JP3901132B2 - エンジンの始動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンの始動装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
例えば環境保護のために排気エミッションを可及的に抑制するアイドルストップ車両では、停車中に所定の条件が整えばエンジンが自動停止され、次にブレーキペダルが解放されてアクセルペダルが踏み込まれる等して発進するときにはエンジンが自動再始動される。したがってこのような環境対応型車両では頻繁にエンジンの始動が行われる。
【0003】
一般に、エンジンの始動時には、スタータモータで駆動されるピニオンを、ソレノイド等のアクチュエータを用いて軸方向に移動させてクランクシャフトに一体の外歯のリングギヤに噛合させ、この状態でピニオンを駆動してリングギヤ及びクランクシャフトを回転させることによりエンジンを始動する(例えば特許文献1参照)。ここで、ピニオンの軸方向の移動時に該ピニオンの歯とリングギヤの歯とが衝突して異音が発生することがあり、この衝突音の問題は、通常車両のみならず、特にエンジン始動が頻繁に行われる上記アイドルストップ車両において顕著となる。
【0004】
そこで、上記衝突音を解消するサイレントスタートの技術が知られている。例えば、ピニオンを微小量回しながらリングギヤに噛み合わせることが提案されている。しかし、この技術は緻密な電気的制御を必要とし、スタータモータに汎用されるDCモータでは適用が困難である。また、歯と歯を噛み合わせなくて済むベルト駆動式のスタータも提案されている。つまり、スタータモータのプーリとクランクシャフトのプーリとをベルトで連結するのである。しかし、この場合、スタータは、同様にクランクシャフトとベルトで連結され駆動される他の補機類と共にエンジン本体の一端部(例えば前部)に配設されることになるので、どうしてもプーリやベルトの幅だけエンジンの気筒列方向(クランクシャフトの軸方向)の長さが増大する。
【0005】
加えて、アイドルストップ車両では、すばやくエンジンを再始動する迅速スタートのために、ピニオンのプリセット方式が採用されることがある(例えば特許文献2参照)。つまり、エンジンが自動停止されるとすぐにピニオンをリングギヤに噛み合せておいて次の発進に備えるのである。しかし、従来のソレノイド等のアクチュエータによる軸方向の飛び出し方式の構造では、アイドルストップ中ピニオンをずっとリングギヤに噛合させておくために、上記ソレノイド等のアクチュエータを長時間ONにしておかねばならず、エネルギ消費が増えて好ましくない。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−303236号公報
【特許文献2】
特開2002−257014号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、複雑なスタータモータの電気的制御をせずに済み、またエンジンのコンパクト化を阻害しないサイレントスタート、及びエネルギ消費の増大をもたらさない迅速スタートが実現可能なエンジンの始動装置の提供を課題とする。以下、その他の課題を含め、本発明を詳しく説明する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本願の請求項1に記載の発明は、スタータモータで駆動される駆動ギヤをクランクシャフトのリングギヤに噛合させて上記クランクシャフトを回転させることによりエンジンを始動するエンジンの始動装置であって、上記駆動ギヤが上記リングギヤに対し該リングギヤの径方向に移動可能に設けられ、該駆動ギヤを上記リングギヤの外方から径方向に移動させて該リングギヤに噛合させるアクチュエータが備えられており、上記駆動ギヤは、エンジン本体側に固定されたスタータモータのピニオンと常時噛合しながら該ピニオンの回転中心を中心とする円弧状の経路を移動可能に構成されたアイドルギヤであり、上記アクチュエータは、該アイドルギヤを上記円弧状経路に沿って移動させるように構成されており、かつ、上記アイドルギヤより歯数の少ない補助ギヤが該アイドルギヤと同軸にかつ周方向に付勢されて設けられ、該補助ギヤの歯と上記アイドルギヤの歯とにより、該アイドルギヤの歯同士によるピッチよりも狭いピッチが生成していることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、スタータモータで駆動される駆動ギヤをリングギヤの外方から該リングギヤの径方向に移動させて該リングギヤに噛合させるので、従来のように軸方向に移動させてリングギヤに噛合させるよりも、歯と歯が衝突する確立が低くなり、また衝突の衝撃も小さくなって、衝突音の問題が低減される。そして、その場合に、駆動ギヤをリングギヤの外方から径方向に移動させるだけなので、例えば従来のように駆動ギヤを微小量回しながらリングギヤに噛み合わせる、というような複雑・緻密なスタータモータの電気的制御をせずに済む。また、駆動ギヤとしてピニオンで回転されるアイドルギヤを採用し、該アイドルギヤを円弧軌跡を描くように径方向に移動させるから、スタータモータを可動構造にしなくて済む。更に、アイドルギヤと補助ギヤとで所謂シザーズギヤ構造が形成され、アイドルギヤに歯と歯のピッチが異なる部位が生成して、アイドルギヤが相対的に狭いピッチの部位でリングギヤと遭遇して噛合することにより、該アイドルギヤの歯とリングギヤの歯とが確実・円滑に噛み合うようになる。
【0010】
なお、ここで、駆動ギヤは、スタータモータで直接駆動されるピニオンであってもよいし、また、該ピニオンで回転される中間ギヤ等であってもよい。さらに、駆動ギヤの径方向の移動は、直線軌跡を描くものであってもよい。
【0013】
次に、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、アイドルギヤがリングギヤに噛合したときの該アイドルギヤの回転中心は、ピニオンの回転中心とリングギヤの回転中心とを結ぶラインよりもリングギヤの回転方向の前方側に位置していることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、エンジンが始動すると、その回転を受けて、リングギヤと噛合していたアイドルギヤが自然とリングギヤから離脱するので、アクチュエータは、アイドルギヤをリングギヤから離脱する方向に移動させる必要がなくなる。
【0015】
また、始動前のクランキング時は、リングギヤを回転させる反力により、アイドルギヤはリングギヤに食い込む方向に力が作用するため、アクチュエータをOFFとすることができる。
【0016】
加えて、アイドルギヤをリングギヤに噛合させるときは、アイドルギヤの歯がリングギヤの歯に食い込む方向にアイドルギヤを移動させるから、両ギヤの噛み合い後にアクチュエータをOFFにしても両ギヤは外れることがない。したがって、迅速スタートのためにアイドルギヤをプリセットしておく場合に、該アイドルギヤをアイドルストップ中ずっとリングギヤに噛合させておくためにソレノイド等のアクチュエータを長時間ONにしておく必要がなくなり、エネルギ消費の増大をもたらさない。
【0019】
次に、請求項3に記載の発明は、上記請求項1又は2に記載の発明において、補助ギヤの歯とアイドルギヤの歯とによる狭いピッチの部位でリングギヤと噛合するように、アイドルギヤの位相を、該アイドルギヤをリングギヤに向けて円弧状経路に沿って移動させている途中で調整する噛合部位調整手段が備えられていることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、アイドルギヤをリングギヤに噛合させる前に円弧状の移動経路上でアイドルギヤの位相を調整するから、アイドルギヤの歯とリングギヤの歯とがより一層確実・円滑に噛み合うようになる。
【0021】
次に、請求項4に記載の発明は、上記請求項3に記載の発明において、噛合部位調整手段は、アイドルギヤの円弧状経路に進出してリングギヤに向けて移動中のアイドルギヤに当接する当接部材を含むことを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、アイドルギヤがリングギヤに向けて移動するときの推進力によってアイドルギヤが当接部材に押圧されて回転し、位相が調整される。
【0023】
次に、請求項5に記載の発明は、上記請求項4に記載の発明において、ピニオンは、アイドルギヤがリングギヤに向けて移動することで該アイドルギヤから受ける回転の方向には回転が規制され、アイドルギヤがリングギヤに向けて移動中に該アイドルギヤが当接部材と当接することで該アイドルギヤから受ける回転の方向には回転が許容されることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、アイドルギヤがリングギヤに向けて移動するときは、ピニオンの回転が規制されるから、アイドルギヤが1方向に回転せざるを得なくなる。そして、その途中で、アイドルギヤが当接部材と当接したときは、ピニオンの回転が許容されるから、アイドルギヤが逆方向に回転することができる。その結果、リングギヤとの噛合前にアイドルギヤが当接部材に押圧されて確実に回転し、位相が調整される。
【0025】
次に、請求項6に記載の発明は、上記請求項5に記載の発明において、ピニオンとスタータモータとの間に、スタータモータ側からピニオン側へエンジン始動の方向に回転が伝達されるときはロックし、ピニオン側からスタータモータ側へ同方向に回転が伝達されるときにはフリーとなるワンウェイクラッチが備えられて、該ワンウェイクラッチにより、ピニオンの回転の規制及び回転の許容が達成されることを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、エンジン始動後のエンジンの高速回転によりスタータモータが過回転することを防止するためにもともとピニオンとスタータモータとの間に備えられているワンウェイクラッチを利用して、上記のようなピニオンの回転の規制及び回転の許容が達成されるから、それ専用の機構を省略でき、部品点数及びコストの削減が図れる。
【0027】
次に、請求項7に記載の発明は、上記請求項1から6のいずれかに記載の発明において、スタータモータとアクチュエータとが単一のケースにユニット化されて、エンジン本体と変速機との連結部において、シリンダブロックの側面に配置されていることを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、スタータユニットを通常通りにエンジン本体の後部に配設できるから、エンジンの気筒列方向(クランクシャフトの軸方向)の長さが増大せず、エンジンのコンパクト化を阻害しない。以下、発明の実施の形態を通して、本発明をさらに詳しく説明する。
【0029】
【発明の実施の形態】
本実施の形態においては、本発明は、図1に示すエンジン1に適用されている。このエンジン1は、車体前部のエンジンルーム内に気筒列及びクランクシャフトが前後方向に延びるように縦置きされている。エンジン本体の後部には自動変速機2が連結されている。なお、図例では、エンジン縦置きの場合を示すが、例えばFF車両での横置きエンジンにも本発明が適用可能なことはいうまでもない。
【0030】
このエンジン1は、アイドルストップ車両に搭載され、車両の停車中に所定の条件が整えば自動停止され、次の発進時には自動再始動される。したがって、このエンジン1は、アイドルストップ車両でない通常の車両等と比べると、頻繁に停止及び始動が実行される。
【0031】
上記エンジン1の始動に用いられるスタータ3は、エンジン本体の後部において、該エンジン本体と自動変速機2との連結部(より詳しくはトルクコンバータとの連結部)に配置されている。スタータ3は、シリンダブロックの側面に組み付けられ、エンジン1と自動変速機2との間にあるフライホイール4の外周部に形成された外歯のリングギヤ5に臨んでいる。
【0032】
図2に示すように、スタータ3は、スタータモータ11とソレノイド12とが単一のケース13にユニット化された構造である。ケース13はハウジング14とカバー15とを含み、ハウジング14にスタータモータ11が、カバー15にソレノイド12が組み付けられている。
【0033】
スタータモータ11は、内蔵された回転軸11aと、外部に突出した出力軸11bとの間に、遊星歯車式の減速機構11cを備え、上記出力軸11bにピニオン16が一体に固定されている。ピニオン16にはアイドルギヤ17が常時噛合している。アイドルギヤ17は、後に詳しく述べるように、同軸に並設された2つのギヤ18,19からなり、スイングアーム20に立設された軸21に回転自在に支持されている。スイングアーム20は円柱ボス22を有し、該ボス22がカバー15にベアリング23,23で回転自在に支持されて、スイングアーム20はボス22を中心に揺動可能である。その場合に、ボス22の回転中心と、スタータモータ11の出力軸11bの回転中心とが一致している。これにより、アイドルギヤ17は、ピニオン16との噛合状態を維持したままで、該ピニオン16の周囲を該ピニオン16の回転中心を中心とする円弧状の軌跡を描きながら移動する。
【0034】
カバー15は、上記円柱ボス22の長さ方向とほぼ平行に広がる組み付け壁15aを有し、ソレノイド12は、該組み付け壁15aに組み付けられて、ソレノイド12のプランジャ24が円柱ボス22と交差するように突出している。そして、上記プランジャ24の端部が円柱ボス22の端面にピン25で係止されている。これにより、ソレノイド12が通電されて、図3に矢印アで示すようにプランジャ24が引き込まれると、図4に矢印イで示すようにスイングアーム20がソレノイド12に近づくように揺動し、アイドルギヤ17がリングギヤ5の外方から該リングギヤ5の径方向に移動して、最終的に図5及び図2に示すようにアイドルギヤ17がリングギヤ5に噛合する。
【0035】
なお、図3〜図5に示した矢印Xは、リングギヤ5の回転方向を表す。また、図4及び図5に示した点Aは、ピン25の位置、すなわち円柱ボス22とプランジャ24との連結点を表す。
【0036】
図5に明らかなように、スイングアーム20に突出部20aが形成されており、該突出部20aがハウジング14に備えられたストッパ部30に当接することにより、スイングアーム20のそれ以上の揺動が規制されている。ストッパ部30は、例えばハウジング14に固着されたナットに螺合したボルトの端部で構成されており、該ボルト端部の突出長さを調整することにより、アイドルギヤ17のリングギヤ5との噛合位置(噛み込み度合い)が調整可能である。
【0037】
このように、本実施形態では、スタータモータ11で駆動されるアイドルギヤ17をリングギヤ5の外方から該リングギヤ5の径方向に移動させて該リングギヤ5に噛合させるようにしたから、例えば従来のようにピニオン16を軸方向に移動させてリングギヤ5に噛合させるよりも、歯と歯が衝突する確立が低くなり、また衝突の衝撃も小さくなって、衝突音の問題が低減される。そして、その場合に、アイドルギヤ17をリングギヤ5の外方から径方向イに移動させるだけなので、例えば従来のようにピニオン16を微小量回しながらリングギヤ5に噛み合わせる、というような複雑・緻密なスタータモータ11の電気的制御をせずに済む。
【0038】
なお、本実施形態では、アイドルギヤ17を円弧状経路に沿って移動させるようにしたが、これに限らず、例えば直線状経路に沿って移動させるようにしてもよい。また、本実施形態では、ピニオン16で回転されるアイドルギヤ17を採用し、該アイドルギヤ17を円弧状経路に沿って移動させるようにしたから、スタータモータ11を可動構造にしなくて済む、という利点がある。ただし、これに限らず、状況に応じて、アイドルギヤ17を採用せず、スタータモータ11で直接駆動されるピニオン16をリングギヤ5の外方から径方向に移動させて、該ピニオン16をリングギヤ5に噛合させるようにしてもよい。
【0039】
ここで、図6に示すように、アイドルギヤ17がリングギヤ5に噛合したときの該アイドルギヤ17の回転中心(ピン21で代表する)は、ピニオン16の回転中心(出力軸11bで代表する)とリングギヤ5の回転中心とを結ぶラインLよりもリングギヤ5の回転方向Xの前方側に位置している。
【0040】
これにより、アイドルギヤ17を矢印イ方向に移動させてリングギヤ5に噛合させるときは、該アイドルギヤ17の歯がリングギヤ5の歯に食い込む方向に該アイドルギヤ17を移動させることになるから、両ギヤ17,5の噛み合い後にソレノイド(アクチュエータ)12をOFFにしても両ギヤ17,5は外れることがない。したがって、迅速スタートのためにアイドルギヤ17をプリセットしておく場合に、該アイドルギヤ17をアイドルストップ中ずっとリングギヤ5に噛合させておくためにソレノイド12を長時間ONにしておく必要がなくなり、エネルギ消費の増大が回避される。
【0041】
また、エンジン1の始動前のクランキング時には、リングギヤ5を回転させる反力により、アイドルギヤ17はリングギヤ5に食い込む方向に力が作用するため、アクチュエータをOFFにしても、アイドルギヤ17がリングギヤ5から外れたりすることがなく、この時点でアクチュエータをOFFとすることができる。
【0042】
そして、エンジン1が始動すると、リングギヤ5と噛合していたアイドルギヤ17は、今度は、その回転を受けて、リングギヤ5から跳ね飛ばされて、自然と該リングギヤ5から矢印ウ方向に離脱するので、ソレノイド12は、アイドルギヤ17をリングギヤ5から離脱する方向ウに移動させなくて済み、この点においても、エネルギ消費の増大が回避される。
【0043】
加えて、スタータモータ11とソレノイド12とを単一のケース13にユニット化して、エンジン本体と自動変速機2との連結部において、シリンダブロックの側面に組み付けたから、このスタータユニット3を通常通りにエンジン本体の後部に配置でき、したがって、エンジン1の縦方向(気筒列方向あるいはクランクシャフトの軸方向)の長さが増大せず、エンジン1のコンパクト化が阻害されない。
【0044】
ところで、このようにアイドルギヤ17を揺動させることにより、アイドルギヤ17をリングギヤ5に噛合させることを企図した場合、図7に例示したように、アイドルギヤ17の隣接する2つの歯がリングギヤ5の隣接する2つの歯に同時に乗り上げて、円滑な噛合が実現しなくなることが考えられる。このようなことは現実に生じることは稀ではあるが、万一のことを考慮し、商品性を高めるために対策することがより好ましい。
【0045】
すなわち、いま、スタータモータ11がOFFで、ピニオン16が回転していないものとすると、アイドルギヤ17が待機位置(図3、図4に示す位置)から矢印イ方向に揺動する(公転する)に伴い、アイドルギヤ17はピニオン16との噛合により矢印g方向に回転する(自転する)。このときの詳細は図13以下でさらに後述する。噛合が最も円滑・良好に進行する事例の1つは、アイドルギヤ17がリングギヤ5に遭遇するときに、例えばアイドルギヤ17の歯の1つがリングギヤ5の隣接する2つの歯の間(ピッチ)に入っていって収まることである。しかし、アイドルギヤ17の回転の姿勢あるいは位相はその都度ばらばらであるから、多くの場合は、アイドルギヤ17の歯の1つがリングギヤ5の歯の1つの側面に当たり、そこを支点として、揺動の推進力を受けて、今度はアイドルギヤ17が矢印f方向に回転をして、その結果、揺動方向イに1つ隣接するアイドルギヤ17の歯がリングギヤ5のピッチに落ちていって収まることが起こる。
【0046】
ところが、図7に例示したように、最初のアイドルギヤ17の歯とリングギヤ5の歯との当接が歯先に近いところで起こると(符号i)、次のアイドルギヤ17の歯とリングギヤ5の歯との当接もまた歯先に近いところで起こり(符号ii)、その結果、アイドルギヤ17のf方向の自転、ひいてはイ方向の公転が不能となり、こじれが発生し、噛合できなくなってしまう。この問題は、アイドルギヤ17のピッチとリングギヤ5のピッチとが近似していることに原因の1つがある。
【0047】
そこで、本実施形態では、図8に例示したように、上記アイドルギヤ17に、第1、第2の2つのギヤ18,19による、いわゆるシザーズギヤ方式を採用し、第1ギヤ(本体ギヤ)18の歯と第2ギヤ(補助ギヤ)19の歯との間に相対的に狭いピッチP2を生成した。したがって、アイドルギヤ17が、この相対的に狭いピッチP2の部位でリングギヤ5と遭遇すれば、たとえ符号iiiで示したように、最初のアイドルギヤ17の歯とリングギヤ5の歯との当接が歯先に近いところで起こっても、アイドルギヤ17の次の歯は、ピッチが短いから、符号ivで示したように、リングギヤ5の次の歯の上に乗り上げることがなく、それゆえ、アイドルギヤ17は、揺動の推進力を受けて、矢印f方向に回転をして、リングギヤ5のピッチに良好に嵌り込んでいく。
【0048】
図2及び図9に詳しく示したように、アイドルギヤ17は、ピン21に同軸に回転自在に並設された本体ギヤ18と補助ギヤ19との2つのギヤで構成されている。スタータ3の背面側の補助ギヤ19は本体ギヤ18とほぼ同形状であるが、1つおきに歯が欠けている。両ギヤ18,19は環状の板バネ50により相互に回転方向α,βに付勢されている。板バネ50は、両ギヤ18,19の対向面間に介設されている。板バネ50の両端部は、両ギヤ18,19の対向面に立設されたピン18a,19aにそれぞれ係止されている。板バネ50は、径が縮小する方向に付勢力を作用し、ピン18a,19a同士を近づけようとする。
【0049】
その結果、両ギヤ18,19の歯が周方向に位相ずれを起こして、補助ギヤ19の歯が本体ギヤ18の歯から所定量だけ飛び出し、ピッチの狭い部位P2が生成する。一方、補助ギヤ19の歯が欠けている部位はピッチの広い部位P1として残る。図示しないが、アイドルギヤ17には、補助ギヤ19の歯の飛び出し量(位相ずれ量)を決定する規制手段が備えられている。該規制手段は、例えば相手方のピンに当接し、相手方のギヤをそれ以上回転させないように機能する、自分方のギヤに形成された段部等で構成される。
【0050】
ここで、本体ギヤ18の歯同士による相対的に広いピッチP1は、リングギヤ5のピッチと略同じであり、アイドルギヤ17の周縁部には、この相対的に広いピッチP1と、本体ギヤ18の歯と補助ギヤ19の歯とによる相対的に狭いピッチP2とが交互に生成している。また、図2に明らかなように、アイドルギヤ17の両ギヤ18,19ともリングギヤ5と噛合するが、ピニオン16は本体ギヤ18とのみ噛合している。
【0051】
ところが、せっかくこのようにアイドルギヤ17に短いピッチの部位P2をつくっても、アイドルギヤ17の回転姿勢あるいは位相を制御しなければ、図10に例示したように、アイドルギヤ17が広いピッチの部位P1でリングギヤ5に遭遇し、その結果、図7の場合と同様、アイドルギヤ17の隣接する2つの歯がリングギヤ5の隣接する2つの歯に同時に乗り上げて(図10の符号v,vi)、円滑な噛合が実現しなくなってしまう。
【0052】
そこで、本実施形態では、図11に例示したように、アイドルギヤ17とリングギヤ5との噛合時に、必ず、アイドルギヤ17が本体ギヤ18の歯と補助ギヤ19の歯とによる相対的に狭いピッチの部位P2でリングギヤ5に遭遇し噛合するように、該アイドルギヤ17の位相(回転姿勢)を、該アイドルギヤ17をリングギヤ5に向けて円弧状経路に沿って移動させている途中で調整する噛合部位調整手段40を備えた。該手段40は、リングギヤ5に向けてイ方向に移動中のアイドルギヤ17に当接して該アイドルギヤ17の位相を決めるバッフルレバー(じゃま板)41を含む。該レバー41は、アイドルギヤ17の円弧状経路に進出して、アイドルギヤ17の歯先が僅かに触れるか触れないかの位置にある。
【0053】
バッフルレバー41は、図4、図5に示したように、ハウジング14にピン43を介して回転自在に組み付けられている。バッフルレバー41は、図11、図12にも示したように、ピン43に巻き掛けたコイルスプリング44により、アイドルギヤ17の円弧状移動経路に進出する方向に付勢されている。このバッフルレバー41の移動経路への所定以上の進出を規制するストッパピン42が適宜部位(例えばシリンダブロック)から延設されている。
【0054】
バッフルレバー41は、図12に示したように、スタータ3の比較的正面側に配置されており、アイドルギヤ17の本体ギヤ18(より詳しくは本体ギヤ18の歯)とのみ当接可能である。しかも、図11、図12に示したように、該本体ギヤ18の歯には1つおきに切欠き18b…18bが形成されて、バッフルレバー41は、本体ギヤ18の歯と1つおきに当接する。その場合に、図11に明らかなように、切欠き18b…18bは、対応する補助ギヤ19の歯がある本体ギヤ18の歯に形成されている。したがって、バッフルレバー41は、切欠き18bのある本体ギヤ18の歯を素通りし、切欠き18bのない本体ギヤ18の歯(対応する補助ギヤ19の歯がない本体ギヤ18の歯)と当接する。
【0055】
図11に示したように、このバッフルレバー41と本体ギヤ18との当接により、アイドルギヤ17は、イ方向の揺動の推進力により、矢印f方向への回転力をバッフルレバー41から受け、位相が調整(回転姿勢が矯正)される。後に図13以下を参照して詳しく説明するように、ピニオン16は、アイドルギヤ17がこのリングギヤ5に向かう方向イに移動中にバッフルレバー41と当接することで該アイドルギヤ17から受ける回転の方向eには回転が許容されている。したがって、アイドルギヤ17は、リングギヤ5との噛合前に、バッフルレバー41に押圧されて確実に回転し、位相が調整され、その結果、リングギヤ5との円滑・良好な噛合が保証される。そして、アイドルギヤ17は、この調整された位相(回転姿勢)を起点として再びg方向に自転しながらイ方向に揺動していくことにより、リングギヤ5との噛合時には、必ず本体ギヤ18の歯と補助ギヤ19の歯とによる相対的に狭いピッチの部位P2でリングギヤ5と遭遇し、円滑・良好な噛合が達成される。
【0056】
つぎに、図13以下を参照して、アイドルギヤ17が噛合するピニオン16とスタータモータ11との間に備えられたワンウェイクラッチ60について説明する。このワンウェイクラッチ60は、スタータモータ11側(回転軸11a側)からピニオン16側(出力軸11b)へ、エンジン1の始動の方向に回転が伝達されるときはロックし、逆にピニオン16側からスタータモータ11側へ、エンジン1の始動の方向に回転が伝達されるときにはフリーとなる。つまり、このワンウェイクラッチ60は、エンジン1が完爆してエンジン1が始動した後の該エンジンの高速回転を受けてスタータモータ11が過回転することを防止し、該スタータモータ11の耐久性を図るためにもともと備えられたもので、ピニオン16(出力軸11b)とスタータモータ11(回転軸11a)との間に備えられている遊星歯車式の減速機構11cに併設されている。
【0057】
すなわち、図13において、減速機構11cのサンギヤがスタータモータ11の回転軸11aに連結している。複数のプラネタリギヤがサンギヤ及びインターナルギヤ(内歯リングギヤ)11dに噛合し、該プラネタリギヤのキャリヤがスタータモータ11の出力軸11b及びピニオン16に連結している。スタータモータ11がONされるとサンギヤ11aが矢印a方向に回転し、これを受けてプラネタリギヤは矢印b方向に自転し、インターナルギヤ11dは矢印c方向に回転しようとする。しかしワンウェイクラッチ60はこのインターナルギヤ11dの矢印c方向の回転を規制する。その結果、キャリヤないしピニオン16が矢印e方向に回転する。アイドルギヤ17はピニオン16のe方向の回転を受けてf方向に回転する。クランクシャフトのリングギヤ5は矢印X方向に回転する。
【0058】
図14に示すように、アイドルギヤ17が待機位置からイ方向に揺動するとき、該ギヤ17は矢印g方向に回転する。ピニオン16はこれを受けて矢印h方向に回転しようとし、このとき回転軸11aが回転していないから、プラネタリギヤは矢印b方向に回転しようとする。しかし、インターナルギヤ11dがc方向にはロックされるから、ピニオン16は回転せず、結局アイドルギヤ17のみがg方向に自転する。
【0059】
次に、図15に符号エで示すように、アイドルギヤ17がバッフルレバー41に当接して、f方向の回転力を受けると、ピニオン16はこれを受けて矢印e方向に回転しようとし、このとき回転軸11aが回転していないから、プラネタリギヤは矢印i方向に回転しようとする。そして、インターナルギヤ11dがd方向にはフリーであるから、ピニオン16はe方向に回転し、アイドルギヤ17はf方向に自転可能となる。つまり、アイドルギヤ17は、f方向に自転しながらイ方向に公転する。そして、その後、バッフルレバー41との当接が外れたら、アイドルギヤ17は、その当接が外れた時点での位相(回転姿勢)を起点として、図16に示すように、再び矢印g方向に回転しながら、イ方向に揺動する。
【0060】
一方、図17に示すように、エンジン1が始動し、リングギヤ5と噛合していたアイドルギヤ17がその高速回転を受けてリングギヤ5から矢印ウ方向に跳ね飛ばされたときには、アイドルギヤ17は高速回転でf方向に回転しており、バッフルレバー41を円弧状移動経路上から跳ね除けて(バッフルレバー41はスプリング44に抗して矢印オ方向に回動する)、確実に元の待機位置に復帰できる。このとき、スタータモータ11の回転軸11aは、ワンウェイクラッチ60の機能(エンジン1側からスタータモータ11側へ回転が伝達されるときフリーとなる機能)により、エンジン1側からの高速回転を受けず、耐久性が担保される。これは、アイドルギヤ17が、モータ11により回転駆動されるときの回転速度よりも高い速度でリングギヤ5により回転駆動された状態を保ったまま、バッフルレバー41にウ方向に当接した場合に奏される作用である。
【0061】
しかし、いまもし仮に、逆に、アイドルギヤ17が、バッフルレバー41にウ方向に当接したときには回転速度が落ちており、モータ11側から回転駆動力が伝達される状態にあったとしても、ピニオン16は、アイドルギヤ17がリングギヤ5から離れる方向ウに移動中にバッフルレバー41と当接することで生じる回転の方向gにはアイドルギヤ17は回転が規制(阻止)されているから、アイドルギヤ17は、やはり、安定にバッフルレバー41を円弧状移動経路上から跳ね除けて、確実に元の待機位置に復帰できる。
【0062】
このように、ワンウェイクラッチ60を利用して、ピニオン16は、アイドルギヤ17がリングギヤ5に向けてイ方向に移動することで該アイドルギヤ17から受ける回転の方向hには回転が規制され、アイドルギヤ17がリングギヤ5に向けて移動中に該アイドルギヤ17がバッフルレバー41と当接することで該アイドルギヤ17から受ける回転の方向eには回転が許容される。したがって、ピニオン16の回転をそのように制御する専用の機構を省略でき、部品点数及びコストの削減が図れる。
【0063】
なお、以上の実施の形態において、ソレノイド12をOFFにした後もアイドルギヤ17を安定に噛合位置に留めて置くために、例えばスイングアーム20をイ方向に付勢する側と、ウ方向に付勢する側とに、思案点をもったリターンスプリングを、スイングアーム20に設けてもよい。ただしスイングアーム20の離反方向ウへの移動の障害にならないようにする。
【0064】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、複雑なスタータモータの電気的制御が回避され、またエンジンのコンパクト化を阻害しないサイレントスタート、及びエネルギ消費の増大をもたらさない迅速スタートが実現可能なエンジンの始動装置が提供される。本発明は、アイドルストップ車両等の、エンジンの始動装置一般の技術分野において幅広い産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るエンジンの始動装置がエンジン及び自動変速機に対していずれの位置に配置されているかを示すパワートレインの概略側面図である。
【図2】 上記エンジンの始動装置であるスタータ及びクランクシャフトのリングギヤの位置関係を示す展開断面図である。
【図3】 図2のI−I線に沿う上記スタータの背面図である。
【図4】 図2のII−II線に沿う上記スタータの縦断面図であって、アイドルギヤが待機位置にあることを示すものである。
【図5】 同じく図2のII−II線に沿う上記スタータの縦断面図であって、アイドルギヤが噛合位置にあることを示すものである。
【図6】 スタータモータのピニオンに常時噛合しているアイドルギヤがリングギヤに噛合した状態を示す実施形態の作用説明図である。
【図7】 一般に、揺動噛合方式とした場合に起こり得る、スタータのアイドルギヤがリングギヤに円滑に噛合しない問題を示す、図6と類似の説明図である。
【図8】 上記図7の問題を解決する本発明の技術思想を示す、図7と類似の説明図である。
【図9】 上記図8に示した実施形態に係るシザーズギヤ方式のアイドルギヤの構造説明図であって、(a)はスタータの背面側から見たもの、(b)は正面側から見たものである。
【図10】 さらに、一般に、アイドルギヤをシザーズギヤ方式とした場合に起こり得る、該アイドルギヤがリングギヤに円滑に噛合しない問題を示す、図7と類似の説明図である。
【図11】 上記図10の問題を解決する本発明の技術思想を示す、図10と類似の説明図である。
【図12】 上記図11に示した実施形態に係るアイドルギヤの切欠き及びバッフルレバーの位置関係を示す展開断面図であって、概ね図4の矢印III方向から見たものである。
【図13】 スタータモータに内蔵された遊星歯車式の減速機構及び該減速機構に併設されたワンウェイクラッチの作用の説明図である。
【図14】 アイドルギヤが待機位置からリングギヤに向けて円弧状経路を移動する場合の各回転要素の回転の方向を示す、図13と類似の説明図である。
【図15】 同じくアイドルギヤがリングギヤに向けて移動中にバッフルレバーに当接した場合の各回転要素の回転の方向を示す、図13と類似の説明図である。
【図16】 同じくアイドルギヤがリングギヤに向けて移動中にバッフルレバーに当接した後の各回転要素の回転の方向を示す、図13と類似の説明図である。
【図17】 アイドルギヤが噛合位置から待機位置に向けて移動中にバッフルレバーに当接した場合の各回転要素の回転の方向を示す、図13と類似の説明図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 自動変速機
3 スタータ
5 リングギヤ
11 スタータモータ
11c 減速機構
12 ソレノイド(アクチュエータ)
13 ケース
16 ピニオン
17 アイドルギヤ(駆動ギヤ)
18,19 シザーズギヤ(本体ギヤ、補助ギヤ)
18b 切欠き
20 スイングアーム
40 噛合部位調整手段
41 バッフルレバー(当接部材)
50 板バネ
60 ワンウェイクラッチ

Claims (7)

  1. スタータモータで駆動される駆動ギヤをクランクシャフトのリングギヤに噛合させて上記クランクシャフトを回転させることによりエンジンを始動するエンジンの始動装置であって、
    上記駆動ギヤが上記リングギヤに対し該リングギヤの径方向に移動可能に設けられ、該駆動ギヤを上記リングギヤの外方から径方向に移動させて該リングギヤに噛合させるアクチュエータが備えられており、
    上記駆動ギヤは、エンジン本体側に固定されたスタータモータのピニオンと常時噛合しながら該ピニオンの回転中心を中心とする円弧状の経路を移動可能に構成されたアイドルギヤであり、上記アクチュエータは、該アイドルギヤを上記円弧状経路に沿って移動させるように構成されており、
    かつ、上記アイドルギヤより歯数の少ない補助ギヤが該アイドルギヤと同軸にかつ周方向に付勢されて設けられ、該補助ギヤの歯と上記アイドルギヤの歯とにより、該アイドルギヤの歯同士によるピッチよりも狭いピッチが生成していることを特徴とするエンジンの始動装置。
  2. アイドルギヤがリングギヤに噛合したときの該アイドルギヤの回転中心は、ピニオンの回転中心とリングギヤの回転中心とを結ぶラインよりもリングギヤの回転方向の前方側に位置していることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの始動装置。
  3. 補助ギヤの歯とアイドルギヤの歯とによる狭いピッチの部位でリングギヤと噛合するように、アイドルギヤの位相を、該アイドルギヤをリングギヤに向けて円弧状経路に沿って移動させている途中で調整する噛合部位調整手段が備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの始動装置。
  4. 噛合部位調整手段は、アイドルギヤの円弧状経路に進出してリングギヤに向けて移動中のアイドルギヤに当接する当接部材を含むことを特徴とする請求項3に記載のエンジンの始動装置。
  5. ピニオンは、アイドルギヤがリングギヤに向けて移動することで該アイドルギヤから受ける回転の方向には回転が規制され、アイドルギヤがリングギヤに向けて移動中に該アイドルギヤが当接部材と当接することで該アイドルギヤから受ける回転の方向には回転が許容されることを特徴とする請求項4に記載のエンジンの始動装置。
  6. ピニオンとスタータモータとの間に、スタータモータ側からピニオン側へエンジン始動の方向に回転が伝達されるときはロックし、ピニオン側からスタータモータ側へ同方向に回転が伝達されるときにはフリーとなるワンウェイクラッチが備えられて、該ワンウェイクラッチにより、ピニオンの回転の規制及び回転の許容が達成されることを特徴とする請求項5に記載のエンジンの始動装置。
  7. スタータモータとアクチュエータとが単一のケースにユニット化されて、エンジン本体と変速機との連結部において、シリンダブロックの側面に配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のエンジンの始動装置。
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