JP3899421B2 - 文字及び文字列生成表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は文字及び文字列生成表示装置に関し、特に滑らかさをもった文字フォントの文字を生成しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、人が手に持った筆記具(例えば毛筆)によって文字及び文字列を書く操作をする(この筆記具の動きを書字運動と呼ぶ)ことにより、文字及び文字列を書くことができるのと同じように、コンピュータを用いて筆記具の書字運動に関する演算処理をして、その処理結果をディスプレイ上に表示するようにした文字及び文字列の生成表示システムが提案されている(特開平7-282276号公報)。
【0003】
この種の文字及び文字列生成表示システムは、B−スプライン関数でなるベクトル関数を用いて、文字フォントの各部分についての筆記具の書字運動を発生させることにより、書こうとする文字及び文字列を表わす書字軌道を生成する考え方を採用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが従来のこの種の文字及び文字列の生成表示システムにおいては、書道において行われているように、文字及び文字列が美しく見えるように必要に応じて滑らかな崩し文字を書くことができるような機能はもっておらず、この点において機能性が不十分である。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、必要に応じて滑らかに崩した文字及び文字列を生成できるようにした文字及び文字列生成表示装置を提案しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、書字軌道データp(t) の複数階微分データ成分λ[x″(t)]2、||x″(t)||2Λと、書字軌道データp(t)の差分データ成分wi(pi−τi)2、||pi−τi||2Wiとを含む評価関数((10)式、(14)式、(18)式、(26)式)を求めると共に、当該評価関数((10)式、(14)式、(18)式、(26)式)が最小となるような平滑化制御点データτを求めることにより、文字の崩し字を表わす書字軌道データp(t)を得る。これにより、書道の崩し字と同様の表現形式の書字軌道データを容易に得ることができる。
【0009】
さらに、複数の文字フォントでなる文字又は文字列の書字軌道データp(t) の生成表示演算を、所定の時間間隔で、かつ複数の文字フォントを書字する順序で実行することにより(SP5)、表示画面25上に1つ又は複数の文字フォント31をその書き順に従って動的に表示する。これにより、人が文字列を書くのと同じような要領で違和感のない文字列を動的に表示させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0011】
(1)全体構成
図1において、1は全体として文字及び文字列生成表示システムを示し、コンピュータ構成の文字及び文字列生成表示装置2を有する。
【0012】
文字及び文字列生成表示装置2において、中央処理ユニット(CPU)5は、バス3を介して、メモリ装置4に格納されている文字及び文字列生成表示処理プログラムを実行することにより、データ入力手段としてのマウス6から入力されるオペレータのユーザデータに応じて、ディスプレイ装置7の表示をオペレータに提示しながら、対話形式で、文字及び文字列生成表示処理を実行し、その結果生成した文字及び文字列データをメモリ装置4に登録する。
【0013】
CPU5はこのようにしてメモリ装置4に登録した文字及び文字データをバス3を介してプリンタ装置8においてプリント用紙上にプリントし得ると共に、必要に応じてネットワーク装置9を介して外部ネットワーク10に送出し得るようになされている。
【0014】
(2)文字フォントデータの生成原理
CPU5は、図2に示す概念に従って、原点Oを有する3次元空間内を仮想的な筆記具手段である筆記具21を書字運動させることにより、ひら仮名でなるかな文字フォント22(図2の場合、ひら仮名「め」)を描画させる。
【0015】
ここで筆記具21はZ軸と平行な中心軸を有する仮想的な円錐体で構成されていると共に、当該円錐体が仮想的な筆記面(図2の場合O−XY平面)と交差しながらXY座標位置を移動して行くものと考え、当該O−XY平面と筆記具21との交差領域を塗りつぶした軌跡(これを書字軌道と呼ぶ)が、かな文字フォント22を形成する。
【0016】
この筆記具21の書字運動において、筆記具21がZ方向の低い位置に移動すると、O−XY平面との交差領域が大きくなることにより、かな文字フォント22の太い文字部分のフォントデータを生成できるのに対して、筆記具21がZ方向の高い位置に持ち上がれば、筆記具21とO−XY平面との交差領域が小さくなることにより、かな文字フォント22の細い文字部分のフォントデータが生成できる。
【0017】
筆記具21が書字運動をする際に、O−XY平面上を通る移動軌道23は、図3の矢印a1で示す書字開始点PSから、矢印a2で示す書字終了点PEまでの間を、l番目の制御点Plから、l+1、l+2……m−2、m−1番目の制御点P(l+1)、P(l+2)、……、P(m−2)、P(m−1)の近くを通ってm番目の制御点Pmまで形成される。
【0018】
実際上、筆記具21の移動軌道のX、Y及びZ方向の位置は、制御点Pl、P(l+1)、P(l+2)、……、P(m−2)、P(m−1)、Pmの位置データ(X,Y,Zベクトルデータ)を重みデータとして、B−スプライン関数を演算することにより求められる。
【0019】
すなわち、移動軌道23は、次式
【0020】
【数1】
【0021】
のような標準関数p(t) によって表される。
【0022】
(1)式において、Bk(t) は、整数の節点をもつ正規化された一様なk次B−スプライン関数であり、図4において、複数のつり鐘状波形W1で示すように、時間t=……l−1、l、l+1、……、m−1、m、……のような時間位置(これを節点と呼ぶ)の周囲の局所的な範囲において、対応する制御点(「×」印で示す)の位置(X,Y,Zベクトルによって表わされる)に応じて高さが決まる運動(これを単位運動と呼ぶ)を呈する。
【0023】
k次B−スプライン関数Bk(t) は、次式
【0024】
【数2】
【0025】
のように、整数j=0、……、k番目の時点の間において、時間tの経過に従ってつり鐘状に変化する基底関数Nk−j,k(t−j)をもつのに対して、tが負又はk+1より大きい範囲で0になる。
【0026】
ここで基底関数Nj,k(t) は、
【0027】
【数3】
【0028】
のように、初期関数N0,0 (t)=1に対して、j=1、……、k−1について値をもつ。
【0029】
実際上、k=3、すなわち3次のスプライン関数を選定した場合、時点tにおいて基底関数N1,3(t) は次式
【0030】
【数4】
【0031】
のように、4つ(すなわちk+1個)の基底関数の値を含むことになる。
【0032】
このことは、t=tの時点における書字軌道の値は、その周辺の4つ(すなわちk+1個)の基底関数(従って対応する4つ(すなわちk+1個)の制御点)の影響を受けるだけで、その範囲外の基底関数(従って対応する制御点)の影響を受けないで、編集処理をすることができることを意味している。
【0033】
このつり鐘状座標関数による3次元の動きは、単位動作1Bk(・)(1=(111)T行列)と呼ばれるもので、
【0034】
【数5】
【0035】
のようにB−スプライン関数Bk(・)の各節点に対応する文字フォント部分についての動作を表すことになり、その結果、単位動作を合成することにより得られる合成波形W2でなる標準関数p(t) によって表される書字軌道は、k次のスプライン関数の属性として、制御点に対応して滑らかに変化する運動を呈することになる。
【0036】
図4の場合は、k=3かつα=1で、「×」印によって示す位置に制御点が設定された場合のX軸方向の位置の動きを示している。
【0037】
図4においては、標準関数p(t) によって表される書字軌道のうちX軸方向のベクトル成分について表わしているが、標準関数p(t) によって表される書字軌道は同じように、Y軸方向及びZ軸方向のベクトル成分をもっている。
【0038】
(1)式において、αは、
【0039】
【数6】
【0040】
のように、節点間(従って制御点間)の時間間隔を決める正の定数(スカラ)を示している。
【0041】
また、(1)式において、k次のB−スプライン関数における任意の書字運動は、期間〔tl+1,tm+k〕において次式、
【0042】
【数7】
【0043】
のようにそれぞれ固有の重みベクトルMを用いる。
【0044】
しかしながら、特に、書字運動の開始点PS及び終了点PEにおいては、筆記具による書字動作を停止させるため、次式
【0045】
【数8】
【0046】
のように、k次の場合k個の制御点(3次の場合3つの制御点)を各字画ごとに書字開始時及び終了時の位置にk重に(又は3重に)重ね合せる。
【0047】
図3及び図4に示すような、これらの重みベクトルの系列(すなわち制御点の表示マークMKとその間を直線表示LNで結ぶことにより書字順序を表している)は、書字運動の幾何学的な概略軌跡を表しており、この多角形的な一群の制御点及び直線を制御多角形と呼ぶ。
【0048】
このようにして、書字運動p(t) は、基底B−スプライン関数を表す各つり鐘状の単位運動について、重み係数を指定することによって生成でき、従って筆記具21の書字運動によって描画される文字フォントの各部分の形状は、制御多角形の形状的な表現、すなわち制御点の位置を決めることによって求めることができる。
【0049】
(3)文字フォントの編集
オペレータは、図2ないし図4について上述した文字フォントデータの生成原理に基づいて、文字及び文字列生成表示装置2(図1)を用いて生成した文字フォント(例えばひら仮名48文字分の文字フォント)に対する文字フォントデータとして、各文字フォントの文字フォント部分の形状を表す制御点の位置データでなる制御多角形データを標準フォントデータとしてメモリ装置4に登録できる。
【0050】
かくして登録された標準フォントデータについて、オペレータが各文字フォントの形状を変更するときは、図5に示すようなフォント編集画面をディスプレイ装置7の表示画面25上に表示させた状態で、マウス6を用いてCPU5に対して制御点の位置データを変形データとして入力する。
【0051】
図5において、CPU5は編集すべき文字フォント26の制御多角形データをディスプレイ装置7の表示画面25上に表示すると同時に、当該編集すべき文字フォント26の各文字フォント部分の形状を指定している制御点を表す制御点表示マークMK(この場合正方形で表わされている)と各制御点表示マークMKを書字運動の順序に従って順次接続して行く直線表示LNとを表示画面25上に表示する。
【0052】
図5の場合、ひら仮名「や」について、第1の書字開始点PS1となる制御点から開始して順次制御点P1、P2、……、P6を通って第1の書字終了点PE1となる制御点に至るまで、当該制御点の位置を表す制御点表示マークMKと、これらを順次接続する直線表示LNとを表示する。
【0053】
これと共に、第2の書字開始点PS2となる制御点から制御点P7、P8、……、P11を通って第2の書字終了点PE2となる制御点に至るまで、当該制御点を表す制御点表示マークMKと、これらを順次接続する直線表示LNとを表示する。
【0054】
このようにすると、編集すべき文字フォント26の文字フォント部分を表すB−スプライン関数(図5の場合3次のB−スプライン関数を用いている)を、各文字フォント部分の近傍にある制御点マークMKとこれを接続する直線表示LNとによって視覚的に直感できるようなフォント編集画面を表示画面25上に表示できる。
【0055】
従って編集すべき文字フォント26の一部を変形したい場合オペレータは、当該変形したい文字フォント部分の近傍にある制御点表示マークMKを、変形したい方向に移動させる(文字フォントの書字軌道に対して近づけたり、遠ざけたりする)ような操作をマウス6を使って実行する。
【0056】
このとき、CPU5は、当該位置を変更した制御点に対応する基底B−スプライン関数W1(図4)の重み(「×」印で示されている)が移動されたとき、そのXベクトル成分(並びにY及びZベクトル成分)に基づいて、合成波形W2を演算し直し、これにより当該合成波形W2の一部についての文字フォントの書字軌道を変更する。
【0057】
ところがこの合成波形W2の変更は、当該制御点に対応するその周辺の基底波形W1のみである(k次の場合k+1個の基底波形)ので、その周辺の書字軌道が変更されるだけで済み、従ってオペレータは当該変更後の文字フォントを見ながら、さらに変形が必要か否かや、場合によっては元に戻すような処理をも、ディスプレイ装置7の表示画面25を見ながら、対話形式で、編集操作することができ、これにより一段と文字フォントの編集が容易かつ手軽になし得るような、文字及び文字列生成表示装置2を得ることができる。
【0058】
以上は、文字フォントの部分的な変更について述べたが、文字フォントは全体として、制御点表示マークMKと、これを接続する直線表示LNによって構成される制御多角形によって表わされているので、この制御多角形について、平行移動、拡大縮小、回転、接続などの処理を実行することによって、文字フォント相互間の編集も容易にできる。
【0059】
また、制御多角形に含まれている制御点の追加、削除、移動をすることにより、文字フォントの変形処理を容易になし得る。
【0060】
(4)連綿文字列の編集
図5の場合は、1つの文字フォント(例えば、かな文字「や」)について、その部分的形状を変更する場合を述べたが、図6に示すように、2つの文字フォント「と」及び「り」について、各文字フォントそれ自体を単独に表示するときには満足できる文字フォントが得られているとしても、図7に示すように、文字フォント「と」及び「り」を順次上下に隣接させて表示する場合には、これを切らずに続け文字として描画する(これを連綿文字表示と呼ぶ)ような場合は、文字フォント「と」の書字終了点PE11を削除すると共に、残る制御点PS11、P21〜P26のうち、書字終了点PE11側の制御点P26を文字フォント「り」の書字開始点PS12と接続し、かつ書字開始点PS12における制御点の3重の重複数を1重に変更する。
【0061】
このとき文字フォント「と」の書字終了点PE11がそれ単独では上方にはね上がっていた(図6)が、これを文字フォント「り」側に折り返すように変更される(図7)ことにより、文字フォント「と」と文字フォント「り」との接続を流れるような滑らかさに統合し直すことができる。
【0062】
かくするにつき、文字フォント「と」及び「り」の他の部分の文字形状には影響を与えないようすることができ、かくして容易に連綿文字列を構成する文字フォントの修正をすることができる。
【0063】
このような連綿文字列の編集をするには、図8に示すようなプログラムソースを用いれば良い。
【0064】
図8は、連綿文字列「とり」をXML(Extensible Markup Language)フォーマットで記述されたコードを与えることによって生成できる(k=3とした)。
【0065】
ここで、〈ref〉は指定された文字データの参照を行うタグであり、これにより制御点を表すタグの系列に置き換える。
【0066】
また、〈move〉は制御多角形に対する平行移動を指定するタグであり、〈concatenate〉は制御多角形同士の特別な接続方法を指定する演算のタグである。
【0067】
かかるコードに加えて、拡大・縮小〈scale〉や、回転〈rotate〉や、平滑化〈smoothing〉といった種々の演算のタグを組み合わせれば、種々の字型の文字及び文字列を生成することができる。
【0068】
このように、連綿文字として接続された2つの文字フォント「と」及び「り」については、接続点位置における制御点が書字開始点及び書字終了点としての機能を失うことにより、連綿文字「とり」が全体として1つの制御多角形データとして統合されることになる。
【0069】
(5)文字フォント列の平滑化
かな文字フォントの表記に関して、書道においては、しばしば各かな文字について省略を加えた表記の仕方(すなわち崩し文字の表記手法)が用いられており、これを文字及び文字列生成表示装置2において実現できるようにすることは、機能の多様性の点から望ましい。
【0070】
これを実現する手法として、(1)式によって与えられる標準の文字フォントに対して、
【0071】
【数9】
【0072】
のように、(1)式の書字軌道データp(t) と同じ形式の式で表現され、かつパラメータτをもつフォント書字軌道のファミリを考える。
【0073】
(9)式において、パラメータ〔τl−k+1、……、τm+k−1〕は平滑されたフォントを表す修正された制御点である。
【0074】
この実施の形態の場合、3次元軌道のXYZ各要素に対してそれぞれ独立に、次式
【0075】
【数10】
【0076】
のような評価関数を考え、この評価関数に含まれる制御点の位置データτiを求めることにより、平滑化を実行する。
【0077】
(10)式において、第1項は複数階微分データ成分(この場合2階微分データλ[ x″(t) ] 2)を構成すると共に、第2項は差分データ成分(この場合wi(pi−τi)2)を構成する。第1項のλは、書字運動x(t)の滑らかさを決定する正の定数(スカラ)であり、wi∈〔0,1〕は各i番目の制御点の信頼度を表すパラメータである。
【0078】
従って(10)式の第1項は、各文字フォントの滑らかさを決める要素となるのに対して、第2項は、標準の文字フォントに対する忠実度を決めることになり、これにより両者を勘案しながら各文字フォントの滑らかさを決めることができる。
【0079】
(10)式に対する解は、τについて、
【0080】
【数11】
【0081】
によって与えられる。
【0082】
ここで、
【0083】
【数12】
【0084】
であり、またV= [vi,j] はB−スプライン関数Bk(・)から一意に決定される正定値のグラミアンである。
【0085】
このような文字フォントの平滑化処理をすれば、図9(A)に示すような標準の文字フォント列「かき」の制御多角形M1及びM2に対して、図9(B)及び(C)に示すように、文字フォント「かき」の制御多角形M=M1・M2に対してそれぞれλ=0.5及び2.0(いずれもW=I、すなわちwi=1とした)を与えて平滑化したとき、徐々に崩し方が大きくなる文字フォントを得ることができることにより、各文字フォントの文字フォント部分と、連綿文字列全体としての文字フォントとの両方について平滑化し得ることを確認できた。
【0086】
(6)文字列全体の平滑化
上述の(9)式ないし(12)式について行った文字フォントの平滑化と同様に、次式
【0087】
【数13】
【0088】
【数14】
【0089】
【数15】
【0090】
のように、(13)式によって書字運動のファミリを考えると共に、(14)式によって平滑化の演算を行うことにより、(15)式による解を求めるような処理を実行する。
【0091】
ここで、(14)式の第1項において、滑らかさを平滑化パラメータλを決定する際に、(10)式においては、〔−∞,∞〕の積分をしたのに対してその代わりに、(14)式においては、〔tl+1,tm+k〕の積分を行っている点において、(14)式は(10)式と相違する。
【0092】
このような文字列の平滑処理を図10に示すような和歌の文字列について実行したところ(λ=1.2,W=I、すなわちwi=1とした)、図11に示すように、個々の文字フォントの内部の形状と共に、文字フォント相互間の接がりもより滑らかになるような平滑化処理がされていることが分かる。
【0093】
ここで、文字をどの程度崩すか(すなわち文字列軌道をどれだけ滑らかにするか)は、(14)式の評価関数において、第1項の平滑化パラメータλの値と、第2項の信頼度パラメータwiの値とのバランス(両者間の比率)に着目して、主として平滑化パラメータλを変更することによって調整することができる。
【0094】
(7)フォント生成表示処理手順
以上の構成において、文字及び文字列生成表示装置2のCPU5(図1)は、図12に示すフォント生成表示処理手順RT1を実行することにより、ディスプレイ装置7の表示画面25に生成した文字フォントを表示する。
【0095】
フォント生成表示処理手順RT1に入ると、CPU5は、ステップSP1においてメモリ装置4に格納されているすべての文字フォントに対応する制御多角形データのうち、指定された文字フォントの制御多角形データを読み出し、ステップSP2において現在時刻データtとして初期時刻を設定する処理を実行する。
【0096】
続いてCPU5はステップSP3において現在時刻tにおける筆記具21の位置p(t) を計算し、ステップSP4において筆記具21を移動させると共に、筆記面O−XY(図2)との交差領域を塗りつぶすような処理を実行し、これにより現在時刻tにおける文字フォントの表示データを生成する。
【0097】
続いてCPU5は、ステップSP5において時刻増分Δtだけ処理を遅延させるような処理をした後、ディスプレイ装置7の表示画面25(図5)上に文字フォントを表示させる。
【0098】
ここでCPU5は、ステップSP5において時刻増分Δtだけ処理時間を遅延させるようにしたことにより、図13に示すように、表示画面25上の文字フォント31として、すべての文字フォント31を一挙に表示させずに、時刻増分Δtごとに演算結果を表示させるようにしたことにより、文字フォント31の書字生成手順の進行に従ってゆっくりとした速度で徐々に文字フォント31が表示画面25上に表われて来るような文字フォントの動的表示画面を形成することができる。
【0099】
続いてCPU5は、ステップSP6において時刻tが終了時刻になったか否かの判断をし、否定結果が得られたとき、ステップSP7において現在時刻データtに時刻増分Δtを加算した後上述のステップSP2に戻って新たな現在時刻t=t+Δtについての文字フォント31の生成表示処理を繰り返す。
【0100】
やがてステップSP6において肯定結果が得られると、このことは当該文字フォント31についてのフォント生成表示処理が終了したことを意味し、このときCPU5はステップSP8に移って当該フォント生成表示処理手順RT1を終了するか否かの判断をする。
【0101】
ここで否定結果が得られる、このことはオペレータが文字フォントについて編集・更新処理をするモードを選択していることを意味し、このときCPU5はステップSP9に移ってマウス6などからの入力データを用いて現在表示されている文字フォント31についての制御多角形の編集・更新処理を実行する。
【0102】
このときCPU5は、図5について上述したように、編集すべき文字フォント26のうちの一部の文字フォント部分に対応する制御点マークを移動させることにより、当該フォント部分について変形させた文字フォントデータを生成し、この文字フォントデータをメモリ装置4に登録する。
【0103】
このようにして編集された文字フォントデータについて、CPU5はステップSP2、SP3、SP4、SP5、SP6、SP7についての処理を実行することにより当該編集が終了した文字フォントについてのディスプレイ装置7への表示動作をする。
【0104】
その後、ステップSP8において肯定結果が得られると、このことはオペレータが当該フォント生成表示処理を終了するための操作モードを選択したことを意味し、このときCPU5はステップSP10に移って当該フォント生成表示処理手順RT1を終了する。
【0105】
図12のフォント生成表示処理手順RT1によれば、メモリ装置4に登録されたフォントデータに基づいて必要に応じて文字フォントを修正するための編集処理をしながら、当該生成されたフォントデータを、時刻増分Δtによる時間の経過に従って徐々に完全なフォントになるまでゆっくりと表示して行くことができ、かくしてあたかも人が毛筆で文字列を書く場合と同じように、毛筆によって書いた分の文字部分又は文字列をディスプレイ装置7上に動的画面として表示できるようにした文字及び文字列表示装置2を得ることができる。
【0106】
(8)平滑化処理手順
CPU5は、図14に示す平滑化処理手順RT2によって、図10及び図11について上述した文字及び文字列の平滑化処理を実行する。
【0107】
CPU5は平滑化処理手順RT2に入ると、まずステップSP11においてメモリ装置4から標準文字列の制御多角形データを読み出すと共に、(13)式ないし(15)式において用いる設定パラメータをユーザの入力操作に応じて取り込む。
【0108】
続いてステップSP12において演算に必要な行列を生成すると共に、ステップSP13において(15)式の解τを計算した後、ステップSP14において崩し文字列を与える制御多角形を構成する。
【0109】
かくしてCPU5は図10及び図11について上述したように平滑化パラメータλを設定することにより、平滑化された文字列を表す制御多角形データを構成してメモリ装置4に登録し、続くステップSP15において当該平滑化処理手順RT2を終了する。
【0110】
図14の平滑化処理手順RT2によれば、オペレータは、メモリ装置4に登録されている標準文字列の制御多角形データに基づいてその区間〔tl+1,tm+k〕の範囲について平滑化パラメータλを、ディスプレイ装置7の表示を見ながら、対話形式で文字列の平滑化操作をなし得、これにより書道においてしばしば行われている(例えば和歌を書き表わすような場合に行われている)と同様な崩し文字の表示データを、容易に実現できる。
【0111】
(9)第2の実施の形態
第2の実施の形態の場合、文字及び文字列生成表示システム1(図1)の文字及び文字列生成表示装置2は、その中央処理ユニット(CPU)5において、次式
【0112】
【数16】
【0113】
のような3次元ベクトルでなる標準関数p(t) によって表される移動軌道23(図3)を演算する。
【0114】
(16)式において、Bk(t)は、3次元ベクトルでなる、整数の節点をもつ正規化された基底B−スプライン関数であり、図4について(5)式を用いて上述したと同様にして、3次元ベクトルでなる制御点に対応する3次元の単位動作を合成することにより得られる合成波形によって、標準関数p(t)でなる書字軌道をk次のスプライン関数の属性として求める。
【0115】
また、(16)式において、αは(6)式のように、節点間の時間間隔を決める正の定数(スカラ)を示している。
【0116】
さらに、piは、(7)式のように、それぞれ固有の3次元重みベクトルを表す。
【0117】
かくして、図3及び図4に示すような、3次元重みベクトルの系列によって一群の制御点及び直線をもつ制御多角形を形成し、これの制御多角形によって3次元の書字運動の幾何学的な概略軌跡を表わすことができる。これにより(16)式による書字運動は、基底B−スプラインを表わす各つり鐘状の単位運動について3次元の重み係数を指定することによって生成でき、その結果、筆記具21の書字運動によって描画される文字フォントの各部分の形状を、制御多角形の形状的な表現、すなわち3次元ベクトルで表わされる制御点の位置を決めることによって求めることができる。
【0118】
このように、(16)式の3次元ベクトルの標準関数p(t) でなるフォントデータは、3次元ベクトルでなる制御点を含む制御多角形データとして表わされているので、当該3次元ベクトルの制御点の位置を設定し直すことにより、図5について上述した文字フォントの編集を、簡易な手法(制御点の設定を3次元ベクトルを設定するだけですむ手法)によってなし得る。
【0119】
さらに、書字軌道は、(16)式の標準関数p(t) により、3次元ベクトルで表わされる制御多角形を有するので、図6及び図7のような連綿文字列の編集を、3次元ベクトルでなる制御点(従って書字開始点PS11、PS12及び書字終了点PE11、PE12)を、3次元ベクトルの追加、削除、移動をするだけの簡易な手法で、なし得る。
【0120】
この実施の形態の場合、文字フォント列の平滑化処理は、(16)式によって与えられる標準関数p(t) の文字フォントに対して、次式
【0121】
【数17】
【0122】
のように、(16)式の書字軌道を表わす標準関数p(t) データと同じ形式の式で表現され、かつパラメータτiをもつフォント書字軌道のファミリを考え、次式
【0123】
【数18】
【0124】
のような評価関数に含まれる制御点の位置データτiを求めることにより、平滑化を実行する。
【0125】
(17)式において、τiは3次元ベクトルであり、これにより書字軌道x(t)は3次元ベクトルによって表わされる。
【0126】
また、(18)式の評価関数において、第1項は複数階微分データ成分(この場合2階微分データ||x″(t) ||2Λ)を構成すると共に、第2項は差分データ成分(この場合||pi−τi||2Wi)を構成する。第1項のΛは書字軌道x(t) の滑らかさを決定する3次元の正定値行列であり、Wiは各i番目の制御点の信頼度を指定する3次元の正定値行列である。
【0127】
ただし、(18)式について、一般に
【0128】
【数19】
【0129】
である。
【0130】
従って、(18)式の第1項について、
【0131】
【数20】
【0132】
になり、同様に第2項について、
【0133】
【数21】
【0134】
である。
【0135】
このようにして、(18)式の第1項(すなわち(20)式を積分したもの)及び第2項(すなわち(21)式)は、共に3次元ベクトルによって表わされる。
【0136】
ここで、
【0137】
【数22】
【0138】
のとき、(18)式に対する解は、次の線形行列方程式
【0139】
【数23】
【0140】
を解くことによって得られる。
【0141】
ただし、
【0142】
【数24】
【0143】
である。
【0144】
このように、(18)式の評価関数を用いて文字フォントの平滑化処理をすれば、当該評価関数が3次元軌道全体に対する評価を与えている(XYZ各要素を独立に取り扱うのではなく)。従って、行列Λ(重み行列)を適切な値に設定すれば、図9について上述したと同様に、例えばXY成分の滑らかさ(崩し方)に対して重点をおいた文字又は文字列を簡易な手法で得ることができる。
【0145】
因に、Λを次式
【0146】
【数25】
【0147】
にとれば、XYZ方向にすべて同じ重みをかけたことになり、このことは、(9)式ないし(12)式について上述した場合と同様の結果が得られることになる。
【0148】
また、この実施の形態の場合も、(13)式ないし(15)式について、上述したと同様にして、次式
【0149】
【数26】
【0150】
のような評価関数を用いて、第1項において〔tl+1,tm+k〕の範囲に制限した積分を行なうようにすると共に、
【0151】
【数27】
【0152】
を解くことにより、解を求める手法を用いることもできる。
【0153】
かくしてこの場合も、図10に示すような和歌の文字列について図11に示すように、元の文字フォントの内部の形状と共に、文字フォント相互間の接続もより滑らかになるような平滑化処理をすることができる。
【0154】
かくするにつき、(26)式及び(27)式の演算処理を、3次元ベクトルについて実行することができることにより、適正な平滑化重み行列Λ及び信頼度重み行列Wを用いて、より多様な平滑化処理をすることができる。
【0155】
(10)第3の実施の形態
図15は第3の実施の形態を示すもので、この場合文字データ配信システム15は、文字データ配信センタ16に文字及び文字列データ生成表示装置17を有し、この文字及び文字列データ生成表示装置17において生成された文字及び文字列データを、例えばインターネットでなる伝送路18を介して、当該伝送路18に接続された複数のユーザ端末装置19A、19B……から読み取ることができるようになされている。
【0156】
文字及び文字列生成表示装置17は、図1の文字及び文字列生成表示装置2との対応部分に同一符号に添字Xを付して図16に示すように、CPU5Xがメモリ装置4Xに格納されているプログラムをバス3Xを介して実行することにより、データ入力手段としてのマウス6Xから入力されるオペレータのユーザデータに応じて、ディスプレイ装置7Xの表示をオペレータに提示しながら、対話形式で文字及び文字列生成処理を実行し、その結果生成した文字及び文字列データをメモリ装置4Xに登録する。CPU5Xはこのようにしてメモリ装置4Xに登録した文字及び文字列データをバス3Xを介してプリンタ装置8Xにおいてプリント用紙上にプリントし得ると共に、必要に応じてネットワーク装置9Xを介して伝送路18に送出し得るようになされている。
【0157】
この実施の形態の場合、CPU5Xは、ユーザ端末装置19A、19B……からのアクセス命令に応じて、図17に示す文字データ配信処理手順RT0を実行することにより、ユーザ端末装置19A、19B……からの入力データに応じて文字データを自動的に作成してユーザ端末装置19A、19B……に配信する処理を実行する。
【0158】
ユーザ端末装置19A、19B……は、図18に示すように、中央処理ユニット(CPU)21がバス22を介して、メモリ装置23に格納されている端末処理プログラムを実行することにより、データ入力手段としてのマウス24から入力される端末ユーザデータに応じてディスプレイ装置25の表示をオペレータに提示しながら、対話形式で、端末データ処理を実行し、その結果ネットワーク装置26から伝送路18を介して文字データ配信センタ16の文字及び文字列データ生成表示装置17にアクセスすると共に、当該文字及び文字列データ生成表示装置17において生成された文字及び文字列データを伝送路18を介してネットワーク装置26によってメモリ装置23に取り込む。
【0159】
CPU21はこのようにしてメモリ装置23に取り込んだ文字及び文字列データを、バス22を介してディスプレイ装置25上に表示し、又はプリンタ装置27においてプリント用紙上にプリント出力し得る。
【0160】
ユーザ端末装置19A、19B……のCPU21は、ユーザがマウス24によって文字データ配信処理手順RT0の開始を指定すると、ステップSP1において、ユーザがマウス24を用いて、書字するために必要な書字条件選択データ、すなわち短歌文字コードデータ(tanka)、連綿度データ(κ)、平滑化パラメータデータ(λ)、墨色データ(bokushoku)及び料紙データ(ryoushi)を選択入力するのを待ち受ける。
【0161】
ステップSP1において選択入力されるデータは、ユーザ端末装置19A、19B……のユーザが、例えば図10及び図11について上述したように、草書体のかな文字で和歌を書くための条件を指定入力するもので、短歌文字コードデータ(tanka)は短歌書字において使用される文字、例えば「めぐりあいてみしやそれともわかぬまにくもかくれにしよはのつきかけ」のコードデータを表わす。
【0162】
また、連綿度データ(κ)は、図6及び図7について上述したように、連綿文字を相互に接続する度合いを示すデータである。
【0163】
さらに、平滑化パラメータデータ(λ)は、図9について上述したように、かな文字を滑らかに崩す程度を表わすデータである。
【0164】
さらに、墨色データ(bokushoku)はかな文字の墨の濃さを指定するデータである。
【0165】
さらに、料紙データ(ryoushi)は使用する料紙の種類を指定するデータである。
【0166】
この実施の形態の場合、文字データ配信センタ16の文字及び文字列データ生成表示装置17のメモリ装置4X(図16)には、図19に示すような文字条件選択データメモリMEM1が設けられており、この書字条件選択データメモリMEM1に、各書字条件について選択できる数値が予め用意されており、これにより複数種類の標準的な字体の文字列を書くことができるように、予め準備されている。
【0167】
短歌文字コードデータ(tanka)としては、任意の文字列による短歌(すなわち創作された短歌)に対応する任意短歌文字データの入力が可能であり、また過去に創作された短歌を表わす標準短歌文字データも用意されている。
【0168】
また、連綿度データ(κ)としては、κ∈ [ 0.0 , 0.25 ,0.75 , 1.0] の4種類の接続度合データが用意されている。
【0169】
また平滑化パラメータ(λ)として、λ∈[ 0.0 ,0.1 ,0.2 ,0.8 ,1.5 ,3.2 ] の6種類の平滑化パラメータデータが用意されている。
【0170】
さらに、墨色データ(bokushoku)として14種類の墨の濃さのデータが用意されており、また料紙データ(ryoushi)として11種類の用紙のデータが予め用意されている。
【0171】
かくして、ユーザ端末装置19A、19B……のユーザは、書字条件選択データメモリMEM1の各書字条件選択データから1つを選択することにより、書きたい短歌及びその書体を指定することができる。
【0172】
やがて、ステップSP1においてすべての書字条件選択データが入力されると、ユーザ端末装置19A、19B……のCPU21は、ステップSP2に移って当該入力された書字条件選択データを、ネットワーク装置26(図18)から伝送路18を介して文字データ配信センタ16の文字及び文字列データ生成表示装置17のネットワーク装置9X(図16)に送信し、当該送信されて来た書字条件選択データを、文字及び文字列生成表示装置17のCPU5Xがメモリ装置4Xに取り込む。
【0173】
このとき文字及び文字列生成表示装置17のCPU5Xは、ステップSP3に移って、書字条件選択データメモリMEM1から、指定された短歌文字コードデータ(tanka)を読み出して当該短歌を構成する文字のかなについての制御多角形データを読み取る。
【0174】
続いてCPU5Xは、ステップSP4に移って短歌を構成する各文字を平行移動して4行に配列する。
【0175】
この実施の形態の場合、短歌文字モードにおいては、各文字の書字位置は、図20に示すように、4行かつ各行ごとに9文字に設定されており、これにより短歌の各文字に対応する制御多角形データが、順次平行移動処理により対応する書字位置に割り付けられる。
【0176】
続いてCPU5Xは、ステップSP5において、行方向に隣合う文字の制御多角形同士を、書字条件選択データメモリMEM1から選択した連綿度データ(κ)の接続度合に応じて連結し、これにより各行ごとに1つの大きな制御多角形を形成する。
【0177】
続いてCPU5Xは、ステップSP6に移って、文字の始端及び終端にある制御点(例えば、図6の制御点PS11、PE11、PS12及びPE12)を書字条件選択データメモリMEM1において選択指定された連綿度データ(κ)の確率(この場合0.0 , 0.25 , 0.75 又は 1.0)で取り除くことにより、連綿文字列(図7)を得る。
【0178】
続いて、CPU5Xは、ステップSP7において、書字条件選択データメモリMEM1の平滑化パラメータデータλから選択された値(すなわち、0.0 ,0.1 ,0.2 ,0.8 ,1.5 又は 3.2)で各列の文字列(すなわち制御多角形)を平滑化処理する。
【0179】
続いて、CPU5Xは、次のステップSP8において、各行ごとに得られた制御多角形から、その制御点の位置によって決める骨格軌道p(t) を生成すると共に、次のステップSP9において、当該骨格軌道p(t) から、図3について上述した文字パターンの文字の太さを表す輪郭軌道を生成する。
【0180】
かくして、文字及び文字列生成表示装置17のCPU5Xは、ユーザ端末装置19A、19B……から送られて来た書字条件選択データによって指定された短歌文字コードデータ(tanka)に対応する文字によって4行の文字列を形成すると共に、ユーザ端末装置19A、19B……から指定された連綿度データ(κ)及び平滑化パラメータデータ(λ)によって指定された接続度合及び崩し度合をもった4行の文字列データを生成する。
【0181】
CPU5Xは、次のステップSP10において、この文字列データを、配信データ生成部30に渡して、書字条件選択データメモリMEM1において選択指定された墨色データ(bokushoku)及び料紙データ(ryoushi)を合わせて、SVG(Scalable Vector Graphics)画像でなる短歌文字画像を生成して配信データ生成部30に保存すると共に、ステップSP11において当該短歌文字画像のURLアドレスを有するウェブページを配信データ生成部30に生成する。
【0182】
その後CPU5Xは、ステップSP12において、配信データ生成部30にある短歌画像データをネットワーク装置9Xから伝送路18を介して、アクセスして来たユーザ端末装置19A、19B……(図18)に送り返し、当該ユーザ端末装置19A、19B……のCPU21は、次のステップSP13において、送り返されて来た短歌画像データをネットワーク装置26を介してメモリ装置23に取り込むと共に、これをディスプレイ装置25上に表示する。
【0183】
かくしてユーザ端末装置19A、19B……のユーザは、文字データ配信センタ16に送信した書字条件選択データによって当該文字データ配信センタ16の文字及び文字列データ生成表示装置17において生成された短歌画像データに基づく書道作品を、ユーザ端末装置19A、19B……のディスプレイ装置25において閲覧することができると共に、必要に応じてプリンタ装置27においてプリントすることができる。
【0184】
かくして、ユーザ端末装置19A、19B……のCPU21及び文字データ配信センタ16の文字及び文字列データ生成表示装置17のCPU5Xは、全ての処理を終了したことにより、次のステップSP14において、当該文字データ配信処理手順RT0を終了する。
【0185】
以上の構成によれば、文字データ配信センタ16は、ユーザ端末装置19A、19B……から送られて来た書字条件選択データに基づいて、当該書字条件選択データに適合する短歌文字データ(tanka)を用いた4行の短歌を書字した文字データを、生成して配信することにより、あたかも、ユーザ端末装置19A、19B……において任意に書字生成したと同様の短歌を、ユーザ端末装置19A、19B……において鑑賞することができる。
【0186】
(11)他の実施の形態
上述の実施の形態においては、オペレータによるデータ入力手段としてマウス6を用いた場合について述べたが、データ入力手段としてはこれに限らず、キーボードや、ジョイスティックなど種々の構成のものを適用できる。
【0187】
また図7の実施の形態においては、第1の文字フォント「と」の書字終了点PE11を削除すると共に、残る制御点PS11、P21〜P26のうちの書字終了点PE11側の制御点P26と、第2の文字フォント「り」の書字開始点PS12とを接続し、かつこの書字開始点PS12の3重の制御点を1重にするようにした場合について述べたが、これに代え、3次のB−スプライン関数Bk(・)の場合2重ないし3重(k次の場合2重ないしk重)に変更するようにしても良く、このようにしても第1及び第2の文字フォントを滑らかに接続することができる。
【0188】
上述の図15〜図20の実施の形態においては、文字データ配信センタ16側の書字条件選択データメモリMEM1に、選択可能な書字条件選択データを予め用意しておき、その1つをユーザ端末装置19A、19B……において選択指定するようにしたが、これに代え、書字条件選択データを予め用意せずに、ユーザ端末装置19A、19B……において指定入力された書字条件データをそのまま用いて、文字データ配信センタ16側で指定された文字及び文字列データを生成するようにしても、上述の場合の同様の効果を得ることができる。
【0189】
この場合、連綿度データ(κ)は、0≦κ≦1の間の値を指定できることにより、κ=0を指定すれば文字同士は全く接続されず、κ=1を指定すれば全ての字が接続された文字列が得られ、κ=0.5なら半分くらいが接続される(ランダムに)ような文字列が得られる。
【0190】
また、平滑化パラメータデータλは、上述の値λ∈[ 0.0 ,0.1 ,0.2 ,0.8 ,1.5 ,3.2 ] に限らず、λ≧0の任意の数値を選定できるようにしても良く、このようにすれば、さらに一段と崩し方の大きい文字及び文字列が得られる。
【0191】
さらに、上述の実施の形態においては、本発明を、和歌を書字する場合に適用した場合について述べたが、これに限らず、任意の文字数、行数の一般の文章に適用しても、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0194】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、文字列データについて、書字軌道データの複数階微分データ成分と差分データ成分とを含む評価関数に基づいて平滑化制御点データを求めるようにしたことにより、書道の崩し字と同様の表現形式の書字軌道データを容易に得ることができる。
【0195】
さらに、文字列の書字軌道データの生成表示演算を複数の文字フォントを書字する順序で実行することにより、人がゆっくりと文字列を書くのと同じような要領で、違和感のない文字列を、表示画面上に動的に表示させることができる。
【0196】
さらに、ユーザ端末装置から伝送路を介して文字データ配信センタに書字データを送り、当該文字データ配信センタにおいて自動的に作成された文字データを、要求を出したユーザ端末装置に送り返すようにしたことにより、文字作成手段をもたない簡易な構成のユーザ端末装置において簡便に文字データを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による文字及び文字列生成表示システムを示すブロック図である。
【図2】かな文字フォントデータの生成原理の説明に供する略線図である。
【図3】図2の生成原理によって用いられる筆記具の移動軌道を示す略線図である。
【図4】筆記具の移動軌道を演算するためのベクトル関数の説明に供する曲線図である。
【図5】フォント編集画面を示す略線図である。
【図6】2つの文字フォントの制御点の配置を示す略線図である。
【図7】2つの文字フォントを連綿文字列として接続したときの制御点の配置を示す略線図である。
【図8】図7の連綿文字列の編集のために用いられるプログラムソースを示す図表である。
【図9】(A)、(B)及び(C)は平滑化処理された文字列を示す略線図である。
【図10】平滑化適用前の文字列を示す略線図である。
【図11】平滑化適用後の文字列を示す略線図である。
【図12】フォント生成表示処理手順を示すフローチャートである。
【図13】文字フォントの動的表示画面を示す略線図である。
【図14】崩し文字列の生成処理手順を示すフローチャートである。
【図15】第3の実施の形態における文字データ配信システムを示すブロック図である。
【図16】図15の文字及び文字列データ生成表示装置17の詳細構成を示すブロック図である。
【図17】文字データ配信処理手順RT0を示すフローチャートである。
【図18】図15のユーザ端末装置19A、19B……の詳細構成を示すブロック図である。
【図19】図16のメモリ装置4Xに設けられた書字条件選択データメモリMEM1を示す略線図である。
【図20】図17のステップSP4における4行の配列における各文字の書字位置を示す略線図である。
【符号の説明】
1……文字及び文字列生成表示システム、2……文字及び文字列生成表示装置、3……バス、4……メモリ装置、5……CPU、6……マウス、7……ディスプレイ装置、8……プリンタ装置、9……ネットワーク装置、10……外部ネットワーク、15……文字データ配信システム、16……文字データ配信センタ、17……文字及び文字列データ生成表示装置、18……伝送路、19A、19B……ユーザ端末装置、21……筆記具、22……かな文字フォント、23……移動軌道、25……表示画面、26……編集すべき文字フォント、30……配信データ生成部、31……文字フォント。
Claims (3)
- 複数の制御点を含む制御多角形データに基づいて定義されるベクトル関数をコンピュータを用いて演算することにより筆記具手段を書字運動させる書字軌道データを生成し、当該書字軌道データによってディスプレイ手段の表示画面上に文字フォントを書字してなる文字を描画する文字及び文字列生成表示装置であって、
上記書字軌道データの複数階微分データ成分と、上記書字軌道データの差分データ成分とを含む評価関数を求めると共に、当該評価関数が最小となるような平滑化制御点データを求めることにより、上記文字の崩し字を表示する上記書字軌道データを得る
ことを特徴とする文字及び文字列生成表示装置。 - 上記文字の上記書字軌道データの生成表示演算を、所定の時間間隔で、かつ上記文字フォントを書字する順序で実行することにより、上記表示画面上に上記文字を当該文字フォントの書き順に従って動的に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の文字及び文字列生成表示装置。 - 書字しようとする文字を指定する文字コードデータと、上記文字の接続の仕方を指定する連綿度データと、上記文字の崩し方を指定する平滑パラメータデータとをユーザ端末装置から送出し、
上記文字コードデータ、上記連綿度データ及び上記平滑パラメータデータを伝送路を介して文字データ配信センタで受信し、
上記文字データ配信センタにおいて、上記文字コードデータによって指定された文字に対応する上記制御多角形データについて、上記連綿度データ及び上記平滑パラメータデータによって上記指定された文字の上記制御点の位置を指定して上記文字フォントを生成し、
上記文字フォントのデータを上記文字データ配信センタから上記ユーザ端末装置に返送すると共に、当該ユーザ端末装置の上記ディスプレイ手段の表示画面上に、上記文字フォントでなる文字列を描画する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の文字及び文字列生成表示装置。
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