JP3900746B2 - 写真用処理剤組成物、発色現像液、漂白液、漂白定着液、安定液、定着液、アンプリファイアー液、黒白現像液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光済みのハロゲン化銀写真感光材料を処理する写真用処理剤組成物の改良に関し、更に詳しくは、有害な作用をする金属イオンを封鎖するため、写真用として新規なキレート剤を含有させた写真用処理剤組成物、更には発色現像液、漂白液、漂白定着液、安定液、定着液、アンプリファイアー液、黒白現像液の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、露光済みのハロゲン化銀写真感光材料を処理して画像を得るためには、現像液、定着液をはじめとして、各種の処理液による処理が必要である。殊にカラー画像を得るためには、更に多くの処理工程が必要である。これらの処理に際して用いられる処理液は、多数の成分を含んでいるから、その調製の時用いる水の中にカルシウム、マグネシウム、鉄などの金属イオンが含まれていると、これらと反応して沈澱やスラッジを生ずる。そして自動現像処理機に付属しているフィルターの目づまりを起したり、或いは処理中の写真感光材料面に付着して汚染を生ずる等の欠点があった。
【0003】
又、処理液の調製の際純水を用いてこれを防いでも、写真感光材料から処理液中に金属イオンが溶出したり、前の処理工程から金属イオンが持ち込まれたりするため、処理液中の沈澱やスラッジの発生を完全に防止するのは甚だ困難であった。
【0004】
更に、処理液中に含まれている各種成分中のあるものは、金属イオンの作用によりその酸化や分解が促進され効力を失うため、この処理液で処理すると、カブリの発生や感光度の低下を来たす等の欠点があった。
【0005】
処理液に対する金属イオンの好ましくないこれらの作用を防止するため、金属イオンを封鎖するいわゆるキレート剤を写真処理剤組成物中に添加配合することが提案され実用されている。例えば、英国特許第520,593号によって提案されたヘキサメタリン酸ナトリウムのようなポリリン酸塩、米国特許第321,445号によって提案されたアルキリデンジホスホン酸、同3,201,246号で提案されたアミノポリメチレンホスホン酸及びエチレンジアミン四酢酸で代表されるアミノポリカルボン酸などを挙げることができる。
【0006】
しかしながら、これらのキレート剤を配合した場合も、実用上は種々欠点があって満足し得ないのが実情である。即ち、ポリリン酸塩は金属イオン封鎖力が小さく、重金属イオンに対しては特に弱いため実用に供し得ない。アルキリデンジホスホン酸は、カルシウムイオンとナトリウムイオンとがある濃度以上共存するとき、固形沈澱物を発生して、自動現像処理機に障害を起す問題点がある。エチレンジアミン四酢酸で代表される通常のアミノポリカルボン酸や、アミノトリメチレンホスホン酸で代表されるアミノポリメチレンホスホン酸は金属イオン封鎖力が大きく優れたものであるが、ヒドロキシルアミンを含むカラー現像液では、金属イオンの存在下にヒドロキシルアミンを分解し、この現像液で処理するとカブリを発生する欠点があり、又黒白現像液においては、現像主薬の酸化を促進して保存性を劣化させ、高感度フィルムに対して著しいカブリを起す欠点がある。
【0007】
更には、漂白液では通常有機酸第2鉄錯塩が漂白剤として用いられ、その安定剤としてキレート剤が用いられるが、該有機酸より第2鉄イオンに対して安定度の高いキレート剤を添加すると第2鉄イオンを取り込んでしまい漂白能力を阻害し、またキレート剤を添加しないと錯体自体が不安定となり水酸化鉄が沈殿してくる等の問題があり、適当なキレート剤の選択が望まれていた。
【0008】
漂白定着液や定着液では、定着剤としてチオ硫酸塩がよく用いられるが、溶解水中に含まれる重金属イオンにより不安定となり硫化しやすくなる問題があり、よく知られたエチレンジアミン4酢酸塩(EDTA)等のキレート剤では硫化を促進してしまう問題がある。
【0009】
安定液も溶解水中に含まれる重金属イオンにより、スカムが発生する問題があり、EDTA等のキレート剤では抑えきれなかった。
【0010】
アンプリファイアー液では、通常増幅の目的で過酸化水素やコバルトヘキサミン錯体が用いられるが、溶解水中に含まれる重金属イオンにより、過酸化水素やコバルトヘキサミン錯体が不安定となってしまう問題があるが、これらを抑制するためにEDTAを用いると逆に悪化してしまう。
【0011】
以上のように、従来提案されたキレート剤はいずれも何等かの欠点があり、写真用処理剤組成物に用いて充分満足する効果が得られていないのが実状である。
【0012】
更に、近年の低公害化等の社会環境的要請及び低コスト化等の経済的要請から写真用処理液の補充量は益々低減される傾向にあり、このため写真感光材料から溶出したカルシウム等の金属イオンも蓄積量が増加する傾向にある。
【0013】
更に近年、地球環境保護の立場から生分解性の良い素材の使用が望まれてきており、一部地域では使用規制の動きさえある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこれらの問題を解決するためになされたもので、第1の目的は、金属イオンの存在による沈澱やスラッジの発生がない、安定な処理液が得られる写真用処理剤組成物、更には発色現像液、漂白液、漂白定着液、安定液、定着液、アンプリファイアー液、黒白現像液を提供することにある。
【0015】
第2の目的は、自動現像処理機により処理を行なう際、長期に亙って安定な処理ができ、付属のフィルターの目詰まりを起さない写真用処理剤組成物、更には発色現像液、漂白液、漂白定着液、安定液、定着液、アンプリファイアー液、黒白現像液を提供することにある。
【0016】
第3の目的は、生分解性に優れ、地球環境の保護に適した写真用処理剤組成物、更には発色現像液、漂白液、漂白定着液、安定液、定着液、アンプリファイアー液、黒白現像液を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、
前記一般式〔A〕で表される化合物を含有するハロゲン化銀写真感光材料用処理剤組成物、発色現像液、漂白液、漂白定着液、安定液、定着液、アンプリファイアー液、黒白現像液、(但し、前記ハロゲン化銀写真感光材料用処理剤組成物、漂白液、漂白定着液において該化合物の第2鉄錯塩を含有するハロゲン化銀写真感光材料用処理液を除く)及び 該ハロゲン化銀写真感光材料用処理剤組成物、発色現像液、漂白液、漂白定着液が前記一般式〔I〕で表される化合物を含有すること、
によって達成される。
【0018】
以下に本発明について詳しく述べる。
【0019】
一般式〔A〕において、A1〜A3は各々−CH2OH、−PO3M2M3又は−COOM1を表し、M1〜M3は各々水素原子、アルカリ金属イオン(例えばナトリウムイオン、カリウムイオン)又はその他のカチオン(例えば、アンモニウムイオン、メチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン等)を表す。Xは置換、無置換の、炭素数2〜6のアルキレン基又は−(B1O)n−B2−を表す。nは1〜8の整数を表し、またB1及びB2は各々炭素数1〜5のアルキレン基を表す。Xで表されるアルキレン基としては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン等が挙げられる。又、B1及びB2で表されるアルキレン基としては、メチレン、エチレン、トリメチレン等が挙げられる。X、B1又はB2が表すアルキレン基の置換基としては、水酸基、炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)等が挙げられる。nは1〜8の整数を表し、好ましくは1〜4である。特に好ましくは、1〜2である。一般式〔A〕で表される具体的化合物を以下に示すが、これらに限定されない。
【0020】
【化3】
【0021】
これらの化合物は一般に知られる方法で合成することができる。また光学異性体のものが好ましく用いられ、特に好ましい化合物は(A−1)である。
【0022】
一般式〔I〕において、A1〜A4はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、−CH2OH、−PO3M1M2は−COOM3を表す。M1、M2及びM3は各々水素イオン、アルカリ金属イオン(例えばナトリウムイオン、カリウムイオン)又はその他のカチオン(例えば、アンモニウムイオン、メチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン等)を表す。Xは炭素数2〜6のアルキレン基(置換体も含む)又は−(B1O)n−B2−を表す。又、B1及びB2はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基(置換体も含む)を表す。Xで表されるアルキレン基としては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン等が挙げられる。又、B1及びB2で表されるアルキレン基としては、メチレン、エチレン、トリメチレン等が挙げられる。X、B1又はB2が表すアルキレン基の置換基としては、水酸基、炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)等が挙げられる。nは1〜8の整数を表し、好ましくは1〜4である。特に好ましくは、1〜2である。以下に一般式〔I〕で示される化合物の好ましい具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
【化4】
【0024】
【化5】
【0025】
これらの化合物は一般に知られる方法で合成することができる。また光学異性体のものが好ましく用いられ、特に好ましい化合物は(I−1)、(I−3)、(I−14)である。
【0026】
上記一般式〔A〕、一般式〔I〕で表される化合物を写真用処理剤組成物中に配合する量は、仕上り処理液1L当たり0.1〜50gが好ましく、より好ましくは0.5〜10gである。配合に際しては、前記一般式で示される化合物を2種以上組合せ使用してもよく、又他のキレート剤と組合せて使用しても差支えない。配合には、処理液を調製するとき他の成分と共に処理液中に加えてもよいし、又、他の成分と共に粉末状のままキットの中に、或いは濃厚液キットの中に配合してもよい。
【0027】
本発明の写真用処理剤組成物は、ハロゲン化銀写真感光材料を処理するためのあらゆる処理液に適用することができる。例えば、一般の黒白用現像液、リバーサルフィルム用第1現像液、リス用伝染現像液、カラー用発色現像液、漂白液、定着液、漂白定着液、停止液、硬膜液、安定液、アンプリファイアー液、カブリ液及び調色液等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、本発明の写真用処理剤組成物はカラーフィルム、カラー印画紙、リバーサルフィルム、一般用黒白フィルム、X線用フィルム、印刷用リスフィルム及びマイクロフィルム等、すべてのハロゲン化銀写真感光材料の処理に使用することができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明の実施態様がこれに限定されるものではない。
【0029】
実施例1
写真用処理剤組成物として、下記組成のカラー印画紙用現像液を調製した。
【0030】
炭酸カリウム 30g
臭化カリウム 5mg
塩化カリウム 1.2g
トリエタノールアミン 15g
ジエチレングリコール 10g
亜硫酸カリウム 0.5g
ヒドロキシルアミン硫酸塩 0.5g
ジスルホエチルヒドロキシルアミン 5g
ベンジルアルコール 2g
3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン硫酸塩 6.0g
水酸化カリウム 1.4g
蛍光増白剤(チノパールSFP) 2g
水にて1Lに仕上げ、水酸化カリウム及び20%硫酸を用いてpH10.2に調整した。
【0031】
上記現像液を試料(A)とし、これに前記例示化合物(A−1)を2g/Lの割合で加えたものを試料(B)とした。同様に例示化合物(A−2)を2g/L加えたものを試料(C)、ヘキサメタリン酸ナトリウム(HMPと略す)を2g/L加えたものを試料(D)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDPと略す)の60%溶液を3.3g/L加えたものを試料(E)、エチレンジアミン四酢酸(EDTAと略す)を2g/L加えたものを試料(F)及びニトリロトリ酢酸(NTAと略す)を2g/L加えたものを試料(G)とし7種の試料を作製した。
【0032】
各試料は加えた物質によりpHが変化しているので、水酸化カリウム又は希硫酸を用いて、pHをそれぞれ10.2となるよう調整し、次の各実験を行った。各実験の結果は最後にまとめて示す。
【0033】
実験1
上記の現像液試料(A)〜(G)に、第2鉄イオン1.7ppmと銅イオン0.4ppmをそれぞれ添加し、35℃で5日間放置した後、ヒドロキシルアミンを定量分析し、その減少率を求めた。
【0034】
実験2
紙支持体の片面にポリエチレンを、別の面の第1層側に酸化チタンを含有するポリエチレンをラミネートした支持体上に以下に示す構成の各層を塗設し、多層カラー感光材料を作製した。塗布液は下記のごとく調製した。
【0035】
第1層塗布液
イエローカプラー(Y−1)25.1g、色素画像安定化剤(ST−1)10.0g、(ST−2)6.67g、ステイン防止剤(HQ−1)0.67gを高沸点溶剤(DNP)6.67gに酢酸エチル60mlを加え溶解し、この溶液を20%界面活性剤(SU−1)7mlを含有する10%ゼラチン水溶液220mlに超音波ホモジナイザーを用いて乳化分散させてイエローカプラー分散液を作製した。この分散液を下記条件にて作製した青感性ハロゲン化銀乳剤(銀9.5g含有)と混合し第1層塗布液を調製した。
【0036】
第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液と同様に調製した。
【0037】
また、硬膜剤として第2層及び第4層に(H−1)を、第7層に(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【化6】
【0041】
【化7】
【0042】
【化8】
【0043】
【化9】
【0044】
[青感性ハロゲン化銀乳剤の調製]
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1000ml中に下記(A液)及び(B液)をpAg=6.5、pH=3.0に制御しつつ30分かけて同時添加し、更に下記(C液)及び(D液)をpAg=7.3、pH=5.5に制御しつつ180分かけて同時添加した。このとき、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸または水酸化ナトリウムの水溶液を用いて行った。
【0045】
(A液)
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200ml
(B液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200ml
(C液)
塩化ナトリウム 102.7g
臭化カリウム 1.0g
水を加えて 600ml
(D液)
硝酸銀 300g
水を加えて 600ml
添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.85μm、変動係数(σ/r)=0.07、塩化銀含有率99.6モル%の単分散立方体乳剤EMP−1を得た。
【0046】
上記乳剤EMP−1に対し、下記化合物を用い50℃にて90分化学熟成を行い、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B)を得た。
【0047】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤(STAB−1) 6×10-4モル/モルAgX
増感色素(BS−1) 4×10-4モル/モルAgX
増感色素(BS−2) 1×10-4モル/モルAgX
[緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製]
(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更する以外はEMP−1と同様にして、平均粒径0.43μm、変動係数(σ/r)=0.08、塩化銀含有率99.6モル%の単分散立方体乳剤EMP−2を得た。
【0048】
EMP−2に対し、下記化合物を用いて55℃で120分化学熟成を行い、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G)を得た。
【0049】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤(STAB−1) 6×10-4モル/モルAgX
増感色素(BS−1) 4×10-4モル/モルAgX
[赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製]
(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更する以外はEMP−1と同様にして、平均粒径0.50μm、変動係数(σ/r)=0.08、塩化銀含有率99.7モル%の単分散立方体乳剤EMP−3を得た。
【0050】
EMP−3に対し、下記化合物を用いて60℃で90分化学熟成を行い、赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R)を得た。
【0051】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤(STAB−1) 6×10-4モル/モルAgX
増感色素(BS−1) 4×10-4モル/モルAgX
【0052】
【化10】
【0053】
以上のようにして作製したカラー印画紙に、感光計を用いて白色段階露光を与えた後、実験1で7日間放置した後の現像液試料(A)〜(G)をそれぞれ用いて、次の工程に従って処理を行った。
【0054】
(漂白定着液の組成)
エチレンジアミン四酢酸 4g
亜硫酸アンモニウム(50%溶液) 30ml
チオ硫酸アンモニウム(70%溶液) 140ml
アンモニア水(28%溶液) 30ml
エチレンジアミン四酢酸第2鉄ナトリウム 70g
水にて1Lに仕上げた。
【0055】
上記発色現像処理を終ったものについて、PDA65型光電濃度計(コニカ株式会社製)を用いて未露光部ブルー反射濃度のカブリ濃度を測定した。
【0056】
実験3
現像液試料(A)〜(G)にそれぞれカルシウムイオン220ppmとナトリウムイオン3200ppmとを加え、室温で7日間放置し沈澱の発生状況を観察した。
【0057】
実験1〜3の結果をまとめて表3に示す。
【0058】
【表3】
【0059】
上表の結果が示すように、本発明による現像液試料(B)及び(C)はヒドロキシルアミンの分解が少なく、カブリも少なく、金属イオンの存在による沈澱の発生もないことがわかる。一方、比較の試料(E)においては、ヒドロキシルアミンの分解抑制とカブリ発生についてはある程度効果があるものの、金属イオンの存在による沈澱発生には全く効果がなく使用に耐えないことが判る。更に比較の試料(F)は、沈澱発生に対しては本発明に用いるキレート剤同様効果があるが、ヒドロキシルアミンの分解を促進し、著しいカブリを発生し使用に耐えない。試料(A)、(D)及び(G)も、ヒドロキシルアミンを分解し、カブリを生じる上、金属イオンの存在による沈澱発生防止力も弱く、実用に適しないものである。
【0060】
実施例2
写真用処理剤組成物として、下記組成のリバーサルフィルム用第1現像液(黒白現像液)を調製した。
【0061】
亜硫酸カリウム(50%溶液) 55ml
臭化ナトリウム 2.2g
チオシアン酸ナトリウム 1.0g
溶化カリウム 3mg
ジエチレングリコール 20ml
1−フェニル−3−ピラゾリドン(商品名フェニドン) 0.60g
ハイドロキノン 6.0g
炭酸カリウム 28.2g
水酸化カリウム 2.8g
水にて 1Lとする。
【0062】
上記現像液を試料(H)とし、これにエチレンジアミン四酢酸(EDTAと略す)を2g/Lの割合で加えたものを試料(I)とした。同様に例示化合物A−1を2g/Lの割合で加えたものを試料(J)、エチレンジアミン四メチレンホスホン酸(EDTPと略す)を2g/Lを加えたものを試料(K)とし計4種の試料を作製した。各試料は、水酸化カリウム又は20%硫酸を用いて、pHが9.90となるよう調整した。
【0063】
以上の各試料に、第2鉄イオンを2.0ppm及びカルシウムイオンを200ppm添加し、35℃で5日間保存した後、定量分析を行ってフェニドンの減少率を測定し、又沈澱の発生状況を観察した。得られた結果を表4に示す。
【0064】
【表4】
【0065】
上表の結果が示すように、比較試料(I)は金属イオンの存在による沈澱の発生を有効に防止するものの、現像主薬であるフェニドンの分解を促進させる。一方の比較試料(H)及び(K)はフェニドンの分解に効果がないか、あるいは少なく、沈澱発生防止にも余り効果がない。これに反し、本発明に用いるキレート剤を含む試料(J)は、沈澱発生を有効に防止すると共に、フェニドンの分解も良好に抑制していることがわかる。
【0066】
実施例3
写真用処理剤組成物として、下記組成の漂白液(1)、(2)の2種、定着液、漂白定着液を調製し、両液について金属イオンによる沈澱発生に対する例示化合物の効果を試験した。
【0067】
漂白液(1)
エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム(2水塩) 125g
臭化アンモニウム 98g
水を加えて1Lとする。
【0068】
漂白液(2)
1,3−ジアミノプロパン四酢酸第2鉄アンモニウム 140g
硝酸ナトリウム 40g
臭化アンモニウム 150g
氷酢酸 45g
水を加えて1Lとする。
【0069】
定着液
チオ硫酸アンモニウム 200g
亜硫酸アンモニウム 25g
メタ重亜硫酸カリウム 8g
水にて1Lとする。
【0070】
漂白定着液
エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム 65g
亜硫酸アンモニウム(40%溶液) 20ml
チオ硫酸アンモニウム(70%溶液) 250ml
アンモニア水(28%溶液) 30ml
水にて1Lとする。
【0071】
上記漂白液(1)、(2)2種、定着液及び漂白定着液について、そのままのものを比較用とし、また例示化合物A−1〜A−4をそれぞれ4g/Lの割合で添加して16種の本発明試料を作った。これらの液はアンモニア水又は酢酸を用いて、漂白液(1)についてはpH6.0、漂白液(2)についてはpH4.2、定着液についてはpH6.8、漂白定着液についてはpH7.1となるよう調整し、それぞれの液にカルシウムイオンを600ppm添加した。
【0072】
これを放置したとき、何も加えない比較用のものは定着液及び漂白定着液のいずれも甚だしい沈澱を生じたが、本発明に係る化合物を添加したものは僅かの沈澱しか発生しなかった。
【0073】
実施例4
写真用処理剤組成物として、下記組成の安定液を調整し、実施例3で用いた漂白定着液を5%添加し、硫化による浮遊物の発生防止効果を試験した。
【0074】
安定液
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.01g
ベンゾトリアゾール 1g
アンモニア水(28%) 3ml
水で1Lとし、水酸化カリウム及び20%硫酸でpH8.0に調整した。
【0075】
上記安定液について、そのままのものを比較用とし、例示化合物A−1〜A−4をそれぞれ3g/Lの割合で添加した4種の本発明試料を作った。
【0076】
これらの安定液は、KOH又は20%硫酸で、pH8.0となる様に調整し、それぞれの液に、カルシウムイオンを100ppm添加して放置した。この結果、何も加えない比較用のものは、2日で沈澱が生じ表面に浮遊物が発生したが、例示化合物A−1〜A−4を添加した本発明試料は10日後でも何等異常が認められなかった。更に、黴の発生についても効果が認められた。
【0077】
実施例5
写真用に一般的に用いることが知られているキレート剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、例示化合物A−1及びA−2について、OECD化学品テストガイドラインの301C修正MITI試験(I)(1981年5月12日採択)に従って生分解度を求めた。この際、例示化合物(A−1)の生分解度を100とした時の相対分解度を求め結果を表5に示す。
【0078】
【表5】
【0079】
上記表5より、本発明のキレート剤は生分解性が極めて良好であり、EDTA、DTPA及びHEDTAと比べ、地球環境保護の立場から極めて好ましいものであることが判る。
【0080】
実施例6
過酸化水素(35%溶液)30ml、炭酸ナトリウム(15g)、6−アミノプリン(20mg)を水1Lに溶解し、希硫酸又は水酸化カリウムを用いてpHを10.0に調整したものをアンプリファイアー液(1)として用いた。
【0081】
このアンプリファイアー液(1)に、表6に記載の各種キレート剤(1g/L)を添加し、pHは10.0を維持する様に調整を行い、アンプリファイアー液(2)〜(7)を作製した。
【0082】
各アンプリファイアー液に第2鉄イオン2ppm、カルシウムイオン150ppm及びナトリウムイオン500ppmを添加し、35℃で6日間放置し、保存後の過酸化水素濃度を測定し残存率を求め(実験4)、更に沈殿の発生状況を観察(実験5)した。なおアンプリファイアー液(補強液とも称する)の詳細については特公昭63−33139号等に記載される。
【0083】
以上の結果を表6に示す。
【0084】
【表6】
【0085】
これにより、本発明の化合物をアンプリファイアー液に用いると、他のキレート剤を用いる場合と比較して、過酸化水素の残存量も多く、且つ沈殿の発生も少なく優れていることが判る。
【0086】
実施例7
実施例1の現像液試料(C)に、化合物I−1又はI−3をそれぞれ1g/L追加して、他は実施例1と同様にして実験を行った。更に実施例1の現像液試料(C)に、EDTA又はNTAを1g/L添加して上記と同じ実験を行った。
【0087】
この結果、一般式〔A〕で表される化合物に、一般式〔I〕で表される化合物を組み合わせて用いる際には、ヒドロキシルアミンの減少率がそれぞれ2〜4%改善され、カブリ濃度も10〜15%改善された。しかるに、一般式〔A〕で表される化合物に、EDTA又はNTAを組み合わせて用いる際には、ヒドロキシルアミンの減少率は殆ど改善されず、またカブリ濃度も改善されなかった。
【0088】
実施例8
実施例3の漂白液(2)及び漂白定着液に、前記例示化合物A−1を4g/L、化合物I−1又はI−3をそれぞれ1g/L追加して、他は実施例3と同様にして実験を行った。この結果、沈殿は全く発生しなかったことに加えて、硫化の速度も1.6倍に改善された。しかるに、前記一般式〔I〕で表される化合物の代わりに、EDTAやNTAを添加してもこの効果は発現しなかった。
【0089】
【発明の効果】
本発明の写真用処理剤組成物、更には発色現像液、漂白液、漂白定着液、安定液、定着液、アンプリファイアー液、黒白現像液を用いるときは、次のような優れた効果がある。
【0090】
(1)金属イオンの作用による処理液中の有効成分の酸化や分解がなく、長期に亙って処理液の効力を持続させ、常に一定の処理結果が得られる。
【0091】
(2)金属イオンが処理液中に存在又は混入しても、沈澱やスラッジの発生がなく、フィルターの目詰まりや被処理物である写真感光材料を汚染することがない。
【0092】
(3)生分解性が極めて良好で、地球環境保護の面で好ましい。
Claims (12)
- 前記一般式〔A〕で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用発色現像液。
- 前記一般式〔A〕で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用漂白液、但し、該化合物の第2鉄錯塩を含有するハロゲン化銀写真感光材料用処理液を除く。
- 前記一般式〔A〕で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用漂白定着液、但し、該化合物の第2鉄錯塩を含有するハロゲン化銀写真感光材料用処理液を除く。
- 前記一般式〔A〕で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用安定液。
- 前記一般式〔A〕で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用定着液。
- 前記一般式〔A〕で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用アンプリファイアー液。
- 前記一般式〔A〕で表される化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用黒白現像液。
- 前記一般式〔I〕で表される化合物を含有することを特徴とする請求項2に記載のハロゲン化銀写真感光材料用発色現像液。
- 前記一般式〔I〕で表される化合物を含有することを特徴とする請求項3に記載のハロゲン化銀写真感光材料用漂白液。
- 前記一般式〔I〕で表される化合物を含有することを特徴とする請求項4に記載のハロゲン化銀写真感光材料用漂白定着液。
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