JP2004015708A - 画像信号のダイナミックレンジ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】動画像符号化装置において情報量を削減するために帯域通過フィルタをかけると、精細部がつぶれたり、エッジがにじんだりするので、制御がより簡易で、画像の繊細部を欠くことなく、情報量を抑える画像信号のダイナミックレンジ制御装置を提供すること。
【解決手段】動画像入力手段に統計量算出部1、複雑度記憶メモリ2、ダイナミックレンジ調整器3及びダイナミックレンジ制御回路4を設けて、入力画像の複雑度に応じて画像のダイナミックレンジを調整して、情報量を削減する。前記画像信号の複雑度は、水平方向の隣接する画素信号の差分値に基づいて算出したり、1ライン画素信号の平均値と入力画素信号との差分値に基づいて算出する。
【選択図】 図1
【解決手段】動画像入力手段に統計量算出部1、複雑度記憶メモリ2、ダイナミックレンジ調整器3及びダイナミックレンジ制御回路4を設けて、入力画像の複雑度に応じて画像のダイナミックレンジを調整して、情報量を削減する。前記画像信号の複雑度は、水平方向の隣接する画素信号の差分値に基づいて算出したり、1ライン画素信号の平均値と入力画素信号との差分値に基づいて算出する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動画像の入力画素値のダイナミックレンジを狭くして情報量を削減する画像信号のダイナミックレンジ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
動画像の高能率符号化方式として、例えばMPEG方式がある。MPEGは、ISO/IEC11172やISO/IEC13818として規格化されている方式で、量子化スケールコードで量子化の粗さを変化させている。MPEG方式で符号化した動画像のビットストリームを復号する際、量子化が粗く行なわれているため、ブロック歪が目立つことがある。これは符号化時に、目標とする符号量に比べて発生符号量が多くなった場合に、発生符号量を抑えるために粗い量子化を行った場合に起こりうる。
【0003】
粗い量子化を行わずに発生符号量を抑える従来の方法としては、動画像符号化前に量子化スケールコードの大きさや符号化出力前の符号バッファの占有率などから判定して、入力画素に適応的に低域通過フィルタ(プリフィルタ)を掛ける方法がある。
【0004】
上記プリフィルタを用いるものとして、例えば特開平6ー225276号公報に開示されているものは、図7に示すように動画像の符号化器31の前に、プリフィルタ32とフィルタ制御回路33を備える可変プリフィルタ30を設けるものである。
【0005】
プリフィルタ32は、帯域可変のローパスフィルタでありフィルタ制御回路33より与えられる帯域パラメータKにより、適応的に特性を変化させ、入力画像に対し、フィルタ処理を行なう。
【0006】
フィルタ制御回路33は、図示しない動画像の符号化器より符号化出力レートIを受けとり、これに基づいて量子化スケールコードQと帯域パラメータKを決定する。
【0007】
尚、前記符号化器31は、DCT回路34、量子化回路35、可変長符号化回路36、逆量子化回路37、逆DCT回路38、動き補償付き復号画像メモリ39を有している。
【0008】
DCT回路34は、符号化器入力信号に対し、DCT演算を行う。
【0009】
量子化回路35は、DCT回路34で得られた信号に対し、フィルタ制御回路33で決定された量子化ステップサイズを用いて、量子化を行い、得られた信号を可変長符号化回路36、および逆量子化回路37へ送る。
【0010】
可変長符号化回路36は、量子化回路35で量子化された信号に対し、可変長符号などの2進符号を割り当て、伝送路に出力する。
【0011】
逆量子化回路37は、量子化回路35で用いたものと同一の量子化ステップサイズによる逆量子化を行う。
【0012】
逆DCT演算部38は、DCT回路34で行った変換の逆変換演算を行う。
【0013】
復号画像メモリ39は、局部復号された画像信号を蓄える。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなプリフィルタ30はローパスフィルタをかけるもので、画像のエッジが損なわれたり、繊細部分がボケることがあり、また動画像の符号化装置のパラメータを使用することから実装が容易でない。
【0015】
本発明は、前記の問題点を解消するためになされたものであって、制御がより簡易で、画像の繊細部を欠くことなく、情報量を抑える、動画像の符号化器に用いる、画像信号のダイナミックレンジ制御装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、次の構成を有する。
本発明は、入力画像の複雑度を計算し、過去複数フィールドの画像の複雑度に応じて、適応的に現フィールドの画素値のダイナミックレンジを変化させて、画像のエッジや繊細部を維持したまま情報量を削減することを特徴とする。
【0017】
本発明の第1の要旨は、所定入力フィールド分の画像信号の複雑度を算出する複雑度算出手段と、前記複雑度に応じて、画像信号のダイナミックレンジを変化させるダイナミックレンジ調整手段と、を有することを特徴とする画像信号のダイナミックレンジ制御装置にある。
【0018】
本発明の第1の要旨によれば、複雑度算出手段が所定入力フレーム又はフィールド分の画像信号の複雑度を定量的(例えば、数量、数値)に算出することで、後の符号化器での画像信号の符号化量を判断できる。よって、係る複雑度が高い場合、すなわち符号化量が多くなる合には画像信号のダイナミックレンジを小さくすることで符号化画像情報量を抑えることができる。本発明の要旨によれば、符号化器への画像信号の削除手段として、信号のダイナミックレンジを小さくする手段とするため、画像の繊細部を欠くことなく符号化画像情報量を抑えることができる。
【0019】
本発明の第2の要旨は、要旨1記載の画像信号のダイナミックレンジ制御装置において、前記画像信号の複雑度は、水平方向の隣接する画素信号の差分値に基づいて算出することにある。
【0020】
本発明の第2の要旨によれば、画素信号単位で隣接する画素値の変化量を求めることで複雑度が容易に計算できる。
【0021】
本発明の第3の要旨は、要旨1記載の画像信号のダイナミックレンジ制御装置において、前記画像信号の複雑度は、所定数の画素信号を平均した平均画素信号と入力画素信号との差分値に基づいて算出することにある。
【0022】
本発明の第3の要旨によれば、所定数の画素信号、例えば1ラインの画素信号の平均画素信号との差異を求めることで複雑度が容易に計算できる。
【0023】
本発明の第4の要旨は、要旨2乃至3に記載の画像信号のダイナミックレンジ制御装置において、複数フレーム又はフレームの複雑度を記憶するメモリを有し、前記ダイナミックレンジ調整手段は、前記複数フレーム又はフィールドの複雑度に基づいて、前記画像信号のダイナミックレンジを変化させることにある。
【0024】
本発明の第4の要旨によれば、複数フレーム又はフィールドの複雑度に基づいて複雑度を決定することで、より正確な複雑度を求めることができる。
【0025】
本発明の第5の要旨は、要旨4記載の画像信号のダイナミックレンジ制御装置において、前記ダイナミックレンジ調整手段は、前記複数フレーム又はフィールドの複雑度に重み付けを行い、前記重み付けは、第2フレーム又はフィールドよりも現入力フレーム又はフィールドに近い第1フレーム又はフィールドの複雑度への第1重みを、前記第2フレーム又はフィールドの複雑度への第2重みよりも大きくすることにある。
【0026】
本発明の第5の要旨によれば、画像は時間と共に連続的に変化するために、現フレーム又はフィールドに時間的に近いフレーム又はフィールドほど画像自体が類似するため、現フレーム又はフィールドに時間的に近いフレーム又はフィールドの重みを高くし、時間的に遠いフレーム又はフィールドの複雑度の重みを低くすることとで、より現在画像のフレーム又はフィールドの複雑度をより正確に算出できる。
【0027】
本発明の第6の要旨は、要旨1乃至5記載の画像信号のダイナミックレンジ制御装置において、動画像のビットレートを示す情報を入力して、ビットレートを示す情報に応じて入力画素信号のダイナミックレンジを変化させることにある。
【0028】
本発明の第6の要旨によれば、ビットレートを示す情報、例えば録音モード等が得られれば、ダイナミックレンジを変化させる必要のないケースを識別できるので、ダイナミックレンジを変化させる必要のない場合にはそのまま符号化器に送ることができるので、画像信号のダイナミックレンジ制御の処理量を適切に減らすことができ、処理の効率化が図れる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
1画面で表示する2次元画像は、1次元の電気信号として伝達するために(1次元画像に並べ替えため)、従来知られる通り、該画像を垂直方向に走査線数n本で標本化した1フレームで構成する。該1フレームは、走査線数n/2本の2フィールドで構成され、該2フィールドは奇数本目の走査線に相当する奇数フィールドと、偶数本目の走査線に相当する偶数フィールドで構成される。また、1走査線に相当する水平方向の画像を1ラインとし、1フレームはnラインから構成され、1フィールドはn/2ラインより構成される。
【0030】
本実施形態では、上記走査後の1次元の電気信号の画素値(画素信号)を、順次、以下のダイナミックレンジ制御装置DCを介してダイナミックレンジを制御した後に、符号化器に入力する。
【0031】
図1は、符号化器31に対して信号伝達方向上流側に位置するダイナミックレンジ制御装置DCを示している。ダイナミックレンジ制御装置DCは、統計量算出部1、過去複数フィールドの画像の複雑度を記憶させる複雑度記憶メモリ2、ダイナミックレンジ調整器3及びダイナミックレンジ制御回路4を有し、それらにより画像のダイナミックレンジを圧縮するものであり、ダイナミックレンジを圧縮した画像を符号化器31に送る。
【0032】
尚、符号化器31は、画像の符号化を行うものであればよく、本実施形態では前記した動画像の符号化器31を用い、詳細な説明は省略する。
【0033】
統計量算出部1では、入力画素のライン毎の所定パラメータ(変数、特質、要素等)に関する統計量を計算する。
【0034】
例えば、上記所定パラメータとして水平方向に隣接する画素の絶対差分を採り、その統計量として該絶対差分の1ライン分の平均値をとる。水平方向に隣接する画素の絶対差分Sの算出式を下記式(1)に示す。尚、式(1)のP(X)は入力画素値である。
【数1】
【0035】
統計量算出部1では、隣接画素の差分を算出して、1ライン中の720画素について719個の隣接画素差分を記憶するメモリを有し、メモリに記憶した719個の隣接画素差分の平均値をライン平均差分として算出する。
【0036】
その他の所定パラメータとして、水平方向(1ライン)の全画素の平均値と各画素の絶対差分を採り、その統計量として該絶対差分の1ライン分の合計値(ライン合計差分:以下、「アクィビティ」という)ともできる。アクティビティ(ACTIVITY)は、下記式(2)および式(3)により算出される。尚、式(2)、(3)のP(X)は入力画素値である。
【数2】
【0037】
尚、図1の実施の形態は統計量として隣接差分の1ライン分の平均値やアクティビティ(1ラインの平均値との絶対差分の合計)を算出するものであるが、ライン単位で画素の特徴を表すものであればこれ以外のものでも構わない。
【0038】
図1の複雑度記憶メモリ2は、統計量算出部1から与えられる1フィールド中の全ラインである240個ラインについて前記ライン平均差分又はアクティビティの平均値をフィールド平均差分SBARとして算出する。
【0039】
フィールドの複雑度は、フィールド平均差分SBARの値によって複数レベルに分類した、例えば、0から3のいずれかの数値、分類記号として表現できる。この分類例の様子を図2に示す。図2ではフィールド平均差分SBARに対して閾値THR1、THR2及びTHR3を設けて「0」、「1」、「2」、「3」のいずれかに分類し、この値をフィールドの複雑度としている。
【0040】
例えば、図2ではフィールド平均差分SBARが閾値THR1以上かつ閾値THR2以下なのでフィールドの複雑度は「1」となる。そして複雑度記憶メモリ2はこの複雑度をメモリに記憶する。
【0041】
上記閾値THR1、THR2及びTHR3は等間隔でも、そうでなくともよい。また一例として閾値THR1、THR2及びTHR3の3つを設けたがこれ以外でもよい。
【0042】
ダイナミックレンジ制御回路4では、複雑度記憶メモリ2で得られた過去複数フィールドの複雑度を示す複雑度信号6からダイナミックレンジ制御信号7を決定する。その際現フィールドに近いフィールドの複雑度に重みが付けられて、ダイナミックレンジ制御信号7が計算される。本実施の形態ではダイナミックレンジ制御信号7は、下記式(4)により算出される。式(4)で「COMP(N)」はNフィールド前の複雑度を示し、「M(N)」はNフィールド前の複雑度に対する重み係数であり、M(N)≧M(N+1)、N=1〜20の関係とする。
【数3】
【0043】
上記式(4)では現フィールドに近いNフィールド前の複雑度は現フィールドから離れたN+1フィールド前の複雑度より高い重み係数M(N)がつけられている。重み係数の総和は1であり、ダイナミックレンジ制御信号7は整数に丸められて0から3のいずれかの値となる。前記Nフィールドの数は、任意に設定できるものであり1以上のフィールドであればよい。
【0044】
ダイナミックレンジ調整器3は、ダイナミックレンジ制御信号7によって入力画素のダイナミックレンジを変更するものである。ダイナミックレンジ調整器3の詳細を図3に示す。図3のダイナミックレンジ調整器3では、ダイナミックレンジ入力信号8を変更した信号が4種類生成され、ダイナミックレンジ制御信号7によって、前記4種類の信号から1つ選択され、ダイナミックレンジ出力信号9として出力される。
【0045】
図3では、まず減算器20でダイナミックレンジ入力信号8と画素の中心値128の差分が算出され信号100となる。除算器21、22では、信号100をそれぞれ1/16、1/8して信号101及び102を生成する。除算器23では、信号100を加算器23aで3回加算することで信号100を3倍した信号をさらに1/16倍して信号103を生成する。
【0046】
ダイナミックレンジ制御回路4から入力されるダイナミックレンジ制御信号7が複雑度「1」、「2」及び「3」のときは、セレクタ24により信号104としてそれぞれ信号101、信号102及び信号103が選択される。すなわち、ダイナミックレンジ制御信号7が複雑度「1」の時には信号101が、制御信号7が複雑度「2」の時には信号102が、制御信号7が複雑度「3」の時には信号103が、信号104となる。
【0047】
減算器25では、ダイナミックレンジ入力信号8と信号104の差分が算出され信号105となる。
【0048】
セレクタ26には、ダイナミックレンジ入力信号8と信号105とが入力され、ダイナミックレンジ制御信号7が複雑度「0」の時には、ダイナミックレンジ入力信号8をダイナミックレンジ出力信号9として選択出力し、制御信号7が複雑度「1」〜「3」では信号105をダイナミックレンジ出力信号9として選択出力される。
【0049】
以上により、ダイナミックレンジ制御信号7の複雑度「0」、「1」、「2」及び「3」に対応してダイナミックレンジ入力信号8をそれぞれ1倍、15/16倍、14/16倍及び13/16倍したダイナミックレンジ出力信号9が生成され、図示しない符号化器に送られることとなる。
【0050】
一例として図4にダイナミックレンジ入力信号8を画素の中心値128を原点として14/16倍する場合(複雑度「2」の場合)を説明する。ダイナミックレンジ入力信号8の範囲は、画素値16から240で中心値は128であるものとする。図4の(a)にダイナミックレンジ入力信号8が中心値に対して+の場合と−の場合を示す。
【0051】
図3の減算器20でダイナミックレンジ入力信号8と中心値128との差分である信号100が作成される様子を図4の(b)に示す。ダイナミックレンジ入力信号8が中心値に対して−の方向にある場合、ダイナミックレンジ入力信号8と中心値との差分の符号は−になる。
【0052】
図3の信号100が除算器22によって1/8倍され信号102として出力される様子を図4の(c)に示す。ここでもダイナミックレンジ入力信号8が中心値に対して−の方向にある場合、信号102の符号は−になる。
【0053】
図3でダイナミックレンジ制御信号7として複雑度「2」が入力され、セレクタ24によって、信号104として前記信号102が選択される。減算器25ではダイナミックレンジ入力信号8と信号104の差分である信号105が生成される。そしてセレクタ26によってダイナミックレンジ出力信号9として信号105が選択される。これがダイナミックレンジ入力信号8について中心値を原点として14/16倍したものでこの様子を図4の(d)に示す。
【0054】
ダイナミックレンジ入力信号8が中心値に対して+の方向にある場合、−の方向にある場合ともに図4の(d)で示したダイナミックレンジ出力信号9は、ダイナミックレンジ入力信号8よりも中心値に近い。即ちダイナミックレンジ入力信号8のダイナミックレンジが狭くなって符号化器、例えば従来技術として説明した図7の符号化器31に入力される。
【0055】
尚、上記ダイナミックレンジを変更する出力信号9として、ダイナミックレンジ入力信号8の15/16倍、14/16倍及び13/16倍の信号を生成するものを説明したがそれに限定するものではなく、生成信号の数(選択信号の数)や元画素値との倍率はこれに限るものではない。
【0056】
図5に、元画像信号にプリフィルタをかけた場合(従来の技術)とダイナミックレンジを狭くした場合(本実施形態)の画素値の変化の様子を示す。図5の(a)は元画像信号で、急峻なエッジがある場合である。図5の(b)は(a)の元画像信号に対して、プリフィルタをかけた場合の信号でプリフィルタによる高帯域カットにより、前記(a)における急峻なエッジが損なわれ視覚的にボケたものになる。図5の(c)は(a)の元画像信号に対して、ダイナミックレンジを狭くした場合の信号で、画素値が元画像のものに比べ小さくなるだけで、エッジが保存されている。このように、本発明の実施の形態では画像のエッジや繊細部が保存されるため、視覚的な効果は高い。
【0057】
<第2の実施の形態>
図6に本発明の第2の実施の形態のブロック図を示す。本実施形態は、前記第1の実施の形態とダイナミックレンジ制御回路のみが異なり、図6では前記第1の実施の形態の構成と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図6においてダイナミックレンジ制御回路14には過去複数フィールドの複雑度とともにビットレートを示す情報15が入力される。
【0058】
ビットレート情報として、例えば通常録画モードか長時間録画モードのいずれかを示す情報があるものとする。長時間録画モードでは、ビットレートを抑えて録画する必要があり、ビットレートを抑えてかつ画質も良好な状態を保持するために、ダイナミックレンジを狭くして情報量を少なくする。逆に、通常録画モードでは情報量を削減する必要はない。ゆえに、長時間録画モードではダイナミックレンジ制御を有効(使用)にして、通常録画モードではダイナミックレンジ制御を無効(不使用)にする。従って、ダイナミックレンジ制御回路14に長時間録画モード情報が入力された場合には、第1の実施の形態と同様にダイナミックレンジ制御信号7を算出してダイナミックレンジ調整器3に出力し、ダイナミックレンジ制御回路14に通常録画モード情報が入力された場合にはダイナミックレンジ制御信号7として「0」を出力し、ダイナミックレンジ入力信号8をダイナミックレンジ出力信号9として出力する。
【0059】
本実施形態によれば、ビットレート情報をも加味することで、不必要なダイナミックレンジ制御を抑えることができ、処理の効率化が図れる。
【0060】
尚、上記本実施形態では、フィールドの複雑度からダイナミックレンジを変更する説明を行ったが、フレームの複雑度からダイナミックレンジを変更しても同様の作用効果を得ることができる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、ダイナミックレンジ制御装置はダイナミックレンジを狭くすることにより画像の情報量を削減するので、動画像符号化器の前段に備え、動画像符号化器に情報量が削減された画像を入力するので、特に低ビットレートでもブロック歪みの少ない符号化を行うことができる。
【0062】
また情報量の削減はダイナミックレンジを狭くするだけで達成しているので、画像の繊細部が劣化したり、エッジ部のボケが発生したりすることがない。
【0063】
本ダイナミックレンジ制御装置は動画像符号化器とは完全に独立しているため、実装が極めて容易であるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るダイナミックレンジ制御装置の概略ブロック図である。
【図2】フィールドの複雑度を算出する様子を示す説明図である。
【図3】ダイナミックレンジ調整器3の概略ブロック図である。
【図4】ダイナミックレンジ調整器3においてダイナミックレンジ入力信号として中心値を原点として14/16倍した場合の信号変化の説明図である。
【図5】元画像信号(a)、元画像信号にプリフィルタをかけた場合(b)、元画像信号のダイナミックレンジを狭くした場合(c)を比較的に示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るダイナミックレンジ制御装置のブロック図である。
【図7】従来の技術のブロック図である。
【符号の説明】
1 統計算出部
2 複雑度記憶メモリ
3 ダイナミックレンジ調整器
4 ダイナミックレンジ制御回路
5 入力画素
6 過去複数フィールド複雑度
7 ダイナミックレンジ制御信号
8 ダイナミックレンジ入力信号
9 ダイナミックレンジ出力信号
14 ダイナミックレンジ制御回路
15 ビットレート情報
20、25 減算器
21、22、23 除算器
24、26 セレクタ
31 符号化器
【発明の属する技術分野】
本発明は、動画像の入力画素値のダイナミックレンジを狭くして情報量を削減する画像信号のダイナミックレンジ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
動画像の高能率符号化方式として、例えばMPEG方式がある。MPEGは、ISO/IEC11172やISO/IEC13818として規格化されている方式で、量子化スケールコードで量子化の粗さを変化させている。MPEG方式で符号化した動画像のビットストリームを復号する際、量子化が粗く行なわれているため、ブロック歪が目立つことがある。これは符号化時に、目標とする符号量に比べて発生符号量が多くなった場合に、発生符号量を抑えるために粗い量子化を行った場合に起こりうる。
【0003】
粗い量子化を行わずに発生符号量を抑える従来の方法としては、動画像符号化前に量子化スケールコードの大きさや符号化出力前の符号バッファの占有率などから判定して、入力画素に適応的に低域通過フィルタ(プリフィルタ)を掛ける方法がある。
【0004】
上記プリフィルタを用いるものとして、例えば特開平6ー225276号公報に開示されているものは、図7に示すように動画像の符号化器31の前に、プリフィルタ32とフィルタ制御回路33を備える可変プリフィルタ30を設けるものである。
【0005】
プリフィルタ32は、帯域可変のローパスフィルタでありフィルタ制御回路33より与えられる帯域パラメータKにより、適応的に特性を変化させ、入力画像に対し、フィルタ処理を行なう。
【0006】
フィルタ制御回路33は、図示しない動画像の符号化器より符号化出力レートIを受けとり、これに基づいて量子化スケールコードQと帯域パラメータKを決定する。
【0007】
尚、前記符号化器31は、DCT回路34、量子化回路35、可変長符号化回路36、逆量子化回路37、逆DCT回路38、動き補償付き復号画像メモリ39を有している。
【0008】
DCT回路34は、符号化器入力信号に対し、DCT演算を行う。
【0009】
量子化回路35は、DCT回路34で得られた信号に対し、フィルタ制御回路33で決定された量子化ステップサイズを用いて、量子化を行い、得られた信号を可変長符号化回路36、および逆量子化回路37へ送る。
【0010】
可変長符号化回路36は、量子化回路35で量子化された信号に対し、可変長符号などの2進符号を割り当て、伝送路に出力する。
【0011】
逆量子化回路37は、量子化回路35で用いたものと同一の量子化ステップサイズによる逆量子化を行う。
【0012】
逆DCT演算部38は、DCT回路34で行った変換の逆変換演算を行う。
【0013】
復号画像メモリ39は、局部復号された画像信号を蓄える。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなプリフィルタ30はローパスフィルタをかけるもので、画像のエッジが損なわれたり、繊細部分がボケることがあり、また動画像の符号化装置のパラメータを使用することから実装が容易でない。
【0015】
本発明は、前記の問題点を解消するためになされたものであって、制御がより簡易で、画像の繊細部を欠くことなく、情報量を抑える、動画像の符号化器に用いる、画像信号のダイナミックレンジ制御装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、次の構成を有する。
本発明は、入力画像の複雑度を計算し、過去複数フィールドの画像の複雑度に応じて、適応的に現フィールドの画素値のダイナミックレンジを変化させて、画像のエッジや繊細部を維持したまま情報量を削減することを特徴とする。
【0017】
本発明の第1の要旨は、所定入力フィールド分の画像信号の複雑度を算出する複雑度算出手段と、前記複雑度に応じて、画像信号のダイナミックレンジを変化させるダイナミックレンジ調整手段と、を有することを特徴とする画像信号のダイナミックレンジ制御装置にある。
【0018】
本発明の第1の要旨によれば、複雑度算出手段が所定入力フレーム又はフィールド分の画像信号の複雑度を定量的(例えば、数量、数値)に算出することで、後の符号化器での画像信号の符号化量を判断できる。よって、係る複雑度が高い場合、すなわち符号化量が多くなる合には画像信号のダイナミックレンジを小さくすることで符号化画像情報量を抑えることができる。本発明の要旨によれば、符号化器への画像信号の削除手段として、信号のダイナミックレンジを小さくする手段とするため、画像の繊細部を欠くことなく符号化画像情報量を抑えることができる。
【0019】
本発明の第2の要旨は、要旨1記載の画像信号のダイナミックレンジ制御装置において、前記画像信号の複雑度は、水平方向の隣接する画素信号の差分値に基づいて算出することにある。
【0020】
本発明の第2の要旨によれば、画素信号単位で隣接する画素値の変化量を求めることで複雑度が容易に計算できる。
【0021】
本発明の第3の要旨は、要旨1記載の画像信号のダイナミックレンジ制御装置において、前記画像信号の複雑度は、所定数の画素信号を平均した平均画素信号と入力画素信号との差分値に基づいて算出することにある。
【0022】
本発明の第3の要旨によれば、所定数の画素信号、例えば1ラインの画素信号の平均画素信号との差異を求めることで複雑度が容易に計算できる。
【0023】
本発明の第4の要旨は、要旨2乃至3に記載の画像信号のダイナミックレンジ制御装置において、複数フレーム又はフレームの複雑度を記憶するメモリを有し、前記ダイナミックレンジ調整手段は、前記複数フレーム又はフィールドの複雑度に基づいて、前記画像信号のダイナミックレンジを変化させることにある。
【0024】
本発明の第4の要旨によれば、複数フレーム又はフィールドの複雑度に基づいて複雑度を決定することで、より正確な複雑度を求めることができる。
【0025】
本発明の第5の要旨は、要旨4記載の画像信号のダイナミックレンジ制御装置において、前記ダイナミックレンジ調整手段は、前記複数フレーム又はフィールドの複雑度に重み付けを行い、前記重み付けは、第2フレーム又はフィールドよりも現入力フレーム又はフィールドに近い第1フレーム又はフィールドの複雑度への第1重みを、前記第2フレーム又はフィールドの複雑度への第2重みよりも大きくすることにある。
【0026】
本発明の第5の要旨によれば、画像は時間と共に連続的に変化するために、現フレーム又はフィールドに時間的に近いフレーム又はフィールドほど画像自体が類似するため、現フレーム又はフィールドに時間的に近いフレーム又はフィールドの重みを高くし、時間的に遠いフレーム又はフィールドの複雑度の重みを低くすることとで、より現在画像のフレーム又はフィールドの複雑度をより正確に算出できる。
【0027】
本発明の第6の要旨は、要旨1乃至5記載の画像信号のダイナミックレンジ制御装置において、動画像のビットレートを示す情報を入力して、ビットレートを示す情報に応じて入力画素信号のダイナミックレンジを変化させることにある。
【0028】
本発明の第6の要旨によれば、ビットレートを示す情報、例えば録音モード等が得られれば、ダイナミックレンジを変化させる必要のないケースを識別できるので、ダイナミックレンジを変化させる必要のない場合にはそのまま符号化器に送ることができるので、画像信号のダイナミックレンジ制御の処理量を適切に減らすことができ、処理の効率化が図れる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
1画面で表示する2次元画像は、1次元の電気信号として伝達するために(1次元画像に並べ替えため)、従来知られる通り、該画像を垂直方向に走査線数n本で標本化した1フレームで構成する。該1フレームは、走査線数n/2本の2フィールドで構成され、該2フィールドは奇数本目の走査線に相当する奇数フィールドと、偶数本目の走査線に相当する偶数フィールドで構成される。また、1走査線に相当する水平方向の画像を1ラインとし、1フレームはnラインから構成され、1フィールドはn/2ラインより構成される。
【0030】
本実施形態では、上記走査後の1次元の電気信号の画素値(画素信号)を、順次、以下のダイナミックレンジ制御装置DCを介してダイナミックレンジを制御した後に、符号化器に入力する。
【0031】
図1は、符号化器31に対して信号伝達方向上流側に位置するダイナミックレンジ制御装置DCを示している。ダイナミックレンジ制御装置DCは、統計量算出部1、過去複数フィールドの画像の複雑度を記憶させる複雑度記憶メモリ2、ダイナミックレンジ調整器3及びダイナミックレンジ制御回路4を有し、それらにより画像のダイナミックレンジを圧縮するものであり、ダイナミックレンジを圧縮した画像を符号化器31に送る。
【0032】
尚、符号化器31は、画像の符号化を行うものであればよく、本実施形態では前記した動画像の符号化器31を用い、詳細な説明は省略する。
【0033】
統計量算出部1では、入力画素のライン毎の所定パラメータ(変数、特質、要素等)に関する統計量を計算する。
【0034】
例えば、上記所定パラメータとして水平方向に隣接する画素の絶対差分を採り、その統計量として該絶対差分の1ライン分の平均値をとる。水平方向に隣接する画素の絶対差分Sの算出式を下記式(1)に示す。尚、式(1)のP(X)は入力画素値である。
【数1】
【0035】
統計量算出部1では、隣接画素の差分を算出して、1ライン中の720画素について719個の隣接画素差分を記憶するメモリを有し、メモリに記憶した719個の隣接画素差分の平均値をライン平均差分として算出する。
【0036】
その他の所定パラメータとして、水平方向(1ライン)の全画素の平均値と各画素の絶対差分を採り、その統計量として該絶対差分の1ライン分の合計値(ライン合計差分:以下、「アクィビティ」という)ともできる。アクティビティ(ACTIVITY)は、下記式(2)および式(3)により算出される。尚、式(2)、(3)のP(X)は入力画素値である。
【数2】
【0037】
尚、図1の実施の形態は統計量として隣接差分の1ライン分の平均値やアクティビティ(1ラインの平均値との絶対差分の合計)を算出するものであるが、ライン単位で画素の特徴を表すものであればこれ以外のものでも構わない。
【0038】
図1の複雑度記憶メモリ2は、統計量算出部1から与えられる1フィールド中の全ラインである240個ラインについて前記ライン平均差分又はアクティビティの平均値をフィールド平均差分SBARとして算出する。
【0039】
フィールドの複雑度は、フィールド平均差分SBARの値によって複数レベルに分類した、例えば、0から3のいずれかの数値、分類記号として表現できる。この分類例の様子を図2に示す。図2ではフィールド平均差分SBARに対して閾値THR1、THR2及びTHR3を設けて「0」、「1」、「2」、「3」のいずれかに分類し、この値をフィールドの複雑度としている。
【0040】
例えば、図2ではフィールド平均差分SBARが閾値THR1以上かつ閾値THR2以下なのでフィールドの複雑度は「1」となる。そして複雑度記憶メモリ2はこの複雑度をメモリに記憶する。
【0041】
上記閾値THR1、THR2及びTHR3は等間隔でも、そうでなくともよい。また一例として閾値THR1、THR2及びTHR3の3つを設けたがこれ以外でもよい。
【0042】
ダイナミックレンジ制御回路4では、複雑度記憶メモリ2で得られた過去複数フィールドの複雑度を示す複雑度信号6からダイナミックレンジ制御信号7を決定する。その際現フィールドに近いフィールドの複雑度に重みが付けられて、ダイナミックレンジ制御信号7が計算される。本実施の形態ではダイナミックレンジ制御信号7は、下記式(4)により算出される。式(4)で「COMP(N)」はNフィールド前の複雑度を示し、「M(N)」はNフィールド前の複雑度に対する重み係数であり、M(N)≧M(N+1)、N=1〜20の関係とする。
【数3】
【0043】
上記式(4)では現フィールドに近いNフィールド前の複雑度は現フィールドから離れたN+1フィールド前の複雑度より高い重み係数M(N)がつけられている。重み係数の総和は1であり、ダイナミックレンジ制御信号7は整数に丸められて0から3のいずれかの値となる。前記Nフィールドの数は、任意に設定できるものであり1以上のフィールドであればよい。
【0044】
ダイナミックレンジ調整器3は、ダイナミックレンジ制御信号7によって入力画素のダイナミックレンジを変更するものである。ダイナミックレンジ調整器3の詳細を図3に示す。図3のダイナミックレンジ調整器3では、ダイナミックレンジ入力信号8を変更した信号が4種類生成され、ダイナミックレンジ制御信号7によって、前記4種類の信号から1つ選択され、ダイナミックレンジ出力信号9として出力される。
【0045】
図3では、まず減算器20でダイナミックレンジ入力信号8と画素の中心値128の差分が算出され信号100となる。除算器21、22では、信号100をそれぞれ1/16、1/8して信号101及び102を生成する。除算器23では、信号100を加算器23aで3回加算することで信号100を3倍した信号をさらに1/16倍して信号103を生成する。
【0046】
ダイナミックレンジ制御回路4から入力されるダイナミックレンジ制御信号7が複雑度「1」、「2」及び「3」のときは、セレクタ24により信号104としてそれぞれ信号101、信号102及び信号103が選択される。すなわち、ダイナミックレンジ制御信号7が複雑度「1」の時には信号101が、制御信号7が複雑度「2」の時には信号102が、制御信号7が複雑度「3」の時には信号103が、信号104となる。
【0047】
減算器25では、ダイナミックレンジ入力信号8と信号104の差分が算出され信号105となる。
【0048】
セレクタ26には、ダイナミックレンジ入力信号8と信号105とが入力され、ダイナミックレンジ制御信号7が複雑度「0」の時には、ダイナミックレンジ入力信号8をダイナミックレンジ出力信号9として選択出力し、制御信号7が複雑度「1」〜「3」では信号105をダイナミックレンジ出力信号9として選択出力される。
【0049】
以上により、ダイナミックレンジ制御信号7の複雑度「0」、「1」、「2」及び「3」に対応してダイナミックレンジ入力信号8をそれぞれ1倍、15/16倍、14/16倍及び13/16倍したダイナミックレンジ出力信号9が生成され、図示しない符号化器に送られることとなる。
【0050】
一例として図4にダイナミックレンジ入力信号8を画素の中心値128を原点として14/16倍する場合(複雑度「2」の場合)を説明する。ダイナミックレンジ入力信号8の範囲は、画素値16から240で中心値は128であるものとする。図4の(a)にダイナミックレンジ入力信号8が中心値に対して+の場合と−の場合を示す。
【0051】
図3の減算器20でダイナミックレンジ入力信号8と中心値128との差分である信号100が作成される様子を図4の(b)に示す。ダイナミックレンジ入力信号8が中心値に対して−の方向にある場合、ダイナミックレンジ入力信号8と中心値との差分の符号は−になる。
【0052】
図3の信号100が除算器22によって1/8倍され信号102として出力される様子を図4の(c)に示す。ここでもダイナミックレンジ入力信号8が中心値に対して−の方向にある場合、信号102の符号は−になる。
【0053】
図3でダイナミックレンジ制御信号7として複雑度「2」が入力され、セレクタ24によって、信号104として前記信号102が選択される。減算器25ではダイナミックレンジ入力信号8と信号104の差分である信号105が生成される。そしてセレクタ26によってダイナミックレンジ出力信号9として信号105が選択される。これがダイナミックレンジ入力信号8について中心値を原点として14/16倍したものでこの様子を図4の(d)に示す。
【0054】
ダイナミックレンジ入力信号8が中心値に対して+の方向にある場合、−の方向にある場合ともに図4の(d)で示したダイナミックレンジ出力信号9は、ダイナミックレンジ入力信号8よりも中心値に近い。即ちダイナミックレンジ入力信号8のダイナミックレンジが狭くなって符号化器、例えば従来技術として説明した図7の符号化器31に入力される。
【0055】
尚、上記ダイナミックレンジを変更する出力信号9として、ダイナミックレンジ入力信号8の15/16倍、14/16倍及び13/16倍の信号を生成するものを説明したがそれに限定するものではなく、生成信号の数(選択信号の数)や元画素値との倍率はこれに限るものではない。
【0056】
図5に、元画像信号にプリフィルタをかけた場合(従来の技術)とダイナミックレンジを狭くした場合(本実施形態)の画素値の変化の様子を示す。図5の(a)は元画像信号で、急峻なエッジがある場合である。図5の(b)は(a)の元画像信号に対して、プリフィルタをかけた場合の信号でプリフィルタによる高帯域カットにより、前記(a)における急峻なエッジが損なわれ視覚的にボケたものになる。図5の(c)は(a)の元画像信号に対して、ダイナミックレンジを狭くした場合の信号で、画素値が元画像のものに比べ小さくなるだけで、エッジが保存されている。このように、本発明の実施の形態では画像のエッジや繊細部が保存されるため、視覚的な効果は高い。
【0057】
<第2の実施の形態>
図6に本発明の第2の実施の形態のブロック図を示す。本実施形態は、前記第1の実施の形態とダイナミックレンジ制御回路のみが異なり、図6では前記第1の実施の形態の構成と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図6においてダイナミックレンジ制御回路14には過去複数フィールドの複雑度とともにビットレートを示す情報15が入力される。
【0058】
ビットレート情報として、例えば通常録画モードか長時間録画モードのいずれかを示す情報があるものとする。長時間録画モードでは、ビットレートを抑えて録画する必要があり、ビットレートを抑えてかつ画質も良好な状態を保持するために、ダイナミックレンジを狭くして情報量を少なくする。逆に、通常録画モードでは情報量を削減する必要はない。ゆえに、長時間録画モードではダイナミックレンジ制御を有効(使用)にして、通常録画モードではダイナミックレンジ制御を無効(不使用)にする。従って、ダイナミックレンジ制御回路14に長時間録画モード情報が入力された場合には、第1の実施の形態と同様にダイナミックレンジ制御信号7を算出してダイナミックレンジ調整器3に出力し、ダイナミックレンジ制御回路14に通常録画モード情報が入力された場合にはダイナミックレンジ制御信号7として「0」を出力し、ダイナミックレンジ入力信号8をダイナミックレンジ出力信号9として出力する。
【0059】
本実施形態によれば、ビットレート情報をも加味することで、不必要なダイナミックレンジ制御を抑えることができ、処理の効率化が図れる。
【0060】
尚、上記本実施形態では、フィールドの複雑度からダイナミックレンジを変更する説明を行ったが、フレームの複雑度からダイナミックレンジを変更しても同様の作用効果を得ることができる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、ダイナミックレンジ制御装置はダイナミックレンジを狭くすることにより画像の情報量を削減するので、動画像符号化器の前段に備え、動画像符号化器に情報量が削減された画像を入力するので、特に低ビットレートでもブロック歪みの少ない符号化を行うことができる。
【0062】
また情報量の削減はダイナミックレンジを狭くするだけで達成しているので、画像の繊細部が劣化したり、エッジ部のボケが発生したりすることがない。
【0063】
本ダイナミックレンジ制御装置は動画像符号化器とは完全に独立しているため、実装が極めて容易であるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るダイナミックレンジ制御装置の概略ブロック図である。
【図2】フィールドの複雑度を算出する様子を示す説明図である。
【図3】ダイナミックレンジ調整器3の概略ブロック図である。
【図4】ダイナミックレンジ調整器3においてダイナミックレンジ入力信号として中心値を原点として14/16倍した場合の信号変化の説明図である。
【図5】元画像信号(a)、元画像信号にプリフィルタをかけた場合(b)、元画像信号のダイナミックレンジを狭くした場合(c)を比較的に示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るダイナミックレンジ制御装置のブロック図である。
【図7】従来の技術のブロック図である。
【符号の説明】
1 統計算出部
2 複雑度記憶メモリ
3 ダイナミックレンジ調整器
4 ダイナミックレンジ制御回路
5 入力画素
6 過去複数フィールド複雑度
7 ダイナミックレンジ制御信号
8 ダイナミックレンジ入力信号
9 ダイナミックレンジ出力信号
14 ダイナミックレンジ制御回路
15 ビットレート情報
20、25 減算器
21、22、23 除算器
24、26 セレクタ
31 符号化器
Claims (6)
- 所定入力フレーム又はフィールド分の画像信号の複雑度を算出する複雑度算出手段と、
前記複雑度に応じて、画像信号のダイナミックレンジを変化させるダイナミックレンジ調整手段と、を有することを特徴とする画像信号のダイナミックレンジ制御装置。 - 請求項1記載の画像信号のダイナミックレンジ制御装置において、
前記画像信号の複雑度は、水平方向の隣接する画素信号の差分値に基づいて算出することを特徴とする画像信号のダイナミックレンジ制御装置。 - 請求項1記載の画像信号のダイナミックレンジ制御装置において、
前記画像信号の複雑度は、所定数の画素信号を平均した平均画素信号と入力画素信号との差分値に基づいて算出することを特徴とする画像信号のダイナミックレンジ制御装置。 - 請求項2乃至3に記載の画像信号のダイナミックレンジ制御装置において、
複数フレーム又はフィールドの複雑度を記憶するメモリを有し、
前記ダイナミックレンジ調整手段は、前記複数フレーム又はフィールドの複雑度に基づいて、前記画像信号のダイナミックレンジを変化させることを特徴とする画像信号のダイナミックレンジ制御装置。 - 請求項4記載の画像信号のダイナミックレンジ制御装置において、
前記ダイナミックレンジ調整手段は、前記複数フレーム又はフィールドの複雑度に重み付けを行い、
前記重み付けは、第2フレーム又はフィールドよりも現入力フレーム又はフィールドに近い第1フレーム又はフィールドの複雑度への第1重みを、前記第2フレーム又はフィールドの複雑度への第2重みよりも大きくすることを特徴とする画像信号のダイナミックレンジ制御装置。 - 請求項1乃至5記載の画像信号のダイナミックレンジ制御装置において、
動画像のビットレートを示す情報を入力して、ビットレートを示す情報に応じて入力画素信号のダイナミックレンジを変化させることを特徴とする画像信号のダイナミックレンジ制御装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013077049A (ja) * | 2011-09-29 | 2013-04-25 | Nippon Hoso Kyokai <Nhk> | 画像復元装置、画像復元方法およびプログラム |
JP2013174882A (ja) * | 2010-12-03 | 2013-09-05 | Yamaha Corp | コンテンツ再生装置およびコンテンツ処理方法 |
JP2016143898A (ja) * | 2015-01-29 | 2016-08-08 | キヤノン株式会社 | 符号化装置、符号化装置の制御方法、及びプログラム |
JP2018032921A (ja) * | 2016-08-23 | 2018-03-01 | 沖電気工業株式会社 | 画像処理システム及び画像復号装置 |
-
2002
- 2002-06-11 JP JP2002170024A patent/JP2004015708A/ja active Pending
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