JP3900662B2 - オゾン発生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平板電極が多段に積層されたオゾン発生装置に係り、特に平板電極を冷却しながらオゾンを発生させるオゾン発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オゾン発生装置は、既に多くのものが商品化されている。その一つを図5に示す。
【0003】
図5に示すように、このオゾン発生装置は、中央にオゾンの取出口1を有し正方形状に形成されると共に表面に誘電体層3が形成されたアルミ製平板電極10e,10hが、放電ギャップを形成すべくテフロンやセラミック等からなる絶縁性スペーサ5を介して多段に積層されており、更に、一段おきに高圧電源の高圧20側又はグランド30側と接続されて主に構成されている。誘電体層3は、ある種のホウロウやセラミックスなどのアルミニウムと密着性の良い誘電体からなり、この誘電体を平板電極10に溶射等によって直接的に被覆することで形成されている。
【0004】
そして、これらの電極10e,10h間に高電圧を印加して放電を発生させながら、電極10e,10h間に空気などを導入して、空気中の酸素を反応させてオゾンを発生させ、上述した取出口1からオゾンを取り出すようにしている。
【0005】
このように電極10e,10h間での放電を利用してオゾンを発生させる場合、オゾンの濃度は、電極10e,10h間のガス温度が低いほど、高濃度であることが知られている。このため、オゾン発生装置は、放電時に電極10e,10hが冷却されている。
【0006】
例えば、図5に示したオゾン発生装置は、各平板電極10e,10h内に冷媒を通すための冷媒通路11が形成されていると共に、それら冷媒通路11にそれぞれ冷媒通路11に冷媒を供給するための冷媒供給手段40と、冷媒通路11を通過した冷媒を電極外に排出するための冷媒排出手段50とが接続されている。
【0007】
これら冷媒供給手段40及び冷媒排出手段50と各電極10e,10hとは、パイプタップ(PT)継手などを取り付けて接続されており、更に各電極10e,10h間はテフロンチューブなどで絶縁して接続されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のオゾン発生装置は、平板電極の表面全体を放電面とするために、平板電極を、平面視で相互に重なるように積層していたので、各電極10e,10h毎に冷媒供給手段40と冷媒排出手段50を接続しなければならず、多数の電極10e,10hを備えている場合、多数の配管及び継手を設けなければならなかった。尚、この問題を解決する方法として、特開平8−12304号公報には、一方の電極内の冷媒通路出口と他方の電極内の冷媒通路入口とをリニアに接続して冷媒供給手段40と冷媒排出手段50の接続数を減少する方法が示されているが、この方法は、接続される電極同士の冷媒通路の出口と入口とが離れて形成されているので、これら出口と入口とを配管等で接続しなければならず、継手数を減少させることができなかった。
【0009】
また、その継手の接続部分では、水漏れすることがあり、それを防止するために多くのシール材を設けなければならなかった。このため、オゾン発生ユニットの構造が複雑になると共に、継手の材質としてテフロン、ステンレス(SUS)等を用いる必要があり、これらは高価なので、コスト高にもなっていた。
【0010】
更に、PT継手やテフロンチューブの接続には取付けに時間が掛かり、このため装置全体の組立てに長時間が必要となるなどの問題があった。
【0011】
そこで、本発明の目的は、継手数を減少させることにより、ユニット構造の簡略化、高信頼性化、及び装置の低コスト化を実現できるオゾン発生装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、電極を冷却する冷媒の通路が内部に形成された第1の平板電極と第2の平板電極とを放電ギャップを介して多段に積層し、それら電極間に高電圧を印加して放電ギャップ間でオゾンを発生させるオゾン発生装置において、上記第1の電極と第2の電極に、平面視で相互に重ならない張出部をそれぞれ形成し、かつその第1と第2の電極の張出部間に、その第1の電極又は第2の電極の冷媒通路同士をそれぞれ連通させる冷媒通路が形成されたスペーサブロックを介在させて電極を多段に積層すると共に、それら第1の電極と第2の電極の冷媒通路に、それぞれ冷媒供給手段と冷媒排出手段とを接続したものである。
【0013】
請求項2の発明は、上記スペーサブロックが同電位の平板電極同士を電気的に接続し、その任意の段の第1と第2の電極間に高圧電源を接続したものである。
【0014】
上記構成によれば、冷却冷媒は、冷媒供給手段から一方のスペーサブロック内の冷媒通路を通って各電極内に導入され、電極全体に行きわたって電極を冷却した後、他方のスペーサブロック内の冷媒通路を通って冷媒排出手段より排出される。これにより、各電極毎に設けられていた冷媒供給手段及び冷媒排出手段をそれぞれ纏めることができるので、配管数及び継手数を大幅に減少でき、ユニット構造を簡略化できると共に、装置のコストを低下できる。
【0015】
また、スペーサブロックにより、第1電極同士及び第2電極同士が電気的に接続される。これにより、スペーサブロックは、通電端子も兼用するので、高圧電源と接続するための、更に装置のコストダウンが図られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0017】
図1に本発明にかかるオゾン発生装置の概略図を示す。
【0018】
図1に示すように、オゾン発生装置は、電極を冷却するための冷媒を通過させるための冷媒通路119が内部に形成された第1及び第2のアルミ製平板電極110h,110eが、長方形に形成されていると共に、基台60上にそれぞれ90度ずらしてかつその長辺側端に、内部に電極内の冷媒通路119同士を接続するための冷媒通路77が形成されたスペーサブロック70を介在させて多段に積層されて、第1の電極110h同士が接続された第1電極群100hと、第2の電極110e同士が接続された第2電極群100eとが形成されている。
【0019】
これら電極群100h,100eにはそれぞれ高圧電源と電気的に接続するための接続端子120が形成されていると共に、第1電極群100hは、高圧電源の高圧20側と電気的に接続され、また、第2電極群100eは、高圧電源のグランド30側と接続されている。
【0020】
更に、それぞれの電極群100e,100hの冷媒通路119,77には、その冷媒通路119,77に冷媒を供給するための冷媒供給手段80と、冷媒通路119,77を通過した冷媒を電極外に排出するための冷媒排出手段90が接続されている。
【0021】
これらの電極群100h,100eを構成する平板電極110e,110hは、図2に示すように、高圧電源の高圧側と接続される高圧電極110hとグランド側と接続されるアース電極110eとが上述したように90度ずらして設けられており、それぞれ、長方形に形成された電極本体111の中央にオゾンの取出口113が形成されると共に、その長辺側両端に形成された張出部115の積層面を残して誘電体層117が形成されている。誘電体層117は、ある種のホウロウやセラミックスなどのアルミニウムと密着性の良い誘電体からなり、この誘電体を電極本体111に溶射等によって直接的に被覆することで形成されている。また、張出部115には、上述した冷媒供給手段から冷媒通路へ冷媒を供給するための供給口119iと、冷媒通路を通過した冷媒を冷媒排出手段に排出するための排出口119oが所定の位置に形成されている。この供給口119i及び排出口119oは、上述したように積層した時に高圧電極110h同士の供給口119i及び排出口119oが同軸上に整列するように形成されていると共に、アース電極110e同士の供給口119i及び排出口119oも同様に同軸上に整列するように形成されている。更に、これら供給口119iと排出口119oの周りには、これを取り囲むように、平板電極の冷媒通路とスペーサブロックの冷媒通路との接続部分をシールするためのOリングが挿入される溝119gが適宜な深さで形成されている。
【0022】
また、スペーサブロック70は、第1及び第2の平板電極110h,110e同士を電気的に接続するために、上述したように材質が導電性材料、例えば硬質のアルミで形成されており、その表面に平板電極と接触する面を残して琺瑯などの絶縁層が形成されている。更に、このスペーサブロック70は、図3に示すように、電極間に所定間隔を形成するためのスペーサ部71、そのスペーサ部71を支持するための支持部73、及び電極間に原料ガスを導入するための空間でなる原料ガス導入部75とから構成されており、H字状に形成されている。
【0023】
このスペーサ部71は、高さが、電極厚さ+ギャップ幅×2に形成されており、内部には、一方の電極の供給口あるいは排出口と、他方の電極の排出口あるいは供給口とを繋ぐ冷媒通路77が形成されている。すなわち、この冷媒通路77は、上述した平板電極の供給口及び排出口と同軸上に整列するように形成されていることで、供給口と排出口とを繋いでいる。更に、スペーサ部71の電極と接触する両端面71fには、上述したOリングが挿入される溝71gが、冷媒通路77を取り囲むように適宜な深さで形成されている。
【0024】
このOリングを挿入するための溝119g,71gは、冷媒通路119,77同士の接続部分の全てに形成されており、図4に示すように、上述した基台60に冷媒通路61が形成されている場合には、その冷媒通路61と接続されるスペーサブロック70内の冷媒通路77との接続部分にもOリング79が挿入される溝61gが形成される。そして、図示していないが、基台60とスペーサブロック70、及びスペーサブロック70と平板電極110は、ボルトで固定されている。
【0025】
次に、本発明の作用を説明する。
【0026】
まず、本発明を組み立てる際には、基台60に、Oリングを挟んでスペーサブロック70を90度ずつずらして設け、更にそれらスペーサブロック70上に第1及び第2電極110h,110eを90度ずつずらして設け、同様に、スペーサブロック70を介して第1及び第2電極110h,110eを90度ずつずらして設け、第1電極110h同士及び第2電極110e同士をボルトにより固定して、それぞれ電気的に接続された第1電極群100hと第2電極群100eを組み立てる。
【0027】
このように第1及び第2電極110e,110hを積み重ねると、冷媒供給口及び冷媒排出口とスペーサブロック70の冷媒通路77とが同軸上に並ぶと共に、各Oリングはつぶれ、スペーサブロック70と電極110e,110hの冷媒通路77,119の接続部分がシールされる。更に、第1電極110hと第2電極110eとが所定のギャップ幅を隔てて第1電極110h同士と第2電極110e同士が接続される。すなわち、ギャップ幅は、スペーサブロック70のブロック厚さのみによって管理できる。また、スペーサブロックにより、第1電極110h同士及び第2電極110e同士が電気的にも接続される。これにより、スペーサブロック70は、通電端子も兼用できる。
【0028】
そして、第1電極110hを高圧電源の高圧20側に、第2電極110eを高圧電源のグランド30側に接続し、更に、第1電極群100hと第2電極群100eにそれぞれ冷媒供給手段80と冷媒排出手段90を接続して、オゾン発生装置の組立てが完了する。
【0029】
このように、本発明は、冷媒供給手段80と冷媒排出手段90を組み立てる際に、PT継手による配管の接続は平板電極110e,110hの数に関係なく第1電極群100hと第2電極群100eとでそれぞれ2ヶ所ずつの計4ヶ所となるので、組立て時間を大幅に短縮できる。更に、配管数とPT継手数が大幅に減少するので、ユニット構造を簡略化でき、装置のコストも低下する。
【0030】
更に、スペーサブロック70が通電端子としても兼用できるので、従来各電極毎に設けられていた通電端子及び接続金具を大幅に減少できる。
【0031】
また、本発明によりオゾンを製造するに際しては、第1電極110hと第2電極110eとの間に、高電圧を印加し、放電を発生させると共に、その隙間に空気又は、酸素を導入する。酸素は、放電により、オゾンに反応する。
【0032】
この反応時、放電により電極110e,110h間のガス温度が上昇するが、高圧電極110h内では、一方の冷媒供給手段80から水が導入され、その水はスペーサブロック70内の冷媒通路77を通って高圧電極群100h全体に行きわたり、十分に吸熱した後、一方の冷媒排出手段90より排出される。同様に、アース電極110e内でも、他方の冷媒供給手段80から水が導入され、その水はスペーサブロック70内の冷媒通路77を通ってアース電極群100e全体に行きわたり、十分に吸熱した後、他方の冷媒排出手段90より排出される。
【0033】
これにより、電極110e,110hは冷却され、酸素は低温下で反応するので、高濃度のオゾンに反応され、オゾン取出口113よりオゾンを効率的に取り出せる。
【0034】
以上説明したように、本発明によれば、各電極110e,110h毎に冷媒供給手段80と冷媒排出手段90を接続する必要がなくなり、高圧電極群100hとアース電極群100eで2ヶ所ずつPT継手により接続されるので、配管数及び継手数を大幅に減少でき、これにより、装置の組立て時間を大幅に短縮できると共に、ユニット構造を簡略化でき、装置のコストを低減できる。更に、本発明は、電極110e,110h内の冷媒通路119同士を最短で繋ぎ、冷媒通路119の長さを大幅に短縮できるので、電極110e,110hを効率良く冷却でき、従来よりも高濃度のオゾンが得られる。また更に、高圧電源と電気的に接続するための通電端子や接続金具を減少できるので、装置を低コスト化できる。
【0035】
また、本発明の変形例として、本実施の形態ではスペーサブロック70と平板電極110e,110h及び基台60とをOリング79を介してボルトで固定したが、溶接にて固定しても良い。このように、本発明は、電極本体111に放電面以外に張出部115を形成したので、電極110e,110hとスペーサブロック70を溶接により接続できるようになり、電極110e,110h間を固定する固定部材を必要としないので、部品点数を減少できる。
【0036】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、配管数及び継手数を大幅に減少できるので、組立て時間を大幅に短縮できると共に、ユニット構造を簡略化でき、更に、装置を低コスト化でき、また信頼性を向上できる。
【0037】
また、スペーサブロックを通電端子としても兼用できるので、更に装置のコストダウンが図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るオゾン発生装置の概略図である。
【図2】図1の平板電極の平面図である。
【図3】図1のスペーサブロックの斜視図である。
【図4】図1の平板電極とスペーサブロックとの接続部分の拡大図である。
【図5】従来のオゾン発生装置の概略図である。
【符号の説明】
70 スペーサブロック
77 冷媒通路
80 冷媒供給手段
90 冷媒排出手段
110h 第1平板電極(高圧電極)
110e 第2平板電極(アース電極)
119 冷媒通路

Claims (2)

  1. 電極を冷却する冷媒の通路が内部に形成された第1の平板電極と第2の平板電極とを放電ギャップを介して多段に積層し、それら電極間に高電圧を印加して放電ギャップ間でオゾンを発生させるオゾン発生装置において、上記第1の電極と第2の電極に、平面視で相互に重ならない張出部をそれぞれ形成し、かつその第1と第2の電極の張出部間に、その第1の電極又は第2の電極の冷媒通路同士をそれぞれ連通させる冷媒通路が形成されたスペーサブロックを介在させて電極を多段に積層すると共に、それら第1の電極と第2の電極の冷媒通路に、それぞれ冷媒供給手段と冷媒排出手段とを接続したことを特徴とするオゾン発生装置。
  2. スペーサブロックが同電位の平板電極同士を電気的に接続し、その任意の段の第1と第2の電極間に高圧電源を接続した請求項1記載のオゾン発生装置。
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