JP3902334B2 - 処理液流出構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光材料を搬送しながら、この感光材料の搬送経路方向へ下側から処理液を流出させて感光材料を処理する感光材料処理装置に用いられ、前記処理液を流出するための処理液流出構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
感光材料、例えば感光性平版印刷版(以下「PS版」という)は感光性平版印刷版処理装置(以下「PS版プロセッサー」という)によって現像処理される。このPS版プロセッサーでは、画像が記録されたPS版を搬送しながら現像槽に貯留している現像液に浸漬すると共に、現像液中の回転ブラシローラ等の擦り手段によってPS版の非画像部分の感光層を除去するようにしている。このようにして現像処理の終了したPS版は、水洗部で水洗水によって水洗された後(水洗処理)、不感脂化処理部でガム液が塗布され(不感脂化処理)て版面保護等の処理が連続して行われる。
【0003】
ここで、従来、水洗部での水洗処理及び不感脂化処理部で不感脂化処理では、現像部のように現像槽に現像液を貯留し、この貯留された現像液中にPS版を浸漬するのではなく、スプレーパイプをPS版の搬送方向に対して直交する方向、すなわちPS版の幅方向に配置し、このスプレーパイプの周面に所定間隔で吐出孔を設けておき、スプレーパイプによりそれぞれの処理液(水洗水、ガム液)を所定の圧力で供給する構造となっている。
【0004】
これにより、スプレーパイプの吐出孔からは、処理液(水洗水、ガム液)が吐出され、PS版は処理される。
【0005】
ところで、ガム液などの粘性の高い処理液は、スプレーパイプに所定間隔で吐出孔を設けても、搬送されるPS版の下面に下側から幅方向に亘って均一に処理液を供給することができず、このために、PS版には処理液の供給むらが生じていた。
【0006】
そこで、この吐出孔を囲むように複数の板材等を組付け、吐出孔から吐出された処理液を一旦滞留させる室を形成し、かつこの室に連通して処理液を上方へ流出させるスリット孔を設けるようにすることが提案されている。すなわち、スプレーパイプから直接処理液をPS版へ供給するのではなく、前記室へ処理液を送り込み、PS版の幅方向に亘って均一に処理液を滞留させた後、スリット孔から上方に流出させる構造であるため、処理液がPS版の幅方向に亘って均一に供給されることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなスリット孔を設ける構造は、複数の板材やスリット孔を設けるための加工、それぞれの部品を組付けるためのビス等、多くの部品を必要とし、組付け作業やメンテナンス時の取り外し作業が非常に煩雑となっている。このため、スプレーパイプを用いずに上記部品を含めて、樹脂を用いて一体形成することが考えられるが、このような一体成形品では、PS版の幅方向の一端側から供給される処理液を、PS版の幅方向に沿って均一に処理液を供給するのは難しく、また強度的にも十分考慮しなければならない。
【0008】
本発明は上記事実を考慮し、出来うる限り一体成形によって処理液を滞留するチャンバ及びこのチャンバから感光材料の幅方向に亘って均一に流出させるユニットを形成し、かつ所定の強度を保持することができる処理液流出構造を得ることが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、感光材料を処理する感光材料処理装置に用いられ、処理液を流出させるための処理液流出構造であって、外周部の所定位置に前記処理液を吐出可能とする複数の吐出孔が長手方向に沿って設けられたスプレーパイプと、前記スプレーパイプを被覆すると共にスプレーパイプの長手方向に沿って形成されて前記吐出孔から吐出される処理液が供給されるチャンバ及びこのチャンバを前記スプレーパイプの長手方向に沿って溝状に開口してチャンバ内の処理液を流出可能とするスリット状の流出口が一体成形された合成樹脂製の本体と、を有している。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、金属製などのスプレーパイプを樹脂成形した本体によって被覆する。これにより、本体が、感光材料の幅方向が多少長くても、強度的に十分維持できる。また、このスプレーパイプ以外は、全て合成樹脂製の一体成形品とされており、スプレーパイプを予め成形時に所定位置に配置してもよいし、成形後に圧入するようにしてもよい。
【0011】
このとき、スプレーパイプに設けられた吐出孔と本体に形成されたチャンバ連通する。
【0012】
のスプレーパイプに処理液を供給すると、スプレーパイプの吐出孔から処理液が吐出され、チャンバいっぱいに処理液が溜まると、この処理液が流出口から流出を開始する。このとき、チャンバに処理液を一旦溜めるため、処理液はスリット状の流出口からほぼ均一に流出される。
請求項2に記載の発明は、前記スリット状の流出口の長手方向が前記感光材料の搬送経路の幅方向に沿って配設されることを特徴としており、これにより、PS版などの感光材料の幅方向の全域に、むらなく処理液を供給することができるので、感光材料に処理むらを生じさせることがない。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1には、本実施の形態に適用した感光性平版印刷版処理装置(以下「PS版プロセッサー10」と言う)が示されている。PS版プロセッサー10は、図示しない焼付装置によって画像が焼付けられた感光性平版印刷版(以下「PS版12」と言う)を処理する。
【0014】
PS版プロセッサー10は、PS版12を現像処理するための現像部22と、PS版12に付着した現像液を水洗して水洗処理する水洗部24と、水洗後のPS版12にガム液を塗布して不感脂化処理するフィニッシャー部26と、が配設されている。
【0015】
外板パネル14には、スリット状の挿入口34及び排出口36がそれぞれ設けられている。挿入口34の外部には挿入台16が取付けられ、PS版12の挿入口34への挿入を案内している。
【0016】
外板パネル14の上面を覆うカバー35には、現像部22と水洗部24との間にPS版12を挿入するリエントリー用挿入口(副挿入口)38が設けられている。その副挿入口38は、現像液による処理を除く処理を行うためのPS版12の挿入口とされている。
【0017】
現像部22へのPS版12の挿入側には、一対のゴム製搬送ローラ32が配設されており、この一対の搬送ローラ32の間に画像が焼付けられたPS版12が挿入口34から挿入されるようになっている。一対の搬送ローラ32は、図示しない駆動手段の駆動力で回転し、PS版12を水平方向に対して約15°〜31°の角度で現像部22へ向けて送り込み、約17°〜31°の角度で送り出すようになっている。
【0018】
現像部22は、上方が開口され底部中央部が下方に向けて突出された略逆山形状の処理槽であり、この現像部22内には、PS版12の搬送方向に沿った下側にガイド板100が配設されている。
【0019】
ガイド板100には、複数の自由回転をするコロ(小型のローラ)102が回転軸を搬送方向と交わる方向にして取付けられており、PS版12は、このコロローラ102に案内されながら搬送されるようになっている。このとき、コロローラ102が回転するため、PS版12に摺動による傷付きは発生しない。
【0020】
なお、PS版12が通常の搬送経路を逸脱して搬送された場合に、ガイド板100の表面に接触することを防止するためにリブがコロローラ102の間に搬送方向に沿って設けられている。
【0021】
ガイド板100は、現像部22の形状に沿って逆山型形状とされ、その最低位置の下流側におけるPS版12の上面に対応する位置には、ブラシローラ106が配設されている。また、ガイド板100の下流側の先端部には、PS版12の下面に対応するようにブラシローラ108が配設されている。
【0022】
ブラシローラ106、108は、は、図示しない駆動手段の駆動力が伝達されてPS版12の搬送方向に沿って回転するようになっている。
【0023】
ブラシローラ106、108は、現像部22の現像液によって膨潤した表面の不要となった感光層をかき落とす役目を有しており、この機能を十分に発揮させるため、PS版12を所定の押圧力で押圧する必要がある。このため、ブラシローラ106には、前記ガイド板100に取付けられたコロローラ102の一部が対応しており、ブラシローラ108には、串ローラ110が対応している。これにより、PS版12は、所定の押圧力でブラシローラ106、108に接触しながら搬送され、不要となった感光層を確実に除去することができる。
【0024】
ブラシローラ108と串ローラ110とが配設された位置よりもさらに下流側には、PS版12の下面に対向するように串ローラ112が配設され、PS版12を支持している。この串ローラ112により支持され、搬送されるPS版12は、現像部22の液面から排出され、現像部22の最終段位置に配設された一対のゴム製搬送ローラ対114に挟持されて搬送され、PS版12に付着した現像液が絞り取られるようになっている。
【0025】
現像部22の現像液液面には、液面蓋50が配置されている。この液面蓋50は、下面が現像液の液面より下方になるように配置され、現像液液面と空気との接触をできるだけ少なくするようにして現像液の炭酸ガスによる劣化と現像液中の水分の蒸発を防止している。
【0026】
ここで、液面蓋50のPS版12の搬送方向前後端とその近傍の外板パネル14には、ブレード116が取付けられている。このブレード116は、それぞれ上流側の搬送ローラ対32及び下流側の搬送ローラ対114の上下のローラに接触するように配設されており、乾燥装置250の挿入口(排出口36)に設けたシャッター272と、現像部22、水洗部24及びフィニッシャー部26の上部を覆うカバー35と共に現像液が外気に晒されて炭酸ガスによる劣化及び現像液中の水分の蒸発が生ずるのを防止している。
【0027】
また、液面蓋50の下面におけるPS版12の搬送方向前後角部には、それぞれ串ローラ118、120が取付けられている。この串ローラ118、120は、PS版12の搬送時に液面蓋50との接触を防止する役目を有している。これにより、PS版12の搬送中、若干弛みが生じた場合でも、PS版12の上面が感光面を損傷させるほどの硬い液面蓋50等に当たることがない。
【0028】
前記現像部22の下流側の搬送ローラ対114は、図示しない駆動手段の駆動力を受けて回転され、PS版12を次工程である水洗部24へ送り出すようになっている。
【0029】
水洗部24には、2対の搬送ローラ52、53が配設されている。これらの搬送ローラ対52、53は、図示しない駆動手段の駆動力を受けて回転するようになっており、現像部22から送り込まれたPS版12の搬送路を形成している。
【0030】
搬送ローラ52と搬送ローラ53との間、かつ搬送路の上下位置には、スプレーパイプ56、122が配設されており、このスプレーパイプ56、122は、搬送ローラ52、53の軸線に沿って配設され、それぞれPS版12に対向する位置にパイプ内部と連通する吐出孔が設けられている。スプレーパイプ56、122のこの吐出孔からPS版12に向けて、図示しない水洗水タンクからポンプによって汲み上げられた水洗水が吐出され、PS版12の表裏面に速やかに拡がり、PS版12の表裏面が水洗水によって洗浄される。そして、PS版12に付着した水洗水が一対の搬送ローラ対53によって絞り取られる。
【0031】
水洗部24の下流側の不感脂化処理部であるフィニッシャー部26のガム液槽30の上方には、一対の搬送ローラ58が設けられている。搬送ローラ53によって送り出されるPS版12は、この搬送ローラ58へ案内されるようになっている。
【0032】
搬送ローラ58の上流側、かつ搬送路よりも上側には、スプレーパイプ124が配設されており、このスプレーパイプ124は、搬送ローラ58の軸線と平行に配設され、その吐出孔がPS版12に向けて設けられている。スプレーパイプ124からは、図示しないガム液槽からポンプによって汲み上げられたガム液がPS版12上に滴下され、PS版12の表面に拡がり、PS版12の表面に保護膜を形成する。
【0033】
また、搬送ローラ58の上流側、かつ搬送路よりも下側には、PS版12の幅方向に亘って連続するスリットが形成された流出ユニット126が配設されている。この流出ユニット126には、前記スプレーパイプ124と同様にガム液が供給され、スリットからガム液が吐出する構造となっており、PS版12は裏面が流出ユニット126のスリット部分に接触しながら搬送されるようになっている。すなわち、スリットがPS版12の幅方向の全域に亘っているため、PS版12の下面全てにガム液によって保護膜を形成することができる。
【0034】
このフィニッシャー部26によるガム液塗布が終了したPS版12は、搬送ローラ対58に挟持搬送されて表裏面にガム液が若干残った状態で、排出口36から排出される。
【0035】
フィニッシャー部26の下流側、すなわちPS版プロセッサー10の最終工程部には、乾燥装置250が配設されている。
【0036】
この乾燥装置250には、挿入口(排出口36)の近傍にPS版12を支持する支持ローラ270、乾燥装置250の搬送路中央部近傍及び排出口258の近傍にそれぞれPS版12を挟持して搬送力を付与する2対の搬送ローラ252、254が配設されている。なお、支持ローラ270及び中央部側の搬送ローラ252の軸直角断面形状は花型とされ、前記排出口258の近傍に設けられた搬送ローラ254と共に回転駆動力を有している。
【0037】
これにより、フィニッシャー部26での処理が終了し、排出口36から排出されたPS版12は、即乾燥装置250内へ挿入されることになる。なお、この乾燥装置250は、フィニッシャー部26までのプロセス部と分離可能であり、排出口36と挿入口256との間に所定の間隔をおいてもよい。また、挿入口256には、シャッター272が設けられている。
【0038】
前記支持ローラ270と搬送ローラ252との間、並びに搬送ローラ252と搬送ローラ254との間には、それぞれPS版に乾燥風を吹き付けるための2対のダクト260が配設されている。この2対のダクト260は、それぞれPS版12の搬送経路を挟んで対向配置されている。対となっているダクト260は、一方が搬送経路の上側に位置しており、他方が搬送経路の下側に位置している。
【0039】
ダクト260は、その長手方向がPS版12の幅方向に沿って配設されており、それぞれPS版12との対向面は、PS版12と平行とされている。この対向面には、長手方向に沿ってスリット孔262が設けられ、PS版12へ吹き付ける乾燥風の吹出口とされている。
【0040】
前記ダクト260の一端面は乾燥風案内ダクト(図示省略)と連結されている。この乾燥風案内ダクトは、矩形の煙突型とされ、その下端部開口は、ブロワ(図示省略)の送風口に連結されている。これにより、ダクト260には、同量の乾燥風が導入されるようになっている。
【0041】
図2には、前述したフィニッシャー部26の流出ユニット126が示されている。
【0042】
図2に示される如く、流出ユニット126は、スプレーパイプ150と、このスプレーパイプ150を被覆するケーシング152(本体)とで構成されている。
【0043】
スプレーパイプ150は、金属製の円筒パイプで形成されており、その周面には、一定のピッチで内外を連通する吐出孔154(図3参照)が設けられている。このスプレーパイプ150の軸線方向一端部は、閉栓部材156によって閉塞されており、他端部は、図示しないガム液タンクにポンプを介して連通されている。
【0044】
ここで、ポンプを駆動させることによって、ガム液をスプレーパイプ150内に供給することができる。
【0045】
このスプレーパイプ150は、合成樹脂製の、例えば、PP、PE、PVC等によって形成されたケーシング152に被覆されている。このケーシング152の単体としては、長手方向全域に亘って前記スプレーパイプ150が収容される円筒部158が設けられている。この円筒部158の内周面の一部には、長手方向全域に亘ってスリット状の溝部160が形成されている。この溝部160は、前記スプレーパイプ150の吐出孔154に対向している。このため、スプレーパイプ150に供給され、吐出孔154から吐出されるガム液は、この溝部160に流れ込むことになる。
【0046】
なお、スプレーパイプ150は、合成樹脂製のケーシング152の補強部材としての機能も備えている。
【0047】
溝部160における、前記吐出孔154と対向する開口とは反対側の開口は、縦溝部162と連通されており、この縦溝部162が容積が拡大されチャンバの役目を有している。すなわち、前記溝部160と縦溝部162とで略T字型の連通路が形成される。この縦溝部162にガム液が貯留されることにより、溝部160を通過してくるガム液の長手方向での流出量の差(圧力差)が緩和され、長手方向に亘ってほぼ均一な流量とされるようになっている。
【0048】
前記ケーシング152の図3の上面のほぼ全域には、金属例えばステンレス鋼製のガイド板164が配設されている。このガイド板164は、前記ケーシング152の上面のほぼ全域に配設されており、ケーシング152の強度補助の役目を有している。また、このガイド板152は、PS版12の搬送経路の下側に位置しており、上方を搬送されるPS版12の搬送ガイドとしての役目も有している。
【0049】
上記、円筒部158、溝部160及び縦溝部162を押し出し成形で形成する場合、ケーシング152の長手方向両端部は当然これら円筒部158、溝部160及び縦溝部162と連通する開口が生じることになる。この開口が生じたケーシング152の長手方向両端部には、蓋板166が取り付けられ、ガム液の漏出を防止している。
【0050】
ケーシング152上面における、前記縦溝部162よりも図3の右側は傾斜面とされ、金属例えば ステンレス鋼製の補助板168が取り付けられている。補助板168は、前記ガイド板164と共にケーシング152の補強補助としての役目を有すると共に、前記縦溝部162の開口面積(スリット幅)の調整用にも適用されている。すなわち、補助板168によって縦溝部162の一部を遮蔽することによって、縦溝部162から流出するガム液の量を調整することができる。
【0051】
また、ガム液は、補助板168の傾斜に案内されて流出する構成となっており、PS版12の搬送方向に沿うようにガム液が流出されるようになっている。
【0052】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0053】
図示しない焼付装置等によって画像が記録されたPS版12は、挿入台16に載置されてから挿入台16の奥側に送り込まれて挿入口34から挿入される。挿入されたPS版12は、一対の搬送ローラ32によって引き入れられて現像部22へ送り込まれる。なお、このPS版12の先端が挿入口34を通過すると、センサによってこれを検出し、タイマーをスタートさせる。このタイマーは、水洗部24のスプレーパイプ56から水洗水を吐出させるタイミングや、フィニッシャー部26におけるガム液の吐出タイミングを計っている。
【0054】
現像部22では、PS版12は一対の搬送ローラ32からガイド板100によって下方へ案内されて水平に対して15°〜31°の角度で送り込まれ、17°〜31°の角度で送り出される。このとき、PS版12は、ガイド板100に設けられたコロローラ102によって支持され、搬送中に伴ってコロローラ102が回転するため、摺動によるPS版12の損傷はない。
【0055】
このガイド板100(実際にはコロローラ102)に案内されて搬送される間にPS版12は、ブラシローラ106、108によって表裏面がブラッシングされる。このブラッシングにより、PS版12の裏面の膨潤した不要な感光層を取り除くことができる。
【0056】
このようにして、表裏面が均一に擦られて処理の終了したPS版12は、搬送ローラ対114によって現像液が絞り取られながら現像部22から引き出されて水洗部24へ送られ、搬送ローラ52、53によって挟持搬送される。この一対の搬送ローラ52にPS版12が挟持される際、PS版12の先端はまず一対の搬送ローラ52の下側ローラに当接したのち一対の搬送ローラ間に挟持されるように案内される。
【0057】
その後、タイマーにより計測した挿入時からの時間が所定時間となりPS版12の先端が下流側ローラ対53に達したと判断されると、PS版12の表裏面に向けてスプレーパイプ56、122から水洗水が吐出され、この水洗水によって洗浄され、PS版12の表裏面に付着した水洗水は、一対の搬送ローラ53により絞り取られる。
【0058】
水洗処理が終了すると、PS版12は、フィニッシャー部26へ送られ、一対の搬送ローラ58によって挟持搬送される。ここで、スプレーパイプ124、吐出ユニット126から吐出されるガム液がPS版12の表裏面に塗布されて不感脂化処理される。不感脂化処理されたPS版12は、フィニッシャー部26から排出口36を通過して、図示しない乾燥部へ送り出される。
【0059】
ここで、フィニッシャー部26において、PS版12の上面にガム液と塗布する際、スプレーパイプ124に設けられた所定ピッチ毎の吐出孔かガム液をPS版12に向けて吐出することにより、ガム液は、PS版12の上面と搬送ローラ対58の上側ローラとの間に滞留し、幅方向両端部に移行するため、PS版12の幅方向のほぼ全域に均一に塗布することができる。
【0060】
しかし、PS版12の下側は、ガム液を滞留させることがないため、所定ピッチの吐出孔からガム液を吐出したのでは、塗布むらが起きることがある。
【0061】
そこで、本実施の形態では、PS版12の下側に位置するスプレーパイプ150をケーシング152によって被覆し、直接スプレーパイプ150から吐出するガム液をPS版12へ流出しないようにしている。以下、ガム液の流れを説明する。
【0062】
まず、ポンプを駆動し、ガム液タンクからガム液をスプレーパイプ150へ供給する。
【0063】
ポンプでは、所定の圧力でガム液を供給しているため、スプレーパイプ150の吐出孔154からはほぼ均一にガム液が吐出される。
【0064】
吐出されたガム液は、溝部160に案内されて縦溝部162へと至る。ここで、溝部160と縦溝部162とではその容積差(溝部容積<縦溝部容積)で、ガム液がケーシング152の長手方向にわたり均一な圧力となる。
【0065】
この状態で、ガム液が縦溝部162の開口からPS版12の下面に向けて流出されるため、流出直後においてPS版12の下面の幅方向にわたり均一にガム液が塗布されることになる。
【0066】
縦溝部162の開口は、補助板168によってその開口面積を調整できるため、PS版12へのガム液の供給量を微調整することができる。また、補助板168の傾斜によって、ガム液の流出方向が縦溝部162の開口から補助板168に向かう方向であるPS版12の搬送方向に沿う方向となっているため、PS版12へ円滑にガム液を塗布することができる。
【0067】
ここで、従来は、上記ガム液の圧力均一化を、複数の部品を組み合わせて行っていたため、組付作業性が悪く、またメンテナンス作業も煩雑であった。しかし、本実施の形態では、円筒部158、溝部160及び縦溝部162が一体成形されたケーシング152により、圧力の均一化を図るようにしたため、部品点数を軽減することができ、組付作業性が向上し、メンテナンス作業性も向上する。
【0068】
なお、ケーシング152とスプレーパイプ150との組付は、ケーシング152の成形時に予めスプレーパイプ150を所定の位置に配置しておいてもよいし、円筒部158を形成した後、スプレーパイプ150を圧入してもよい。
【0069】
このように、本実施の形態では、スプレーパイプ150から、幅方向に断続的に吐出するガム液を溝部160、縦溝部162によって幅方向にわたり連続的に均一圧力としたため、PS版12へ流出する時点では、ガム液が同時に幅方向全域に行き渡り、塗布むらを抑制することができる。
【0070】
なお、本実施の形態では、この流出ユニット126をガム液の塗布、かつPS版12の搬送経路の下側に配置したが、水洗部の水洗水塗布等の他の用途に利用してもよいし、PS版12の搬送経路の上側に配置してもよい。
【0071】
【発明の効果】
以上説明した如く本発明に係る感光材料処理装置用処理液流出構造は、一体成形によって処理液を滞留するチャンバ及びこのチャンバから感光材料の幅方向に亘って均一に流出させるユニットを形成し、かつ所定の曲げ強度を保持することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るPS版プロセッサーの概略構成図である。
【図2】流出ユニットの分解斜視図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【符号の説明】
10 PS版プロセッサー(感光性平版印刷版処理装置)
12 PS版(感光性平版印刷版)
22 現像部
24 水洗部
26 フィニッシャー部
126 流出ユニット
150 スプレーパイプ
152 ケーシング
154 吐出孔
156 閉栓部材
158 円筒部
160 溝部
162 縦溝部
164 ガイド板
166 蓋体
168 補助板

Claims (2)

  1. 光材料を処理する感光材料処理装置に用いられ、処理液を流出させるための処理液流出構造であって、
    外周部の所定位置に前記処理液を吐出可能とする複数の吐出孔が長手方向に沿って設けられたスプレーパイプと、
    前記スプレーパイプを被覆すると共にスプレーパイプの長手方向に沿って形成されて前記吐出孔から吐出される処理液が供給されるチャンバ及びこのチャンバを前記スプレーパイプの長手方向に沿って溝状に開口してチャンバ内の処理液を流出可能とするスリット状の流出口が一体成形された合成樹脂製の本体と、
    を有する処理液流出構造
  2. 前記スリット状の流出口の長手方向が前記感光材料の搬送経路の幅方向に沿って配設されることを特徴とする請求項1に記載の処理液流出構造。
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