JP3899875B2 - 原稿搬送装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置等に用いられる原稿搬送装置に関し、特に、原稿サイズの検知機能を備えた原稿搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、スキャナ装置やファクシミリ装置等の画像読取装置、或いは複写機等の画像形成装置に搭載される画像読取装置などには、読取対象となる原稿を自動的に搬送する原稿搬送装置を備えたものがある。
【0003】
また、原稿搬送装置には原稿のサイズを自動的に検知する原稿サイズ検知機能を備えたものがある。原稿サイズ検知機能を備えた原稿搬送装置では、画像読取時の副走査方向に該当する搬送方向の原稿サイズ(以下、原稿長サイズともいう)と、搬送方向に直交する方向(画像読取時の主走査方向に該当する方向)の原稿サイズ(以下、原稿幅サイズともいう)をそれぞれ検知し、それらの検知結果から最終的な原稿サイズ(原稿の縦横サイズ)を特定し、この原稿サイズに基づいて原稿画像の読取範囲を設定している。
【0004】
原稿サイズの具体的な検知方法として、先ず、原稿幅サイズに関しては、原稿の搬送経路上に、搬送方向と直交する方向に間隔をあけて複数のセンサを並設し、実際に原稿を搬送したときに各々のセンサの出力信号に基づいて検知する方法が知られている。また、原稿長サイズに関しては、原稿の搬送経路上に原稿の通過を検知するセンサを配置し、原稿搬送時にセンサが原稿の先端通過を検知した後、搬送経路上に原稿を一旦停止させ、次いで、原稿の搬送を再開してからセンサが原稿の後端通過を検知するまでの時間を計測することにより検知する方法が知られている。
【0005】
一方、原稿搬送装置で複数枚の原稿を連続的に搬送する場合は、各々の原稿を一枚ずつ分離して送り出す必要がある。そのため、原稿の送り出し部分には捌き用の部材が設けられている。捌き用部材としては、摩擦抵抗を利用したものがある。この種の捌き用部材を利用したものでは、例えば、最初に搬送すべき原稿(以下、先原稿という)とその後に搬送すべき原稿(以下、後原稿という)が2枚一緒に呼び出された場合に、先原稿に送り出しためのロールを接触させる一方、後原稿に捌き用部材を接触させる。これにより、後原稿と捌き用部材との間(接触部分)に摩擦抵抗が作用し、この摩擦抵抗によって後原稿の送り出しが阻止されるため、先原稿のみを送り出すことができる。
【0006】
ただし、捌き用部材による摩擦抵抗は、原稿搬送時の負荷として作用する場合がある。その場合、負荷の大きさによっては原稿搬送用のロールとこれにニップ(挟持)された原稿との間に微小なスリップを生じさせ、これによって原稿の搬送(進み具合)に若干の遅れを招くことがある。そうすると、上述のように原稿長サイズを検知するにあたって、原稿の搬送を再開してからセンサが原稿の後端通過を検知するまでの計測時間がスリップの影響で長くなる。その結果、原稿長サイズが実際の原稿サイズよりも長く検知され、これによって原稿サイズの誤検知を招いてしまう。
【0007】
そこで従来においては、実際に搬送される原稿サイズと原稿サイズ検知によって検知される原稿長サイズとの関係を図7に示すように規定している。図中の「A5」、「B5」、「A4」、「8.5″×11(レター)」″、「B4」、「A3」、「11″×17″(ダブルレター)」はそれぞれ定形の原稿サイズを示している。また、各々の原稿サイズに付された「LEF」及び「SEF」は原稿搬送時における原稿の向き(縦向き、横向き)を規定するもので、「LEF」は原稿の長辺側を搬送方向と直交する向きに配置して搬送する場合、「SEF」は原稿の短辺側を搬送方向と直交する向きに配置して搬送する場合をそれぞれ示している。
【0008】
上記図7において、実際に搬送される原稿サイズ(横軸)に対して原稿サイズ検知によって検知される原稿長サイズ(縦軸)が一致する理想状態では、双方のサイズの関係が図中実線で示すように表される。しかし、搬送時の負荷(摩擦抵抗)の影響により、例えば5〜20mmのズレ量αをもって原稿長サイズが長く検知される場合(図中一点鎖線で示すようなサイズの関係となる場合)もある。そのため従来では、原稿搬送時のズレ量αを見込んだ検知幅Wをもって各種の定形原稿の原稿長サイズを検知するように規定している。これにより、実際の原稿サイズよりも原稿長サイズが長く検知された場合でも、そのズレ分を検知幅Wで吸収できるため、原稿長サイズを適切に検知することが可能となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようにズレ量αを見込んだ検知幅Wをもって原稿長サイズを検知すると、非定形サイズの原稿を取り扱う場合に次のような不具合が生じる。即ち、図8に示すように、原稿長サイズが定形サイズの原稿(以下、定形原稿ともいう)よりも若干長い非定形サイズの原稿(以下、非定形原稿ともいう)を搬送した場合、検知した原稿長サイズが検知幅Wの範囲内に収まることにより、原稿サイズの検知結果で非定形原稿が定形原稿と誤検知される恐れがある。そうした場合、原稿画像の読取範囲は定形原稿と同様に設定されるため、複写機などでコピーをとる場合にコピー画像の一部が欠落してミスコピーが発生してしまう。
【0010】
こうした不具合については、オペレータ自身が操作パネルなどを使って原稿サイズを指定することにより回避できるものの、そうした場合はサイズ指定の煩わしさが伴うため、原稿サイズ検知機能の存在意義が薄れてしまう。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、原稿サイズの検知精度を高めることができる原稿搬送装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る原稿搬送装置は、原稿を所定の経路に沿って搬送する搬送手段と、この搬送手段で原稿を搬送した際に、搬送方向の原稿サイズを検知する検知手段と、この検知手段で検知した原稿サイズと基準原稿サイズとの差分を算出し、当該差分に基づいて原稿サイズ検知用のデータを補正する補正処理を行う補正手段とを備えた構成となっている。
【0013】
上記構成の原稿搬送装置においては、検知手段で検知した原稿サイズと基準原稿サイズとの差分を算出し、当該差分に基づいて原稿サイズ検知用のデータを補正する補正処理を行うことにより、補正後の原稿サイズ検知では、実際に搬送された原稿サイズに近似した値で検知手段が原稿サイズを検知するようになる。これにより、検知手段による原稿サイズの検知誤差を低減することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の実施形態に係る原稿搬送装置の構成例を示す概略図である。図1において、原稿搬送装置1は装置全体を覆う第1カバー2と第2カバー3を有している。第1カバー2及び第2カバー3はいずれも樹脂等によって形成されている。原稿4は第1カバー2の上面部にセット(載置)され、そこから原稿台5の上面部(原稿画像の読み取り位置)を通る経路で搬送されるようになっている。原稿台5は透明なガラス板からなるプラテンガラスによって構成されている。
【0016】
原稿セット部となる第1カバー2の上面部から、原稿画像の読取位置となる原稿台5までの搬送経路上には、ナジャーロール6、フィードロール7、リタードロール8及びレジストロール9が配設されている。ナジャーロール6は、原稿セット部(第1カバー2の上面部)にセットされた原稿4を呼び出すものである。フィードロール7及びリタードロール8は、ナジャーロール6によって呼び出された原稿4を一枚ずつ分離して搬送方向の下流側へと送り出すものである。レジストロール9は、フィードロール7及びリタードロール8によって送り出された原稿4を所定のタイミングで原稿台5上に送り込むものである。
【0017】
レジストロール9の手前(搬送方向の上流側)にはレジストセンサ10が配設されている。このレジストセンサ10は、例えば発光素子と受光素子を組み合わせた光学センサからなるもので、そのセンサ検知ポイントに原稿4が存在するときはオン状態となり、原稿4が存在しないときはオフ状態となる。
【0018】
また、レジストロール9に隣接する搬送経路上には2つの搬送ロール11,12と原稿検知センサ13とが配設されている。搬送ロール11,12は、第一面の画像を読み終えて原稿台5から送り戻された原稿を受け取って搬送し、再びレジストロール9へと送り込むもので、原稿検知センサ13は原稿台5から送り戻された原稿の搬送位置を検知するものである。
【0019】
また、搬送方向と直交する方向には、図2に示すように、レジストセンサ10とほぼ一直線上の位置関係で2つのサイズセンサ14,15が配置されている。これらのサイズセンサ14,15は、原稿幅サイズLx(搬送方向Yと直交する方向Xの原稿サイズ)を検知するためのもので、例えばレジストセンサ10と同様の光学センサによって構成されている。レジストセンサ10及び2つのサイズセンサ14,15は、搬送方向Yと直交する方向Xに所定の間隔を介して配置されている。
【0020】
さらに詳述すると、レジストセンサ10は、いずれのサイズの原稿が搬送された場合でも、そのセンサ検知ポイントを必ず原稿が通過する位置に配置されている。また、2つのサイズセンサ14,15は、原稿幅サイズLxがあるサイズよりも短い原稿が搬送された場合は各々のセンサ検知ポイントを原稿が通過せず、原稿幅サイズLxがあるサイズよりも長い原稿が搬送された場合はサイズセンサ14のセンサ検知ポイントだけを原稿が通過し、それよりも原稿幅サイズLxが長い原稿が搬送された場合は各々のセンサ検知ポイントの両方を原稿が通過するように配置されている。
【0021】
一方、原稿台5と対向する部分には幅広のベルト16が設けられている。ベルト16は、原稿台5に供給された原稿を押さえる原稿押さえ機能と、原稿台5上で原稿5を搬送する原稿搬送機能を備えるもので、ドライブロール17Aとアイドルロール17Bによってループ状に張架されている。ドライブロール17Aとアイドルロール17Bの間には複数(図例では5つ)のベルト押さえロール17Cが配置されている。これらのベルト押さえロール17Cは、原稿台5との対向部分でベルト16の面を平面状に保持するためのものである。
【0022】
さらに、ベルト16による原稿の排出側には排出センサ18と排出ロール19が配設されている。排出センサ18はベルト16によって原稿台5から排出された原稿の通過を検知するもので、排出ロール19はその排出された原稿を図示しない排出トレイ等に排出するものである。
【0023】
図3は原稿サイズ検知のための構成を示す機能ブロック図である。図3において、制御部20は、予め設定された制御プログラムにしたがって原稿搬送装置1全体の動作を制御するとともに、その制御機能の一つとして原稿サイズ検知に係る各種の処理を実行するものである。制御部20には、上述したレジストセンサ10と2つのサイズセンサ14,15が接続されている。これにより、制御部20に対しては、それぞれのセンサ10,14,15から原稿通過に基づく出力信号(オンオフ信号)が入力される構成となっている。
【0024】
また、制御部20には、タイマー21、記憶部22及び操作パネル23が接続されている。タイマー21は、原稿長サイズを検知するにあたって、レジストセンサ10の出力信号に基づいて時間計測を行うものである。記憶部22は、原稿長サイズを検知するためのデータを保持するもので、その保持データの一つとして、タイマー21による計測時間から原稿長サイズを判定するためのデータテーブルを保持している。
【0025】
操作パネル23は、いわゆるユーザインターフェースに相当するもので、オペレータによる入力操作や選択操作を受けるとともに、オペレータに対して各種の情報を表示するものである。この操作パネル23は、例えば、入力操作や選択操作のためのボタン、スイッチ類からなる操作部と、入力操作に応じた情報や各種のエラー表示,警告表示のための情報を表示するための液晶パネル等からなる表示部とによって構成される。
【0026】
続いて、上記構成からなる原稿搬送装置1の動作について説明する。先ず、原稿セット部となる第1カバー2の上面部にセット(載置)された原稿4は、当該原稿4の上面に接触するナジャーロール6の回転によって呼び出される。こうして呼び出された原稿4は、フィードロール7とリタードロール8にニップされる。このとき、第1カバー2上の原稿4は、フィードロール7の回転によって付与される搬送力とリタードロール8による摩擦抵抗により、一枚ずつ分離された状態で搬送方向の下流側へと送り出される。
【0027】
続いて、フィードロール7により送り出された原稿4の先端(リードエッジ)がレジストセンサ10の検知ポイントを通過すると、それと同時にレジストセンサ10の出力信号がオフ状態からオン状態に切り替わる。そうすると、レジストセンサ10がオン状態となった時点から所定時間後にフィードローラ7の回転が停止し、これによって原稿4の先端がレジストロール9に突き当てられた状態となる。このとき、原稿4は搬送経路上に一旦停止した状態となり、この状態で2つのサイズセンサ14,15の出力信号を基に原稿幅サイズに係る判定が行われる。
【0028】
サイズセンサ14,15の出力信号のオンオフ状態は、実際に搬送された原稿4のサイズに応じて変化する。即ち、原稿幅サイズが比較的小さい原稿であれば、サイズセンサ14,15の出力信号が共にオフ状態となり、比較的サイズが大きい原稿であれば、サイズセンサ14,15の出力信号が共にオン状態となる。また、中間的なサイズの原稿であれば、サイズセンサ14の出力信号がオン状態でサイズセンサ15の出力信号がオフ状態となる。これにより、サイズセンサ14,15の出力信号に基づいて原稿幅サイズを3段階のうちの一つに特定することができる。
【0029】
続いて、レジストロール9の回転を開始して原稿4を原稿台5に向けて送り込む。この送り込みの途中で図4に示すように原稿4の後端がレジストセンサ10の検知ポイントを通過すると、それと同時にレジストセンサ10の出力信号がオン状態からオフ状態に切り替わる。このとき、制御部20では、レジストローラ9の回転を開始してから、レジストセンサ10の出力信号がオン状態からオフ状態に切り替わるまでの時間をタイマー21によって計測し、その計測時間を取り込む。
【0030】
こうして制御部20に取り込まれた計測時間は、原稿長サイズに対応したものとなる。即ち、原稿長サイズが大きい原稿を搬送する場合はタイマー21による計測時間が長くなり、逆に、原稿長サイズが小さい原稿を搬送する場合はタイマー21による計測時間が短くなる。そこで、制御部20においては、記憶部22に保持されたデータテーブルを参照することにより、タイマー計測によって得られた計測時間に対応する原稿長サイズを検知するとともに、この原稿長サイズの検知結果と先の原稿幅サイズに関する一次判定結果に基づいて最終的な原稿サイズを特定する。
【0031】
以上の動作手順は制御部20の制御処理に基づく通常の原稿搬送モードの動作手順を説明するものであるが、この通常の原稿搬送モードとは別に、制御部20は原稿サイズ検知の自動補正モードを実行する処理機能を兼ね備えている。以下に、制御部20の制御処理に基づく自動補正モードの処理手順について説明する。
【0032】
先ず、操作パネル23を用いたオペレータの選択操作により、原稿サイズ検知の自動補正モードが選択された場合、制御部20では、自動補正モードの実行プログラムを起動して処理を開始する。
【0033】
図5は自動補正モードの処理手順を示すフローチャートである。先ず、基準となる原稿サイズの選択処理を行う(ステップS1)。この選択処理では、実際に搬送される原稿のサイズをオペレータが操作パネル23を用いて指定し、この指定された原稿サイズを制御部20が認識することにより行われる。このように基準となる原稿サイズ(基準原稿サイズ)を操作パネル23で指定できるようにすれば、自動補正モードにおいて任意のサイズの原稿を使用することができる。
【0034】
上記ステップS1において、例えば、オペレータが操作パネル23を用いて指定した原稿サイズが定形サイズのA4(297mm×210mm)LEFであったとすると、制御部20ではその原稿長サイズを210mmと認識する。こうして制御部20により認識される原稿長サイズが基準原稿サイズに相当するものとなる。以後、操作パネル23を用いて指定された原稿長サイズを基準原稿サイズと称して説明する。
【0035】
続いて、原稿セット部に原稿がセットされているかどうかを確認した後(ステップS2)、操作パネル23に設けられたスタートボタン等の押下を感知することにより、上記通常の原稿搬送モードと同様に原稿の搬送を開始し、かつその搬送途中で原稿サイズを検知する(ステップS3,S4)。なお、ステップS4における原稿サイズ検知は原稿長サイズに関してのみ行っても良いし、原稿長サイズと原稿幅サイズの両方に関して行っても良い。ここでは後者の場合を想定して説明する。
【0036】
上述のように原稿サイズの検知が行われると、制御部20では、実際に検知した原稿サイズのうち、搬送方向の原稿サイズである原稿長サイズが予め設定された検知許容範囲内であるか否かを判断する(ステップS5)。検知許容範囲は、実際に搬送された原稿のサイズが、オペレータの選択操作で指定された基準原稿サイズに該当するかどうかを判定するためのもので、例えば、基準原稿サイズに±5〜10mmの許容幅を持たせた値で設定される。
【0037】
ステップS5において、検知した原稿長サイズが検知許容範囲外であると判断した場合は、オペレータにより指定された原稿サイズと異なる原稿が搬送されたと判断し、その旨の警告(アラーム)を出力する(ステップS6)。ステップS6における警告の出力は、操作パネル23の表示部に警告メッセージを表示することにより行われる。これにより、オペレータが原稿サイズを誤って指定した場合や、指定した原稿サイズと異なる原稿を誤ってセットした場合などに、その旨をオペレータに通知することができる。次いで、自動補正モードに係る処理を終了するか否かを判断し(ステップS7)、終了する場合はそのまま処理を抜け、終了しない場合は先のステップS1に戻って上記同様の処理を繰り返す。
【0038】
ちなみに、自動補正モードに係る処理を終了するか否かの判断は、例えば、操作パネル23の表示部に“このまま処理を終了しますか?”といった確認用のメッセージを表示し、これに対してオペレータがボタン操作等で“はい”又は“いいえ”を選択することにより行われる。
【0039】
一方、先のステップS5において、検知した原稿長サイズが検知許容範囲内であると判断した場合は、その原稿長サイズと基準原稿サイズとの差分を算出する(ステップS8)。ここで算出される差分は、基準原稿サイズとのズレ量に相当するものとなる。そこで、ステップS9においては、ステップS4における原稿サイズの検知結果が基準原稿サイズに一致するように原稿サイズ検知のためのデータを補正する。このデータ補正は、先のステップS8で算出した差分(基準原稿サイズとのズレ分)をもって記憶部22のデータテーブルを更新することにより行われる。
【0040】
具体的な数値例として、例えば、基準原稿サイズが定形サイズのA4LEFで指定され、このA4LEFの原稿を搬送して原稿サイズを検知した場合に、実際に検知された原稿長サイズが212mmであったとする。そうすると、ステップS8では基準原稿サイズとの差分が+2mmと算出される。また、ステップS9では、実際の原稿サイズの検知結果が基準原稿サイズに一致するように、記憶部22のデータテーブルの内容が現状の値から−2mm分だけ補正(更新)される。この補正結果は、実際に搬送された原稿だけでなく、全ての原稿のサイズを検知する場合に適用される。ただし、本発明はこれに限らず、例えばサイズの異なる複数種の原稿のサイズを検知して、各サイズの原稿に対応する補正値をもって記憶部22のテーブル内容を補正(更新)してもよい。
【0041】
このような自動補正モードに基づく処理を実行することにより、その後、通常の原稿搬送モードで原稿を搬送するときには、図6に示すように、実際に搬送された原稿サイズに近似した値(理想状態に近い値)で原稿サイズが検知されるようになる。そのため、本実施形態に係る原稿搬送装置1によれば、原稿サイズの検知誤差を低減して、原稿サイズの検知精度を高めることができる。
【0042】
また、本実施形態に係る原稿搬送装置1を備える画像読取装置では、原稿のサイズが定形サイズか非定形サイズかに拘わらず、原稿サイズに適した範囲で原稿画像の読み取りが行われるようになる。そのため、複写機等の画像形成装置に適用した場合は、ミスコピーの発生を有効に防止することが可能となる。
【0043】
さらに、原稿サイズの検知精度の向上に伴い、定形原稿に対応する原稿長サイズの検知幅W(図6参照)を狭めても定形原稿のサイズ検知を適切に行えるようになる。これにより、従来では検知幅Wが広くて検知できなかった原稿サイズも検知可能となるため、より多くの原稿サイズの検知に対応可能となる。また、原稿長サイズの検知精度の向上に伴い、原稿幅サイズの検知精度を低くしても原稿全体のサイズを特定できるようになる。これにより、原稿幅サイズを検知するためのセンサ個数を減らして低コスト化を実現することが可能となる。
【0044】
また、自動補正モードの処理形態として、ステップS3における原稿搬送とステップS5における原稿サイズ検知を複数枚の原稿について行うとともに、これによって得られた複数枚分の原稿サイズの平均値と基準原稿サイズとをステップS8で比較し、その比較結果に基づいてステップS9のデータ補正を行うことにより、自動補正モードにおける補正処理の信頼性を向上させることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、検知手段で検知した原稿サイズと基準原稿サイズとの差分を算出し、当該差分に基づいて原稿サイズ検知用のデータを補正する補正処理を行うことにより、検知手段による原稿サイズの検知誤差を低減することができる。これにより、原稿サイズ検知機能を備えた原稿搬送装置において、原稿サイズの検知精度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る原稿搬送装置の構成例を示す概略図である。
【図2】 本発明の実施形態に係る原稿搬送装置の構成例を示す平面展開図である。
【図3】 原稿サイズ検知のための機能ブロック図である。
【図4】 原稿搬送途中の状態を説明する図である。
【図5】 自動補正モードの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】 本発明の実施形態における原稿サイズと検知サイズの関係を示す図である。
【図7】 従来における原稿サイズと検知サイズの関係を示す図である。
【図8】 従来技術の不具合を説明する図である。
【符号の説明】
1…原稿搬送装置、4…原稿、5…原稿台、6…ナジャーロール、7…フィードロール、8…リタードロール、9…レジストロール、10…レジストセンサ、14,15…サイズセンサ、16…ベルト、20…制御部、21…タイマー、22…記憶部、23…操作パネル

Claims (5)

  1. 原稿を所定の経路に沿って搬送する搬送手段と、
    前記搬送手段で原稿を搬送した際に、搬送方向の原稿サイズを検知する検知手段と、
    前記検知手段で検知した原稿サイズと基準原稿サイズとの差分を算出し、当該差分に基づいて原稿サイズ検知用のデータを補正する補正処理を行う補正手段と
    を備えることを特徴とする原稿搬送装置。
  2. 原稿サイズ検知の自動補正モードと、
    前記自動補正モードを選択する選択手段とを備え、
    前記補正手段は、前記選択手段によって前記自動補正モードが選択された場合に前記補正処理を行う
    ことを特徴とする請求項1記載の原稿搬送装置。
  3. 前記補正手段は、前記検知手段で検知した複数枚分の原稿サイズの平均値と前記基準原稿サイズとの差分を算出する
    ことを特徴とする請求項1記載の原稿搬送装置。
  4. 前記補正手段は、前記検知手段で検知した原稿サイズが予め設定された検知許容範囲内であるか否かを判断し、検知許容範囲外であると判断した場合は警告を出力する
    ことを特徴とする請求項1記載の原稿搬送装置。
  5. 前記基準原稿サイズを指定する指定手段を備える
    ことを特徴とする請求項1記載の原稿搬送装置。
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