JP3896700B2 - 生化学物質処理装置および生化学物質処理方法 - Google Patents

生化学物質処理装置および生化学物質処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞や微生物などの生化学物質の培養や分注処理を行う生化学物質処理装置および生化学物質処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生化学分野においては、微生物などの生化学物質の培養や分注などの各種の処理が行われる。これらの処理は、通常多数の試料を対象として系統的に行われる場合が多い。このため培養や分注などの処理を行う処理装置は、試料を収容する容器であるプレートを多数収納できるようになっている。そして一連の生化学処理の開始に際しては、所定の試料を収容したプレートと、培養器であるインキュベータ内の載置位置との関連付けを行い、個々の試料を正しく識別できるようにする必要がある。従来この関連付けは、作業者がプレートをセットする際にその位置をコンピュータなどに入力することにより記憶させるか、あるいは予め準備されたリストの指定に従って定められた載置位置にセットするなどの方法が用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の方法はいずれも作業者が個々のプレートを個別に確認することによるものであるため、多数のプレートを対象とする場合には多大の労力と時間を要し、作業能率が悪いものであった。また、全て人手による作業であるため、コンピュータへの入力ミスやリストやプレートの識別マークの視認ミスによる誤セットが発生しやすく、これらのミスが発見されないまま各種の処理や試験が進行した場合には、誤った処理結果や試験結果を導くおそれがあり、結果的に全く無駄な作業を行って材料的、時間的に大きな損失を招く場合があった。このように、従来の生化学処理においては、試料の特定と確認を人手に委ねていることに起因して、作業能率が悪く処理や試験の結果の信頼性が必ずしも確保されないという問題点があった。
【0004】
そこで本発明は、試料セット時の作業能率を向上させ、処理や試験の結果の信頼性を確保することができる生化学物質処理装置および生化学物質処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の生化学物質処理装置は、所定の環境条件に維持された筐体の内部に生化学物質を収容した容器を複数個収納する生化学物質処理装置であって、前記筐体内部に配置され前記容器を載置するための複数の載置部を有する試料テーブルと、前記載置部とこの載置部に載置される容器もしくはこの容器に収容される生化学物質との対応関係を特定する予め作成された配膳データを記憶する配膳データ記憶部と、前記筐体の扉を開放して手作業により前記載置部にセットされた前記容器に付された識別マークを生化学物質処理に先だって読み取る識別マーク読み取り手段と、この識別マーク読み取り手段で読み取った識別マークの情報に基づいて前記試料テーブル上での実際の容器の載置位置を前記配膳データと照合する照合手段とを備えた。
【0006】
請求項2記載の生化学物質処理装置は、請求項1記載の生化学物質処理装置であって、前記照合手段による照合結果を表示する表示手段を備えた。
【0007】
請求項3記載の生化学物質処理装置は、所定の環境条件に維持された筐体の内部に生化学物質を収容した容器を複数個収納する生化学物質処理装置であって、前記筐体内部に配置され前記容器を載置するための複数の載置部を有する試料テーブルと、前記載置部に載置された前記容器に付された識別マークを生化学物質処理に先だって読み取る識別マーク読み取り手段と、前記識別マーク読み取り手段で読み取った容器の識別マークの情報もしくはこの識別マークの情報に関連付けされた他の情報とこの容器が実際に載置されている試料テーブル上での載置位置に関する情報とを関連付けて記憶する配膳データ記憶部とを備えた。
【0008】
請求項4記載の生化学物質処理方法は、所定の環境条件に維持された筐体の内部に配置した試料テーブルの複数の載置部に生化学物質を収容した複数個の容器を載置して収納しておき、予め定められた処理手順に従って前記筐体の内部の載置部から前記容器を取り出してこの容器内の生化学物質を処理する生化学物質処理方法であって、前記処理に先立って、手作業にて前記載置部に載置された容器の識別マークを識別マーク読み取り手段で読み取り、前記載置部とこの載置部に載置される容器もしくはこの容器に収容される生化学物質との対応関係を特定する予め作成された配膳データより、前記読み取られた識別マークに関連付けされている載置部の棚番号と実際にこの容器が載置されている載置部の棚番号とを照合するようにした。
【0009】
請求項5記載の生化学物質処理方法は、所定の環境条件に維持された筐体の内部に生化学物質を収容した容器を複数個収納しておき、予め定められた処理手順に従って前記筐体から前記容器を取り出してこの容器内の生化学物質を処理する生化学物質処理方法であって、前記処理に先立って、前記筐体内に配置されたテーブルの載置位置に載置されている容器の識別マークを識別マーク読み取り手段で読み取り、この容器が載置されている載置位置に関する情報と前記識別マーク読み取り手段で読み取った識別マークの情報もしくはこの識別マークの情報に関連付けされた他の情報とを関連付けして、配膳データ記憶部に登録する登録プログラムを実行するようにした。
【0010】
請求項1および4記載の発明によれば、生化学物質を収容した容器を載置する載置部と、この容器もしくはこの容器に収容される生化学物質との対応関係を特定する配膳データと、容器に付された識別マークを読み取った結果とを照合することにより、作業者による載置位置の確認作業を省略することができ、作業能率および処理結果の信頼性を向上させることができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、上記照合の結果を表示する表示手段を備えることにより、誤セット状態を速かに確認でき修正などの必要な処置を迅速に行うことができる。
【0012】
請求項3,5記載の発明によれば、識別マーク読み取り手段で読み取った容器の識別マークの情報もしくはこの識別マークの情報に関連付けされた他の情報と、この容器が実際に載置されている載置位置に関する情報とを関連付けて配膳データ記憶部に記憶させることにより、作業者が任意の位置に容器を載置しても正しい配膳データが作成され、作業能率および処理結果の信頼性を向上させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の生化学物質処理装置の斜視図、図2、図3は同インキュベータの平断面図、図4は同インキュベータの側断面図、図5は同生化学物質処理装置の制御系の構成を示すブロック図、図6、図7は同生化学物質処理に先だって行われる照合プログラムのフロー図である。
【0014】
まず図1を参照して生化学物質処理装置について説明する。図1において、生化学物質処理装置はインキュベータ1と分注装置6より構成される。インキュベータ1は略箱型の筐体2より成り、前面には開閉自在な扉3が設けられ、側面にはプレート出し入れ口4が設けられている。プレート出し入れ口4はシャッタ5を備えている。
【0015】
インキュベータ1と隣接して分注装置6が配設されている。分注装置6の基台7上面は分注ステージ8となっており、分注ステージ8には複数のプレート9が載置されている。プレート9は、生化学物質などを含む試料を収容するウェルを多数備えた容器である。分注ステージ8上にはX軸テーブル10が配設されており、X軸テーブル10には多数の分注チップ12が装着された分注ヘッド11が結合されている。X軸テーブル10を駆動することにより分注ヘッド11は分注ステージ8内を移動し、載置されたプレート9のうちの1つから試料を吸引し、他のプレート9へ吐出する分注作業を行う。
【0016】
また分注ステージ8上には、プレート搬送機構13が設けられている。プレート搬送機構13はX軸テーブル14、Y軸テーブル15、Zθ軸テーブル16およびZθ軸テーブル16に結合された移載ヘッド17より構成される。プレート搬送機構13を駆動することにより、分注ステージ8上のプレート9を移載ヘッド17によってクランプし、インキュベータ1の内部に搬入しまたインキュベータ1から取り出す出し入れ作業を、プレート出し入れ口4を介して行うことができる。
【0017】
次に、図2、図3、図4を参照してインキュベータ1の内部構造について説明する。図2において、筐体2はウォータジャケット(図示省略)を内蔵した断熱壁を有しており、環境コントロール部である環境コントローラ(図外)によって筐体2の内部の温度や湿度、二酸化炭素濃度などの環境条件を所定の条件に維持するようになっている。
【0018】
筐体2の前面には第1開口部2aが設けられ、第1開口部2aは第1の扉である扉3によって開閉自在となっている。また筐体2の側面には第2開口部2bが設けられている。第2開口部2bはプレート9が通過できる大きさとなっており、プレート出し入れ口4として用いられる。第2開口部2bには上下方向に開閉自在の第2の扉であるシャッタ5が設けられている。シャッタ5は駆動手段であるシリンダ19(図4参照)によって上下方向に自動的に開閉する。図3は扉3が開放されて第1開口部2aが開けられ、第2開口部2bがシャッタ5により閉じられた状態を示している。プレート出し入れ口4の側方には、識別マーク読み取り手段であるバーコード読み取り部18が設けられている。各プレート9の側面には識別マークであるバーコドが付されており、バーコード読み取り部18は移載ヘッド17に把持されたプレート9のバーコードを読み取る(図2参照)。
【0019】
次に、筐体2の内部構造について説明する。図2に示すように、筐体2内には円形の試料テーブル21が配設されている。試料テーブル21は中心部に円孔21aが設けられた円環部材であり、試料テーブル21の上面には、プレート9を載置するための複数の載置部21bが放射状に配置されており、各載置部21bにはプレート9が載置される。すなわち、試料テーブル21には複数個(本実施の形態では12個)のプレート9が載置される。試料テーブル21の各載置部21bには、図2に示すように各載置部21bの位置を特定する番号が時計回りに付されている。
【0020】
図4(図2のA−B−C断面を示している)に示すように、筐体2の内部には複数の試料テーブル21が連結部材26によって上下に連結されて回転棚20となっている。回転棚20を構成する各試料テーブル21には、下から順にA、B、C・・の符号が付されており、この符号によって試料テーブル21が特定される。この符号A、B、C・・と前述の各試料テーブル21の載置部21bの番号を組み合わせることにより(例:A−01)、回転棚20の各載置部21bを特定する番号(以下、棚番号と称する)が設定される。
【0021】
回転棚20は、昇降プレート28に回転自在に支持されたスプライン軸受27に連結部材26を介して結合されている。スプライン軸受27にはスプライン軸25が挿通しており、スプライン軸25にはプーリ34が結合されている。筐体2内の上部を仕切る頂板29上に配設されたR軸モータ30にはプーリ32が結合され、プーリ32とプーリ34にはベルト33が調帯されている。したがってR軸モータ30を駆動することによりスプライン軸25が回転し、これにより回転棚20はスプライン軸25の廻りに回転運動を行う。
【0022】
昇降プレート28の対角位置の2ヶ所には2つのナット24が結合されており、2つのナット24には送りねじ23が上下方向に螺入している。頂板29に軸支された送りねじ23の上端部には、プーリ38が結合されている。頂板29上に配設されたZ軸モータ35にはプーリ37が結合されており、プーリ37とプーリ38にはベルト39が調帯されている。モータ35を駆動することにより送りねじ23が回転し、昇降プレート28は昇降動作を行う。この昇降動作は、2本のスライドガイド22(図2参照)によってガイドされる。
【0023】
昇降プレート28の昇降に伴って、回転棚20も同様に昇降するが、このときスプライン軸25によって回転棚20は常に回転可能なので、回転棚20は回転動作と昇降動作を同時に行うことができる。R軸モータ30、Z軸モータ35はそれぞれエンコーダ31,36を備えており、エンコーダ31,36はそれぞれR軸モータ30,Z軸モータ35の回転量を示すパルス信号を発生する。したがってこれらのパルス信号をカウントすることにより、各棚番号が付された載置部21bの現在位置を特定することができ、任意の棚番号の載置部21bに載置されたプレート9を、プレート出し入れ口4に位置させることができる。
【0024】
次に図5を参照して生化学物質処理装置の制御系の構成を説明する。図5において、X軸テーブル10を含む分注ヘッド駆動機構10aおよびプレート搬送機構13は、制御部50により動作を制御される。移載ヘッド17に設けられたプレート検出センサ17aの検出信号は制御部50に伝達される。バーコード処理部43はバーコード読み取り部18を制御し、読み取られたバーコードのデータを制御部50に伝達する。
【0025】
R軸モータ駆動部44は回転棚を回転させるR軸モータ30を駆動する。R軸モータ30に備えられたR軸エンコーダ31のパルス信号は、制御部50のR軸カウンタ51によってカウントされる。Z軸モータ駆動部45は回転棚を昇降させるZ軸モータ35を駆動する。Z軸モータに備えられたZ軸エンコーダ36のパルス信号は、制御部50のZ軸カウンタ52によってカウントされる。
【0026】
入力部53はマウスやキーボード等であり、操作コマンドやデータの入力を行う。表示部54はモニタ用のディスプレイ装置であり、プレート9の載置位置が誤っている誤セット検出時の表示や、操作・入力時の画面表示を行う。記憶部55には、記憶データの内容にしたがって以下に説明する記憶部が設けられており、各記憶部にはそれぞれ対応した内容のデータやプログラムが記憶される。
【0027】
アッセイ手順記憶部56には培養や分注などの各種処理の手順を示すアッセイプログラムが記憶される。プレートデータ記憶部57は、プレート9に付されたバーコードのデータ(バーコード番号)と、そのプレートに収容される試料の種類を示すデータを関連付けて記憶する。配膳データ記憶部58は、プレート9に付されたバーコードのデータと、そのプレート9が載置される位置を特定するデータ、すなわちプレート9が載置される載置部21bの棚番号(図2に示す棚番号参照)とを関連付けて記憶する。なお、プレート9に収容される試料の種類を示すデータを直接上記棚番号と関連付けて記憶させるようにしてもよい。すなわち、配膳データは載置部とこの載置部に載置される容器もしくはこの容器に収容される生化学物質との対応関係を特定するものである。
【0028】
誤セットデータ記憶部59は、読みとられたプレート9のバーコードのデータを配膳データと照合した結果、載置位置が誤っていると判定された誤セットデータを記憶する。この照合結果である誤セットデータは表示手段である表示部54に表示される。棚番号データ記憶部60は、各試料テーブル21の載置部21bに対応する棚番号と、各棚番号に対応する各載置部21bの位置を示すR軸およびZ軸のカウント値を記憶する。すなわち、各載置部21bの位置はこれらのカウント値によって特定され、棚番号を指定することにより対応した載置部21bをプレート出し入れ口4に位置させることができる。プログラム記憶部61は、上記処理、動作に必要なプログラムを記憶する。
【0029】
この生化学物質処理装置は上記のように構成されており、以下生化学物質処理に先だって行われる照合プログラムの内容について図6、図7のフローに沿って説明する。この生化学物質処理は、所定の環境条件に維持されたインキュベータ1の内部に生化学物質を収容したプレート9を複数個収納しておき、予め定められたアッセイ手順に従ってインキュベータ1からプレート9を取り出して,プレート9に収容された生化学物質の分注や分析などの処理を行うものである。
【0030】
まず、扉3を開放して所定の試料を収容したプレート9をインキュベータ1内の試料テーブル21の所定の棚番号の載置部にセットする作業が行われる。この作業は作業者が予め作成されて紙等に印字された配膳データ(配膳リスト)を参照しながら手作業にて行う。全てのプレートのセットが完了したら扉3を閉め、入力部53より照合プログラムの開始を入力し、照合プログラムを実行させる。照合作業は棚番号A−01より開始される。
【0031】
まず、棚番号A−01をプレート出し入れ口4に位置決めする(ST1)。次にこの棚番号で示される載置部21bにセットされている所定のプレート9を搬送部(移載ヘッド17)で把持する(ST2)。そして移載ヘッド17に設けられたプレート検出センサ17aによりプレート9の有無を検出する。
【0032】
ここでプレート有無が判定され(ST3)、プレート有りと判定されたならば、プレート9をバーコード読み取り位置へ移動する(図2参照)(ST4)。ここでは、インキュベータ1の側面のプレート出し入れ口4の側方にバーコード読み取り部18を設けた例を示しているが、インキュベータ1の内部の、試料テーブル21に載置された状態のプレート9のバーコードを読みとれる位置に、バーコード読み取り部を設けてもよい。
【0033】
そしてプレート9の側面に付されたバーコードを読み取り(ST5)、読み取ったバーコードのデータを配膳データと照合する(ST6)。この照合は、制御部50によって配膳データ記憶部58からバーコードが読み取られたプレート9の配膳データを読み出し、このプレート9のバーコードのデータに関連付けされている載置部の棚番号とプレート出し入れ口4に位置している載置部の棚番号を対比することにより行われる。したがって、制御部50は実際のプレートの載置位置と配膳データを照合する照合手段となっている。
【0034】
なお、ST3でプレート無しと判断された場合には、直接ST6に移行し、配膳データとの照合が行われる。この場合の照合は、プレート出し入れ口4に位置している載置部の棚番号について、プレート9のバーコードのデータと関連付けされていないかを確認する。この棚番号の載置部にプレート9の載置が予定されていればこの棚番号とバーコードのデータが関連付けられているので、プレート9が検出されなかったら不一致と判断できる。
【0035】
次にST6における照合の結果が判定され(ST7)、ここで不一致の場合、すなわち配膳データに示すプレート9と異るバーコードが付されたプレート9を把持している場合、またはプレート9の載置が予定されているにも拘らずプレート9を把持していない場合には誤セットと判断され、当該棚番号とバーコードのデータ(バーコード番号)を誤セットデータ記憶部59に登録する(ST8)。この登録の後、およびST7にて配膳データと一致していると判断された後に、配膳データに示す全てのプレート9について照合が完了しているか否かが判断され(ST9)、未完了であれば次の棚番号をプレート出し入れ口4に位置決めする(ST10)。
【0036】
そしてST2に戻り、同様のステップ(ST3〜ST8)を繰り返して、全てのプレート9について照合が完了したならば、図7に示すステップに進む。すなわち誤セットデータの有無が判断され(ST11)、誤セットデータ無しの場合には、全てのプレート9が正しくセットされた旨のメッセージを表示し(ST16)、照合処理を終了する。
【0037】
またST11にて誤セットデータ有りの場合には、誤セットデータ記憶部59から当該データを読み出し、誤セットデータを表示部54に表示する(ST12)。この後の処置は、自動並び替えモードが設定されているか否かによって異る。すなわち、自動並び替えモードが設定されている場合には、ST14にて自動並び替え処理、すなわち誤ってセットされたプレート9を正しい載置部21bにセットする処理を自動的に行う。そして処理完了後ST16に進み、前述のメッセージが表示される。
【0038】
またST13にて自動並び替えモードが設定されていない場合には、プレート9を並び替える指示を表示し(ST15)、この表示内容に従って、作業者によって正しいプレート9を正しい位置にセットする並び替えを行う。このように照合結果が表示されることにより、誤セット状態を速かに確認でき並び替えなどの必要な処置を迅速にかつ容易に行うことができる。
【0039】
上記説明したように、本実施の形態は、生化学物質の処理に先立って、インキュベータ1内に配置された試料テーブル21の載置部21b上に、複数のプレート9が配膳データに従って実際に正しく載置されているか否か、すなわち正しい容器が正しい載置位置に載置されているか否かを確認する照合プログラムを実行するものである。これにより、作業者が各プレート毎に個別に照合・確認を行う必要がなく、処理開始に先立って行われるプレートのセット時の作業効率を向上させることができるとともに、誤セットを防止することにより、処理結果の信頼性を確保することができる。
【0040】
(実施の形態2)
図8は本発明の実施の形態2の生化学物質処理に先だって行われる登録プログラムのフロー図である。ここでの生化学物質処理は実施の形態1と同様のものであり、本実施の形態2は、プレートのセットに際して予め配膳データが作成されず、プレート載置時に実際に載置されるプレートのバーコードを載置位置の棚番号に対応させて記憶させることにより、配膳データを作成するものである。
【0041】
図8において、ST20〜ST22は実施の形態1のST1〜ST3と同様である。ST22にてプレート有りと判断されたならば、プレート9をバーコード読み取り位置へ移動し(ST23)、バーコード読み取りを行う(ST24)。そして、読み取ったバーコード番号もしくはプレートに関する他の情報(例えば、プレートに収容されている生化学物質の種類に関する情報など)を現在の棚番号に関連させて配膳データ記憶部58に記憶する(ST25)。また、ST22にてプレート無しと判断された場合には、現在の棚番号にはプレート9が置かれていない旨の情報を配膳データ記憶部58に記憶する(ST26)。
【0042】
そして、全ての棚番号についての処理の完了が確認され(ST27)、未完了ならば次の棚番号をプレート出し入れ口4に位置決めする(ST28)。そしてST21に戻り、同様のステップを繰り返して、全ての棚番号についての処理が完了したならば配膳データを表示する(ST29)。
【0043】
すなわち、上記実施の形態2は、生化学物質処理に先立って、インキュベータ1内の試料テーブル上にプレート9が実際に載置されている載置位置に関する情報である棚番号と、この載置位置に載置されたプレートのバーコード番号、もしくはこのバーコード番号に関連付けされた他の情報、例えばプレートに収容された生化学物質の種類の情報などを関連付けして配膳データ記憶部58に登録する登録プログラムを実行するものである。
【0044】
これにより、生化学物質処理に先だって行われるプレートのセット時に、作業者は個々のプレートを特定の載置位置に対応させるための確認を行う必要がなく、セット時の作業効率を向上させることができるとともに、正しい配膳データが自動的に作成されるので処理結果の信頼性を確保することができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、生化学物質の処理に先立って、生化学物質を収容した容器が載置される載置位置と容器との対応関係の特定および照合を自動的に行うようにしたので、容器セット時の作業効率を向上させることができるとともに、処理結果の信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の生化学物質処理装置の斜視図
【図2】本発明の実施の形態1のインキュベータの平断面図
【図3】本発明の実施の形態1のインキュベータの平断面図
【図4】本発明の実施の形態1のインキュベータの側断面図
【図5】本発明の実施の形態1の生化学物質処理装置の制御系の構成を示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態1の生化学物質処理に先だって行われる照合プログラムのフロー図
【図7】本発明の実施の形態1の生化学物質処理に先だって行われる照合プログラムのフロー図
【図8】本発明の実施の形態2の生化学物質処理に先だって行われる登録プログラムのフロー図
【符号の説明】
1 インキュベータ
2 筐体
6 分注装置
9 プレート
18 バーコード読み取り部
21 試料テーブル
21b 載置部
42 環境コントローラ
50 制御部
56 アッセイ手順記憶部
57 プレートデータ記憶部
58 配膳データ記憶部

Claims (5)

  1. 所定の環境条件に維持された筐体の内部に生化学物質を収容した容器を複数個収納する生化学物質処理装置であって、前記筐体内部に配置され前記容器を載置するための複数の載置部を有する試料テーブルと、前記載置部とこの載置部に載置される容器もしくはこの容器に収容される生化学物質との対応関係を特定する予め作成された配膳データを記憶する配膳データ記憶部と、前記筐体の扉を開放して手作業により前記載置部にセットされた前記容器に付された識別マークを生化学物質処理に先だって読み取る識別マーク読み取り手段と、この識別マーク読み取り手段で読み取った識別マークの情報に基づいて前記試料テーブル上での実際の容器の載置位置を前記配膳データと照合する照合手段とを備えたことを特徴とする生化学物質処理装置。
  2. 前記照合手段による照合結果を表示する表示手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の生化学物質処理装置。
  3. 所定の環境条件に維持された筐体の内部に生化学物質を収容した容器を複数個収納する生化学物質処理装置であって、前記筐体内部に配置され前記容器を載置するための複数の載置部を有する試料テーブルと、前記載置部に載置された前記容器に付された識別マークを生化学物質処理に先だって読み取る識別マーク読み取り手段と、前記識別マーク読み取り手段で読み取った容器の識別マークの情報もしくはこの識別マークの情報に関連付けされた他の情報とこの容器が実際に載置されている試料テーブル上での載置位置に関する情報とを関連付けて記憶する配膳データ記憶部とを備えたことを特徴とする生化学物質処理装置。
  4. 所定の環境条件に維持された筐体の内部に配置した試料テーブルの複数の載置部に生化学物質を収容した複数個の容器を載置して収納しておき、予め定められた処理手順に従って前記筐体の内部の載置部から前記容器を取り出してこの容器内の生化学物質を処理する生化学物質処理方法であって、前記処理に先立って、手作業にて前記載置部に載置された容器の識別マークを識別マーク読み取り手段で読み取り、前記載置部とこの載置部に載置される容器もしくはこの容器に収容される生化学物質との対応関係を特定する予め作成された配膳データより、前記読み取られた識別マークに関連付けされている載置部の棚番号と実際にこの容器が載置されている載置部の棚番号とを照合することを特徴とする生化学物質処理方法。
  5. 所定の環境条件に維持された筐体の内部に生化学物質を収容した容器を複数個収納しておき、予め定められた処理手順に従って前記筐体から前記容器を取り出してこの容器内の生化学物質を処理する生化学物質処理方法であって、前記処理に先立って、前記筐体内に配置されたテーブルの載置位置に載置されている容器の識別マークを識別マーク読み取り手段で読み取り、この容器が載置されている載置位置に関する情報と前記識別マーク読み取り手段で読み取った識別マークの情報もしくはこの識別マークの情報に関連付けされた他の情報とを関連付けして、配膳データ記憶部に登録する登録プログラムを実行することを特徴とする生化学物質処理方法。
JP26617798A 1998-09-21 1998-09-21 生化学物質処理装置および生化学物質処理方法 Expired - Fee Related JP3896700B2 (ja)

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