JP3831955B2 - クラス分類適応処理装置および方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、例えば入力のデータの時空間画素をブロック化し、それを何らかの手法によりクラス分類し、このクラス毎に線形一次結合でモデル化し、最小二乗法で学習することにより係数データを得て、その係数データを用いて処理を行うクラス分類適応処理装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、クラス分類適応処理を応用したものとして、SD(Standerd Definition )からHD(High Definition )への画像情報変換装置、時空間モデル符号化、MUSEの画質改善、コンポジット信号のY/C分離など様々なアプリケーションのアイデアが出願されている。すなわち、ある大きさの時空間の画素をブロック化し、これを何らかの手法(例えばADRC(Adaptive Dynamic Range Coding ))によりクラス分類し、このクラス毎に線形一次結合でモデル化、つまり予測式を立て、最小二乗法などを用いて学習することにより係数データを得るというものである。
【0003】
上述の手順の学習によって算出された係数データは、係数ROMあるいはRAM(以下、係数ROMと称する)に蓄えられる。演算精度を保つためには、各係数データにある程度以上の語長を持たすことが必要である。通常のフィルタリングあるいは適応処理の場合、この係数データは1組あるいは高々数組である。そのため、各係数データの語長を長く取っても、係数データを格納する係数ROMの大きさは問題にならないほど小さく済む。
【0004】
しかしながら、一般にクラス分類適応処理においては、分割するクラス数が多いほど高性能の処理を実現することができる。そのため、高い性能を要求するアプリケーションにおいては、多くのクラスに分割する必要がある。したがって、その場合、係数データを格納しておく係数ROMの容量は、クラス数に応じて大きなものになり、そのままの形ではハードウェア的に実現が困難な場合があった。
【0005】
この係数ROMの容量削減には、2つのアプローチが考えられる。ひとつはクラス数の削減、もうひとつは係数データの語長の削減である。クラス数の削減のアプローチについては他に譲ることとし、ここでは係数データの語長の削減についてのみ考える。係数データの語長の削減のもっとも単純な方法は、各係数データの語長を短く制限することである。例えば、元々nビットの語長で格納されていた係数データをn/2ビットにすれば、それだけで係数ROMの大きさを1/2にすることができる。しかしながら、係数データの語長の単純な削除が過度に行われた場合、計算精度が著しく劣化するという問題がある。
【0006】
これに対する1つの改善法に、ADRCを用いて係数の正規化を行った後、係数ROMに格納するという方式がある。この方式を用いることにより、与えられた語長を有効利用することが出来るため、係数データの誤差自体は著しく減少する。しかしながら、語長によっては上述の手法を用いても係数データに大きな誤差が発生する場合があり、また推定演算式のゲインが変化する問題は、視覚的にも重要である。このゲインの変化について詳しく述べる。
【0007】
クラス分類適応処理は、入力のデータの時空間画素をブロック化し、それを何らかの手法によりクラス分類し、このクラス毎に線形一次結合でモデル化し、最小二乗法で学習することにより係数データを得て、その係数データを用いて処理を行うものである。具体的には、入力画像レベルx1 、x2 、・・・、xn と出力画像レベルyの間で、クラス毎に係数データw1 、・・・、wn によるnタップの線形推定式を設定し、それを正規方程式をたてることにより解き、係数データw1 、・・・、wn を決定し、それを用いて入力画像と出力画像の間の変換を行う。
【0008】
y=w1 x1 +w2 x2 +・・・+wn xn (1)
【0009】
このような線形推定式において係数データの和(w1 +w2 +・・・+wn )をフィルタのゲインと呼ぶが、一般にこのゲインはどのクラスにおいても1.0 に非常に近い値となる。
【0010】
しかしながら、係数データの語長制限などによって各係数データが誤差を持った場合、各クラスのフィルタのゲインは必ずしも1.0 に近い値をとらない。通常の場合は、各々の誤差が加算されて1.0 からかけ離れた値をとることもある。
【0011】
例えば、簡単のため、輝度変化のほどんどない領域において、ゲインが1.0 から大きく外れたクラスを用いて画像変換を行ったと考えてみる。本来なら画像変換してもほとんどデータは変化しないはずであるが、係数データが誤差を持ち、さらにゲインが1.0 から大きく外れていることにより、変換によりデータが大きく変化し、その部分の輝度(すなわちクロマ、色相など)が大きく変わることにより、明るさが原画と異なってくるため、その部分の劣化が目立つことになる。
【0012】
以上のように、フィルタのゲインの値が大きく変化することは視覚的に大きな劣化を導くことがあった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上述の問題点に鑑みてなさたものであり、クラス分類適応処理において、容量を削減しても結果の劣化が最小限にとどまるような係数ROMの提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、第1のディジタル画像信号を、より画素数の多い第2のディジタル画像信号に変換する画像情報変換装置において、
外部から供給された画像情報を時空間的に近傍に位置する複数の画像データからなる複数のブロックに分割する画像情報分割手段と、
画像情報分割手段により分割されたブロック毎に画像情報のレベル分布のパターンが検出され、検出されたパターンに基づいて、ブロックの画像情報が属するクラス情報を出力するクラス検出手段と、
語長が制限された複数の係数データがクラス情報毎に記憶されており、クラス検出手段からのクラス情報に応じて複数の係数データを出力する係数データ記憶手段と、
係数データ記憶手段から供給された複数の係数データの総和が略1.0 となるように変換する補正手段と、
推定式を用いて、変換された複数の係数データと、外部から供給された画像情報とから、外部から供給された画像情報よりも高い解像度の画像情報に変換して出力する画像情報変換手段と
を有することを特徴とするクラス分類適応処理装置である。
【0015】
さらに、請求項2に記載の発明は、第1のディジタル画像信号を、より画素数の多い第2のディジタル画像信号に変換する画像情報変換装置において、
外部から供給された画像情報を時空間的に近傍に位置する複数の画像データからなる複数のブロックに分割する画像情報分割手段と、
画像情報分割手段により分割されたブロック毎に画像情報のレベル分布のパターンが検出され、検出されたパターンに基づいて、ブロックの画像情報が属するクラス情報を出力するクラス検出手段と、
語長が制限された複数の係数データに正規化を施し、正規化が施された複数の係数データがクラス情報毎に記憶されており、クラス検出手段からのクラス情報に応じて複数の係数データを出力する係数データ記憶手段と、
正規化が施された複数の係数データを推定式に用いられる複数の係数データへ変換する係数変換手段と、
係数変換手段から供給された複数の係数データの総和が略1.0 となるように変換する補正手段と、
推定式を用いて、変換された複数の係数データと、外部から供給された画像情報とから、外部から供給された画像情報よりも高い解像度の画像情報に変換して出力する画像情報変換手段と
を有することを特徴とするクラス分類適応処理装置である。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、第1のディジタル画像信号を、より画素数の多い第2のディジタル画像信号に変換する画像情報変換方法において、
外部から供給された画像情報を時空間的に近傍に位置する複数の画像データからなる複数のブロックに分割するステップと、
分割されたブロック毎に画像情報のレベル分布のパターンが検出され、検出されたパターンに基づいて、ブロックの画像情報が属するクラス情報を出力するステップと、
語長が制限された複数の係数データがクラス情報毎に記憶されており、クラス情報に応じて複数の係数データを出力するステップと、
供給された複数の係数データの総和が略1.0 となるように変換するステップと、
推定式を用いて、変換された複数の係数データと、外部から供給された画像情報とから、外部から供給された画像情報よりも高い解像度の画像情報に変換して出力するステップと
を有することを特徴とするクラス分類適応処理方法である。
【0017】
そして、請求項5に記載の発明は、第1のディジタル画像信号を、より画素数の多い第2のディジタル画像信号に変換する画像情報変換方法において、
外部から供給された画像情報を時空間的に近傍に位置する複数の画像データからなる複数のブロックに分割するステップと、
分割されたブロック毎に画像情報のレベル分布のパターンが検出され、検出されたパターンに基づいて、ブロックの画像情報が属するクラス情報を出力するステップと、
語長が制限された複数の係数データに正規化を施し、正規化が施された複数の係数データがクラス情報毎に記憶されており、クラス情報に応じて複数の係数データを出力するステップと、
正規化が施された複数の係数データを推定式に用いられる複数の係数データへ変換するステップと、
供給された複数の係数データの総和が略1.0 となるように変換するステップと、
推定式を用いて、変換された複数の係数データと、外部から供給された画像情報とから、外部から供給された画像情報よりも高い解像度の画像情報に変換して出力するステップと
を有することを特徴とするクラス分類適応処理方法である。
【0018】
【作用】
クラス分類適応処理装置および方法において、語長制限されて記録されている係数データを用いて推定演算を行う場合、ゲイン補正を行い、ゲインが略1.0 に変化された係数データを用いることにより、記録情報量は増やさずに計算結果の精度を上げる。
【0019】
【実施例】
以下、この発明のクラス分類適応処理装置および方法の実施例について図面を参照しながら説明する。図1は、この一実施例、すなわち画像信号変換装置のROMテーブルに格納される係数データの作成方法について説明したブロック図である。
【0020】
係数データを学習により得るためには、まず、既に知られているHD画像に対応した、HD画像の1/4の画素数のSD画像を生成する。具体的には、理想フィルタ回路により、入力端子1を介して供給されるHDデータの垂直方向の画素を垂直間引きフィルタ2により、フィールド内の垂直方向の周波数が1/2になるように間引き処理し、さらに水平間引きフィルタ3により、HDデータの水平方向の画素を間引き処理することにより、1/4の画素数のHD画像、すなわちSD画像が生成される。
【0021】
水平間引きフィルタ3の出力信号は、領域分割化回路4に供給される。領域分割化回路4では、供給されたSD画像信号が複数の領域に分割される。複数の領域に分割されたSD画像信号は、ADRC符号化回路5に供給される。
【0022】
ADRC符号化回路5は、分割された領域毎に供給されるSDデータの一次元的あるいは二次元的なレベル分布のパターンを検出すると共に、各領域の全てのデータあるいは一部のデータを、例えば8ビットのSDデータから2ビットのSDデータに圧縮するような演算を行うことによりパターン圧縮データを生成し、このパターン圧縮データをクラスコード発生回路6に供給する。
【0023】
クラスコード発生回路6は、ADRC符号化回路5から供給されるパターン圧縮データに基づいて、その領域が属するクラスを決定し、そのクラスを示すクラスコードを出力するものである。クラスコード発生回路6は、クラスコードを正規方程式加算回路8に出力する。
【0024】
正規方程式加算回路8には、クラスコード発生回路6の出力データの他に、領域分割化回路4より供給されたSDデータ、水平間引きフィルタ3より供給されたHDデータが入力される。正規方程式加算回路8は、これらのデータを用いて、正規方程式の加算を行い、全てのトレーニングデータの入力が終了した後、予測係数決定回路9に正規方程式データを出力する。
【0025】
予測係数決定回路9は、正規方程式を掃き出し法などの一般的な行列解法を用いてそれを解き、予測係数を算出する。予測係数決定回路9により算出された予測係数は、係数データとしてメモリ10に格納される。このメモリ10は、図2に示すように、各クラスのタップ毎に係数データが格納され、係数ROMが生成される。
【0026】
続いて、上述の手法により生成された係数ROMを使用し、実際にクラス分類適応処理を用いた画像信号変換装置の信号処理の概略的構成を図3に示す。21で示す入力端子から、SDデータが供給される。このSDデータは、外部から供給された画像情報、例えばいわゆるNTSC方式の映像信号がディジタル化されたものである。入力端子21から供給されたSDデータは、領域分割化回路22に供給される。
【0027】
領域分割化回路22は、生成するHD画素の時間的、空間的に近傍に位置するSD画素を抽出する処理を行う。領域分割化回路22により抽出された複数のSD画素がクラス分類回路23および遅延回路27に供給される。遅延回路27は、クラス分類回路23、クラスコード発生回路24、ROMテーブル25およびゲイン補正回路26の処理に必要な時間だけデータを遅延させて推定演算回路28に出力する。
【0028】
クラス分類回路23は、領域毎に供給されるSD画素の1次元的あるいは2次元的なレベル分布のパターンを検出するためのものである。例えば、ADRCをクラス分類回路23で用いることにより、各領域のSD画素を例えば8ビットのSD画素から2ビットのSD画素に圧縮するような演算を行うとにより、各領域でのパターン圧縮データを形成し、このパターン圧縮データをクラスコード発生回路24に供給する。
【0029】
クラスコード発生回路24は、クラス分類回路23から供給されるパターン圧縮データに基づいて、その領域が属するクラスを検出し、そのクラスを示すクラスコードが係数ROMの構成をなすROMテーブル25へ供給される。このクラスコードは、ROMテーブル25からの読み出しアドレスを示すものとなっている。
【0030】
ROMテーブル25には、上述のような手法により、線形推定式を用いてSD画素に対応するHD画素を算出するための係数データが各クラス毎に記憶されている。これは、線形推定式によりSD画素を、この画像情報よりも高い解像度の画像情報である、いわゆるハイビジョンの規格に合致したHD画素に変換するための情報である。ROMテーブル25からは、クラスコードで示されるアドレスによって、そのクラスの係数データが読み出され、この係数データは、ゲイン補正回路26に供給される。
【0031】
係数ROMからは語長制限されて格納された係数データが読み出されるため、各クラスのフィルタのゲインは、必ずしも1.0 に近い値を取らない。これが変換画像の劣化を生むのは、上述した通りである。そこで、この実施例では、各クラスのゲイン補正を行うことにより、その欠点を補う。そのROMテーブル25とゲイン補正回路26の概略的構造を図4に示す。
【0032】
推定演算回路28は、遅延回路27を介して領域分割化回路22から供給されるSD画素およびゲイン補正回路26から供給される係数データを用いて、SD画素に対応するHD画素を算出する。作成されたHD画素は、水平補間フィルタ30に供給される。
【0033】
水平補間フィルタ29は、補間処理により水平方向の画素数を2倍にするものである。水平補間フィルタ29の出力は、出力端子30を介して出力される。この出力端子30を介して出力されるHDデータは、例えばHDテレビジョン受像器やHDビデオテープレコーダ装置等に供給される。
【0034】
ここで、図5を用いてゲイン補正回路26の説明を行う。例えば、推定演算式がnタップであった場合、クラスコード発生回路24からの信号により、ROMテーブル25からの出力信号は、ゲイン補正回路26の中の加算回路41に供給される。加算回路41は、供給されたw1 、・・・、wn のn個の係数データの加算を行い、その加算値aを補正係数決定回路42に供給する。
【0035】
a=w1 +w2 +・・・+wn (2)
【0036】
本来、この加算値a、すなわちフィルタのゲインは1.0 に近い値を取るはずである。しかしながら、係数データの語長制限によりこのゲインが1.0 とかけ離れた値を取る場合があるのは上述した通りである。補正係数決定回路42は、フィルタのゲインが略1.0 となるような補正係数bを決定する。
【0037】
b=1/a (3)
【0038】
補正係数決定回路42の出力信号、すなわち決定された補正係数bは、乗算器431 〜43n に送られ、そこで各々の係数に掛け合わされ、その乗算器431 〜43n の出力値z1 、z2 、・・・、zn が推定演算回路28に出力される係数である。
【0039】
z1 =bw1
z2 =bw2
・・・・・
zn =bwn (4)
【0040】
ここで、係数ROMの容量を削減するために、上述のゲイン補正に対して係数データの正規化を組み合わせた他の実施例を図6に示す。この他の実施例は、図1に示した一実施例に対して係数符号化回路11を加えた構成であるため、ここでは、係数符号化回路11に関する説明を行う。上述したように、予測係数決定回路9では、掃き出し法などの一般的な行列解法を用いて、予測係数が算出され、その予測係数は、係数符号化回路11に供給される。
【0041】
予測係数決定回路9により算出された予測係数は、係数符号化回路11において、例えばADRCの符号化を行うことにより係数データの正規化が行われ、メモリ10に格納される。より具体的には、図7に示すようにADRCエンコードからなる係数符号化回路11を用いて係数データの正規化を行うことによりデータ領域の持つ語長の範囲を完全に活かした係数データが生成される。
【0042】
ここで、係数符号化回路11とメモリ10のより詳細なブロック図の一例を図8に示す。予測係数決定回路9から供給される係数データが入力端子51を介してタップ分割回路53へ供給され、供給される係数データに応じたコントロール信号が入力端子52からタップ分割回路53へ供給される。タップ分割回路53では、そのコントロール信号に基づいて供給された係数データが各タップに分割される。各タップに分割された係数データは、それぞれのタップの端子を介してADRCエンコード回路54へ供給される。
【0043】
ADRCエンコード回路54において、係数データが各タップ毎に最大値MAXおよび最小値MINなどが検出され、ADRCエンコードが行われメモリ10へ供給される。メモリ10では、入力端子52からのコントロール信号に応じて所定のクラスおよび所定のタップへ格納される。
【0044】
すなわち、ADRCエンコード回路540 では、各クラスのタップ0の最大値MAXおよび最小値MINが検出され、ADRCエンコードが行われる。同様に、ADRCエンコード回路541 では、各クラスのタップ0の最大値MAXおよび最小値MINが検出され、ADRCエンコードが行われる。このADRCエンコード回路54において、エンコードされた係数データは、図7に示すように、タップ毎に各クラスに格納され、さらに最小値MINとダイナミックレンジDRもタップ毎に格納される。
【0045】
この一例では、最小値MINとダイナミックレンジDRがタップ毎に格納されているが、タップ毎に格納されるデータは、最大値MAXと最小値MINまたは最大値MAXとダイナミックレンジDRでも良い。さらに、この格納されたデータは、エンコードされる前のデータで格納される。
【0046】
このような手法は、係数データがタップ毎に相関を持っているため、効率の良い量子化が行われる。さらに、タップによって、係数データのレベルの集中が高いものと、低いものとがあるため、量子化を行うときの割り当てビット数を変えても良い。
【0047】
上述したように従来の手法によると、予測係数決定回路9により算出された予測係数は、そのままメモリ10に格納されていた。その場合、メモリの大きさにより語長が制限され、単純に下位ビットデータが削減された形で格納されていた。そのため、語長が短く制限された場合、係数データの誤差が大きくなり、結果的に計算精度が劣化する現象を引き起こす。
【0048】
この他の実施例において、ADRCを用いて係数データの正規化を行うことにより本来格納できる領域の範囲を完全に活かした格納データ生成方式を行う。本来、ADRCは、VTR向け高能率符号化用に開発された適応的再量子化法であるが、ここでは、格納データ生成のための正規化に使用している。ADRC回路は、係数データのダイナミックレンジをDR、格納するデータの語長をn、各係数データのデータレベルをL、再量子化コードすなわち係数ROMに格納するコードをQとして以下の式(5)により係数データの最大値MAXと最小値MINとの間を指定されたビット長で均等に分割して再量子化を行うことにより、正規化を実施する。扱うデータが自然数ではなく、符号付きの小数点データであるため通常のADRCとは多少異なっているが原理的には同一である。
【0049】
DR=MAX−MIN
Q=〔(L−MIN)・2n /DR〕 (5)
ただし、Qの最大値は2n −1とする。
【0050】
ここで、係数データの最大値MAXおよび最小値MINの検出は、各タップ毎に行われる。これは、クラスが変化しても同一タップ内の係数データは、一般的にそれほど大きく変化せず、同一タップ内で最大値MAXおよび最小値MINを取ることによって、そのダイナミックレンジDRを小さくすることができることが多いからである。また、上述したように最小値MINとダイナミックレンジDR、最大値MAXと最小値MINあるいは最大値MAXとダイナミックレンジDRは、データ長を削減する前の語長で格納する。この手法を用いることにより、データ語長を可能な限り有効に使うことが出来るので単純な足切り等の手法により語長を削減した場合より、語長制限により係数データの誤差を大幅に減らすことができる。したがって、最終的な誤差も減らすことができる。
【0051】
続いて、他の実施例において生成された係数ROMを使用した画像信号変換装置を図9に示す。この図9は、図3に示した一実施例に対して係数復号回路31を加えた構成であるため、ここでは、係数復号回路31に関する説明を行う。上述したように、ROMテーブル25からは、クラスコードで示されるアドレスによって、そのクラスの係数データが読み出され、この係数データは、係数復号回路31に供給される。
【0052】
上述の一実施例では、係数ROMには、生成された係数データがそのまま格納されていた。そのため、クラスコードに示されるアドレスから、そのクラスの係数データが読み出され、その係数データは推定演算回路28に送られ、推定演算回路28において、演算が実施されていた。しかしながら、このような手法では係数ROMの語長分のデータがフルに使い切れていないため、係数データの語長を短縮したときに計算精度の劣化が起こりやすい。
【0053】
他の実施例のクラス分類適応処理装置の係数ROMには先に説明したように係数データがADRCによって符号化された形で格納されている。そこで、この係数復号回路31では、ROMテーブル25に格納されている、例えば最小値MIN、ダイナミックレンジDRおよび符号化された係数データQを用いて、以下の式(6)により係数データのADRCの復号化を行う。
【0054】
L=〔Q・DR/2n +MIN+0.5〕 (6)
【0055】
係数復号回路26において、生成された復号値Lは、ゲイン補正回路26に供給される。ROMテーブル25からの係数データは、図10に示すように、タップ毎にADRCデコードからなる係数復号回路31を介して、ゲイン補正回路26において、上述したようなゲイン補正がなされた後、後段の推定演算回路28へ供給される。
【0056】
【発明の効果】
この発明に依れば、係数ROMの生成は、従来と同様に行い、係数ROMの使用時にのみゲイン補正回路を用いて、フィルタのゲインを略1.0 に補正することにより、語長制限による係数データの誤差およびそれによる計算結果の精度劣化を抑えることができる。
【0057】
また、この発明に依れば、ADRCを用いて係数データの正規化を行い係数を格納するという方式とゲイン補正を併用することで、さらなる計算精度の劣化を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る画像情報変換装置の学習時の一実施例である。
【図2】この発明に係る係数ROM生成時の一例を示すブロック図である。
【図3】この発明に係る画像情報変換装置の一実施例である。
【図4】この発明に係る係数ROM使用時の一例を示すブロック図である。
【図5】この発明のゲイン補正回路の一実施例である。
【図6】この発明に係る画像情報変換装置の学習時の他の実施例である。
【図7】この発明に係る係数ROM生成時の一例を示すブロック図である。
【図8】この発明に係る係数符号化の一実施例を示すブロック図である。
【図9】この発明に係る画像情報変換装置の他の実施例である。
【図10】この発明に係る係数ROM使用時の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
22 領域分割化回路
23 クラス分類回路
24 クラスコード発生回路
25 ROMテーブル
26 ゲイン補正回路
28 推定演算回路
29 水平補間フィルタ
Claims (6)
- 第1のディジタル画像信号を、より画素数の多い第2のディジタル画像信号に変換する画像情報変換装置において、
外部から供給された画像情報を時空間的に近傍に位置する複数の画像データからなる複数のブロックに分割する画像情報分割手段と、
上記画像情報分割手段により分割された上記ブロック毎に画像情報のレベル分布のパターンが検出され、上記検出されたパターンに基づいて、上記ブロックの画像情報が属するクラス情報を出力するクラス検出手段と、
語長が制限された複数の係数データが上記クラス情報毎に記憶されており、上記クラス検出手段からの上記クラス情報に応じて上記複数の係数データを出力する係数データ記憶手段と、
上記係数データ記憶手段から供給された上記複数の係数データの総和が略1.0 となるように変換する補正手段と、
推定式を用いて、上記変換された複数の係数データと、上記外部から供給された画像情報とから、上記外部から供給された画像情報よりも高い解像度の画像情報に変換して出力する画像情報変換手段と
を有することを特徴とするクラス分類適応処理装置。 - 第1のディジタル画像信号を、より画素数の多い第2のディジタル画像信号に変換する画像情報変換装置において、
外部から供給された画像情報を時空間的に近傍に位置する複数の画像データからなる複数のブロックに分割する画像情報分割手段と、
上記画像情報分割手段により分割された上記ブロック毎に画像情報のレベル分布のパターンが検出され、上記検出されたパターンに基づいて、上記ブロックの画像情報が属するクラス情報を出力するクラス検出手段と、
語長が制限された複数の係数データに正規化を施し、上記正規化が施された上記複数の係数データが上記クラス情報毎に記憶されており、上記クラス検出手段からの上記クラス情報に応じて上記複数の係数データを出力する係数データ記憶手段と、
上記正規化が施された複数の係数データを推定式に用いられる複数の係数データへ変換する係数変換手段と、
上記係数変換手段から供給された上記複数の係数データの総和が略1.0 となるように変換する補正手段と、
上記推定式を用いて、上記変換された複数の係数データと、上記外部から供給された画像情報とから、上記外部から供給された画像情報よりも高い解像度の画像情報に変換して出力する画像情報変換手段と
を有することを特徴とするクラス分類適応処理装置。 - 請求項2に記載のクラス分類適応処理装置において、
上記係数変換手段は、正規化としてADRC符号化がなされた上記複数の係数データに対してADRC復号化を行う係数データ復号手段とからなり
上記ADRC符号化は、ブロック内に含まれる複数の係数データの最大値および上記複数の係数データの最小値を検出する手段と、
上記最大値および最小値から上記ブロックのダイナミックレンジを検出する手段と、
上記最大値または最小値を基準とした相対的なレベル関係を持つように修正された修正入力データを形成する手段と、
上記修正入力データを元の量子化ビット数以下のビット数で量子化する手段と
からなることを特徴とするクラス分類適応処理装置。 - 第1のディジタル画像信号を、より画素数の多い第2のディジタル画像信号に変換する画像情報変換方法において、
外部から供給された画像情報を時空間的に近傍に位置する複数の画像データからなる複数のブロックに分割するステップと、
分割された上記ブロック毎に画像情報のレベル分布のパターンが検出され、上記検出されたパターンに基づいて、上記ブロックの画像情報が属するクラス情報を出力するステップと、
語長が制限された複数の係数データが上記クラス情報毎に記憶されており、上記クラス情報に応じて上記複数の係数データを出力するステップと、
供給された上記複数の係数データの総和が略1.0 となるように変換するステップと、
推定式を用いて、上記変換された複数の係数データと、上記外部から供給された画像情報とから、上記外部から供給された画像情報よりも高い解像度の画像情報に変換して出力するステップと
を有することを特徴とするクラス分類適応処理方法。 - 第1のディジタル画像信号を、より画素数の多い第2のディジタル画像信号に変換する画像情報変換方法において、
外部から供給された画像情報を時空間的に近傍に位置する複数の画像データからなる複数のブロックに分割するステップと、
分割された上記ブロック毎に画像情報のレベル分布のパターンが検出され、上記検出されたパターンに基づいて、上記ブロックの画像情報が属するクラス情報を出力するステップと、
語長が制限された複数の係数データに正規化を施し、上記正規化が施された上記複数の係数データが上記クラス情報毎に記憶されており、上記クラス情報に応じて上記複数の係数データを出力するステップと、
上記正規化が施された複数の係数データを推定式に用いられる複数の係数データへ変換するステップと、
供給された上記複数の係数データの総和が略1.0 となるように変換するステップと、
上記推定式を用いて、上記変換された複数の係数データと、上記外部から供給された画像情報とから、上記外部から供給された画像情報よりも高い解像度の画像情報に変換して出力するステップと
を有することを特徴とするクラス分類適応処理方法。 - 請求項5に記載のクラス分類適応処理方法において、
供給された上記係数データを補正するステップは、正規化としてADRC符号化がなされた上記係数データに対してADRC復号化を行うステップとからなり
上記ADRC符号化は、ブロック内に含まれる複数の係数データの最大値および上記複数の係数データの最小値を検出するステップと、
上記最大値および最小値から上記ブロックのダイナミックレンジを検出するステップと、
上記最大値または最小値を基準とした相対的なレベル関係を持つように修正された修正入力データを形成するステップと、
上記修正入力データを元の量子化ビット数以下のビット数で量子化するステップと
からなることを特徴とするクラス分類適応処理方法。
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JP13836495A JP3831955B2 (ja) | 1995-05-12 | 1995-05-12 | クラス分類適応処理装置および方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JPH08307836A JPH08307836A (ja) | 1996-11-22 |
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JP4055203B2 (ja) * | 2002-09-12 | 2008-03-05 | ソニー株式会社 | データ処理装置およびデータ処理方法、記録媒体、並びにプログラム |
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- 1995-05-12 JP JP13836495A patent/JP3831955B2/ja not_active Expired - Lifetime
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