JP3901747B2 - 量子化装置および量子化方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、例えばディジタル画像信号を量子化する場合に入力信号値と量子化復号値とで定義される量子化誤差最小規範に対して、さらに視覚特性を考慮した空間変動規範、および/または、時間変動規範を加味するようにした量子化装置および量子化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、各画素が8ビットで表されるディジタル画像信号が入力され、各画素を8ビットより少ないビット数で量子化(再量子化)することによって、データ量を圧縮することが行われる。従来この量子化としては、入力信号値と量子化復号値との量子化誤差が最小となるように量子化値が選択されていた。この量子化装置において、入力信号レベルの分布に極端な偏りがない場合、その量子化誤差の積算値は最小となりS/N(Signal/Noise)比は、最良となる。そのため、従来の量子化装置は、S/N規範に基づいて量子化値が決定されている。この規範とは、のっとるべき規則を言い、すなわちS/N規範とは、量子化誤差を最小とする量子化値を選択する規則を意味する。
【0003】
ここで、S/N規範Q1は式(1)で表される。L(i)は入力信号値を表し、L(i)^は量子化復号値を表し、q(i)は量子化値を表し、nは量子化ビット数を表す。また、一般的な8ビット量子化の入力ディジタル画像信号に対する量子化式と復号式を式(2)、(3)に示す。
【0004】
Q1=MIN〔|L(i)^−L(i)|〕 (1)
q(i)=L(i)/(255/2n ) (2)
L(i)^=q(i)・255/2n (3)
【0005】
式(1)におけるMIN〔 〕は、〔 〕内の値が最小値となる量子化値を選択することを意味する。入力信号値に対する各量子化値の量子化復号値の量子化誤差を比較し、S/N規範Q1に基づいて量子化値が選択される。図7に3ビット量子化の例を示す。従来のS/N規範量子化装置は、入力信号を8階調に量子化し、各量子化区間の中央値を量子化復号値として出力する。
【0006】
図7によると、入力信号の変化が小さくなる平坦領域において画質劣化が認められる。つまり、入力信号が領域境界レベルを挟み僅かに変動しているにも拘らず、量子化復号値においては、量子化ステップ幅に相当する信号変動に拡大されることになる。このような画質劣化は空間方向と時間方向の両者に発生し、画像のエッジ部分がザラザラと見える、すなわちエッジビジネスや時間的劣化の原因となる。このように、人間の視覚特性を考慮すると、必ずしもS/N規範による量子化が最適とは言えない。特に人間の視覚特性は、入力信号の空間的、あるいは時間的な信号変化に対する感度が高いと考えられるにも拘らず、従来の量子化装置は、入力信号値そのものを基準として量子化を行うため、信号変化に伴う画質劣化が目立つという欠点があった。
【0007】
このような従来のS/N規範のみに基づく量子化装置の欠点を克服するため、本出願人は、上述のような人間の視覚特性を考慮した新規範Q2を用いた量子化装置を先に提案している(特開平6−169257号公報参照)。新規範Q2を式(4)に示す。
Q2=MIN〔α〔S/N〕+β〔ΔS〕+γ〔ΔT〕〕 (4)
【0008】
ここで、〔S/N〕はS/N評価値を表し、〔ΔS〕は空間変動評価値を表し、〔ΔT〕は時間変動評価値を表し、さらにα、β、γはそれぞれの重みを表している。この式(4)で表される新規範Q2は、複数の量子化値候補に関して、S/N評価値、空間変動評価値および時間変動評価値を重み付け加算した新規範評価値を求め、この評価値を最小とする量子化値候補を出力量子化値として選択する規則である。図8には空間的に対応するkフレームと(k−1)フレームの画素配置図を示す。kフレームのLx(k)の値を有する画素の量子化を行う場合、新量子化規範Q2で用いられる各評価値は次式で表される。
【0009】
〔S/N〕=|Lx(k)^−Lx(k)| (5)
〔ΔS〕=〔ΔS1 〕+〔ΔS2 〕+〔ΔS3 〕+〔ΔS4 〕 (6)
〔ΔT〕=|(Lx(k)^−Lx(k−1)^)−(Lx(k)−Lx(k−1))| (7)
但し、〔ΔS1 〕、〔ΔS2 〕、〔ΔS3 〕、〔ΔS4 〕は、次式で定義される。
【0010】
〔ΔS1 〕=|(Lx(k)^−La(k)^)−(Lx(k)−La(k))| (8)
〔ΔS2 〕=|(Lx(k)^−Lb(k)^)−(Lx(k)−Lb(k))| (9)
〔ΔS3 〕=|(Lx(k)^−Lc(k)^)−(Lx(k)−Lc(k))| (10)
〔ΔS4 〕=|(Lx(k)^−Ld(k)^)−(Lx(k)−Ld(k))| (11)
【0011】
S/N評価値〔S/N〕は、従来の量子化装置で評価されるのと同様の量子化誤差である。空間変動評価値〔ΔS〕は、空間内の量子化復号値の信号変化量(すなわち、空間内の量子化復号値の傾き)と入力信号の信号変化量(すなわち、空間内の入力信号値の傾き)との比較を行うものである。量子化復号値の信号変化量を算出する場合、既に新規範Q2により決定済みの、過去の画素の量子化値を使用して比較するという処理上の制約がある。図8においては、量子化対象画素Lx(k)に関し、処理済み画素は近傍4画素La(k)、Lb(k)、Lc(k)、Ld(k)であり、これらを使用して〔ΔS1 〕、〔ΔS2 〕、〔ΔS3 〕、〔ΔS4 〕がそれぞれ求められる。
【0012】
時間変動評価値〔ΔT〕は、量子化対象画素Lx(k)と同一位置にある前フレームの画素Lx(k−1)とに関し、入力信号のフレーム間の変化量と量子化復号値のフレーム間の信号変化量とを比較するものである。上述のように式(4)のMIN〔 〕は、〔 〕内の評価値を最小とする量子化値候補が最終的な量子化値として選択されることを意味する。その結果、従来の量子化装置で問題となる画質劣化が低減される。
【0013】
その様子を図7に示す。すなわち、従来の量子化装置では、入力信号が量子化境界レベル近傍で僅かに変動している場合、量子化復号値においては量子化ステップ幅に相当する信号変動に拡大されていたが、上述の式(4)に基づく新規範量子化装置においては、この信号変動は抑圧され安定した量子化復号化値が得られる。こうして新規範量子化装置によって、意図した画質改善が達成できる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述の新規範量子化装置と従来の量子化装置とを比較すると、画質劣化はかなり低減される。しかしながら、新規範量子化の構造に起因する独特な画像劣化が発生することがある。新規範量子化装置において量子化される信号は、時空間の入力信号の信号変化量と量子化復号値に基づき決定されるため、過去の量子化復号値の影響により独特な画像パターンが発生する場合がある。この画像パターンは、過去の量子化値決定済み画素から処理方向に伝播するので『斜め縞』となり、図8の画素配置図においては、左上コーナー部から右下方向に進行する独特な画像パターンとなる。
【0015】
従って、この発明の目的は、式(4)で定義されるS/N評価値、空間変動評価値、時間変動評価値の各重みα、β、γを適応的に切り換えることにより画質劣化を低減することができる量子化装置および量子化方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明は、所定の量子化ビット数の入力信号値が供給され、量子化ビット数と異なるnビットの量子化値を出力する量子化装置において、入力信号値から、S/N規範に基づいて選択された量子化値を基準として、その近傍の値の量子化値を含む複数の量子化値候補を求め、量子化値候補に関して、入力信号値と量子化値候補の復号値の差であるS/N評価値と、入力信号値の空間変動と量子化値候補の復号値の空間変動の差である空間変動評価値と、入力信号値の時間変動と量子化値候補の復号値の時間変動の差である時間変動評価値とを重み付け加算した評価値をそれぞれ求め、評価値を最小とする量子化値候補を出力すべき量子化値として選択的に出力すると共に、重み付けのための重みを量子化対象となる所定時の入力信号と所定時の入力信号の量子化値の復号値との差分に応じて適応的に変化させるようになし、S/N評価値の重みは、量子化境界近傍から量子化復元近傍に近づくにつれ増加させ、空間変動評価値の重み、および時間変動評価値の重みは、量子化復元近傍から量子化境界近傍に近づくにつれ増加させることを特徴とする量子化装置である。
【0017】
さらに、この発明は、所定の量子化ビット数の入力信号値が供給され、量子化ビット数と異なるnビットの量子化値を出力する量子化方法において、入力信号値から、S/N規範に基づいて選択された量子化値を基準として、その近傍の値の量子化値を含む複数の量子化値候補を求め、量子化値候補に関して、入力信号値と量子化値候補の復号値の差であるS/N評価値と、入力信号値の空間変動と量子化値候補の復号値の空間変動の差である空間変動評価値と、入力信号値の時間変動と量子化値候補の復号値の時間変動の差である時間変動評価値とを重み付け加算した評価値をそれぞれ求めるステップと、評価値を最小とする量子化値候補を出力すべき量子化値として選択的に出力すると共に、重み付けのための重みを量子化対象となる所定時の入力信号と所定時の入力信号の量子化値の復号値との差分に応じて適応的に変化させるようになし、S/N評価値の重みは、量子化境界近傍から量子化復元近傍に近づくにつれ増加させ、空間変動評価値の重み、および時間変動評価値の重みは、量子化復元近傍から量子化境界近傍に近づくにつれ増加させるステップとを有することを特徴とする量子化方法である。
【0018】
【作用】
入力信号の信号変化に対し忠実な新規範量子化装置を用いることにより、独特な画像パターンが発生することがあり、従来の量子化装置とは異なる画質劣化がある。S/N評価値の重みα、空間変動評価値の重みβ、および時間変動評価値の重みγを入力信号に応じて可変とすることにより、この新たな画質劣化を低減することができる。
【0019】
【実施例】
以下、この発明に係る量子化装置の一実施例について、図面を参照しながら説明する。図1は、入力信号値とS/N規範量子化復号値と新規範量子化復号値との一例を示す。この図1は、縦軸に信号レベルを表し、横軸に座標を表す。座標方向に入力信号値がL0〜L6のように変化するとき、従来の量子化装置では、式(1)で定義されるS/N規範Q1により量子化値q(i)が決定される。従来の量子化装置による画質劣化の典型例は、画素L1のように、その量子化復号値L(i)^では信号変化が拡大することである。このようにS/N規範Q1による量子化復号値L(i)^では、入力信号値L(i)が量子化境界近傍であると、入力信号の微小変化が量子化ステップ幅により拡大され、エッジビジネスや時間変動などの画質劣化が発生する。
【0020】
一方、入力信号変化に忠実な特性を持つ新規範(式(4))に基づく量子化装置においては、図1において、安定した量子化復号値を得ることが可能となる。この図1で見る限り新規範量子化装置は理想的に機能しているが、入力信号の組合せによっては前述の『斜め縞』のような独特な画像パターンによる画質劣化が発生することがある。そこで、式(4)で定義されるS/N評価値、空間変動評価値、および時間変動評価値のそれぞれの重みα、β、γに関し、式(12)〜式(14)で示されるような定義を導入する。入力信号値をL(i)、線形量子化値をq(i)、量子化ビット数をnとすると、式(16)で定義される量子化ステップ幅Δdを用いた式(15)の正規化レベルdに応じ、各重みを変化させることで画質劣化の発生を防止する。
【0021】
α(d)=F0(d) (12)
β(d)=F1(d) (13)
γ(d)=F2(d) (14)
d=(L(i)−q(i)・Δd)/Δd (15)
Δd=255/2n (16)
【0022】
これらの重み特性の一例を図2に示す。式(12)のS/N評価値の重みαに対するF0(d)の例としては、図2Aに示すように量子化復元近傍(d=0.0)の重みを増加させる特性が示されている。式(13)の空間変動評価値の重みβに対するF1(d)の例としては、図2Bに示すように量子化境界(d=−0.5、0.5)に近づくほど空間変動規範が重視される傾向が示されている。これは図1の波形例のように、量子化誤差の大きくなる量子化境界近傍での空間変動規範の寄与率を高めるためである。また、この図2Bの空間変動評価値の重みβは、4つの方向から1つの重みが構成されている。すなわち、1つの方向の重みβの最大値は `0.25' とされ、4つの方向全てが加算され空間変動評価値の重みβは、 `1' となる。
【0023】
また、式(14)の時間変動評価値の重みγに対するF2(d)の例としては、空間変動評価値の重みβに対するF1(d)と似た特性例が図2Cに示されている。これは空間変動評価値の場合と同じく、量子化境界近傍での時間変動の寄与率を高めるためである。一般的に各量子化ステップ幅Δd内での信号分布は一様に近く、これら3種類の重み特性の組合せにより偏った特定規範による量子化処理を防止することが可能となり、上述の画質劣化を排除することができる。ここで、この実施例では、図2に示すような重み特性が使用されているが、図3A、図3B、図3Cにそれぞれ示すような直線的に変化する重み特性とすることも可能である。
【0024】
以上の可変重み新量子化規範の判定例を表1に示す。
【表1】
【0025】
この表1中の入力信号レベルと対応する波形は、図1に示す入力信号値L0〜L6の波形である。また、この例は、簡単のため、時間変動評価値については省略されており、S/N評価値と1次元空間変動評価値とが用いられる。入力信号レベルは、図1中の量子化値Qの復号値(中央のレベル)を `0' として、この量子化復号値に対する差分値が表示されている。この例では、入力信号レベルが全てQの復号値より大きいので、入力信号レベルが全て正の値となっている。
【0026】
また、表1の上段には、S/N評価値を最小とする量子化値(S/N規範コード)と、その上下の量子化値(Q+1)および(Q−1)のそれぞれのS/N評価値が示されている。例えば
入力信号レベルL0は、 `+0.25' であるため、量子化値候補QのS/N評価値は、
|0−0.25|=0.25
となる。また、量子化値候補(Q+1)の復号値は `1' となるため、S/N評価値は、
|1−0.25|=0.75
となる。さらに、量子化値候補(Q−1)の復号値は `−1' となるため、S/N評価値は、
|−1−0.25|=1.25
となる。このS/N評価値の中の最小値を生じさせる量子化値候補QがS/N規範コードとして選択される。以下、同様にS/N規範に基づく量子化値が選択される。このS/N規範に基づく量子化値が図1中で、○で表されている。
【0027】
次に、表1の中段には、最上段の入力信号レベルに関して、S/N規範で選択された量子化値とその上下の量子化値に関する固定重み新評価値と、固定重み新評価値を最小とする量子化値(固定重み新規範コード)とが示されている。この場合では、S/N規範コードが(Q+1)となる入力信号値の量子化値がQに変更されている。
【0028】
以上の結果に基づく波形は図1に示され、新規範量子化装置の優位性が判る。しかしながら、上述のように入力信号の組合せによっては、『斜め縞』のような画質劣化が発生し得る。そこで、上述の可変重みの新規範量子化装置を導入した場合の例も表1および図4に示す。可変重みの基本特性は、図2A、図2B、図2Cに基づくものとする。すなわち、表1の下段には、最上段の入力信号レベルに関して、S/N規範で選択された量子化値とその上下の量子化値に関する可変重み新評価値と、可変重み新評価値を最小とする量子化値(可変重み新規範コード)とが示されている。この場合では、S/N規範コードの(Q+1)で挟まれた量子化値が(Q+1)に変更されている。この可変重み新規範に基づく量子化復号値が図4中で◎で表されている。なお、表1中の*は、初期設定される値を意味している。
【0029】
このように、可変重み新規範コードは、固定重み新規範コードと異なるものとなる。固定重みの場合と比べると、入力信号値L1〜L6の量子化値が異なる。その量子化復号波形を図4に示す。上述の可変重みの新規範量子化復号値においては、図1の画素L1に代表されるようなエッジビジネスや時間変動といった信号劣化は抑圧されると同時に『斜め縞』のような画質劣化の発生を防止することが可能となる。
【0030】
上述した可変重み新規範量子化の量子化値決定の一例を図5のフローチャートに示す。基本的には、設定された量子化ビット数nで生成可能な全ての線形量子化値q(i)に関し、式(4)で定義される新規範評価値を算出し、その最小値を有する量子化コードを出力値とする。この図5のフローチャートにおいては、全ての量子化コードを調査するため、量子化コード用のカウンタqを用いる。まず、ステップ1の初期化において、カウンタqに `0' が設定される。次にステップ2の入力信号値の正規化において、入力信号値L(i)と量子化ステップ幅Δdとから式(15)の正規化が実行される。この処理は、図2に示すS/N評価値、空間変動評価値、および時間変動評価値のそれぞれ重みα、β、γを決定するための準備である。
【0031】
そして、ステップ3の各評価値の重み決定において、供給された入力信号の正規化レベルdを基に、各評価値の重みα、β、γが決定される。ステップ4の評価値の算出、および登録において、対象となる全ての量子化コードに関し、式(4)を使用して新規範評価値が算出され、算出された新規範評価値が登録される。
【0032】
ステップ5のインクリメントでは、カウンタqに `+1' が加算され、ステップ6へ制御が移る。ステップ6のq=Nでは、ステップ5(インクリメント)において加算されたカウンタqがNと等しいか否かが判別され、q≠Nの場合、ステップ2(入力信号値の正規化)へ制御が移り、q=Nの場合、ステップ7へ制御が移る。すなわち、量子化コードの最大値がNの場合に、このNで設定される回数、ステップ2〜ステップ5の制御が繰り返され、カウンタqがNに等しくなるとき、ループは終了する。
【0033】
次に、ステップ7の評価値の最小値検出において、各量子化コード候補の内で最小の新規範評価値のを生じさせる量子化コードqが最終結果として選択される。ステップ8の量子化値q登録において、選択された量子化コードqが登録され、このフローチャートは終了する。
【0034】
なお、線形量子化により発生する全ての量子化値を候補として扱う必要はない。例えば、S/N規範に基づいて選択された量子化値を基準として、その上下の量子化値を含む3個の量子化値候補についてのみ新規範評価値を求め、その中から最終的な量子化コードqを選択しても良い。この方法では、全ての量子化コードの新規範量子化値を算出する必要はないので、処理のループを短くできる。
【0035】
次に、この発明の量子化装置の処理を実現する一実施例のブロック図を図6に示す。入力端子11から供給される入力信号値L(i)、例えば各画素が8ビットに量子化されたディジタル画像信号は、量子化器12、処理部13へ供給される。この処理部13は、重み決定部15、判定部16、メモリ部17から構成され、入力端子11から供給された入力信号値L(i)は、重み決定部15、判定部16、およびメモリ部17へ供給される。量子化器12において、供給された入力信号値L(i)は、8ビットより少ないnビットの線形量子化が行われる。この量子化器12からは、2n の数の量子化値候補が発生する。
【0036】
量子化器12により生成された線形量子化値q(i)は、d1として重み決定部15、および判定部16へ供給される。重み決定部15においては、供給された線形量子化値d1と入力信号値L(i)を使用して式(15)により正規化レベルdが生成される。この正規化レベルにより図2に示すような特性の各評価値の重みα、β、γが決定され、決定された重みα、β、γは、d2として判定部16へ供給される。
【0037】
新規範量子化においては、式(4)で定義される新規範Q2が用いられるため、入力信号値L(i)と決定済み量子化値d0を記憶しておく必要がある。メモリ部17からは、必要に応じて記憶データd0(すなわち、決定済み量子化値)が、判定部16へ供給される。判定部16では、上述した図5に示すフローチャートの制御が行われ、すなわち供給された入力信号値L(i)、線形量子化値d1、重みd2、記憶データd0から式(4)の判定が実行され、最終的な量子化値q(i)が選択され、出力端子14から取り出される。
【0038】
この新規範量子化装置により、従来の量子化装置の画質劣化を低減し、視覚特性に合致する量子化画像を得ることができる。
【0039】
上述したように、全ての量子化値を候補とするのと異なり、量子化器12において、例えばS/N規範に基づいて選択された量子化値を生成し、この量子化値と、その上下の量子化値の3種類の量子化値候補について、判定部16が新規範評価値をそれぞれ求め、この3個の新規範評価値の中で最小のものと対応する量子化値候補を選択的に出力する構成としても良い。
【0040】
なお、この発明は、空間変動評価値と時間変動評価値との一方のみを使用して新規範評価値を構成するようにしても良い。例えば、ディジタルオーディオ信号のような場合には、S/N評価値と時間変動評価値とを使用した評価値を使用することができる。
【0041】
【発明の効果】
この発明によれば、視覚特性を考慮した量子化が行えることで、量子化境界レベル近傍の入力信号値の変化が拡大されることによる空間方向、あるいは時間方向の画質劣化を低減することができる。
【0042】
また、この発明によれば、過去の画素の影響を受けるために生じる、新規範量子化装置の特有な画質劣化を排除することが可能となる。
【0043】
さらに、この発明によれば、元の量子化ビット数より少ないビット数でも良好な画像を得ることができ、例えばディジタル入力信号の圧縮を良好に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る量子化復号波形の一例を示す略線図である。
【図2】この発明に係る各規範の重み特性の一実施例を示す略線図である。
【図3】この発明に係る各規範の重み特性の他の実施例を示す略線図である。
【図4】この発明に係る量子化復号波形の一例を示す略線図である。
【図5】この発明に係る可変重みの新規範量子化装置の判定部の一実施例を示すフローチャートである。
【図6】この発明に係る新規範量子化装置の一実施例を示すブロック図である。
【図7】入力信号に対して3ビット量子化が行われた一例を示す略線図である。
【図8】画素の配置の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
12 量子化器
13 処理部
15 重み決定部
16 判定部
17 メモリ部
Claims (6)
- 所定の量子化ビット数の入力信号値が供給され、上記量子化ビット数と異なるnビットの量子化値を出力する量子化装置において、
上記入力信号値から、S/N規範に基づいて選択された量子化値を基準として、その近傍の値の量子化値を含む複数の量子化値候補を求め、前記量子化値候補に関して、上記入力信号値と上記量子化値候補の復号値の差であるS/N評価値と、上記入力信号値の空間変動と上記量子化値候補の復号値の空間変動の差である空間変動評価値と、上記入力信号値の時間変動と上記量子化値候補の復号値の時間変動の差である時間変動評価値とを重み付け加算した評価値をそれぞれ求め、上記評価値を最小とする上記量子化値候補を上記出力すべき量子化値として選択的に出力すると共に、
上記重み付けのための重みを量子化対象となる所定時の入力信号と上記所定時の入力信号の量子化値の復号値との差分に応じて適応的に変化させるようになし、
上記S/N評価値の重みは、量子化境界近傍から量子化復元近傍に近づくにつれ増加させ、
上記空間変動評価値の重み、および上記時間変動評価値の重みは、上記量子化復元近傍から上記量子化境界近傍に近づくにつれ増加させることを特徴とする量子化装置。 - 請求項1に記載の量子化装置において、
上記空間変動評価値および上記時間変動評価値は、入力信号値と、決定済みの量子化値の復号値とを使用して求められることを特徴とする量子化装置。 - 請求項1に記載の量子化装置において、
入力信号がディジタルビデオ信号であって、上記空間変動評価値が同一フィールドまたは同一フレーム内の入力信号値と復号値とを用いて求められることを特徴とする量子化装置。 - 請求項1に記載の量子化装置において、
入力信号がディジタルビデオ信号であって、上記時間変動評価値が現フレームの入力信号値および復号値と前フレームの入力信号値と復号値とを用いて求められることを特徴とする量子化装置。 - 請求項1に記載の量子化装置において、
量子化対象となる所定時の入力信号と上記所定時の入力信号の量子化値の復号値との上記差分は、上記量子化の量子化ステップ幅で正規化されていることを特徴とする量子化装置。 - 所定の量子化ビット数の入力信号値が供給され、上記量子化ビット数と異なるnビットの量子化値を出力する量子化方法において、
上記入力信号値から、S/N規範に基づいて選択された量子化値を基準として、その近傍の値の量子化値を含む複数の量子化値候補を求め、前記量子化値候補に関して、上記入力信号値と上記量子化値候補の復号値の差であるS/N評価値と、上記入力信号値の空間変動と上記量子化値候補の復号値の空間変動の差である空間変動評価値と、上記入力信号値の時間変動と上記量子化値候補の復号値の時間変動の差である時間変動評価値とを重み付け加算した評価値をそれぞれ求めるステップと、上記評価値を最小とする上記量子化値候補を上記出力すべき量子化値として選択的に出力すると共に、
上記重み付けのための重みを量子化対象となる所定時の入力信号と上記所定時の入力信号の量子化値の復号値との差分に応じて適応的に変化させるようになし、
上記S/N評価値の重みは、量子化境界近傍から量子化復元近傍に近づくにつれ増加させ、
上記空間変動評価値の重み、および上記時間変動評価値の重みは、上記量子化復元近傍から上記量子化境界近傍に近づくにつれ増加させるステップとを有することを特徴とする量子化方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27709894A JP3901747B2 (ja) | 1994-10-17 | 1994-10-17 | 量子化装置および量子化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27709894A JP3901747B2 (ja) | 1994-10-17 | 1994-10-17 | 量子化装置および量子化方法 |
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JPH08115410A JPH08115410A (ja) | 1996-05-07 |
JP3901747B2 true JP3901747B2 (ja) | 2007-04-04 |
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JP27709894A Expired - Lifetime JP3901747B2 (ja) | 1994-10-17 | 1994-10-17 | 量子化装置および量子化方法 |
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JP (1) | JP3901747B2 (ja) |
-
1994
- 1994-10-17 JP JP27709894A patent/JP3901747B2/ja not_active Expired - Lifetime
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