JP3899673B2 - 洗浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、製造工程等において、被洗浄物を洗浄するのに用いる洗浄装置に関し、例えば被洗浄物を超音波によって連続的に洗浄する連続超音波洗浄装置に用いて好適な技術である。
【0002】
【従来の技術】
洗浄装置として、特開平4−176379号公報に開示された技術が知られている。この公報には、洗浄槽の入出口孔に洗浄液を噴出させる洗浄液噴出部を設けて、入出口孔から流出する洗浄液の流出量を減少させる技術が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に開示された技術には、次の不具合がある。
a)洗浄液噴出部が洗浄液を勢い良く噴出させることで、入出口孔からの洗浄液の流出を抑えているため、入出口孔を通過する被洗浄物に噴出流が勢い良く当たり、搬送中の被洗浄物にズレが発生し易い。
b)洗浄液噴出部は、洗浄液を勢い良くさせるために、ポンプを高圧化、すなわち高出力化する必要があり、ポンプが大型化する不具合がある。
c)ポンプの高出力化により、設備費の増大、運転コストの増大、騒音の増大等の不具合が生じる。
d)ポンプの高出力化により、発熱量が多くなるため、洗浄液の温度が上昇する。このため、洗浄液の蒸発量が多くなり、洗浄液の補給量が多くなってしまう。また、洗浄液の温度が上昇することによって、被洗浄物を低温洗浄することができなくなってしまう。
【0004】
【発明の目的】
本発明の目的は、洗浄槽の液面下に被洗浄物の入出口孔が設けられ、この入出口孔から流出する洗浄液の流出量を抑える手段を搭載した洗浄装置において、洗浄液の流出量を抑える手段による被洗浄物のズレの発生を抑えることができ、且つ流出した洗浄液を洗浄槽へ戻すポンプを小型化、低出力化できる洗浄装置の提供にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1の手段〕
入出口孔から流出しようとする洗浄液によって、複数段のチャンバ内で旋回流や乱流が発生する。このチャンバ内の流れが、入出口孔から流出しようとする洗浄液の流れの抵抗として作用し、入出口孔から流出する洗浄液の流出量が抑制される。
【0006】
このように、入出口孔に複数段設けたチャンバ内に自然に生じる流れによって洗浄液の流出量を抑制するものであるため、次の効果を得ることができる。
a)従来技術で示した技術に比較して、入出口孔を通過する被洗浄物に与えられる流れが穏やかで済むため、搬送中の被洗浄物のズレは生じにくい。
b)入出口孔から流出する洗浄液の流出量が減少するため、洗浄液を洗浄槽へ戻すポンプを低圧化できる。つまり、従来技術で示した技術に比較して、ポンプを低出力化でき、ポンプを小型化できる。
c)ポンプの低出力化により、設備費の減少、運転コストの減少、騒音の減少が実現できる。
d)ポンプの低出力化により、発熱量が少なくなるため、洗浄液の温度が低下する。このため、洗浄液の蒸発量が少なくなり、洗浄液の補給量が少なくなり、ランニングコストを低減できるとともに、洗浄液の管理が容易になる。また、洗浄液の温度が低下することによって、被洗浄物の低温洗浄が可能になる。
【0007】
〔請求項2の手段〕
チャンバ内で回転する遠心式の羽根車は、チャンバ内において洗浄液の流出方向の流れの抵抗となる流れを発生させるとともに、入出口孔から流出しようとする洗浄液を羽根が直接的に洗浄槽内へ押し戻すように作用するため、チャンバのみによって入出口孔から流出する洗浄液の流出量を抑える場合に比較して、さらに洗浄液の流出量を抑えることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、2つの実施例と変形例に基づき説明する。
〔第1実施例〕
図1および図2を用いて第1実施例を説明する。
洗浄装置は、図1の概略断面図に示すように、大別して、超音波振動子1を備える洗浄槽2と、被洗浄物3を移動させる搬送手段4と、下方に配置された受蓄槽5と、受蓄槽5の洗浄液(水)Wを洗浄槽2へ戻すポンプ6と、洗浄槽2の入出口孔2a、2bから流出する洗浄液Wの流出量を抑える手段とから構成される。
【0009】
洗浄槽2は、内部に洗浄液Wが満たされる液槽であり、この洗浄槽2には、搬送手段4によって搬送される被洗浄物3が貫通移動するための入口孔2aと出口孔2bとが設けられている。この入口孔2aと出口孔2bは、洗浄槽2の腹部略中央に設けられ、洗浄液Wの液面よりも下方に開口するものである。
洗浄槽2の内部には、搬送手段4によって移動する被洗浄物3の上下に超音波振動子1が配置されている。この超音波振動子1は、上下に対向してペア配置されたもので、図示しない駆動装置から駆動信号を受けると超音波振動を発生し、その超音波力によって搬送中の被洗浄物3を洗浄するものである。
【0010】
搬送手段4は、洗浄槽2の上方でループを形成する上ネットコンベア4aと、受蓄槽5の下方でループを形成する下ネットコンベア4bとを備え、この上ネットコンベア4aおよび下ネットコンベア4bは、それぞれ個別のモータ(図示しない)によって同期駆動される。
被洗浄物3は、下ネットコンベア4b上に搭載され、上ネットコンベア4aにて押さえられて搬送されるもので、上下に重なったネットコンベア4a、4bが洗浄槽2を図示左右方向に貫通移動し、結果的に被洗浄物3が洗浄槽2を図示左右方向に貫通移動する。
【0011】
上述したように、入口孔2aと出口孔2bは、洗浄液Wの液面よりも下方に開口するため、入口孔2aと出口孔2bから必然的に洗浄液Wが流出する。そのままでは洗浄槽2内の洗浄液Wを適性量、適性水位に保つことができない。そこで、洗浄槽2の洗浄液Wを適性量に維持するために、受蓄槽5とポンプ6を設けている。
受蓄槽5は、入口孔2aと出口孔2bから流出する洗浄液Wを受けるとともに、余剰の洗浄液Wを蓄えるための液槽であり、洗浄槽2の下方に配置されている。
ポンプ6は、受蓄槽5の洗浄液Wを洗浄槽2の下部へ戻し、洗浄槽2内を常に適性量、適性水位に保つものである。なお、洗浄槽2の下部へ戻される洗浄液Wは、洗浄槽2の水平方向に給液される。
受蓄槽5から洗浄槽2へ洗浄液Wを戻すリターンパイプ7には、油水分離フィルタ8が配置されており、油分の除かれた洗浄液Wが洗浄槽2へ戻されるように設けられている。
【0012】
入口孔2aと出口孔2bからは必然的に洗浄液Wが流出するが、この洗浄液Wの流出を阻むために、入出口孔2a、2bには、洗浄液Wの流出量を抑える手段が設けられている。この手段は、入出口孔2a、2bのそれぞれに設けられたもので、入出口孔2a、2bから流出する洗浄液Wが内部で流れる複数段(この実施例では2段)のチャンバ9a、9bよりなる。
この複数段のチャンバ9a、9bの内部には、図2に示すように、入出口孔2a、2bから流出する洗浄液Wによって旋回流や乱流等が発生し、この流れが入出口孔2a、2bから流出しようとする洗浄液Wの流れの抵抗として作用し、結果的に入出口孔2a、2bから流出する洗浄液Wの流出量を抑制する。
【0013】
このように、洗浄装置は、入出口孔2a、2bにそれぞれ設けた複数段のチャンバ9a、9b内に自然に生じる流れによって洗浄液Wの流出量を抑制するものであるため、入出口孔2a、2bを通過する被洗浄物3に与えられる流れが穏やかで済み、搬送中における被洗浄物3のズレの発生が抑えられる。
入出口孔2a、2bにそれぞれ設けた複数段のチャンバ9a、9bによって、入出口孔2a、2bから流出する洗浄液Wの流出量が減少するため、洗浄液Wを洗浄槽2へ戻すポンプ6を低圧化できる。この結果、ポンプ6を低出力化でき、ポンプ6を小型化できる。
ポンプ6の低出力化により、設備費の減少、運転コストの減少、騒音の減少が実現できる。
ポンプ6の低出力化により、発熱量が少なくなるため、洗浄液Wの温度が低下する。このため、洗浄液Wの蒸発量が少なくなり、洗浄液Wの補給量が少なくなり、ランニングコストを低減できるとともに、洗浄液Wの管理が容易になる。また、洗浄液Wの温度が低下することによって、被洗浄物3の低温洗浄も可能になる。
【0014】
〔第2実施例〕
図3および図4を用いて第2実施例を説明する。
第2実施例の洗浄装置は、図3の概略断面図に示すように、入出口孔2a、2bに配置されたそれぞれの上側のチャンバ9a、9b内に、入出口孔2a、2bから流出しようとする洗浄液Wを洗浄槽2内へ押し戻す遠心式の羽根車10a、10bを配置し、この羽根車10a、10bを駆動手段(例えば、電動モータ)11a、11bによって内巻方向に回転駆動するものである。
羽根車10a、10bは、図4に示すように、入出口孔2a、2bのチャンバ9a、9b内に配置され、チャンバ9a、9b内において積極的に洗浄液Wの流出方向の流れの抵抗となる様な流れを発生させるとともに、入出口孔2a、2bから流出しようとする洗浄液Wを羽根が直接的に洗浄槽2内へ押し戻すように作用する。
このため、チャンバ9a、9bのみによって入出口孔2a、2bから流出する洗浄液Wの流出量を抑える第1実施例に比較して、さらに洗浄液Wの流出量を抑えることができる。この結果、第1実施例よりさらにポンプ6を低圧化でき、ポンプ6の小型化、低出力化が可能になる。
【0015】
〔変形例〕
上記の実施例では、入出口孔2a、2bにそれぞれ2段のチャンバ9a、9bを設けた例を示したが、チャンバ9a、9bを3段以上設けても良い。このようにチャンバ9a、9bを多段化することにより、流出量を抑える効果が向上する。
上記の第2実施例では、上側のチャンバ9a、9b内のみに羽根車10a、10bを配置した例を示したが、下側のチャンバ9a、9b内のみ羽根車10a、10bを配置しても良いし、上下のチャンバ9a、9b内に羽根車10a、10bを配置しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】洗浄装置の概略断面図である(第1実施例)。
【図2】チャンバの作動説明図である(第1実施例)。
【図3】洗浄装置の概略断面図である(第2実施例)。
【図4】羽根車の配置を示す概略断面図である(第2実施例)。
【符号の説明】
1 超音波振動子
2 洗浄槽
2a 入口孔
2b 出口孔
3 被洗浄物
4 搬送手段
5 受蓄槽
6 ポンプ
9a 入口孔側のチャンバ
9b 出口孔側のチャンバ
10a 入口孔側の羽根車
10b 出口孔側の羽根車
11a 入口孔側の駆動手段
11b 出口孔側の駆動手段
Claims (2)
- 洗浄液の液面より下方に被洗浄物の入出口孔を備えた洗浄槽と、
前記入出口孔から被洗浄物を貫通移動させる搬送手段と、
前記入出口孔から流出した洗浄液を蓄える受蓄槽と、
この受蓄槽に蓄えられた洗浄液を前記洗浄槽へ戻すポンプと、
前記入出口孔のそれぞれに設けられ、この入出口孔から流出する洗浄液が内部で流れる複数段のチャンバと、を備え、
前記複数段のチャンバの内部には、前記入出口孔から流出する洗浄液によって旋回流や乱流等が発生し、この流れが前記入出口孔から流出しようとする洗浄液の流れの抵抗として作用するものであり、
前記複数段のチャンバは、前記入出口孔のそれぞれにおいて前記入出口孔の上下に設けられるとともに、
前記複数段のチャンバを構成する壁は、前記搬送手段による被洗浄物の搬送経路に至っていない洗浄装置。 - 請求項1の洗浄装置は、
前記チャンバ内に設けられ、このチャンバ内において入出口孔から流出しようとする洗浄液を前記洗浄槽内へ押し戻す流れを発生する遠心式の羽根車と、
この羽根車を回転駆動する駆動手段と、
を備えることを特徴とする洗浄装置。
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JP13652598A JP3899673B2 (ja) | 1998-05-19 | 1998-05-19 | 洗浄装置 |
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JPH11319739A JPH11319739A (ja) | 1999-11-24 |
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