JP3901779B2 - 車両用電波ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両に搭載され、電波により各種の動作を行う車両用電波ユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車両用電波ユニットとして、スマートエントリ装置(パッシブエントリ装置)や近接センサ(バックソナー等)や侵入検知センサなどが用いられている。これら装置について説明を加えると、以下のようになる。
【0003】
スマートエントリ装置(パッシブエントリ装置)は、運転者がスマートカードを携帯し車両に近づいたとき、車両から送信する電波でスマートカードを認識し、カードから応答されるIDコードを判定して、ドアをアンロックするものである。この装置のアンテナは、ドアガラスやピラー内部やドアミラー内部や後部のトランクのノブ付近に設置される。又、スマートカードを携帯した正当な運転者が運転席に着座したときに、カードのIDコードを認識して、エンジン始動可能状態にする室内ユニットもある。この装置のアンテナは、フロントパネルや中央コンソール付近に設置される。
【0004】
又、近接センサは、車両の前方や後方や側面にある物体を検出して、検出結果に応じて、運転者への警報やブレーキシステムの制御を行うものであり、パルスレーダやFM−CWレーダ等を用いている。このセンサは、車両前方のバンパ内や外部ミラー内部や後方のバンパ内部に設置される。
【0005】
さらに、侵入検知センサは、車室内への侵入者を検知するもので、電波の受信電界の変化により検知する。つまり、送信機から発信された無変調の電波は、人間等がその電波路に入り込むと、受信機側の受信電界が変化するため、受信機の検波出力が追従して変化する。この変化を検出することにより、車室内への侵入者を検知することができる。同センサは車室内の中央コンソール等に設置されている。
【0006】
これらの装置は、いづれも、検知エリアや通信エリアを限定するために、送信源としてマイクロ波等を使用している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような各システムは、同じような電波送信源を使用しているにも関わらず、システムは別体であり、3つのシステムを車両に取り付けた場合、車外にスマートエントリ用(パッシブエントリ用)のアンテナと近接センサのアンテナが取り付けられ、車室内にスマートエントリ用(パッシブエントリ用)のアンテナと侵入検知センサのアンテナが取り付けられることになり、非常にコスト高で、取付スペースが大きくなる。
【0008】
そこで、この発明の目的は、低コストで、取付スペースが小さくなる、多機能の車両用電波ユニットを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、動作許可判定手段は、送信アンテナを用いて電波を送信するとともに当該電波に応答して携帯用送受信機から送られてくる電波を受信アンテナを用いて受信し、この受信電波によるIDコードが予め登録されたIDコードと一致すると所定の動作を許可する。即ち、IDコードが一致すればドアのアンロック動作等が行われる。このようにしてスマートエントリ装置(パッシブエントリ装置)として機能する。
【0011】
又、近接状態検出手段は、送信アンテナを用いて電波を送信するとともに当該電波に対する被検出対象による反射波を受信アンテナを用いて受信し、受信した電波に基づいて被検出対象の状況を検知する。即ち、車両に対し障害物が接近しすぎると警報を行う等して近接センサとして機能する。
【0012】
つまり、スマートエントリ用(パッシブエントリ用)の車外アンテナは、運転者が車室内にいないとき作動するもであり、近接センサは走行中に作動すものであるから、両者が同時に作動することはない。よって、スマートエントリ(パッシブエントリ)のための送受信アンテナと、近接センサのための送受信アンテナとを共通化して、切替え手段により両機能を使い分けて、低コスト化、小スペース化が図られる。
【0013】
そして、切替え手段は、乗員を検知したときには動作許可判定手段の機能に、また、乗員を検知しないときには近接状態検出手段の機能に切り替えを行う。このように乗員の有無を考慮した機能切替えを行うと最適化できる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、切替え手段により、動作許可判定手段の機能と侵入検知手段の機能が切り替えられる。
そして、動作許可判定手段は、携帯用送信機から送られてくる電波を受信アンテナを用いて受信し、この受信電波によるIDコードが予め登録されたIDコードと一致すると所定の動作を許可する。即ち、IDコードが一致すれば車載エンジンを始動可能な状態にする等が行われる。このようにしてスマートエントリ装置(パッシブエントリ装置)として機能する。
【0015】
又、侵入検知手段は、送信アンテナを用いて電波を送信するとともに当該電波を受信アンテナを用いて受信し、受信した電波から電界の乱れに基づく車内への侵入者を検知する。このように侵入検知センサとして機能する。
【0016】
つまり、スマートエントリ用(パッシブエントリ用)の車内アンテナは、正当な手段でドアがアンロックされた後で作動するものであり、侵入検知センサは正当な手段でドアがアンロックされるまで動作するものであるから、両者が同時に作動することはない。よって、スマートエントリ(パッシブエントリ)のための送受信アンテナと、侵入検知センサのための送受信アンテナとを共通化して、切替え手段により両機能を使い分けて、低コスト化、小スペース化が図られる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、切替え手段は、車両の状態により機能の切り替えを行う。
請求項4に記載の発明によれば、切替え手段は、乗員を検知したときには動作許可判定手段の機能に、また、乗員を検知しないときには侵入検知手段の機能に切り替えを行う。このように乗員の有無を考慮した機能切替えを行うと最適化できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体化した実施の形態を図面に従って説明する。
図1には車両用電波ユニットを搭載した乗用車の右側面図を示し、図2には同じく乗用車を後ろから見た図を示す。
【0019】
図1,2において、車両のドアミラー2の内部には車外用電波ユニット3が装着されている。つまり、図3に示すように、ドアミラー2においては、ミラーボディ5に鏡4が取り付けられ、ミラーボディ5はドア(車両本体)1に固定されている回動軸6により回動可能に支持されている。鏡4の裏面におけるミラーボディ5内にはモータ収納室7が形成され、モータ収納室7に駆動モータや駆動機構等が配置されている。この駆動モータは、ドアミラー2を格納するモータや鏡4の上下方向の向きを変更するモータや鏡4の左右方向の向きを変更するモータを含む。又、ミラーボディ5の表層部に車外用電波ユニット3が埋設されている。
【0020】
車外用電波ユニット3は、スマートエントリ機能と側面近接センサ機能とを有し、スマートエントリ機能によりスマートエントリカードを携帯した運転者が車両に近づいたときカードから応答されるIDコードを判定してドアをアンロック状態にされ、近接センサ機能により車両の側面にある物体を検出して運転者への警報が行われる。
【0021】
図4に示すように、車室内における天井部中央に設けられたマップランプ8内には車内用電波ユニット9が取付けられている。この車内用電波ユニット9は、スマートエントリ機能と侵入検知機能とを有し、スマートエントリ機能によりスマートエントリカードを携帯した正当な運転者が運転席に着座したときにエンジン始動可能状態にされ、侵入検知機能により車室内への侵入者が検知される。
【0022】
図5には、車外用電波ユニット3の電気的構成を示す。車外用電波ユニット3は、車外に向かって電波を送信する送信アンテナ10、および車外からの電波を受信する受信アンテナ11を備えている。送信アンテナ10には発振部12が接続され、発振部12にてアンテナ10から2.45GHzの電波が送信できるようになっている。受信アンテナ11には受信部13を介して検波部14が接続されている。検波部14はスマートエントリモード時にはIDコードを検波し、近接センサモード時には遅延信号を検出する。
【0023】
発振部12には変調部15が接続され、変調部15にてスマートエントリモードに先立ち呼出符号を変調してアンテナ10から送信することができるとともに、近接センサモードに先立ち疑似ランダム信号を変調してアンテナ10から発信することができるようになっている。又、発振部12および検波部14には遅延部16が接続され、遅延部16は近接センサモード時に作動する。
【0024】
車外用電波ユニット3にはマイコン17が備えられ、マイコン17は発振部12、変調部15、検波部14と接続され、これらを制御する。本実施形態においてはマイコン17にてアンロック処理手段と近接状態検出手段と切替え手段とを構成している。
【0025】
又、マイコン17は状態信号インターフェイス回路18から車両の状態および乗員の有無を示す各種信号を入力する。具体的には、ドアの開閉を示すドア開閉信号、車載エンジンにおけるスタート/ストップを示すエンジン状態信号、ドアのロック状態を示すロック/アンロック信号、乗員の検知信号を入力する。ドア開閉信号はドア開閉スイッチから発せられ、ロック/アンロック信号はドアコントロールスイッチから発せられ、乗員検知信号はシートに設けた荷重センサから発せられる。これら信号によりマイコン17はドアの開閉、エンジン状態、ドアのロック/アンロック、乗員の有無を検知することができる。
【0026】
又、マイコン17は出力回路19を介してアンロック指令信号および近接物検知信号を出力する。出力回路19にはボデーECUが接続され、ボデーECUはドアロック/アンロック用アクチュエータ、警報ブザーに接続されている。
【0027】
尚、マイコン17は電源20と接続され、電源20から電力の供給を受ける。図6には、携帯用送受信機であるスマートエントリ用のカード21の電気的構成を示す。同カード21は、カスタムIC22と変調部23と送受信アンテナ24と電源25からなる。変調部23は受信電波を変調する。カスタムIC22は受信電界レベルがある閾値以上になると反応して応答を開始する。
【0028】
次に、このように構成した車外用電波ユニット3の作用を説明する。
図7には、マイコン17による機能切替え処理を実行するためのフローチャートを示す。
【0029】
まず、マイコン17はステップ101でドアの開閉をチェックし、ドア閉の時はステップ102に移行してステップ102で乗員の有無をチェックし、乗員が無いときはステップ103へ進み、乗員検知の時はステップ104へ進む。マイコン17はステップ104ではエンジンの始動/停止をチェックし、停止の時は、ステップ101に戻る。
【0030】
マイコン17はステップ104においてエンジン始動の時にはステップ105に移行して図5の変調部15を制御して疑似ランダム符号信号(電波)をアンテナ10から送信させる。その後、マイコン17はステップ106で近接センサモードを設定する。これにより、電波ユニット3は近接センサとして作動する。
【0031】
一方、マイコン17は乗員非検知時にステップ103においてエンジンの始動/停止をチェックし、エンジン始動の時はステップ101に戻る。マイコン17はエンジンストップの時はステップ107に移行してドアのロック/アンロックをチェックする。マイコン17はロックの時はステップ108に移行して図5の変調部15を制御してアンテナ10から呼出符号信号(電波)を送信させる。その後、マイコン17はステップ109でスマートエントリモードを設定する。これにより、電波ユニット3はスマートエントリ装置として作動する。
【0032】
スマートエントリモードでは、呼出符号の送信後における図6のスマートエントリカード21からの応答を待つ。
そして、スマートエントリカード21を携帯した人が通信エリア内に入ると、スマートエントリカード21のIC22が、電波ユニット3からの電波に応答してIDコードを送信する。送信されたIDコードは電波ユニット3の受信アンテナ11を通して受信部13で受信され、検波部14を介してマイコン17に受信IDコードが送られる。
【0033】
マイコン17では、受信したIDコードと予め登録されたIDコードとを照合して両コードが一致すると(IDコードが正しければ)、図5の出力回路19よりアンロック指令信号をボデーECUに送信する。この信号に応答してボデーECUはドアをアンロック駆動する。その結果、ドアがアンロックされる。
【0034】
次に、近接センサモード時の作動を説明する。
図7のステップ105にて送信される疑似ランダム信号は、図5の遅延部16により遅延され、被検出対象が車両の近傍に存在すればその電波が反射され、受信アンテナ11にて反射波が受信される。そして、マイコン17は検波部14の受信信号と遅延部16の出力との相関を検出する。受信信号と遅延信号が一致しているときは遅延部16による遅延量が電波を反射した物体と車両との距離を表している。マイコン17は当該遅延量に対応する反射信号が受信信号に含まれているか否かを検出する。そして、受信信号に物体の反射信号が含まれていると、その旨の信号を出力回路19に出力する。この近接物検知信号によりボディECUは警報ブサーから警報音を発して乗員に知らせる。つまり、受信信号と遅延部16の出力が一致しているときは、遅延量が電波を反射した物体との距離を表しているので、近接する物体の有無を調べ、ある閾値以上の接近が確認されると(車両が塀などに近づいた時や走行中に他の車両が近づいたことを検知し)、検出信号を出力して警報ブザーを駆動する。
【0035】
尚、近接物検知の際に、ブレーキシステムを制御してもよい。また、近接物検知の際に、側突用エアバッグをスタンバイ状態にすることにより、エアバッグの誤動作を無くすことができる。
【0036】
このようにマイコン17は、ステップ101,102,103,104,107の処理にて車両の状態(ドアの開閉状態、エンジン状態、ドアのロック/アンロック)及び乗員の有無により近接センサ機能とスマートエントリ機能とを切り替える。
【0037】
次に、車内用電波ユニット9について説明する。
図8に車内用電波ユニット9の電気的構成図を示す。
車内用電波ユニット9は、車内に向かって電波を送信する送信アンテナ30、および車内での電波を受信する受信アンテナ31を備えている。送信アンテナ30には発振部32が接続され、発振部32にて2.45GHzの電波がアンテナ30から送信できるようになっている。受信アンテナ31には受信部33を介して検波部34が接続されている。検波部34はスマートエントリモード時にはIDコードを検波し、侵入検知モード時には、疑似ランダム信号を検出する。
【0038】
発振部32には変調部35が接続され、変調部35にてスマートエントリモードに先立ち呼出符号を変調してアンテナ30から送信することができるとともに、侵入検知モードに先立ち疑似ランダム信号を変調してアンテナ30から送信することができるようになっている。
【0039】
車内用電波ユニット9にはマイコン36が備えられ、マイコン36は発振部32、変調部35、検波部34と接続され、これらを制御する。本実施形態においてはマイコン36にてエンジン始動許可手段と侵入検知手段と切替え手段とを構成している。
【0040】
又、マイコン36は状態信号インターフェイス回路37から車両の状態および乗員の有無を示す各種信号を入力する。具体的には、ドアの開閉を示すドア開閉信号、ドアのロック状態を示すロック/アンロック信号、乗員の検知信号を入力する。ドア開閉信号はドア開閉スイッチから発せられ、ロック/アンロック信号はドアコントロールスイッチから発せられ、乗員検知信号はシートに設けた荷重センサから発せられる。これら信号によりマイコン36はドアの開閉、ドアのロック/アンロック、乗員の有無を検知することができる。
【0041】
又、マイコン36は出力回路38を介してエンジン始動許可信号および侵入検知信号を出力する。出力回路38には盗難防止ECUが接続され、盗難防止ECUはエンジン制御用ECUおよび警報ブザーに接続されている。
【0042】
尚、マイコン36は電源39と接続され、電源39から電力の供給を受ける。図9には、携帯用送受信機であるスマートエントリ用のカード40の電気的構成を示す。同カード40は、カスタムIC41と変調部42と送受信アンテナ43と電源44からなる。変調部42は受信電波を変調する。カスタムIC41は受信電界レベルがある閾値以上になると反応して応答を開始する。
【0043】
次に、このように構成した車内用電波ユニット9の作用を説明する。
図10には、マイコン36による機能切替え処理を実行するためのフローチャートを示す。
【0044】
まず、マイコン36はステップ201でドアの開閉をチェックし、ドア閉の時はステップ202へ進む。マイコン36はステップ202では乗員の有無をチェックし、乗員検知の時はステップ203に進み、スマートエントリの呼出符号信号(電波)をアンテナ30から送信させる。その後、マイコン36はステップ204でスマートエントリモードを設定する。
【0045】
一方、マイコン36はステップ202において乗員非検知の時は、ステップ205へ進みドアのロック/アンロックをチェックする。マイコン36はロックの時はステップ206へ進み、疑似ランダム符号信号(電波)をアンテナ30から送信させる。その後、マイコン36はステップ207で侵入検知モードを設定する。
【0046】
次に、スマートエントリモード時の作動について説明する。
図8の送信アンテナ30を通して発振部32から呼出符号を送信した後においてスマートエントリカード40を携帯した運転者が運転席に着座していると、図9のIC41はIDコードをカード40から送信する。
【0047】
車内用電波ユニット9のマイコン36は受信アンテナ31を通して電波を受信し、受信したIDコードと予め用意したIDコードとを照合して両コードが一致すると正当なIDコードであると判定して出力回路38からエンジン始動許可信号を盗難防止ECUへ送信する。この許可信号の出力にてエンジンが始動可能な状態にされる。その結果、エンジンの始動を行うことができるようになる。
【0048】
又、不正なコード信号を受信したとき、またはコード信号が受信されなかったときは、エンジン始動禁止信号を出力回路38から盗難防止ECUへ送信する。この禁止信号の出力にてエンジン始動が禁止される。その結果、エンジンの始動を行うことができなくなる。
【0049】
次に、侵入検知モード時の作動を説明する。
図10のステップ206の処理にて送信された疑似ランダム符号は、図8のアンテナ31を通して受信部33で受信され、同受信された信号は検波部34で検波され、送信原信号が得られる。ここで、ディジタル変調においては復調したディジタル原信号の符号誤り率と受信電波のC/N比(搬送波/ノイズ比)との間に一定の関係があることは良く知られている。当然に、C/N比が悪化するほど符号誤り率は大きくなる。
【0050】
そして、同C/N比は電波伝搬路の状態による電界変動により変動する。そのため、侵入物体がない車室内では、符号誤り率は、ほとんど一定値となり変動はない。侵入物体等がある場合は、車室内の電界の乱れにより、C/N比が悪くなる。
【0051】
マイコン36はある閾値以上のC/Nとなったとき、「侵入あり」として検出する。そして、マイコン36は侵入検知信号を出力回路38に出力して、エンジン始動を許可せず、警報ブザーから警報音を発する。
【0052】
つまり、侵入検知の際に、疑似乱数を変調して送信し、受信後復調して信号を取り出すが、この際、符号誤り率と受信電波のC/N比(搬送波/ノイズ比)との間に一定の関係があり、C/N比が悪くなるほど符号誤り率は大きくなりC/N比は電波伝搬路の状態による電界変動により変化するので、変動誤り率がある閾値より大きい場合は、侵入有りと判断することができる。
【0053】
このようにマイコン17は、図10のステップ201,202,205の処理にて車両の状態(ドアの開閉状態、ドアのロック/アンロック)及び乗員の有無により侵入検知機能とスマートエントリ機能とを切り替える。
【0054】
これまで説明したように、スマートエントリカード21を携帯し、車両に近づくだけでドアをアンロックできるスマートエントリシステムと近接センサ機能を備えた車外用電波ユニット3により、現状よりも省スペース、低コストでアンロック装置と近接センサを実現することができる。又、侵入検知機能とスマートエントリ機能を待った車内用電波ユニット9によりスマートエントリ車室内ユニットを用いて高性能な盗難防止装置を低コストで提供することができる。
【0055】
つまり、車両側面に、側面近接センサ機能とドアアンロック用スマートエントリ機能とを備えた車外アンテナユニット3を設置するとともに、車室内の天井部に、侵入検知機能と乗員認証用スマートエントリ機能とを備えた車内アンテナユニット9を設置することにより、安全性、セキュリティ性の機能を備えたインテリジェントな車両制御装置とすることができる。
【0056】
換言すれば、スマートエントリ装置の車外アンテナユニットと近接センサを一体とし、また、スマートエントリ装置の車内アンテナユニットと侵入検知センサを一体とし、車外スマートエントリ機能と近接センサ機能、および車内スマートエントリ機能と侵入検知機能を車両状態等により切り替えて作動させることにより、各機能を有する電波ユニットを4個別体で設ける場合に比べ、低コストで、取付スペースが小さくなる。
【0057】
このように本実施の形態は、下記の特徴を有する。
(イ)図5の車外用電波ユニット3において、マイコン17により、IDコードの照合にてドアをアンロックするスマートエントリ機能と、被検出対象の状況検出を行う近接センサ機能とを切り替えて、送受信アンテナ10,11を共通化して両機能を使い分けて、低コスト化、小スペース化を図ることができる。又、車両の状態や乗員の有無により機能(モード)を切り替えることにより自動切替え制御を行うことができる。
(ロ)図8の車内用電波ユニット9において、マイコン36により、IDコードの照合にてエンジンを始動可能な状態にするスマートエントリ機能と、車内への侵入者を検知する侵入検知機能を切り替えて、送受信アンテナ30,31を共通化して両機能を使い分けて、低コスト化、小スペース化を図ることができる。又、車両の状態や乗員の有無により機能(モード)を切り替えることにより自動切替え制御を行うことができる。
【0058】
これまで述べてきた実施の形態以外にも、下記のように実施してもよい。
侵入検知および近接検知で、無変調の電波を利用した検知方法を用いてもよい。この方法を用いると、低コストで実現することができる。
【0059】
又、図3に示す本例では車外用電波ユニット3をドアミラー2に埋設しているが、車両の側面での他の車外用電波ユニットの設置場所としては、図1において車外用電波ユニット3’にて示すように窓ガラス部(センターピラーの横)でもよい。
【0060】
さらに、車両の側面以外の車外用電波ユニットの設置場所としては、図2において車外用電波ユニット3’’にて示すように、車両における後部トランク部でもよい。車外用電波ユニット3’’を後部トランク部に設けた場合には、後方近接センサの機能とトランクオープン用のスマートエントリ機能を持つことになる。
【0061】
さらには、図4に示す本例では車内用電波ユニットをマップランプ8内に設けたが、他の車内用電波ユニットの設置場所としては、図4において車内用電波ユニット9’にて示すように中央パネルでもよい。このような場所(マップランプ8や中央パネル部)に設置すると、侵入検知モードの際に車室内全体に指向性を持たせることができる。
【0062】
又、車外用電波ユニット3と車内用電波ユニット9の両方を搭載した車両について述べたが、一方のユニットのみ車両に搭載してもよい。
さらに、マイコンにて機能(モード)の切替えを行ったが、手動スイッチにより切り替えてもよい。
【0063】
さらには、車外アンテナを用いたスマートエントリとしてドアまたはトランクをアンロックする場合について説明し、又、車内アンテナを用いたスマートエントリとしてエンジンの始動を許可する場合について説明したが、他の所定の動作に対し許可を与える処理としてもよい。また、車内アンテナを用いたスマートエントリとして電波を送信して該電波に応答してカードから送られてくる電波を受信する場合について説明したが、カードから送られてくる電波を受信してコード照合するものであってもよい。即ち、少なくとも受信機能があればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態における車両用電波ユニットを搭載した車両の右側面図。
【図2】 同じく車両用電波ユニットを搭載した車両を後ろから見た図。
【図3】 ドアミラーの断面図。
【図4】 車室内を示す図。
【図5】 車外用電波ユニットの電気的構成図。
【図6】 スマートエントリ用カードの電気的構成図。
【図7】 車外用電波ユニットの作用を説明するためのフローチャート。
【図8】 車内用電波ユニットの電気的構成図。
【図9】 スマートエントリ用カードの電気的構成図。
【図10】 車内用電波ユニットの作用を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
3…車外用電波ユニット、9…車内用電波ユニット、10…送信アンテナ、11…受信アンテナ、17…マイコン、30…送信アンテナ、31…受信アンテナ、36…マイコン
Claims (4)
- 車外に向かって電波を送信する送信アンテナと、
車外からの電波を受信する受信アンテナと、
前記送信アンテナを用いて電波を送信するとともに当該電波に応答して携帯用送受信機から送られてくる電波を前記受信アンテナを用いて受信し、この受信電波によるIDコードが予め登録されたIDコードと一致すると所定の動作を許可する動作許可判定手段と、
前記送信アンテナを用いて電波を送信するとともに当該電波に対する被検出対象による反射波を前記受信アンテナを用いて受信し、受信した電波に基づいて被検出対象の状況を検知する近接状態検出手段と、
乗員を検知したときには動作許可判定手段の機能に、また、乗員を検知しないときには近接状態検出手段の機能に切り替えを行う切替え手段と
を備えたことを特徴とする車両用電波ユニット。 - 車内に向かって電波を送信する送信アンテナと、
車内での電波を受信する受信アンテナと、
携帯用送信機から送られてくる電波を前記受信アンテナを用いて受信し、この受信電波によるIDコードが予め登録されたIDコードと一致すると所定の動作を許可する動作許可判定手段と、
前記送信アンテナを用いて電波を送信するとともに当該電波を前記受信アンテナを用いて受信し、受信した電波から電界の乱れに基づく車内への侵入者を検知する侵入検知手段と、
前記動作許可判定手段の機能と前記侵入検知手段の機能を切り替える切替え手段と
を備えたことを特徴とする車両用電波ユニット。 - 切替え手段は、車両の状態により機能の切り替えを行うものである請求項2に記載の車両用電波ユニット。
- 切替え手段は、乗員を検知したときには動作許可判定手段の機能に、また、乗員を検知しないときには侵入検知手段の機能に切り替えを行うものである請求項2に記載の車両用電波ユニット。
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