JP2006249971A - エンジンの始動装置 - Google Patents

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Akinobu Aoki
彰伸 青木
Kenji Okuda
健司 奥田
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Abstract

【課題】エンジン始動時におけるスタータモークランクシャフトとの間のギヤの噛合を確実に行い且つ、衝突音を低減させると共に、アイドルギヤの位相を調整するバッフル部材が、エンジン始動後にアイドルギヤと衝突することを防止する。
【解決手段】リングギヤ5と、ピニオン16を有するスタータモータ11と、ピニオン16と噛合してスタータモータ11により駆動されるアイドルギヤ17と、アイドルギヤ17をピニオン16と噛合した状態のままリングギヤ5に対して径方向に待機位置から噛合位置まで移動させるソレノイド12と、アイドルギヤ17が待機位置から噛合位置まで移動する途中で、アイドルギヤ17の位相を調整する位相調整機構7とを備える。位相調整機構7は、アイドルギヤ17の歯と干渉可能なバッフル部材72と、バッフル部材72を干渉位置と退避位置との間で移動させるバッフル部材位置制御機構とを有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、エンジンの始動装置に関し、特に始動装置のギヤの噛合を確実に行うと共に衝突音の小さいものとするための技術に関するものである。
例えば環境保護のために排気エミッションを可及的に抑制する環境対応型のアイドルストップ車両では、停車中に所定の条件が整えばエンジンが自動停止される。そして、次にブレーキペダルが開放され、アクセルペダルが踏み込まれて発信するときには、エンジンが自動再始動される。そのため、このような環境対応型の車両では頻繁にエンジンの始動が行われる。
ところで、一般にエンジンの始動には、スタータモータを使用する始動装置(スタータ)を用いる。つまり、始動時にスタータモータのピニオンを、クランクシャフトに固定されたフライホールの外周のリングギヤに噛合させ、この状態でスタータモータに通電し、ピニオンとリングギヤとの噛合によりクランクシャフトを駆動して、エンジンを始動させる。そして、そのようなスタータモータを使用する始動装置として、始動時にソレノイド等のアクチュエータによりピニオンを軸方向に飛び出させて、クランクシャフトに固定されたフライホールの外周のリングギヤに噛合させ、この状態でスタータモータに通電し、ピニオンとリングギヤとの噛合によりクランクシャフトを駆動してエンジンを始動させるようにしたもの(ピニオン飛び出し式のスタータ)が一般的である(例えば、特許文献1参照)。
しかし、このようにエンジン始動時にピニオンを軸方向に飛び出させる方式のスタータの場合、飛び出したピニオンはリングギヤとの位相のずれにより、ピニオンの歯とリングギヤの歯が衝突して異音を発生することがあり、その衝突音は通常車両においても騒音となり、特に、エンジン始動が頻繁に行われるアイドルストップ車両においては大きな問題となる。
そこで、上記衝突音を解消するために、ピニオンをリングギヤに対して軸方向ではなく、径方向から噛合させることが考えられる。ピニオンを径方向から噛合させると、軸方向から噛合させる場合と比較して、両ギヤの歯は噛合し易く、上記衝突音は著しく低減される。このようにピニオンをリングギヤに対して径方向から噛合させるようにしたものとして、特許文献2に開示されたものがある。この特許文献2に開示されたエンジンの始動装置は、スタータモータ自体が揺動可能に構成されており、エンジン始動時にはスタータモータがリングギヤに対して径方向から移動して、ピニオンとリングギヤとが噛合する。そして、エンジンが始動すると、スタータモータ自体がリングギヤに対して径方向に揺動してリングギヤから離反する。
しかしながら、上記特許文献2に開示されたエンジンの始動装置では、スタータモータ自体が揺動するため、スタータモータを揺動させるアクチュエータが大きくなる。また、アイドルストップ車両のようにエンジンの停止・始動を頻繁に繰り返す車両においては、スタータモータのように大きな部品を頻繁に移動させることは好ましくない。
そこで、特許文献3に開示されたエンジンの始動装置のように、スタータモータのピニオンとクランクシャフトのリングギヤとの間に両ギヤと噛合するアイドルギヤを介設すると共に、このアイドルギヤを、ピニオン及びリングギヤと噛合する噛合位置と、ピニオンとは噛合する一方リングギヤとは離反する待機位置との間でリングギヤに対して径方向へ移動(揺動)可能に構成したものがある。このエンジンの始動装置においては、スタータモータはエンジンのシリンダブロックに固定されており、上記アイドルギヤをアクチュエータにより上記噛合位置と待機位置との間で揺動させるため、該アクチュエータを上記特許文献2に開示されたエンジンの始動装置と比較して小型に構成することができる。
また、上述のように、アイドルギヤをリングギヤに対して径方向から移動させる場合であっても、アイドルギヤとリングギヤとの位相差によっては、両ギヤの歯がうまく噛合しない場合がある。つまり、アイドルギヤの歯がリングギヤの歯に当接する際に、両ギヤのそれぞれ歯先と歯面(又は歯底面)とが当接する場合には一方のギヤの歯の歯先が他方のギヤの歯の歯底面に収まるように、どちらかのギヤが回転して歯は円滑に噛合する。一方、両ギヤのそれぞれ歯先と歯先とが当接する場合には、両ギヤが回転することができず、両ギヤの歯が円滑に噛合しない場合がある。
そこで、上記特許文献3に開示されたエンジンの始動装置は、上記アイドルギヤの移動経路上においてアイドルギヤの歯と干渉する位置に設けられ、アイドルギヤの歯と干渉することによりアイドルギヤの回転位相を調整する位相調整機構を備えている。この位相調整機構は、スタータモータのハウジングに対して回転自在に取り付けられるバッフル部材と、このバッフル部材をアイドルギヤの移動経路側へ付勢するコイルスプリングと、バッフル部材がアイドルギヤの移動経路側へ所定以上進出することを規制するストッパ部材とを有する。このように構成された位相調整機構では、コイルスプリングによる付勢力とストッパ部材との規制によって、バッフル部材がアイドルギヤの移動経路上に位置することになる。こうすることにより、アイドルギヤは上記待機位置から噛合位置まで移動する間に、上記バッフル部材と干渉して回転が規制されることによって位相が調整され、常に一定の位相でリングギヤに対して当接することになる。
特開2002−257014号公報 特公平6−97023号公報 特開2005−16338号公報
しかしながら、上記特許文献3に開示されたエンジンの始動装置における位相調整機構では、位相の調整が不十分であった。つまり、上記位相調整機構では、リングギヤの位相とは無関係にアイドルギヤの位相が調整されている。そのため、アイドルギヤは、常に一定の位相でリングギヤに当接するが、リングギヤの位相が一定ではないため、両ギヤの歯が円滑に噛合しない虞もある。
そこで、本出願人は、アイドルギヤ及びリングギヤの位相を調整する位相調整機構を先に提案した(特願2004−21252)。この位相調整機構は、上記バッフル部材が、リングギヤの歯と当接するアーム部を有している。このアーム部がリングギヤの歯と当接した状態でバッフル部材とアイドルギヤの歯とが干渉してアイドルギヤの位相を調整するように構成されている。つまり、バッフル部材によってアイドルギヤの位相が調整される際にはバッフル部材のアーム部がリングギヤの歯と当接しているため、アイドルギヤの位相はリングギヤの位相に対して調整されることになる。こうすることによって、アイドルギヤの位相が、常にリングギヤの位相に対して円滑に噛合する所定の位相に調整される。
ところが、本出願人が先に提案した位相調整機構においてもさらに問題があった。上記バッフル部材は、上記待機位置から噛合位置まで移動するアイドルギヤの歯と干渉して該アイドルギヤの位相を調整すべく、アイドルギヤの移動経路上に位置する。すなわち、このバッフル部材は、アイドルギヤが退避位置から噛合位置へ移動する際だけでなはく、アイドルギヤが噛合位置から退避位置へ移動する際にも、アイドルギヤの歯と干渉する。このアイドルギヤが噛合位置から退避位置へ移動する際には、スタータモータがオンされていると共に、エンジン始動時の回転速度に応じた回転力がリングギヤからアイドルギヤに付与されているため、アイドルギヤは高速回転しており、アイドルギヤとバッフル部材との衝突による衝撃は大きなものとなる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジン始動時におけるスタータモータとクランクシャフトとの間のギヤの噛合を確実に行い且つ、衝突音を低減させると共に、アイドルギヤの位相を調整するバッフル部材が、エンジン始動後にアイドルギヤと衝突することを防止することにある。
本発明は、アイドルギヤがリングギヤに噛合する方向に移動する際には、アイドルギヤの位相を調整すべく、バッフル部材をアイドルギヤと干渉する位置に移動させる一方、アイドルギヤがリングギヤから離反する方向に移動する際には、アイドルギヤとバッフル部材との干渉と回避すべく、バッフル部材をアイドルギヤと干渉しない位置に移動させるようにしたものである。
第1の発明は、クランクシャフトに連結されたリングギヤと、パワートレイン本体に支持され、出力軸と一体となったピニオンを有するスタータモータと、上記ピニオンと噛合して、上記スタータモータにより駆動されるアイドルギヤと、上記アイドルギヤを上記ピニオンと噛合した状態のまま、上記クランクシャフトのリングギヤに対して径方向外方へ離れた待機位置から該リングギヤと噛合する噛合位置まで移動させるアクチュエータと、を備えたエンジンの始動装置が対象であって、上記アイドルギヤが上記待機位置から上記噛合位置まで移動する途中で、該アイドルギヤの歯と干渉して該アイドルギヤの回転方向の位相を上記リングギヤと噛合可能な所定の位相となるように調整する位相調整機構をさらに備えている。
そして、上記位相調整機構は、上記アイドルギヤの歯と干渉する干渉位置と該アイドルギヤの歯と干渉しない退避位置との間を移動可能なバッフル部材と、該アイドルギヤの上記待機位置から上記噛合位置への移動に連動して該バッフル部材を該干渉位置へ移動させる一方、該アイドルギヤの位相を調整した後には該バッフル部材を該退避位置へ移動させるバッフル部材位置制御機構とを有するものとする。
上記の構成の場合、上記スタータモータをパワートレイン本体に支持すると共に、上記ピニオンとリングギヤとの間に介設されたアイドルギヤを移動させることによって、ピニオンとリングギヤとを連結及び連結解除を行うため、上記アクチュエータの小型化を図ることができる。
また、アイドルギヤを上記待機位置から噛合位置へ該リングギヤに対して径方向へ移動させるため、アイドルギヤがリングギヤに対して噛合し易くなり、アイドルギヤとリングギヤとの衝突音を低減することができる。
さらに、上記アイドルギヤが上記待機位置から噛合位置へ移動する際には、該アイギヤの位相を調整する上記バッフル部材が、上記バッフル部材位置制御機構によって該移動と連動して上記干渉位置へ移動するため、アイドルギヤはバッフル部材と当接して位相が調整される。一方、アイドルギヤの位相を調整した後には、該バッフル部材が該バッフル部材位置制御機構によって上記退避位置へ移動するため、該アイドルギヤがリングギヤと噛合してエンジン始動後、該アイドルギヤがリングギヤから離反する方向へ移動する際には、該アイドルギヤとバッフル部材とが衝突することはない。したがって、上記バッフル部材位置制御機構を設けることによって、アイドルギヤの位相を調整して、アイドルギヤをリングギヤに円滑に噛合させることができると共に、エンジン始動後、アイドルギヤがリングギヤから離れる際に該アイドルギヤとバッフル部材とが衝突することを防止して、アイドルギヤ又はバッフル部材が破損することを防止することができる。
第2の発明は、第1の発明において、上記バッフル部材位置制御機構は、上記バッフル部材を上記退避位置から上記干渉位置の方向へ付勢する第1付勢バネと、上記第1付勢バネよりも付勢力が大きく、上記バッフル部材を上記干渉位置から上記退避位置の方向へ付勢する第2付勢バネと、上記アイドルギヤの上記待機位置から上記噛合位置への移動と連動して上記第2付勢バネの付勢力を解除する一方、該アイドルギヤの位相を調整した後には該第2付勢バネの付勢力を働かせるバッフル部材付勢力制御機構とを有するものとする。
上記の構成の場合、上記アイドルギヤが上記待機位置から噛合位置へ移動する前には、上記バッフル部材は、第2付勢バネの付勢力により第1付勢バネの付勢力に抗して上記退避位置に位置する。これに対し、上記アイドルギヤが上記待機位置から噛合位置へする際には、アイドルギヤの該移動に連動して上記第2付勢バネの付勢力が解除されるため、上記バッフル部材は第1付勢バネの付勢力によって上記干渉位置へ移動する。その結果、アイドルギヤが上記待機位置から噛合位置へ移動する際に、該アイドルギヤがバッフル部材と干渉して該アイドルギヤの位相が調整される。そして、該アイドルギヤの位相が調整された後には、上記第2付勢バネの付勢力が再び働くため、上記バッフル部材は第2付勢バネの付勢力によって第1付勢バネの付勢力に抗して上記退避位置へ移動する。その結果、エンジン始動後、アイドルギヤがリングギヤから離れる際に該アイドルギヤとバッフル部材とが衝突することが防止される。
したがって、上記第1付勢バネ及び第2付勢バネによって上記バッフル部材位置制御機構を構成することによって、該バッフル部材位置制御機構の構成を簡素化することができる。
第3の発明は、第2の発明において、上記バッフル部材は、支軸を中心に上記干渉位置と上記退避位置との間を揺動可能に構成されており、上記バッフル部材付勢力制御機構は、上記バッフル部材の支軸と同軸に揺動可能に該支軸に支承されたサブバッフル部材と、上記アイドルギヤの上記待機位置から上記噛合位置への移動と連動して移動し、該サブバッフル部材と干渉して該サブバッフル部材を上記支軸に対して上記バッフル部材の上記退避位置から上記干渉位置への揺動方向と同じ揺動方向へ揺動させると共に、所定以上の移動により該サブバッフル部材との干渉が解除されるレバー部材と、を有しており、上記第2付勢バネは、上記支軸に支承されて、一端部が上記バッフル部材と上記サブバッフル部材とに当接するコイルスプリングであって、該バッフル部材及び該サブバッフル部材を上記バッフル部材の上記干渉位置から上記退避位置への揺動方向へ付勢するものとする。
上記の構成の場合、上記バッフル部材とサブバッフル部材とには、上記コイルスプリングの一端部が、該バッフル部材及びサブバッフル部材を上記干渉位置から退避位置へ向かう揺動方向へ付勢するように当接している。このとき、上記レバー部材がアイドルギヤの移動と共に移動して上記サブバッフル部材を該コイルスプリングの付勢力に抗して上記干渉位置から退避位置への揺動方向とは逆向きの揺動方向、即ち退避位置から干渉位置への揺動方向へ揺動させると、サブバッフル部材の移動量に応じて該サブバッフル部材に一端が当接するコイルスプリングの付勢力は相殺され、バッフル部材に対するコイルスプリングの付勢力が解除される。その結果、バッフル部材は上記第1付勢バネによって上記干渉位置へ移動する。その後、該レバー部材が所定以上移動すると、該レバー部材とサブバッフル部材との干渉が解除され、該サブバッフル部材はコイルスプリングの付勢力によって上記干渉位置から退避位置への揺動方向へ揺動する。その際に、コイルスプリングの一端部は上記バッフル部材を上記干渉位置から退避位置へ揺動させる。
したがって、上記サブバッフル部材及びレバー部材によって上記バッフル部材付勢力制御機構を構成することによって、上記アクチュエータによるアイドルギヤの上記待機位置から噛合位置への移動を利用してバッフル部材への付勢力を制御することができ、該バッフル部材付勢力制御機構の構成を簡素化することができる。
第4の発明は、第1〜3の何れか1つの発明において、上記バッフル部材は、上記リングギヤの歯と当接するアーム部を有し、該アーム部と該リングギヤの歯とが当接した状態で上記アイドルギヤの歯と干渉して該アイドルギヤの位相を調整するものとする。
上記の構成の場合、上記バッフル部材によって上記アイドルギヤの位相が調整される際には、該バッフル部材のアーム部がリングギヤの歯と当接しているため、アイドルギヤの位相はリングギヤの位相に対して調整されることになる。こうすることによって、アイドルギヤの位相を、常にリングギヤの位相に対して円滑に噛合する所定の位相に調整することができ、アイドルギヤの位相の調整精度を向上させることができる。
第5の発明は、第1〜4の何れか1つの発明において、上記アクチュエータが連結されると共に、基端部が上記ピニオンと同軸に揺動可能に支承される一方、先端部に上記アイドルギヤが回転可能に支承されるスイングアームをさらに備えている。
そして、上記アイドルギヤは、上記スイングアームを上記アクチュエータで揺動させることによって、上記ピニオンと噛合した状態のまま上記待機位置から上記噛合位置まで移動するように構成されており、上記スタータモータと上記ピニオンとの間には、該スタータモータから該ピニオンへエンジンを始動させる方向の回転が伝達されるときにはロックする一方、該ピニオンから該スタータモータへエンジンを始動させる方向の回転が伝達されるときにはフリーとなるワンウェイクラッチが設けられており、上記ピニオンは、上記ワンウェイクラッチによって、上記アイドルギヤが上記待機位置から上記噛合位置へ移動することで該アイドルギヤから受ける回転力の方向には回転が規制される一方で、上記アイドルギヤが上記待機位置から上記噛合位置へ移動中に該アイドルギヤの歯が上記バッフル部材と当接することで該アイドルギヤから受ける回転力の方向には回転が許容されるものとする。
上記の構成の場合、上記スイングアームによって上記アイドルギヤを揺動させて上記リングギヤに対して移動させる構成とすることで、上記スタータモータを固定し且つ、アイドルギヤをピニオンに噛合した状態で上記噛合位置へ移動させる構成を容易に実現することができる。また、上記アイドルギヤが上記待機位置から噛合位置へ移動するときには、ピニオンと噛合した状態で回転しながらピニオン回りを揺動するが、上記ピニオンの回転が規制されるためアイドルギヤのみが回転しながらピニオン回りを待機位置から噛合位置へ移動していく。そして、その途中で、アイドルギヤの歯がバッフル部材と当接すると、アイドルギヤの該回転は規制されるが、スイングアームは揺動を続けるためアイドルギヤは該回転とは逆方向に回転しようとする。このときはピニオンの回転が許容されるため、アイドルギヤが逆方向に回転することができる。その結果、リングギヤとの噛合前にアイドルギヤがバッフル部材に押圧されて確実に回転し、位相が調整される。そして、エンジン始動後のエンジンの高速回転により上記スタータモータが過回転することを防止するために上記スタータモータとピニオンとの間にもともと設けられているワンウェイクラッチを利用して、上記のようなピニオンの回転の規制及び回転の許容が達成されるため、それ専用の機構を省略でき、部品点数及びコストの削減を図ることができる。
第6の発明は、第5の発明において、上記アイドルギヤは、上記リングギヤと噛合したときに、その回転中心が上記ピニオンの回転中心と該リングギヤの回転中心とを結ぶ直線よりも該リングギヤの回転方向の前方側に位置するものとする。
上記の構成の場合、エンジンが始動すると、その回転を受けて、上記リングギヤと噛合していたアイドルギヤが自然と該リングギヤから離脱するため、上記アクチュエータは、アイドルギヤをリングギヤから離脱する方向に移動させる必要がなくなる。
また、上記アイドルギヤをリングギヤに噛合させるときは、アイドルギヤの歯がリングギヤの歯に食い込む方向にアイドルギヤを移動させるから、両ギヤの噛み合い後に上記アクチュエータをオフしても両ギヤは外れることがない。したがって、迅速スタートの溜めにアイドルギヤをプリセットしておく場合に、該アイドルギヤをアイドルストップ中ずっとリングギヤに噛合させておくためにソレノイド等のアクチュエータを長時間オンにしておく必要がなくなり、エネルギ消費の増大を防止することができる。
さらに、エンジン始動前のクランキング時は、上記リングギヤを回転させる反力により、上記アイドルギヤはリングギヤに食い込む方向に力が作用するため、この時点で上記アクチュエータをオフすることもできる。
第7の発明は、第1〜6の何れか1つの発明において、上記アイドルギヤは、上記ピニオン及び上記リングギヤと噛合可能であって且つ上記バッフル部材と当接する本体ギヤと、上記リングギヤと噛合可能であると共に該本体ギヤと同軸且つ略同径であって該本体ギヤの歯に対して1つおきに歯が欠けた形状の補助ギヤとを有すると共に、該本体ギヤと該補助ギヤとが回転方向へ相対的に所定位相ずれるように付勢手段によって付勢されて構成されているものとする。
上記の構成の場合、上記アイドルギヤは、上記本体ギヤと補助ギヤとで所謂シザーズギヤを構成し、アイドルギヤ全体としての歯のピッチは、相対的にピッチが長い部位と相対的にピッチが短い部位とが交互に現れ
たものとなる。そのため、アイドルギヤを相対的に歯のピッチが短い部位でリングギヤと遭遇させるよう構成することにより、たとえ最初に遭遇した歯と歯が歯先同士で当接しても、アイドルギヤがさらに移動すると次にピッチが長い部位が来て、アイドルギヤの歯溝にリングギヤの歯先が入り込み、確実に噛合する。こうして、アイドルギヤの歯とリングギヤの歯とをより確実且つ円滑に噛み合わせることができ、また、シザーズギヤ本来の機能としてバックラッシュを防止でき、歯打音も一層低減できる。
本発明によれば、上記アイドルギヤを上記ピニオンと噛合した状態のまま、上記リングギヤに対して径方向外方から噛合するように移動させるため、アイドルギヤがリングギヤに対して噛合し易く、アイドルギヤとリングギヤとの衝突音を低減することができる。また、アイドルギヤを上記待機位置から噛合位置へ移動させる際に、上記バッフル部材によって該アイドルギヤの位相を調整するため、アイドルギヤをリングギヤに対して確実に噛合させることができる。さらには、上記バッフル部材は、上記バッフル部材位置制御機構によって、アイドルギヤが待機位置から噛合位置へ移動する際には該アイドルギヤの歯と干渉する干渉位置に位置する一方、アイドルギヤが噛合位置から待機位置へ移動する際には該アイドルギヤと干渉しない退避位置に位置するため、エンジン始動後に、アイドルギヤが待機位置へ戻る際に該アイドルギヤとバッフル部材とが衝突することを防止して、アイドルギヤの歯又は/及びバッフル部材が破損することを防止することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るエンジンの始動装置を示す。このエンジン1は、車体前部のエンジンルーム内に気筒列及びクランクシャフトが前後方向に延びるように縦置きされている。エンジン本体の後部には自動変速機2が連結されている。なお、図1では、エンジン縦置きの場合を示すが、例えばFF車両での横置きエンジンにも本発明が適用可能なことはいうまでもない。
このエンジン1は、アイドルストップ車両に搭載され、車両の停車中に所定の条件が整えば自動停止され、次の発進時には自動再始動される。したがって、このエンジン1は、アイドルストップ車両でない通常の車両等と比べると、頻繁に停止及び始動が実行される。
上記エンジン1の始動に用いられるスタータ3は、エンジン本体の後部において、該エンジン本体と自動変速機2との連結部(より詳しくはトルクコンバータとの連結部)に配置されている。スタータ3は、シリンダブロックの側面に組み付けられ、エンジン1と自動変速機2との間にあるフライホイール4の外周部に形成された外歯のリングギヤ5に臨んでいる。
図2に示すように、スタータ3は、スタータモータ11とソレノイド12とが単一のケース13にユニット化された構造である。ケース13はハウジング14とカバー15とを含み、ハウジング14にスタータモータ11が、カバー15にソレノイド12が組み付けられている。
上記スタータモータ11は、内蔵された回転軸11aと、外部に突出した出力軸11bとの間に、遊星歯車式の減速機構11cを備え、上記出力軸11bにピニオン16が一体に固定されている。アイドルギヤ17は、スイングアーム20に立設された軸21に回転自在に支持されている。
上記スイングアーム20は、その基端部に円柱ボス22を有し、該円柱ボス22がカバー15にベアリング23,23で回転自在に支持されて、スイングアーム20は円柱ボス22を中心に揺動可能である。その場合に、円柱ボス22の回転中心と、スタータモータ11の出力軸11bの回転中心とが一致しており、スイングアーム20は、ピニオン16と同軸に揺動する。また、このスイングアーム20の先端部には、図3に示すように、軸21が設けられ、この軸21にアイドルギヤ17が回転可能に支持されている。このアイドルギヤ17は、後に詳しく述べるように、同軸に並設された2つのギヤ18,19からなると共に、ピニオン16に常時噛合している。また、スイングアーム20の先端部には、軸21よりもさらに先端側に突出するレバー部材26が設けられている。こうして、アイドルギヤ17は、ピニオン16との噛合状態を維持したままで、該ピニオン16の周囲を該ピニオン16の回転中心を中心とする円弧状の揺動軌跡Pを描きながら移動する。このとき、レバー部材26もアイドルギヤ17と連動して揺動し、その先端は軸21を中心とした円弧形状の揺動軌跡Qを描く。
上記ソレノイド12は、カバー15の先端に上記円柱ボス22の長さ方向と略平行に設けられた組み付け壁15aに組み付けられている。そして、図4に示すように、ソレノイド12のプランジャ24が上記スイングアーム20の円柱ボス22と交差するように突出しており、該プランジャ24の端部が円柱ボス22の端面偏心位置にピン25で係止されている。これにより、ソレノイド12が通電されて、図4に矢印アで示すようにプランジャ24が引き込まれると、図3に矢印イで示すようにスイングアーム20がソレノイド12に近づくように揺動し、アイドルギヤ17がリングギヤ5の外方から該リングギヤ5の径方向に移動して、最終的に図11に示すように、アイドルギヤ17がリングギヤ5に噛合する。
このエンジンの始動装置は、スタータモータ11の出力軸11bと一体となったピニオン16をエンジン1の出力軸(クランクシャフト)と一体となったリングギヤ5にアイドルギヤ17を介して連結させて、スタータモータ11を駆動することによってエンジン1を始動させる。
上記スタータモータ11の回転軸11aと出力軸11bとの間に設けられた遊星歯車式の減速機構11cには、図5に示すように、ワンウェイクラッチ60が併設されていてる。このワンウェイクラッチは、スタータモータ11側(回転軸11a側)からピニオン16側(出力軸11b側)へエンジン1の始動方向の回転が伝達されるときはロックし、逆に、ピニオン16側からスタータモータ11側へエンジン1の始動方向の回転が伝達されるときにはフリーとなる。つまり、このワンウェイクラッチ60は、エンジン1が完爆してエンジン1が始動した後の該エンジンの高速回転を受けてスタータモータ11が過回転することを防止し、該スタータモータ11の耐久性を図るためにもともと備えられたもので、ピニオン16(出力軸11b)とスタータモータ11(回転軸11a)との間に備えられている遊星歯車式の減速機構11cに併設されている。
すなわち、図5において、減速機構11cのサンギヤがスタータモータ11の回転軸11aに連結している。複数のプラネタリギヤがサンギヤ及びインターナルギヤ(内歯リングギヤ)11dに噛合し、該プラネタリギヤのキャリヤがスタータモータ11の出力軸11b及びピニオン16に連結している。スタータモータ11がONされるとサンギヤ11aが矢印a方向に回転し、これを受けてプラネタリギヤは矢印b方向に自転し、インターナルギヤ11dは矢印c方向に回転しようとする。しかしワンウェイクラッチ60はこのインターナルギヤ11dの矢印c方向の回転を規制する。その結果、キャリヤないしピニオン16が矢印e方向に回転する。アイドルギヤ17はピニオン16のe方向の回転を受けてf方向に回転する。クランクシャフトのリングギヤ5は矢印X方向に回転する。
上記アイドルギヤ17は、図3に示すように、ピニオン16及びリングギヤ5と噛合可能な本体ギヤ18と、該本体ギヤ18と同軸且つ略同径で略同形状の波形を有するが、1つおきに歯が欠けた形状の補助ギヤ19とを備え、これら本体ギヤ18と補助ギヤ19とが所謂シザーズギヤを構成している。本体ギヤ18のピッチは、リングギヤ5のピッチと略同じである。そして、本体ギヤ18と補助ギヤ19とは、回転方向に相対的に所定位相ずれるよう、図示しない付勢手段により付勢され、補助ギヤの歯が本体ギヤ18の歯に1つおきに一部重なりつつ所定量だけ周方向(詳しくは、アイドルギヤ17がリングギヤ5へ噛合する際に、リングギヤ5の歯と当接する歯面側)に飛び出して、該周方向へ1つ隣りの本体ギヤ18の歯との間に相対的にピッチの短い部位を形成する一方、該周方向と反対側へ1つ隣りの本体ギヤ18の歯との間に相対的にピッチの長い部位(リングギヤ5のピッチと略同じピッチ)を形成する。こうして、アイドルギヤ17は、全体として、相対的にピッチの長い部位と相対的にピッチの短い部位とが交互に現れたものとなる。このようにアイドルギヤ17は、シザーズギヤを構成することによって、詳しくは後述するが、アイドルギヤ17とリングギヤ5とが円滑に噛合するようにすると共に、リングギヤ5と噛合しているときのバックラッシュを防止する。
そして、アイドルギヤ17及びレバー部材26は、図2に示すように、軸21の軸方向に対してハウジング14側から本体ギヤ18、補助ギヤ19、レバー部材26の順に並んでいる。このアイドルギヤ17は、リングギヤ5とは本体ギヤ18及び補助ギヤ19が共に噛合する一方、ピニオン16とは本体ギヤ18のみが噛合する。また、レバー部材26は、軸21の軸方向への位置が異なるため、リングギヤ5と干渉することはない。さらに、後述の位相調整機構7の第1アーム部72aとは、本体ギヤ18のみが当接する。しかも、アイドルギヤ17の本体ギヤ18の歯は、1つおきに第1アーム部72aとの当接を避ける切欠部18bが形成されている(図3参照)。この切欠部18bは、本体ギヤ18の歯のうち、補助ギヤ19と重なっていない歯に形成されたものである。つまり、本体ギヤ18の歯のうち、補助ギヤ19の歯と一部重なる歯のみが第1アーム部72aと当接する。
このエンジンの始動装置は、常時はスタータモータ11及びソレノイド12が非通電で、図3及び4に示すように、アイドルギヤ17がリングギヤ5に対して径方向に離れた待機位置にある。そして、エンジン1が停止すると、直ちにソレノイド12が通電され、ソレノイド12のプランジャ24が引き込まれることによって、スイングアーム20がソレノイド12に近づく方向に揺動し、それにより、アイドルギヤ17は、待機位置から停止状態のリングギヤ5に向けて、停止したピニオン16と噛合した状態のまま一方向(図4において反時計周り)に自転しつつ揺動して、リングギヤ5と噛合する噛合位置まで移動する。このとき、アイドルギヤ17が上記待機位置から噛合位置へ移動する揺動軌跡P上には、アイドルギヤ17の位相を調整する位相調整機構7が設けられている。この位相調整機構7によって、アイドルギヤ17の位相がリングギヤ5と噛合可能な所定の位相となるように調整され、その後、アイドルギヤ17はリングギヤ5と噛合する。そして、アイドルギヤ17がリングギヤ5に噛合した状態で、スタータモータ11をオンすることにより上記リングギヤ5を回転させてエンジン1を始動させる。尚、図3に示した矢印Xは、エンジン始動時のリングギヤ5の回転方向を表す。その後、エンジン1がかかると、後述するように、アイドルギヤ17がリングギヤ5から離脱して噛合位置から待機位置へ戻る。
上記位相調整機構7について、詳しく説明すると、該位相調整機構7は、図3に示すように、上記ハウジング14の取り付けられ、ハウジング14と反対側に立設されたシャフト71aを有するベース部材71と、ベース部材71のシャフト71aに揺動可能に支承され、上記アイドルギヤ17の歯と当接可能なバッフル部材72と、ベース部材71のシャフト71aに揺動可能に支承され上記スイングアーム20に設けられたレバー部材26と当接可能なサブバッフル部材73と、ベース部材71のシャフト71aに支承され、バッフル部材72をアイドルギヤ17の揺動軌跡P上に進行させる揺動方向に付勢する第1コイルスプリング74と、ベース部材71のシャフト71aに支承され、バッフル部材72及びサブバッフル部材73を第1コイルスプリング74の付勢方向とは反対の揺動方向に付勢する第2コイルスプリング75とからなる。
上記ベース部材71は、上記アイドルギヤ17の待機位置よりもリングギヤ5側であって、アイドルギヤ17の揺動軌跡Pの外側且つ該揺動軌跡P近傍に位置する。このベース部材71には、上記シャフト71aに対してリングギヤ側に第1スプリングストッパ71bが該シャフト71aと平行に立設されると共に、上記シャフト71aに対して反リングギヤ側に第2スプリングストッパ71cが該シャフト71aと平行に立設されている。
上記バッフル部材72は、中央位置に設けられた開口を中心に、所定の角度で第1アーム部72aと第2アーム部72bとが設けられている。また、バッフル部材72は、開口を中心に、第1アーム部72aに対して第2アーム部72bと反対側に、上記ベース部材71の第2スプリングストッパ71cと当接することによりバッフル部材72の揺動を規制する揺動規制部72cと、上記第1コイルスプリング74の一端部と第2コイルスプリング75の一端部とが当接するスプリングストッパ72dとが設けられている。このバッフル部材72は、上記開口を上記ベース部材71のシャフト71aに嵌めることによって、該シャフト71aに回転自在に支承され、該シャフト71aを中心に第1アーム部72aと第2アーム部72bとが一体に揺動可能である。このとき、バッフル部材72は、第1アーム部72aが上記待機位置に位置するアイドルギヤ17側に位置する一方、第2アーム部72bがリングギヤ5側に位置すると共に、揺動規制部72cが該第1アーム部72aと上記第2スプリングストッパ71cとの間に位置するように配置されている。また、上記第2アーム部72bは、リングギヤ5の歯面に当接する部分が別体の補助アーム部材72eによって構成され、この補助アーム部材72eが、軸ピン72fにより第1アーム部72aと一体に揺動する第2アーム部72bの本体部分に揺動可能に支持されると共に、本体部分に設けられた角度規定部72gによって第1アーム部72a側への揺動が規制されている。そして、補助アーム部材72eは、コイルスプリング72hにより該角度規定部72gに当接するように付勢されていて、該角度規定部72gに当接することによって第1アーム部72aとの角度が所定の角度に規定される。このように構成されたバッフル部材72は、第2アーム部72bの先端がリングギヤ5の歯と当接する位置まで揺動したときには、第1アーム部72aの先端部がアイドルギヤ17の揺動軌跡P上に位置する。第2アーム部72bは、バッフル部材72がリングギヤ5の歯面に当接する方向に揺動する際には本体部分と一体に揺動する一方、バッフル部材72がリングギヤ5の歯面から離脱する際には本体部分に対しリングギヤの歯面との干渉を避ける方向に揺動可能なように構成されている。
上記サブバッフル部材73は、基端部に設けられた開口を中心に、所定の角度でアーム部73aとスプリングストッパ73bとが設けられている。このサブバッフル部材73は、開口を上記ベース部材71のシャフト71aに嵌めることによって、上記バッフル部材72と重なって、該シャフト71aに回転自在に支承され、該シャフト71aを中心に揺動可能である。このとき、アーム部73aの先端部は、上記レバー部材26の揺動軌跡Q上に位置する。また、スプリングストッパ73bは、詳しくは後述するが、上記バッフル部材72のスプリングストッパ72dと第1コイルスプリング74の一端部と第2コイルスプリング75の一端部とに囲まれた空間に位置し且つ、第1コイルスプリング74の一端部と第2コイルスプリング75の一端部と当接する位置に位置する。
上記第1コイルスプリング74は、上記ベース部材71にバッフル部材72とサブバッフル部材73とが重なって支承された上から、さらに該シャフト71aに支承されている。この第1コイルスプリング74は、一端部が上記バッフル部材72のスプリングストッパ72dと上記サブバッフル部材73のスプリングストッパ73bとに同時に当接する一方、他端部が上記ベース部材71の第1スプリングストッパ71bと当接して、第1スプリングストッパ71bを支点として、該バッフル部材72及びサブバッフル部材73をリングギヤ側へ揺動させる方向へ付勢している。
上記第2コイルスプリング75は、上記ベース部材71にバッフル部材72とサブバッフル部材73と第1コイルスプリング74とが重なって支承された上から、さらに該シャフト71aに支承されている。この第2コイルスプリング75は、シャフト71aに対して第1コイルスプリング74とは反対巻きに巻かれていて、一端部が上記バッフル部材72のスプリングストッパ72dと上記サブバッフル部材73のスプリングストッパ73bとに対して第1コイルスプリング74が当接する側とは反対側から同時に当接する一方、他端部が上記ベース部材71の第1スプリングストッパ71bに対して第1コイルスプリング74が当接する側とは反対側から当接して、第1スプリングストッパ71bを支点として、該バッフル部材72及びサブバッフル部材73を反リングギヤ側へ揺動させる方向へ付勢している。この第2コイルスプリング75は、第1コイルスプリング74よりも付勢力が大きいため、上記バッフル部材72及びサブバッフル部材73に第1コイルスプリング74及び第2コイルスプリング75のみの付勢力が作用する場合には、バッフル部材72及びサブバッフル部材73は反リングギヤ側へ付勢される。ただし、第2コイルスプリング75は、ベース部材71の第2スプリングストッパ71cに当接するため、第2コイルスプリング75の一端部が該第2スプリングストッパ71cよりも反リングギヤ側には移動することはなく、バッフル部材72及びサブバッフル部材73もそれ以上反リングギヤ側へは付勢されない。
このように構成された位相調整機構7は、ベース部材71のシャフト71aの軸方向において、バッフル部材72の第1アーム部72aは、上記アイドルギヤ17の本体ギヤ18とのみ干渉する位置に、サブバッフル部材73のアーム部73aは、上記アイドルギヤ17とは干渉せず、上記スイングアーム20のレバー部材26とのみ干渉する位置に位置する。そして、アイドルギヤ17がリングギヤ5と噛合していない通常時には、図3に示すように、第1コイルスプリング74と第2コイルスプリング75との付勢力の釣り合いによって、バッフル部材72はバッフル部材72の第1アーム部72aがアイドルギヤ17の揺動軌跡Pの外側に外れ、第2アーム部72bがリングギヤ5から離反した、退避位置に位置すると共に、サブバッフル部材73は、アーム部73aがレバー部材26の揺動軌跡Q上に位置するように位置する。そして、詳しくは後述するが、サブバッフル部材73は、そのアーム部73aがスイングアーム20のレバー部材26と干渉して、リングギヤ側へ揺動することによって、バッフル部材72も連動してリングギヤ側へ揺動し、該第2アーム部72bがリングギヤ5の歯と当接すると共に該第1アーム部72aがアイドルギヤ17の揺動軌跡P上に移動してアイドルギヤ17と干渉する。そのため、バッフル部材72の第1アーム部72a及び第2アーム部72bのハウジング14からの距離(図3の紙面垂直方向距離)はそれぞれ、ハウジング14からアイドルギヤ17の上記本体ギヤ18及びリングギヤ5までの距離と同じ距離となっている。また、サブバッフル部材73のアーム部73aのハウジング14からの距離は、ハウジング14からレバー部材26までの距離と同じ距離となっている。尚、上記アーム部73aとスプリングストッパ73bとの間の所定の角度は、通常時にスプリングストッパ73bが第1コイルスプリング74及び第2コイルスプリング75と当接し且つ、アーム部73aがレバー部材26の揺動軌跡Q上に位置する角度に設定されている。ここで、ベース部材71、サブバッフル部材73、第1コイルスプリング74、第2コイルスプリング75及びレバー部材26がバッフル部材位置制御機構を構成する。また、サブバッフル部材73及びレバー部材26がバッフル部材付勢力制御機構を構成する。
このように構成されたエンジンの始動装置の動作について説明する。
まず、アイドルギヤ17をリングギヤ5に噛合させる場合について説明すると、ソレノイド12に通電することによって上記スイングアーム20がリングギヤ側へ揺動を開始する。このスイングアーム20の揺動に連動して、スイングアーム20の軸21に支承されたアイドルギヤ17とスイングアーム20のレバー部材26とがスタータモータ11の出力軸11bを中心に揺動する。このとき、スタータモータ11には上記ワンウェイクラッチが設けられているため、ピニオン16が停止した状態で、アイドルギヤ17はピニオン16との噛合により矢印g方向に自転しながら、待機位置(図3に示す位置)から矢印イ方向に揺動する。詳しくは、図6に示すように、アイドルギヤ17が待機位置からイ方向に揺動するとき、該アイドルギヤ17は矢印g方向に回転しようとする。ピニオン16はこれを受けて矢印h方向に回転しようとし、このとき回転軸11aが回転していないから、プラネタリギヤは矢印b方向に回転しようとする。しかし、インターナルギヤ11dがc方向にはロックされるから、ピニオン16は回転せず、結局アイドルギヤ17のみがg方向に自転する。
スイングアーム20がリングギヤ側へ揺動していくと、図7に実線で示すように、スイングアーム20のレバー部材26が、サブバッフル部材73のアーム部73aの先端と当接する。スイングアーム20がさらに揺動することによって、図7の二点鎖線で示すように、該サブバッフル部材73が押圧されてベース部材71のシャフト71aを中心にリングギヤ側へ揺動する。このサブバッフル部材73がリングギヤ側へ揺動すると、上記第2コイルスプリング75の一端部がサブバッフル部材73のスプリングストッパ73bに押圧されてサブバッフル部材73と同じ揺動方向へ揺動する。その結果、バッフル部材72に作用していた第2コイルスプリング75の付勢力が相殺されるため、該バッフル部材72は第1コイルスプリング74の付勢力によってリングギヤ側へ第2コイルスプリング75の一端部が揺動した分だけ揺動する。こうして、バッフル部材72の第1アーム部72aが上記アイドルギヤ17の揺動軌跡P内へ進入していく。
スイングアーム20がリングギヤ側へさらに揺動すると、スイングアーム20の揺動に連動して、上述の如く、レバー部材26、サブバッフル部材73及びバッフル部材72がリングギヤ側へさらに揺動する。やがて、バッフル部材72の第2アーム部72bがリングギヤ5の歯と当接し、バッフル部材72の揺動が停止する。こうして、リングギヤ5に対してバッフル部材72が固定される。このとき、バッフル部材72の第1アーム部72aの先端部は、アイドルギヤ17の揺動軌跡P上に位置する(この位置を干渉位置という)。
スイングアーム20はさらにリングギヤ側へ揺動を続け、図8の実線で示すように、やがてアイドルギヤ17の本体ギヤ18の歯が上述の揺動軌跡P上に位置する第1アーム部72aと当接する。このとき、上述の如く、本体ギヤ18の歯のうち、補助ギヤ19と重なっていない歯には、切欠部18b(図3参照)が形成されているため、補助ギヤ19と重なっていない歯は、第1アーム部72aを素通りし、補助ギヤ19の歯と重なる歯のみが第1アーム部72aと当接する。こうして、アイドルギヤ17は、第1アーム部72aと当接することによってその自転が規制される。図9に示すように、アイドルギヤ17がバッフル部材72に当接して、f方向の回転力を受けると、ピニオン16はこれを受けて矢印e方向に回転しようとし、このとき回転軸11aが回転していないから、プラネタリギヤは矢印i方向に回転しようとする。そして、インターナルギヤ11dがd方向にはフリーであるから、ピニオン16はe方向に回転し、アイドルギヤ17はf方向に自転可能となる。つまり、アイドルギヤ17は、f方向に自転しながらイ方向に揺動する。つまり、アイドルギヤ17は、第1アーム部72aと当接するまでは、上述の如く、矢印g方向に自転しながらリングギヤ側へ揺動していたが、本体ギヤ18と第1アーム部72aとが当接することで矢印イ方向の推進力によって矢印f方向への回転力を第1アーム部72aから受け、位相が調整される。一方、サブバッフル部材73は、図8の二点鎖線で示すように、やがてレバー部材26との当接が解除され、第2コイルスプリング75の付勢力により反リングギヤ側へ揺動して戻る(正確には、二点鎖線の状態の直後に解除される)。このように、レバー部材26とサブバッフル部材73との当接はレバー部材26が所定以上移動することによって解除されるが、レバー部材26がサブバッフル部材73を回動させることによりバッフル部材72の第1アーム部72aをアイドルギヤ17の揺動軌跡P上に位置させ、該第1アーム部72aにアイドルギヤ17の歯が当接するまでの間は、レバー部材26とサブバッフル部材73とが当接して第1アーム部72aが揺動軌跡P上に位置する状態を維持する必要がある。よって、その後、レバー部材26とサブバッフル部材73との当接が解除されるようにレバー部材26及びサブバッフル部材73の形状及び位置関係を設定する。尚、サブバッフル部材73のハウジング14からの距離は、ハウジング14からアイドルギヤ17までの距離より離れているため、サブバッフル部材73がアイドルギヤ17と干渉することはない。
スイングアーム20がリングギヤ側へさらに揺動することによって、図10の実線で示すように、アイドルギヤ17本体ギヤ18の歯がバッフル部材72の第1アーム部72aを乗り越えて、アイドルギヤ17とバッフル部材72との当接が解除される(正確には、実線の状態の直後に解除される)。該当接が解除されることによって、アイドルギヤ17の位相の調整が完了する。こうして、アイドルギヤ17は、リングギヤ5との噛合前にバッフル部材72の第1アーム部72aに押圧されて確実に回転し、位相が調整される。そして、その後、バッフル部材72との当接が外れると、アイドルギヤ17は、その当接が外れた時点での位相(回転姿勢)を起点として、再び矢印g方向に回転しながら、イ方向に揺動する。そして、図10の二点鎖線で示すように、アイドルギヤ17はリングギヤ5と遭遇する。このとき、アイドルギヤ17は、事前に上記位相調整機構7によって位相が調整されているため、必ず本体ギヤ18の歯と補助ギヤ19の歯との間の相対的にピッチの短い部位でリングギヤ5と当接する。このように、上記バッフル部材72の第1アーム部72aと第2アーム部72bとの間の所定の角度等の形状や、ベース部材71のシャフト71a及びバッフル部材72の位置関係は、バッフル部材72の第1アーム部72aとの当接が解除されて、矢印g方向に自転しながらリングギヤ側へ揺動するアイドルギヤ17が相対的にピッチの短い部位でリングギヤ5と遭遇するように設定される。
そして、アイドルギヤ17の歯の1つの歯先が、リングギヤ5の歯の1つの歯面に当接した場合には、そこを支点として揺動の推進力を受けて、今度はアイドルギヤ17が矢印f方向に回転をして、その結果、揺動方向イに1つ隣接する歯がリングギヤ5の歯底に落ちていって収まることになる。一方、アイドルギヤ17の歯の1つの歯先が、リングギヤ5の歯先近傍と当接した場合には、アイドルギヤ17の1つ隣接する次の歯との間のピッチが短いため、該次の歯もリングギヤ5の歯先近傍と当接することが回避され、該次の歯は、必ずリングギヤ5の歯の歯面と当接することになる。その結果、上述の通り、アイドルギヤ17の歯がリングギヤ5の歯底に落ちていって収まることになる。一方、バッフル部材72は、アイドルギヤ17との当接が解除されると、第2コイルスプリング75の付勢力によって反リングギヤ側へ揺動して、元の退避位置に戻る(二点鎖線参照)。このとき、バッフル部材72の第2アーム部72bも同時にリングギヤ5の歯から離脱するが、該第2アーム部72bの先端部がリングギヤ5の歯の歯底に位置するような場合には、離脱時に第2アーム部72bがリングギヤ5の歯に引っ掛かる場合がある。ところが、該第2アーム部72bは、上述の如く、反リングギヤ側に揺動するバッフル部材72に対してリングギヤ側に揺動可能なように支持されているため、リングギヤ5の歯に押圧されて揺動しながらリングギヤ5の歯底から円滑に抜け出すことができる。
こうして、図11に示すように、アイドルギヤ17とリングギヤ5との噛合が円滑且つ良好に完了する。このとき、シザーズギヤを構成するアイドルギヤ17の本体ギヤ18と補助ギヤ19とは、お互いの位相が合うように回転して重なった状態でリングギヤ5の歯と噛合する。このようにアイドルギヤ17とリングギヤ5との噛合が完了するとソレノイド12が非通電となる。
次に、エンジン1が始動され、アイドルギヤ17がリングギヤ5と噛合する噛合位置からもとの待機位置へ戻る場合について説明する。
上記アイドルギヤ17とリングギヤ5とが噛合した状態で、エンジン始動の条件が整うと、スタータモータ11がオンされる。すると、スタータモータ11の出力軸11bの回転がピニオン16及びアイドルギヤ17を介してリングギヤ5に伝達され、該リングギヤ5が矢印Xの方向へ回転して始動する。そして、エンジン1が始動すると、リングギヤ5と噛合していたアイドルギヤ17は、図12に示すように、リングギヤ5の回転を受けてリングギヤ5から跳ね飛ばされ、自然とリングギヤ5から離脱する。アイドルギヤ17は、矢印ウ方向へ揺動して上記待機位置へ戻る。このとき、アイドルギヤ17の揺動軌跡Q上には、通常時の状態に戻った位相調整機構7のサブバッフル部材73のアーム部73aが存在する。そのため、スイングアーム20のレバー部材26が、図12の実線で示すように、該アーム部73aと当接する。ここで、このレバー部材26は、離脱直後のアイドルギヤ17のように高速で回転しているわけではないため、アーム部73aと衝突しても、アーム部73a及び/又はレバー部材26が損傷することはない。そして、レバー部材26の反リングギヤ側への揺動に伴って、サブバッフル部材73も第1コイルスプリング74の付勢力に抗して反リングギヤ側へ揺動していく(二点鎖線参照)。やがて、レバー部材26とサブバッフル部材73のアーム部73aとの当接が解除され、アイドルギヤ17は待機位置へ戻ると共に、サブバッフル部材73も通常時の状態へ戻る。
このように、上記エンジンの始動装置は、アイドルギヤ17を上記待機位置から噛合位置へ該リングギヤ5に対して径方向へ移動させるため、アイドルギヤ17がリングギヤ5に対して噛合し易くなり、アイドルギヤ17とリングギヤ5との衝突音を低減することができる。また、アイドルギヤ17を移動させることによって、ピニオン16とリングギヤ5との連結及び連結解除を行うため、アクチュエータとしてのソレノイド12を小型化することができる。そして、上記スイングアーム20によってアイドルギヤ17を揺動させてリングギヤ5に対して移動させる構成とすることで、上記スタータモータ11を固定し且つ、アイドルギヤ17をピニオン16に噛合した状態で上記噛合位置へ移動させる構成を容易に実現することができる。
そして、アイドルギヤ17をリングギヤ5に噛合させるときには、上記位相調整機構7によってアイドルギヤ17の位相を調整するため、アイドルギヤ17の歯の歯先とリングギヤ5の歯の歯先とが当接してアイドルギヤ17とリングギヤ5とがうまく噛合しない、ということを防止して、アイドルギヤ17とリングギヤ5とを円滑且つ良好に噛合させることができる。また、アイドルギヤ17は、上記本体ギヤ18と補助ギヤ19とで所謂シザーズギヤを構成し、アイドルギヤ17全体としての歯のピッチは、相対的にピッチが長い部位と相対的にピッチが短い部位とが交互に現れたものとなるため、アイドルギヤ17を相対的に歯のピッチが短い部位でリングギヤ5と遭遇させるように位相調整機構7でアイドルギヤ17の位相を調整することによって、たとえ最初に遭遇した歯と歯が歯先同士で当接しても、アイドルギヤ17がさらに移動すると次にピッチが長い部位が来て、アイドルギヤ17の歯溝にリングギヤの歯先が入り込み、確実に噛合させることができる。こうして、アイドルギヤ17の歯とリングギヤ5の歯とをより確実且つ円滑に噛み合わせることができ、また、シザーズギヤ本来の機能としてバックラッシュを防止でき、歯打音も一層低減できる。さらにまた、上記バッフル部材72によってアイドルギヤ17の位相が調整される際には、該バッフル部材72の第2アーム部72bをリングギヤ5の歯に当接させることによって、アイドルギヤ17の位相はリングギヤ5の位相に対して調整されることになるため、アイドルギヤ17の位相を、常にリングギヤ5の位相に対して円滑に噛合する所定の位相に調整することができ、アイドルギヤ17の位相の調整精度を向上させることができる。
さらに、上記アイドルギヤ17の歯と当接して該アイドルギヤ17の位相を調整するバッフル部材72の第1アーム部72aを、通常時には第2コイルスプリング75によってアイドルギヤ17の揺動軌跡Pの外側に位置させる一方、アイドルギヤ17が上記待機位置から噛合位置へ移動する際には、該アイドルギヤ17と連動して揺動するレバー部材26とサブバッフル部材73とを干渉させると共に第1コイルスプリング74の付勢力によってアイドルギヤ17の揺動軌跡P上に移動させるため、アイドルギヤ17がリングギヤ5へ噛合するように移動するときには、アイドルギヤ17の位相を調整してリングギヤ5との円滑且つ良好な噛合を実現することができる一方、アイドルギヤ17がリングギヤ5から離脱するときには、アイドルギヤ17の歯とバッフル部材72の第1アーム部72aとが衝突することを防止して、アイドルギヤ17又はバッフル部材72が破損することを防止することができる。また、バッフル部材72、サブバッフル部材73、第1コイルスプリング74及び第2コイルスプリング75を用いて、バネの付勢力を解除したり働かせたりすることによって、バッフル部材72の第1アーム部72aがアイドルギヤ17の揺動軌跡P上に位置するか否かを切り替えることができるため、位相調整機構7のバッフル部材位置制御機構の構成を簡素化することができる。さらに、上記サブバッフル部材73及びレバー部材26によってバッフル部材付勢力制御機構を構成することによって、上記ソレノイド12によるアイドルギヤ17の上記待機位置から噛合位置への移動を利用してバッフル部材72への付勢力を制御することができ、該バッフル部材付勢力制御機構の構成を簡素化することができる。
また、上記スタータモータ11の回転軸11aと出力軸11bとの間にはワンウェイクラッチ60が併設されているため、エンジン始動後のエンジンの高速回転により上記スタータモータ11が過回転することを防止することができる。さらに、アイドルギヤ17が上記待機位置から噛合位置へ移動する際に、アイドルギヤ17の歯がバッフル部材72と当接することによってアイドルギヤ17の自転がバッフル部材72と当接する方向に規制され、該バッフル部材72を乗り越える方向に自転しようとする。このとき、ピニオン16は、ワンウェイクラッチ60によりアイドルギヤ17から受ける回転力の方向には回転が許容されるため、アイドルギヤ17とピニオン16とは共に自転して、アイドルギヤ17がバッフル部材72を乗り越えることができる。この結果、リングギヤ5との噛合前にアイドルギヤ17がバッフル部材72に押圧されて確実に回転し、位相が調整される。そして、エンジン始動後のエンジンの高速回転により上記スタータモータが過回転することを防止するためにスタータモータ11とピニオン16との間にもともと設けられているワンウェイクラッチ60を利用して、上記のような方向へのピニオン16の自転が許容されるため、それ専用の機構を省略でき、部品点数及びコストの削減を図ることができる。
ここで、図11に示すように、アイドルギヤ17がリングギヤ5に噛合したときの該アイドルギヤ17の回転中心(軸21で代表する)は、ピニオン16の回転中心(出力軸11bで代表する)とリングギヤ5の回転中心とを結ぶラインLよりもリングギヤ5の回転方向Xの前方側に位置しているため、アイドルギヤ17を矢印イ方向に移動させてリングギヤ5に噛合させるときは、該アイドルギヤ17の歯がリングギヤ5の歯に食い込む方向に該アイドルギヤ17を移動させることになるから、両ギヤ17,5の噛み合い後にソレノイド12をオフにしても両ギヤ17,5は外れることがない。したがって、迅速スタートのためにアイドルギヤ17をプリセットしておく場合に、該アイドルギヤ17をアイドルストップ中ずっとリングギヤ5に噛合させておくためにソレノイド12を長時間オンにしておく必要がなくなり、エネルギ消費の増大を回避することができる。また、エンジン1の始動前のクランキング時には、リングギヤ5を回転させる反力により、アイドルギヤ17はリングギヤ5に食い込む方向に力が作用するため、ソレノイド12をオフにしても、アイドルギヤ17がリングギヤ5から外れたりすることがなく、この時点でソレノイド12をオフとすることができる。そして、エンジン1が始動すると、リングギヤ5と噛合していたアイドルギヤ17は、今度は、その回転を受けて、リングギヤ5から跳ね飛ばされて、自然と該リングギヤ5から矢印ウ方向(図12参照)に離脱するので、ソレノイド12は、アイドルギヤ17をリングギヤ5から離脱する方向ウに移動させなくて済み、この点においても、エネルギ消費の増大を回避することができる。
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態1について、以下のような構成としてもよい。すなわち、上記エンジンの始動装置は、アイドルストップ車両に採用しているが、これに限られるものではない。アイドルストップを頻繁に行わない普通の車両に採用してもよい。
また、スタータ3は、シリンダブロックの側面に固定されているが、自動変速機2のカバー類等、パワートレイン本体の他の部位に組み付けられる構成であってもよい。
なお、本実施形態では、アイドルギヤ17を円弧状経路に沿って移動させるようにしたが、これに限らず、例えば直線状経路に沿って移動させるようにしてもよい。
本発明の実施形態に係るエンジンの始動装置の全体概略図である。 エンジンの始動装置のギヤ噛合状態における部分断面図である。 図2におけるA−A線における断面図であって、アイドルギヤが待機位置に位置する状態を示すものである。 エンジンの始動装置を背面側から見た図である。 スタータモータに内蔵されたワンウェイクラッチの動作説明図である。 アイドルギヤが待機位置から噛合位置へ移動する場合のワンウェイクラッチの動作を示す説明図である。 アイドルギヤが待機位置から噛合位置へ移動する際の、移動初期の位相調整機構の動作を示す、図3に相当する動作説明図である。 アイドルギヤが待機位置から噛合位置へ移動する際の、移動中盤の位相調整機構の動作を示す、図3に相当する動作説明図である。 アイドルギヤが待機位置から噛合位置へ移動する途中で、アイドルギヤの歯がバッフル部材と当接したときの、ワンウェイクラッチの動作を示す説明図である。 アイドルギヤが待機位置から噛合位置へ移動する際の、移動終盤の位相調整機構の動作を示す、図3に相当する動作説明図である。 アイドルギヤがリングギヤと噛合している状態を示す、図3に相当する図である。 アイドルギヤが噛合位置から待機位置へ戻る際の位相調整機構の動作を示す、図3に相当する動作説明図である。
符号の説明
1 エンジン
11 スタータモータ
12 ソレノイド(アクチュエータ)
16 ピニオン
17 アイドルギヤ
18 本体ギヤ
19 補助ギヤ
20 スイングアーム
26 レバー部材(バッフル部材位置制御機構、バッフル部材付勢力制御機構)
5 リングギヤ
60 ワンウェイクラッチ
7 位相調整機構
71a シャフト(支軸)
71 ベース部材(バッフル部材位置制御機構)
72 バッフル部材
72b 第2アーム部(アーム部)
73 サブバッフル部材(バッフル部材位置制御機構、バッフル部材付勢力制御機構)
74 第1コイルスプリング(第1付勢バネ、バッフル部材位置制御機構)
75 第2コイルスプリング(第2付勢バネ、バッフル部材位置制御機構)

Claims (7)

  1. クランクシャフトに連結されたリングギヤと、
    パワートレイン本体に支持され、出力軸と一体となったピニオンを有するスタータモータと、
    上記ピニオンと噛合して、上記スタータモータにより駆動されるアイドルギヤと、
    上記アイドルギヤを上記ピニオンと噛合した状態のまま、上記クランクシャフトのリングギヤに対して径方向外方へ離れた待機位置から該リングギヤと噛合する噛合位置まで移動させるアクチュエータと、を備えたエンジンの始動装置であって、
    上記アイドルギヤが上記待機位置から上記噛合位置まで移動する途中で、該アイドルギヤの歯と干渉して該アイドルギヤの回転方向の位相を上記リングギヤと噛合可能な所定の位相となるように調整する位相調整機構をさらに備え、
    上記位相調整機構は、
    上記アイドルギヤの歯と干渉する干渉位置と該アイドルギヤの歯と干渉しない退避位置との間を移動可能なバッフル部材と、
    該アイドルギヤの上記待機位置から上記噛合位置への移動に連動して該バッフル部材を該干渉位置へ移動させる一方、該アイドルギヤの位相を調整した後には該バッフル部材を該退避位置へ移動させるバッフル部材位置制御機構とを有することを特徴とするエンジンの始動装置。
  2. 請求項1に記載のエンジンの始動装置において、
    上記バッフル部材位置制御機構は、
    上記バッフル部材を上記退避位置から上記干渉位置の方向へ付勢する第1付勢バネと、
    上記第1付勢バネよりも付勢力が大きく、上記バッフル部材を上記干渉位置から上記退避位置の方向へ付勢する第2付勢バネと、
    上記アイドルギヤの上記待機位置から上記噛合位置への移動と連動して上記第2付勢バネの付勢力を解除する一方、該アイドルギヤの位相を調整した後には該第2付勢バネの付勢力を働かせるバッフル部材付勢力制御機構とを有することを特徴とするエンジンの始動装置。
  3. 請求項2に記載のエンジンの始動装置において、
    上記バッフル部材は、支軸を中心に上記干渉位置と上記退避位置との間を揺動可能に構成されており、
    上記バッフル部材付勢力制御機構は、上記バッフル部材の支軸と同軸に揺動可能に該支軸に支承されたサブバッフル部材と、上記アイドルギヤの上記待機位置から上記噛合位置への移動と連動して移動し、該サブバッフル部材と干渉して該サブバッフル部材を上記支軸に対して上記バッフル部材の上記退避位置から上記干渉位置への揺動方向と同じ揺動方向へ揺動させると共に、所定以上の移動により該サブバッフル部材との干渉が解除されるレバー部材と、を有しており、
    上記第2付勢バネは、上記支軸に支承されて、一端部が上記バッフル部材と上記サブバッフル部材とに当接するコイルスプリングであって、該バッフル部材及び該サブバッフル部材を上記バッフル部材の上記干渉位置から上記退避位置への揺動方向へ付勢することを特徴とするエンジンの始動装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか1つに記載のエンジンの始動装置において、
    上記バッフル部材は、上記リングギヤの歯と当接するアーム部を有し、該アーム部と該リングギヤの歯とが当接した状態で上記アイドルギヤの歯と干渉して該アイドルギヤの位相を調整することを特徴とするエンジンの始動装置。
  5. 請求項1乃至4の何れか1つに記載のエンジンの始動装置において、
    上記アクチュエータが連結されると共に、基端部が上記ピニオンと同軸に揺動可能に支承される一方、先端部に上記アイドルギヤが回転可能に支承されるスイングアームをさらに備え、
    上記アイドルギヤは、上記スイングアームを上記アクチュエータで揺動させることによって、上記ピニオンと噛合した状態のまま上記待機位置から上記噛合位置まで移動するように構成されており、
    上記スタータモータと上記ピニオンとの間には、該スタータモータから該ピニオンへエンジンを始動させる方向の回転が伝達されるときにはロックする一方、該ピニオンから該スタータモータへエンジンを始動させる方向の回転が伝達されるときにはフリーとなるワンウェイクラッチが設けられており、
    上記ピニオンは、上記ワンウェイクラッチによって、上記アイドルギヤが上記待機位置から上記噛合位置へ移動することで該アイドルギヤから受ける回転力の方向には回転が規制される一方で、上記アイドルギヤが上記待機位置から上記噛合位置へ移動中に該アイドルギヤの歯が上記バッフル部材と当接することで該アイドルギヤから受ける回転力の方向には回転が許容されることを特徴とするエンジンの始動装置。
  6. 請求項5に記載のエンジンの始動装置において、
    上記アイドルギヤは、上記リングギヤと噛合したときに、その回転中心が上記ピニオンの回転中心と該リングギヤの回転中心とを結ぶ直線よりも該リングギヤの回転方向の前方側に位置することを特徴とするエンジンの始動装置。
  7. 請求項1乃至6の何れか1つに記載のエンジンの始動装置において、
    上記アイドルギヤは、上記ピニオン及び上記リングギヤと噛合可能であって且つ上記バッフル部材と当接する本体ギヤと、上記リングギヤと噛合可能であると共に該本体ギヤと同軸且つ略同径であって該本体ギヤの歯に対して1つおきに歯が欠けた形状の補助ギヤとを有すると共に、該本体ギヤと該補助ギヤとが回転方向へ相対的に所定位相ずれるように付勢手段によって付勢されて構成されていていることを特徴とするエンジンの始動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115234421A (zh) * 2022-09-02 2022-10-25 宁波市镇海金腾电器有限公司 一种转动啮合式起动机

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