JP2002047835A - 制御装置 - Google Patents

制御装置

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JP2002047835A
JP2002047835A JP2000236655A JP2000236655A JP2002047835A JP 2002047835 A JP2002047835 A JP 2002047835A JP 2000236655 A JP2000236655 A JP 2000236655A JP 2000236655 A JP2000236655 A JP 2000236655A JP 2002047835 A JP2002047835 A JP 2002047835A
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portable device
antenna
calibration
control
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JP2000236655A
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English (en)
Inventor
Koichi Mizozoe
公一 溝添
Shuji Yamashita
収司 山下
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Omron Corp
Original Assignee
Omron Corp
Omron Tateisi Electronics Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本体機(車載機)と携帯機よりなる通信式の
制御装置(例えば、車両のスマートエントリーシステム
の制御装置)において、通信可能範囲を常時適正に維持
して、動作信頼性の向上を図る。 【解決手段】 本体機20の送信用の車室内アンテナ2
4に対して、校正用受信アンテナ25を車室1内に別個
に配設するとともに、前記アンテナ24から校正用信号
を送信し、前記アンテナ25によって受信された校正用
信号の受信強度に基づいて、前記アンテナ24の通信可
能範囲が適正に維持されるように前記アンテナ24から
の送信出力を校正する出力校正処理を、電源投入時など
に適宜実行する制御回路31を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯機と本体機と
の間の無線通信によって、乗物に搭載した機器や装置或
いはシステムなどの制御を使用者のめんどうな操作を要
することなく実現する制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の制御装置を含むシステム
としては、例えば、近年では広く普及している車両のキ
ーレスエントリーシステムがある。これは、使用者が携
帯可能な携帯機と、制御対象側(この場合、車両側)に
設置された本体機(この場合車載機)とを有し、これら
の間で無線通信により認証コードの照合確認を行い、こ
の照合結果が一致であることを必要条件として、前記本
体機の制御により所定の制御対象(この場合、車両ドア
の錠装置)の所定の動作(解錠動作や施錠動作)を実現
するものである。そして、このようなシステムの初期的
かつ一般的なものは、携帯機に設けられた特定のボタン
などを使用者が操作することで、携帯機から認証コード
を含む特定の操作信号(例えば車両ドアの解錠指令)が
無線送信され、これを受信した本体機がその受信信号中
に含まれる認証コードが予め本体機に設定されている認
証コードに対応していることを確認した上で(即ち、照
合確認した上で)、所定の制御対象を制御するための所
定の出力(例えば、車両ドアの解錠のための制御信号出
力)を行う構成、即ち、携帯機(この場合、送信機)か
ら本体機(この場合、受信機)への一方向の通信のみが
行われる単方向通信式のものである。ところが、携帯機
の内蔵電池消耗の問題から認証コードを含む信号を携帯
機から常時出力することはできないため、このような単
方向通信式のものでは、上述したように、必ず使用者の
なんらかの操作をきかっけとして携帯機から信号を送信
する必要がある(即ち、使用者の意識的ななんらかの操
作が必ず必要となる)という問題があり、使用者の利便
性を高めるには限界がある。
【0003】そこで近年では、携帯機と本体機との間で
場合により電力伝送を含む双方向通信を行って、携帯機
の電力の消費をなるべく抑制しつつ、必要な照合確認を
行った上で制御対象の動作を実現するより高度な装置が
提案され一部実用化されつつある。例えば、車両のキー
レスエントリーシステムとしては、通信可能範囲に入っ
た携帯機が、本体機から非接触で電力伝送を受けてこの
電力伝送を起動信号として起動し、場合によっては起動
後に必要な電力もこの電力伝送によりまかないつつ、認
証コードを含む信号を本体機に対して送信する双方向通
信式のものが検討されている。或いは、携帯機が、内蔵
電池の電力によって間欠的に受信動作を繰り返し、通信
可能範囲に入ったときに本体機からのリクエスト信号
(電力伝送用の電磁波でないもの)を受信すると、認証
コードを含む信号を本体機に対して送信する双方向通信
式のものも検討されている。このような双方向通信式の
ものでは、本体機から送信される電磁波(前記電力伝送
のための電磁波、或いは前記リクエスト信号としての電
磁波)を携帯機が受信したことをきっかけ(トリガ)と
して、認証コードを含む信号を携帯機から本体機に対し
て自動送信することが可能となるので、場合によって
は、使用者がなんら操作をしなくても、制御対象の所定
の動作を実現することができる。例えば、車両のエント
リーシステムでは、携帯機を携帯した使用者が対応する
本体機を搭載した特定の車両のドアに近づくだけで、上
記双方向通信が成立して施錠状態にあったそのドアの錠
装置に解錠指令が自動的に出力され、自動的に車両ドア
が解錠されるといったことが可能となる。また、本体機
から携帯機への電力伝送を行うタイプのものは、携帯機
が受信動作を常時繰り返す必要がなく、不使用時には携
帯機をスリープ状態(消費電力がゼロ又は略ゼロの状
態)に維持可能であるため、使用者の操作上の利便性を
高めるとともに、携帯機の電池寿命を電力伝送を行わな
いタイプに比して格段に高めることができる。なお、上
述したように基本的に使用者の意識的な操作を要さず車
両ドアの解錠又は施錠動作を実現するより利便性の高い
エントリーシステムは、一般的なキーレスエントリーシ
ステムの発展型として、スマートエントリーシステム
(或いは、ハンズフリーエントリーシステム)などと呼
ばれ、車両の商品価値を高めるものとして市場ニーズが
高まっている。ところで、このようなシステムにおける
本体機側からの電磁波の送信は、車両等の制御対象側に
設けたアンテナから、常に一定の送信出力で行われる出
力値固定方式で行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このため、上述したよ
うなシステムは、従来以下のような課題を有していた。
即ち、本体機側から携帯機側への通信可能範囲(即ち、
本体機側から送信された電磁波を適正に受信できる携帯
機の位置範囲)が、本体機のハードウエア(アンテナや
通信回路等)の特性の誤差によってばらついたり、温度
変化や障害物の状況変化(例えば、車室内への荷物の搭
載状況などの変化)によって変動することがあった。こ
のため、携帯機を携帯した使用者が乗物に対して同程度
の距離範囲に居るのに(或いは車内に居るのに)、場合
によっては無線通信が不能となって所定の制御処理が実
行されないといった不具合、或いは逆に、無線通信が成
立すべきでない距離範囲(例えば、車外)に居るのに無
線通信が成立し、誤ってなんらかの制御処理が実行され
てしまうといった誤動作が生じる可能性があった。ま
た、例えば携帯機の所在位置を無線通信の成否で判断す
るといった高度な処理が的確にできない恐れがあるとい
う問題があった。
【0005】なお、上述したスマートエントリーシステ
ムのような高度なシステムを実用化しようとする場合に
は特に、本体機から携帯機への無線通信(特に、前述し
た電力伝送やリクエスト信号の送受信)が可能となる範
囲(即ち、前記通信可能範囲)を精度良く設定する必要
がある(或いは、そのように設定できた方が好ましい場
合がある)。なぜなら、携帯機(或いは、それを携帯し
た使用者)が車両の周囲から所定距離離れた位置よりも
内側に存在するのか外側に存在するのか、或いは携帯機
が車内にあるか否かなどの判定(即ち、携帯機の所在位
置判定を行う携帯機探知機能)が無線通信の成否によっ
て正確にできると、例えば携帯機の閉じ込み(車室内へ
の置き忘れ)を防止する処理動作や、携帯機を携帯した
使用者が車両から所定距離以上離れるだけで解錠状態に
あるドアの錠を自動的に施錠するといった動作や、或い
は携帯機を携帯した使用者が車内に乗り込むだけでエン
ジン始動が許可されるなどの動作が、別個の高価なセン
サを設けることなく的確に可能となるからである。ま
た、発明者らの研究では、前述したような通信可能範囲
のばらつきや変動は、低周波の電磁波(例えば、130
KHz程度)で行われる電力伝送の場合に顕著であり、
特に問題となることが分かっている。
【0006】しかしながら、前述したように従来では、
常に一定の送信出力で本体機からの電磁波の送信を行っ
ており、前述した特性のばらつきや状況変化に対する対
策がなんらとられていなかったため、特に電力伝送の場
合の通信可能範囲のばらつきや変動が大きく生じる恐れ
があり、使用者の利便性をさらに向上しつつシステムの
高い信頼性を確保する上で大きな障害となっていた。そ
こで本発明は、前述したような通信式の制御装置であっ
て、適正な通信可能範囲が安定的に設定可能かつ維持可
能で、これにより、制御の信頼性及び使用者の利便性を
さらに向上可能な制御装置を提供することを目的として
いる。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明による制御装置
は、使用者が携帯可能な携帯機と、乗物に搭載され、前
記携帯機との間で電磁波による無線通信を行った結果に
応じて、乗物の搭載物の所定の動作を実現するための制
御処理を実行する本体機とを有する制御装置において、
前記本体機のアンテナとして、前記無線通信のための通
信用アンテナとは別個に、校正用受信アンテナを乗物に
設置し、前記本体機には、前記通信用アンテナから校正
用信号を送信し、前記校正用受信アンテナによって受信
された前記校正用信号の受信強度(受信の可否を含む)
に基づいて、前記通信用アンテナの通信可能範囲(即
ち、本体機側から送信された電磁波を適正に受信できる
携帯機の位置範囲)が適正に維持されるように前記通信
用アンテナからの送信出力を校正する出力校正処理を、
所定タイミングで実行する制御手段を設けたものであ
る。
【0008】この発明によれば、前記出力校正処理によ
って、本体機の通信用アンテナの通信可能範囲が適正に
維持されるように、前記通信用アンテナからの送信出力
が適宜校正される。このため、前述した前記通信可能範
囲のばらつきや変動を、実際の状況に応じて補正するこ
とができ、通信可能範囲を常にできるだけ適正なものと
することが可能となる。これにより、例えば携帯機が乗
物内にあるのに(或いは、乗物に対して同程度離れた距
離にあるのに)、製品毎のばらつきや状況によっては携
帯機に対する無線通信が不能となって所定の制御処理が
実行されないといった不具合の可能性を従来よりも格段
に低減すること(即ち、動作信頼性の向上)が可能とな
る。
【0009】なおここで、「校正用受信アンテナ」は、
本体機から信号を送信するための通信用アンテナ(送信
用アンテナ)が一つの場合でも、複数設けてもよい。ま
た、本体機側の送信用アンテナが複数設けられる場合で
も、一つの校正用受信アンテナを設けて、各送信用アン
テナについての出力校正処理に兼用してもよい。また、
本体機側の送信用アンテナが、例えば車室内と車室外と
いったように複数種設けられる場合に、各種の送信用ア
ンテナに対してそれぞれ校正用受信アンテナを設けても
よい(例えば、車室内用の校正用受信アンテナを車室内
に設けて、車室外用の校正用受信アンテナを車室外に設
けてもよい)。また、校正用受信アンテナの配置位置
は、特に限定されないが、前記出力校正処理の実効性の
観点からは、理想的な通信可能範囲の境界付近(つま
り、本体機からの送信が行われる通信用アンテナから相
当離れた位置)に配置することが好ましいと考えられ
る。通信用アンテナの近くに配置したのでは、障害物等
の影響が出にくいからである。
【0010】また、前記出力校正処理の具体的処理内容
は、例えば、校正用信号の校正用受信アンテナによる受
信強度が、予め設定された規定範囲内におさまるよう
に、必要に応じて前記送信出力を増減させるものであ
る。さらにいうと、例えば、理想的な通信可能範囲の境
界付近に配置した校正用受信アンテナに対して、その時
点で設定されている送信出力で校正用信号を送信し、そ
のとき校正用受信アンテナで受信された校正用信号の受
信強度を判定する。そして、その受信強度が受信可能な
必要最低限の範囲内である場合には、その時点の設定を
校正後の値とする。一方、必要最低限の範囲を下回って
いる場合(校正用信号を受信できない場合も含む)に
は、送信出力の設定を僅かな規定量(校正単位量)だけ
増やして、再度校正用信号を送信して同様の処理を繰り
返す。また、必要最低限の範囲を越えている場合には、
送信出力の設定を僅かな規定量だけ減らして、再度校正
用信号を送信して同様の処理を繰り返す。こうして、理
想的な通信可能範囲の境界付近に配置した校正用受信ア
ンテナによって、校正用信号を適正に受信できるぎりぎ
りの送信出力に更新設定すれば、結果的に通信可能範囲
が理想的なものとなる。また、「校正用信号」とは、前
記出力校正処理のために(即ち、校正用受信アンテナで
の受信強度を判定するために)、本体機の通信用アンテ
ナ(送信用アンテナ)から送信する信号であり、他の信
号と区別するための固有のコードを含んでいてもよい
し、いなくてもよい。或いは、この校正用信号として、
通常の通信用の信号(例えば、前述した起動信号やリク
エスト信号)をそのまま使用することもできる。
【0011】また、前記出力校正処理を行う時期(即
ち、「所定タイミング」)については、本体機の電源が
投入されている限り定期的に行う態様でもよいが、例え
ば、本体機への電源投入時(電源投入後一定時間経過後
含む)、本体機と携帯機との通信終了後、本体機と携帯
機との通信開始前、或いはそれらを組合せた複数の時期
にそれぞれ行う態様でもよい。このように限られた時期
にのみ行うようにすれば、常に定期的に行うような態様
に比べて、前記出力校正処理に要する本体機の消費電力
を抑制できる。また、本体機と携帯機との通信開始前に
行うようにすれば、必ずその時点の実際の状況に基づい
て校正された送信出力(通信可能範囲)の設定によって
本体機側からの送信が行われるので、最も信頼度の高い
制御が可能となる。但し、この場合(本体機と携帯機と
の通信開始前に行う場合)には、その分だけ本体機と携
帯機との通信開始が遅れることになるので、そのような
遅れが問題となる場合には、前述したように例えば電源
投入時又は/及び通信終了後に行う態様が優れている。
【0012】また、「乗物」には、例えば、自動車や小
型飛行機等が含まれる。また、「乗物の搭載物」には、
例えば、ドアの錠装置、エンジンやモータ等の駆動源、
トランスミッションなどの駆動機構、エアコン、オーデ
ィオ、ナビゲーションシステム、照明等があり得る。ま
た、「無線通信」とは、電磁波による通信(電力伝送含
む)を意味する。またここでの電磁波には、少なくとも
狭義の電波の他、赤外線等も含まれる。また、「無線通
信を行った結果に応じて〜制御処理を実行する」には、
例えば、本体機側から携帯機に対する起動信号或いはリ
クエスト信号を送信し、これを受けた携帯機がアンサー
信号を送信し、このアンサー信号を受けた本体機が、こ
のアンサー信号に含まれる認証コードについて照合確認
を行った上で、乗物のドアを施錠又は解錠する制御信
号、或いは乗物のエンジン始動を許可する制御信号など
を出力するといった態様があり得る。また、本体機側の
通信用アンテナとして、乗物内にある携帯機と無線通信
するための乗物内通信用アンテナを設け、例えば、この
乗物内通信用アンテナによる携帯機との通信が成立して
いる場合には、携帯機が乗物内にあると判定し、携帯機
の置き忘れや閉じ込み防止のために乗物のドアの施錠制
御を行わないといった態様もあり得る。
【0013】また、本体機側の「通信用アンテナ」は、
実現したい理想的な通信可能範囲の中央に一つ、或い
は、その通信可能範囲の長手方向(通常は、車両などの
乗物の長手方向)に、必要最小限の個数配置する構成が
好ましい。例えば、通常の自動車(四輪車)の車室内通
信用のアンテナとしては、車室内中央の前席よりに一つ
配置するか、複数配置する場合でも、前席の中央(或い
は、ダッシュボード中央など)と、後席の中央などに1
個ずつ(合計2個)配置するのが好ましい。また、本体
機の「通信用アンテナ」とは、少なくとも信号の送信に
使用されるものであり、携帯機からの信号を受信するた
めの受信用アンテナとは別個のアンテナでもよいし、受
信用アンテナとして兼用されるものでもよい。また、本
発明の「通信用アンテナ」は、乗物内に設置されて乗物
内にある携帯機と無線通信するための専用のアンテナ
(乗物内通信用アンテナ)であってもよいし、乗物外に
設置されて乗物外にある携帯機と無線通信するための専
用のアンテナ(乗物外通信用アンテナ)であってもよ
い。或いは、このような乗物内通信用アンテナと乗物外
通信用アンテナの両者に対して、それぞれ本発明を適用
することもできる。また、本発明の「制御手段」は、例
えばマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)を
含む制御回路によって実現できる。
【0014】また、この発明の好ましい態様は、前記本
体機に、前記送信出力の初期値(出荷時等に予め設定さ
れたもの)を記憶する不揮発性メモリが設けられ、前記
制御手段が、初期状態においては、前記送信出力を前記
不揮発性メモリに記憶された初期値とするものである。
このような構成であると、初期状態(即ち、前記出力校
正処理による送信出力の校正などの更新設定が未だ実行
されていない状態、或いはそのような更新設定値がリセ
ットされた状態)においては、出荷時等に予め設定され
た送信出力の設定で本体機から携帯機への通信が実行さ
れる。このため、製品毎のばらつき(本体機のハードウ
エアの特性誤差等に起因する前記通信可能範囲のばらつ
き)が補正されるように上記初期値を決定して登録して
おくことで、初期状態においても、少なくともこのよう
な製品毎のばらつきのない前記通信可能範囲が実現でき
る。また、例えばなんらかの動作異常が生じた場合の対
策として、いったん出荷状態に戻して動作テストを行
う、或いは出荷状態に戻して動作異常を回避するといっ
たことが、初期化の操作だけで容易に可能であるという
利点がある。なお、ここでいう「送信出力の初期値」と
は、例えば、乗物の内部や周囲に障害物がなく温度条件
なども通常の状態(基準状態)で、前述した通信可能範
囲が最適になるように試験等によって決定されたもので
あり、前記基準状態において本発明の出力校正処理によ
って校正された送信出力の値をこの初期値として予め設
定してもよい。また、上述した「初期状態」とするため
の初期化の操作は、例えば本体機に設けられたリセット
スイッチを操作することで実行される構成でもよいし、
本体機に設けられた回路の働きで、本体機の電源のオン
オフ操作によって自動的に実行される構成でもよい。
【0015】また、この発明の好ましい態様は、前記本
体機に、前記送信出力の校正後の最新の設定値(即ち、
最新の校正値)を記憶する不揮発性メモリが設けられ、
前記制御手段が、初期状態でない限り、前記送信出力を
前記不揮発性メモリに記憶された前記最新の設定値とす
る構成である。このような構成であると、たとえ電源の
遮断があっても前記送信出力の最新の校正値が常に記憶
保持され、前記初期状態とする初期化が行われない限
り、この最新の校正値に基づいて本体機から携帯機への
通信が実行される。このため、電源の遮断があっても、
常に最新の状況に応じた最適な通信可能範囲となり易
く、動作信頼性をより向上させることができる。
【0016】また、この発明の好ましい態様は、前記本
体機が、前記携帯機との無線通信が成立しているか否か
によって、前記携帯機の所在位置を判定する携帯機探知
機能を有するものである。このような構成であると、携
帯機の所在位置を別個のセンサを要することなく的確に
判断することが可能となり、スマートエントリーシステ
ムのような高度なシステムで重要な携帯機探知機能が、
信頼性高く実現できる。なおここで、上記携帯機探知機
能は、例えば本体機に内蔵されたマイコンを含む制御回
路の処理により実現できる。また、上記携帯機探知機能
には、前述した乗物内通信用アンテナによって前記携帯
機との通信が成立しているか否かにより、前記携帯機が
乗物内にあるのか乗物外にあるのかを判定する機能、或
いは、前述した乗物内通信用アンテナ及び乗物外通信用
アンテナによって前記携帯機との通信が成立しているか
否かにより、前記携帯機が乗物に対して所定距離内に接
近しているか否かを判定する機能などが、具体的にあり
得る。
【0017】また、本発明の制御装置における前記乗物
の搭載物には、前述したように、乗物のドアの施錠又は
解錠を行う錠装置が含まれ、前記制御処理には、前記錠
装置の施錠動作又は解錠動作を実現する制御信号出力が
含まれる。この場合、乗物の施解錠システム(即ち、い
わゆるエントリーシステム)において本発明の前述の効
果(動作信頼性の向上)を発揮することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を図面に基づいて説明する。本形態例は、車両のスマー
トエントリーシステムの制御装置(特に、車室内通信部
分)に本発明を適用した例である。この装置は、図1
(a)に示すように、携帯機10と、車両に搭載された
本体機20とよりなる。携帯機10は、電磁波による非
接触式の電力伝送により電力を受けるための受電手段
(図示省略)と、前記電力伝送の周波数(例えば、13
0KHz程度の低周波)とは異なる通信用周波数(例え
ば、300MHz程度)で信号を無線送信するための携
帯機側通信手段(図示省略)と、少なくとも認証コード
(IDコード、又は鍵コードなどとも呼ばれる)を記憶
する携帯機側記憶手段(図示省略)と、携帯機全体の制
御や必要な情報処理を行うマイコンを含む制御回路(図
示省略)と、内蔵電池と、この内蔵電池の電力や前記受
電手段により受電した電力を電力消費要素(前記携帯機
側通信手段や前記制御回路など)に供給する電源回路
(図示省略)などを、内部に備える。なお、この携帯機
10の操作表面には、押しボタン式の操作部である施錠
用又は解錠用のスイッチ(図示省略)などが設けられて
いてもよい。なお、この携帯機10の送信出力は、携帯
機10が通信可能範囲内に位置する限り、この携帯機1
0から送信される信号(この場合、後述するアンサー信
号)が本体機20で確実に受信可能となる必要最小限の
出力に設定されている。
【0019】ここで、前記受電手段や携帯機側通信手段
等の詳細構成については、本発明は特に限定されず、少
なくとも公知の各種構成が採用できるので、特に説明し
ない。主要な要素の概要を説明すると、前記受電手段
は、例えば、コイルアンテナと、このコイルアンテナに
生じた誘導起電力からDC電力を生成する整流回路等と
よりなる。また、前記携帯機側通信手段は、例えば前記
受電手段と共通又は別個のアンテナと、このアンテナを
介して所定の通信用周波数で無線送信するための回路
(変調回路、或いは発信回路等)などを備えるものであ
る。また制御回路は、CPU,ROM,RAMや入出力
回路を備える。また、携帯機側記憶手段は、認証コード
を記憶する書き込み消去可能な不揮発性のメモリ(例え
ば、EPROM)である。また、前記電源回路は、必
要な電圧変換や電圧の安定化処理等を行う回路を有する
ものである。なおこの場合、例えばこの電源回路には、
携帯機10全体の電源供給(或いは主要な電源供給)を
オンオフする電源制御手段(スイッチング素子や電磁リ
レー又は半導体リレー等よりなるもの)が設けられ、制
御回路の制御指令(スリープ指令)によってこの電源制
御手段が携帯機10全体の電源(或いは主要な電源)を
オフにすると、携帯機10全体(或いは、主要部分)の
稼働が停止して消費電力がゼロ(又はほぼゼロ)になる
いわゆるスリープ状態となる構成になっている。また、
このスリープ状態において、前記受電手段により起動信
号としての所定電力を受電すると、前記電源制御手段が
駆動されて携帯機10全体の電源供給(或いは主要な電
源供給)がオンして携帯機10が起動し、前記スリープ
指令が再度出力されるまで、この起動状態が維持される
構成となっている。
【0020】また、上記制御回路は、そのマイコンの動
作プログラム設定等によって、以下のような処理動作を
実行する機能を有する。即ち、前記起動信号によって起
動すると、前記携帯機側記憶手段に予め登録された認証
コードを含むアンサー信号を前記携帯機側通信手段によ
り例えば所定回数だけ無線送信する機能を有する。ま
た、前述した施錠用又は解錠用スイッチが設けられてい
る場合には、このスイッチが操作されると、認証コード
を含む施錠指令信号、或いは認証コードを含む解錠指令
信号を無線送信する機能も有する。なお、これら施錠指
令信号又は解錠指令信号が送信され、これらが本体機2
0で受信されると、本体機20の制御機能で照合確認が
なされた上で車両1のドアを施錠又は解錠する動作が実
行される。即ち、携帯機10と本体機20とよりなる本
形態例の制御装置は、このようにして、一般的なキーレ
スエントリーシステムの制御装置(前述した単方向通信
式のもの)と同じ機能をも実現する構成となっていても
よい。
【0021】一方、本体機20は、図1(a)に示すよ
うに、コントロールユニット21と、送信用(電力伝送
用)の車室外アンテナ(図示省略)及び車室内アンテナ
24(通信用アンテナ)と、出力校正処理に用いる校正
用受信アンテナ25とを備える。車室外アンテナは、車
両の室外の左右両側(例えば、各ドアミラー内)にそれ
ぞれ設けられたコイルアンテナである。また、車室内ア
ンテナ24は、この場合図1(b)に示すように、車室
1内における車室内中央前席よりの位置に設けられたコ
イルアンテナである。また、校正用受信アンテナ25
は、図1(b)に示すように、車室内アンテナ24の理
想的な通信可能範囲の境界近傍位置(この場合、前席側
ウインドウと後席側ウインドウの間に位置する車体フレ
ーム部分内側)に設けられたコイルアンテナである。な
お、図1(b)において、符号2はハンドルを示し、符
号3は運転席を示し、符号4は助手席を示し、符号5は
後部座席を示している。また、車室内アンテナ24は、
例えば運転席3と助手席4の間に設置される肘置き(コ
ンソールボックス)内にモールドされて設けられる。な
お、本体機20からの送信用アンテナは、車室1内の前
席側と後席側にそれぞれ設けて、車室1内の後席側を含
むほぼ全領域が通信可能範囲となる構成としてもよい。
この場合、後席側の車室内アンテナは、例えば後部座席
5のシート内に設置すればよい。また、上記アンテナ2
4は、起動信号送信用(電力伝送用)及び受信用(前記
通信用周波数での信号の受信用)として共用してもよい
が、この場合には、この信号の受信用として専用のアン
テナ34が後述する如く別個に設けられている。またこ
の場合、この別個のアンテナ34は、上記アンテナ24
と同じ位置に配設してもよいが、この場合は、後述する
ようにコントロールユニット21内に内蔵されている。
ここで、車室内アンテナ24による理想的な通信可能範
囲は、基本的に車室1内のみとされ、車室外アンテナに
よる通信可能範囲は、基本的に車両の外側で車両から所
定距離範囲とされている。
【0022】そして、コントロールユニット21は、C
PU,ROM及びRAMを含むマイコンよりなる制御回
路31と、電力伝送のための電磁波(即ち、前記起動信
号としての電磁波)を車室内アンテナ24から送信する
ための送信回路32と、電力伝送用周波数で校正用信号
を校正用受信アンテナ25を介して受信(受電)するた
めの受信回路33と、通信用周波数で信号を受信するた
めのアンテナ34及び受信回路35と、車室内アンテナ
24から送信する電磁波の送信出力(放射電力)を制御
回路31の制御に従って変化させる電力制御回路36
と、電源回路(図示省略)などを備える。なお、コント
ロールユニット21には、前述した車室外アンテナから
電磁波を送信するための送信回路(図示省略)が別個に
設けられていてもよいし、上記送信回路32がこの機能
を兼ねる構成でもよい。また、コントロールユニット2
1は、例えば、各回路が形成され内蔵アンテナ34が搭
載された回路基板がケース内に収納された構造とされ、
運転席3に座った運転者の足下近傍の位置などに設置さ
れている。
【0023】ここで、送信回路32や受信回路33,3
5等の詳細構成については、本発明は特に限定されず、
少なくとも公知の各種構成が採用できるので、特に説明
しない。主要な要素の概要を説明すると、送信回路32
は、車室内アンテナ24(或いは、車室外アンテナ)か
ら電力伝送を行うための増幅回路等よりなり、その送信
出力は、制御回路31と電力制御回路36によって設定
される。特にこの場合には、車室内アンテナ24の通信
可能範囲(アンテナ24から送信される電磁波を携帯機
10が受信可能となる携帯機10の位置範囲)が、図1
(b)に示すように車室1外への電波の漏れ出しがほと
んど生じない最大限の大きさとなるように、後述する出
力校正処理によって適宜校正されて上記送信出力が設定
される。また、受信回路33は、校正用受信アンテナ2
5に生じた誘導起電力からDC電力を生成する整流回路
等よりなる。また、受信回路35は、内蔵されたアンテ
ナ34を介して所定の通信用周波数の信号を受信するた
めの回路(復調回路等)よりなるものである。また制御
回路31は、CPU,ROM,RAMや入出力回路より
なるマイコン(図示省略)と、本体機側記憶手段37と
を備える。なお、本体機側記憶手段37は、認証コード
や送信出力の初期値及び校正値(最新の設定値)を記憶
する書き込み消去可能な不揮発性のメモリ(例えば、E
PROM)である。また、前記電源回路は、車両に搭
載されたバッテリーを入力電源として、必要な電圧変換
や電圧の安定化処理等を行う回路を有するものであり、
本体機20の電力消費要素(制御回路31、送信回路3
2など)に基本的に常に電源供給を行っている。
【0024】なお、本形態例の場合、コントロールユニ
ット21の制御回路31には、ドアノブセンサ(図示省
略)やドア開閉センサ(図示省略)からの信号が入力さ
れている。ドアノブセンサは、車両のドアノブ(図示省
略)を操作するためにこのドアノブ又はその付近に接近
した使用者の身体(例えば手や指)を検出する近接セン
サなどよりなるものである。また、ドア開閉センサは、
車両のドア(例えば、2ドアの車両の場合には、運転席
又は助手席のドア)の開閉状態を検出するセンサであ
る。なお、上記ドアノブセンサは、後述するように、例
えばドアの解錠動作を制御するためのトリガ(起動信号
としての電力伝送を開始する条件)を形成するためのセ
ンサである。また、本装置でのこのドア開閉センサは、
後述するように、例えばドアの自動施錠動作を制御する
ためのトリガ(起動信号としての電力伝送を開始する条
件)を形成するためのセンサである。また、コントロー
ルユニット21の制御回路31からは、車両ドアの錠装
置を駆動するドアロックアクチュエータ(図示省略)に
対して制御信号が出力され、制御回路31の制御で車両
ドアの施錠又は解錠が可能となっている。
【0025】また、上記制御回路31は、そのマイコン
の動作プログラム設定等によって、以下のような処理動
作を実行する機能を有する。即ち、所定のトリガが形成
されると、携帯機探知(携帯機サーチ)を実行する携帯
機探知機能を有し、さらにその後、必要に応じて認証コ
ードの照合確認を行った上で、前記トリガに応じた所定
の制御処理を実行する機能を有する(具体例は後述す
る)。ここで、上記携帯機探知の具体的処理内容は、例
えば以下のとおりである。即ち、例えば前述した車室外
アンテナ及び車室内アンテナ24から前記起動信号とな
る電磁波を送信する一連の送信動作を実行し、前述のア
ンサー信号をアンテナ34及び受信回路35により受信
したか否かによって、全てのアンテナによる通信可能範
囲内に携帯機10が存在しているか否かを判定する(つ
まり、アンサー信号を受信すれば携帯機10が何れかの
通信可能範囲内に存在していると判定する)。またこの
際、どのアンテナからの起動信号の送出に対して起動報
知信号が返されたかを判断することによって、携帯機1
0が車内にあるか否かを判定する(つまり、例えば車室
内アンテナ24からの起動信号の送出に対する応答とし
てアンサー信号を受信すれば携帯機10が車内に存在し
ていると判定する)。またこの際、車室外アンテナから
の送信出力は、この場合、前述の通信可能範囲を実現す
る値として予め設定された一定値に維持される。そし
て、車室内アンテナ24の送信出力は、初期状態におい
ては、本体機側記憶手段37に記憶された初期値に設定
され、初期状態でないときには、本体機側記憶手段37
に記憶された最新の校正値とされる。
【0026】ここで、前記起動信号となる電磁波の送信
動作は、例えば、まず各車室外アンテナからの送信動作
をそれぞれ行った後、車室内アンテナ24からの送信動
作を行う。また、認証コードの照合確認の具体的処理内
容は、例えば以下のとおりである。即ち、携帯機10か
らアンサー信号を受信すると、このアンサー信号に含ま
れる認証コードが本体機側記憶手段37に予め登録され
た認証コードに対応しているか否かを判定し、この判定
結果が肯定的であれば照合確認がなされたと判断する。
【0027】また、制御回路31は、例えば電源投入時
(電源投入直後或いは電源投入後一定時間経過時)、携
帯機10との通信終了後(例えば、前記アンサー信号受
信処理終了後)、或いは携帯機10との通信開始前(例
えば、前記起動信号を送信する直前)などの所定タイミ
ングにおいて、車室内アンテナ24からの起動信号(電
力伝送)の送信出力を校正する出力校正処理を実行する
機能を有する。この出力校正処理は、例えば図2(a)
のフローチャートに示すような手順で行う。即ち、まず
ステップS1で、車室内アンテナ24から校正用信号を
送信する。校正用信号は、この場合、出力校正用の信号
であることを識別するための固有のコードを含む信号で
ある。また、この校正用信号の送信出力は、本体機側記
憶手段37に送信出力の校正値が記憶されている場合に
は、この校正値に設定し、本体機側記憶手段37に送信
出力の校正値が記憶されていない場合には、本体機側記
憶手段37に記憶された初期値に設定する。次にステッ
プS2では、校正用受信アンテナ25と受信回路33に
よって受信した前記校正用信号の受信強度(例えば、受
信回路33から出力される受信電力の大きさ)が、予め
設定された規定範囲を越えているか否か判定する。そし
て、この受信強度が前記規定範囲を越えている場合に
は、ステップS3に進み、受信強度が前記規定範囲を越
えていない場合(校正用信号が受信できなかった場合も
含む)には、ステップS4に進む。そしてステップS3
では、電力制御回路36の送信出力の設定を予め定めら
れた僅かな規定量(校正単位)だけ減らして校正し、そ
の校正後の送信出力の値を新たな校正値として本体機側
記憶手段37に更新記憶する。一方ステップS4では、
校正用受信アンテナ25から受信した前記校正用信号の
受信強度が、前記規定範囲を下回っているか否か判定す
る。そして、この受信強度が前記規定範囲を下回ってい
る場合(校正用信号が受信できなかった場合も含む)に
は、ステップS5に進み、受信強度が前記規定範囲を下
回っていない場合(即ち、受信強度が前記規定範囲内に
おさまっている場合)には、校正完了又は校正不要であ
るとして処理を終了する。そしてステップS5では、電
力制御回路36の送信出力の設定を予め定められた僅か
な規定量だけ増やして校正し、その校正後の送信出力の
値を新たな校正値として本体機側記憶手段37に更新記
憶する。なおここで、予め設定された規定範囲とは、車
室内アンテナ24の通信可能範囲が理想的なものとなっ
ている場合に、校正用受信アンテナ25による受信強度
の値がとり得る範囲であり、予め実験等により求めて設
定すればよい。
【0028】なお、本体機20側の制御機能としては、
上述したような機能以外にも、例えば次のような機能が
設けられていてもよい。すなわち、所定のトリガが一旦
形成された後では、このトリガが継続して発生していな
くても本体機20が定期的に起動信号の一連の送信動作
を実行して、前述のアンサー信号の受信、或いはさらに
このアンサー信号に基づく前述の照合確認を行い、この
アンサー信号の受信の成否(或いは照合確認の成否)に
基づいて所定の携帯機10が通信可能範囲内にあるか否
かを定期的に判断して監視し、例えば全てのアンテナに
ついての通信可能範囲外にあると判断された時点でこの
ような監視処理を終了する機能(以下、継続的携帯機探
知機能という)を設けてもよい。そして、この機能を設
ける場合には、好ましくはアンテナ毎に上記監視処理を
実行するようにする。このような構成であると、携帯機
(又はこれを通常携帯している運転者)が車室内に存在
しているのか又は車室外に存在しているのか、或いは車
両の右側に存在しているのか又は左側に存在しているの
かなどが、上記継続的携帯機探知機能によって継続的に
判断可能(少なくとも推定可能)となる。これにより、
例えば、車両内に居る運転者が、車内から降りてドアを
閉め、車両から離れて、車室外アンテナの通信可能範囲
から離れた場合に、このような一連の動作を上記継続的
携帯機探知機能によって判断して、ドアが施錠されてい
なければ前記ドアロックアクチュエータに制御信号を出
力して自動的に施錠するといった動作(即ち、スマート
エントリーシステムの施錠動作の一態様)が可能とな
る。
【0029】また本体機20は、携帯機10の説明で既
述したように、携帯機10に設けられたスイッチ(例え
ば、施錠用又は解錠用スイッチ)の操作によって、携帯
機10から送信された操作信号(例えば、認証コードを
含む施錠指令信号)を受信すると、認証コードの照合確
認をした上でその操作信号に含まれる指令に応じた動作
(例えば、車両1のドアを施錠する動作)を実現する制
御信号出力を実行する機能(即ち、一般的な単方向通信
式のキーレスエントリーシステムと同じ機能)をも有し
ていてもよい。
【0030】次に、本制御装置の具体的動作例を、その
ための携帯機10や本体機20の制御処理内容とともに
説明する。まず、本体機20の処理(正確には、コント
ロールユニット21の制御回路31の処理)によって、
所定のトリガ(即ち、開始条件)が成立しているか否か
を判定する。即ち、ドア開閉センサの出力信号によって
車両のドア(何れかのドアでもよいし、例えば運転席の
ドアに限定してもよい)が開けられたことが判定された
後、例えば一定時間経過後にそのドアが閉じられたこと
が判定され、さらにそのドア(或いは、例えばその他全
てのドアのうちのいずれか)が施錠されていないことが
判定された場合には、所定のトリガが成立したとして、
次の処理動作に進む。なお、この所定のトリガが成立し
ていなければ、それ以外の実質的な動作はなにも実行し
ない。なお、この場合のトリガの内容は、上記態様に限
られない。例えば、前記ドアノブセンサが検出信号を出
力している状態でドアが開状態から閉じられたことがド
ア開閉センサの出力により判定された場合(即ち、運転
者等の乗員がドアノブに手をかけつつドアを閉めたこと
が推定される場合)に上記トリガが成立するといった構
成とすることも可能である。
【0031】次に、上述したトリガが成立したと判断さ
れた後は、前述した携帯機探知機能を実行する(即ち、
例えば本体機20が起動信号を送信し、携帯機10から
の応答であるアンサー信号がどの送信動作に対して受信
されたか否か判定する)。そして、この携帯機探知の結
果、全てのアンテナの全ての送信動作に対して携帯機1
0からの応答がない場合には、必要に応じて、本体機2
0の制御で異常を知らせる警告を行う。警告は、例え
ば、ランプ(前照灯、ハザードランプ等)の点灯又は点
滅、警告音の出力(例えば、クラクションの作動)等に
よって行う。なおこの場合には、ドアの開閉が行われた
のに、携帯機10が全アンテナの通信可能範囲内に存在
せず、しかも何れかのドアの施錠がなされていない場合
などであるので、ドアの施錠忘れ、或いはドアの不正な
開閉の可能性があり、そのような防犯面の異常状態を例
えば車両から離れた位置にいる携帯機10を携帯した車
両の管理者(通常は、車両の所有者であり運転者)にも
できるだけ報知可能な態様で警告を行う。
【0032】また、前記携帯機探知の結果、携帯機10
が車内にあると判定された場合には、やはり本体機20
の制御で異常を知らせる警告を行う。なお、この場合に
は、携帯機10の閉じ込み(車室内への置き忘れ)の恐
れがある場合であるので、そのことを降車した乗員に良
好に伝えられるような態様(例えば、ブザー音の出力)
で警告を行うべきである。そして、前記携帯機探知の結
果、携帯機が車外の通信可能範囲にあると判定された場
合には、正常な降車動作と推定されるので、解錠状態の
ドア(何れかのドアでもよいし、例えば運転席のドアの
みに限定してもよい)を自動施錠するための制御出力
を、本体機20(制御回路31)が実行する。以上の制
御装置の動作によれば、例えば、適正な認証コードが登
録された所定の携帯機10を携帯した運転者がドアを開
けて降車し、その後ドアを閉じるだけで、少なくともそ
のドアが自動施錠され、いわゆるスマートエントリーシ
ステムとしての自動施錠動作が実現される。また、携帯
機10の置き忘れや、ドアの施錠忘れ、或いはドアの不
正な開閉等が防止される。
【0033】なお、本制御装置による自動施錠動作は、
上述した態様に限られない。例えば、前述したように定
期的に携帯機10の所在位置を探知する継続的携帯機探
知機能が本体機20に設けられている場合、この継続的
携帯機探知機能によって、携帯機10が車内から車外に
移動したことが判断されると(即ち、運転者等の乗員が
車内から退出したことが推定されると)、本体機20
が、必要に応じて車内に携帯機10がないことを再確認
した上で、例えば閉じているドアのいずれかが施錠され
ていない場合にそのドアを施錠する制御出力を行うこと
によっても、自動施錠動作を実現できる。或いは、前述
したように、前述の継続的携帯機探知機能によって、携
帯機10が車内から車外に移動して、さらに車室外アン
テナの通信可能範囲外に離れたことが判断されると(即
ち、運転者等の乗員が車内から退出し車両から所定距離
離れたことが推定されると)、本体機20が、必要に応
じて車内に携帯機10がないことを再確認した上で、例
えば閉じているドアのいずれかが施錠されていない場合
にそのドアを施錠する制御出力を行うことによっても、
自動施錠動作を実現できる。ちなみにこの場合には、携
帯機を携帯した乗員が車両から降車してさらに所定距離
離れないと自動施錠が実行されないので、乗員が車両の
近くに一時的に降車してドアを閉じた場合にもその都度
自動施錠されてしまうといった煩わしさがないという特
長がある。
【0034】また、本制御装置による自動解錠動作の具
体例(スマートエントリーシステムとしての自動解錠機
能の例)としては、次のようなものがあり得る。例え
ば、ドアノブセンサによる検出信号の出力(対応するド
アが施錠された状態でのもの)をトリガとして、携帯機
探知や認証コードの照合確認を行った上で自動解錠する
態様があり得る。即ち、ドアが施錠された状態で、ドア
ノブセンサによる検出信号が出力された場合には、運転
者や乗員がドアを開けようとして(或いは解錠しようと
して)ドアノブに手をかけたことが推定されるため、こ
れを本体機20が判定すると、本体機20が前述の携帯
機探知機能を実行し、携帯機10が車室外の通信可能範
囲内に探知された場合には、さらに前述の照合判定処理
を実行する。そして、適正な認証コードが登録された携
帯機10であることが照合確認されると、本体機20が
そのドアを解錠させる制御出力を実行する構成である。
この構成によれば、携帯機10を携帯した使用者(運転
者や乗員)が車両のドアノブに手をかけてドアを開ける
自然な動作をするだけで、そのドアの解錠が自動的にな
され、いわゆるスマートエントリーシステムの自動解錠
動作が実現される。
【0035】以上説明した本形態例の制御装置では、以
下のような実用上優れた効果が得られる。即ち、携帯機
10との無線通信のために本体機20から電磁波(この
場合、起動信号を構成する電力伝送用の電磁波)を送信
する車室内アンテナ24からの送信出力が、車室内アン
テナ24の通信可能範囲が適正に維持されるように、前
記出力校正処理によって適宜校正される。このため、前
述した通信可能範囲のばらつきや変動を、実際の状況に
応じて補正することができ、通信可能範囲を常にできる
だけ適正なものとすることが可能となる。これにより、
例えば携帯機10が乗物内にあるのに(或いは、乗物に
対して同程度離れた距離にあるのに)、製品毎のばらつ
きや状況によっては携帯機10に対する無線通信が不能
となって所定の制御処理が実行されないといった不具合
の可能性を従来よりも格段に低減すること(即ち、動作
信頼性の向上)が可能となる。
【0036】つまり、前述の各種具体例で説明したよう
なこの種の通信式制御装置(特に、前述したような携帯
機探知機能に基づく高度な制御処理を行う装置)では、
通信可能範囲(特に低周波で行われる起動信号の受信可
能範囲)が精度良くかつもれなく所定範囲に設定されて
いないと、当然に制御動作の信頼性や的確性が低下する
から、例えばせっかくスマートエントリーシステムとし
ての機能を備えているのに、実際にはあまり使えないと
いった問題が生じる恐れがある。ところが、このような
システムの通信式制御装置の本体機側アンテナからの送
信出力を、前述したように適宜校正する構成を採用すれ
ば、通信可能範囲が格段に良好なものに維持されるか
ら、スマートエントリーシステムのような高度なシステ
ムの制御装置(双方向通信式)の信頼性を十分実用化の
レベルに到達させ、このような高度な制御装置の高い利
便性を有効に発揮できる。
【0037】また本制御装置は、本体機20に、車室内
アンテナ24の送信出力の初期値(出荷時等に予め設定
されたもの)を記憶する不揮発性メモリ(本体機側記憶
手段37)が設けられ、制御回路31が、初期状態にお
いては、前記送信出力を前記初期値とする。このため、
製品毎のばらつき(本体機20のハードウエアの特性誤
差等に起因する前記通信可能範囲のばらつき)が補正さ
れるように前記初期値を決定して登録しておくことで、
初期状態においても、少なくともこのような製品毎のば
らつきのない前記通信可能範囲が実現できる。また、初
期状態においては、出荷時等に予め設定された送信出力
の設定で本体機から携帯機への通信が実行される。この
ため、例えばなんらかの動作異常が生じた場合の対策と
して、いったん出荷状態に戻して動作テストを行う、或
いは出荷状態に戻して動作異常を回避するといったこと
が、初期化の操作だけで容易に可能であるという利点が
ある。
【0038】またこの形態例では、本体機20に、前記
送信出力の校正後の最新の設定値(即ち、最新の校正
値)を記憶する不揮発性メモリ(本体機側記憶手段3
7)が設けられ、制御回路31が、初期状態でない限
り、前記送信出力を前記校正値とする構成である。この
ため、たとえ電源の遮断(例えば、車両バッテリーの交
換等によるもの)があっても前記送信出力の最新の校正
値が常に記憶保持され、前記初期状態とする初期化が行
われない限り、この最新の校正値に基づいて本体機20
から携帯機10への通信が実行される。このため、電源
の遮断があっても、常に最新の状況に応じた最適な通信
可能範囲となり易く、動作信頼性をより向上させること
ができる。
【0039】(他の形態例)なお、本発明は上記形態例
に限定されるものでなく、各種の変形や態様があり得
る。例えば、上記形態例では車両ドアの施錠又は解錠の
制御についてしか具体例を挙げなかったが、本発明はこ
れらに限られず、各種の制御対象や制御内容があり得る
ことは課題を解決するための手段の欄で記述のとおりで
ある。また、上記形態例では、車室内通信(車室内アン
テナからの信号の送受信)について本発明を適用した
が、車室外通信(車室外アンテナからの信号の送受信)
についても本発明を適用して同様の効果が得られる。例
えば、図2(b)に示すように、車室外アンテナを車両
41の左右両側のドアミラー42内に配置し、これら車
室外アンテナの通信可能範囲内に位置する車両ボディ側
面部等に校正用受信アンテナ43をそれぞれ設置して、
同様に出力校正処理を適宜実行する構成としてもよい。
また、車室内アンテナや車室外アンテナが複数設けられ
た場合に、各アンテナについてそれぞれ同様の出力校正
処理を実行する態様もあり得る。また、本体機20から
携帯機10に対して通常の通信用周波数(例えば、30
0MHz程度)での信号の送受信も可能な構成とし、例
えば前記起動信号(電力伝送)によって携帯機10が起
動した後に、本体機20から通常の通信用周波数でのリ
クエスト信号が送信され、このリクエスト信号に対する
応答として携帯機10からアンサー信号が送信される構
成としてもよい。また、本体機20から携帯機10に対
する電力伝送が行われない構成、例えば、本体機20か
らは通常の通信用周波数でのリクエスト信号のみが送信
される構成でもよい。但し、発明者らの研究によれば、
高周波の電磁波の場合には、前述したような出力校正処
理は、電力伝送用の低周波の電磁波に比較してあまり有
意義でない(必要性が少ない)ことが分かっている。ま
た、本体機20からの前記起動信号の送信やリクエスト
信号の送信は、なんらかのトリガが成立したことを条件
として実行される構成に限られず、例えば、トリガを要
することなく常時間欠的に実行されるような構成もあり
得る。
【0040】また、携帯機10にはさらに複数のスイッ
チが設けられ、これに対応して各種の遠隔操作(マニュ
アル操作)が可能な構成とされていてもよい。例えば、
トランクやエンジンルーム又は燃料補給口等の開閉を遠
隔操作するためのスイッチや、暴漢に襲われたときなど
に車両のクラクションを鳴らすためのパニックスイッチ
などが、適宜設けられていてもよいことはいうまでもな
い。また本発明は、携帯機と本体機間の無線通信に基づ
きなんらかの制御を行う装置であれば、車両のエントリ
ーシステム等以外にも広く適用することができる。さら
にいうと、本発明の「乗物」と均等なものとしては、例
えばトレーラハウスや建物(例えば、プラントの制御
室)などがあり得るし、本発明の「乗物の搭載物」と均
等なものとしては、例えば建物の内外に備えられた機械
や装置などがあり得る。
【0041】
【発明の効果】本発明の制御装置によれば、前記出力校
正処理によって、本体機の通信用アンテナの通信可能範
囲が適正に維持されるように、前記通信用アンテナから
の送信出力が適宜校正される。このため、前述した前記
通信可能範囲のばらつきや変動を、実際の状況に応じて
補正することができ、通信可能範囲を常にできるだけ適
正なものとすることが可能となる。これにより、例えば
携帯機が乗物内にあるのに(或いは、乗物に対して同程
度離れた距離にあるのに)、製品毎のばらつきや状況に
よっては携帯機に対する無線通信が不能となって所定の
制御処理が実行されないといった不具合の可能性を従来
よりも格段に低減すること(即ち、動作信頼性の向上)
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】制御装置の全体構成及び通信可能範囲等を示す
図である。
【図2】制御装置の特徴的な制御処理内容等を示す図で
ある。
【符号の説明】
10 携帯機 20 本体機 21 コントロールユニット 24 車室内アンテナ(通信用アンテナ) 25 校正用受信アンテナ 31 制御回路(制御手段) 36 電力制御回路 37 本体機側記憶手段(不揮発性メモリ)
フロントページの続き Fターム(参考) 2E250 AA21 BB08 BB12 BB36 DD06 FF24 FF26 FF27 FF35 HH01 JJ01 JJ03 JJ05 KK03 LL01 SS02 SS05 TT03 UU02 UU03 VV00 3D020 BA13 BB01 BC02 BC07 BC10 BE03 5J021 AA02 CA06 FA17 FA20 FA26 FA29 FA30 GA02 GA08 HA05 HA07 HA10 5K048 AA06 BA42 BA52 DB01 DC01 EA16 EB02 GB10 HA04 HA06

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 使用者が携帯可能な携帯機と、 乗物に搭載され、前記携帯機との間で電磁波による無線
    通信を行った結果に応じて、乗物の搭載物の所定の動作
    を実現するための制御処理を実行する本体機とを有する
    制御装置において、 前記本体機のアンテナとして、前記無線通信のための通
    信用アンテナとは別個に、校正用受信アンテナを乗物に
    設置し、 前記本体機には、 前記通信用アンテナから校正用信号を送信し、前記校正
    用受信アンテナによって受信された前記校正用信号の受
    信強度に基づいて、前記通信用アンテナの通信可能範囲
    が適正に維持されるように前記通信用アンテナからの送
    信出力を校正する出力校正処理を、所定タイミングで実
    行する制御手段を設けたことを特徴とする制御装置。
  2. 【請求項2】 前記出力校正処理は、前記校正用信号の
    受信強度が、予め設定された規定範囲内におさまるよう
    に、必要に応じて前記送信出力を増減させるものである
    ことを特徴とする請求項1記載の制御装置。
  3. 【請求項3】 前記本体機には、前記送信出力の初期値
    を記憶する不揮発性メモリが設けられ、 前記制御手段は、初期状態においては、前記送信出力を
    前記不揮発性メモリに記憶された初期値に設定すること
    を特徴とする請求項1又は2記載の制御装置。
  4. 【請求項4】 前記本体機には、前記送信出力の校正後
    の最新の設定値を記憶する不揮発性メモリが設けられ、 前記制御手段は、初期状態でない限り、前記送信出力を
    前記不揮発性メモリに記憶された前記最新の設定値に設
    定することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載
    の制御装置。
  5. 【請求項5】 前記所定タイミングが、前記本体機への
    電源投入時であることを特徴とする請求項1乃至4の何
    れかに記載の制御装置。
  6. 【請求項6】 前記所定タイミングが、前記本体機と携
    帯機との通信終了後であることを特徴とする請求項1乃
    至5の何れかに記載の制御装置。
  7. 【請求項7】 前記所定タイミングが、前記本体機と携
    帯機との通信開始前であることを特徴とする請求項1乃
    至6の何れかに記載の制御装置。
  8. 【請求項8】 前記本体機は、前記携帯機との無線通信
    が成立しているか否かによって、前記携帯機の所在位置
    を判定する携帯機探知機能を有することを特徴とする請
    求項1乃至7の何れかに記載の制御装置。
  9. 【請求項9】 前記乗物の搭載物には、乗物のドアの施
    錠又は解錠を行う錠装置が含まれ、前記制御処理には、
    前記錠装置の施錠動作又は解錠動作を実現する制御信号
    出力が含まれることを特徴とする請求項1乃至8の何れ
    かに記載の制御装置。
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