全体構成
図1及び図2に示す如く、本発明の実施形態の一つである低温環境庫(1)は、前面に開口(10)が形成されると共に該開口(10)をフロント開閉扉(12)によって開閉することが可能なチャンバー(11)を具え、該チャンバー(11)の内部には、後述の低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)が収容されている。
チャンバー(11)には、その上面部に、チャンバー内の温度を調整するための環境調整装置(図示省略)が配備されており、チャンバー(11)の上側の壁面には、環境調整装置から得られた調整されたガスをチャンバー内へ分布させるためのファンを具えた吹き出し口(図示省略)が開設されている。
又、チャンバー(11)においては、上記環境調整装置(図示省略)がチャンバー(11)の上面部だけでなく、該チャンバー(11)の背面部、側面部又は底面部にも配備され、上記ファンを備えた吹き出し口を有しない構成(直冷式低温環境庫)であってもよい。
図1、図2、図3及び図4に示す如く、フロント開閉扉(12)には、マイクロプレート挿入出口(13)が開設されると共に、該マイクロプレート挿入出口(13)と対向する位置に開口部(161)を有するシャッター開閉部(16)が取り付けられており、該シャッター開閉部(16)には、後述の如くマイクロプレート挿入出口(13)を開閉するためのシャッター機構(図示省略)が内蔵されている。
図3に示す如く、該低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)には後述の着霜・結露防止カバー(81)が配備されている。該着霜・結露防止カバー(81)は、上記マイクロプレート挿入出口(13)と対向する位置に搬入出用孔(811)を有している。該着霜・結露防止カバー(81)を設置することで上記マイクロプレート挿入出口(13)からの浸入外気が後述の環境調整装置(91)に達するまでの流路が形成される。浸入外気は高温の場合には比重が小さく、また、多湿の場合も比重が小さいため、シャッター開閉部(16)を開けることにより低温環境に浸入すると、該着霜・結露防止カバー(81)により形成された流路を通り上昇し、低温環境内の低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)に浸入外気が接触しないため、該低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)への着霜、結露を低減する効果が得られる。
低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)
低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)は、図5に示す如く、ベース(21)上に、マイクロプレート搬送ユニット(2a)を設置すると共に、該マイクロプレート搬送ユニット(2a)の両側に左右一対のスタッカーユニット(2b)(2c)を、該マイクロプレート搬送ユニット(2a)の片側にマイクロプレート搬入出機構(4)を配備して構成されている。さらに、図6に示す如く、マイクロプレート搬送ユニット(2a)、各スタッカーユニット(2b)(2c)、マイクロプレート搬入出機構(4)はベース(21)から個別に取り外すことが可能である。
マイクロプレート搬送ユニット(2a)は、機台(51)上に、搬送テーブル(50)を具えたマイクロプレート搬送装置(5)を設置して構成されている。各スタッカーユニット(2b)(2c)は、引出し台(22)上にスタッカーホルダー(23)を配備して構成され、スタッカーホルダー(23)には、マイクロプレートを収容するための複数のスタッカー(3)が、前後方向(Y軸方向)に配列されている。
図1に示す如く、チャンバー(11)内に低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)が収容された状態で、マイクロプレート搬送装置(5)は、チャンバー(11)内の空間の中央部に位置し、その両側の空間にそれぞれ複数のスタッカー(3)が配列されることになる。
図7に示す如く、マイクロプレート搬送ユニット(2a)の機台(51)と両スタッカーユニット(2b)(2c)の引出し台(22)(22)はそれぞれ、その前方端部がベース(21)にビス(26)によって締結されている。
又、図7に示す如く、上記ベース(21)には、高さ調整が可能な脚部(201)が設置されている。上記環境調整装置(91)がチャンバー(11)の上面部だけでなく、該チャンバー(11)の背面部、側面部又は底面部にも配備され、チャンバー(11)が上記ファンを備えた吹き出し口を有しないタイプ(直冷式低温環境庫)のものである場合には、該チャンバー(11)の上面部の他、背面部、側面部、底面部にも霜、露が付着する可能性がある。該脚部(201)は、上記マイクロプレート搬送ユニット(2a)及び後述のマイクロプレート搬入出機構(4)をチャンバー(11)の底面から底上げすることにより、庫内底部に溜まった霜、露の上記低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)への付着を防止することができる。
又、マイクロプレート搬送ユニット(2a)の機台(51)と両スタッカーユニット(2b)(2c)の引出し台(22)(22)の各後方端面には、図8に示す如く後方に向かってピン(27)が突設される一方、ベース(21)上には、前記ピン(27)がそれぞれ嵌入すべき貫通孔を有するブロック(28)が配備されており、各ピン(27)が各ブロック(28)の貫通孔へ嵌入することによって、マイクロプレート搬送ユニット(2a)及び両スタッカーユニット(2b)(2c)がベース(21)上に拘束される。
両スタッカーユニット(2b)(2c)の引出し台(22)(22)にはそれぞれ、ベース(21)上のレール(29)(29)(図6参照)と係合して前後方向へ往復移動するための周知のスライド機構(図示省略)が内蔵されており、図2に示す如くチャンバー(11)のフロント開閉扉(12)を開くことによってマイクロプレート搬送ユニット(2a)及び両スタッカーユニット(2b)(2c)をチャンバー(11)の外側へ向けて引き出すことが出来る。
又、図1に示す如くフロント開閉扉(12)を開いた状態で、図8に示すビス(26)を取り外し、更にピン(27)をブロック(28)の貫通孔から引き抜くことによって、マイクロプレート搬送ユニット(2a)やスタッカーユニット(2b)(2c)を個別にベース(21)から取り外し、図1に示す開口(10)からチャンバー(11)の外へ取り出すことが出来る。
スタッカーユニット(2b)
スタッカーユニット(2b)を構成するスタッカーホルダー(23)は、図9に示す如く、引出し台(22)上に電気絶縁部材(24)(25)を介して支持されており、該電気絶縁部材(24)(25)によってスタッカーホルダー(23)と引出し台(22)の電気絶縁が施されている。ここで、スタッカーユニット(2b)のスタッカーホルダー(23)及びスタッカー(3)は抗菌ステンレス鋼製であり、引出し台(22)はアルミニウム製である。
スタッカー(3)は、図10(a)(b)に示す如く複数の試料注入凹部(31a)が形成されたマイクロプレート(31)を複数段に収容するものであって、マイクロプレート(31)を水平姿勢で受け止めるための一対の受け止め片(32)(32)が、複数段に突設されている。ここで、該マイクロプレート(31)は、試料を入れる容器の形態の一つであり、試料を入れる容器は、該マイクロプレート(31)に限定されず、他の形態のものも用いることができる。
尚、図示の如く厚さの異なる複数種類のマイクロプレート(31)が存在するため、受け止め片(32)の配列ピッチが異なる複数種類のスタッカー(3)が用意されている。
図12に示す如く、スタッカーホルダー(23)は上下2つの背板部(23a)(23b)を具え、各スタッカー(3)には、該背板部(23a)(23b)と対向する位置に、図11に示す如く上下2つのフレーム部(35)(35)が突設されており、各フレーム部(35)の背面には、突片(36)が取り付けられている。両フレーム部(35)(35)の突片(36)(36)は、図12に示す如くスタッカー(3)がスタッカーホルダー(23)に取り付けられたときに該スタッカーホルダー(23)の背板部(23a)(23b)に嵌合するものである。
ここで、スタッカーホルダー(23)の下方の背板部(23b)には、突片(36)と対向する位置に、該突片(36)によって押下されるべきスイッチ(37)が取り付けられており、該スイッチ(37)によってスタッカー(3)の種類が識別される。
即ち、図13に示す如く、スイッチ(37)には第1及び第2の作動片(37a)(37b)が配備され、受け止め片(32)の配列ピッチの小さなスタッカー(3A)には、スイッチ(37)の2つの作動片(37a)(37b)を同時に押下することが可能な凸部(36a)が形成されているのに対し、受け止め片(32)の配列ピッチの大きなスタッカー(3B)には、スイッチ(37)の第1作動片(37a)のみを押下することが可能な凸部(36b)が形成されている。
従って、スイッチ(37)の何れの作動片(37a)(37b)も押下されないときはスタッカー(3)が存在しないものと判断することが出来、両方の作動片(37a)(37b)が同時に押下されたときは受け止め片(32)の配列ピッチの小さなスタッカー(3A)が取り付けられたものと判断することが出来、第1作動片(37a)のみが押下されたときは受け止め片(32)の配列ピッチの大きなスタッカー(3B)が取り付けられたものと判断することが出来る。
マイクロプレート搬送ユニット(2a)
マイクロプレート搬送ユニット(2a)を構成するマイクロプレート搬送装置(5)は、図14及び図15に示す如く、機台(51)上に4本の支柱(52)〜(52)を介して上板(53)を支持してなる枠体を具え、該枠体には、搬送テーブル(50)を左右方向、即ちX軸方向に駆動するためのX軸搬送部(54)と、搬送テーブル(50)を前後方向、即ちY軸方向に駆動するためのY軸搬送部(55)と、搬送テーブル(50)を上下方向、即ちZ軸方向に駆動するためのZ軸搬送部(56)とが配備されている。
機台(51)には、図16に示す如く、前記X軸搬送部(54)を駆動するX軸モータユニット(57)と、前記Y軸搬送部(55)を駆動するY軸モータユニット(58)と、前記Z軸搬送部(56)を駆動するZ軸モータユニット(59)とが取り付けられている。X軸モータユニット(57)は、モータケース(572)内にX軸モータ(571)を収容して構成され、Y軸モータユニット(58)は、モータケース(582)内にY軸モータ(581)を収容して構成され、Z軸モータユニット(59)は、モータケース(592)内にZ軸モータ(591)を収容して構成されている。
尚、X軸モータ(571)、Y軸モータ(581)及びZ軸モータ(591)はそれぞれ、ステッピングモータによって構成されている。
Y軸搬送部(55)
図14に示す如く、機台(51)上には、Y軸方向に伸びる2本の下ガイドレール(554)(554)が設置され、両下ガイドレール(554)(554)には、下スライド板(556)が摺動可能に係合している。又、上板(53)上には、Y軸方向に伸びる1本の上ガイドレール(555)が設置され、該上ガイドレール(555)には、上スライド板(557)が摺動可能に係合している。そして、下スライド板(556)と上スライド板(557)は垂直桿(558)によって互いに連結され、Y軸方向に往復移動可能な往復移動体を構成している。
機台(51)上には、下ガイドレール(554)に沿ってステンレス鋼製のY軸駆動ラダーチェーン(552)が張設されると共に、上板(53)上には、上ガイドレール(555)に沿ってステンレス鋼製のY軸駆動ラダーチェーン(553)が張設されている。そして、下方のY軸駆動ラダーチェーン(552)の一端には下スライド板(556)が連結され、上方のY軸駆動ラダーチェーン(553)の一端には上スライド板(557)が連結されている。
又、機台(51)と上板(53)には、Y軸モータユニット(58)によって駆動されるY軸駆動シャフト(551)が垂直に架設されており、該Y軸駆動シャフト(551)の回転によって、Y軸駆動ラダーチェーン(552)とY軸駆動ラダーチェーン(553)が駆動される。
この結果、下スライド板(556)及び上スライド板(557)が下ガイドレール(554)(554)及び上ガイドレール(555)に沿ってY軸方向に往復移動し、これに伴って垂直桿(558)がY軸方向に往復移動することになる。
図17に示す如く、垂直桿(558)には、Z軸方向に伸びるガイドレール(563)が取り付けられており、該ガイドレール(563)にZ軸スライダー(564)が摺動可能に係合している。そして、該Z軸スライダー(564)によって昇降板(542)が支持され、該昇降板(542)上に搬送テーブル(50)が設置されている。
尚、搬送テーブル(50)は抗菌ステンレス鋼製であって、昇降板(542)上に電気絶縁部材(図示省略)を介してビス止め固定されており、容易に取り外して洗浄、殺菌処理を施すことが可能となっている。
斯くして、搬送テーブル(50)をY軸方向に駆動するY軸搬送部(55)が構成される。図19(a)はY軸搬送部(55)の動力伝達経路を表わしたものであって、Y軸モータ(581)の回転がY軸駆動ラダーチェーン(552)(553)に伝えられて、下スライド板(556)及び上スライド板(557)がY軸方向に往復移動し、これに伴って昇降板(542)がY軸方向に往復移動する。この結果、搬送テーブル(50)がY軸方向に往復移動するのである。
上記Y軸搬送部(55)においては、下スライド板(556)、上スライド板(557)及び垂直桿(558)からなる往復移動体が、下スライド板(556)及び上スライド板(557)を下ガイドレール(554)(554)及び上ガイドレール(555)によってガイドされているので、搬送テーブル(50)を安定した姿勢でY軸方向へ移動させることが出来る。
Z軸搬送部(56)
図16に示す如く、機台(51)には、Z軸モータユニット(59)によって駆動されるZ軸駆動シャフト(561)が、Y軸方向に設置されている。又、図14に示す如く、下スライド板(556)と上スライド板(557)の間にはステンレス鋼製のZ軸駆動ラダーチェーン(562)が張設されており、該Z軸駆動ラダーチェーン(562)の一端に、昇降板(542)が連結されている。該Z軸駆動ラダーチェーン(562)には、Z軸駆動シャフト(561)の回転が伝えられる。
斯くして、搬送テーブル(50)をZ軸方向に駆動するZ軸搬送部(56)が構成される。図19(b)は、Z軸搬送部(56)の動力伝達経路を表わしたものであって、Z軸モータ(591)によってZ軸駆動シャフト(561)が駆動され、これによってZ軸駆動ラダーチェーン(562)が駆動されると、昇降板(542)がZ軸方向に往復移動する。この結果、搬送テーブル(50)がZ軸方向に往復移動するのである。
X軸搬送部(54)
図17に示す如く、Z軸スライダー(564)に突設された昇降板(542)上には、下段スライダー(549a)が、X軸方向の往復移動が可能に設置され、該下段スライダー(549a)の上面に中間スライド板(543)が固定されている。該中間スライド板(543)上には、上段スライダー(549b)が、X軸方向の往復移動が可能に設置され、該上段スライダー(549b)の上面に搬送テーブル(50)が固定されている。
図16に示す如く、機台(51)には、Y軸方向に伸びる水平X軸駆動シャフト(541)が設置されており、該水平X軸駆動シャフト(541)の端部に、X軸モータユニット(57)の回転が伝えられる。
又、図15に示す如く、下スライド板(556)と上スライド板(557)の間には、Z軸方向に伸びる垂直X軸駆動シャフト(540)が架設されており、該垂直X軸駆動シャフト(540)の下端部に、水平X軸駆動シャフト(541)の回転が伝えられる。
図17に示す如く、垂直X軸駆動シャフト(540)には、第1のピニオン(544)が相対回転不能且つ軸方向の摺動が可能に係合する一方、中間スライド板(543)上には第1のラック(545)が配備され、第1のピニオン(544)と第1のラック(545)とが互いに噛合している。
又、中間スライド板(543)上には第2のピニオン(546)が配備される一方、昇降板(542)上には第2のラック(547)が配備され、第2のピニオン(546)と第2のラック(547)とが互いに噛合している。
斯くして、搬送テーブル(50)をX軸方向に駆動するX軸搬送部(54)が構成される。図19(c)は、X軸搬送部(54)の動力伝達経路を表わしたものであって、X軸モータ(571)の回転が、水平X軸駆動シャフト(541)及び垂直X軸駆動シャフト(540)を介して、ピニオン(544)に伝わり、該ピニオン(544)の回転によって搬送テーブル(50)がX軸方向に駆動される。
上記X軸搬送部(54)においては、図18(a)(b)に示す如く、垂直X軸駆動シャフト(540)の正逆の回転によって、昇降板(542)上の搬送テーブル(50)が、昇降板(542)と重なる位置を基準位置として、図18(a)に示す如く左方の移動端まで移動して、左方のスタッカーの内部へ浸入し、或いは図18(b)に示す如く右方の移動端まで移動して、右方のスタッカーの内部まで浸入することになる。
マイクロプレート搬入出機構(4)
図20〜図21に示す如く、マイクロプレート搬入出機構(4)は、往復搬送部(41)と、該往復搬送部(41)を駆動するモータユニット(42)とから構成される。また、図5、図6に示す如く、マイクロプレート搬入出機構(4)は、低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)の一部を構成している。
往復搬送部(41)においては、引出し台(22)(図6参照)上に、Y軸方向に伸びる2本のガイドレール(44a)が形成されて、該ガイドレール(44a)にスライダー(40a)が摺動可能に係合し、該スライダー(40a)の上面にスライド板(48)が固定されている。該スライド板(48)には、Y軸方向に伸びるスライドバー(481)が形成されて、該スライドバー(481)の上面にマイクロプレート設置台(410)が固定されている。マイクロプレート設置台(410)は、マイクロプレート搬入出時にマイクロプレート(31)を支えるマイクロプレート支持突片(411)を含んでいる。
尚、マイクロプレート設置台(410)は抗菌ステンレス鋼製であって、電気絶縁部材(図示省略)を介してスライドバー(481)上にビス止め固定されており、容易に取り外して、洗浄、殺菌処理を施すことが出来る。
又、引出し台(22)には、モータケース内にステッピングモータを内蔵してなる搬入出用モータユニット(42)が内蔵されている。また、引出し台(22)には、ガイドレール(44a)が固定されている。
又、引出し台(22)には、モータユニット(42)によって同時に駆動される第1及び第2のスプロケット(45)(47)が取り付けられる一方、スライド板(48)の突起部(49)にはラダーチェーン(46)が取り付けられ、第1のスプロケット(45)とラダーチェーン(46)とが互いに噛合すると共に、第2のスプロケット(47)とラダーチェーン(46)とが互いに噛合している。
従って、図20に示す状態から、搬入出用モータユニット(42)によって第1及び第2のスプロケット(45)(47)が反時計方向に回転駆動されると、スライド板(48)がY軸方向に駆動されると同時に、該スライド板(48)上のマイクロプレート設置台(410)がY軸方向に駆動されて、図21に示す如く、マイクロプレート設置台(410)は引出し台(22)から大きく突出することになる。
又、図21に示す状態から、搬入出用モータユニット(42)によって第1及び第2のスプロケット(45)(47)が時計方向に回転駆動されると、マイクロプレート設置台(410)は図20に示す如く元の位置に戻ることになる。
又、スライドバー(481)には、内扉(482)(483)が取り付けられている。マイクロプレート設置台(410)が引出し台(22)から突出されてチャンバー(11)外へ搬出された状態において、該内扉(482)はフロント開閉扉(12)に接することにより、マイクロプレート挿入出口(13)を塞ぐことができ、該内扉(483)は着霜・結露防止カバー(81)の搬入出用孔(811)を塞ぐことができる。このことにより、チャンバー(11)内とチャンバー(11)外を遮断することができるため、チャンバー(11)内にチャンバー(11)外の空気が流入しないようにできる。
シャッター機構(14)
シャッター開閉部(16)には、図22及び図23に示すシャッター機構(14)が内蔵されている。該シャッター機構(14)は、シャッター開閉部(16)に取り付けられて上下に伸びるガイド部材(145)と、該ガイド部材(145)に昇降可能に係合する昇降体(141)と、該昇降体(141)を昇降駆動する駆動機構(144)と、該昇降体(141)を駆動するための動力源となるモータ(148)と、該昇降体(141)にリンク機構(143)を介して支持されたシャッター(142)とを具え、該シャッター(142)によって、フロント開閉扉(12)に開設されたマイクロプレート挿入出口(13)を開閉することが可能である。
シャッター(142)の下端部にはローラ(146)が配備され、該ローラ(146)の下方位置には、ローラ受け部材(147)が配備されている。又、シャッター開閉部(16)には、シャッター(142)を閉じた状態でチャンバー(11)のマイクロプレート挿入出口(13)の周囲と該シャッター(142)との間に介在して気密を保つべきシール部材(162)が取り付けられている。
上記シャッター機構(14)においては、モータ(148)の駆動力が駆動機構(144)に伝わることにより該駆動機構(144)が回転駆動し、該駆動機構(144)の駆動によって昇降体(141)が下降すると、該下降に伴ってシャッター(142)も下降して、マイクロプレート挿入出口(13)との対向位置に達する。更に駆動機構(144)の駆動によって昇降体(141)が下降し、ローラ(146)がローラ受け部材(147)に当接すると、その後は駆動機構(144)の駆動力がリンク機構(143)を経てシャッター(142)に伝わり、該シャッター(142)はマイクロプレート挿入口(13)の開口縁に向けて押圧されることになる。この結果、シャッター(142)によってマイクロプレート挿入出口(13)が閉じられる。
駆動機構(144)が逆向きに駆動されると、昇降体(141)には上昇方向の力が加わり、これによって、シャッター(142)は先ずマイクロプレート挿入口(13)から略水平方向に離間した後に上昇して、マイクロプレート挿入出口(13)を開く。
着霜・結露防止カバー(81)
図3に示す如く、チャンバー(11)内には、マイクロプレート挿入出口(13)から浸入した外気による低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)への着霜及び結露を低減するための着霜・結露防止カバー(81)が設置される。図29に示す如く、該着霜・結露防止カバー(81)を設置することで、浸入外気がチャンバー(11)内の環境調整装置(91)(後述)に達するまでの流路を設けることができ、これにより、比重の小さい高温又は多湿の外気(92)はチャンバー(11)内に浸入すると、該着霜・結露防止カバー(81)により形成された流路を通って上昇するため、浸入外気が直接低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)に触れないことになる。さらに、上昇した外気(92)は、チャンバー(11)内上部に設置された環境調整装置(91)で冷却され、乾燥空気となり、チャンバー(11)内を循環する。したがって、該着霜・結露防止カバー(81)を設置することにより、低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)への着霜及び結露を低減する効果が得られる。
上記着霜・結露防止カバー(81)には、マイクロプレートの低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)への搬入出を行うための搬入出用孔(811)が少なくとも一つ開いている。該着霜・結露防止カバー(81)の形状としては、図24(a)のようにボックス型、図24(b)のように衝立型とすることができ、この他、円筒型等であってもよく、また、環境調整装置(91)への流路を形成できれば、これらの形状に限られるものではない。また、必ずしも低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)を全面覆っていなくても着霜・結露防止効果は得られる。また、図24(a)のタイプのカバー(81)は、背面の一部に開口部(812)を有しているが、該開口部(812)がなくても構わない。また、該着霜・結露防止カバー(81)にはケーブル用の穴等が開いていても構わない。また、これらの着霜・結露防止カバー(85)は、溜まってきた露や霜を排出できるようにチャンバー(11)内から取り外せる構造である。
また、例えば、ボックス型の着霜・結露防止カバー(81)で、背面等を熱伝導率の高い材質にすることにより、着霜・結露防止カバー(81)内の冷却性能を向上させることができる。
ファン式低温環境庫の場合、上記着霜・結露防止カバー(81)の搬入出用孔(811)から吐出冷気が流れ出る構造にすることにより、低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)に露または霜が付着することを防止する効果が増す。
さらに、図25(a)、(b)及び図32に示すように、ファン式低温環境庫において吐出冷気をダクト(832)でガイドする形状の着霜・結露防止カバー(83)を用いることにより、着霜・結露防止効果が増す。
低温環境庫(1)の動作
本発明の実施形態の一つである上記低温環境庫 (1)においては、チャンバー(11)内に複数のスタッカー(3)を設置した状態で、マイクロプレート搬送装置(5)の動作によって、搬送テーブル(50)をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させることにより、任意のスタッカー(3)の任意のマイクロプレート収容部に対して、マイクロプレート(31)の出し入れが行なわれる。
例えば、ある1つのマイクロプレート収容部にマイクロプレートを収容する場合、シャッター機構(14)が開かれた後、マイクロプレート搬入出機構(4)は、図21に示すように、マイクロプレート設置台(410)をチャンバー(11)外へ向かって突出させる。
次に、図26、図27及び図30に示す如くマイクロプレート搬入出機構(4)のマイクロプレート設置台(410)上にマイクロプレート(31)を載置する。
その後、マイクロプレート搬入出機構(4)は、図20及び図31に示すようにマイクロプレート設置台(410)をチャンバー内へ向かって搬入させる。さらに、図4に示すようにシャッター機構(14)を閉じる。
なお、図30に示す如く、マイクロプレート設置台(410)上にマイクロプレート(31)を載置する際のマイクロプレート搬入出機構(4)の位置においては、マイクロプレート搬入出機構(4)に設けられた内扉(482)及び内扉(483)は、それぞれフロント開閉扉(12)及び着霜・結露防止カバー(81)に接することにより、マイクロプレート挿入出口(13)及び搬入出用孔(811)を塞ぐことができる。このことにより、チャンバー(11)内とチャンバー(11)外を遮断することができるため、チャンバー(11)内に外気が流入することを低減できる。したがって、チャンバー(11)内の低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)への着霜及び結露を低減する効果が増す。
又、マイクロプレート搬送装置(5)のY軸搬送部(55)及びZ軸搬送部(56)を動作させて、搬送テーブル(50)をマイクロプレート挿入出口(13)との対向位置まで移動させ、更にX軸搬送部(54)をマイクロプレート挿入出口(13)側へ動作させて、基準位置の搬送テーブル(50)を、マイクロプレート搬入出機構(4)のマイクロプレート設置台(410)とマイクロプレート(31)の間へ移動させる。
その後、Z軸搬送部(56)の動作によって搬送テーブル(50)を僅かに上昇させ、搬送テーブル(50)上にマイクロプレート(31)を搭載した後、X軸搬送部(54)の動作によって、搬送テーブル(50)を基準位置に復帰させる。
続いて、マイクロプレート搬送装置(5)のY軸搬送部(55)及びZ軸搬送部(56)を動作させて、搬送テーブル(50)を所定のスタッカー(3)の所定のマイクロプレート収容部との対向位置まで移動させた後、X軸搬送部(54)を動作させて、搬送テーブル(50)を基準位置から該マイクロプレート収容部の内部まで移動させる。
その後、Z軸搬送部(56)の動作によって搬送テーブル(50)を僅かに降下させ、搬送テーブル(50)上のマイクロプレート(31)を該マイクロプレート収容部に引き渡した後、X軸搬送部(54)の動作によって、搬送テーブル(50)を基準位置まで復帰させる。
チャンバー(11)内のある1つのスタッカー(3)の、ある1つのマイクロプレート収容部に収容されているマイクロプレート(31)を、チャンバー(11)の外側に搬出する場合は、上記の搬入、搬送動作と逆の動作が実行される。
即ち、マイクロプレート搬送装置(5)のY軸搬送部(55)及びZ軸搬送部(56)の動作によって、搬送テーブル(50)を所定のマイクロプレート収容部との対向位置まで移動させ、その後、所定のマイクロプレート収容部がその左側に位置するか、或いは右側に位置するかに応じて、X軸搬送部(54)を左方若しくは右方に動作させて、搬送テーブル(50)を該マイクロプレート収容部の内部へ移動させて、搬送テーブル(50)上にマイクロプレート(31)を搭載する。
その後、マイクロプレート搬送装置(5)の動作によって、搬送テーブル(50)上のマイクロプレート(31)をチャンバー(11)内にあるマイクロプレート搬入出機構(4)のマイクロプレート設置台(410)に引き渡した後、シャッター機構(14)を開き、その後はマイクロプレート搬入出機構(4)の動作によって、マイクロプレート設置台(410)上のマイクロプレート(31)をチャンバー(11)から搬出する。この状態は、図30に示す構成となる。
図28、図29、図30及び図31に示す如く、開口時に外気が上部へ流れやすくするための、外気流路形成用テーパ加工をマイクロプレート挿入出口(13)に施すことで、低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)への結露及び着霜を低減する効果が増す。
上述の如く、本発明の実施形態の一つである低温環境庫(1)によれば、マイクロプレート(31)の搬送を行うことが出来ると共に、チャンバー(11)内に多数のマイクロプレート(31)を収容することが可能であり、然もマイクロプレート(31)のチャンバー(11)への搬入出時に伴う外気のチャンバー(11)内への流入があっても、低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)への結露及び着霜を防止することが出来る。また、上記マイクロプレート(31)の搬送を自動的に行うように構成することも出来る。
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、シャッター開閉部(16)はフロント開閉扉(12)に限らず、例えばチャンバー(11)の側部または背部に設置することも可能である。
全体構成
図39に示す如く、本実施例における低温環境庫(103)は、前面に開口(10)が形成されると共に該開口(10)をフロント開閉扉(12)によって開閉することが可能なチャンバー(11)を具え、該チャンバー(11)の内部には、低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)が収容されている。さらに、該フロント開閉扉(12)に開設したマイクロプレート挿入出口(13)には、マイクロプレート搬入出機構(6)が接続されている。
チャンバー(11)には、その上面部に、チャンバー内の温度を調整するための環境調整装置(図示省略)が配備されており、チャンバー(11)の上側の壁面には、環境調整装置から得られた調整されたガスをチャンバー内へ分布させるためのファンを具えた吹き出し口(図示省略)が開設されている。
フロント開閉扉(12)には、マイクロプレート挿入出口(13)が開設されると共に、図39及び図40に示す如く、該マイクロプレート挿入出口(13)と対応する位置に開口部(161)を有するシャッター開閉部(16)が取り付けられており、該シャッター開閉部(16)には、後述の如くマイクロプレート挿入出口(13)を開閉するためのシャッター機構(14)が内蔵されている。
又、フロント開閉扉(12)には、マイクロプレート挿入出口(13)の出口側に、マイクロプレート(31)をチャンバー(11)内へ搬入又はチャンバー(11)外へ搬出するためのマイクロプレート搬入出機構(6)が接続されている。
上記マイクロプレート挿入出口(13)は、後述の低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)の摺動部上端よりも高い位置に設置されている。マイクロプレート搬入出時にチャンバー(11)内に浸入する外気はチャンバー(11)内の冷気より高温で比重が小さく、マイクロプレート挿入出口(13)より高い位置に上昇する。したがって、上記マイクロプレート挿入出口(13)よりも低い位置に設置されている後述の低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)の摺動部には、外気が接触しないため、結露及び着霜が生じることを防止することができる。
低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)
低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)は、図41に示す如く、ベース(21)上に、マイクロプレート搬送ユニット(2a)を設置すると共に、該マイクロプレート搬送ユニット(2a)の両側に左右一対のスタッカーユニット(2b)(2c)を、該マイクロプレート搬送ユニット(2a)の片側にマイクロプレート搬入出機構(7)を配備して構成されており、図42に示す如く、マイクロプレート搬送ユニット(2a)、各スタッカーユニット(2b)(2c)、マイクロプレート搬入出機構(7)はベース(21)から個別に取り外すことが可能である。
マイクロプレート搬送ユニット(2a)は、機台(51)上に、搬送テーブル(50)を具えたマイクロプレート搬送装置(5)を設置して構成されている。各スタッカーユニット(2b)(2c)は、引出し台(22)上にスタッカーホルダー(23)を配備して構成され、スタッカーホルダー(23)には、マイクロプレートを収容するための複数のスタッカー(3)が、前後方向(Y軸方向)に配列されている。
図39に示す如く、チャンバー(11)内に低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)が収容された状態で、マイクロプレート搬送装置(5)は、チャンバー(11)内の空間の中央部に位置し、その両側の空間にそれぞれ複数のスタッカー(3)が配列されることになる。
図43に示す如く、マイクロプレート搬送ユニット(2a)の機台(51)と両スタッカーユニット(2b)(2c)の引出し台(22)(22)はそれぞれ、その前方端部がベース(21)にビス(26)によって締結されている。
又、図43及び図44に示す如く、上記ベース(21)には、高さ調整が可能な脚部(201)が設置されている。上記環境調整装置(91)がチャンバー(11)の上面部だけでなく、該チャンバー(11)の背面部、側面部又は底面部にも配備され、チャンバー(11)が上記ファンを備えた吹き出し口を有しないタイプ(直冷式低温環境庫)のものである場合には、該チャンバー(11)の上面部の他、背面部、側面部、底面部にも霜、露が付着する可能性がある。該脚部(201)は、上記マイクロプレート搬送ユニット(2a)及び後述のマイクロプレート搬入出機構(4)をチャンバー(11)の底面から底上げすることにより、庫内底部に溜まった霜、露の上記低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)への付着を防止することができる。
又、マイクロプレート搬送ユニット(2a)の機台(51)と両スタッカーユニット(2b)(2c)の引出し台(22)(22)の各後方端面には、図44に示す如く後方に向かってピン(27)が突設される一方、ベース(21)上には、前記ピン(27)がそれぞれ嵌入すべき貫通孔を有するブロック(28)が配備されており、各ピン(27)が各ブロック(28)の貫通孔へ嵌入することによって、マイクロプレート搬送ユニット(2a)及び両スタッカーユニット(2b)(2c)がベース(21)上に拘束される。
両スタッカーユニット(2b)(2c)の引出し台(22)(22)にはそれぞれ、ベース(21)上のレール(29)(29)(図42参照)と係合して前後方向へ往復移動するための周知のスライド機構(図示省略)が内蔵されており、実施例1の場合と同様に、チャンバー(11)のフロント開閉扉(12)を開くことによってマイクロプレート搬送ユニット(2a)及び両スタッカーユニット(2b)(2c)をチャンバー(11)の外側へ向けて引き出すことが出来る。
又、図39に示す如くフロント開閉扉(12)を開いた状態で、図44に示すビス(26)を取り外し、更にピン(27)をブロック(28)の貫通孔から引き抜くことによって、マイクロプレート搬送ユニット(2a)やスタッカーユニット(2b)(2c)を個別にベース(21)から取り外し、図39に示す開口(10)からチャンバー(11)の外へ取り出すことが出来る。
スタッカーユニット(2b)、マイクロプレート搬送ユニット(2a)、Y軸搬送部(55)、Z軸搬送部(56)、X軸搬送部(24)及びシャッター機構(14)については、実施例1の場合と同様である。
マイクロプレート搬送機構(7)
図45及び図46に示す如く、マイクロプレート搬送機構(7)は、往復搬送部(71)と、該往復搬送部(71)を駆動するモータユニット(72)とから構成される。また、図41及び図42に示す如く、マイクロプレート搬入出機構(7)は、低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)の一部を構成している。
往復搬送部(71)においては、支持体(701)(図42参照)上に、Z軸方向に伸びる2本のガイドレール(74a)が形成されて、該ガイドレール(74a)にスライダー(70a)が摺動可能に係合し、該スライダー(70a)の上面にスライド板(78)が固定されている。該スライド板(78)には、Z軸方向に伸びるスライドバー(781)が形成されて、該スライドバー(781)の上面にマイクロプレート設置台(710)が固定されている。マイクロプレート設置台(710)は、マイクロプレート搬入出時にマイクロプレート(31)を支えるマイクロプレート支持突片(711)を含んでいる。また、支持体(701)は、引出し台(22)(図41参照)に固定されている。
尚、マイクロプレート設置台(710)は抗菌ステンレス鋼製であって、電気絶縁部材(図示省略)を介してスライドバー(781)上にビス止め固定されており、容易に取り外して、洗浄、殺菌処理を施すことが出来る。
又、モータケース内にステッピングモータを内蔵してなるモータユニット(72)が、図41に示す如く、モータユニット固定冶具(721)を介して、引出し台(22)に取り付けられている。また、支持体(701)には、ガイドレール(74a)が固定されている。
又、モータユニット固定冶具(721)及び支持体(701)には、モータユニット(72)によって同時に駆動される第1及び第2のスプロケット(75)(77)がそれぞれ取り付けられる一方、スライド板(78)の突起部(79)にはラダーチェーン(76)が取り付けられ、第1のスプロケット(75)とラダーチェーン(76)とが互いに噛合すると共に、第2のスプロケット(77)とラダーチェーン(76)とが互いに噛合している。
従って、図45に示す状態から、搬入出用モータユニット(72)によって第1及び第2のスプロケット(75)(77)が時計方向に回転駆動されると、スライド板(78)がZ軸方向に駆動されると同時に、該スライド板(78)上のマイクロプレート設置台(710)がZ軸方向に駆動されて、図46及び図49に示す如く、マイクロプレート設置台(710)は支持体(701)から大きく突出することになる。
又、図46に示す状態から、モータユニット(42)によって第1及び第2のスプロケット(75)(77)が反時計方向に回転駆動されると、マイクロプレート設置台(710)は図45に示す如く元の位置に戻ることになる。
上記の如く、該マイクロプレート搬送機構(7)において上記ガイドレール(74a)に係合したスライダー(70a)が摺動可能であるが、かかる摺動部は、定常時、摺動時を通じて、マイクロプレート挿入出口(13)より下部に設置されている。かかる構成においては、マイクロプレート(31)のチャンバー(11)内への搬入及びチャンバー(11)内からの搬出の際にチャンバー(11)内に流入した高温又は多湿な外気は上昇し、上記摺動部に接触しない。このため、定常時及びマイクロプレート(31)のチャンバー(11)内への搬入時、チャンバー(11)内からの搬出時を通じて、該摺動部に結露及び着霜が生じることを防止することが出来る。
マイクロプレート搬入出機構(6)
図47及び図48に示す如く、マイクロプレート搬入出機構(6)は、往復搬送部(61)と、該往復搬送部(61)を駆動するモータユニット(62)とから構成される。
図50に示す如く、往復搬送部(61)においては、支持体(601)上に、Y軸方向に伸びる2本のガイドレール(64a)が形成されて、該ガイドレール(64a)にスライダー(60a)が摺動可能に係合し、該スライダー(60a)の上面にスライド板(68)が固定されている。該スライド板(68)には、Y軸方向に伸びるスライドバー(681)が形成されて、該スライドバー(681)の上面にマイクロプレート搬入出テーブル(610)が固定されている。該マイクロプレート搬入出テーブル(610)は、マイクロプレート搬入出時にマイクロプレート(31)のずれを防止するマイクロプレート支持突片(611)を含んでいる。
尚、マイクロプレート設置台(610)は抗菌ステンレス鋼製であって、電気絶縁部材(図示省略)を介してスライドバー(681)上にビス止め固定されており、容易に取り外して、洗浄、殺菌処理を施すことが出来る。
又、図49に示す如く、上記支持体(601)には、モータケース内にステッピングモータを内蔵してなる搬入出用モータユニット(62)が取り付けられている。また、該支持体(601)には、ガイドレール(64a)が固定されている。
又、図50に示す如く、上記支持体(601)には、モータユニット(62)によって同時に駆動される第1及び第2のスプロケット(65)(67)が取り付けられる一方、スライド板(68)の突起部(69)にはラダーチェーン(66)が取り付けられ、第1のスプロケット(65)とラダーチェーン(66)とが互いに噛合すると共に、第2のスプロケット(67)とラダーチェーン(66)とが互いに噛合している。
従って、図47及び図50に示す状態から、搬入出用モータユニット(62)によって第1及び第2のスプロケット(65)(67)が反時計方向に回転駆動されると、スライド板(68)がY軸方向に駆動されると同時に、該スライド板(68)上のマイクロプレート搬入出テーブル(610)がY軸方向に駆動されて、図48及び図49に示す如く、該マイクロプレート搬入出テーブル(610)は支持体(601)から大きく突出することになる。
又、図48に示す状態から、搬入出用モータユニット(62)によって第1及び第2のスプロケット(65)(67)が時計方向に回転駆動されると、マイクロプレート搬入出テーブル(610)は図47及び図50に示す如く元の位置に戻ることになる。
上記の如く、該マイクロプレート搬入出機構(6)において上記ガイドレール(64a)に係合したスライダー(60a)が摺動可能であるが、かかる摺動部は、常時、チャンバー(11)外に設置されている。このため、定常時及びマイクロプレート(31)のチャンバー(11)内への搬入時、チャンバー(11)内からの搬出時を通じて、該摺動部には結露及び着霜は生じない。したがって、該摺動部からチャンバー(11)内に露や霜が導入されることを防ぐことができる。
低温環境庫(103)の動作
本発明の実施形態の一つである上記低温環境庫 (103)においては、チャンバー(11)内に複数のスタッカー(3)を設置した状態で、マイクロプレート搬送装置(5)の動作によって、搬送テーブル(50)をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させることにより、任意のスタッカー(3)の任意のマイクロプレート収容部に対して、マイクロプレート(31)の出し入れが行なわれる。
例えば、ある1つのマイクロプレート収容部からマイクロプレート(31)を搬出する場合、まず、マイクロプレート搬送装置(5)のY軸搬送部(55)及びZ軸搬送部(56)の動作によって、搬送テーブル(50)を所定のマイクロプレート収容部との対向位置まで移動させ、その後、所定のマイクロプレート収容部がその左側に位置するか、或いは右側に位置するかに応じて、X軸搬送部(54)を左方若しくは右方に動作させて、搬送テーブル(50)を該マイクロプレート収容部の内部へ移動させて、搬送テーブル(50)上にマイクロプレート(31)を搭載する。
次に、マイクロプレート搬送装置(5)のX軸搬送部(54)により、上記のX軸方向の基準位置まで搬送テーブル(50)を移動させる。さらに、該マイクロプレート搬送装置(5)のY軸搬送部(55)及びZ軸搬送部(56)の動作によって、該搬送テーブル(50)を、図45に示すマイクロプレート搬送機構(7)の基準位置に対応する位置まで移動させる。このときの該搬送テーブル(50)のZ軸方向の高さは、図45に示す該マイクロプレート搬送機構(7)のマイクロプレート支持突片(711)よりも高い位置にある。
次に、X軸搬送部(54)を動作させることにより、搬送テーブル(50)を上記マイクロプレート搬送機構(7)の対向位置まで動作させる。
その後、Z軸搬送部(56)の動作によって上記搬送テーブルを僅かに下降させ、上記マイクロプレート搬送機構(7)のマイクロプレート設置台(710)上にマイクロプレート(31)を搭載する。この状態は、図54に示す構成となる。これにより、該マイクロプレート(31)は、マイクロプレート搬送装置(5)の搬送テーブル(50)から、マイクロプレート搬送機構(7)のマイクロプレート設置台(710)へ引き渡される。その後、X軸搬送部(54)の動作によって、搬送テーブル(50)を基準位置に復帰させる。
次に、上記マイクロプレート搬送機構(7)を動作させて、上記マイクロプレート設置台(710)をマイクロプレート挿入出口(13)との対向位置まで移動させる。この状態は、図55に示す構成となる。
次に、図51に示す如く、シャッター機構(14)が開かれ、さらに、マイクロプレート搬入出機構(6)は、図52及び図56に示す様にマイクロプレート搬入出テーブル(610)をチャンバー(11)内へ向かって搬入させて、該マイクロプレート搬入出テーブル(610)を、上記マイクロプレート搬送機構(7)の上記マイクロプレート設置台(710)とマイクロプレート(31)の間へ移動させる。この該マイクロプレート搬入出機構(6)及び該マイクロプレート搬送機構(7)の状態は、図49に示す構成となる。かかる状態では、該マイクロプレート搬入出テーブル(610)と該マイクロプレート設置台(710)は接触しない。なお、図49では、マイクロプレート(31)を省略している。
その後、マイクロプレート搬送機構(7)を動作させて、マイクロプレート設置台(710)をZ軸方向に僅かに下降させ、マイクロプレート搬入出テーブル(610)上にマイクロプレート(31)を搭載させる。これにより、マイクロプレート(31)は、マイクロプレート搬送機構(7)のマイクロプレート設置台(710)から、マイクロプレート搬入出機構(6)のマイクロプレート搬入出テーブル(610)へ引き渡される。
その後、図53及び図57に示す如く、マイクロプレート搬入出機構(6)を動作させて、マイクロプレート搬入出テーブル(610)上のマイクロプレート(31)をチャンバー(11)外へ向かって搬出させる。次に、シャッター機構(14)が閉じられる。
なお、該マイクロプレート搬送機構(7)において上記ガイドレール(74a)に係合したスライダー(70a)が摺動可能であるが、かかる摺動部は、定常時、摺動時を通じて、マイクロプレート挿入出口(13)より下部に設置されている。かかる構成においては、マイクロプレート(31)のチャンバー(11)内への搬入及びチャンバー(11)内からの搬出の際にチャンバー(11)内に流入した高温多湿な外気は上昇し、上記摺動部に接触しない。このため、定常時及びマイクロプレート(31)のチャンバー(11)内への搬入時、チャンバー(11)内からの搬出時を通じて、該摺動部に結露及び着霜が生じることを抑えることができる。
また、該マイクロプレート搬入出機構(6)において上記ガイドレール(64a)に係合したスライダー(60a)が摺動可能であるが、かかる摺動部は、常時、チャンバー(11)外に設置されている。このため、定常時及びマイクロプレート(31)のチャンバー(11)内への搬入時、チャンバー(11)内からの搬出時を通じて、該摺動部には結露及び着霜は生じない。したがって、該摺動部からチャンバー(11)内に露や霜が導入されることを防ぐことができる。
チャンバー(11)内のある1つのスタッカー(3)の、ある1つのマイクロプレート収容部にマイクロプレート(31)を収容する場合は、上記の搬送、搬出動作と逆の動作が実行される。
即ち、マイクロプレート搬入出機構(6)のマイクロプレート搬入出テーブル(610)上にマイクロプレート(31)を載置した後、マイクロプレート設置台(710)をマイクロプレート挿入出口(13)との対向位置まで移動させる。次に、シャッター機構(14)を開き、該マイクロプレート搬入出テーブル(610)をチャンバー(11)内へ向かって搬入させた後、マイクロプレート搬送機構(7)を動作させることにより、マイクロプレート(31)をマイクロプレート搬入出テーブル(610)からマイクロプレート設置台(710)に引き渡し、更に、マイクロプレート搬入出テーブル(610)をチャンバー(11)から搬出させ、シャッター機構(14)を閉じる。
その後、マイクロプレート搬送機構(7)及びマイクロプレート搬送装置(5)の動作によって、チャンバー(11)内にあるマイクロプレート搬送機構(7)のマイクロプレート設置台(710)上のマイクロプレート(31)を搬送テーブル(50)に引き渡す。
その後、マイクロプレート搬送装置(5)のY軸搬送部(55)及びZ軸搬送部(56)の動作によって、搬送テーブル(50)を所定のマイクロプレート収容部との対向位置まで移動させ、その後、所定のマイクロプレート収容部がその左側に位置するか、或いは右側に位置するかに応じて、X軸搬送部(54)を左方若しくは右方に動作させて、搬送テーブル(50)を該マイクロプレート収容部の内部へ移動させて、マイクロプレート収容部にマイクロプレート(31)を収容する。
上述の如く、本実施例における低温環境庫(103)によれば、マイクロプレート(31)の搬送を行うことが出来ると共に、チャンバー(11)内に多数のマイクロプレート(31)を収容することが可能であり、然もマイクロプレート(31)のチャンバー(11)への搬入出時に伴う外気のチャンバー(11)内への流入があっても、低温環境庫自動化装置アセンブリ(2)への結露及び着霜を防止することが出来る。また、上記マイクロプレート(31)の搬送を自動的に行うように構成することも出来る。
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、シャッター機構(14)はフロント開閉扉(12)に限らず、例えばチャンバー(11)の側部または背部に設置することも可能である。
更に本発明は、低温環境庫としては庫内に冷気を供給する方式や内壁を冷却する方式等を採用することができる。
本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。