以下、本実施の形態では、マイクロプレートの各ウェルに保持されているDMSO溶液に吸収された水分を除去するためのチャンバ及び当該チャンバを用いた装置を一例として説明する。
図1に、本実施の形態に係る除水装置の上面図を示す。除水装置100には、N2パージエリア3が設けられており、当該N2パージエリア3に一部が含まれるチャンバ1及びシーラ2が含まれる。さらに、除水装置100は、スタッカ5と、当該スタッカ5上に除水処理及びシール処理が完了したマイクロプレートを保管する回収マガジン51及び除水処理前のマイクロプレートを保管する供給マガジン52と、制御装置6と、マイクロプレートの持ち運びを行うアームの移動レール4とを有する。なお、アーム及び当該アームに付けられるグリッパ部分については後に説明する。
シーラ2については、除水処理を行った後マイクロプレートを投入する部分が、N2パージエリア3に含まれている。シーラ2の構成自体は従来と同じであるから説明を省略する。また、N2パージエリア3には、N2を充満させる機構が含まれるが、この部分も従来と同じであり図示されていない。また、N2パージエリア3には、移動レール4を移動するアームが出入り可能となっているが、この部分の構造についても従来と同じであるから、ここでは説明を省略する。
図1においてチャンバ1の部分は透視図となっており、チャンバ1は、その外壁であるハウジング内部に、回転軸となるシャフト11の回転に連動して回転する回転ラック12を有する。回転ラック12の外周は、上から見ると例えば8角形となっており、その各辺には、マイクロプレートを載置するための棚を含む列構造13(図1では13a乃至13h)を有する。また、回転ラック12の最上部には、DMSOを保持するDMSO容器15が設けられている。さらに、チャンバ1には、内部の気体を循環させるためのファン14a乃至14dが設けられている。ファン14a乃至14dについては、後に説明する。また、チャンバ1には、N2パージエリア3側に、列構造13に設けられた棚の数分の扉付き取り出し口が設けられたインタフェース部150も設けられている。扉は、ばねなどによってアームに付されたグリッパ又はマイクロプレートで押されると内部に倒れ、グリッパを引き出すと元の位置に戻ることで、チャンバ内1の気密性を保持する。
この除水装置100では、チャンバ1内部とN2パージエリア3とに、N2を充満させ、内部の水分を極力減少させる。その後チャンバ1内部に設けられたDMSO容器15に新たなDMSOを充填する。充填機構については、従来と同じであるから、ここでは説明を省略する。
そして、ファン14を回転させて、回転ラック12も回転させる。所定時間放置すれば、DMSOが自然蒸発するので、チャンバ1内部はDMSO雰囲気となる。このため、チャンバ1内部はDMSO耐性を有する素材を用いている。
そして、供給マガジン52にセットされている、除水処理すべきマイクロプレート(蓋及びシールがないもの)をスタッカ5から1つ出力して、スタッカ5の受け渡し位置Aでアームのグリッパによって挟んで保持する。そしてそのままこのマイクロプレートを、N2パージエリア3に運び入れ、さらにインタフェース部150の前の位置Bまで移動させる。
ここで、このマイクロプレートを載置すべき棚を含む列構造13が位置Bの正面になるように回転ラック12を回転させる。そして、アームのグリッパを、載置すべき棚の高さに合わせて上下させ、マイクロプレートを挟んでいるグリッパを、以下で説明する扉付き取り出し口の扉を押し倒すようにしてチャンバ1内部に差し込んだ後、マイクロプレートを放せば、マイクロプレートが棚の上に載置されることになる。その後、グリッパを扉付き取り出し口から引き抜いて、アームを所定の位置に移動させる。
所定時間、回転ラック12を回転させつつ、ファン14でDMSO気体を循環させる。このようにすると、マイクロプレート内のDMSO溶液に含まれる水分が、チャンバ1内のDMSO気体に移動し、さらに最終的にはDMSO容器15内のDMSO液体内に移行する。チャンバ1内部のDMSO濃度は飽和DMSO濃度近くになるが、チャンバ1内部全体が可能な限り均一の環境になるように、回転ラック12を回転させて撹拌すると共に、ファン14で下から上へ気体を循環させる。
なお、DMSO容器15内のDMSOについては、定期的に入れ替えて、除水を効率的に行うようにすることが好ましい。なお、DMSO液体の供給及び排出については、通常の液体の供給及び排出と同じであるから、これ以上述べない。
その後、マイクロプレートを取り出す時間になると、再度アームを位置Bへ移動させて、回転ラック12の目的の棚を含む列構造13をインタフェース部150の前まで移動させる。そして、グリッパを、取り出すべきマイクロプレートが載置されている棚に対応する扉付き取り出し口の前の位置に移動させ、扉を押し倒すようにしてチャンバ1内部に差し込み、マイクロプレートを取り出す。
後に詳しく述べるが、取り出し時にはDMSOの凝縮液がマイクロプレート上部に付着しているので、アームに付けられている拭き取り機構によってそれを拭き取る。その後、マイクロプレートは、アーム及びグリッパによりシーラ2の位置Cに移動され、シーラ2に投入される。シーラ2は、マイクロプレートの上部にシールを施す。シールすることで、マイクロプレートに保持されている溶液を外気、酸素及び湿度などから遮断できるようになる。シールが施されたマイクロプレートは、再度グリッパ及びアームによって保持され、N2パージエリア3から取り出され、スタッカ5の位置Aまで移動させて、スタッカ5により回収マガジン51に配置される。
このような動作については、制御装置6によって制御される。特に、チャンバ1内のどの棚にマイクロプレートを載置するかを決定し、回転ラック12を回転させて当該棚をインタフェース部150の面に対向させる。そして、そのマイクロプレートをどのタイミングで投入したかを管理しておき、所定時間経過すると、再度回転ラック12を回転させて当該棚をインタフェース部150の面に対向させ、その棚からアーム及びグリッパにそのマイクロプレートを取り出させ、シーラ2にシール処理を行わせる。
図2に、図1の第1の側面図(チャンバ1のインタフェース部150側の側面)を示す。なお、N2パージエリア3については透視図となっている。図1に関連して述べたように、チャンバ1のインタフェース部150には、回転ラック12の列構造に含まれる棚の数に応じた扉付き取り出し口151a乃至151eが設けられている。この扉付き取り出し口151a乃至151eについては、回転ラック12における列構造13に含まれる棚の数に応じて設けられる。扉付き取り出し口151a乃至151eの構造は、従来とおおよそ同じ構造であるから、これ以上述べない。
また、レール4には、アーム台座41が配置されており、このアーム台座41に後に述べるアーム及びグリッパが設置され、アーム台座41がレール4上を図2の左右に移動する。なお、アームのグリッパは、高さ方向にも移動可能になっており、指定された棚に対応する扉付き取り出し口151の高さに移動させられ、マイクロプレートを取り出したり、載置したりする。
図3に、図1の第2の側面図(スタッカ5、供給マガジン52及び回収マガジン51側の側面)を示す。図3に示すように、制御装置6には、タッチパネル61が設けられており、除水装置100に対する指示を、ユーザはタッチパネル61から入力する。タッチパネルは一例であり、他の入力手段を設けるようにしても良い。
図4に、チャンバ1に設けられる回転ラック12の透視側面図(インタフェース部150側の側面)を示す。但し、一部の列構造13については図示の都合から除去された状態を表している。
図4の例では、回転ラック12に設けられている列構造13には、回転ラック12の回転軸方向に5つの棚131a乃至131eが設けられている。棚131a乃至131e等の詳細については後に述べる。また、チャンバ1の下部には、モータ83がつり下げられており、モータ83の回転軸先端部にはプーリー82が設けられている。同様に、回転ラック12の回転軸となるシャフト11の下方向先端部はチャンバ1の底部を貫通しており、ゴーリー81が設けられている。プーリー82とゴーリー81とはベルト84で連結されており、モータ83の回転軸の回転に応じて、シャフト11が回転し、さらに回転ラック12も回転するようになっている。チャンバ1内部をDMSO雰囲気で保つためにシャフト11がチャンバ1を貫通する部分にはシールがなされているが、これは従来技術と同じであるからここでは説明を省略する。
本実施の形態では、DMSO雰囲気において回転ラック12の棚に載置された複数のマイクロプレート内のDMSO溶液から除水を均一に行うと共に、チャンバ1内においてDMSOが凝縮した場合にDMSOの液滴がマイクロプレート上に落下するのを防止する。
まず、DMSOの液滴落下防止機構について、図5乃至図23を用いて説明する。
[液滴落下防止機構:第1の実施の形態]
図5に、図4に示した回転ラック12の列構造13cにおける棚131b乃至131dの部分の拡大図を示す。但し、説明の都合上この部分を拡大しているだけであるから、以下で説明する構成については、回転ラック12の各列構造13における各棚について実装されている。
各棚131b乃至131dの上面側には、図5に示すように、マイクロプレート1001乃至1003のいずれかが載置される。一方、棚131bの下面側には、当該棚の直下の棚への液滴落下防止のために、滴下防止板201bをおよそ棚131bに平行に設ける。同様に、棚131cの下面側には、滴下防止板201cをおよそ棚131cに平行に設ける。さらに、棚131dの下面側には、滴下防止板201dをおよそ棚131dに平行に設ける。滴下防止板201b乃至201dは、単なる平板ではなく、図6A乃至図6Dに形状の一例を示す。
図6Aは、第1の例についての図5におけるαα’断面を表す。図6Aでは、滴下防止板201bの断面形状は円弧となっている。このようにすれば、棚131bの下面側に設けられた滴下防止板201bの両脇にDMSOの液滴が伝って行き、直下の棚131c上のマイクロプレート1002上には液滴が落下しないようになる。
また、図6Bは、第2の例についての図5におけるαα’断面を表す。図6Bでは、滴下防止板201bの断面形状は円弧を近似した多角形の一部となっている。このようにしても、棚131bの下面側に設けられた滴下防止板201bの両脇にDMSOの液滴が伝って行き、直下の棚131c上に載置されているマイクロプレート1002上には液滴が落下しないようになる。
さらに、図6Cは、第3の例についての図5におけるαα’断面を表す。図6Cでは、滴下防止板201bの断面形状は二等辺三角形の上二辺となっている。このようにしても、棚131bの下面側に設けられた滴下防止板201bの両脇にDMSOの液滴が伝って行き、直下の棚131c上に載置されているマイクロプレート1002上には液滴が落下しないようになる。二等辺三角形でない三角形であっても良い。
また、図6Dは、第4の例についての図5におけるαα’断面を表す。図6Dでは、滴下防止板201bの断面形状は右下がりの斜辺となっている。左下がりの斜辺であっても良い。このようにすれば、棚131bの下面側に設けられた滴下防止板201bの右側(左下がりであれば左側)にDMSOの液滴が伝って行き、直下の棚131c上に載置されているマイクロプレート1002上には液滴が落下しないようになる。
なお、図6A乃至図6Dの例では、棚131と滴下防止板201の横幅は同じになっているが、図7Aに模式的に示すように、滴下防止板201の横幅を棚131の横幅より長くして、よりマイクロプレート上に液滴が落下するのを防止しても良い。円弧の滴下防止板201だけではなく、他の断面形状も採用可能である。
さらに、図7Bに模式的に示すように、棚131と滴下防止板201とを一体的に形成するようにしても良い。図7Bの例では、棚131の下面の形状を、図6Cのような二等辺三角形の上二辺のような形状に加工することで、DMSOの液滴が棚131の下面を両側に伝って行き、直下の棚131上に載置されているマイクロプレート上に液滴が落下するのを防止できる。二等辺三角形の上二辺のような形状だけではなく、他の形状に加工するようにしても良い。
さらに、αα’断面における滴下防止板201の両端部分等に補助板を接合する場合もある。図8に示すように、滴下防止板201の右側端部を用いて説明する。
補助板の第1の例は、下平板203aであり、 図9(a)はその正面(回転ラック12の外周側から内周側向き)を表しており、図9(b)はその側面を示している。下平板203aは、滴下防止板201の両端に鉛直下向きにそれぞれ接合され、側面の長さは液滴防止板201と同様の長さ又はやや短い長さとなっている。また、下平板203aの側面の幅はおおよそ一定となっている。この下平板203aは,滴下防止板201の下面で凝縮され下面を伝って端部に集まってくるDMSOの凝縮液を下平板203aのある位置で下方向に速やかに落下させるために設けられる。
補助板の第2の例は、傾斜付き下平板203bであり、図10(a)はその正面を表しており、図10(b)はその側面を示している。傾斜付き下平板203bは、滴下防止板201の両端に鉛直下向きにそれぞれ接合されており、側面の長さは液滴防止板201と同様の長さ又はやや短い長さとなっている。但し、傾斜付き下平板203bの側面は、液滴防止板201の根元に向けて徐々に幅広となっている。これによって、液滴防止板201の根元の方に液滴を伝わせるようにして、マイクロプレート上に液滴が落下するのを防止している。
さらに、補助板の第3の例は、上平板203cであり、図11(a)はその正面を表しており、図11(b)はその側面を示している。上平板203cは、滴下防止板201の両端の鉛直上向きにそれぞれ接合されており、側面の長さは滴下防止板201と同様の長さ又はやや短い長さとなっている。また、上平板203cの側面の幅はおおよそ一定となっている。但し、上平板203cの側面には複数の抜き穴204が設けられている。この上平板203cは、滴下防止板201の上部で凝縮された又は棚131から落下して上部を伝って端部に集まってくるDMSO凝縮液を上平板203cのある位置で一度受けて、抜き穴204を介して上平板203cのある位置で下方向に速やかに落下させるために設けられる。
さらに、補助板の第4の例は、下平板203aと上平板203cとの組み合わせであり、図12(a)はその正面を表しており、図12(b)はその側面を示している。
また、補助板の第5の例は、抜き穴が設けられていない上平板203dと傾斜付き下平板203bと止め板205との組み合わせであり、図13(a)はその正面を表しており、図13(b)はその側面を示している。上平板203dには抜き穴が設けられていないので棚131の外側端部(図13(b)の左側)の方に滴下防止板201上面を伝ってDMSO凝縮液が流れ落ちるのを防止する止め板205が設けられている。図13(b)では、止め板205は、滴下防止板201の断面カーブに沿った形、すなわちおおよそ三角形である例を示しているが、図14の正面図で示すように、矩形であっても良い。なお、図13の場合の上面図を図15に示す。図15の上側は回転ラック12の回転軸中心方向を示し、下側は回転ラック12の外周方向を示す。滴下防止板201の両脇には抜き穴無しの上平板203d(下平板203bは現れていない)が接合され、滴下防止板201の外周側の辺における両脇の一部に、止め板205が設けられている。
なお、図16Aに示すように、列構造13における最も下の棚131e及びその滴下防止板201e(但し最も下の棚131eの下側には滴下防止板201eを設けない場合もある)の下には、可動部分とは干渉しないようにしつつ例えばチャンバ1の底面に敷き詰めるように、DMSO凝縮液のドレンパン207が設置されている。これによってDMSO凝縮液を回収する。
DMSO凝縮液の流れを、図16Aにおけるββ’断面を表す図16Bで模式的に示す。この例では、図11に示した例を示しているが、他の例でも同様である。滴下防止板201の上面側で凝縮したDMSO凝縮液は、滴下防止板201上面を伝ってその両脇に流れて行き、ドレンパン207へ落下する。同様に、滴下防止板201下面側で凝縮したDMSO凝縮液も、滴下防止板201下面を伝ってその両脇に流れて行き、同じくドレンパン207へ落下する。
このようにして、マイクロプレート上に液滴が落下するのを防止でき、ドレンパン207でDMSO凝縮液を回収できる。
[液滴落下防止機構:第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、滴下防止板201が棚131とほぼ平行に設けられている場合を示したが、滴下防止板に傾斜を設けることで、効果的にDMSO凝縮液を集めて流すことができるようになる。本実施の形態では、滴下防止板に傾斜を設けるケースについて詳述する。
図17に、図4に示した回転ラック12の列構造13cにおける棚131b乃至131dの部分の拡大図を示す。但し、説明の都合上この部分を拡大しているだけであるから、以下で説明する構成については、回転ラック12の各列構造13における各棚について実装されている。
各棚131b乃至131dの上面側には、図17に示すように、マイクロプレート1001乃至1003のいずれかが載置される。一方、棚131bの下面側には、当該棚の直下の棚への液滴落下防止のために、滴下防止板211bを、本実施の形態では、斜めに設ける。より具体的には、滴下防止板211bを、回転ラック12の回転軸側の方が、回転ラック12の外周側よりも棚131bとの距離が長くなるように傾けている。すなわち、滴下防止板211b周辺で凝縮したDMSO凝縮液が、滴下防止板211bを伝って回転ラック12の回転軸側に流れて行くようにしている。同様に、棚131cの下面側には、滴下防止板211cを斜めに設ける。また、滴下防止板211cは、滴下防止板211bに平行に設けられている。さらに、棚131dの下面側には、滴下防止板211dを斜めに設ける。また、滴下防止板211dは、滴下防止板211b及び211cに平行に設けられている。なお、滴下防止板211b乃至211dの傾き角θについては、実験などで適宜決定する。
滴下防止板211b乃至211dは、単なる平板の場合であればそうでない場合もある。図18A乃至図18Dに形状の例を示す。
図18Aは、第1の例についての図17におけるαα’断面を表す。図18Aでは、滴下防止板211bの断面形状は円弧となっている。このようにすれば、棚131bの下面側に設けられた滴下防止板211bの両脇又は回転ラック12の回転軸側にDMSOの凝縮液が伝って行き、直下の棚131c上に載置されているマイクロプレート1002上には液滴が落下しないようになる。
また、図18Bは、第2の例についての図17におけるαα’断面を表す。図18Bでは、滴下防止板211bの断面形状は円弧を近似した多角形の一部となっている。このようにしても、棚131bの下面側に設けられた滴下防止板211bの両脇又は回転ラック12の回転軸側にDMSOの凝縮液が伝って行き、直下の棚131c上に載置されているマイクロプレート1002上には液滴が落下しないようになる。
さらに、図18Cは、第3の例についての図17におけるαα’断面を表す。図18Cでは、滴下防止板211bの断面形状は二等辺三角形の上二辺となっている。このようにしても、棚131bの下面側に設けられた滴下防止板211bの両脇又は回転ラック12の回転軸側にDMSOの凝縮液が伝って行き、直下の棚131c上に載置されているマイクロプレート1002上には液滴が落下しないようになる。なお、二等辺三角形でない三角形であっても良い。
また、図18Dは、第4の例についての図17におけるαα’断面を表す。図18Dでは、滴下防止板211bの断面形状は単なる直線であって、滴下防止板211bが平板であることが分かる。このようにすれば、棚131bの下面側に設けられた滴下防止板211b上を回転ラック12の回転軸方向にDMSOの凝縮液が伝って行き、直下の棚131c上に載置されているマイクロプレート1002上には液滴が落下しないようになる。
なお、図18A乃至図18Dの例では、棚131と滴下防止板211の横幅は同じになっているが、第1の実施の形態の例(図7A)のように、滴下防止板211の横幅を棚131の横幅より長くして、よりマイクロプレート上に液滴が落下するのを防止しても良い。円弧の滴下防止板211だけではなく、他の断面形状も採用可能である。
さらに、第1の実施の形態(図7B)のように、棚131と滴下防止板211とを一体的に形成するようにしても良い。
さらに、αα’断面における滴下防止板211の両端部分等に補助板を接合する場合もある。図8に示すように、滴下防止板211の右側端部を用いて説明する。
補助板の第1の例は、下平板213aであり、 図19(a)はその正面(回転ラック12の回転軸の外周側から内周側向き)を表している。この下平板213aの側面は、単なる長方形であってもよいし、滴下防止板211の傾き角θを考慮した平行四辺形にしてもよい。下平板213aは、滴下防止板211の両端に鉛直下向きにそれぞれ接合され、側面の長さは液滴防止板211と同様の長さ又はやや短い長さとなっている。また、下平板213aの側面の幅はおおよそ一定となっている。この下平板213aは,滴下防止板211の下面で凝縮され下面を伝って端部に集まってくるDMSOの凝縮液を下平板213aのある位置で下方向に速やかに落下させるために設けられる。
補助板の第2の例は、下トレンチ角型補助板213bであり、図19(b)はその正面を表している。この下トレンチ角型補助板213bの側面は、単なる長方形であってもよいし、滴下防止板211の傾き角θを考慮した平行四辺形にしてもよい。下トレンチ角型補助板213bは、滴下防止板211の両端に鉛直下向きに接合されており、側面の長さは液滴防止板211と同様の長さ又はやや短い長さとなっている。また、下トレンチ角型補助板213bの側面の幅はおおよそ一定となっている。これによって、滴下防止板211の下面から伝ってきたDMSO凝縮液をトレンチで滴下防止板211の根元方向に流すことで、マイクロプレート上に液滴が落下するのを防止している。
さらに、補助板の第3の例は、下トレンチV字補助板213cであり、図19(c)はその正面を表している。この下トレンチV字補助板213cの側面は、単なる長方形のものであってもよいし、滴下防止板211の傾き角θを考慮した平行四辺形にしても良い。下トレンチV字補助板213cは、滴下防止板211の両端の鉛直下向きに接合されており、側面の長さは滴下防止板211と同様の長さ又はやや短い長さとなっている。また、下トレンチV字補助板213cの側面の幅はおおよそ一定となっている。この下トレンチV字補助板213cも、滴下防止板211の下面から伝ってきたDMSO凝縮液をトレンチで滴下防止板211の根元方向に流すことで、マイクロプレート上に液滴が落下するのを防止している。
さらに、補助板の第4の例は、下トレンチU字補助板213dであり、図19(d)はその正面を表している。この下トレンチU字補助板213dの側面は、単なる長方形のものであってもよいし、滴下防止板211の傾き角θを考慮した平行四辺形にしても良い。下トレンチU字補助板213dは、滴下防止板211の両端の鉛直下向きに接合されており、側面の長さは滴下防止板211と同様の長さ又はやや短い長さとなっている。また、下トレンチU字補助板213dの側面の幅はおおよそ一定となっている。この下トレンチU字補助板213dも、滴下防止板211の下面から伝ってきたDMSO凝縮液をトレンチで滴下防止板211の根元方向に流すことで、マイクロプレート上に液滴が落下するのを防止している。
さらに、補助板の第5の例は、上平板213eであり、図20はその正面を表している。上平板213eの側面は、長方形のものであってもよいし、滴下防止板211の傾き角θを考慮した平行四辺形にしても良い。上平板213eは、滴下防止板211の両端の鉛直上向きに接合されており、側面の長さは滴下防止板211と同様の長さ又はやや短い長さとなっている。また、上平板213eの側面の幅はおおよそ一定となっている。本実施の形態では、滴下防止板211が傾けられているので、第1の実施の形態のような抜き穴は設けられていない。但し、抜き穴を設けるようにしても良い。この上平板213eは、滴下防止板211の上部で凝縮された又は棚131から落下して上部を伝って端部に集まってくるDMSO凝縮液を上平板213eのある位置で一度受けて、滴下防止板211の根元方向に流すために設けられる。
さらに、補助板の第6の例は、上平板213eと図19(a)に示した下平板213aとの組み合わせであり、図21(a)はその正面を表している。また、補助板の第7の例は、上平板213eと図19(b)に示した下トレンチ角型補助板213bとの組み合わせであり、図21(b)はその正面を表している。さらに、補助板の第8の例は、上平板213eと図19(c)に示した下トレンチV字補助板213cとの組み合わせであり、図21(c)はその正面を表している。さらに、補助板の第9の例は、上平板213eと図19(d)に示した下トレンチU字補助板213dとの組み合わせであり、図21(d)はその正面を表している。
なお、第1の実施の形態と同様に、図22に示すように、列構造13における最も下の棚131e及びその滴下防止板211e(但し最も下の棚131eの下側には滴下防止板211eを設けない場合もある)の下には、可動部分とは干渉しないようにしつつ例えばチャンバ1の底面に敷き詰めるように、DMSO凝縮液のドレンパン207が設置されている。これによってDMSO凝縮液を回収する。
さらに、滴下防止板211を傾けて回転ラック12に接合させているので、滴下防止板211の根元にDMSOの凝縮液が流れてくることになる。そして、この凝縮液は、回転ラック12の本体部分を伝って下方向に流れる。従って、回転ラック12の本体部分を伝って流れる凝縮液の、マイクロプレートへの飛散を防止することが好ましいので、飛散防止壁215を棚131上に当該棚131に垂直に設ける。図22では、棚131c上には回転ラック12の本体部分から所定距離離れた位置に飛散防止壁215cが設けられ、棚131d上には回転ラック12の本体部分から所定距離離れた位置に飛散防止壁215dが設けられ、棚131e上には回転ラック12の本体部分から所定距離離れた位置に飛散防止壁215eが設けられている。
また、回転ラック12の本体部分を伝って流れる道を作るために、棚131の根元の一部に貫通ドレン穴216を設ける。図22では、棚131cには貫通ドレン穴216cが設けられ、棚131dには貫通ドレン穴216dが設けられ、棚131eには貫通ドレン穴216eが設けられる。
同様に、回転ラック12の本体部分を伝って流れる道を作るために、滴下防止板211の根元の一部(両脇)に貫通ドレン穴217を設ける。図22では、滴下防止板211cには貫通ドレン穴217cが設けられ、滴下防止板211dには貫通ドレン穴217dが設けられ、滴下防止板211eには貫通ドレン穴217eが設けられている。
さらに、回転ラック12の本体部分下部には、回転ラック12の本体部分を伝って流れてくるDMSO凝縮液がシャフト11に流れ込むのを防止してドレンパン207に凝縮液を落とすために、回収板219が設けられている。この回収板219は、回転ラック12の本体部分が上から見ると8角形となっているので、この8角形の各辺に沿った形で設けられる。
なお、補助板については回転ラック12に接合させない場合には、貫通ドレン穴を設けなくても良いが、補助板の端部を回転ラック12に接合させるような構造であれば、補助板のトレンチ底部における回転ラック12との接合部分付近にも貫通ドレン穴を設ける。
DMSO凝縮液の流れを、図22におけるββ’断面を表す図23で模式的に示す。この例では、下トレンチU字補助板213dと上平板213eとの組み合わせを滴下防止板211に付けた例を示しているが、他の例でも同様である。滴下防止板211の上面側で凝縮したDMSO凝縮液は、滴下防止板211上面を伝ってその両脇に流れて行き、さらに滴下防止板211の傾斜に沿って回転ラック12の根元まで流れてくる。そしてさらに、DMSO凝縮液は、滴下防止板211の貫通ドレン穴216を通って下に流れ、回転ラック12の本体部分及び回収板219を伝ってドレンパン207へ落下する。同様に、滴下防止板211下面側で凝縮したDMSO凝縮液も、滴下防止板211下面を伝ってその両脇に流れて行き、さらに滴下防止板211の傾斜に沿ってトレンチを伝って回転ラック12の本体部分へ流れて行く。そして、、DMSO凝縮液は、滴下防止板211の貫通ドレン穴217を通って下に流れ、回転ラック12の本体部分及び回収板219を伝ってドレンパン207へ落下する。
このようにして、マイクロプレート上に液滴が落下するのを防止でき、ドレンパン207でDMSO凝縮液が回収できる。
[棚のピッチ]
本実施の形態では、単なるマイクロプレートの保管ではないので、DMSO雰囲気で回転ラック12を所定の速度で常時回転させて、棚131上に載置されているマイクロプレートを、水分をあまり含まないDMSO気体に触れさせる。そのため、棚のピッチも考慮する。
図24は、図17と同様の部分を示しているが、マイクロプレートの高さをH1と定義し、棚131の厚みをH2と定義し、滴下防止板211が占める空間の高さをH3と定義し、滴下防止板211が占める空間の下端と下に配置されているマイクロプレートの上端との間の長さをH4と定義している。
この際、H1は、実際のマイクロプレートの高さから約4mm乃至約50mmとなっている。また、H2は、約0.3mmから約1.0mmとなる。さらに、H3は、約10mm乃至25mmとなる。そして、H4は、約5mmから約15mmが好ましい。このようなH4は、棚131に載置されたマイクロプレートに、DMSO気体を触れさせる上で適度な間隔となっており、適切なサイズのチャンバ1内に載置可能なマイクロプレートの数を増加させるという効率の観点においても好ましい。
[DMSO気体の循環]
図1に示すように、チャンバ1にはファン14a乃至14dが設けられている。チャンバ1内におけるファン14が設けられた面の正面図を図25に示す。図25に示すように、チャンバ1内において、ファン14が設けられた面には、ダクト17が設けられており、その内部の下部にファン14が設けられている。ダクト17の上部には、開口部17aが設けられている。ファン14のモータ自体はチャンバ1の外部に設けられており、ファン14は、DMSO雰囲気中で用いられるので、防爆仕様のものが用いられている。例えば、ターボ型又はシロッコ型のファンが用いられている。
図26に模式的に示すように、ファン14のモータを回すと、チャンバ1の下部の気体をダクト17内の上方に吸い上げ、開口部17aからチャンバ1上部にはき出すことで、チャンバ1内部の空気を撹拌する。
なお、ファンの数については、4つの例を示しているが、より多くのファンを用いる場合もあれば、少ないファンで十分な場合もある。
[DMSO容器における撹拌]
図1に示すようにDMSO容器15は、回転ラック12に設けられており、回転ラック12と共に回転する。DMSO容器15の回転により、内部に充填されているDMSOも撹拌されるが、これのみでは十分ではない場合もある。具体的には、吸湿によってDMSO容器15内における上部のDMSO濃度が薄く、下部のDMSO濃度が濃いというような状態が発生してしまうが、DMSO液体と気相の界面となるDMSO容器15の上部におけるDMSO濃度を高くできれば、水分の吸収がし易く、DMSOが蒸発しやすい。
そこで、図27に示すように、チャンバ1の天井から、DMSO容器15内でDMSO液体中に入れられる撹拌羽根18aを先端に有する、折りたたみ式の支柱18bがつり下げられている。
撹拌羽根18aは、図28に示すように、支柱18bを中心としてハの字を描くような形を有している。すなわち、撹拌羽根18aは2枚の板を含み、2枚の板を平行に配置した後、一方の端部の距離を短くし他方の端部の距離を長くするようにしている。また、DMSO容器15が時計回りと反時計回りとのいずれで回転する場合にも対処できるように、シャフト11の方向に、2枚の板の距離が短い方の端部が向くように配置されている。また、このような撹拌機構については、複数設けられる場合もある。
このような撹拌機構の動作を図29及び図30を用いて説明する。図29(a)は、支柱18bを伸ばした状態における、撹拌機構の側面を示している。また、図29(b)は、支柱18bを畳んだ状態における、撹拌機構の側面を示している。このように、支柱18bは、複数の部材を連結することで構成されており、連結部のねじを締めるなどして姿勢を固定する。
図30(a)及び(b)は、別の側面を示しており、図30(a)は支柱18bを畳んだ状態を示しており、図30(b)は支柱18bを伸ばした状態を示している。このような支柱18bの折りたたみ動作中、いずれかの部分が、DMSO容器15の側壁などとの干渉しないように配置する。
[ヒータ]
回転ラック12の周辺においてDMSOが凝縮することを防止するためには、温度を上昇させることが好ましい場合がある。例えば、図31に示すように、チャンバ1のハウジング天井上まで伸ばしたシャフト11bを採用し、当該シャフト11bの上端部にヒータ取り付け用の軸受け11cを取り付ける。そして、軸受け11cの周辺にヒータ19aを設ける。これによって、軸受け11c及びシャフト11bを熱が伝わって、回転ラック12その他の構造物の温度が上昇する。これによって、それらの構造物の温度が周辺の気相の温度より上昇することでこれらの構造物の近傍における飽和蒸気圧が上がり凝縮しにくくなる。ヒータ19aは、温度センサ19bとヒータ制御部19cによってその温度が制御される。
なお、図32に示すように、チャンバ1の上部だけではなく、下部にもヒータ19dを設けるようにしても良い。下部の場合にも、シャフト11bに軸受け11dを設けて、当該軸受け11dにヒータ19dを取り付ける。そして、ヒータ19dは、温度センサ19eとヒータ制御部19fによってその温度が制御される。
このように上部下部とで暖めることによって、より効果的にDMSOの凝縮を抑制できるようになる。
[アーム及びグリッパ]
次に、図33乃至図36を用いて、アーム及びグリッパにより、マイクロプレートを取り出す際の動作を説明する。
アームは、アーム台座41上に載ってレール4を移動すると共に、当該アームに設けられているグリッパを上下動させる機構(図示せず)を有する。
さらに、アームベース42の先端部分には、拭き取り機構が設けられている。拭き取り機構は、拭き取り紙のロールがセットされるロールセット部48と、使用済みの拭き取り紙を巻き取る巻き取り部47と、拭き取り紙のロールと巻き取り部47との間の拭き取り紙49にテンションをかけてマイクロプレート上端部分に拭き取り紙49を触れさせるためのスキージ46と、スキージ46を上下動を行うための駆動シリンダ45a及び45bとを含む。拭き取り紙49は、ちりが出ないような不織布などである。
図1においてレール4からチャンバ1方向に伸びるアームベース42の下部には、グリッパ44が設けられており、このグリッパ44の開閉は、グリッパ開閉機構43により行われる。グリッパ44及びグリッパ開閉機構43は、アームベース42の下面に設けられたレール50に沿って、アームベース42の根元部分から先端部分まで移動する。
例えば、マイクロプレート1001を取り出す場合には、アームベース42を扉付き取り出し口151の正面までレール4に沿って移動させる。その後、グリッパ44の高さをマイクロプレート1001の高さに合わせてアームベース42の高さを上下させる。そして、グリッパ開閉機構43は、グリッパ44を開かせると共に、グリッパ44及びグリッパ開閉機構43を、レール50に沿ってアームベース42の先端部分まで移動させる。そうすると、図34に示すような状態となる。そして、グリッパ開閉機構43は、グリッパ44を閉じさせて、マイクロプレート1001を掴ませる。
その後、グリッパ44及びグリッパ開閉機構43をレール50に沿って、アームベース42の根元方向に移動させると、チャンバ1からマイクロプレート1001を引き出すことになる。但し、マイクロプレート1001の先頭部分が、スキージ46の先端直下の位置まで引き出されると、駆動シリンダ45a及び45bにてスキージ46を下方向に移動させ、拭き取り紙49にテンションを掛けて拭き取り紙49をマイクロプレート1001の上端に触れさせる。
この後は、グリッパ44及びグリッパ開閉機構43をレール50に沿って、アームベース42の根元方向に移動させるのと連動して、巻き取り部47により拭き取り紙49を所定の速度で巻き取る。これによって、拭き取り紙49の新しい部分がマイクロプレート1001の上端面に触れて、適切にDMSO溶液を拭き取ることができる。図35には、マイクロプレート1001の後端部分まで拭き取りが終わった状態を示している。
そうすると、図36に示すように、スキージ46を駆動シリンダ45a及び45bで上方の初期位置に移動させる。
その後、マイクロプレート1001をグリッパ44で挟んだ状態で、アーム全体をレール4に沿ってシーラ2の方向に移動させ、シーラ2でマイクロプレート1001の上端面をシールさせる。
なお、マイクロプレートを載置する場合には、拭き取り機構を用いないが、上で述べたマイクロプレートの取り出し動作の逆の動作を行う。
[制御及びマイクロプレートの管理]
制御装置6は、図37に示すように、チャンバ1内部に載置したマイクロプレートの管理を行うマイクロプレート管理部62と、データ格納部63と、各種構成要素(アーム、スタッカ5、回転ラック12を回転させるモータ等)の制御を行う制御部64とを有する。
データ格納部63には、例えば、図38に示すように、回転ラック12の列構造13の列番号と各列構造13内の棚の棚番号との組み合わせで特定される棚毎に、マイクロプレートを載置した時刻(すなわち載置時刻又は載置時間のためのタイマ値)を格納するようになっている。
例えば、1枚のマイクロプレートの除水処理及びシール処理を行う場合には、マイクロプレート管理部62は、図38に示すようなデータ構造において載置時刻(又はタイマ値)が登録されていない棚を特定する。そして、マイクロプレート管理部62は、制御部64に対して、列番号及び棚番号を出力する。制御部64は、スタッカ5に対して供給マガジン52から1枚のマイクロプレートを出力するように指示し、アーム及びグリッパ44に対してチャンバ1までそのマイクロプレートを移動させるように指示する。さらに、制御部64は、モータ83の回転を制御して、回転ラック12における、列番号に対応する列構造13を扉付き取り出し口の位置まで回転させる。そして、アーム及びグリッパ44の高さを、棚番号に応じた高さに合わせて移動させ、マイクロプレートをチャンバ1内の指定された列構造13における指定棚に載置する。このような動作が完了すると、制御部64から完了通知をマイクロプレート管理部62に出力する。マイクロプレート管理部62は、これに応じてデータ格納部63における列番号及び棚番号で特定される位置に載置時刻(又はタイマ値)を登録する。なお、マイクロプレートの識別子が管理されている場合には、マイクロプレートの識別子をも同様のデータ構造で管理しても良い。
マイクロプレート管理部62は、定期的にデータ格納部63に格納されている載置時刻(又はタイマ値)から、載置すべき時間が経過したかを確認する処理を行う。タイマ値の場合は経過時刻に対応する値を減ずる。そして、載置すべき時間が経過したマイクロプレートが存在することを検出すると、マイクロプレート管理部62は、そのマイクロプレートの列番号及び棚番号を特定する。
そして、マイクロプレート管理部62は、制御部64に対して、列番号及び棚番号を出力する。制御部64は、アーム及びグリッパ44に対してチャンバ1までそのマイクロプレートを移動させるように指示する。さらに、制御部64は、モータ83の回転を制御して、回転ラック12における、列番号に対応する列構造13を扉付き取り出し口の位置まで回転させる。そして、アーム及びグリッパ44の高さを、棚番号に応じた高さに合わせて移動させ、チャンバ1内の指定された列構造13における指定棚に載置されたマイクロプレートを取り出させる。その後、アーム及びグリッパ44を制御して、シーラ2においてシール処理を行わせて、スタッカ5まで持ち帰らせる。グリッパ44が、スタッカ5の受け渡し位置Cでスタッカ5にシール後のマイクロプレートを放し、スタッカ5が回収マガジン51にマイクロプレートを移動させる。
このような動作を行った後、マイクロプレート管理部62は、データ格納部63における列番号及び棚番号で特定される位置に格納されている載置時刻(又はタイマ値)を削除又は無効化する。
以上のような制御を行うことで、マイクロプレートの除水処理及びシール処理が適切になされるようになる。
以上本技術の実施の形態を説明したが、本技術はこれに限定されるものではない。
例えば、回転ラック12は上から見ると8角形であるが、8角形に限定されず、チャンバ1内の気体の循環状況、マイクロプレートの収納枚数等から決定される。1つの列構造13における棚の数も、上で述べたH4の長さやチャンバ1のサイズ等によって決定される。
また、マイクロプレートが棚に載置される例を説明したが、他の物体が載置されるケースを想定しても良い。さらに、シーラ2やスタッカ5が連動しないような応用例もあり得る。アームなども棚への載置対象物に応じて変更される可能性もある。さらに、チャンバ1内部をDMSO以外の気体雰囲気にする場合もあるが、上で述べたようなチャンバ1は対応できる。
滴下防止板は取り外し可能にしておき、その形状や傾きなどを変更するようにしても良い。
さらに、上で述べたチャンバ1は、その目的は除水に限定されるものではなく、他の目的で用いることも可能である。