JP4241426B2 - 分析装置の分析試料保存装置及び試料注入装置 - Google Patents

分析装置の分析試料保存装置及び試料注入装置 Download PDF

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Description

本発明は液体クロマトグラフなどの分析装置で分析する試料を冷却して保存する分析試料保存装置と、冷却保存されている試料を分析装置に注入する試料注入装置に関するものである。
液体クロマトグラフにおける自動分析は、試料を封入した試料容器をラックに装架し、このラックを試料注入装置にセットし、試料注入装置がこのラック上の試料容器から所定プログラムに従って逐次に試料を吸い上げ、液体クロマトグラフに注入することにより実行される。分析待ち状態にあるラック上の試料は室温下に置かれることもあるが、試料によっては、変質を防ぐために低温に保つことが必要な場合がある。このような場合に、分析試料保存装置では試料を冷却して保存する。本発明はそのような分析試料保存装置を対象にしている。
試料を冷却する従来の分析試料保存装置には直冷式と空冷式の2方式がある。直冷式は、ラックを熱伝導性の良好な金属で作り、ラックの底部に冷却器(ペルチエ素子など)を密接させて、主として固体を通しての熱伝導により試料の温度を調節するものである。空冷式は冷却した空気を介して試料を冷却するものである。本発明はそのうちの直冷式を対象にしている。直冷式は熱伝達の効率が高く、短時間で所定温度まで冷却できるのであるが、冷却過程で大気中の水分が試料容器やラックの表面に凝縮して、いわゆる結露を生じる。結露水はサンプリングに際して、サンプリングニードルの先に付着して試料に混入し、分析の精度を低下させる虞があるほか、試料容器やラックを扱う際に水が垂れて周辺を汚すなど、取り扱い上不便である。
試料容器やラックに結露が生じるのを防止する方法として、除湿装置を設けて装置内の雰囲気の湿度を低下させたり、乾燥装置を設けて乾燥させた空気を結露が発生する部分に吹き付けたりすることが考えられるが、除湿装置や乾燥装置を付加すればそれだけコストの上昇を招き、また消費電力も増えることから好ましくない。
分析試料保存装置内の温度を上げれば露天が上がって結露は生じないが、試料を冷却することを目的としている分析試料保存装置では加熱することはできない。
試料容器を冷却する冷却機構とは別に冷却室を冷却する冷却機構を設け、冷却室内の温度が所定の温度まで低下した後、湿度が所定の湿度より低下した後、又は冷却室の冷却機構の作動開始から所定の経過時間が経過した後に、試料容器を冷却する冷却機構を作動させるようにすることによって結露を防止する試料冷却装置が提案されている(特許文献1参照。)。
特開2000−74802号公報)
本発明は試料を冷却して保存する分析試料保存装置において、コストを抑えつつ結露を防止することを目的とするものである。
本発明では試料容器上面部分の空気を吸い込み、冷却機構の冷却板に沿ってその空気を流すことにより空気中の水分を冷却板に付着させて除去し、湿度を低下させる。その湿度が低下した空気を再び試料容器上に戻すことによって新たな除湿装置や乾燥装置を付加することなく、本来の冷却機構を利用することによって冷却室内の空気の湿度を低下させるようにしたものである。
すなわち、本発明の分析試料保存装置は、分析試料を保持した試料容器を収容する冷却室と、その冷却室を冷却する冷却機構と、その冷却室に通じ、前記冷却機構の冷却板の一部が内壁面として露出している除湿通路と、その除湿通路を経て前記冷却室の空気を取り込み前記冷却室に吹き出す空気循環機構とを備えている。除湿通路と冷却室の間で空気を循環させることにより、空気中の湿度が低下してゆき、結露を防止することができる。
冷却板に結露した水分は、例えば除湿通路からこの分析試料保存装置の外部へ排出される。
また、本発明の試料注入装置は、そのような分析試料保存装置と、その分析試料保存装置から取り出された試料容器から試料を吸入して分析装置に注入する試料注入機構と、試料容器を前記分析試料保存装置から取り出して前記試料注入機構に設置するとともに、前記試料注入機構から試料容器を取り出して前記分析試料保存装置に戻す試料容器の搬送機構とを備えている。
本発明の分析試料保存装置では、冷却室を冷却するために設けられている冷却機構を利用し、その冷却機構の冷却板の一部が内壁面として露出している除湿通路と冷却室の間で空気を循環させることにより、空気中の湿度を低下させて結露を防止するので、空気を循環させる機構は必要であるが、空気中の湿度を低下させるための新たな装置の付加が不要であり、コストの上昇を抑えることができる。
図1は一実施例の試料注入装置を示す一部切欠き正面図、図2はそのD―D線位置での断面図で、内部構造を平面図として示したものである。図3は図1の右側面図で一部を切欠いて示している。
図1において符号Aとして示される部分が分析試料保存装置の一実施例に該当し、符号Cとして示される部分が試料注入機構であるオートインジェクタである。分析試料保存装置Aと試料注入機構Cとの間には試料容器の搬送機構Bが配置されており、試料注入装置の実施例はこのこれらの部分A,B及びCを含んだものである。
分析試料保存装置Aの実施例について説明すると、出し入れ可能な4段の引出し3が設けられている。図1では最上段には引出しが入っていない状態が示されている。各引出し3には試料容器としてマイクロタイタプレート(MTP)5が前後方向に3個ずつ配置される。
1は冷却機構であり、ペルチェ素子1aを備え、冷却室10内にはペルチェ素子1aと一体化された冷却板2aを備え、冷却室10の外側にはペルチェ素子1aと一体化された放熱フィン1bを備えている。ペルチェ素子1aを含むこれらの冷却機構は、前後方向に2つ、上下に2段配置されて、合計で4個が配置されている。
冷却板2aにはそれぞれの引出しの下面と接触する冷却室内の冷却板2bが接触して設けられている。引出し3は一方の側面3aがガイドレール7によって案内されて出し入れされるとともに、その下面が冷却板2bと接触している。試料容器のMTP5はMTPホルダー4を介して引出し3内に載置されている。引出し3及びMTPホルダー4は熱伝導性の良い金属、例えばアルミニウムにて構成され、ペルチェ素子1aから冷却板2a、2bを介して直冷方式により冷却される。
MTP5には、図2に示されるように多数の試料収納用の凹部が形成されており、それらの凹部はカバーで覆われ、試料注入機構のノズルがそのカバーを貫通して挿入されることにより凹部中の試料が吸入される。
MTP5の上部の空間の空気を乾燥したものとするために、冷却板2aと一体となった冷却板2bと引出しの側面3a及びガイドレール7によって除湿通路12が形成されている。除湿通路12内においては冷却板2a及び2bは露出しており、その露出部分で除湿通路12内の空気の水分が冷却されて結露する。冷却室10では、MTP5の上部及び側面に該当する冷却板2a,2bの表面が断熱材6で覆われており、冷却板2aの外側の面も断熱材6で覆われている。
除湿通路12は手前から奥方向に形成され、4つの引出し3が収納される空間それぞれに1つずつ設けられている。除湿通路12は図1の手前方向の端部で引出し3のある冷却室の空間とつながっている。各除湿通路12において図1で手前方向に開口をもつ空気吸引配管9が設けられており、引出しの収納される冷却空間には図1で奥方向の位置に除湿空気噴出配管8の出口が配置されている。
配管8と9は図4に示されるように冷却室10の外側に設けられたファンボックス14によってMTP5の上部空間の空気は除湿通路12から配管9に吸引され、ファンボックス14により配管8からMTP5上に噴出される。図2で、実線30で示される矢印は空気の流れを示している。空気は除湿通路12で露出した冷却板2a,2bと接触することにより、冷却されて結露し、除湿された状態で配管9に吸引され、配管8からMTP5上に噴出される。このように、空気は除湿通路12、配管9,8からMTP5上の空間の間で循環することにより水分が除去されて乾燥空気となっていく。
図には現れていないが冷却板2a,2bに接触して結露した水分は通路12に沿って外部まで延びるように配置された吸湿材により吸収され、外部へ導かれて排出される。
試料注入機構Cは詳細な記述が省略されているが、分析試料保存装置Aから搬送機構Cにより搬送されたMTP5の所定の凹部にノズルを挿入して試料を吸引し、液体クロマトグラフなどの分析装置(図示略)に注入するものである。
MTP5を分析試料保存装置Aから取り出して試料注入機構Cへ搬送し、注入終了後に再び分析試料保存装置Aに戻すための搬送機構Bは、4段に設けられた引出し3のいずれのMTP5も保持して搬送できるように、平面内のXY方向と高さ方向のZ方向、及び面内での回転ができる機構となっている。搬送機構Bは搬送部20を備え、搬送部20はMTP5と係合してMTP5を保持し搬送する。搬送部20は支持腕22に沿って支持腕22の長手方向(X方向)に移動可能に支持され、支持腕22は垂直軸24により垂直方向に移動可能に支持され、支持腕22はモータ26により垂直方向の移動と水平面内での回転が駆動される。また、支持腕22はガイドレール28に沿ってY方向に移動可能に支持されている。
この実施例において、分析試料保存装置Aに保存されている所定の試料を分析装置に分注する際には、搬送部20がその試料を収納しているMTP5を保持し、搬送機構BによってそのMTP5が試料注入機構Cに搬送されて装着される。試料注入機構Cでは試料を注入するノズルが所定の試料の凹部に挿入されて試料の吸入がなされ、分析装置に分注される。試料の注入が終了すると、試料注入機構C内のMTP5が搬送部20に保持され、再び分析試料保存装置Aの所定の位置に戻されて保存される。
分析試料保存装置Aでは試料を保存している間も試料分注動作の間も試料の冷却が継続して行なわれており、空気を循環させることにより冷却室内の空気の乾燥も継続して行なわれる。
図5は空気を循環させる他の例を示したものである。噴出配管8の出口が8aと8bの2つに分かれ、1つの出口8bは図4と同様に冷却室の奥方向に位置し、他の出口8aは図1で手前方向に位置することにより、冷却室内ではMTP5上での空気の流速がより均等になる。
本発明は液体クロマトグラフなどの分析装置で分析試料を冷却して保存するのに利用することができる。
一実施例の試料注入装置を示す一部切欠き正面図である。 図1のD―D線位置での断面図である。 図3は図1の一部切欠き右側面図である。 同実施例における循環空気の流れを示す図である。 他の実施例における循環空気の流れを示す図である。
符号の説明
A 分析試料保存装置
C 試料注入機構のオートインジェクタ
B 試料注入機構
1 冷却機構
1a ペルチェ素子
2a,2b 冷却板
3 引出し
4 MTPホルダー
5 マイクロタイタプレート(MTP)
8 除湿空気噴出配管
9 空気吸引配管
10 冷却室
12 除湿通路
14 ファンボックス

Claims (2)

  1. 分析試料を保持した試料容器を収容する冷却室と、
    前記冷却室内に冷却素子と一体となった第1の冷却板及び第1の冷却板と接触している水平方向の第2の冷却板を有する冷却機構と、
    前記試料容器を保持し前記第2の冷却板と下面で接触しつつ出し入れ可能な引出しと、
    前記引出しの一側面の上端を案内するガイドレールと、
    前記冷却室の空気を取り込み再び前記冷却室に吹き出す空気循環機構と、を備え
    前記ガイドレールは前記引出しが入れられたときに前記第1、第2の冷却板及び引出しの前記一側面とともに除湿通路を形成するように、前記引出しを前記第1の冷却板から離れた位置で案内し、かつ形成される除湿通路上を被うように配置されており、
    前記空気循環機構は前記引出しが入れられたときに形成される前記除湿通路を経て空気を循環させるものである分析試料保存装置。
  2. 請求項1に記載の分析試料保存装置と、
    前記分析試料保存装置から取り出された試料容器から試料を吸入して分析装置に注入する試料注入機構と、
    試料容器を前記分析試料保存装置から取り出して前記試料注入機構に設置するとともに、前記試料注入機構から試料容器を取り出して前記分析試料保存装置に戻す試料容器の搬送機構と、を備えた試料注入装置。
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