす。なお、高抵抗領域214のパターンは図示したものに限定されない。
【0064】
以下、図15および図16において、第1信号層20の構造の変形例を示す。第1信号層20には、個別配線を形成せず、周囲の抵抗値に対して低い抵抗値を示すサイト210が形成されている。
【0065】
図15(a)は、様々な大きさのサイト210を有する第1信号層20を示す。既述のごとく、通信装置100は個別配線を設けることなく、通信素子200間で信号を順次伝達可能な通信機能をもっており、自動車の内壁などに利用して煩わしい個別配線を不要とすることができる。自動車の内壁に利用する場合、車載機器の全てを通信装置100に直接接続して通信を行わせることも可能であるが、実用性を考えると、通信装置100の表面に接続端子やコネクタ(以下、コネクタ等とよぶ)を設け、車載機器からの信号線を適当なコネクタ等に接続させてもよい。この場合、1つのコネクタごとに1つの通信素子200を割り当ててもよいが、各車載機器が常に通信を行うわけではないことから、複数の車載機器が通信素子200を共有する構造をとることもできる。
【0066】
図15(a)の例では、複数のコネクタ等の集中する箇所のサイト210dが他のサイト210eと比べて大きく形成される。これにより、コネクタ等を形成するスペースを確保する。コネクタ等が少ないまたは存在しないサイト210eは、小さく形成されて、信号伝達の機能だけをもてばよい。各サイト210には、1つの通信素子200が存在している。
【0067】
図15(b)は、2次元通信領域220と1次元通信領域222を組み合わせた第1信号層20を示す。各サイト210には、1つの通信素子200が存在している。2次元通信領域220には、複数のサイト210fが密に設けられており、各サイト210fに設けられた通信素子200が隣接する通信素子200との間で信号を2次元的に伝達する。一方、1次元通信領域222には、複数の細長いサイト210gが直列に配置され、各サイト210gに設けられた通信素子200が、信号を1次元的に遠くまで伝達する。このように、2次元通信領域220と1次元通信領域222とを組み合わせることにより、個別配線を不要とした所期の通信装置100を実現できる。
【0068】
図16(a)は、細長いサイト210h列を並列に配置した第1信号層20を示す。各サイト210には、1つの通信素子200が存在している。平行に配置されるサイト210hの間隔は、信号が伝達しないように広く設定され、1次元通信領域230を構成する。なお、並列のサイト210h間の抵抗値をさらに高く設定すれば、サイト210h間の間隔が狭い場合であっても、サイト210h間で信号は伝達されない。このように、高抵抗領域内でも抵抗分布をもたせることにより、第1信号層20の構造をコンパクトにすることができる。
【0069】
図16(b)は、ランダムに形成されたパターンをもつサイト210iを有する第1信号層20を示す。通信装置100は、ランダムパターンのサイト210i中に適当に通信素子200を分散配置させることにより、サイト210iにおける信号伝達を可能とする。なお、サイト210iは一体として連続的に形成されているが、機器間を個別に配線することを意図するものではない。
【0070】
図17(a)は、2次元通信用の信号線を形成した信号線シート240を示す。信号線シート240は、導電性材料によりメッシュ状に形成され、信号伝達と電力供給に利用される。なお、信号線シート240の形状はメッシュ状に限定されるものではなく、すだれ状であってもよく、またランダムパターンであってもよい。図17(b)は、信号線シート240が電源層44と、グランド層である第2信号層30に挟持された状態を示す。通信素子200は、信号線シートの端部に電気的に接続し、信号線シート240を介して、信号の伝達および受電動作を行うことができる。電源層44および第2信号層30の形状は、信号線シート240に合わせて作られてもよい。
【0071】
図18(a)は、通信素子200の送受信動作を説明するための図である。既述のごとく、信号の発信方法として、電磁場を利用するものや電圧降下を利用するものが考えられるが、以下では、電圧降下を利用した信号発信方法を想定する。この例では、サイト210l内の通信素子200が、サイト210mの通信素子200に対して信号を送信する。
【0072】
サイト210mの通信素子200は、第1信号層20および第2信号層30を電気的にフロートにして電圧変化を観測してもよいが、ここでは、電圧変化を観測しながら、積極的に電位を保持することとする。電気的にフロートとした状態で電圧変化を観測する場合には、発信信号が遠方の素子にまで到達するため、信号衝突の可能性が高まる。そのため、信号を受信したサイト210mで電圧変化を吸収することにより、発信信号が遠方まで伝達する可能性を低減し、信号衝突の可能性を少なくする。隣接するサイト210lが発信した場合、その電位差によって、サイト210間の高抵抗領域を通って電流が流入または流出し、サイト201mの通信素子200は、これを観測信号とする。
【0073】
図18(a)において、グランドは、グランド層である第2信号層30を表わす。なお、発信回路および受信回路ともに通信素子200の外部に存在するように示されているが、実際には通信素子200の内部に存在する。図18(a)においては、サイト210lの通信素子200の送信回路と、サイト210mの通信素子200の受信回路とが示されているが、各通信素子200は、それぞれ発信回路および受信回路を持っており、必要に応じて使用する回路を切り替えることができる。サイト210lにおける通信素子200が信号を送信し、サイト210lおよびサイト210mの間の高抵抗領域を介して、サイト210mに電流が流入または流出する。
【0074】
通信素子200の受信回路は、フィードバック回路250を備え、電流を能動的に通信素子200内に取り込むことにより、サイト210m内の電圧が変動しないように制御し、出力端252に出力される電流を読み取る。図18(b)は、高速動作を実現する回路例を示す。
【0075】
サイト210lからサイト210mに信号を伝達する場合、サイト210およびサイト210mを取り囲む8個のサイト210の電圧が「観測モード」に入ることで略一定に保たれる。そのため、サイト210lからの距離がサイト2つ分以上あるサイト210には信号は到達しないようになる。つまり、あるサイト210からの発信により、隣接するサイト210以外には全く信号が届かないことになり、これによって無用な信号の衝突を避けることができる。なお、信号を受信したサイト210の通信素子200は、その後、信号を発信し、隣接するサイト210のみに信号を伝達していく。
【0076】
図18(c)は、100MHzで動作する回路の具体例を示す。コンパレータ260の一入力に印加する基準電圧を10mV、抵抗262の抵抗値を、サイト210間より十分に小さい5Ωに設定することにより、100MHzで信号伝達を行うことが確認できた。
【0077】
<第3の実施の形態>
図19は、電源層44の変形例を示す。電源層44は、複数の電源ブロック46a、46b、46c、46d、46eおよび46fから構成され、また電源ブロック間を電気的に接続する複数の接続部48a、48b、48c、48d、48e、48fおよび48gを有する。電源層44のある箇所にショートが発生した場合には、その部分を電源層44から電気的に切り離して、全体のブレークダウンを防ぐことができる。例えば、電源ブロック46eのある箇所にショートが発生した場合、接続部48d、48fおよび48gを電気的に切り離すことにより、電源ブロック46eを隣接する電源ブロック46b、46dおよび46fから切り離す。これにより、電源層44は安定して通信素子200に電力を供給し続けることができる。本発明による通信装置100は、個別配線が存在せず、隣接する通信素子200間で信号を順次伝達する構造をとるため、電源ブロック46eに存在する通信素子200を利用できなくなっても、他の電源ブロックに存在する通信素子200を利用して信号伝達を行うことができる。
【0078】
<第4の実施の形態>
図20は、第4の実施の形態に係る通信装置100における信号伝達方法の説明図を示す。第4の実施の形態においては、各通信素子200が、空間内の自身の位置を示す座標をアドレスとしてメモリに保持する。座標は、2次元座標であっても3次元座標であってもよい。通信素子200の座標は外部のコンピュータなどにより設定されてもよく、各々で自律的に設定してもよい。後者の座標設定方法については後述する。この例では、座標(1,1)に位置する通信素子から、座標(7,7)に位置する通信素子まで信号を伝達することを目的とする。以下、座標(M,N)に位置する通信素子を「通信素子(M,N)」と表現する。なお図示の例では、説明の便宜上、通信素子が規則的に配列されているが、この配列形態はランダムであってよい。
【0079】
図21は、送信元の通信素子により生成される信号のパケットを示す。このパケットには、コマンド、送信元アドレス、送信先アドレスおよび送信データの項目が設けられる。この信号はデータを通信素子(7,7)に転送するためのものであり、コマンドには転送パケットであることを指示するコードが記述される。送信元アドレスには、送信元通信素子の座標である(1,1)が記述され、送信先アドレスには、送信先通信素子の座標である(7,7)が記述される。送信データは、伝達すべきデータである。このように、通信素子(1,1)は送信元座標と送信先座標とを含んだ信号のパケットを生成する。パケットの生成は処理部60(図3参照)により行われる。
【0080】
図20に戻って、送信元の通信素子(1,1)が信号を送信すると、その信号は周辺の通信素子、すなわち座標(0,0)、(2,0)、(3,1)、(2,2)、(0,2)、(−1,1)に位置する通信素子に伝達される。これらの通信素子は、信号を受け取ると、自身が位置する座標をもとに信号を中継するか否かを決定する。この決定は、送信元座標(1,1)と送信先座標(7,7)との間に、空間的に自身が位置するか否かを判定することにより行われ、具体的には、送信元の通信素子(1,1)と、送信先の通信素子(7,7)とを結ぶ経路上に自身が位置するか否かを判定することにより行われる。
【0081】
この例では、通信素子(2,2)が、通信素子(1,1)と通信素子(7,7)を結ぶ経路上に位置することを判定し、信号を中継することを決定する。通信素子(2,2)は、受け取った信号を送信し、それ以外の通信素子は応答しない。以後、信号は、通信素子(3,3)、通信素子(4,4)、通信素子(5,5)、通信素子(6,6)により中継されて通信素子(7,7)に伝達される。
【0082】
第4の実施の形態においては、各通信素子が、自身の座標と、送信元および送信先の座標との関係により、信号を中継すべきか否かを判断する。通信経路を予め定めておく必要はなく、単純なアルゴリズムで動的に最短経路を設定し、信号を伝達することが可能となる。ここでは予め通信素子の座標が確定していることを前提としたが、以下、通信素子の座標を決定する方法を示す。
【0083】
図22は、通信素子の座標決定方法の一例を説明するための図である。この座標決定方法では、通信装置100内に、3つ以上の基準素子を配置する。基準素子は、他の通信素子の座標を決定するために設けられる。各通信素子は、基準素子からの距離に基づいて自身の座標を決定する。この距離は、基準素子から自身までの経路中に存在する他の通信素子の個数に基づいて決定される。この例では、2次元座標の決定を感覚的に理解しやすくするため、4つの基準素子A、B、C、Dを上下左右に配置する。基準素子Aと基準素子Cを結ぶ直線はX軸を構成し、基準素子Bと基準素子Dを結ぶ直線はY軸を構成する。まず、各基準素子が座標決定コマンドを発信する。座標決定コマンドは、ブロードキャストモードにより伝達される。
【0084】
ブロードキャストモードは、発信元の通信素子から全ての通信素子に信号をブロードキャストする通信アルゴリズムである。ブロードキャストモードにおいては、信号待機中、全ての通信素子が周囲の信号を監視する。信号を受信した通信素子は、乱数により定められる時間だけ待機して、同一の信号系列を送信する。各信号系列は「信号ID」を有しており、通信素子が同一の信号IDをもつ信号を受信した場合には、その信号の転送を行わないことが好ましい。以上の動作を各通信素子が実行することにより、任意の通信素子から発生した信号が中継されて、ほぼ同心円状に広がっていき、発信元の通信素子から離れる方向に順次伝達されることになる。
【0085】
図23は、座標決定コマンドを示す。コマンドには、座標決定コマンドであることを特定するコードが記述される。「基準素子の方向」には、基準素子の位置が記述される。例えば基準素子Aが発信する座標決定コマンドであれば「左」、基準素子Bが発信する座標決定コマンドであれば「下」、基準素子Cが発信する座標決定コマンドであれば「右」、基準素子Dが発信する座標決定コマンドであれば「上」と記述される。中継回数は、この座標決定コマンドを受け取るまでに他の通信素子を経由した回数が記述される。基準素子からの発信時、この中継回数は0に設定されている。各通信素子は、座標決定コマンドを受け取ると、中継回数を1つ増やし、それを送信する。本実施の形態における座標決定方法は、以下のアルゴリズムを利用する。
【0086】
任意の点Q(x,y)から基準点A(−a,0)までの距離をr、基準点C(a,0)までの距離をrとする。このとき、
=(x+a)+y ・・・(1)
=(x−a)+y ・・・(2)
が成り立つ。したがって、
x=(r −r )/4a ・・・(3)
ここで、aは定数であるため、X座標を以下の式で決定する。
x=(r −r ) ・・・(4)
【0087】
同様に、任意の点Q(x,y)から基準点B(−b,0)までの距離をr、基準点D(b,0)までの距離をrとする。このとき、
=x+(y+b) ・・・(5)
=x+(y−b) ・・・(6)
が成り立つ。したがって、
y=(r −r )/4b ・・・(7)
ここで、bは定数であるため、Y座標を以下の式で決定する。
y=(r −r ) ・・・(8)
【0088】
式(4)および(8)を用いて、通信素子の2次元座標を定める。これらの式から分かるように、4つの基準素子からの距離が決定されれば、通信素子の相対的な座標を求めることができる。
【0089】
図22に戻って、通信素子200hの2次元座標を求める。各基準素子が図23に示した座標決定コマンドを発信する。座標決定コマンドを受け取った通信素子は、乱数で決まる待ち時間だけ待機した後、中継回数に1を加算して座標決定コマンドを送信する。通信素子は、1を加算した中継回数を基準素子ごとにメモリに記録する。座標決定コマンドの送信後、同一の基準素子からの座標決定コマンドを再度受け取ったとき、このコマンドに含まれる中継回数に1を加算したものがメモリに記録したものより大きい場合は応答しない。一方、記録したものより小さい場合は、一定時間待機後、中継回数に1を加算して座標決定コマンドを再送信する。このとき、メモリの中継回数を更新する。最終的にメモリには、各基準素子からの中継回数の最小値が記録される。この中継回数の最小値は、基準素子からの距離に相当する。
【0090】
図24は、1つの基準素子から発信された座標決定コマンドが異なる経路を通って所定の通信素子に到達する状況を説明するための図を示す。経路1によると中継回数は6であり、経路2によると中継回数は7となる。各通信素子が信号送信に際してランダム時間待機するため、中継回数が少なくても、信号受信のタイミングが遅れる場合も生じる。したがって通信素子は、受信した座標決定コマンドに記述される中継回数を確認して、基準素子からの最短距離を定める。
【0091】
このアルゴリズムにしたがって、通信素子200hの二次元座標を決定する。基準素子Aからの中継回数が7、基準素子Bからの中継回数が10、基準素子Cからの中継回数が3、基準素子Dからの中継回数が4となる。基準素子同士の位置関係は、座標決定コマンドに記述される「基準素子の方向」により特定する。式(4)を用いて、X座標は、基準素子Aおよび基準素子Cからの距離により、
x=7−3=40
式(8)を用いて、Y座標は、基準素子Bおよび基準素子Dからの距離により、
y=10−4=84
したがって、通信素子200hの座標は、(40,84)と決定される。
【0092】
以上の処理を各通信素子が実行することにより、通信装置100における座標が決定する。通信素子はこの座標をメモリに記録し、信号中継をするか否かの判断に利用する。
【0093】
図25は、座標決定方法の変形例を説明するための図である。図25(a)は、空間内に存在する4つの基準素子を示す。この変形例では、最初の4つの基準素子を「0次基準素子」と呼び、それぞれの座標を(0,0)、(1,0)、(1,1)、(0,1)とする。この座標決定方法において、通信素子は少なくとも3つの基準素子からの距離に基づいて、1以下の2進数の座標値を設定する。例えば通信素子は、3つの基準素子から等距離にある場合に、自身の座標を決定する。座標値を設定した通信素子は、以後、基準素子として機能する。この処理を繰り返すことにより、全ての通信素子の座標値が設定される。(n−1)次の基準素子までが決定しているとき、以下のアルゴリズムによりn次の基準素子を決定する。n次基準素子は、座標値の小数点第(n+1)位以下の桁が全て0となる通信素子を意味する。0次基準素子は、座標値の小数点第1位以下の桁が全て0であり、1次基準素子は、座標値の小数点第2位以下の桁が全て0となる。この座標決定アルゴリズムは2段階の構成をとり、それぞれの段階でn次基準素子を順次決定する。
【0094】
まず、基準素子の一つがブロードキャストにより「n次座標決定要求」を発信する。「n次座標決定要求」は、n次基準素子を決定するためのトリガとなるコマンドである。n次座標決定要求は、通信層に接続された外部コンピュータによって供給されてもよい。
【0095】
(n−1)次の基準素子は、n次座標決定要求を受けて、「n次座標決定コマンド」を発信する。図26は、n次座標決定コマンドのパケットを示す。このパケットには、コマンド、次数、基準素子のX座標およびY座標が記述される。次数の項目にはnが設定される。通信素子は、各基準素子から発信されたn次座標決定コマンドのうち、最短の中継回数で到達した3つのパケットを記録する。
【0096】
3つの中継回数が等しい場合、通信素子は、記録した3つのパケットの送信元である基準素子の座標をチェックする。それぞれの基準素子の各成分の座標値の差が全て(1/2)(n−1)以内であれば、その通信素子はn次基準素子の候補となる。n=1であれば各成分の座標値の差が1以内であることが条件となる。
【0097】
n次基準素子の候補となった通信素子は、重複チェックコマンドをブロードキャストする。重複チェックコマンドには、仮にn次基準素子となったときに設定される座標が記述されている。自分と同じ座標を記述した重複チェックコマンドを受け取った場合、その通信素子は、候補からの辞退を示す辞退コマンドをブロードキャストする。なお他の通信素子から辞退コマンドを受け取った場合には、自身の辞退は行わなくてよい。他の通信素子から重複チェックコマンドを受け取らないとき、また重複チェックコマンドを受け取ったがその通信素子から辞退コマンドも受け取ったときには、その通信素子は、自身をn次基準素子として決定する。以上により、第1段階におけるn次基準素子が決定する。
【0098】
続いて、このn次基準素子は、アルゴリズムの第2段階を実行するために(n−1)次基準素子として機能する。第2段階において、このn次基準素子および(n−1)次の基準素子は、再度「n次座標決定コマンド」を発信する。通信素子は、各基準素子から発信されたn次座標決定コマンドのうち、最短の中継回数で到達した3つのパケットを記録する。
【0099】
3つの中継回数が等しい場合、通信素子は、記録した3つのパケットの送信元である基準素子の座標をチェックする。それぞれの基準素子の一方の成分の座標値の差が(1/2)(n−1)以内であり、他方の成分の座標値の差が(1/2)以内であれば、その通信素子はn次基準素子の候補となる。n=1であれば一方の成分の座標値の差が1以内であり、他方の成分の座標値の差が2進数表示で0.1以内であることが条件となる。以後、第1段階と同様に、n次基準素子の候補となった通信素子は、重複チェックコマンドを送信する。以上の処理を繰り返すことにより、全ての通信素子の座標が決定する。
【0100】
図25(b)は、n=1の場合に、上述した座標決定アルゴリズムの第1段階において1次基準素子(0.1,0.1)が決定された状態を示す。1次基準素子(0.1,0.1)の決定後、この1次基準素子が0次基準素子として機能し、他の0次基準素子とともに1次座標決定コマンドを発信する。
【0101】
図25(c)は、n=1の場合に、上述した座標決定アルゴリズムの第2段階において4つの1次基準素子(0,0.1)、(0.1,0)、(1,0.1)、(0.1,1)が決定された状態を示す。このアルゴリズムでは、2段階の処理により1次基準素子の座標を決定する。この処理を繰り返し、全ての通信素子につき座標が定まると、この座標決定アルゴリズムは終了する。
【0102】
以上は、3つの基準素子から等距離にあることを条件として基準素子を設定したが、別の条件を採用してもよい。例えば、基準素子により生成される四辺形において、その対角線の交点に位置する通信素子を基準素子として設定してもよい。
【0103】
図27は、第4の実施の形態に係る通信装置100における信号伝達方法の変形例を説明するための図である。この変形例は、各通信素子がIDを有し、信号を送受する2つの通信素子が特定されている状況を前提とする。信号を送受する2つの通信素子のIDは、通信装置100内で重複しないように定められ、それ以外の通信素子のIDは、直接信号が届く範囲内で重複しなければよい。この例では、通信素子Eから通信素子Fに信号を伝達する。図示されるように、通信素子Eと通信素子Fとの間に、矢印で示される通信経路が確定しているとする。通信経路上に位置する通信素子は、送信元通信素子EのIDまたは送信先通信素子FのIDをメモリに記録する。
【0104】
信号送信元である通信素子Eは、自身のIDまたは送信先の通信素子FのIDを含んだ信号のパケットを生成して送信する。通信素子は、この信号を受け、通信素子Eまたは通信素子FのIDをメモリに記録しているか否かを確認する。メモリに記録している場合には、自身が信号を中継するべきであることを判定し、信号を送信する。経路上の通信素子が信号を順次中継することにより、信号を通信素子Fまで伝達する。以上は、通信経路確定後の信号伝達方法であり、その前提となる通信経路の確定は以下のアルゴリズムで行われる。
【0105】
まず、通信素子Eが「経路探索コマンド」を発信する。図28(a)は、経路探索コマンドのパケットを示す。このパケットには、コマンド、送信先ID、中継回数およびID履歴の項目が設けられる。送信先IDには、通信素子FのIDが記述される。通信素子Eからの発信時、中継回数として0が設定され、ID履歴の記述はない。通信素子は経路探索コマンドを受け取ると、中継回数に1を加算し、ID履歴の末尾に自身のIDを追加して、経路探索コマンドを送信する。このとき通信素子は、記述された中継回数に1加算した値をメモリに記録する。同じ送信先IDを含む経路探索コマンドを複数回受け取ったとき、経路探索コマンドに記述されている中継回数に1加算した値が、メモリに記録した中継回数以上である場合には応答せず、少ない場合には中継回数に1を加算し、ID履歴を追加した後、経路探索コマンドを送信する。通信素子は、メモリに記録した中継回数を更新する。
【0106】
通信素子Fは、経路探索コマンドの到達を一定時間待ち、最小の中継回数で到達した経路探索コマンドに記述されたID履歴により通信経路を決定する。最小中継回数をもつ経路探索コマンドが複数存在する場合には、時間的に最も早く到達した通信経路を採用してもよい。また、中継回数が最小でない場合であっても、時間的に最も早く到達した通信経路を採用してもよい。中継回数が最小となる通信経路であっても、トラフィックの集中などにより介在する通信素子の応答特性が悪化し、信号到達時間が長くなることも考えられる。そのため、中継回数が最小の通信経路と、時間的に最も早い通信経路とを設定し、状況に応じて適宜使い分けてもよい。また通信の安全を確保したり、並列送信を可能とするために、複数の通信経路を確保してもよい。通信経路を決定すると、通信素子Fは「経路通知コマンド」を発信する。
【0107】
図28(b)は、経路通知コマンドのパケットを示す。このパケットには、コマンド、送信先ID、決定中継回数および決定ID履歴の項目が設けられる。送信先IDには通信素子FのIDが記述され、決定中継回数および決定ID履歴は、最短経路として決定された中継回数およびID履歴が記述される。
【0108】
経路通知コマンドを受け取った通信素子は、決定ID履歴の末尾が自身のIDと一致する場合にはそのIDを削除して、中継回数を1減算し、経路通知コマンドを送信する。この通信素子は、自身が通信素子Eから通信素子Fへの通信経路に位置することを認識し、通信素子FのIDをメモリに記録する。これ以後、通信素子Fを送信先とする転送コマンドを受けた場合には、メモリに記録されたIDを参照して自身が通信経路を担っていることを確認し、信号を中継する。なお経路通知コマンドには送信元である通信素子EのIDを記述してもよく、このとき通信経路上の通信素子はこのIDをメモリに記録する。転送コマンドに送信元IDが含まれる場合には、通信素子が、メモリに記録された送信元IDを参照して信号を中継する。なお、通信経路の確定後、決定ID履歴は、通信素子Eにより必ずしも保持される必要はなく、中継する各通信素子が、通信経路において自身より一つ手前の通信素子のIDを保持していればよい。
【0109】
図28(a)では、経路探索コマンドにID履歴を含めることとしたが、別の方法として経路探索コマンドにID履歴を含ませなくてもよい。この変形例では、通信素子EがID履歴を含まない「経路探索コマンド」を発信する。図28(c)は、変形例における経路探索コマンドのパケットを示す。通信素子Eによる発信時、直前IDの項目には、通信素子EのIDが記述されている。直前IDには、この経路探索コマンドを受け取って発信した通信素子のIDが記述される。通信素子は経路探索コマンドを受け取ると、中継回数に1を加算し、直前IDの項目に自身のIDを記述して、経路探索コマンドを送信する。このとき通信素子は中継回数および直前IDに記述されていた通信素子のIDをメモリに記録する。なお記録する中継回数は、記述されている中継回数に1加算した値である。同じ送信先IDを含む経路探索コマンドを複数回受け取ったとき、経路探索コマンドに記述されている中継回数に1加算した値がメモリに記録した中継回数より少ない場合には、直前IDに自身のIDを記述して送信し、直前IDに記述されていた通信素子のIDを記録する。
【0110】
図28(d)は、変形例における経路通知コマンドのパケットを示す。図28(b)の経路通知コマンドと比べると、変形例においては決定ID履歴の代わりに決定直前IDの項目が設けられる。決定直前IDには、通信素子Eから通信素子Fに向かう通信経路において、自身の直前に位置する通信素子のIDが記述される。通信素子Fによる発信時、決定直前IDには、決定した通信経路上において通信素子Fの直前に位置する通信素子のIDが記述される。経路通知コマンドを受け取った通信素子は、自身のIDが決定直前IDと一致する場合には決定直前IDを自身の直前に位置するIDに更新して、中継回数を1減算し、経路通知コマンドを送信する。この通信素子は、自身が通信素子Eから通信素子Fへの通信経路に位置することを認識し、通信素子FのIDをメモリに記録する。これ以後、通信素子Fを送信先とする転送コマンドを受けた場合には、メモリに記録された通信素子FのIDを参照して自身が通信経路を担っていることを確認し、信号を中継する。このとき、メモリに記録された直前の通信素子のIDを参照してもよい。この変形例によると、ID履歴を利用しないため、経路決定の際に送信する信号量が少なくてすむ。また、信号量をさらに少なくするために、中継回数に関するデータを省略することも可能である。
【0111】
以上のように、通信装置100は、通信素子200間で信号を伝達することが可能となる。各通信素子200の有効通信距離の範囲内には、既述のような通信素子200間で要求される通信機能を有しないシンプルな通信素子を配置してもよい。このシンプルな通信素子は、通信素子200の管理下におかれる。この関係から、通信素子200を親素子と呼び、その管理下にある通信素子を子素子と呼ぶ。上記のごとく、親素子となる通信素子200は、自身の二次元座標などのIDを有している。
【0112】
この親子関係は、親素子が応答要求を定期的に発行し、それに子素子が応答することで動的に形成される。具体的にはまず親素子は自分のIDをパケットに埋め込んだ「応答要求コマンド」を送信する。すでに親素子が確定している子素子はそれに応答することはなく、まだ親素子が確定していない子素子は、乱数による待機時間の後、自分がその親素子に子供になることを意思表示するパケットを発行する。このパケットを受け取った親素子は直ちにID確定コマンドを送出し、その子素子に、自分の管轄内でのIDを割り当てる。このようにして任意の子素子は動的に近傍の1次素子とユニークな親子関係を確立する。なお子素子は組み込みの素子でもよいし、コネクタを介して信号層に接続された情報機器であってもよい。
【0113】
通信装置100において、子素子は、親素子との間でのみ通信を可能とする。親素子である通信素子200は、子素子から発信された信号を、周辺の通信素子200に伝達する役割と、また別の通信素子200から送信された信号を、子素子に伝達する役割をもつ。親素子は、複数の子素子を管理してもよく、割り当てたIDにより、管理下の子素子を特定する。
【0114】
<第5の実施の形態>
第5の実施の形態は、個別配線を不要とした電力供給デバイスに関する。図29は、電力供給の原理を説明するための図である。電力供給デバイス500は、機器の信号線と接続するための複数のコネクタと、コネクタに電気的に接続する導電層502とを備える。電力供給デバイス500は、個別配線を有しない。ここで、電極400と電極402の間で電流を伝達する状況を想定する。なお、電力供給源が電極400を有し、電力を供給される機器を接続するためのコネクタが電極402を有する。
【0115】
電力供給デバイス500において、2次元の導電層502を介して電流を伝達する場合、二つの電極400および402間の抵抗は、
【数8】
Figure 0003902554
のように与えられる。rは電極400および電極402の半径、σは導電層のシート抵抗、Lは電極間の距離である。これにより、電極間の抵抗は、シート抵抗に依存する。なお、rを1cm、Lを1mと仮定している。したがって多数の機器に電流を供給し、特定の接点に電流が集中しない場合には、消費する総電流とシート抵抗の積が所定の電圧を超えないようにシート抵抗を設定すれば、全ての機器に電流が供給できる。個別に配線した場合、個々の機器への最大電流Iの和ΣIを許容する配線材料が必要であるが、共通の導電層502から電力を供給する場合、導電層502を、同時に流れる電流の最大値を許容する材料で形成するだけで済むため、一般に重量は軽くなり、また断線に対する信頼性も向上する。
【0116】
以上、本発明をいくつかの実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0117】
【発明の効果】
本発明によれば、新規な通信デバイスおよび通信装置などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態に係る通信技術の方式を説明するための図である。
【図2】 実施の形態にかかる通信装置の外観構成を示す図である。
【図3】 通信素子の機能ブロック図である。
【図4】 (a)は通信装置の断面図であり、(b)は通信装置の別の例を示す断面図である。
【図5】 (a)は通信デバイスが信号を発信する基本原理を説明するための図であり、(b)は通信デバイスが信号を発信する原理の別の例を説明するための図である。
【図6】 通信デバイスの構造の実現例を示す図である。
【図7】 (a)は通信デバイスを実現する回路動作の概要を示す図であり、(b)は第1信号層に印加する交流電圧の振幅を制限する回路の例を示す図である。
【図8】 誘電層および高抵抗層における電磁場の変化を観測できる通信素子を備えた通信デバイス300を示す図である。
【図9】 (a)は通信素子の具体的な構成例を示す図であり、(b)および(c)は、通信素子による信号発信の原理を説明するための図である。
【図10】 P(x)のプロットを示す図である。
【図11】 導電層に垂直な方向の電場の絶対値を示す図である。
【図12】 (a)は通信装置における第1信号層の抵抗分布を示す図であり、(b)は均一な抵抗で第1信号層が形成されているときの電圧振幅分布を示す図であり、(c)は第1信号層を抵抗分布をつけて形成したときの電圧振幅分布を示す図である。
【図13】 第1信号層および第2信号層に厚み分布を設けた構造を示す図である。
【図14】 (a)はサイトを六角形とした場合の第1信号層の抵抗分布を示す図であり、(b)はサイト内に高抵抗領域を形成した場合の第1信号層の抵抗分布を示す図である。
【図15】 (a)は様々な大きさのサイトを有する第1信号層を示す図であり、(b)は2次元通信領域と1次元通信領域を組み合わせた第1信号層を示す図である。
【図16】 (a)は細長いサイト列を並列に配置した第1信号層を示す図であり、(b)はランダムに形成されたパターンをもつサイトを有する第1信号層を示す図である。
【図17】 (a)は2次元通信用の信号線を形成した信号線シートを示す図であり、(b)は信号線シートが電源層と、グランド層に挟持された状態を示す図である。
【図18】 (a)は通信素子の送受信動作を説明するための図であり、(b)は高速動作を実現する回路例を示す図であり、(c)は100MHzで動作する回路の具体例を示す図である。
【図19】 電源層の変形例を示す図である。
【図20】 通信装置における信号伝達方法の説明図を示す。
【図21】 送信元の通信素子により生成される信号のパケットを示す図である。
【図22】 通信素子の座標決定方法の一例を説明するための図である。
【図23】 座標決定コマンドを示す図である。
【図24】 1つの基準素子から発信された座標決定コマンドが異なる経路を通って所定の通信素子に到達する状況を説明するための図である。
【図25】 (a)は空間内に存在する4つの基準素子を示す図であり、(b)は1次基準素子が決定された状態を示す図であり、(c)は4つの1次基準素子が決定された状態を示す図である。
【図26】 n次座標決定コマンドのパケットを示す図である。
【図27】 信号伝達方法の変形例を説明するための図である。
【図28】 (a)は経路探索コマンドのパケットを示す図であり、(b)は経路通知コマンドのパケットを示す図であり、(c)は経路探索コマンドのパケットを示す図であり、(d)は経路通知コマンドのパケットを示す図である。
【図29】 電力供給の原理を説明するための図である。
【符号の説明】
16・・・導電層、18・・・導電層、20・・・第1信号層、22・・・誘電層、24・・・導電層、26・・・スイッチ、30・・・第2信号層、42・・・高抵抗層、43・・・誘電層、44・・・電源層、46・・・電源ブロック、48・・・接続部、50・・・通信部、52・・・入力部、54・・・電圧制限素子、60・・・処理部、70・・・メモリ、100・・・通信装置、200・・・通信素子、202・・・デジタル回路、204・・・電極、210・・・サイト、212・・・高抵抗領域、214・・・高抵抗領域、220・・・2次元通信領域、222・・・1次元通信領域、230・・・1次元通信領域、240・・・信号線シート、250・・・フィードバック回路、252・・・出力端、260・・・コンパレータ、262・・・抵抗、300・・・通信デバイス、400・・・電極、402・・・電極、500・・・電力供給デバイス、502・・・導電層。

Claims (30)

  1. 他の通信素子に対して信号を伝達する通信デバイスであって、第1信号層および第2信号層と、これらの層に電磁的に接続する通信素子と、これらの層の間に配置される誘電層を備え、前記通信素子は、前記第1信号層および前記第2信号層の間で電流を流すかまたは電磁波を放出して前記誘電層に電磁場を発生させることにより信号を発信することを特徴とする通信デバイス。
  2. 前記誘電層に発生した電磁場の電磁波長が、誘電層の厚さより大きいことを特徴とする請求項1に記載の通信デバイス。
  3. 前記誘電層に発生した電磁波動の減衰距離が、その周波数に対応する電磁波長よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の通信デバイス。
  4. 前記第1信号層および前記第2信号層は導電性材料により形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通信デバイス。
  5. 前記第1信号層よりも高い抵抗値を有し且つ前記第1信号層に電気的に接続する高抵抗層と、この高抵抗層に電気的に接続し且つ前記通信素子に電磁的に接続して前記通信素子に電圧を印加する電源層を備え、前記第2信号層はグランド層であって、
    前記通信素子は、前記電源層および前記グランド層との電磁的な接続を交互に切り替えて、それぞれから電圧を印加されることにより電磁場を発生させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の通信デバイス。
  6. 前記通信素子は、前記電源層および前記グランド層の差電圧よりも小さい振幅の交流電圧を印加されることにより電磁場を発生させることを特徴とする請求項5に記載の通信デバイス。
  7. 前記第1信号層は電源層であり、前記第2信号層はグランド層であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の通信デバイス。
  8. 前記通信素子は、電磁場の変化により信号を認識することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の通信デバイス。
  9. 前記第1信号層および前記第2信号層は、前記誘電層の誘電率よりも小さい誘電率を有する誘電体であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通信デバイス。
  10. シリコン上に形成されたことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の通信デバイス。
  11. 複数の通信素子が分散配置され、各通信素子は第1信号層および第2信号層に電磁的に接続しており、通信素子は、前記第1信号層と前記第2信号層の間で電流を流すかまたは電磁波を放出することにより信号を発信する通信装置。
  12. 前記第1信号層または前記第2信号層は、複数の低抵抗領域と高抵抗領域に分割して形成され、前記通信素子は、低抵抗領域に配置されることを特徴とする請求項11に記載の通信装置。
  13. 前記低抵抗領域および前記高抵抗領域の抵抗値は、前記低抵抗領域の通信素子より発信される信号が、隣接する低抵抗領域の通信素子に伝達されるように設定されることを特徴とする請求項12に記載の通信装置。
  14. 前記低抵抗領域および前記高抵抗領域の抵抗値は、前記低抵抗領域の通信素子より発信される信号が、隣接する低抵抗領域の通信素子以外には伝達されないように設定されることを特徴とする請求項13に記載の通信装置。
  15. 前記通信素子は、隣接する低抵抗領域に配置された通信素子からの信号を観測する一方で、自身の低抵抗領域の電位を略一定に保持することを特徴とする請求項11から14のいずれかに記載の通信装置。
  16. 前記低抵抗領域の形状が複数種類存在することを特徴とする請求項11から15のいずれかに記載の通信装置。
  17. 1次元通信を可能とする低抵抗領域と、2次元通信を可能とする低抵抗領域とが組み合わされて配置されていることを特徴とする請求項11から16のいずれかに記載の通信装置。
  18. 前記通信素子は、親素子として、自身の周囲に位置する子素子を管轄下におき、前記子素子は、親素子である通信素子との間でのみ通信を可能とすることを特徴とする請求項11から17のいずれかに記載の通信装置。
  19. 前記第1信号層は、所定のパターンを形成された信号線シートを有することを特徴とする請求項11から18のいずれかに記載の通信装置。
  20. 電気的に接続された複数の電源ブロックにより構成される電源層を備え、電源ブロック間は、電気的に切断可能な接続部により接続されていることを特徴とする電源装置。
  21. 複数の通信素子が分散配置され、各通信素子は電源層またはグランド層から電圧を印加されて信号を発信する通信装置であって、
    前記電源層は、電気的に接続された複数の電源ブロックにより構成され、電源ブロック間は、電気的に切断可能な接続部により接続されていることを特徴とする通信装置。
  22. 機器に電力を供給する電力供給デバイスであって、
    機器の信号線と接続するための複数のコネクタと、
    前記コネクタに電気的に接続する導電層とを備え、
    個別配線を設けることなく、導電層から直接コネクタに電力を供給することを特徴とし、
    機器がコネクタに接続された場合の最大の電流値に応じて、前記導電層のシート抵抗値が定められることを特徴とする電力供給デバイス。
  23. 信号を伝達する通信デバイスであって、グランド層および電源層と、グランド層および電源層に電磁的に接続する通信素子と、グランド層および電源層の間に積層された第1誘電層、信号層、第2誘電層を備えることを特徴とする通信デバイス。
  24. 前記通信素子は、前記第1誘電層および前記第2誘電層に、電場または電磁場を発生させることにより信号を発信することを特徴とする請求項23に記載の通信デバイス。
  25. 前記通信素子は、グランド層および電源層に挟持され、周囲を第1誘電層、信号層および第2誘電層に囲まれていることを特徴とする請求項23または24に記載の通信デバイス。
  26. 複数の通信素子が分散配置され、各通信素子はグランド層および電源層と電磁的に接続しており、グランド層および電源層の間に第1誘電層、信号層、第2誘電層がこの順に積層されていることを特徴とする通信装置。
  27. 前記通信素子は、前記第1誘電層および前記第2誘電層に、電場または電磁場を発生させることにより信号を発信することを特徴とする請求項26に記載の通信装置。
  28. 前記信号層は、複数の低抵抗領域と高抵抗領域に分割して形成され、前記通信素子は、低抵抗領域に配置されることを特徴とする請求項26または27に記載の通信装置。
  29. 前記低抵抗領域および前記高抵抗領域の抵抗値は、前記低抵抗領域の通信素子より発信される信号が、隣接する低抵抗領域の通信素子に伝達されるように設定されることを特徴とする請求項28に記載の通信装置。
  30. 前記低抵抗領域および前記高抵抗領域の抵抗値は、前記低抵抗領域の通信素子より発信される信号が、隣接する低抵抗領域の通信素子以外には伝達されないように設定されることを特徴とする請求項29に記載の通信装置。
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