JP3896705B2 - 冷凍サイクルおよび冷凍サイクルの制御方法 - Google Patents

冷凍サイクルおよび冷凍サイクルの制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄熱式冷凍サイクルの消費電力量削減に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図16に、特開平7−198217号公報に記載された従来の蓄熱式冷凍サイクルを示す。
図において、111はビルの屋上などに設置される氷蓄熱槽を示し、その内部に熱交換用配管111aが投入されている。112は、圧縮機113と熱源側となる凝縮器114を備えた室外ユニットを示し、圧縮機113と凝縮器114とが配管115を介して接続されている。さらに、凝縮器114と、氷蓄熱槽111の熱交換用配管111aと、その氷蓄熱槽111よりも下方で各階に設置されて利用側となる例えば4台の熱交換器116とが冷媒液配管117を介して接続されるとともに、熱交換器116のそれぞれと圧縮機113とが冷媒蒸気配管118を介して接続されている。
【0003】
凝縮器114と氷蓄熱槽111との間において、冷媒液配管117に膨脹弁119が介装されている。また、氷蓄熱槽111の出口側から最上部の熱交換器116に至るまでの冷媒液配管117と、最上部の熱交換器116と圧縮機113との間の冷媒蒸気配管118とが、開閉弁120を介装した循環用配管121で接続されている。
【0004】
また、膨脹弁119と氷蓄熱槽111の間の冷媒液配管117と、最上部の熱交換器116と圧縮機113との間の冷媒蒸気配管118とが、自然循環用配管122と三方弁123とを介して接続されている。
【0005】
上記のように構成された従来の蓄熱式冷凍サイクルにおいて、蓄熱運転状態では、開閉弁120を開き、夜間などに夜間電力を利用して圧縮機113を駆動し、冷媒を圧縮機113→凝縮器114→膨脹弁119→氷蓄熱槽111→循環用配管121→圧縮機113と強制的に循環させる。圧縮機113で高温高圧となった冷媒は、凝縮器114で凝縮して放熱し冷却液化される。さらに膨張弁119で減圧されて二相状態の湿り蒸気となり、氷蓄熱槽111で吸熱し蒸発して冷媒ガスとなって圧縮機111へ循環する。このとき、氷蓄熱槽111内の水が冷やされて熱交換用配管111aの周囲から氷ができていく。
【0006】
一方、昼間の冷房運転を行う場合にあって、開閉弁120を閉じると共に圧縮機113の駆動を停止した冷媒の自然循環運転状態では、冷媒を氷蓄熱槽111→熱交換器116・・・→自然循環用配管122→氷蓄熱槽111と気液相変化により自然循環流動させ、氷蓄熱槽111内の氷を利用して冷媒蒸気を液化し、その液化した冷媒液を熱交換器116・・・に流下供給し、熱交換器116・・・での熱交換に伴って蒸発した冷媒蒸気を上昇させて氷蓄熱槽111に供給するようになっている。
【0007】
また、夏場などのように冷房負荷が高い時には、開閉弁120を閉じると共に圧縮機113を駆動し、冷媒を圧縮機113→凝縮器114→膨脹弁119→氷蓄熱槽111→熱交換器116・・・→圧縮機113と強制的に循環させ、冷媒を過冷却して熱交換器116・・・に供給する。
【0008】
また、氷蓄熱槽111と最上部の熱交換器116との間の部分と、凝縮器114と膨脹弁119との間の部分とがバイパス用開閉弁124を介装したバイパス配管15を介して接続されており、氷蓄熱槽111内に氷がない時に、圧縮機113→凝縮器114→バイパス配管125→熱交換器116・・・→圧縮機113と強制的に循環させて冷房運転を行えるように構成されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の蓄熱式冷凍サイクルは上記のような構成および動作であるので、冷房運転時に圧縮機113を停止した状態での冷媒の自然循環運転を行うために、膨脹弁119と氷蓄熱槽111の間の冷媒液配管117と、最上部の熱交換器116と圧縮機113の間の冷媒蒸気配管118とを接続する自然循環用配管122が必要であり、これに伴う材料費や工事費が高くなるという問題点があった。
また、従来の蓄熱式冷凍サイクルは、自然循環運転時に、膨脹弁119と氷蓄熱槽111との間の液配管を蒸気冷媒が通過しなければならないので、圧力損失が大きくなって冷媒循環量が減り、冷房能力がでにくくなる。このため、自然循環運転の運転範囲が狭められるという問題点があった。
さらに、従来の蓄熱式冷凍サイクルにおける自然循環運転では、利用側熱交換器での負荷が小さい場合にのみ行うように構成されているため、氷蓄熱槽111、特に熱交換用配管111aで大きな熱交換量を得ようとする構成にはなっていなかった。このため、負荷がピークを迎える時間帯に電力ピークカットを目的として自然循環運転を行おうとすると、熱交換用配管111aの伝熱面積が小さく、満足に運転できないという問題点があった。
また、氷蓄熱槽1をビルの屋上などに設置し、熱交換器6は氷蓄熱槽1よりも下方に配置するという設置条件があり、大きな氷蓄熱槽1をすべての熱交換器6よりも上方に設置することができない場合もあった。
さらにまた、従来の蓄熱式冷凍サイクルは、冷房運転しかできず、冬季の暖房運転に対しては何らの考慮もなされていないという問題点があった。
【0010】
本発明の蓄熱式冷凍サイクルは、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、圧縮機,熱源側熱交換器、利用側減圧装置,利用側熱交換器を連接して構成される通常の冷凍サイクルの構成に大幅な変更を加えることなく、構成を簡単にして低価格にできる蓄熱式冷凍サイクルを得ることを目的とするものである。
また、消費電力量を削減できる運転モードの運転範囲を広くでき、利用側負荷がピークを迎える時間帯に消費電力量を低減する電力ピークカットが可能な蓄熱式冷凍サイクルを得ることを目的とするものである。
また、設置条件の制限が少ない蓄熱式冷凍サイクルを得ることを目的とするものである。
また、利用側で冷却および加熱が可能な蓄熱式冷凍サイクルを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る冷凍サイクルは、圧縮機,熱源側熱交換器,利用側減圧装置,利用側熱交換器を連接してなる冷凍サイクルにおいて、冷媒と蓄熱材とが熱交換する蓄熱用熱交換器を備え、前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口を前記利用側熱交換器の蒸気側接続口と前記圧縮機の吸入口との間を接続する蒸気配管に接続し、その液側接続口を前記利用側熱交換器の液側接続口と前記熱源側熱交換器の液側接続口との間を接続する液配管に蓄熱用減圧装置を介して接続し、前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口を液側接続口よりも上方に配設すると共にその液側接続口を前記利用側熱交換器の液側接続口より上方に設置し、冷熱蓄熱運転時に前記圧縮機,前記熱源側熱交換器,前記蓄熱用減圧装置,前記蓄熱用熱交換器に冷媒を循環させて前記蓄熱材に冷熱を蓄え、冷媒自然循環冷却運転時に前記蓄熱用熱交換器,前記利用側減圧装置,前記利用側熱交換器に冷媒を循環させて前記蓄熱材に蓄えた冷熱を前記利用側熱交換器で冷却に利用することを特徴とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る冷凍サイクルは、圧縮機、熱源側熱交換器、利用側減圧装置、複数の利用側熱交換器を連接してなる冷凍サイクルにおいて、蓄熱材から吸熱して冷媒が蒸発する蓄熱用熱交換器と、前記蓄熱材に放熱して冷媒が凝縮する自然循環用熱交換器とを備え、前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口を前記複数の利用側熱交換器の蒸気側接続口と前記圧縮機の吸入口との間を接続する蒸気配管に接続し、その液側接続口を前記複数の利用側熱交換器の液側接続口と前記熱源側熱交換器の液側接続口との間を接続する液配管に蓄熱用減圧装置を介して接続し、前記自然循環用熱交換器の蒸気側接続口を前記複数の利用側熱交換器の蒸気側接続口と前記圧縮機の吸入口との間を接続する蒸気配管に接続し、その液側接続口を前記複数の利用側熱交換器の液側接続口と前記熱源側熱交換器の液側接続口との間を接続する液配管に開閉弁Uを介して接続し、前記自然循環用熱交換器の蒸気側接続口を液側接続口よりも上方に配設すると共にその液側接続口を前記複数の利用側熱交換器のうち最も高い位置にある利用側熱交換器の液側接続口より上方に設置し、かつ前記蓄熱材を前記蓄熱槽の外部の蓄熱材循環路に循環させ、前記蓄熱槽を収納する蓄熱ユニットの外部の前記蓄熱材循環路に設けられた前記自然循環用熱交換器を循環する冷媒と前記自然循環用熱交換器の熱交換部とを熱交換させ、冷熱蓄熱運転時に前記圧縮機、前記熱源側熱交換器、前記蓄熱用減圧装置、前記蓄熱用熱交換器に冷媒を循環させて前記蓄熱材に冷熱を蓄え、冷媒自然循環冷却運転時に前記自然循環用熱交換器、前記利用側減圧装置、前記複数の利用側熱交換器に冷媒を循環させて前記蓄熱材に蓄えた冷熱を前記複数の利用側熱交換器で冷却に利用すると共に、前記自然循環用熱交換器を循環する冷媒が前記熱交換部で前記蓄熱材循環路を循環する前記蓄熱材に放熱して凝縮するよう構成したことを特徴とするものである。
【0013】
【0014】
また、本発明に係る冷凍サイクルは、冷媒自然循環冷却運転時に、凝縮した液冷媒が熱源側熱交換器の液側接続口へ流れるのを阻止する開閉弁Pを備えたことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明に係る冷凍サイクルは、蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口への接続部と熱源側熱交換器の蒸気側接続口との間の蒸気配管に設置され、圧縮機の吐出側と吸入側の冷媒流路を切換えて利用側熱交換器での冷却と加熱を可能とする流路切換装置と、前記利用側熱交換器の蒸気側接続口と前記流路切換装置との間を接続する蒸気配管と前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口との間に設置された開閉弁Qとを備え、一般加熱運転時に、前記開閉弁Qによって前記圧縮機の吐出口から前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口への冷媒の流れを阻止し、前記圧縮機,前記利用側熱交換器,利用側減圧装置,前記熱源側熱交換器に冷媒を循環させて前記利用側熱交換器で加熱を行うことを特徴とするものである。
【0016】
【0017】
また、本発明に係る冷凍サイクルは、圧縮機、熱源側熱交換器、利用側減圧装置、複数の利用側熱交換器を連接してなる冷凍サイクルにおいて、蓄熱材に放熱して冷媒が凝縮する蓄熱用熱交換器と前記蓄熱材から吸熱して冷媒が蒸発する自然循環用熱交換器とを備え、前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口を前記複数の利用側熱交換器の蒸気側接続口と前記圧縮機の吐出口との間を接続する蒸気配管に接続し、その液側接続口を前記複数の利用側熱交換器の液側接続口と前記熱源側熱交換器の液側接続口との間を接続する液配管に蓄熱用減圧装置を介して接続し、前記自然循環用熱交換器の蒸気側接続口を前記複数の利用側熱交換器の蒸気側接続口と前記圧縮機の吐出口との間を接続する蒸気配管に接続し、その液側接続口を前記利用側熱交換器の液側接続口と前記熱源側熱交換器の液側接続口との間を接続する液配管に開閉弁Uを介して接続し、前記自然循環用熱交換器の蒸気側接続口を液側接続口よりも上方に配設すると共にその液側接続口を前記複数の利用側熱交換器のうち最も下側に配置されている利用側熱交換器の液側接続口より下方に設置し、かつ前記蓄熱材を前記蓄熱槽の外部に設けられた蓄熱材循環路に循環させ、前記蓄熱槽を収納する蓄熱ユニットの外部の前記蓄熱材循環路に設けられた前記自然循環用熱交換器を循環する冷媒と前記自然循環用熱交換器の熱交換部とを熱交換させ、温熱蓄熱運転時に前記圧縮機、前記蓄熱用熱交換器、前記蓄熱用減圧装置、前記熱源側熱交換器に冷媒を循環させて前記蓄熱材に温熱を蓄え、冷媒自然循環加熱運転時に前記自然循環用熱交換器、前記複数の利用側熱交換器、前記利用側減圧装置に冷媒を循環させて前記蓄熱材に蓄えた温熱を前記複数の利用側熱交換器で加熱に利用すると共に、前記自然循環用熱交換器を循環する冷媒が前記熱交換部で前記蓄熱材循環路を循環する前記蓄熱材から吸熱して蒸発するよう構成したことを特徴とするものである。
【0018】
【0019】
また、本発明に係る冷凍サイクルは、冷媒自然循環加熱運転時に、蒸発した蒸気冷媒が前記圧縮機へ流れるのを阻止する開閉弁Tを備えたことを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明に係る冷凍サイクルは、蓄熱用熱交換器の上部接続口への接続部と熱源側熱交換器との間の蒸気配管に設置され、圧縮機の吐出側と吸入側の冷媒流路を切換えて利用側熱交換器での冷却と加熱を可能とする流路切換装置と、前記利用側熱交換器の蒸気側接続口と前記流路切換装置との間を接続する蒸気配管と前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口との間に設置された開閉弁Qとを備え、一般冷却運転時に、前記開閉弁Qによって前記利用側熱交換器から前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口への冷媒の流れを阻止し、前記圧縮機,前記熱源側熱交換器,前記利用側減圧装置,前記利用側熱交換器に冷媒を循環させて前記利用側熱交換器で冷却を行うことを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明に係る冷凍サイクルは、利用側熱交換器の蒸気側接続口と圧縮機の間の蒸気配管と前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口との間と、前記蓄熱用熱交換器の液側接続口への接続部と利用側熱交換器の液側接続口の間の液配管とを接続する過冷却用液配管と、前記過冷却用液配管に設置された開閉弁Rと、前記過冷却用液配管への接続部と前記蓄熱用熱交換器の液側接続口への接続部との間の液配管に設置した開閉弁Sとを備え、冷熱蓄熱運転時に前記圧縮機,前記熱源側熱交換器,前記蓄熱用減圧装置,前記蓄熱用熱交換器に冷媒を循環させて前記蓄熱材に冷熱を蓄え、冷熱過冷却利用冷却運転時に、前記開閉弁Rによって前記過冷却用液配管を連通させると共に前記開閉弁Sによって前記熱源側熱交換器から流出した冷媒を前記蓄熱用熱交換器の液側接続口へ流し、前記圧縮機,熱源側熱交換器、蓄熱用熱交換器,前記過冷却用液配管,利用側減圧装置,利用側熱交換器に冷媒を循環させて前記蓄熱材に蓄えた冷熱を前記利用側熱交換器で冷却に利用することを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明に係る冷凍サイクルにおける蓄熱材は、水または水に凍結温度を低下させる溶質を混合した水溶液であることを特徴とするものである。
【0023】
【0024】
【0025】
また、本発明に係る冷凍サイクルは、冷媒自然循環冷房運転または冷媒自然循環暖房運転で冷媒が循環する蓄熱用熱交換器または自然循環用熱交換器または利用側熱交換器の各冷媒流路に沿った鉛直方向の位置が、蒸気側接続口から液側接続口に至るまでの間で上昇することがないように構成したことを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明に係る冷凍サイクルは、蓄熱用熱交換器または自然循環用熱交換器を通過する一流路当りの冷媒質量流量が、液側に比べ蒸気側の方が小さくなるように前記熱交換器を構成したことを特徴とするものである。
【0027】
【0028】
【0029】
【発明の実施の形態】
参考形態1.
以下、本発明の参考形態1による蓄熱式冷凍サイクルを図1に基づいて説明する。本参考形態では、室内の冷房、暖房を行う空気調和機として蓄熱式冷凍サイクルを利用したものであり、利用側熱交換器で得られた温熱を室内空気の加熱、即ち暖房に利用し、また、利用側熱交換器で得られた冷熱を室内空気の冷却、即ち冷房に利用している。図1は、本参考形態による蓄熱式冷凍サイクルを示す構成図である。
【0030】
図において、1は圧縮機、2は流路切換装置である四方弁、3は熱源側熱交換器、4はアキュムレータ、21は室外送風機であり、これらは室外ユニット101に内蔵されている。四方弁2の第1口は圧縮機1の吐出側と、第2口は熱源側熱交換器3の蒸気側接続口と、第3口はアキュムレータ4を介して圧縮機1の吸入側と、それぞれ接続され、第4口は蒸気配管として室外ユニット101の第1の蒸気側接続口Aを構成している。また、熱源側熱交換器3の他端は液配管として室外ユニット101の第1の液側接続口Bを構成している。
【0031】
99は例えば水などの蓄熱材98を貯留している蓄熱槽、5は蓄熱用減圧装置で、ここでは例えば電子式膨張弁などの全開全閉可能な蓄熱用減圧装置を用い、蓄熱用減圧装置5の開度に応じてこれを流れる冷媒を減圧して通過させる機能を有すると共に、全閉にして蓄熱用減圧装置5の配設されている配管に冷媒を通さない機能と、全開にしてこれを通る冷媒を減圧せずに通過させる機能を備えている。この蓄熱用減圧装置は温度式膨張弁や毛細管などを用いてもよいが、その場合にはバイパス配管や開閉弁などを設けて、運転モードに応じて蓄熱用減圧装置をバイパスしたり、閉止して蓄熱用減圧装置の配設されている配管に冷媒が流れないように構成する。6は蓄熱槽99内に設置された蓄熱用熱交換器、11,12,13および14はそれぞれ第1,第2,第3および第4の開閉弁、31,32は第1,第2の温度検出器であり、これらは蓄熱ユニット102に内蔵されている。81は液配管、82は蒸気配管、83は過冷却用液配管である。液配管81は蓄熱ユニット102内部の冷媒配管であり、第1の液側接続口Bから第2の液側接続口Dとの間を第3の開閉弁(開閉弁S)13を介して接続している。蒸気配管82は蓄熱ユニット102内部の冷媒配管であり、第1の蒸気側接続口Aから第2の蒸気側接続口Cとの間を接続している。
【0032】
蓄熱用熱交換器6の液側接続口は、蓄熱槽99の下部から蓄熱槽外へ出、蓄熱用減圧装置5を介して第1の液側接続口Bと第3の開閉弁(開閉弁S)13との間の液配管81に接続されている。この液配管81との接続部は、熱源側熱交換器3の液側接続口と利用側熱交換器8a,8bの液側接続口の間の液配管に接続されていればよいのであるが、本参考形態では蓄熱槽99を蓄熱ユニット102に収納しているため、第1の液側接続口Bと第2の液側接続口Dの間の液配管81に接続する。
【0033】
一方、蓄熱用熱交換器6の蒸気側接続口は、蓄熱槽99の上部から蓄熱槽外へ出て、第1の開閉弁(開閉弁Q)11を介して蒸気配管82に接続されている。この蒸気配管82との接続部も、四方弁2と利用側熱交換器8a,8bの蒸気側接続口の間の蒸気配管に接続されていればよいのであるが、本参考形態では蓄熱槽99を蓄熱ユニット102に収納しているため、第1の蒸気側接続口Aと第2の蒸気側接続口Cの間の蒸気配管82に接続する。
【0034】
また、過冷却用液配管83は、蓄熱用熱交換器6の蒸気側の端と第1の開閉弁(開閉弁Q)11の間と、第2の液側接続口Dと第3の開閉弁(開閉弁S)13の間の液配管81とを、第2の開閉弁(開閉弁R)12を介して接続している。第4の開閉弁14は蓄熱用減圧装置5をバイパスするように設置され、蓄熱用減圧装置5を全開にする時に第4の開閉弁14も開として、蓄熱用熱交換器6の液側接続口と液配管81間の冷媒流量を多くしている。蓄熱用減圧装置5を全開にするだけで冷媒流量が十分な時には、第4の開閉弁14を設ける必要はない。なお、蓄熱用熱交換器6の液側接続口と液配管81の間の配管を閉止する時には、蓄熱用減圧装置5を全閉にすると共に、第4の開閉弁14も閉とする。
【0035】
7a,7bは第1,第2の利用側減圧装置、8a,8bは第1,第2の利用側熱交換器、22a,22bは第1,第2の利用側送風機であり、これらはそれぞれ第1,第2の室内ユニット103a,103b内に収納されている。第1,第2の利用側熱交換器8a,8bの一端である液側接続口は、第1,第2の利用側減圧装置7a,7bを介して、液延長配管84にそれぞれ接続されている。第1,第2の利用側熱交換器8a,8bの他端である蒸気側接続口は、蒸気延長配管85にそれぞれ接続されている。液延長配管84は、蓄熱ユニット102の第2の液側接続口Dに接続され、蒸気延長配管85は、蓄熱ユニット102の第2の蒸気側接続口Cに接続されている。
【0036】
以上のように構成された本参考形態による蓄熱式冷凍サイクルにおいて、次に、動作を説明する。この蓄熱式冷凍サイクルは、冷熱蓄熱運転,冷房運転,暖房運転の3つの運転モードがあり、さらに、冷房運転には、冷媒自然循環冷房運転,冷熱蓄熱過冷却利用冷房運転,一般冷房運転がある。ここで、蓄熱槽99はその内部に貯溜されている蓄熱材98である水に冷熱を蓄熱し、その冷熱を冷房に利用している。また、後に記述する他の実施の形態では暖房運転にも複数の運転モードがあるが、ここでは通常の暖房運転のみであり、これを一般暖房運転と称する。
【0037】
<冷熱蓄熱運転>
例えば夏季冷房期間に夜間電力を利用するなどして、蓄熱槽99内に冷熱を蓄える運転モードである。冷熱蓄熱運転時は、室外ユニット101内部の四方弁2は第1口と第2口が連通し、第3口と第4口が連通するように設定され、蓄熱ユニット102内部の第1の開閉弁(開閉弁Q)11を開、第2,第3,第4の開閉弁12,13,14を閉とする。室内ユニット103a,103bの内部の第1,第2の利用側減圧装置7a,7bはそれぞれ全閉とする。
【0038】
圧縮機1で圧縮され高温高圧となった冷媒は、四方弁2の第1口から第2口を経て熱源側熱交換器3に流入する。ここで、室外送風機21によって送り込まれる室外空気に放熱して冷媒は凝縮液化する。この凝縮液化した中温高圧の液冷媒は、第1の液側接続口B、液配管81を経て蓄熱用減圧装置5で減圧されて低温低圧の二相冷媒となる。この低圧二相冷媒は、蓄熱用熱交換器6の液側接続口から流入して、蓄熱槽99内に収納された蓄熱材98から吸熱して蒸発する。この低温低圧の蒸気冷媒は第1の開閉弁(開閉弁Q)11、蒸気配管82、第1の蒸気側接続口A、四方弁2の第4口から第3口、およびアキュムレータ4を経て圧縮機1の吸入側に戻る。この時、蓄熱用熱交換器6の表面には蓄熱材98である水が冷却されてできた氷が付着成長して、冷熱を蓄える。
【0039】
この運転における蓄熱槽99では、冷媒は蓄熱用熱交換器6の下部から流入して上方へ流れ、上部から流出する。この時、下部に流入する冷媒は蓄熱用減圧装置5で減圧された二相冷媒であり、上部から流出する冷媒は蓄熱用熱交換器6を通過する間に蒸発した蒸気冷媒である。この現象のため、以下では蓄熱用熱交換器6の下部の流入側を液側と称し、上部の流出側を蒸気側と称する。
【0040】
蓄熱用減圧装置5の開度は、蓄熱用熱交換器6の蒸気側出口に設置されている第1の温度検出器31の温度検出値T31と、蓄熱用熱交換器6の液側入口に設置されている第2の温度検出器32の温度検出値T32の差(T31−T32)とが、あらかじめ設定されている第1の目標値SH1に近づくように制御する。 この第1の目標値SH1は、蓄熱用熱交換器6内での冷媒の圧力損失に伴う温度降下と蓄熱用熱交換器6の蒸気側出口で目標とする冷媒状態によって決めるとよい。
なお、第1の温度検出器31は、図1では蓄熱用熱交換器6の蒸気側接続口と第1の開閉弁(開閉弁Q)11との間に設置されているが、蓄熱用熱交換器6の蒸気側出口から圧縮機1の吸入口までに設置され、この間の配管を流れる冷媒の温度を検知するものであればよい。また、第2の温度検出器32は、蓄熱用減圧装置5の下流側出口から、蓄熱用熱交換器6の液側入口までに設置され、この間の配管を流れる冷媒の温度を検知するものであればよい。第1,第2温度検出器31,32は実際には配管温度を検出し、配管温度から冷媒温度を検知している。
【0041】
第1の目標値SH1は、冷媒の種類に応じて異なる値をあらかじめ設定しており、その設定方法の一例について説明する。
冷媒が、例えば、R22,R134a等のフロン系単一冷媒、R290,R600A等の炭化水素系冷媒、二酸化炭素、アンモニアなどのように、ある圧力下での気液二相状態の流れ場においては、液とガスの流量比率(乾き度)に依らず温度が一意に決まる冷媒の場合や、例えば、R410A等のフロン系擬似共沸冷媒などのように、ある圧力下での気液二相状態の流れ場においては、液とガスの流量比率(乾き度)が大きくなるにつれて温度が微少に上昇するが飽和液と飽和ガスとで温度差が0.1℃前後でほぼ同一と見なせる冷媒の場合は、次のように第1の目標値SH1を決定する。
例えば、蓄熱用熱交換器6の入口から出口までの圧力損失に伴う温度降下を2(deg)、蓄熱用熱交換器6の蒸気側出口での冷媒の過熱度を3(deg)とした時、SH1=3−2=1(deg)を第1の目標値として定める。
【0042】
一方、例えばR407C、R407E等のフロン系非共沸混合冷媒などのように、ある圧力下での気液二相状態の流れ場においては、液とガスの流量比率(乾き度)が大きくなるにつれて温度が上昇し、飽和液と飽和ガスとで温度差が数℃となる冷媒の場合は、この飽和液から飽和ガスまでの温度上昇分Tgr(deg)を考慮に入れて、第1の目標値SH1を決定すべきである。
例えば、蓄熱用熱交換器6の入口から出口までの圧力損失に伴う温度降下が2(deg)、蓄熱用熱交換器6の蒸気側出口での冷媒の過熱度を3(deg)、飽和液から飽和ガスまでの温度上昇分Tgr=5(deg)とした時、SH1=3−2+5=6(deg)を第1の目標値SH1として定める。このように、温度検出値T32の差(T31−T32)とが、上記のようにしてあらかじめ設定した第1の目標値SH1に近づくように、蓄熱用減圧装置5を制御すれば、効率よく蓄熱が行われる。
【0043】
このような冷熱蓄熱運転は、室内ユニット103a,103bで冷房も暖房も必要のない時間帯、例えば夜間などに行われるのであるが、特に、電力料金の安い夜間料金時間帯に運転すると、電力料金を安価にできる。
【0044】
冷房運転には、冷媒自然循環冷房運転、冷熱蓄熱過冷却利用冷房運転および通常の一般冷房運転の3つの運転モードがある。
<冷媒自然循環冷房運転>
この運転モードは、圧縮機1を停止して冷媒の自然循環作用を利用した冷房運転であり、冷熱蓄熱運転で蓄熱槽99に氷として蓄熱した冷熱を冷房に利用するものである。この運転モードでは圧縮機1を停止しており、他の2つの冷房運転に比べて一番消費電力を少なくできる冷房運転である。例えば夏季昼間の13時〜15時などは世の中の多くの人が集中して電力を必要とする時間帯であり、消費電力量がこの時間帯にピークとなりそのピーク値が高くなると、電力の供給等の点で種々の問題が生じてくる。そこで蓄熱槽99内の蓄熱量が十分ある場合に、冷房の電力ピーク時間帯、即ち13時〜15時に消費電力量を節約できる冷媒自然循環冷房運転をすれば、電力ピークカットが必要な時間帯に消費電力量を低減でき、効果的である。
この運転では、第1の開閉弁(開閉弁Q)11は開、第2の開閉弁(開閉弁R)12は閉、第3の開閉弁(開閉弁S)13は開、第4の開閉弁14は開とする。また、蓄熱用減圧装置5は全開とする。
【0045】
第1,第2の利用側熱交換器8a,8bで第1,第2の利用側送風機22a,22bによって送り込まれた室内空気から吸熱して蒸発した蒸気冷媒は、蒸気延長配管85を上昇して第2の蒸気側接続口C、蒸気配管82、第1の開閉弁(開閉弁Q)11を経て蓄熱用熱交換器6に最上部から流入し、ここで、蓄熱槽99内の蓄熱材98に放熱して自らは凝縮液化する。この液冷媒は、蓄熱用熱交換器6の最下部の液側接続口から流出し、重力によって第4の開閉弁14および蓄熱用減圧装置5、液配管81、第3の開閉弁(開閉弁S)13を経て、第2の液側接続口Dから液延長配管84に流入する。液延長配管84に流入した液冷媒は重力によって下方にある第1,第2の利用側減圧装置7a,7bを経て第1,第2の利用側熱交換器8a,8bに流入する。このように、蒸発器として動作する利用側熱交換器8a,8bに送り込まれる室内空気温度と、凝縮器として動作する蓄熱用熱交換器6周囲の蓄熱材98の温度との差、および重力を利用して、冷媒自然循環冷房運転が行われる。この時、第1,第2の利用側送風機22a,22bによって利用側熱交換器8a,8bへ送り込まれた室内空気は、低温低圧の二相冷媒によって冷却されて室内へ吹き出され、室内を冷房する。
【0046】
また、第1の室内ユニット103a内の第1の利用側減圧装置7aの開度は、第1の利用側熱交換器8aの蒸気側出口に設置されている第1の室内温度検出器(図示せず)の温度検出値TG1と、第1の利用側熱交換器8aの液側入口に設置されている第2の室内温度検出器(図示せず)の温度検出値TL1との差、即ち過熱度(TG1−TL1)が、あらかじめ設定されている第1の過熱度目標値SHin1に近づくように制御される。第2の利用側減圧装置7bについても全く同様で、第2の利用側熱交換器8bの蒸気側出口に設置されている第3の室内温度検出器(図示せず)の温度検出値TG2と第2の利用側熱交換器8bの液側入口に設置されている第4の室内温度検出器(図示せず)の温度検出値TL2の差、即ち過熱度(TG2−TL2)が、あらかじめ設定されている第2の過熱度目標値SHin2に近づくように第2の利用側減圧装置7bの開度を制御する。また、第1,第2の過熱度目標値SHin1,SHin2の決定方法は、前述の蓄熱用減圧装置5の開度を制御する際の第1の目標値SH1の決定方法と同様、冷媒の種類によって異なる目標値を用いれば、より効率的に冷房運転を行うことができる。
【0047】
<冷熱蓄熱過冷却利用冷房運転>
この運転モードは、圧縮機1を運転し、かつ蓄熱槽99の冷熱によって、冷媒の過冷却度を大きくして冷房を行う運転である。例えば、蓄熱槽99内の蓄熱量が十分ある場合で、電力ピークカットが必要ない時間帯である、夏季午前中や夕方などに運転するモードである。第1の開閉弁(開閉弁Q)11は閉、第2の開閉弁(開閉弁R)12は開、第3の開閉弁(開閉弁S)13は閉、第4の開閉弁14は開とする。また、蓄熱用減圧装置5は全開とする。
【0048】
圧縮機1から吐出された高温高圧の蒸気冷媒は、熱源側熱交換器3で凝縮液化され、第1の液側接続口B、第4の開閉弁14および蓄熱用減圧装置5を経て蓄熱用熱交換器6に最下部の液側接続口から流入する。ここで、冷媒は、蓄熱用熱交換器6の表面に付着している蓄熱材98の氷によって冷却され、低温高圧の過冷却液冷媒となって過冷却用液配管83、第2の開閉弁(開閉弁R)12を経て第2の液側接続口Dから流出する。この低温高圧の過冷却液冷媒は、第1,第2の室内ユニット103a,103b内へ流入し、第1,第2の利用側減圧装置7a,7bで減圧されて低圧低温の二相冷媒となる。この二相冷媒は、それぞれ第1,第2の利用側熱交換器8a,8bで、第1,第2の利用側送風機22a,22bによって送り込まれた室内空気から吸熱し、自らは蒸発する。そして、低温低圧の蒸気冷媒は、蒸気延長配管85、第2の蒸気側接続口C、蒸気配管82、第1の蒸気側接続口A、四方弁2の第4口から第3口を経て、アキュムレータ4から圧縮機1の吸入側へ戻る。
この時、第1,第2の利用側送風機22a,22bによって利用側熱交換器8a,8bへ送り込まれた室内空気は、低温低圧の二相冷媒によって冷却されて室内へ吹き出され、室内を冷房する。
【0049】
この運転における蓄熱槽99の近傍では、冷媒は蓄熱用熱交換器6の下部から流入して上方へ流れ、上部から流出する。この時、下部に流入する冷媒は熱源側熱交換器3によって凝縮した液冷媒であり、上部から流出する冷媒は蓄熱用熱交換器6を通過する間にさらに蓄熱材98によって冷却された過冷却液冷媒である。この冷熱蓄熱過冷却利用冷房運転での冷媒の循環路を構成する際、第2の開閉弁(開閉弁R)は冷熱過冷却利用冷却運転時に、過冷却用液配管83を連通させ、他の運転時には過冷却用液配管83を閉止している。また第3の開閉弁(開閉弁S)13は冷熱過冷却利用冷却運転時に、熱源側熱交換器3の液側接続口から流出した冷媒を蓄熱用熱交換器6の液側接続口へ流入させ、熱源側熱交換器3の液側接続口から過冷却用液配管83の出口側接続部への冷媒の流れを阻止している。この第2の開閉弁(開閉弁R)12と第3の開閉弁(開閉弁S)13の代わりに、液配管81と過冷却用液配管83との接続部に、例えば三方弁を設けて、過冷却用液配管83と第2の液側接続口Dとを連通する流路と、第1の液側接続口Bと第2の液側接続口Dとを連通する流路とで切換えるようにしてもよい。
【0050】
なお、過冷却用液配管83の出口側の接続部は、液配管81の蓄熱用熱交換器6の液側接続口への接続部と、液延長配管84の利用側熱交換器の液側接続口との間の液配管に接続されていればよく、本参考形態では過冷却用液配管83を蓄熱ユニット102に収納しているために、液配管81の蓄熱用熱交換器6の液側接続口への接続部と、第2の液側接続口Dとの間の液配管81に接続している。
【0051】
第1の利用側減圧装置7aの開度は、冷媒自然循環冷房運転時と同様、第1の利用側熱交換器8aの蒸気側出口に設置されている第1の室内温度検知器(図示せず)の温度検出値(TG1)と、第1の利用側熱交換器8aの液側出口に設置されている第2の室内温度検知器(図示せず)の温度検出値(TL1)との差、即ち過熱度(TG1−TL1)を、あらかじめ設定されている第1の過熱度目標値SHin1に近づけるように制御する。第2の利用側減圧装置7bについても全く同様である。また、過熱度目標値SHin1,SHin2の設定方法も前記と同様であり、冷媒の種類に応じて異なる目標値を設定すると、効率のよい冷房運転を行うことができる。
【0052】
この冷房運転において、冷媒は、蓄熱用熱交換器6で冷却されて低温高圧の過冷却液冷媒となる。このため、第1,第2の利用側熱交換器8a,8bでのエンタルピー差が大きくとれるので冷媒循環量を少なくできる。従って、圧縮機1の回転数を少なくできるので、省電力化を図ることができる。
【0053】
<一般冷房運転>
これは通常の冷房運転であり、蓄熱槽99には冷媒を循環させず、圧縮機1を動作させて冷房する冷房運転のことである。例えば蓄熱槽99内に蓄熱した冷熱を使いきってしまった場合や蓄熱した冷熱の消費量を抑制したい場合に使用される。この場合、四方弁2の設定は冷熱蓄熱運転および冷熱蓄熱過冷却利用冷房運転と同様であり、第1の開閉弁(開閉弁Q)11は閉、第2の開閉弁(開閉弁R)12は閉、第3の開閉弁(開閉弁S)13は開、第4の開閉弁14は閉、蓄熱用減圧装置5は全閉とする。
【0054】
圧縮機1から吐出された高温高圧の蒸気冷媒は、熱源側熱交換器3で凝縮液化され、第1の液側接続口Bから液配管81、第3の開閉弁(開閉弁S)13、第2の液側接続口D、液延長配管84を経て第1,第2の利用側減圧装置7a,7bに流入し、低温低圧の二相冷媒となる。この二相冷媒は、それぞれ第1,第2の利用側熱交換器8a,8bで、第1,第2の利用側送風機22a,22bによって送り込まれた室内空気から吸熱し、自らは蒸発する。この低温低圧の蒸気冷媒は、蒸気延長配管85、第2の蒸気側接続口C、蒸気配管82、第1の蒸気側接続口A、四方弁2の第4口から第3口を経て、アキュムレータ4から圧縮機1の吸入側へ戻る。この時、第1,第2の利用側送風機22a,22bによって利用側熱交換器8a,8bへ送り込まれた室内空気は、低温低圧の二相冷媒によって冷却されて室内へ吹き出され、室内を冷房する。
【0055】
このとき、第1,第2の利用側減圧装置7a,7bの開度を、冷媒自然循環冷房運転および冷熱蓄熱過冷却利用冷房運転と同様に、冷媒の種類に応じた目標値を設定して過熱度によって制御すると、効率のよい冷房運転を行うことができる。
【0056】
<一般暖房運転>
参考形態では、通常の圧縮機1の駆動力を利用した一般暖房運転を行なう。この場合、室外ユニット101内部の四方弁2は第1口と第4口が連通し、第2口と第3口が連通するように切換えると共に、蓄熱ユニット102内部の第1,第2,第4の開閉弁11,12,14をそれぞれ閉とし、第3の開閉弁(開閉弁S)13を開とする。蓄熱用減圧装置5は全閉とする。四方弁2を切換えることによって、冷凍サイクル内の冷媒の循環方向を、冷熱蓄熱運転や冷房運転の場合と逆方向に循環させる。
【0057】
圧縮機1で圧縮され高温高圧となった冷媒は、四方弁2の第1口から第4口、第1の蒸気側接続口A、蒸気配管82、第2の蒸気側接続口C、蒸気延長配管85を経て第1,第2の利用側熱交換器8a,8bに流入する。ここで、この高温高圧の冷媒は、第1,第2の利用側送風機22a,22bによって送り込まれる室内空気に放熱して室内を暖房すると共に自らは凝縮液化する。この凝縮液化した中温高圧の液冷媒は第1,第2の利用側減圧装置7a,7bで減圧され、低温低圧の気液二相冷媒となって液延長配管84、第2の液側接続口D、第3の開閉弁(開閉弁S)13、第1の液側接続口Bを経て熱源側熱交換器3に流入する。ここで、低温低圧の気液二相冷媒は、室外送風機21によって送り込まれる外気から吸熱するとともに自らは蒸発する。この低温低圧の蒸気冷媒は、四方弁2の第2口から第3口、およびアキュムレータ4を経て圧縮機1の吸入側に戻る。
【0058】
第1の室内ユニット103a内の第1の利用側減圧装置7aの開度は、圧縮機1の吐出側配管中に設置された圧力検出器(図示せず)で検出される高圧圧力に対する飽和温度TCと第1の利用側熱交換器8aの液側に設置されている第2の室内温度検出器(図示せず)の温度検出値TL1の差、即ち過冷却度(TC−TL1)が、あらかじめ設定されている過冷却度目標値SCin1に近づくように制御する。この時、圧縮機1の吐出側の圧力を検出する圧力検出器は、ここで図示していないが、圧縮機1の吐出口から第1の利用側減圧装置7aの上流側入口までに設けられ、この間の冷媒流路を流れる冷媒の圧力を検出するものである。 第2の利用側減圧装置7bについても全く同様で、圧縮機1の吐出側圧力の検出値に対する飽和温度TCと第2の利用側熱交換器8bの液側に設置されている第2の室内温度検出器(図示せず)の温度検出値TL2の差、即ち過冷却度(TC−TL2)を計測する。この過冷却度があらかじめ設定されている過冷却度目標値SCin2に近づくように第2の利用側減圧装置7bを制御する。この時検出する圧縮機1の吐出側の圧力も、上記と同様であり、圧縮機1の吐出口から第2の利用側減圧装置7bの上流側入口までに圧力検出器を設け、この間の冷媒流路を流れる冷媒の圧力を検出する。第1,第2の利用側減圧装置7a,7bの開度制御用の圧力検出器は、それぞれ設けてもよいし、場合によっては1つで兼ねてもよい。
【0059】
利用側熱交換器8a,8bの過冷却度目標値SCin1,SCin2は、利用側熱交換器8a,8bが十分に能力を出すように設定されることが望ましい。例えばフロン系単一冷媒やフロン系擬似共沸冷媒などのように、液とガスの流量比率(乾き度)に対して飽和ガスと飽和液との温度差が一意、またはほぼ同一と見なせる場合には、10〜15(deg)程度に設定するとよい。また、フロン系非共沸混合冷媒などのように、液とガスの流量比率(乾き度)に対して飽和ガスと飽和液との温度差が数℃となる冷媒の場合で、飽和ガスの温度を目標値とした場合には、飽和液から飽和ガスまでの温度上昇分Tgr(deg)を考慮に入れて15〜20(deg)程度に設定する。
なお、フロン系非共沸混合冷媒などを用いた場合でも、循環中の冷媒の組成を検出してその組成に対する飽和温度を検出する場合には、単一冷媒と同一の目標値を設定する。また、利用側熱交換器8a,8bの中央あたりに温度検出器を設け、利用側熱交換器8a,8bの出口と中央との温度差を検出する場合にも、飽和ガスと飽和液との温度差はほぼ同一と見なすことができるので、冷媒の種類によらず一定の目標値を設定すればよい。
【0060】
上記の圧縮機1を用いた一般冷房運転と一般暖房運転において、第1の開閉弁(開閉弁Q)11は、蒸気配管82を流れている蒸気冷媒が蓄熱用熱交換器6の蒸気側接続口へ流入するのを阻止している。また、冷熱蓄熱過冷却利用冷房運転では、第1の開閉弁(開閉弁Q)11は、蓄熱用熱交換器6の蒸気側接続口から流出する過冷却液冷媒が蒸気配管82に流入するのを阻止している。
【0061】
上記では蓄熱式冷凍サイクルの各運転モードについて説明したが、次に各運転モードを用いて一日の運転手順の一例を説明する。これは、例えば夏季昼間に冷房を行う場合の13時〜15時を中心に電力ピークカットする場合の一例である。図2は、時間に対する蓄熱槽99内の冷熱の蓄熱量であり、あらかじめ利用側負荷の一日の変化パターンを推定し、これに対して理想的な消費パターンを設定したものである。電力ピークカットが必要な13時〜15時に冷媒自然循環冷房運転を行うので、この時間帯に蓄熱量は多く消費され、その前後には冷媒自然循環冷房運転で残ると推定されるまたは残った冷熱を使用して、冷媒自然循環冷房運転,冷熱蓄熱利用過冷却冷房運転,一般冷房運転のいずれかを行う。8時から18時以外で冷房運転の要求があった場合には原則として一般冷房運転を行う。
【0062】
図3は、図2に示した蓄熱量の消費パターンに従うように蓄熱式冷凍サイクルを運転する際の、時間に対する運転モード、第1,第2,第3,第4の開閉弁11,12,13,14、四方弁2、蓄熱用減圧装置5、利用側減圧装置7a,7bの動作、運転モード切換時の検出データを説明する説明図である。冷房運転であるため四方弁2は第1口−第2口を接続し、第3口−第4口を接続している。また、第1,第2,第3,第4開閉弁11,12,13,14、四方弁2、蓄熱用減圧装置5、利用側減圧装置7a,7bの動作は、前記の各運転モードの説明ですでに述べたので、ここでは省略する。
この運転制御は蓄熱槽99内の冷熱の蓄熱量を対象に制御するので、運転モードの切換における検出データは、蓄熱量を検出している。具体的には蓄熱槽99内の水位を計測する水位計を蓄熱槽99内に設置する。氷として蓄熱されるにつれて体積が増して水位が上昇し、冷熱が消費されて解氷されるにつれて体積が減って水位が下降することで蓄熱量を検出できる。
【0063】
冷房要求がなく電力料金の安い夜間の22時に、冷熱蓄熱運転を行う。水位計によって検出した水位から満蓄を検出して、満蓄になった場合に冷熱蓄熱運転を終了する。
8時〜13時までに冷房要求があった場合は、水位から検出される蓄熱量が図2の蓄熱量消費パターンの消費量に追随するように、冷熱蓄熱過冷却利用冷房運転または一般冷房運転を行う。
13時〜15時には、冷媒自然循環冷房運転を行い、消費電力量の削減を図る。推定した消費パターンよりも利用側負荷が異常に大きい場合には冷熱の消費量が多くなりすぎることもあり、これを検出して蓄熱量が無くなった場合には、一般冷房運転に切換えることも必要となる。
15時以降には、残っている蓄熱量によって、冷媒自然循環運転、冷熱蓄熱過冷却利用冷房運転、一般冷房運転のいずれかを行う。残っている蓄熱量が多い場合には冷媒自然循環運転を優先的に行うと、消費電力量の削減を図ることができる。
【0064】
以上のように、本参考形態では夜間などの冷房や暖房の必要のないときに蓄熱した冷熱を、昼間の利用側負荷の大きな時間帯に冷媒の自然循環作用によって利用し、電力ピークカットを実現することができる。
ところで、各運転モードの中でも特に冷熱蓄熱運転および冷媒自然循環冷房運転を円滑に効率よく運転することは重要な課題であるので、以下にこのための蓄熱槽99、蓄熱用熱交換器6、および周辺の配管取り回しの構造について説明する。図4は蓄熱用熱交換器6を示す斜視図であり、蓄熱槽99を一部切欠いて示している。
参考形態の冷媒自然循環冷房運転では、重力と温度差による冷媒の自然循環作用を利用しており、利用側熱交換器8a,8bで蒸発した蒸気冷媒は、蓄熱槽99の上部の蒸気側入口から蓄熱用熱交換器6に流入し、下部の液側出口から流出する。この間の蓄熱用熱交換器6は、図4(a)に示すように例えば横配管で、冷媒流路に沿った鉛直方向の位置が、蒸気側入口から液側出口に至るまでの間で上昇することがないように構成している。蒸気冷媒は、この配管の上部から流入し、蓄熱槽99内の蓄熱材98である氷へ放熱しながら凝縮液化するとともに蓄熱用熱交換器6内を徐々に下方に流下する。この間、冷媒は蒸気状態から徐々に液の比率が増加し、蓄熱用熱交換器6の下方では完全に液状態になり、蓄熱用熱交換器6の出口では、蓄熱材98である氷によってさらに冷却されて過冷却液状態になる。
【0065】
この過冷却液冷媒が連続して循環する条件は、過冷却液冷媒の液面高さで決まる利用側熱交換器8a,8bの液側入口における圧力が、第1,第2の利用側熱交換器8a,8bで蒸発した冷媒蒸気の蒸発圧力よりも高いことである。また、自然循環による冷媒循環量は、過冷却液冷媒の液面と利用側熱交換器8a,8bの液側入口における重力による圧力差と、蒸気延長配管85、蒸気配管82、第1の開閉弁(開閉弁Q)11、蓄熱用熱交換器6、第4の開閉弁14および蓄熱用減圧装置5、第3の開閉弁(開閉弁S)13、液延長配管84、利用側減圧装置7a,7b、利用側熱交換器8a,8bを通って冷媒回路を一巡した冷媒の圧力損失とのバランスで決まる。
【0066】
即ち、利用側熱交換器8a,8bに送り込まれる室内空気温度と蓄熱用熱交換器6周囲の蓄熱材98の温度との差が大きくなれば自然循環による冷媒循環量は増加し、逆に、これらの温度差が小さくなれば自然循環による冷媒循環量は減少する。さらに、蓄熱用熱交換器6の下部位置は利用側熱交換器8a、8bより高ければ高いほどよく、望ましくは1m以上高いとよい。また、蓄熱用熱交換器6の位置を高くするにしたがって冷媒自然循環冷房運転に必要な冷媒充填量も増加する。さらに蓄熱用熱交換器6の位置を高くすると、これにつれて冷媒循環量が増加して冷房能力も増加するが、蓄熱用熱交換器6での凝縮温度と蓄熱材98の温度の差と、利用側熱交換器8a,8bでの蒸発温度と室内空気温度との差と、によって決まる凝縮圧力と蒸発圧力との差に相当する液冷媒の高さ以上はいくら高くても冷房能力はほとんど変わらない。
【0067】
蓄熱用熱交換器6は、蒸気側接続口よりも位置的に高い部分がなく液側接続口が蒸気側接続口より低ければよい。図4(a)に示すような横配管だけでなく、図4(b)に示すような縦配管でも、また図4(c)に示すような螺旋状配管でもよい。また、図4(a)の横配管では、配管の曲がり部分で流路が180度曲がって逆方向に向かって流れる構成であるが、この配管の曲がり部分の角度は180度以下であってもよい。さらに、螺旋状配管と横配管との組み合わせでもよい。厳密には、蓄熱用熱交換器6の冷媒流路において、その鉛直方向の位置が、上部接続口から下部接続口に至るまでの間で上昇することがないように構成すれば、重力を利用した冷媒自然循環冷房運転が円滑に行なわれる。このため、圧縮機1を停止した冷房運転が広い運転範囲で可能となり、電力のピークカットが広い運転範囲でできることになる。
【0068】
また、蓄熱用熱交換器6では、蒸発器として利用される冷熱蓄熱運転時は、蓄熱用減圧装置5で減圧された低圧二相冷媒が下方から流入して蒸発した蒸気冷媒が上方から流出し、凝縮器として利用される冷媒自然循環冷房運転時は、利用側熱交換器8a,8bで蒸発した蒸気冷媒が上方から流入して凝縮液化した液冷媒が下方から流出する、というように、冷媒の流れの向きが冷熱蓄熱運転時と冷媒自然循環冷房運転時とで逆になっている。このように、従来装置とは異なり、蓄熱用熱交換器6の配管は、冷熱蓄熱運転時、冷媒自然循環冷房運転時ともに上部が蒸気側、下部が液側となっているので、蓄熱用熱交換器6の一流路当りに通過する冷媒の質量流量が液側に比べ蒸気側の方が小さくなるように構成することができる。従来装置では、冷熱蓄熱運転時に液側であった配管から冷媒自然循環冷房運転時に蒸気冷媒が流入すると、ここでの圧力損失が大きくなって冷凍サイクル全体の運転効率が低下してしまう。これに対し、本参考形態では、蓄熱用熱交換器6全体での冷媒の圧力損失を小さくすることができ、冷熱蓄熱運転時,冷媒自然循環冷房運転時とも効率のよい蓄熱式冷凍サイクルを得ることができる。
【0069】
蓄熱用熱交換器6の蒸気側を通過する一流路当りの冷媒質量流量を液側に比べて小さくする方法としては、通常実施されるように、蒸気側接続口(上方)の配管径を液側接続口(下方)の配管径より大きくすることに加え、図5(a)に示すように、蓄熱用熱交換器6を構成する各配管の管径を液側から蒸気側に至る途中で段階的または連続的に大きくするか、または、図5(b)に示すように、同一配管径であっても液側から蒸気側に至る途中の適当な個所で配管を分岐させる構成などが考えられる。また、図5(a)と図5(b)とを組み合わせたような構成としてもよい。
【0070】
また冷媒自然循環運転において、蓄熱槽99では、最上部から蓄熱用熱交換器6に流入した蒸気冷媒によって蓄熱材98は加熱されるので、蓄熱用熱交換器6の管外表面に付着した氷が熱交換器表面側から融解する。この時、融解初期の管外熱伝達率は、氷が融解してできた水の熱伝導率でほとんど決まってしまうため冷媒側に比べ極めて小さい。ところが、利用側熱交換器8a,8bで十分な冷却能力を得るためには、蓄熱用熱交換器6の管外熱伝達率を十分に大きく取らなくてはならない。そこで、図6(a)に示すように蓄熱用熱交換器6の外周部にフィンをつけて管外伝熱面積を増加させたり、蓄熱材98である水の中に、例えば銅やアルミニウムや金などの金属屑を浸漬させると、見かけ上の管外熱伝導率を増加できるので、融解初期でも利用側熱交換器8a,8bで十分な冷却能力を得ることができる。
【0071】
さらに、蓄熱用熱交換器6は、冷熱蓄熱運転時と、冷媒自然循環冷房運転と冷熱蓄熱過冷却利用冷房運転との冷熱蓄熱利用運転時ともに冷媒が流れる配管と、冷熱蓄熱利用運転時にのみ冷媒が流れる配管と、から構成されていてもよい。このように構成した蓄熱用熱交換器6の縦断面図を図6(b)に示す。図中、Aは冷熱蓄熱運転時および冷熱蓄熱利用運転時に冷媒が流れる配管を示し、Bは冷熱蓄熱利用運転時に冷媒が流れる配管を示している。このように配管を構成すれば、冷熱蓄熱運転ではAの配管の周囲に氷が生成され、冷熱蓄熱利用運転ではAとBの配管の周囲で冷熱と熱交換が行われる。特に冷媒自然循環冷房運転時に、冷媒が凝縮液化する蓄熱用熱交換器6の伝熱面積が増加するので、蓄熱材98との温度差が小さくても運転することができることになり、電力ピークカットが可能な冷媒自然循環冷房運転の運転範囲が拡大する。
【0072】
さらにまた、蓄熱用熱交換器6は、冷熱蓄熱運転時にのみ冷媒が流れる配管と、冷媒自然循環冷房運転時にのみ冷媒が流れる配管とに、分離されて構成されていてもよい。即ち、蓄熱用熱交換器6とは別に自然循環用熱交換器(図示せず)を蓄熱槽99内に設け、自然循環用熱交換器の上部の蒸気側接続口と蒸気配管82、下部の液側接続口と液配管81を接続し、自然循環用熱交換器の液側接続口を利用側熱交換器8a,8bより上方に設置する。そして、冷熱蓄熱運転では蓄熱用熱交換器6に冷媒を循環し、冷媒自然循環冷房運転では自然循環用熱交換器冷媒を循環させるように構成する。
このようにすれば、冷熱蓄熱運転と冷媒自然循環冷房運転と、それぞれに性能を最高に引き出すように蓄熱用熱交換器6と自然循環用熱交換器を設計できるので、冷熱蓄熱運転と、電力ピークカットが可能な冷媒自然循環冷房運転ともに効率よく運転でき、消費電力量を最小に抑えることができる。
【0073】
また、蓄熱用熱交換器6は、図6(b)とは逆に、冷熱蓄熱運転時と冷媒自然循環冷房運転時ともに冷媒が流れる配管と、冷熱蓄熱運転時にのみ冷媒が流れる配管と、から構成されていてもよい。このようにすれば、特に冷熱蓄熱運転時に、冷媒が蒸発する蓄熱用熱交換器の伝熱面積が増加して蒸発温度が上昇するので、夜間冷熱蓄熱運転時の大幅な効率向上が可能となる。
【0074】
利用側熱交換器8a,8bは通常のプレートフィン付き熱交換器であるが、その配管は蓄熱用熱交換器6と同様に横配管である方が望ましい。即ち、液冷媒が鉛直方向に上昇する部分はなるべくない方がよい。また、仮に液延長配管84、利用側熱交換器8a,8bなどに一部立ち上がり部分があっても、その最上部は蓄熱用熱交換器6の下部より下方でなければならない。
【0075】
以上述べたように、本参考形態によれば、蓄熱用熱交換器6の上部の蒸気側接続口と蒸気配管82、下部の液側接続口と液配管81を蓄熱用減圧装置5を介して接続し、蓄熱用熱交換器6を利用側熱交換器8a,8bより上方に設置し、冷媒自然循環冷房運転時に重力による冷媒の自然循環作用で室内の冷房を可能にしている。このように、通常の冷凍サイクルの構成に大幅な変更を加える構成ではないため、電力のピークカットが低価格で実現できるという効果がある。また、既設の氷蓄熱式冷凍サイクルにも後づけで電力のピークカット機能を付加することができるという効果もある。
【0076】
また、従来装置では、利用側熱交換器では冷房運転しかできなかったが、本参考形態によれば流路切換装置2によって冷媒の循環路を切換えるように構成しており、暖房運転も可能であるという効果がある。
【0077】
参考形態2.
参考形態1では、重力による冷媒自然循環冷房運転において、蓄熱用熱交換器6で凝縮液化して過冷却された液冷媒が、第1の液側接続口Bを経て室外ユニット101に流入してくる可能性があり、そのような場合は、その分余計に冷媒を充填しなければならない。そこで、本参考形態では、図7に示すように、蓄熱ユニット102内の液配管81中、蓄熱用減圧装置5の接続部と第1の液側接続口Bと間に第5の開閉弁(開閉弁P)15を設置して、冷媒充填量を削減できるように構成している。なお、図7において、図1と同一符号は同一または相当部分を示す。
【0078】
第5の開閉弁(開閉弁P)15は、冷熱蓄熱運転、冷熱蓄熱過冷却利用冷房運転、一般冷房運転、一般暖房運転には開とするが、重力による冷媒自然循環冷房運転では閉とする。このようにすることにより、冷媒自然循環冷房運転時に、室外ユニット101が設置された外気温度が低い場合や熱源側熱交換器3が蓄熱用熱交換器6より下方にある場合でも、蓄熱用熱交換器6で凝縮液化した冷媒が室外ユニット101に流入することがなくなる。このため、冷媒充填量を比較的少なくすることができ、電力ピークカットが可能な蓄熱式冷凍サイクルをより安価に得ることができ、また、より安定的に運用することができる。
【0079】
なお、この第5の開閉弁(開閉弁P)15は、上記のように、冷媒自然循環冷房運転時に蓄熱用熱交換器6で凝縮液化した液冷媒の一部が、利用側減圧装置7a,7bへ流れずに熱源側熱交換器3の方へ流れるのを阻止するものである。このため、第5の開閉弁(開閉弁P)15は、蓄熱用減圧装置5の接続部と第1の液側接続口Bと間で、蓄熱用減圧装置5の接続部のより近くに設けられている方が、この配管内への余分な冷媒量を少なくでき効果的であるが、少なくとも蓄熱用減圧装置5の接続部と熱源側熱交換器3の液側接続口との間の液配管に設けられていれば、ある程度冷媒充填量を削減できる。
【0080】
また、第3の開閉弁13と第5の開閉弁15の代わりに、液配管81の蓄熱用熱交換器6の液側接続口への接続部に、三方弁を設けても、同様の機能を発揮する。
【0081】
参考形態3.
参考形態1,2では、蓄熱槽99の蓄熱材98に冷熱を蓄熱し、この蓄熱した冷熱を冷房運転時に冷媒自然循環作用によって利用し、電力ピークカットを行なって消費電力量の削減を実現した。本参考形態では、蓄熱槽99の蓄熱材98に温熱も蓄熱し、この蓄熱した温熱を暖房運転時に冷媒自然循環作用によって利用し、電力ピークカットを実現できる蓄熱式冷凍サイクルについて説明する。本参考形態による蓄熱式冷凍サイクルでは、冷熱蓄熱運転、冷房運転として冷熱過冷却利用冷房運転,一般冷房運転、暖房運転として通常の一般暖房運転,冷媒自然循環暖房運転、温熱蓄熱運転の運転モードがある。
【0082】
図8に示すように、本参考形態では、参考形態1,2とは逆に、蓄熱ユニット102を下方に、室内ユニット103a,103bを上方に設置する。さらに、蓄熱用熱交換器6の液側接続口の位置を、最も低位置にある利用側熱交換器8a,8bの最下部の位置より低くなるように、望ましくは1m以上低くなるように設置する。
蓄熱ユニット102内の液配管81において、蓄熱用減圧装置5の接続部と第1の液側接続口Bと間に第5の開閉弁(開閉弁P)15を設置する。また、蓄熱ユニット102内の蒸気配管82において、第1の開閉弁(開閉弁Q)11の接続部と第1の蒸気側接続口Aと間には、第6の開閉弁(開閉弁T)16を設置する。さらに、蓄熱ユニット102内の蒸気配管82において、第1の開閉弁(開閉弁Q)11の接続部と第2の蒸気側接続口Cと間には、第7の開閉弁17を設置する。なお、図8において、図1と同一符号は同一または相当部分を示す。
【0083】
つぎに動作について説明する。
<冷熱蓄熱運転>
蓄熱槽99内に冷熱を蓄える運転である。第1の開閉弁(開閉弁Q)11、第5の開閉弁(開閉弁P)15、第6の開閉弁(開閉弁T)16をそれぞれ開、第7の開閉弁17を閉とする。他の動作は参考形態1と同一であり、熱源側熱交換器3を凝縮器、蓄熱用熱交換器6を蒸発器として蓄熱材98に冷熱を蓄熱する。ここでは詳しい説明は割愛する。
【0084】
<冷熱過冷却利用冷房運転>
圧縮機1を動作させ、熱源側熱交換器3を凝縮器、第1,第2の利用側熱交換器8a,8bを蒸発器とし、室内ユニット103a,103bで室内の冷房を行う。この運転では、第5の開閉弁(開閉弁P)15、第6の開閉弁(開閉弁T)16、第7の開閉弁17をそれぞれ開とする。これ以外の動作は参考形態1と同一であるので説明を割愛する。
【0085】
<一般冷房運転>
圧縮機1を動作させて熱源側熱交換器3を凝縮器、第1,第2の利用側熱交換器8a,8bを蒸発器とし、室内ユニット103a,103bで室内の冷房を行う。この運転では、第5の開閉弁(開閉弁P)15、第6の開閉弁(開閉弁T)16、第7の開閉弁17をそれぞれ開とする。これ以外の動作は参考形態1と同一であるので説明を割愛する。
【0086】
<一般暖房運転>
通常の圧縮機1を利用した一般暖房運転は、四方弁2を切換えて第1口と第4口を連通させ、第2口と第3口を連通させ、5の開閉弁(開閉弁P)15、第6の開閉弁(開閉弁T)16、第7の開閉弁17をそれぞれ開とする。これ以外の動作は参考形態1と同一であるので説明を割愛する。
【0087】
<温熱蓄熱運転>
主に夜間電力を利用して蓄熱槽99内に温熱を蓄える運転モードである。蓄熱ユニット102内部の第1,第5,第6の開閉弁11,15,16をそれぞれ開、第2,第3,第4,第7の開閉弁12,13,14,17をそれぞれ閉とする。また、室外ユニット101内部の四方弁2は第1口と第4口を連通させ、第2口と第3口を連通させる。
【0088】
圧縮機1で圧縮され高温高圧となった蒸気冷媒は、四方弁2の第1口から第4口、第1の蒸気側接続口A、第6の開閉弁(開閉弁T)16、第1の開閉弁(開閉弁Q)11を経て蓄熱用熱交換器6に流入する。ここで、この高温高圧の冷媒は、蓄熱槽99内の蓄熱材98に放熱して蓄熱槽99内に温熱を蓄えると共に自らは凝縮液化する。この凝縮液化した中温高圧の液冷媒は蓄熱用減圧装置5で減圧され、低温低圧の気液二相冷媒となって第5の開閉弁(開閉弁P)15、第1の液側接続口Bを経て熱源側熱交換器3に流入する。ここで、低温低圧の気液二相冷媒は、室外送風機21によって送り込まれる外気から吸熱するとともに自らは蒸発する。この低温低圧の蒸気冷媒は、四方弁2の第2口から第3口、およびアキュムレータ4を経て圧縮機1の吸入側に戻る。
【0089】
参考形態では、蓄熱槽99に貯溜した蓄熱材98は水であり、冷熱蓄熱運転の場合には、水→氷に相変化させてその潜熱を利用して0℃の冷熱を蓄熱している。一方、温熱蓄熱運転の場合には、水→温水に温度上昇させてその顕熱を利用して通常45℃程度までの温熱を蓄熱している。
なお、この運転で第7の開閉弁17は、圧縮機1で圧縮され高温高圧となった蒸気冷媒の一部が、蒸気配管82を通って利用側熱交換器8a,8bの蒸気側接続口の方へ流れるのを阻止するものである。このため、第7の開閉弁17は、蒸気配管82における第1の開閉弁(開閉弁Q)11の接続部と第2の蒸気側接続口Cとの間で、第1の開閉弁(開閉弁Q)11の接続部のより近くに設けられている方が、この配管内への余分な冷媒量を少なくでき効果的であるが、少なくとも第1の開閉弁(開閉弁Q)11の接続部と利用側熱交換器8a,8bとの蒸気側接続口との間の蒸気配管に設けられていれば、ある程度冷媒充填量を削減できる。
【0090】
この運転でも、蓄熱用減圧装置5の開度を制御しているのであるが、その制御方法は、参考形態1における一般暖房運転時の利用側減圧装置7a,7bの開度を制御する方法と同様で、蓄熱用熱交換器6の液側出口での冷媒の過冷却度が、目標とする過冷却度になるように制御するとよい。即ち、圧縮機1の吐出側の圧力の検出値に対する飽和温度TCと蓄熱用熱交換器6の液側に設置されている第2の温度検出器32の温度検出値T32との差、即ち過冷却度(TC−T32)を計測し、この過冷却度があらかじめ設定されている過冷却度目標値に近づくように蓄熱用減圧装置5を制御する。この過冷却度目標値は、冷媒の種類によって異なる値を用いれば、より効率的に温熱蓄熱運転を行なうことができる。この時、圧縮機1の吐出側の圧力を検出する圧力検出器は、ここでは図示していないが、圧縮機1の吐出口から蓄熱用減圧装置5の上流側入口までに設けられ、この間の冷媒流路を流れる冷媒の圧力を検出するものである。
【0091】
<冷媒自然循環暖房運転>
温熱蓄熱運転で蓄えた温熱を利用して室内を暖房する運転モードであり、圧縮機1を停止して冷媒の自然循環作用を利用する。この運転モードは、蓄熱槽99内の蓄熱量が十分ある場合で、例えば冬季夕方の利用負荷の多い時間帯である16時〜18時などの電力ピークカットの要求が高い時間帯を中心に運転する。
蓄熱ユニット102内部の第2,第5,第6の開閉弁12,15,16をそれぞれ閉とし、第1,第3,第4,第7の開閉弁11,13,14,17をそれぞれ開とし、蓄熱用減圧装置5は全開とする。
第1,第2の利用側熱交換器8a,8bで第1,第2の利用側送風機22a,22bによって送り込まれた室内空気へ放熱して凝縮液化した液冷媒は、液延長配管84を重力によって降下して、第2の液側接続口Dから室内ユニット103a,103bより下方にある蓄熱ユニット102に流入する。この液冷媒は、液配管81、第3の開閉弁(開閉弁S)13、第4の開閉弁14および蓄熱用減圧装置5を経て蓄熱用熱交換器6の液側接続口から流入し、ここで、蓄熱槽99内の蓄熱材98から吸熱して自らは蒸発する。そして、この蒸気冷媒は、蓄熱用熱交換器6の最上部の蒸気側接続口から流出し、第1の開閉弁(開閉弁Q)11、第7の開閉弁17、蒸気配管82、第2の蒸気側接続口Cから蒸気延長配管85を経て、上方にある第1,第2の利用側熱交換器8a,8bに流入する。このように、利用側熱交換器8a,8bに送り込まれる室内空気温度と蓄熱用熱交換器6周囲の蓄熱材98との温度差および重力を利用した冷媒自然循環暖房運転が行われる。
【0092】
蓄熱槽99内では、下方から流入した液冷媒によって蓄熱材98は冷却されるので、蓄熱材98である水が冷却されて温度が低下する。また、第1,第2の室内ユニット103a,103b内の第1,第2の利用側減圧装置7a,7bの開度は、参考形態1の一般暖房運転で説明した方法と同様に制御すると、利用側熱交換器8a,8bで十分に能力を出すことができる。
【0093】
なお、この運転で第6の開閉弁(開閉弁T)16は、蓄熱用熱交換器6で蓄熱材98から吸熱して蒸発した蒸気冷媒の一部が、蓄熱槽熱交換器6の蒸気側接続口から流出し、第1の蒸気側接続口Aから四方弁2の方へ流れるのを阻止するものである。このため、第6の開閉弁(開閉弁T)16は、蒸気配管82における第1の開閉弁(開閉弁Q)11の接続部と第1の蒸気側接続口Aとの間で、第1の開閉弁(開閉弁Q)11の接続部のより近くに設けられている方が、この配管内への余分な冷媒量を少なくでき効果的であるが、少なくとも第1の開閉弁(開閉弁Q)11の接続部と四方弁2の第4口との間の蒸気配管に設けられていれば、ある程度冷媒充填量を削減できる。
【0094】
以上述べたように、本参考形態によれば、蓄熱用熱交換器6の上方の蒸気側接続口と蒸気配管82、下方の液側接続口と液配管81を接続し、蓄熱用熱交換器6の液側接続口を利用側熱交換器8a,8bの液側接続口のそれぞれより下方に設置し、蓄熱利用時に重力による冷媒の自然循環作用で室内を暖房するようにしたので、圧縮機1を停止した暖房運転が可能で消費電力の低減を図ることができ、特に冬季の電力のピークカットができるという効果がある。
【0095】
なお、暖房運転での電力ピークカットを行う際の運転モードの切換え手順は、参考形態1の図3で説明した手順と同様の考え方で行うとよい。ただし、暖房運転の場合は利用側負荷の最大は16時〜18時ごろであり、図2に示した蓄熱量の消費パターンを変更する必要がある。運転モード切換えのタイミングは、電力ピークになると推定される時間帯を中心に冷媒自然循環運転を行い、あとは蓄熱量によって切換えるようにする。また、蓄熱量の検出は、水位計ではなく、例えば蓄熱材98である水の温度を検出する温度検出器などを用いる。
【0096】
参考形態4.
参考形態4による蓄熱式冷凍サイクルは、参考形態3における第7の開閉弁17を取り除いた構成とし、他の部分は図8と同じ構成とする。第7の開閉弁17は蓄熱ユニット102内部の蒸気配管82中に設置されていたものであり、本参考形態ではこれを省いて低価格化を図った。
この構成では、蓄熱槽99内に温熱を蓄える温熱蓄熱運転時には、圧縮機1から吐出された高温高圧の蒸気冷媒の一部が、蓄熱用熱交換器6の蒸気側接続口へ流れずに、蒸気延長配管85を通って第1,第2の利用側熱交換器8a,8bに流入してしまう。そこで、第1,第2の利用側減圧装置7a,7bの開度を極めて小さく一定に保つことによって、利用側熱交換器8a,8bを通過する冷媒循環量を極力少なくして、蓄熱用熱交換器6を流れる冷媒循環量を確保する。
【0097】
また、第1,第2の利用側減圧装置7a,7bは、全閉としておき、蓄熱用熱交換器6の液側接続口で検出される冷媒過冷却度がある一定値以下となったら、利用側熱交換器8a,8bに冷媒が溜まり込み過ぎて蓄熱用熱交換器6側の冷媒量が不足していると判断して、第1,第2の利用側減圧装置7a,7bの開度を大きくするように制御してもよい。第1,第2の利用側減圧装置7a,7bの開度を大きくすれば、利用側熱交換器8a,8bに溜まっていた冷媒が第1,第2の利用側減圧装置7a,7bを通って液配管81に戻されるので、第3の開閉弁(開閉弁S)13を一時的に開とすることによって、冷媒は温熱蓄熱運転の循環路で循環するようになる。
【0098】
参考形態5.
参考形態1では、蓄熱用熱交換器6の蒸気側接続口を液側接続口より上方に配置して冷媒自然循環冷房運転を行ない、冷房運転時の電力のピークカットを実現した蓄熱式冷凍サイクルについて説明した。これに対して、本参考形態では、通常の氷蓄熱空気調和機に広く用いられている蓄熱用熱交換器6のように、蒸気側接続口が液側接続口より高い位置にない場合でも、冷媒自然循環冷房運転を可能とし、利用負荷の多い時に消費電力量を削減して電力のピークカットを行なうように構成した。
【0099】
以下、本参考形態による蓄熱式冷凍サイクルについて図9に基づいて説明する。図9は、本参考形態による蓄熱式冷凍サイクルを示す構成図である。
図において、41は自然循環用熱交換部、42は第1の熱交換部、43は第2の熱交換部で、第1,第2の熱交換部42,43で自然循環用熱交換器41が構成されている。86は、その一端が蓄熱槽99の下部に接続され、その他端が蓄熱槽99の上部に接続されている蓄熱材循環路で、その途中に、第2の熱交換部43が設けられている。44は蓄熱材98である水を蓄熱槽99の下部から配管86、第2の熱交換部43を経て再び蓄熱槽99の上部へと循環させる蓄熱材搬送装置で、例えばポンプである。また、第1の蒸気側接続口Aと最も高所に設置されている利用側熱交換器8aの蒸気側接続口の間と、第1の液側接続口Bと最も高所に設置されている利用側熱交換器8aの液側接続口の間とを、自然循環用配管87で接続し、その途中に第1の熱交換部42および第8の開閉弁(開閉弁U)18を設置する。第1の熱交換部42と第2の熱交換部43とは互いに熱交換するように自然循環用熱交換器41として一体に構成されている。自然循環用熱交換器41は、例えば二重管式熱交換器、プレート式熱交換器などを用い、その液側接続口は、最も高い位置にある利用側熱交換器8aの液側接続口よりも高い位置、望ましくは1m以上高い位置に設置する。本参考形態では、蓄熱材循環路86、自然循環用配管87、蓄熱材搬送装置44、自然循環用熱交換器41および第8の開閉弁(開閉弁U)18は、蓄熱ユニット102の内部に収納されている。その他の構成において、図1と同一符号は同一、または相当部分であり、説明を割愛する。
【0100】
つぎに動作について説明する。
<冷熱蓄熱運転>
蓄熱槽99内に冷熱を蓄える冷熱蓄熱運転では、第8の開閉弁(開閉弁U)18を閉、蓄熱材搬送装置44を停止して圧縮機1を動作させ、熱源側熱交換器3を凝縮器、蓄熱用熱交換器6を蒸発器として蓄熱槽99内の蓄熱材98に冷熱を蓄熱する。この動作は参考形態1と同一であるので説明を割愛する。
<冷熱蓄熱過冷却利用冷房運転>
冷熱蓄熱で冷媒の過冷却度を大きくつける冷房運転は、第8の開閉弁(開閉弁U)18を閉、蓄熱材搬送装置44を停止して圧縮機1を動作させ、熱源側熱交換器3を凝縮器、利用側熱交換器8a,8bを蒸発器として室内ユニット103a,103bで室内を冷房する。熱源側熱交換器3で凝縮液化した冷媒を蓄熱槽99内で過冷却液冷媒とするのであるが、この動作は参考形態1と同一であるので説明を割愛する。
<一般冷房運転>
圧縮機1による一般冷房運転では、第8の開閉弁(開閉弁U)18を閉、蓄熱材搬送装置44を停止して圧縮機1を動作させ、熱源側熱交換器3を凝縮器、利用側熱交換器8a,8bを蒸発器として室内ユニット103a,103bで室内を冷房する。この動作は参考形態1と同一であるので説明を割愛する。
<一般暖房運転>
圧縮機1を動作させた暖房運転は、第8の開閉弁(開閉弁U)18を閉、蓄熱材搬送装置44を停止して圧縮機1を動作させ、熱源側熱交換器3を蒸発器、利用側熱交換器8a,8bを凝縮器として室内ユニット103a,103bで室内を暖房する。この動作は参考形態1と同一であるので説明を割愛する。
【0101】
<冷媒自然循環冷房運転>
冷媒の自然循環作用を利用した冷房運転では、第8の開閉弁(開閉弁U)18を開、第1,第2,第3,第4の開閉弁11,12,13,14をそれぞれ閉とし、蓄熱用減圧装置5を全閉とし、圧縮機1は停止する。また、蓄熱材搬送装置44を運転し蓄熱槽99内の蓄熱材98である水を自然循環用熱交換器41の第2の熱交換部43に循環させる。
【0102】
第1,第2の利用側熱交換器8a,8bで第1,第2の利用側送風機22a,22bによって送り込まれた室内空気から吸熱して蒸発した蒸気冷媒は、蒸気延長配管85を上昇して第2の蒸気側接続口C、自然循環用配管87を経て第1の熱交換部42に最上部の蒸気側接続口から流入する。ここで、この蒸気冷媒は、蓄熱材搬送装置44によって第2の熱交換部43に循環される蓄熱槽99内の蓄熱材98に放熱して自らは凝縮液化する。この液冷媒は、第1の熱交換部42の最下部の液側接続口から流出し、重力によって第8の開閉弁(開閉弁U)18を経て、第2の液側接続口Dから液延長配管84に流入する。液延長配管84に流入した液冷媒は重力によって下方にある第1,第2の利用側減圧装置7a,7bを経て第1,第2の利用側熱交換器8a,8bに流入する。この時、第1,第2の利用側送風機22a,22bによって利用側熱交換器8a,8bへ送り込まれた室内空気は、低温低圧の二相冷媒によって冷却されて室内へ吹き出され、室内を冷房する。
【0103】
ここで、第8の開閉弁(開閉弁U)18は、冷媒自然循環冷房運転時に自然循環用配管87を連通させ、他の運転モードのときには液配管81を流通する液冷媒が自然循環用熱交換器41に液側接続口へ流入するのを阻止している。このため、自然循環用熱交換器41を通って液冷媒が循環することにより利用側熱交換器8a,8bに循環する冷媒量が低減し、冷房能力が低下するのを防止している。
【0104】
蓄熱槽99内から蓄熱材98である水を外部に取り出して循環させるためには、蓄熱槽99の下部と上部の例えば壁面に穴を開け、蓄熱材循環路86を接続すればよい。また、蓄熱槽99に穴を開けなくても、上部から配管、ホースなどを挿入して蓄熱槽99の外へ水を取り出し再び蓄熱槽99へ戻すように構成してもよい。また、蓄熱槽99内で蓄熱材98である水がショートサイクルすることなく、氷として蓄熱している冷熱を蓄熱材循環路86を循環する水として取り出せればいいので、上部から取り出して下部に戻すように構成してもよい。
【0105】
蓄熱材搬送装置44は一定流量であってもよいが、インバータ駆動であってもよいし、複数台の蓄熱材搬送装置44を並列または直列設置にすれば、室内ユニット103a,103bの負荷量に応じた冷媒循環流量を得ることができるので、第1,第2の利用側減圧装置7a,7bで余計に減圧、流量制御する必要がなくなり、消費電力量がさらに少なくて済むので望ましい。自然循環の冷媒循環量は、例えば、蓄熱材循環路86を流れる蓄熱材である水の流量を変化させ、第2の熱交換部43における水側熱伝達率を操作して、第1の熱交換部42での冷媒凝縮量を変化させることによって制御できる。水側の流量を増やせば冷媒の凝縮量が増加して冷媒循環量が増加し、逆に水側の流量を減らせば冷媒の凝縮量が減少して冷媒循環量が減少する。
【0106】
なお、蓄熱材搬送装置44は必ずしも設置しなくてもよい。この場合、蓄熱材循環路86および第2の熱交換部43内部の流路抵抗が十分小さければ、蓄熱材98である水が加熱されて比重が小さくなることで生じる自然循環作用を利用することができるので、搬送動力の必要がなくなり消費電力量がさらに少なくて済む。自然循環の冷媒循環量は、利用側減圧装置7a,7bの開度を調節するか、または、第2の熱交換部43の上部下流側の蓄熱材循環路86中に水側流量制御弁を追加してその開度を調節することによって制御する。
【0107】
参考形態における冷媒自然循環を利用した冷房運転では、参考形態1,2とは異なり、蓄熱材搬送装置44の運転に伴い電力を消費するが、圧縮機1を運転するよりは消費電力量が少なく無視できるほどであるので、全体として消費電力量を削減できる。このため、夏の昼の時間帯に運転して負荷が大きい時の電力ピークカットを行うことができる。特に、利用側熱交換器8が2台だけではなく、さらに多数接続されている場合などでは、利用側送風機22の消費電力量の方が大きくなるので、参考形態1,2に比較して特に消費電力量が多くなるということはない。
【0108】
なお、本参考形態では、蓄熱材循環路86,自然循環用配管87,蓄熱材搬送装置44,自然循環用熱交換器41および第8の開閉弁(開閉弁U)18は、蓄熱ユニット102の内部に収納されている例を示したが、これらは、蓄熱ユニット102の内部ではなく外部にあり、例えば、別体の自然循環ユニットとして構成されていてもよい。ただし、自然循環用熱交換器41の位置は、最も高い位置にある利用側熱交換器8aよりも高い位置にある、望ましくは1m以上高い位置にあることは言うまでもない。
【0109】
また、第1の熱交換部42は、参考形態1の蓄熱用熱交換器6と同様、一流路当りに流れる冷媒質量流量が下部液側より上部蒸気側の方が少なくなるように、または、蒸気側流路の総断面積が液側よりも大きくなるように構成されているとよい。このようにすれば、冷媒自然循環冷房運転時の効率がより向上することは言うまでもない。
【0110】
以上述べたように、本参考形態は、第1の蒸気側接続口Aと最も高所に設置されている第1の利用側熱交換器8aの蒸気側配管が接続されている位置との間と、第1の液側接続口Bと最も高所に設置されている第1の利用側熱交換器8aの液側配管が接続されている位置との間とを自然循環用配管87で接続し、その途中に第1の熱交換部42を設置して、蓄熱槽99の外側で蓄熱材98と熱交換できるよう構成するとともに、自然循環用熱交換器41を各利用側熱交換器8a,8bより上方に設置し、冷熱蓄熱利用時に重力による冷媒の自然循環作用で室内を冷房するようにしたことに特長がある。このように構成したので、圧縮機1を停止した冷媒自然循環冷房運転が可能であり、利用負荷の多い時間帯に消費電力量を削減して、電力のピークカットができる。さらに蓄熱用熱交換器6の蒸気側接続口と液側接続口とで高さの制約がなくなることから、通常の広く用いられている氷蓄熱空気調和機と同様の構成の蓄熱用熱交換器を使用でき、既設の氷蓄熱式冷凍サイクルにも後づけで消費電力の削減機能を付加することができるという効果もある。
【0111】
参考形態6.
参考形態5の図9では、自然循環用配管87を新たに設置したが、本参考形態では図10に示すように、冷熱蓄熱過冷却利用冷房運転のために設けた過冷却用液配管83を利用して冷媒自然循環冷房運転を行っている。この場合には、蓄熱用熱交換器6の蒸気側接続部と過冷却用液配管83との分岐部との間に開閉弁50を設ける。そして、この開閉弁50を、冷媒自然循環冷房運転で閉、冷熱蓄熱運転,冷熱蓄熱過冷却利用冷房運転で開とする。冷媒自然循環冷房運転時に第1の開閉弁(開閉弁Q)11を開として過冷却用液配管83に冷媒を循環させることにより、冷媒回路が簡素化されるので、参考形態5よりも低価格で構成でき、冷房運転において利用負荷の多い時間帯に消費電力量を削減して電力ピークカットができるという効果がある。
【0112】
さらに加えて、蓄熱材98に蓄熱した冷熱蓄熱を冷媒の過冷却度を大きくすることに利用する冷房運転(冷熱蓄熱過冷却利用冷房運転)時で、冷熱蓄熱量に余裕がある場合に、蓄熱用熱交換器6で過冷却がついた冷媒液をさらに過冷却度を大きくすることができる。即ち、開閉弁50を開、第1の開閉弁(開閉弁Q)11を閉とし、蓄熱用熱交換器6から流出した過冷却冷媒液を開閉弁50を経て第1の熱交換部42に流入させる。この第1の熱交換部42を流れる際に、蓄熱材搬送装置44を運転することによって第2の熱交換部43を流れる蓄熱材98によってさらに過冷却度を大きくすることができ、消費電力量をさらに減少させることができるという効果もある。
【0113】
実施の形態7.
図9および図10では、自然循環用熱交換器41が蓄熱ユニット102の内部に収納されているため、蓄熱ユニット102が室内ユニット103a,103bよりも高所にある必要があったが、蓄熱ユニット102の設置場所に制約がない電力ピークカット可能な蓄熱式冷凍サイクルの例を図11に示す。図11は本実施の形態による蓄熱式冷凍サイクルを示す構成図である。
【0114】
図に示すように、液延長配管84と蒸気延長配管85を自然循環用配管87で接続し、この配管中に設置する第1の熱交換部42を、最も高い位置にある利用側熱交換器8aよりも高所に設置するとともに、蓄熱材98が循環する蓄熱材循環路86中に設置された第2の熱交換部43と自然循環用熱交換器41として一体で構成する。第1の熱交換部42は上部が蒸気延長配管85と接続され下部が液延長配管84と接続されており、その下部から液延長配管84に至るまでの自然循環用配管87中には第8の開閉弁(開閉弁U)18が設置されている。
【0115】
次に動作については、冷熱蓄熱運転,冷媒自然循環冷房運転,冷熱過冷却利用冷房運転,一般冷房運転,一般暖房運転の各運転モードで運転することができる。これらの運転モードにおいて、蓄熱ユニット102内部の開閉弁11〜開閉弁14,開閉弁(開閉弁U)18の開閉動作は実施の形態1および実施の形態5と同様の動作であるので説明を割愛する。
特に本実施の形態では、冷媒自然循環冷房運転において、冷媒は自然循環用熱交換器41の第1の熱交換部42、第8の開閉弁(開閉弁U)18、利用側減圧装置7a,7b、利用側熱交換器8a,8b、自然循環用配管87を循環する。この設置位置の高さの制約は、第1の熱交換部42の液側接続口が、一番高い位置にある利用側熱交換器8aの液側接続口よりも上方、望ましくは1m以上高い位置に設置することである。従って、蓄熱用熱交換器6の構成や蓄熱槽99の構成はどのようなものでもよく、その設置位置も適用する場所に応じて自由にできる。そこで、一般に広く使用されている通常の氷蓄熱空気調和機と同様の構成の蓄熱用熱交換器を使用することもできる。
【0116】
以上述べたように、本実施の形態によれば、液延長配管84と蒸気延長配管85とを自然循環用配管87で接続し、その途中に第1の熱交換部42を設置して、蓄熱槽99の外側で蓄熱材98と熱交換できるよう構成するとともに、自然循環用熱交換器41を各利用側熱交換器8a,8bより上方に設置し、冷熱蓄熱利用時に重力による冷媒の自然循環作用で室内を冷房するように構成した。このため、蓄熱槽99内の蓄熱用熱交換器6の構成に関わらず、圧縮機1を停止した冷媒自然循環冷房運転が可能であり、利用負荷が大きな場合にも冷媒自然循環冷房運転によって消費電力量を低減でき、電力のピークカットができる。さらに、蓄熱ユニット102の設置位置に制約を設ける必要がないので、システム構成の自由度が高まるという効果がある。
【0117】
また、図12に示した蓄熱式冷凍サイクルは、図11の構成の蓄熱式冷凍サイクルで、蓄熱槽99内の蓄熱用熱交換器6の配管において、蒸気側接続口を上方とし液側接続口を下方として、蓄熱用熱交換器6内の冷媒流路に沿った鉛直方向の位置が、蒸気側接続口から液側接続口に至るまでの間で上昇しないように構成したものである。そして、一番高いところに自然循環用熱交換器41を設け、自然循環用熱交換器41よりも低い位置に利用側熱交換器8a,8bを設け、利用側熱交換器8a,8bよりも低い位置に蓄熱用熱交換器6を有する蓄熱槽99を設けている。
【0118】
これまでの構成の蓄熱式冷凍サイクルでは、重力による冷媒自然循環利用は、利用側熱交換器8a,8bと蓄熱槽99または自然循環用熱交換器41との高低差によるために、冷房運転と暖房運転とで、どちらか一方の冷媒自然循環運転を実現したら、他方は実現できなかった。ところが、図12のように構成すると、夏季には蓄熱槽99内に冷熱を蓄熱して自然循環用熱交換器41を用いて冷媒自然循環冷房運転を行ない、冬季には蓄熱槽99内に温熱を蓄熱して蓄熱用熱交換器6を用いて冷媒自然循環暖房運転を行なうことが可能となる。
【0119】
<冷媒自然循環冷房運転>
冷媒の自然循環作用を利用した冷房運転では、第8の開閉弁(開閉弁U)18を開、第1,第2,第3,第4,第7の開閉弁11,12,13,14,17をそれぞれ閉とし、蓄熱用減圧装置5を全閉とし、圧縮機1は停止する。また、蓄熱材搬送装置44を運転し蓄熱槽99内の蓄熱材98である水を自然循環用熱交換器41の第2の熱交換部43に循環させる。
【0120】
第1,第2の利用側熱交換器8a,8bで第1,第2の利用側送風機22a,22bによって送り込まれた室内空気から吸熱して蒸発した蒸気冷媒は、蒸気延長配管85を上昇して自然循環用配管87を経て第1の熱交換部42に最上部から流入する。ここで、この蒸気冷媒は、蓄熱材搬送装置44によって第2の熱交換部43に循環される蓄熱槽99内の蓄熱材98に放熱して自らは凝縮液化する。この液冷媒は、第1の熱交換部42の最下部から流出し、重力によって第8の開閉弁(開閉弁U)18を経て、液延長配管84に流入する。液延長配管84に流入した液冷媒は重力によって下方にある第1,第2の利用側減圧装置7a,7bを経て第1,第2の利用側熱交換器8a,8bに流入する。この時、第1,第2の利用側送風機22a,22bによって利用側熱交換器8a,8bへ送り込まれた室内空気は、低温低圧の二相冷媒によって冷却されて室内へ吹き出され、室内を冷房する。このように、利用側熱交換器8a,8bに送り込まれる室内空気温度と自然循環用熱交換器41で熱交換する蓄熱材98の温度との温度差および重力を利用した冷媒自然循環冷房運転が行われる。
【0121】
<冷媒自然循環暖房運転>
蓄熱ユニット102内部の第2,第5,第6の開閉弁12,15,16をそれぞれ閉とし、第1,第3,第4,第7の開閉弁11,13,14,17をそれぞれ開とし、蓄熱用減圧装置5は全開とする。第1,第2の利用側熱交換器8a,8bで第1,第2の利用側送風機22a,22bによって送り込まれた室内空気へ放熱して凝縮液化した液冷媒は、液延長配管84を重力によって降下して、第2の液側接続口Dから室内ユニット103a,103bより下方にある蓄熱ユニット102に流入する。この液冷媒は、液配管81、第3の開閉弁(開閉弁S)13、第4の開閉弁14および蓄熱用減圧装置5を経て蓄熱用熱交換器6に流入し、ここで、蓄熱槽99内の蓄熱材98から吸熱して自らは蒸発する。そして、この蒸気冷媒は、蓄熱槽熱交換器6の蒸気側接続口から流出し、第1の開閉弁(開閉弁Q)11、第7の開閉弁17、蒸気配管82、第2の蒸気側接続口Cから蒸気延長配管85を経て、上方にある第1,第2の利用側熱交換器8a,8bに流入する。このように、利用側熱交換器8a,8bに送り込まれる室内空気温度と蓄熱用熱交換器6周囲の蓄熱材98の温度との温度差および重力を利用した自然循環暖房運転が行われる。
このとき、第5の開閉弁(開閉弁P)15は液冷媒が熱源側熱交換器3の液側接続口への配管に流入するのを阻止し、第6の開閉弁(開閉弁T)16は蒸気冷媒が圧縮機1への配管に流入するのを阻止し、循環冷媒量が低減するのを防止している。
【0122】
実施の形態8.
図11,図12では、最も低い位置にある利用側熱交換器8aよりも下方に蓄熱槽99を設置している例を示したが、このような位置関係の場合、最も低い位置にある利用側熱交換器8bよりも下方の液延長配管84の中に液冷媒が溜まり込んでしまい、この分だけ余計に冷媒充填量が必要となり高価なシステムとなってしまう。このため、本実施の形態では図13に示すように液延長配管84中の最も低い位置にある利用側熱交換器8bの接続位置の直下に、第10の開閉弁20を設置する。
また、冬季などで、上方に設置した自然循環用熱交換器41が低温にさらされている場合、暖房運転中に自然循環用熱交換器41に液冷媒が溜まり込むのを防止するため、自然循環用配管87中の蒸気延長配管85との接続部直前に第9の開閉弁19を設置する。
【0123】
第9の開閉弁19は、冷媒自然循環冷房運転の時のみ開とし、その他の運転モードの時には閉とする。これにより、利用側熱交換器8a,8bの蒸気側から蒸気延長配管85へ、または蒸気延長配管85から利用側熱交換器8a,8bの蒸気側へ蒸気冷媒が循環する動作中に、その接続配管から分岐して自然循環用配管87へ蒸気冷媒が流れるのを防止できる。
また、第10の開閉弁20は、冷媒自然循環冷房運転の時のみ閉とし、その他の運転モードの時には開とする。これにより、自然循環用熱交換器41から利用側熱交換器8a,8bの液側へ液冷媒が循環する動作中に、その接続配管から分岐して液延長配管84へ液冷媒が流れるのを防止できる。
【0124】
以上のように開閉弁19と開閉弁20を設けたことにより、冷房期、暖房期ともに冷房または暖房に寄与せずに循環路内に余計に溜まり込む冷媒量を極力少なくでき、安価で効率的な蓄熱式冷凍サイクルを得ることができる。
【0125】
実施の形態9.
実施の形態7の図11では、冷房運転時に冷媒自然循環作用を利用して電力のピークカットを行う例を示したが、図14のように構成すれば、暖房運転時に冷媒自然循環作用を利用して電力のピークカットを行うことができるとともに、蓄熱ユニット102の設置位置に制約がなくなり、システム構成の自由度が高まるという効果がある。即ち、蓄熱材搬送装置44によって蓄熱材98を蓄熱槽99の外部の蓄熱材循環路86に循環させる。そして、蓄熱材循環路86の途中に設けた第2の熱交換部43で第1の熱交換部42を循環する冷媒と熱交換するように構成する。さらに、第1,第2の熱交換部42,43で構成された自然循環用熱交換器41の下部接続口を、最も下側に配置されている利用側熱交換器8bの液側接続口より下方に配置する。また、第1の熱交換部42は自然循環用配管87によって冷凍サイクルを構成する蒸気配管と液配管とに接続する。具体的には第1の熱交換器42の上部接続口を利用側熱交換器8a,8bの蒸気側接続口と流路切換装置2との間を接続する蒸気延長配管85に第9の開閉弁19を介して接続し、下部接続口を利用側熱交換器8a,8bの液側接続口と第3の開閉弁(開閉弁S)13との間を接続する液延長配管84に第8の開閉弁(開閉弁U)18を介して接続している。
【0126】
本実施の形態における冷熱蓄熱運転,冷媒過冷却利用冷房運転,一般冷房運転,一般暖房運転については、参考形態3と同様であり、ここではその説明を割愛する。ただし、本実施の形態では第5,第6の開閉弁15,16は設けていないので、これらの開閉弁を開閉する動作はない。また、冷熱蓄熱運転,冷媒過冷却利用冷房運転,一般冷房運転,一般暖房運転では蓄熱材搬送装置44を停止状態とし、第8,第9の開閉弁18,19は閉とする。以下、温熱蓄熱運転,冷媒自然循環暖房運転について説明する。
【0127】
<温熱蓄熱運転>
主に夜間電力を利用して蓄熱槽99内に温熱を蓄える運転モードである。蓄熱ユニット102内部の第1,第4の開閉弁11,14をそれぞれ開、第2,第3,第7の開閉弁12,13,17をそれぞれ閉とする。また、室外ユニット101内部の四方弁2は第1口と第4口を連通させ、第2口と第3口を連通させる。
【0128】
圧縮機1で圧縮され高温高圧となった蒸気冷媒は、四方弁2の第1口から第4口、第1の蒸気側接続口A、第1の開閉弁(開閉弁Q)11を経て蓄熱用熱交換器6に流入する。ここで、この高温高圧の冷媒は、蓄熱槽99内の蓄熱材98に放熱して蓄熱槽99内に温熱を蓄えると共に自らは凝縮液化する。この凝縮液化した中温高圧の液冷媒は蓄熱用減圧装置5で減圧され、低温低圧の気液二相冷媒となって、第1の液側接続口Bを経て熱源側熱交換器3に流入する。ここで、低温低圧の気液二相冷媒は、室外送風機21によって送り込まれる外気から吸熱するとともに自らは蒸発する。この低温低圧の蒸気冷媒は、四方弁2の第2口から第3口、およびアキュムレータ4を経て圧縮機1の吸入側に戻る。
【0129】
<冷媒自然循環暖房運転>
温熱蓄熱運転で蓄えた温熱を利用して室内を暖房する運転モードであり、圧縮機1を停止して冷媒の自然循環作用を利用する。この運転モードは、蓄熱槽99内の蓄熱量が十分ある場合で、例えば冬季夕方の16時〜18時などの電力ピークカットが必要な時間帯を中心に運転する。
第8の開閉弁(開閉弁U)18,第9の開閉弁19をそれぞれ開、第1,第2,第3,第4,第7の開閉弁11,12,13,14,17をそれぞれ閉とし、蓄熱用減圧装置5を全閉とし、圧縮機1は停止する。また、蓄熱材搬送装置44を運転し蓄熱槽99内の蓄熱材98である水を冷媒循環路86から自然循環用熱交換器41の第2の熱交換部43に循環させる。
【0130】
第1,第2の利用側熱交換器8a,8bで第1,第2の利用側送風機22a,22bによって送り込まれた室内空気に放熱して凝縮した液冷媒は、第1,第2の利用側熱交換器7a,7bを通って液延長配管84を重力によって下降し、第8の開閉弁(開閉弁U)18を通り、自然循環用配管87を経て第1の熱交換部42に下方接続口から流入する。ここで、この液冷媒は、蓄熱材搬送装置44によって第2の熱交換部43に循環される蓄熱槽99内の蓄熱材98から吸熱して自らは蒸発する。この蒸気冷媒は、第1の熱交換部42の上方接続口から流出し、第9の開閉弁19を経て、蒸気延長配管85に流入する。液延長配管85に流入した蒸気冷媒は上方にある第1,第2の利用側熱交換器8a,8bに流入する。この時、第1,第2の利用側送風機22a,22bによって利用側熱交換器8a,8bへ送り込まれた室内空気は、加熱されて室内へ吹き出され、室内を暖房する。
このように、利用側熱交換器8a,8bに送り込まれる室内空気温度と自然循環用熱交換器41での蓄熱材98との温度差および重力を利用した自然循環暖房運転が行われる。
【0131】
なお、ここで冷媒自然循環暖房運転を行う冷媒は、自然循環用熱交換器41の第1の熱交換部42、自然循環用配管87、利用側熱交換器8a,8bで構成される配管を循環するので、圧縮機1や熱源側熱交換器3への配管に蒸気冷媒や液冷媒が流入することはほとんどないと考えられる。このため本実施の形態では第5,第6の開閉弁15,16を設けていないが、例えば蒸気冷媒が圧縮機1への配管に流入しようとしても第7の開閉弁17によって阻止される。
【0132】
本実施の形態では、蓄熱用熱交換器6の構成には全く制約が必要ない。このため、一般的に通常広く使われている氷蓄熱空気調和機と同様の構成の蓄熱槽を使用して、圧縮機1を停止した冷媒自然循環暖房運転が可能となり、電力のピークカットができる。また、蓄熱ユニット102の設置位置にも制約がないため、システム構成の自由度が高まるという効果がある。
【0133】
また、本実施の形態の構成で、蓄熱槽99内の蓄熱用熱交換器6の配管において、蒸気側接続口を上方とし液側接続口を下方として、蓄熱用熱交換器6内の冷媒流路に沿った鉛直方向の位置が、蒸気側接続口から液側接続口に至るまでの間で上昇しないように構成する。さらに、一番高いところに蓄熱用熱交換器6を有する蓄熱槽99を設け、この蓄熱槽99よりも低い位置に利用側熱交換器8a,8bを設け、利用側熱交換器8a,8bよりも低い位置に自然循環用熱交換器41を設ければ、夏季には蓄熱槽99内に冷熱を蓄熱して、蓄熱用熱交換器6によって冷媒自然循環冷房運転を行ない、冬季には蓄熱槽99内に温熱を蓄熱して、熱交換器41によって冷媒自然循環暖房運転を行なうことが可能となる。
【0134】
実施の形態10.
以上、参考形態1〜参考形態6、実施の形態7〜実施の形態9では、蓄熱材98を水(氷)としていたが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、塩化カルシウムなどの溶質を水に溶かし込んだ水溶液でもよい。蓄熱材98をこれら水溶液にすると、凍結温度が溶質の濃度に応じて真水の場合よりも低下するので、冷熱蓄熱運転時の蒸発温度が真水に比べてさらに低下する。利用側熱交換器8a,8bがより低温の蒸発温度を要求するショーケースや冷蔵庫用蒸発器、冷凍庫用蒸発器などの場合、蓄熱材98を上記のような水に不凍液を混合させた水溶液とすると、利用温度に応じた温度で蓄熱することができる。このため、圧縮機1を停止した冷媒自然循環冷却運転がさらに広い範囲で可能となり、消費電力量をさらに多く削減できる。
【0135】
また、蓄熱材98が水の場合、高級脂肪酸塩を添加したり、数千気圧程度の圧力をかけたりすると、その凍結温度が上昇して冷熱蓄熱運転の効率が向上する。工業用途などで利用側熱交換器8a,8bでの冷却に必要な冷媒の蒸発温度が通常の冷房に必要な冷媒蒸発温度より高くてよい場合などに特に有効である。
【0136】
さらに、参考形態5、参考形態6、実施の形態7〜実施の形態9では、蓄熱材搬送装置44を用いて蓄熱材98を配管86内に循環させる構成である。この構成において、蓄熱材98に界面活性剤を微量添加すると、配管86を流れる蓄熱材98の圧力損失が低減し、蓄熱材搬送装置44の消費電力量が減少するので、さらに電力ピークカットが可能となる。特に、水またはプロピレングリコールやソルビトールなどの水溶液の場合に効果がある。同様の効果は、小さな糸屑やセルロースなどを蓄熱材98に混入させても現れる。
【0137】
さらにまた、参考形態5、参考形態6、実施の形態7〜実施の形態9において、蓄熱材98をシャーベット状で蓄熱槽99に蓄えておくとよい。このようにしても、配管86を流れる蓄熱材98の圧力損失が低減し、蓄熱材搬送装置44の消費電力量が減少する。蓄熱材98をシャーベット状にする例としては、蓄熱材98が水の場合、蓄熱用熱交換器6を蓄熱槽99の外部に設置し、そこで、蓄熱材98である水を過冷却させて蓄熱槽99に戻るまでの間で過冷却解除させる方法や、蓄熱用熱交換器6の周囲に固着した氷を掻き取り蓄熱槽99内に導く方法など、一般的にダイナミック製氷方式といわれている様々な方法がある。
【0138】
参考形態11.
参考形態1〜参考形態6、実施の形態7〜実施の形態10では、主に夜間に圧縮機1を運転して蓄熱槽99内の蓄熱材98に冷熱または温熱を蓄え、この冷熱または温熱を熱源として、圧縮機1を停止して冷媒自然循環作用を利用した冷房運転または暖房運転を行なう例を説明した。ここで、冷媒自然循環作用を利用する際の熱源は必ずしも蓄熱槽99内の熱源に限る必要はない。例えば、実施の形態9における図14で、自然循環用熱交換器41内の熱交換部42を灯油バーナまたはガスバーナ等の加熱手段で直接加熱してもよい。この場合には、加熱手段は必要であるが、自然循環作用を利用して熱搬送動力を全く必要としない冷媒加熱式暖房運転が可能となり、加熱手段に灯油やガスを用いれば電力負荷の最大となる時間帯で電力消費量を削減でき、電力ピークカットを実現できる。
【0139】
以下、冷媒自然循環暖房運転で、灯油バーナまたはガスバーナ等を熱源とした冷凍サイクルについて説明する。図15は本参考形態による冷凍サイクルを示す構成図であり、圧縮機による一般の冷暖房運転可能な空気調和器において、冷媒加熱式の冷媒自然循環暖房運転ができるように構成したものである。
【0140】
図において、71は灯油バーナまたはガスバーナなどの加熱手段、72はバーナ熱交換器伝熱面、73は自然循環用熱交換器で、例えばバーナ熱交換器配管、74は逆止弁である。バーナ熱交換器伝熱面72は管状でありその周囲の壁面にバーナ熱交換器配管73が固着されている。バーナ熱交換器伝熱面72の管内を灯油バーナまたはガスバーナ71で加熱すると、バーナ熱交換器伝熱面72が加熱され、さらにバーナ熱交換器配管73内を流れる冷媒が加熱される構成である。
【0141】
液配管81は室外ユニット101内部の冷媒液配管であり、熱源側熱交換器3と液側接続口Bとの間を開閉弁15を介して接続している。蒸気配管82は室外ユニット101内部の冷媒蒸気配管であり、四方弁2と蒸気側接続口Aとの間を接続している。バーナ熱交換器配管73の下方接続口は液側であり、液側接続口Bと開閉弁15との間の液配管81に、開閉弁75を介して接続されている。一方、バーナ熱交換器配管73の上部接続口は蒸気側であり、逆止弁74を介して蒸気配管82に接続されている。
さらに、バーナ熱交換器配管73の下部接続口は、最も低位置にある利用側熱交換器8bの最下部の位置より低くなるように、望ましくは1m以上低くなるように設置する。
【0142】
このような構成の冷凍サイクルは、蓄熱式ではなく、圧縮機1を駆動する一般冷房運転と、圧縮機1を駆動する一般暖房運転と、圧縮機1を駆動しない冷媒自然循環暖房運転の3つの運転モードがある。
【0143】
<一般冷房運転>
室外ユニット101内部の四方弁2は第1口と第2口が連通し、第3口と第4口が連通するように切換えると共に、開閉弁15,開閉弁16をそれぞれ開とし、開閉弁75を閉とする。
圧縮機1から吐出された高温高圧の蒸気冷媒は、熱源側熱交換器3で凝縮液化され、液配管81、開閉弁15、液側接続口Bから液延長配管84を経て第1,第2の利用側減圧装置7a,7bに流入し、低温低圧の二相冷媒となる。この二相冷媒は、それぞれ第1,第2の利用側熱交換器8a,8bで、第1,第2の利用側送風機22a,22bによって送り込まれた室内空気から吸熱し、自らは蒸発する。この低温低圧の蒸気冷媒は、蒸気延長配管85、第1の蒸気側接続口A、蒸気配管82、開閉弁16、四方弁2の第4口から第3口を経て、アキュムレータ4から圧縮機1の吸入側へ戻る。この時、第1,第2の利用側送風機22a,22bによって利用側熱交換器8a,8bへ送り込まれた室内空気は、低温低圧の二相冷媒によって冷却されて室内へ吹き出され、室内を冷房する。
【0144】
<一般暖房運転>
室外ユニット101内部の四方弁2は第1口と第4口が連通し、第2口と第3口が連通するように切換えると共に、開閉弁15,16をそれぞれ開とし、開閉弁75を閉とする。
圧縮機1で圧縮され高温高圧となった冷媒は、四方弁2の第1口から第4口、蒸気配管82、開閉弁16、蒸気側接続口A、蒸気延長配管85を経て第1,第2の利用側熱交換器8a,8bに流入する。ここで、この高温高圧の冷媒は、第1,第2の利用側送風機22a,22bによって送り込まれる室内空気に放熱して室内を暖房すると共に自らは凝縮液化する。この凝縮液化した中温高圧の液冷媒は第1,第2の利用側減圧装置7a,7bで減圧され、低温低圧の気液二相冷媒となって液延長配管84、液側接続口B、液配管81、開閉弁15を経て熱源側熱交換器3に流入する。ここで、低温低圧の気液二相冷媒は、室外送風機21によって送り込まれる外気から吸熱するとともに自らは蒸発する。この低温低圧の蒸気冷媒は、四方弁2の第2口から第3口、およびアキュムレータ4を経て圧縮機1の吸入側に戻る。
【0145】
<冷媒自然循環暖房運転>
この運転モードは、例えば冬季夕方の16時〜18時などの消費電力量の削減要求の高い時間帯を中心に運転する。
室外ユニット101内部の開閉弁15,16をそれぞれ閉とし、開閉弁75を開とする。圧縮機1の動作を停止し、加熱手段である灯油バーナまたはガスバーナ71を動作させる。
第1,第2の利用側熱交換器8a,8bで第1,第2の利用側送風機22a,22bによって送り込まれた室内空気へ放熱して凝縮液化した液冷媒は、液延長配管84を重力によって降下して、液側接続口B、開閉弁75から室内ユニット103a,103bより下方にあるバーナ熱交換器配管73に流入する。ここで、灯油バーナまたはガスバーナ71で加熱され自らは蒸発する。そして、この蒸気冷媒は、バーナ熱交換器配管73の上方接続口から流出し、逆止弁74、蒸気配管82、蒸気側接続口Aから蒸気延長配管85を経て、上方にある第1,第2の利用側熱交換器8a,8bに流入する。このように、利用側熱交換器8a,8bに送り込まれる室内空気温度とバーナ熱交換器配管73周囲との温度差および重力を利用した冷媒自然循環暖房運転が行われる。
【0146】
ここで、開閉弁15は、冷媒自然循環暖房運転時に、液配管81を流れる液冷媒が熱源側熱交換器3の液側接続口への配管に流入するのを阻止している。この開閉弁15と開閉弁75との代わりに、液配管81のバーナ熱交換器配管73の下方接続口への接続部に三方弁を設けて接続方向を制御することで、同様の機能を発揮する。また、開閉弁16は蒸気配管82を流れる蒸気冷媒が圧縮機1への配管に流入するのを阻止している。この開閉弁16と逆止弁74との代わりに、蒸気配管82のバーナ熱交換器配管73の上方接続口への接続部に三方弁を設けて接続方向を制御することで、同様の機能を発揮する。
【0147】
これは、利用側の装置を小型化し、かつ熱搬送動力を全く必要とせずに暖房運転できる。また、冷凍サイクルを構成する暖房装置や冷房装置に適用することで、利用側の利用負荷が集中して消費電力量が最高となる電力ピークに時間帯に、灯油バーナやガスバーナなどの熱源を利用して暖房を行い、消費電力量の削減を図ることができる。特に、灯油バーナやガスバーナなどの熱源を室外ユニット101に収納して冷媒自然循環作用を利用して熱搬送すれば、室内空気をクリーンに保つことができる。
【0148】
なお、バーナ熱交換器配管73において、冷媒をバーナで加熱する代わりに、工場蒸気やボイラの廃熱,温泉水,地熱,工業プロセス廃熱など、従来はそのまま捨てられがちであった温熱が他から得られれば、これを、バーナ熱交換器配管73内を通過する冷媒の加熱に利用することにより、熱搬送動力を全く必要としない、かつ温排熱を再利用できる暖房運転が可能となる。
【0149】
また、本参考形態のような灯油バーナまたはガスバーナ74とバーナ熱交換器配管73とバーナ熱交換器伝熱面74で構成された冷媒加熱機構を、例えば参考形態5、参考形態6、実施の形態7、実施の形態8に付加してもよい。実施の形態5〜実施の形態8では、自然循環用熱交換器41を利用側熱交換器8a,8bよりも高いところに配設し、冷媒自然循環冷房運転を行なって冷房運転の電力ピークカットを実現していた。これに加えて、例えば実施の形態5の図9の構成で、さらに、第1の蒸気側接続口Aと最も低所に設置されている利用側熱交換器8bの蒸気側配管が接続されている蒸気配管の間と、第1の液側接続口Bと最も低所に設置されている利用側熱交換器8bの液側配管が接続されている液配管との間とを冷媒自然循環暖房用配管で接続する。そして、その途中に灯油バーナまたはガスバーナ71とバーナ熱交換器配管73とバーナ熱交換器伝熱面72で構成された冷媒加熱機構を設置する。さらに、この加熱機構を各利用側熱交換器8a,8bより下方に設置すれば、実施の形態5に加えて、冷媒自然循環作用を利用した冷媒加熱式暖房運転を行なって暖房運転の電力ピークカットが可能となる。
【0150】
また、参考形態5、参考形態6、実施の形態7、実施の形態8において、液化天然ガスの冷熱や冷凍・冷蔵倉庫の冷熱または冷凍・冷蔵用熱交換器で蒸発した冷媒蒸気の冷熱など、従来はそのまま捨てられがちであった冷熱が他から得られれば、これを、自然循環用熱交換器41内の第1の熱交換部42の冷却に利用することにより、熱搬送動力を全く必要としない冷媒自然循環作用を利用した、かつ冷排熱を再利用できる冷房運転が可能となる。
【0151】
なお、参考形態1〜参考形態6、実施の形態7〜実施の形態10、参考形態11では、利用側熱交換器は2台の例を示したが、1台しか接続されていなくても、また3台以上接続されていてもよいことは言うまでもない。また、便宜上、複数の利用側熱交換器を上下方向に異なる位置に配置したように図では表わしているが、全てが同じ高さの位置に設置されていてもよいし、そのうちの一部またはすべての利用側熱交換器が上下方向に異なる位置に配置されていてもよい。
【0152】
さらに、参考形態1〜参考形態6、実施の形態7〜実施の形態10、参考形態11では、熱源側熱交換器3は外気に放熱する例を示したが、冷却水や河川水、海水、下水、土壌、使用しない室内空気等、外気以外のどのような環境に放熱してもよいことは言うまでもない。
【0153】
また、参考形態1〜参考形態6、実施の形態7〜実施の形態10、参考形態11では、主に蓄熱式冷凍サイクルを空気調和機に利用した例について述べたので、冷房運転および暖房運転と記したが、ショーケースや冷凍装置に適用してもよく、この場合には冷却運転および加熱運転となる。
【0154】
【0155】
【発明の効果】
以上のように本発明では、圧縮機、熱源側熱交換器、利用側減圧装置、複数の利用側熱交換器を連接してなる冷凍サイクルにおいて、蓄熱材から吸熱して冷媒が蒸発する蓄熱用熱交換器と、前記蓄熱材に放熱して冷媒が凝縮する自然循環用熱交換器とを備え、前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口を前記複数の利用側熱交換器の蒸気側接続口と前記圧縮機の吸入口との間を接続する蒸気配管に接続し、その液側接続口を前記複数の利用側熱交換器の液側接続口と前記熱源側熱交換器の液側接続口との間を接続する液配管に蓄熱用減圧装置を介して接続し、前記自然循環用熱交換器の蒸気側接続口を前記複数の利用側熱交換器の蒸気側接続口と前記圧縮機の吸入口との間を接続する蒸気配管に接続し、その液側接続口を前記複数の利用側熱交換器の液側接続口と前記熱源側熱交換器の液側接続口との間を接続する液配管に開閉弁Uを介して接続し、前記自然循環用熱交換器の蒸気側接続口を液側接続口よりも上方に配設すると共にその液側接続口を前記複数の利用側熱交換器のうち最も高い位置にある利用側熱交換器の液側接続口より上方に設置し、かつ前記蓄熱材を前記蓄熱槽の外部の蓄熱材循環路に循環させ、前記蓄熱槽を収納する蓄熱ユニットの外部の前記蓄熱材循環路に設けられた前記自然循環用熱交換器を循環する冷媒と前記自然循環用熱交換器の熱交換部とを熱交換させ、冷熱蓄熱運転時に前記圧縮機、前記熱源側熱交換器、前記蓄熱用減圧装置、前記蓄熱用熱交換器に冷媒を循環させて前記蓄熱材に冷熱を蓄え、冷媒自然循環冷却運転時に前記自然循環用熱交換器、前記利用側減圧装置、前記複数の利用側熱交換器に冷媒を循環させて前記蓄熱材に蓄えた冷熱を前記複数の利用側熱交換器で冷却に利用すると共に、前記自然循環用熱交換器を循環する冷媒が前記熱交換部で前記蓄熱材循環路を循環する前記蓄熱材に放熱して凝縮するよう構成したことを特徴とすることにより、蓄熱用熱交換器の構成に制約を加えることなく、圧縮機を停止した冷媒自然循環冷却運転が可能であり、冷却運転を行っている際の電力のピークカットができる冷凍サイクルが得られる。
【0156】
【0157】
また、本発明によれば、冷媒自然循環冷却運転時に、凝縮した液冷媒が熱源側熱交換器の液側接続口へ流れるのを阻止する開閉弁Pを備えたことを特徴とすることにより、冷却運転時に電力のピークカットができ、さらに冷媒充填量を削減して低価格にでき、また、より安定的に運用することができる冷凍サイクルが得られる。
【0158】
また、本発明によれば、蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口への接続部と熱源側熱交換器の蒸気側接続口との間の蒸気配管に設置され、圧縮機の吐出側と吸入側の冷媒流路を切換えて利用側熱交換器での冷却と加熱を可能とする流路切換装置と、前記利用側熱交換器の蒸気側接続口と前記流路切換装置との間を接続する蒸気配管と前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口との間に設置された開閉弁Qとを備え、一般加熱運転時に、前記開閉弁Qによって前記圧縮機の吐出口から前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口への冷媒の流れを阻止し、前記圧縮機,前記利用側熱交換器,利用側減圧装置,前記熱源側熱交換器に冷媒を循環させて前記利用側熱交換器で加熱を行うことを特徴とすることにより、冷却運転における電力のピークカットができ、さらに一般加熱運転も可能な冷凍サイクルが得られる。
【0159】
【0160】
また、本発明によれば、圧縮機、熱源側熱交換器、利用側減圧装置、複数の利用側熱交換器を連接してなる冷凍サイクルにおいて、蓄熱材に放熱して冷媒が凝縮する蓄熱用熱交換器と前記蓄熱材から吸熱して冷媒が蒸発する自然循環用熱交換器とを備え、前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口を前記複数の利用側熱交換器の蒸気側接続口と前記圧縮機の吐出口との間を接続する蒸気配管に接続し、その液側接続口を前記複数の利用側熱交換器の液側接続口と前記熱源側熱交換器の液側接続口との間を接続する液配管に蓄熱用減圧装置を介して接続し、前記自然循環用熱交換器の蒸気側接続口を前記複数の利用側熱交換器の蒸気側接続口と前記圧縮機の吐出口との間を接続する蒸気配管に接続し、その液側接続口を前記利用側熱交換器の液側接続口と前記熱源側熱交換器の液側接続口との間を接続する液配管に開閉弁Uを介して接続し、前記自然循環用熱交換器の蒸気側接続口を液側接続口よりも上方に配設すると共にその液側接続口を前記複数の利用側熱交換器のうち最も下側に配置されている利用側熱交換器の液側接続口より下方に設置し、かつ前記蓄熱材を前記蓄熱槽の外部に設けられた蓄熱材循環路に循環させ、前記蓄熱槽を収納する蓄熱ユニットの外部の前記蓄熱材循環路に設けられた前記自然循環用熱交換器を循環する冷媒と前記自然循環用熱交換器の熱交換部とを熱交換させ、温熱蓄熱運転時に前記圧縮機、前記蓄熱用熱交換器、前記蓄熱用減圧装置、前記熱源側熱交換器に冷媒を循環させて前記蓄熱材に温熱を蓄え、冷媒自然循環加熱運転時に前記自然循環用熱交換器、前記複数の利用側熱交換器、前記利用側減圧装置に冷媒を循環させて前記蓄熱材に蓄えた温熱を前記複数の利用側熱交換器で加熱に利用すると共に、前記自然循環用熱交換器を循環する冷媒が前記熱交換部で前記蓄熱材循環路を循環する前記蓄熱材から吸熱して蒸発するよう構成したことを特徴とすることにより、蓄熱用熱交換器の構成に制約を加えることなく、圧縮機を停止した冷媒自然循環加熱運転が可能であり、電力のピークカットができる冷凍サイクルが得られる。
【0161】
【0162】
また、本発明によれば、冷媒自然循環加熱運転時に、蒸発した蒸気冷媒が前記圧縮機へ流れるのを阻止する開閉弁Tを備えたことを特徴とすることにより、加熱運転時に電力のピークカットができ、さらに冷媒充填量を削減できる冷凍サイクルが得られる。
【0163】
また、本発明によれば、蓄熱用熱交換器の上部接続口への接続部と熱源側熱交換器との間の蒸気配管に設置され、圧縮機の吐出側と吸入側の冷媒流路を切換えて利用側熱交換器での冷却と加熱を可能とする流路切換装置と、前記利用側熱交換器の蒸気側接続口と前記流路切換装置との間を接続する蒸気配管と前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口との間に設置された開閉弁Qとを備え、一般冷却運転時に、前記開閉弁Qによって前記利用側熱交換器から前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口への冷媒の流れを阻止し、前記圧縮機,前記熱源側熱交換器,前記利用側減圧装置,前記利用側熱交換器に冷媒を循環させて前記利用側熱交換器で冷却を行うことを特徴とすることにより、加熱運転における電力のピークカットができ、さらに一般冷房運転も可能な冷凍サイクルが得られる。
【0164】
また、本発明によれば、利用側熱交換器の蒸気側接続口と圧縮機の間の蒸気配管と前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口との間と、前記蓄熱用熱交換器の液側接続口への接続部と利用側熱交換器の液側接続口の間の液配管とを接続する過冷却用液配管と、前記過冷却用液配管に設置された開閉弁Rと、前記過冷却用液配管への接続部と前記蓄熱用熱交換器の液側接続口への接続部との間の液配管に設置した開閉弁Sとを備え、冷熱蓄熱運転時に前記圧縮機,前記熱源側熱交換器,前記蓄熱用減圧装置,前記蓄熱用熱交換器に冷媒を循環させて前記蓄熱材に冷熱を蓄え、冷熱過冷却利用冷却運転時に、前記開閉弁Rによって前記過冷却用液配管を連通させると共に前記開閉弁Sによって前記熱源側熱交換器から流出した冷媒を前記蓄熱用熱交換器の液側接続口へ流し、前記圧縮機,熱源側熱交換器、蓄熱用熱交換器,前記過冷却用液配管,利用側減圧装置,利用側熱交換器に冷媒を循環させて前記蓄熱材に蓄えた冷熱を前記利用側熱交換器で冷却に利用することを特徴とすることにより、冷却運転で過冷却度を大きくでき、消費電力量をさらに削減できる冷凍サイクルが得られる。
【0165】
また、本発明によれば、蓄熱材として、水または水に凍結温度を低下させる溶質を混合した水溶液であることを特徴とすることにより、圧縮機を停止した冷媒自然循環冷却運転がさらに広い範囲で可能となり、消費電力量をさらに多く削減できる冷凍サイクルが得られる。
【0166】
【0167】
【0168】
また、本発明によれば、冷媒自然循環冷房運転または冷媒自然循環暖房運転で冷媒が循環する蓄熱用熱交換器または自然循環用熱交換器または利用側熱交換器の各冷媒流路に沿った鉛直方向の位置が、蒸気側接続口から液側接続口に至るまでの間で上昇することがないように構成したことを特徴とすることにより、圧縮機を停止した冷房または加熱運転がさらに広い運転範囲で可能であり、電力のピークカットがさらに広い運転範囲でできる冷凍サイクルが得られる。
【0169】
また、本発明によれば、蓄熱用熱交換器または自然循環用熱交換器を通過する一流路当りの冷媒質量流量が、液側に比べ蒸気側の方が小さくなるように前記熱交換器を構成したことを特徴とすることにより、冷凍サイクルの蓄熱運転および蓄熱利用運転時の運転効率を向上することができる冷凍サイクルが得られる。
【0170】
【0171】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考形態1による蓄熱式冷凍サイクルを示す構成図である。
【図2】 参考形態1に係わる蓄熱量の時間に対する消費パターンを示す特性図である。
【図3】 参考形態1に係わる運転モードの切換え手順を示す説明図である。
【図4】 参考形態1に係わる蓄熱槽を一部切り欠いて蓄熱用熱交換器を示す斜視図である。
【図5】 参考形態1に係わる蓄熱用熱交換器を示す構成図である。
【図6】 参考形態1に係わる蓄熱用熱交換器を示す構成図である。
【図7】 本発明の参考形態2による蓄熱式冷凍サイクルを示す構成図である。
【図8】 本発明の参考形態3による蓄熱式冷凍サイクルを示す構成図である。
【図9】 本発明の参考形態5による蓄熱式冷凍サイクルを示す構成図である。
【図10】 本発明の参考形態6による蓄熱式冷凍サイクルを示す構成図である。
【図11】 本発明の実施の形態7による蓄熱式冷凍サイクルを示す構成図である。
【図12】 実施の形態7に係わる蓄熱式冷凍サイクルの他の構成を示す構成図である。
【図13】 本発明の実施の形態8による蓄熱式冷凍サイクルを示す構成図である。
【図14】 本発明の実施の形態9による蓄熱式冷凍サイクルを示す構成図である。
【図15】 本発明の参考形態11による蓄熱式冷凍サイクルを示す構成図である。
【図16】 従来の蓄熱式冷凍サイクルを示す構成図である。
【符号の説明】
1 圧縮機、2 四方弁、3 熱源側熱交換器、4 アキュムレータ、5 蓄熱用減圧装置、6 蓄熱用熱交換器、7a,7b 第1,第2の利用側減圧装置、8a,8b 第1,第2の利用側熱交換器、11 開閉弁Q、12 開閉弁R、13 開閉弁S、15 開閉弁P、16 開閉弁T、18 開閉弁U、21 利用側送風機、22a,22b 第1,第2の熱源側送風機、31,32 第1,第2の温度検出器、41 自然循環用熱交換器、71 加熱手段、73 自然循環用熱交換器、83 過冷却用液配管、86 蓄熱材循環路、98 蓄熱材、99 蓄熱槽、101 室外ユニット、102 蓄熱ユニット、103a,103b 第1,第2の室内ユニット。

Claims (10)

  1. 圧縮機、熱源側熱交換器、利用側減圧装置、複数の利用側熱交換器を連接してなる冷凍サイクルにおいて、蓄熱材から吸熱して冷媒が蒸発する蓄熱用熱交換器と、前記蓄熱材に放熱して冷媒が凝縮する自然循環用熱交換器とを備え、前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口を前記複数の利用側熱交換器の蒸気側接続口と前記圧縮機の吸入口との間を接続する蒸気配管に接続し、その液側接続口を前記複数の利用側熱交換器の液側接続口と前記熱源側熱交換器の液側接続口との間を接続する液配管に蓄熱用減圧装置を介して接続し、前記自然循環用熱交換器の蒸気側接続口を前記複数の利用側熱交換器の蒸気側接続口と前記圧縮機の吸入口との間を接続する蒸気配管に接続し、その液側接続口を前記複数の利用側熱交換器の液側接続口と前記熱源側熱交換器の液側接続口との間を接続する液配管に開閉弁Uを介して接続し、前記自然循環用熱交換器の蒸気側接続口を液側接続口よりも上方に配設すると共にその液側接続口を前記複数の利用側熱交換器のうち最も高い位置にある利用側熱交換器の液側接続口より上方に設置し、かつ前記蓄熱材を前記蓄熱槽の外部の蓄熱材循環路に循環させ、前記蓄熱槽を収納する蓄熱ユニットの外部の前記蓄熱材循環路に設けられた前記自然循環用熱交換器を循環する冷媒と前記自然循環用熱交換器の熱交換部とを熱交換させ、冷熱蓄熱運転時に前記圧縮機、前記熱源側熱交換器、前記蓄熱用減圧装置、前記蓄熱用熱交換器に冷媒を循環させて前記蓄熱材に冷熱を蓄え、冷媒自然循環冷却運転時に前記自然循環用熱交換器、前記利用側減圧装置、前記複数の利用側熱交換器に冷媒を循環させて前記蓄熱材に蓄えた冷熱を前記複数の利用側熱交換器で冷却に利用すると共に、前記自然循環用熱交換器を循環する冷媒が前記熱交換部で前記蓄熱材循環路を循環する前記蓄熱材に放熱して凝縮するよう構成したことを特徴とする冷凍サイクル。
  2. 冷媒自然循環冷却運転時に、凝縮した液冷媒が熱源側熱交換器の液側接続口へ流れるのを阻止する開閉弁Pを備えたことを特徴とする請求項1記載の冷凍サイクル。
  3. 蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口への接続部と熱源側熱交換器の蒸気側接続口との間の蒸気配管に設置され、圧縮機の吐出側と吸入側の冷媒流路を切換えて利用側熱交換器での冷却と加熱を可能とする流路切換装置と、前記利用側熱交換器の蒸気側接続口と前記流路切換装置との間を接続する蒸気配管と前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口との間に設置された開閉弁Qとを備え、一般加熱運転時に、前記開閉弁Qによって前記圧縮機の吐出口から前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口への冷媒の流れを阻止し、前記圧縮機、前記利用側熱交換器、利用側減圧装置、前記熱源側熱交換器に冷媒を循環させて前記利用側熱交換器で加熱を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の冷凍サイクル。
  4. 圧縮機、熱源側熱交換器、利用側減圧装置、複数の利用側熱交換器を連接してなる冷凍サイクルにおいて、蓄熱材に放熱して冷媒が凝縮する蓄熱用熱交換器と前記蓄熱材から吸熱して冷媒が蒸発する自然循環用熱交換器とを備え、前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口を前記複数の利用側熱交換器の蒸気側接続口と前記圧縮機の吐出口との間を接続する蒸気配管に接続し、その液側接続口を前記複数の利用側熱交換器の液側接続口と前記熱源側熱交換器の液側接続口との間を接続する液配管に蓄熱用減圧装置を介して接続し、前記自然循環用熱交換器の蒸気側接続口を前記複数の利用側熱交換器の蒸気側接続口と前記圧縮機の吐出口との間を接続する蒸気配管に接続し、その液側接続口を前記利用側熱交換器の液側接続口と前記熱源側熱交換器の液側接続口との間を接続する液配管に開閉弁Uを介して接続し、前記自然循環用熱交換器の蒸気側接続口を液側接続口よりも上方に配設すると共にその液側接続口を前記複数の利用側熱交換器のうち最も下側に配置されている利用側熱交換器の液側接続口より下方に設置し、かつ前記蓄熱材を前記蓄熱槽の外部に設けられた蓄熱材循環路に循環させ、前記蓄熱槽を収納する蓄熱ユニットの外部の前記蓄熱材循環路に設けられた前記自然循環用熱交換器を循環する冷媒と前記自然循環用熱交換器の熱交換部とを熱交換させ、温熱蓄熱運転時に前記圧縮機、前記蓄熱用熱交換器、前記蓄熱用減圧装置、前記熱源側熱交換器に冷媒を循環させて前記蓄熱材に温熱を蓄え、冷媒自然循環加熱運転時に前記自然循環用熱交換器、前記複数の利用側熱交換器、前記利用側減圧装置に冷媒を循環させて前記蓄熱材に蓄えた温熱を前記複数の利用側熱交換器で加熱に利用すると共に、前記自然循環用熱交換器を循環する冷媒が前記熱交換部で前記蓄熱材循環路を循環する前記蓄熱材から吸熱して蒸発するよう構成したことを特徴とする冷凍サイクル。
  5. 冷媒自然循環加熱運転時に、蒸発した蒸気冷媒が前記圧縮機へ流れるのを阻止する開閉弁Tを備えたことを特徴とする請求項4記載の冷凍サイクル。
  6. 蓄熱用熱交換器の上部接続口への接続部と熱源側熱交換器との間の蒸気配管に設置され、圧縮機の吐出側と吸入側の冷媒流路を切換えて利用側熱交換器での冷却と加熱を可能とする流路切換装置と、前記利用側熱交換器の蒸気側接続口と前記流路切換装置との間を接続する蒸気配管と前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口との間に設置された開閉弁Qとを備え、一般冷却運転時に、前記開閉弁Qによって前記利用側熱交換器から前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口への冷媒の流れを阻止し、前記圧縮機、前記熱源側熱交換器、前記利用側減圧装置、前記利用側熱交換器に冷媒を循環させて前記利用側熱交換器で冷却を行うことを特徴とする請求項5に記載の冷凍サイクル。
  7. 利用側熱交換器の蒸気側接続口と圧縮機の間の蒸気配管と前記蓄熱用熱交換器の蒸気側接続口との間と、前記蓄熱用熱交換器の液側接続口への接続部と利用側熱交換器の液側接続口の間の液配管とを接続する過冷却用液配管と、前記過冷却用液配管に設置された開閉弁Rと、前記過冷却用液配管への接続部と前記蓄熱用熱交換器の液側接続口への接続部との間の液配管に設置した開閉弁Sとを備え、冷熱蓄熱運転時に前記圧縮機、前記熱源側熱交換器、前記蓄熱用減圧装置、前記蓄熱用熱交換器に冷媒を循環させて前記蓄熱材に冷熱を蓄え、冷熱過冷却利用冷却運転時に、前記開閉弁Rによって前記過冷却用液配管を連通させると共に前記開閉弁Sによって前記熱源側熱交換器から流出した冷媒を前記蓄熱用熱交換器の液側接続口へ流し、前記圧縮機、熱源側熱交換器、蓄熱用熱交換器、前記過冷却用液配管、利用側減圧装置、利用側熱交換器に冷媒を循環させて前記蓄熱材に蓄えた冷熱を前記利用側熱交換器で冷却に利用することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の冷凍サイクル。
  8. 蓄熱材は、水または水に凍結温度を低下させる溶質を混合した水溶液であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の冷凍サイクル。
  9. 冷媒自然循環冷房運転または冷媒自然循環暖房運転で冷媒が循環する蓄熱用熱交換器または自然循環用熱交換器または利用側熱交換器の各冷媒流路に沿った鉛直方向の位置が、蒸気側接続口から液側接続口に至るまでの間で上昇することがないように構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の冷凍サイクル。
  10. 蓄熱用熱交換器または自然循環用熱交換器を通過する一流路当りの冷媒質量流量が、液側に比べ蒸気側の方が小さくなるように前記熱交換器を構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項9いずれか1項に記載の冷凍サイクル。
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