JP3735875B2 - 量子化装置および量子化方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、例えばディジタル画像信号を量子化する場合に入力信号値と量子化復号値とで定義される量子化誤差最小規範に対して、さらに視覚特性を考慮した空間変動規範、および/または、時間変動規範を加味するようにした量子化装置および量子化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、各画素が8ビットで表されるディジタル画像信号が入力され、各画素を8ビットより少ないビット数で量子化(再量子化)することによって、データ量を圧縮することが行われる。従来この量子化としては、入力信号値と量子化復号値との量子化誤差が最小となるように量子化値が選択されていた。この量子化装置において、入力信号レベルの分布に極端な偏りがない場合、その量子化誤差の積算値は最小となりS/N(Signal/Noise)比は、最良となる。そのため、従来の量子化装置は、S/N規範に基づいて量子化値が決定されている。この規範とは、のっとるべき規則を言い、すなわちS/N規範とは、量子化誤差を最小とする量子化値を選択する規則を意味する。
【0003】
ここで、S/N規範Q1は式(1)で表される。L(i)は入力信号値を表し、L(i)^は量子化復号値を表し、q(i)は量子化値を表し、nは量子化ビット数を表す。また、一般的な8ビット量子化の入力ディジタル画像信号に対する量子化式と復号式を式(2)、(3)に示す。
【0004】
Q1=MIN〔|L(i)^−L(i)|〕 (1)
q(i)=L(i)/(255/2n ) (2)
L(i)^=q(i)・255/2n (3)
【0005】
式(1)におけるMIN〔 〕は、〔 〕内の値が最小値となる量子化値を選択することを意味する。入力信号値に対する各量子化値の量子化復号値の量子化誤差を比較し、S/N規範Q1に基づいて量子化値が選択される。図6に3ビット量子化の例を示す。従来のS/N規範量子化装置は、入力信号を8階調に量子化し、各量子化区間の中央値を量子化復号値として出力する。
【0006】
図6によると、入力信号の変化が小さくなる平坦領域において画質劣化が認められる。つまり、入力信号が領域境界レベルを挟み僅かに変動しているにも拘らず、量子化復号値においては、量子化ステップ幅に相当する信号変動に拡大されることになる。このような画質劣化は空間方向と時間方向の両者に発生し、画像のエッジ部分がザラザラと見える、すなわちエッジビジネスや時間的劣化の原因となる。このように、人間の視覚特性を考慮すると、必ずしもS/N規範による量子化が最適とは言えない。特に人間の視覚特性は、入力信号の空間的、あるいは時間的な信号変化に対する感度が高いと考えられるにも拘らず、従来の量子化装置は、入力信号値そのものを基準として量子化を行うため、信号変化に伴う画質劣化が目立つという欠点があった。
【0007】
このような従来のS/N規範のみに基づく量子化装置の欠点を克服するため、本出願人は、上述のような人間の視覚特性を考慮した新規範Q2を用いた量子化装置を先に提案している(特開平6−169257号公報参照)。新規範Q2を式(4)に示す。
Q2=MIN〔α〔S/N〕+β〔ΔS〕+γ〔ΔT〕〕 (4)
【0008】
ここで、〔S/N〕はS/N評価値を表し、〔ΔS〕は空間変動評価値を表し、〔ΔT〕は時間変動評価値を表し、さらにα、β、γはそれぞれの重みを表している。この式(4)で表される新規範Q2は、複数の量子化値候補に関して、S/N評価値、空間変動評価値および時間変動評価値を重み付け加算した新規範評価値を求め、この評価値を最小とする量子化値候補を出力量子化値として選択する規則である。図7には空間的に対応するkフレームと(k−1)フレームの画素配置図を示す。kフレームのLx(k)の値を有する画素の量子化を行う場合、新量子化規範Q2で用いられる各評価値は次式で表される。
【0009】
但し、〔ΔS1 〕、〔ΔS2 〕、〔ΔS3 〕、〔ΔS4 〕は、次式で定義される。
【0010】
【0011】
S/N評価値〔S/N〕は、従来の量子化装置で評価されるのと同様の量子化誤差である。空間変動評価値〔ΔS〕は、空間内の量子化復号値の信号変化量(すなわち、空間内の量子化復号値の傾き)と入力信号の信号変化量(すなわち、空間内の入力信号値の傾き)との比較を行うものである。量子化復号値の信号変化量を算出する場合、既に新規範Q2により決定済みの、過去の画素の量子化値を使用して比較するという処理上の制約がある。図7においては、量子化対象画素Lx(k)に関し、処理済み画素は近傍4画素La(k)、Lb(k)、Lc(k)、Ld(k)であり、これらを使用して〔ΔS1 〕、〔ΔS2 〕、〔ΔS3 〕、〔ΔS4 〕がそれぞれ求められる。
【0012】
時間変動評価値〔ΔT〕は、量子化対象画素Lx(k)と同一位置にある前フレームの画素Lx(k−1)とに関し、入力信号のフレーム間の変化量と量子化復号値のフレーム間の信号変化量とを比較するものである。上述のように式(4)のMIN〔 〕は、〔 〕内の評価値を最小とする量子化値候補が最終的な量子化値として選択されることを意味する。その結果、従来の量子化装置で問題となる画質劣化が低減される。
【0013】
その様子を図6に示す。すなわち、従来の量子化装置では、入力信号が量子化境界レベル近傍で僅かに変動している場合、量子化復号値においては量子化ステップ幅に相当する信号変動に拡大されていたが、上述の式(4)に基づく新規範量子化装置においては、この信号変動は抑圧され安定した量子化復号化値が得られる。こうして新規範量子化装置によって、意図した画質改善が達成できる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述の新規範量子化装置と従来の量子化装置とを比較すると、画質劣化はかなり低減される。しかしながら、新規範量子化の構造に起因する独特な画像劣化が発生することがある。新規範量子化装置において量子化される信号は、時空間の入力信号の信号変化量と量子化復号値に基づき決定されるため、過去の量子化復号値の影響により独特な画像パターンが発生する場合がある。この画像パターンは、過去の量子化値決定済み画素から処理方向に伝播するので『斜め縞』となり、図7の画素配置図においては、左上コーナー部から右下方向に進行する独特な画像パターンとなる。
【0015】
従って、この発明の目的は、量子化処理のリセットを行い、従来の量子化装置においてなされる量子化処理を行うことにより画質劣化を低減することができる量子化装置および量子化方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明は、所定の量子化ビット数の入力信号値が供給され、量子化ビット数より少ないnビットの量子化値を出力する量子化装置において、量子化値と、量子化値の上下の値とからなる複数の量子化値候補に関して、入力信号値と量子化値候補の量子化復号値の差であるS/N評価値に基づく第一の評価値を求める手段と、複数の量子化値候補に関して、第一の評価値と、入力信号値の空間変動と量子化値候補の量子化復号値の空間変動の差である空間変動評価値および入力信号値の時間変動と量子化値候補の量子化復号値の時間変動の差である時間変動評価値のうちの少なくとも一つを重み付け加算した第二の評価値を求める手段と、複数の量子化値候補の第一の評価値のうち少なくとも一つが所定の閾値以下であるかを判定する手段と、判定する手段からの出力に基づき、量子化値候補から出力すべき量子化値として、一の候補を選択的に出力する手段とを有し、選択的に出力する手段は、判定する手段により、複数の量子化値候補の第一の評価値のうち少なくとも一つが所定の閾値以下であると判定された場合、最小の第一の評価値を有する量子化値候補を出力すべき量子化値として出力し、所定の閾値より大きいと判定された場合、最小の第二の評価値を有する量子化値候補を出力すべき量子化値として出力することを特徴とする量子化装置である。
【0017】
さらに、この発明は、所定の量子化ビット数の入力信号値が供給され、量子化ビット数より少ないnビットの量子化値を出力する量子化方法において、量子化値と、量子化値の上下の値とからなる複数の量子化値候補に関して、入力信号値と量子化値候補の量子化復号値の差であるS/N評価値に基づく第一の評価値を求めるステップと、複数の量子化値候補の第一の評価値のうち少なくとも一つが所定の閾値以下であるかを判定するステップと、判定するステップからの出力に基づき、量子化値候補から出力すべき量子化値として、一の候補を選択的に出力するステップとを有し、選択的に出力するステップでは、判定するステップにおいて、複数の量子化値候補の第一の評価値のうち少なくとも一つが所定の閾値以下であると判定された場合、最小の第一の評価値を有する量子化値候補が出力すべき量子化値として出力され、所定の閾値より大きいと判定された場合、複数の量子化値候補に関して、第一の評価値と、入力信号値の空間変動と量子化値候補の量子化復号値の空間変動の差である空間変動評価値および入力信号値の時間変動と量子化値候補の量子化復号値の時間変動の差である時間変動評価値のうちの少なくとも一つを重み付け加算した第二の評価値のうち、最小の第二の評価値を有する量子化値候補が出力すべき量子化値として出力されることを特徴とする量子化方法である。
【0020】
【作用】
入力信号の信号変化に対し忠実な新規範量子化装置を用いることにより、独特な画像パターンが発生することがあり、従来の量子化装置とは異なる画質劣化がある。入力信号に応じて従来の量子化装置の量子化処理を施すためのリセット処理を行うことにより、この新たな画質劣化を低減することができる。
【0021】
【実施例】
以下、この発明に係る量子化装置の一実施例について、図面を参照しながら説明する。この発明に係る入力信号値とS/N規範量子化復号値と新規範量子化復号値との一例を図1に示す。この図1は、縦軸に信号レベルを表し、横軸に座標を表す。座標方向に入力信号値がL0〜L6のように変化するとき、従来の量子化装置では、式(1)で定義されるS/N規範Q1により量子化値q(i)が決定される。従来の量子化装置による画質劣化の典型例は、画素L1のように、その量子化復号値L(i)^では信号変化が拡大することである。このようにS/N規範Q1による量子化復号値L(i)^では、入力信号値L(i)が量子化境界近傍であると、入力信号の微小変化が量子化ステップ幅により拡大され、エッジビジネスや時間変動などの画質劣化が発生する。
【0022】
一方、入力信号変化に忠実な特性を持つ新規範量子化装置においては、図1において、破線で示すように安定した新量子化復号値を得ることが可能となる。説明のため、新たにS/N評価値と空間変動評価値とからなる新規範Q3が式(12)で定義され、入力信号値をLi(k)で表し、量子化復号値をLi(k)^で表す。
【0023】
【0024】
図1で見るかぎり新規範量子化装置は、理想的に機能しているが、上述のような独特な画像パターンによる画質劣化が発生することがある。そこで、上述の式(13)で定義されているS/N評価値を用いて、しきい値THの処理を導入する。以下、しきい値THの処理を導入した新規範Q3を示す。
【0025】
〔S/N〕>しきい値THの場合:
Q3=MIN〔α〔S/N〕+β〔ΔS〕〕 (15)
〔S/N〕≦しきい値THの場合:
Q3=MIN〔〔S/N〕〕 (16)
【0026】
すなわち、式(16)に示すように、S/N規範の量子化による量子化誤差がしきい値TH以下の場合は、リセット処理として、独立した画素としてS/N規範の量子化処理を行う。すなわち、このリセット処理とは、上述した空間内の量子化復号値の信号変化量(すなわち、空間内の量子化復号値の傾き)と入力信号の信号変化量(すなわち、空間内の入力信号の傾き)との比較を行う空間変動評価値〔ΔS〕が量子化規範に影響を及ぼさないようにしたものである。
【0027】
ここで、量子化区間に対するリセット区間の一例を図2を用いて説明する。しきい値THで定義されるリセット区間は、図2中の破線で示される両矢印区間に対応する。入力信号値Li(k)が量子化復号値Li(k)^に近い場合は、先ず強制的にS/N規範による判定を行うため、量子化処理のリセットが行われる。このリセット処理を導入することにより、新規範量子化装置に特有の画像パターンの発生を抑圧することが可能となり、視覚特性に合致した新規範量子化の実行が可能となった。
【0028】
図1の入力信号値L0〜L6を対象とした判定値表を表1に示す。
【表1】
【0029】
この表1中の入力信号レベルと対応する波形は、図1に示す入力信号値L0〜L6の波形である。また、この例は、簡単のため、時間変動評価値については省略されており、S/N評価値と1次元空間変動評価値とが用いられる。入力信号レベルは、図1中の量子化値Qの復号値(中央のレベル)を `0' として、この量子化復号値に対する差分値が表示されている。この例では、入力信号レベルが全てQの復号値より大きいので、入力信号レベルが全て正の値となっている。
【0030】
また、表1の上段には、S/N評価値を最小とする量子化値(S/N規範コード)と、その上下の量子化値(Q+1)および(Q−1)のそれぞれのS/N評価値が示されている。例えば
入力信号レベルL0は、 `+0.25' であるため、量子化値候補QのS/N評価値は、
|0−0.25|=0.25
となる。また、量子化値候補(Q+1)の復号値は `1' となるため、S/N評価値は、
|1−0.25|=0.75
となる。さらに、量子化値候補(Q−1)の復号値は `−1' となるため、S/N評価値は、
|−1−0.25|=1.25
となる。このS/N評価値の中の最小値を生じさせる量子化値候補QがS/N規範コードとして選択される。以下、同様にS/N規範に基づく量子化値が選択される。このS/N規範に基づく量子化値が図1中で、○で表されている。
【0031】
次に、表1の中段には、最上段の入力信号レベルに関して、S/N規範で選択された量子化値とその上下の量子化値に関する新評価値と、新評価値を最小とする量子化値(新規範コード)とが示されている。この場合では、S/N規範コードが(Q+1)となる入力信号値の量子化値がQに変更されている。
【0032】
以上の結果に基づく波形は図1に示され、新規範量子化装置の優位性が判る。しかしながら、上述のように入力信号の組合せによっては、『斜め縞』のような画質劣化が発生し得る。そこで、上述のリセット処理付きの新規範量子化装置を導入した場合の例も表1および図3に示す。すなわち、表1の下段には、最上段の入力信号レベルに関して、S/N規範で選択された量子化値とその上下の量子化値に関するリセット処理付き新評価値と、リセット処理付き新評価値を最小とする量子化値(リセット処理付き新規範コード)とが示されている。
【0033】
式(15)、式(16)に示されるリセット処理において、しきい値THが例えば `0.25' とされる。この例では、入力信号値L4、L5、およびL6に関する最小のS/N評価値が `0.25' 以下となる。従って、これらの量子化値(新規範コードでは、Q)がS/N規範コードと同様に(Q+1)に変更されている。このように、S/N評価値が `0.25' 以下の場合は強制的にS/N規範に基づいた量子化を行う。このリセット処理付き新規範に基づく量子化復号値が図3中で◎で表されている。なお、表1中の*は、初期設定される値を意味している。
【0034】
このように、リセット処理付き新規範コードは、新規範コードと比べると、上述したように入力信号値L4〜L6の量子化値が異なる。上述のリセット処理付きの新規範量子化復号値においては、図1の画素L1に代表されるようなエッジビジネスや時間変動といった信号劣化は抑圧され、画素L4に対し従来のS/N規範を採用することにより入力信号レベルと新規範量子化復号値との乖離を減らすことが可能となる。こうして入力信号レベルに依存したリセット処理が実現され、不要な画像パターンの発生、すなわち『斜め縞』のような画質劣化の発生を防止することが可能となる。
【0035】
このようなリセット処理付き新規範量子化の量子化値決定の一例を図4のフローチャートに示す。基本的には、設定された量子化ビット数nで生成可能な全ての線形量子化値q(i)に関し、式(4)、または式(12)で定義される新規範評価値を算出し、その最小値を有する量子化コードを出力値とする。この図4のフローチャートにおいては、全ての量子化コードを調査するため、量子化コード用のカウンタqを用いる。まず、ステップ1の初期化において、カウンタqに `0' が設定される。次にステップ2のS/N評価値算出では、式(13)で定義されるS/N評価値が算出される。
【0036】
次のステップ3の〔S/N〕≦THにおいて、しきい値THによるS/N評価値のしきい値判定が行われ、〔S/N〕≦しきい値THと判定された場合ステップ8へ制御が移り、〔S/N〕>しきい値THと判定れた場合ステップ4へ制御が移る。すなわち、ステップ3(〔S/N〕≦TH)では、S/N評価値のレベルがリセット領域に入っているか否かが判断され、リセット領域に入っていると判断された場合、新規範量子化のループから抜け出し、そのときの量子化コードqが出力される。
【0037】
ステップ4の評価値の算出、および登録において、対象となる全ての量子化コードに関し、新規範Q2、またはQ3が算出され、登録される。すなわち、式(4)の新規範評価値α〔S/N〕+β〔ΔS〕+γ〔ΔT〕、または式(12)の新規範評価値α〔S/N〕+β〔ΔS〕により評価値が定義される。ステップ5のインクリメントでは、カウンタqに `+1' が加算され、ステップ6へ制御が移る。ステップ6のq=Qでは、ステップ5(インクリメント)において加算されたカウンタqが量子化ビット数で定義されるQと等しいか否かが判別され、q≠Qの場合、ステップ2(S/N評価値算出)へ制御が移り、q=Qの場合、ステップ7へ制御が移る。すなわち、このQで定義される回数、ステップ2〜ステップ5の制御が行われ、カウンタqがQに等しくなるとき、ループは終了する。
【0038】
次に、ステップ7の評価値の最小値検出において、各量子化コードの新規範Q2、またはQ3のうち最小となる量子化コードqが最終結果として出力される。ステップ8の量子化値q登録において、出力された量子化コードqが登録され、このフローチャートは終了する。基本的には以上のフローチャートに従うが、実際には式(4)、または式(12)の新規範評価値において、量子化コードQと上下の量子化コード(Q−1)、(Q+1)を含めた3種類のコードの中から最終的な量子化コードqは選択される。よって、必ずしも全ての量子化コードの新規範量子化値を算出する必要はないので、実際のループは短くなる。
【0039】
次に、この発明の量子化装置の処理を実現する一実施例のブロック図を図5に示す。入力端子11から供給される入力信号値L(i)、例えば各画素が8ビットに量子化されたディジタル画像信号は、量子化器12、処理部13へ供給される。この処理部13は、判定部15、メモリ部16から構成され、入力端子11から供給された入力信号値L(i)は、判定部15、およびメモリ部16へ供給される。量子化器12において、供給された入力信号値L(i)は、8ビットより少ないnビットの線形量子化が行われる。この量子化器12では、S/N規範に基づく線形量子化がなされる。量子化器12により生成された線形量子化値q(i)は、d1として判定部15へ供給される。
【0040】
新規範量子化においては、式(4)で定義される新規範Q2、または式(12)で定義される新規範Q3が用いられるため、入力信号値L(i)と決定済み量子化値d0を記憶しておく必要がある。メモリ部16からは、必要に応じて記憶データd0(すなわち、決定済み量子化値)が、判定部15へ供給される。判定部15では、上述した図4に示すフローチャートの制御が行われ、すなわち供給された入力信号値L(i)、線形量子化値d1、記憶データd0から式(4)、または式(12)の判定と上述のリセット処理が実行され、最終的な線形量子化値q(i)が出力され、出力端子14から取り出される。
【0041】
この新規範量子化装置により、従来の量子化装置の画質劣化を低減し、視覚特性に合致する量子化画像を得ることができる。
【0042】
上述したように、判定部15は、量子化コードQと上下の量子化コード(Q−1)、(Q+1)を含めた3種類の量子化コードについて、それぞれ新規範評価値を求め、この3個の新規範評価値の中で最小のものと対応する量子化コードを選択的に出力する構成としても良い。
【0043】
なお、この発明は、空間変動評価値と時間変動評価値との一方のみを使用して新規範評価値を構成するようにしても良い。例えば、ディジタルオーディオ信号のような場合には、S/N評価値と時間変動評価値とを使用した評価値を使用することができる。
【0044】
【発明の効果】
この発明によれば、視覚特性を考慮した量子化が行えることで、量子化境界レベル近傍の入力信号値の変化が拡大されることによる空間方向、あるいは時間方向の画質劣化を低減することができる。
【0045】
また、この発明によれば、過去の画素の影響を受けるために生じる、新規範量子化装置の特有な画質劣化を排除することが可能となる。
【0046】
さらに、この発明によれば、元の量子化ビット数より少ないビット数でも良好な画像を得ることができ、例えばディジタル入力信号の圧縮を良好に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る量子化復号波形の一例を示す略線図である。
【図2】この発明に係るリセット処理の一例を示す略線図である。
【図3】この発明に係る量子化復号波形の一例を示す略線図である。
【図4】この発明に係る可変重みの新規範量子化装置の判定部の一実施例を示すフローチャートである。
【図5】この発明に係る新規範量子化装置の一実施例を示すブロック図である。
【図6】入力信号に対して3ビット量子化が行われた一例を示す略線図である。
【図7】画素の配置の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
12 量子化器
13 処理部
15 判定部
16 メモリ部
Claims (6)
- 所定の量子化ビット数の入力信号値が供給され、上記量子化ビット数より少ないnビットの量子化値を出力する量子化装置において、
上記量子化値と、上記量子化値の上下の値とからなる複数の量子化値候補に関して、上記入力信号値と上記量子化値候補の量子化復号値の差であるS/N評価値に基づく第一の評価値を求める手段と、
上記複数の量子化値候補に関して、上記第一の評価値と、上記入力信号値の空間変動と上記量子化値候補の量子化復号値の空間変動の差である空間変動評価値および上記入力信号値の時間変動と上記量子化値候補の量子化復号値の時間変動の差である時間変動評価値のうちの少なくとも一つを重み付け加算した第二の評価値を求める手段と、
上記複数の量子化値候補の上記第一の評価値のうち少なくとも一つが所定の閾値以下であるかを判定する手段と、
上記判定する手段からの出力に基づき、上記量子化値候補から出力すべき量子化値として、一の候補を選択的に出力する手段とを有し、
上記選択的に出力する手段は、
上記判定する手段により、上記複数の量子化値候補の上記第一の評価値のうち少なくとも一つが所定の閾値以下であると判定された場合、最小の上記第一の評価値を有する上記量子化値候補を上記出力すべき量子化値として出力し、上記所定の閾値より大きいと判定された場合、最小の上記第二の評価値を有する上記量子化値候補を上記出力すべき量子化値として出力することを特徴とする量子化装置。 - 請求項1に記載の量子化装置において、
空間変動評価値および時間変動評価値は、入力信号値と、上記入力信号値に対応した量子化値の量子化復号値とを使用して求められることを特徴とする量子化装置。 - 請求項1に記載の量子化装置において、
入力信号がディジタルビデオ信号であって、空間変動評価値が同一フィールドまたは同一フレーム内の入力信号値と量子化復号値とを用いて求められることを特徴とする量子化装置。 - 請求項1に記載の量子化装置において、
入力信号がディジタルビデオ信号であって、時間変動評価値が現フレームの入力信号値および量子化復号値と前フレームの入力信号値と量子化復号値とを用いて求められることを特徴とする量子化装置。 - 請求項1に記載の量子化装置において、
上記所定の閾値とは、上記nビットの量子化による量子化幅の半分よりも小さい値であることを特徴とする量子化装置。 - 所定の量子化ビット数の入力信号値が供給され、上記量子化ビット数より少ないnビットの量子化値を出力する量子化方法において、
上記量子化値と、上記量子化値の上下の値とからなる複数の量子化値候補に関して、上記入力信号値と上記量子化値候補の量子化復号値の差であるS/N評価値に基づく第一の評価値を求めるステップと、
上記複数の量子化値候補の上記第一の評価値のうち少なくとも一つが所定の閾値以下であるかを判定するステップと、
上記判定するステップからの出力に基づき、上記量子化値候補から出力すべき量子化値として、一の候補を選択的に出力するステップとを有し、
上記選択的に出力するステップでは、
上記判定するステップにおいて、上記複数の量子化値候補の上記第一の評価値のうち少なくとも一つが所定の閾値以下であると判定された場合、
最小の上記第一の評価値を有する上記量子化値候補が上記出力すべき量子化値として出力され、
上記所定の閾値より大きいと判定された場合、
上記複数の量子化値候補に関して、上記第一の評価値と、上記入力信号値の空間変動と 上記量子化値候補の量子化復号値の空間変動の差である空間変動評価値および上記入力信号値の時間変動と上記量子化値候補の量子化復号値の時間変動の差である時間変動評価値のうちの少なくとも一つを重み付け加算した第二の評価値のうち、最小の上記第二の評価値を有する上記量子化値候補が上記出力すべき量子化値として出力されることを特徴とする量子化方法。
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JP5624576B2 (ja) | 2012-03-14 | 2014-11-12 | 株式会社東芝 | 画像圧縮コントローラ及び画像圧縮装置 |
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1994
- 1994-10-17 JP JP27709794A patent/JP3735875B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH08116543A (ja) | 1996-05-07 |
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