JP3896651B2 - 燃料噴射装置におけるベーパーセパレータ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、内燃機関に向けて燃料を噴射して供給する燃料噴射装置に関するもので、そのうち特に燃料噴射装置の燃料供給系に配置されるベーパーセパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のベーパーセパレータを備えた燃料噴射装置について図12により説明する。燃料タンクT内の燃料は、低圧ポンプLによって昇圧されてベーパーセパレータV内に供給され、ベーパーセパレータV内において燃料と空気とが分離され、燃料はベーパーセパレータV内の重力方向における下方位置に貯溜される。このベーパーセパレータV内の燃料は、高圧ポンプPによって昇圧され、燃料中に含まれる異物は燃料フィルターFによって除去されて燃料分配管Rに供給される。一方、燃料分配管R内に高圧ポンプPによって供給された燃料は圧力調整装置Wによって所定の圧力に制御され、圧力調整装置Wの燃料リターン通路W1はベーパーセパレータV内に再び戻される。従って、燃料分配管R内に供給された燃料は圧力調整装置によって所定の圧力に制御されるもので、この所定の燃料圧力を有する燃料が、燃料分配管Rに取着された燃料噴射弁Jを介して機関Eの気筒に連なる吸気管K内に向けて噴射供給される。
【0003】
一方、ベーパーセパレータVの底部には冷却水室Sが形成され、この冷却水室S内に機関Eを冷却する冷却水が導入され、冷却水は冷却水室を循環したのち外部へ排出される。
【0004】
このように冷却水室S内へ冷却水が導入されてベーパーセパレータVの底部が冷やされると、ベーパーセパレータV内の燃料が冷却される。以上によると、ベーパーセパレータV内の燃料が高圧ポンプのモータ部に発生する熱あるいは機関の輻射熱等によって加熱されてもベーパーセパレータV内の燃料温度の上昇は抑止される。従って、ベーパーセパレータV内に貯溜される燃料からのベーパーの発生が抑止されてベーパーセパレータV内の燃料の減少が抑止され、特に熱間再始動を良好に行うことができるとともにベーパーの発生による燃料経済性の悪化を抑止できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来の燃料噴射装置におけるベーパーセパレータによると以下の課題を有する。
(1)従来のベーパーセパレータによると、ベーパーセパレータ内に貯溜される燃料を効果的に冷却することができない。これは、冷却水室がベーパーセパレータの底部に臨んで形成されるのでベーパーセパレータと冷却水室との接触面積を大きくとれないことにより熱交換効率を高めることができないからである。以上によると、ベーパーセパレータ内の燃料の温度が大きく上昇する機関停止後の一定時間経過時において、ベーパーセパレータ内の燃料蒸発を効果的に抑止することが困難で、ベーパーセパレータ内の燃料が著しく減少する傾向にある。従って、かかる機関停止後において、再び機関を始動する際、(熱間再始動時)低圧ポンプから充分な燃料の供給を受ける以前にベーパーセパレータ内の燃料が不足する恐れがあり、これによって機関へ充分な燃料を供給することが困難となり、良好な機関の熱間再始動が防げられるという欠点を有する。又、このように燃料蒸発が極めて活発に行われることによると、燃料が無用に消費されるもので、これによって燃料経済性の向上が阻害される。
(2)高圧ポンプがベーパーセパレータの重力方向の上方位置に配置されたことによると、高圧ポンプのポンプ部とベーパーセパレータ内の燃料液面とのヘッド差が大きくなる傾向があり、高圧ポンプ起動初期における燃料吐出の応答性において好ましくない。
【0006】
又、ベーパーセパレータの左右に冷却水流入マニホルドと冷却水流出マニホルドが形成され、ベーパーセパレータ内に両マニホルド間に開口する複数の冷却管を配置すると、複数の冷却管内を冷却水が流れることによって冷却管とベーパーセパレータとの接触面積を増加させることができるので、ベーパーセパレータ内の燃料の熱交換率を高めることができる。然しながら、かかる実施例によると、ベーパーセパレータ内に複数の冷却管を配置することが極めて困難なもので、その製造は困難を極めて、著しい製造コストの上昇をもたらす。又、ベーパーセパレータ内に配置される複数の冷却管は、確実にベーパーセパレータ内の燃料と遮断される必要があり、冷却管のベーパーセパレータに対するシール性確保が慎重に行われなければならない。
【0007】
【目的】
本発明は、かかる従来の燃料噴射装置におけるベーパーセパレータの不具合に鑑み成されたもので、ベーパーセパレータ内の燃料温度の上昇を、冷却水によって極めて効果的に抑止し、特に機関の熱間再始動性の向上と燃料経済性の向上を図ることのできるベーパーセパレータを提供すること及び、前記ベーパーセパレータの製造、組付け性の向上を図り、安価なベーパーセパレータを提供することをその主たる目的とする。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
本発明になる内燃機関におけるベーパーセパレータは、前記目的達成の為に、燃料タンク内の燃料を低圧ポンプにてベーパーセパレータ内へ供給し、ベーパーセパレータ内に貯溜せる燃料を高圧ポンプを介して燃料分配管へ給送するとともに燃料分配管に装着された燃料噴射弁より気筒に連なる吸気管内に向けて燃料を噴射し、更に、燃料分配管内の燃料圧力を制御する燃圧調整装置を備えた燃料噴射装置において、更に、燃料分配管内の燃料圧力を制御する燃圧調整装置を備えた燃料噴射装置において、筐体は、上端から下方に向けて大径孔が穿設され、下端から上方に向けて大径孔が穿設されるとともに大径孔の下端から大径孔の上端に向けて、第1室と第1室(1C)により区分されると共にその外周にある第2室(1D)が上下方向に貫通して穿設され、上部蓋体は、第1室の上部開口を閉塞する小径筒部と、大径孔を閉塞する大径筒部を備え、下部蓋体は、第1室の下部開口を閉塞する小径筒部と大径孔を閉塞する大径筒部を備え、前記上部蓋体の小径筒部と第1室の上部開口に挿入し、大径筒部を大径孔に挿入するとともに、下部蓋体の小径筒部を第1室の下部開口に挿入し、大径筒部を大径孔に挿入することにより、第1室を密閉して燃料室として形成するとともに第2室を第1室と隔絶された冷却水室として形成し、更に前記上部蓋体には、燃料室内に臨む燃料弁座、燃料弁座を開閉する開閉弁装置及びエアベント通路、冷却水室の上方端を連絡する環状溝、環状溝内に向けて開口する冷却水排出路が配置され、下部蓋体には、燃料室内に向けて開口する燃料排出路、冷却水室の下方端を連絡する環状溝に向けて開口する冷却水導入路が配置され、
更に又、筐体の外側面に取着される高圧ポンプの燃料吸入路と前記燃料排出路を流路接続したことを第1の特徴とする。
【0009】
又、本発明は、前記第1の特徴に加え、前記、第1室の横断面は円形をなし、第2室は、第1室の円周外側方を囲繞して複数に分離して形成されるとともに第2室の横断面を円形又は円弧状としたことを第2の特徴とする。
【0010】
更に本発明は、前記第1の特徴に加え、前記、筐体の第1室及び第2室を、金属材料を用いて押し出し成形したことを第3の特徴とする。
【0011】
更に又、本発明は前記第1の特徴に加え、前記下部蓋体の底部より燃料室に向けて仕切壁が突出して形成され、少なくとも燃料室の下方を該仕切壁によって第1燃料室と第2燃料室とに区分し、第1燃料室に、燃料分配管を含む高圧ポンプの吐出側流路に連なる燃料リターン通路を開口し、燃料排出路を第2燃料室に向けて開口したことを第4の特徴とする。
【0012】
【作用】
第1の特徴によると、筐体は、上下方向に貫通する第1室と、第1室の外周にあって上下方向に貫通する第2室とを備え、第1室の上部開口、第2室の上部開口とが上部蓋体にて閉塞され、第1室の下部開口と第2室の下部開口とが下部蓋体にて閉塞される。従って、第1室によって密閉状の燃料室が形成され、この燃料室の外周を囲繞して密閉状の冷却水室が区分形成される。而して、燃料室は、冷却水室によって効果的に冷却され、燃料室内に貯溜される燃料温度の上昇が抑止され、燃料室内におけるベーパーの発生を防止しうる。又、燃料室内への燃料の流入は低圧燃料流入路に連なる燃料弁座を介して燃料室の上方より流入するもので燃料室内の下方位置より燃料液面を徐々に上昇させる。従って上方位置にあるエアベント通路を介して燃料室内の燃料を巻き込むことなく確実に燃料室内空気を抜くことができ、燃料室内に確実に燃料を貯溜しうる。一方、高圧ポンプは、燃料室内の下方位置にある燃料排出路を介して燃料室内の燃料を吸引するもので、このとき高圧ポンプが空気を巻きこんで吸入することがない。又、上部蓋体の大径筒部が大径孔に挿入され、上部蓋体の小径筒部が第1室内に挿入配置される。従って、第2室の上部開口と第1室の上部開口とが上部蓋体によって互いに隔絶されて極めて容易に閉塞でき、第2室が第1室と遮断して保持され、第1室が第2室と遮断して保持される。一方、下部蓋体の大径筒部が大径孔に挿入され、下部蓋体の小径筒部が第1室内に挿入配置される。従って、第2室の下部開口と第1室の下部開口とが下部蓋体によって互いに隔絶されて極めて容易に閉塞でき、第2室が第1室と遮断して保持され、第1室が第2室と遮断して保持される。更に、上部蓋体に低圧燃料流入路、エアベント通路と、開閉弁装置と冷却水排出路と、を設けたもので、それらが上部蓋体に集中的に設けられたことは、組つけ性、メンテナンス作業性の向上を達成できる。更に又、下部蓋体に冷却水導入路と、燃料排出路とが設けられたので、組つけ性、メンテナンス作業性を向上できる。
【0013】
又、第2の特徴によると、横断面円形をなす第1室の外周に、複数の円形又は円弧状をなす第2室が囲繞して形成されたので、特に第1室に臨む第2室の面積を増すことができ、これによって燃料室内の熱交換率を高めることができる。
【0014】
更に、第3の特徴によると、筐体を金属材料を用いて押し出し成形して製作したので、特に筐体を上下方向に貫通する第1室及び第2室の形成を極めて容易にして且つ安価に製作できる。
【0015】
更に又、第4の特徴によると、燃料室の下方が仕切壁によって第1燃料室と第2燃料室に区分され、燃料リターン通路から燃料室内に流入する燃料を一度燃料室内に流入させ、この流入速度が第1燃料室にて減じられた燃料を第2燃料室を介して燃料排出路に供給したので、高圧ポンプは流入側の燃料圧力変動を受けることがなく、安定した燃料の吐出を行うことができる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明になる燃料噴射装置におけるベーパーセパレータの一実施例について図により説明する。図1はベーパーセパレータの縦断面図。図2は図1を下方よりみた下側平面図。図3は、図1の上側平面図。図4は、図3のA矢視方向の側面図。図5は、図3のB矢視方向の側面図。図6は、図3のC矢視方向の側面図。図7は、図3のD矢視方向の側面図。図8は、図1に使用される筐体の横断面図。図9は、図1のG−G線における下部蓋体のみの横断面図。図10は、図1のZ−Z線における上部蓋体のみの横断面図。
【0017】
1はベーパーセパレータの本体部分をなす筐体であって筐体1の上端1Aから下端1Bに向けて、第1室1Cと第2室1Dとが貫通して穿設される。第1室1Cは、筐体1の中心部にあって、この横断面は円形をなす。第2室1Dは、前記第1室の外周を囲繞して形成されるもので、第1室1Cとは区分される。又この第2室1Dは円周方向に沿って複数形成されるもので、例えば図8に示される如く複数の円弧状溝が穿設される。
【0018】
又、本実施例にあっては、後述する上部蓋体及び下部蓋体の筐体1に対する装着性及び後述する燃料室、冷却水室の形成を考慮して第1室1C、第2室1Dを以下の如くした。
すなわち、筐体1の上端1Aから下方に向かって大径孔1Eが穿設され、大径孔1Eの下端に内方に向かう下底部1Fが形成される。そして、前記第1室1Cは筐体1の中心部にあってその上部開口1Caは下底部1Fに開口し、第2室1Dの上部開口1Daは第1室1Cの上部開口1Caの外周にあって且つ下底部1Fに開口する。
【0019】
又、筐体1の下端1Bから上方に向かって大径孔1Gが穿設され、大径孔1Gの上端に内方に向かう上底部1Hが形成される。そして、前記第1室1Cは筐体1の中心部にあってその下部開口1Cbは上底部1Hに開口し、第2室1Dの下部開口1Dbは第1室1Cの下部開口1Cbの外周にあって且つ上底部1Hに開口する。前記大径孔1E,1Gの直径は第2室1Dの外側と同一か若しくはそれより大なるものである。
【0020】
又、筐体1の外側面には、機関E等の固定部分へ筐体1を固定する為の機関取付けステー1Jと、高圧ポンプPを固定する為の燃料ポンプ取付けステー1Kが一体的に形成される。これは図8によく示される。この機関取付けステー1Jは、筐体1の中心、いいかえると第1室1Cの中心Hを基準としてそれぞれ両外側方(図8において中心Hの左右方向に相当する)に向かって一対の機関取付けステー1Ja,1Jbが形成され、その形状は板状をなす。そして、この一対の機関取付けステー1Ja,1Jbの機関側取付け端面1Jcは一直線上に形成される。更に又、機関取付けステー1Ja,1Jbには、複数の取付け孔1Lが貫通して穿設される。本実施例では、取付け孔1Lは各機関取付けステー1Ja,1Jbにおいて上下方向に2個穿設した。更に図8において右方の機関取付けステー1Jbには2個のポンプ取付け孔1Pが穿設された。これは、図6によく示される。この取付け孔1Lが大径をなすことは、防振ゴム材等の防振カラーを介して締結する為である。
【0021】
前記、燃料ポンプ取付けステー1Kは、高圧ポンプPを固定できるよう右方の機関取付けステー1Jbに関連して筐体1の外側面に形成される。本実施例では、右方の機関取付けステー1Jbに略直交する位置に燃料ポンプ取付けステー1Kが配置され、さらにこの燃料ポンプ取付けステー1Kには、高圧ポンプPの外周に沿う弧状凹部1Mが形成される。
【0022】
更に又、筐体1には一対の蓋取付けボス1Na,1Nbが形成される。この蓋取付けボス1Na,1Nbは、少なくとも筐体1の上端1Aの外周、下端1Bの外周に形成されるとともに筐体1の上端面、下端面に臨み、且つ第1室1Cの中心Hを通る直線上に対称に形成される。そして、前記蓋取付けボス1Na,1Nbには、筐体1の下端面及び上端面に臨むメネジ孔1Ncがそれぞれ穿設されるもので、この各メネジ孔1Ncと第1室1Cの中心HとのピッチMは同一ピッチをなすとともに各メネジ孔1Ncの中心は第1室1Cの中心Hを通る線上にある。すなわち、各メネジ孔1Ncは、第1室1Cの中心Hを通る線上に対称に形成されるとともに各蓋取付けボス1Na,1Nbに形成されて筐体1の上端面及び下端面に開口する。
【0023】
そして、前記筐体1の形成は、金型内に挿入したアルミニウム材料等の金属材料を加圧し、金型から材料を流出させて型鋳造を行なう押し出し成形加工が好ましい。尚、ダイカスト鋳造、合成樹脂材料の用いた射出成形によって筐体1を形成することも可能である。以上によれば、筐体1の長手方向(押出し方向)に沿って第1室1C、第2室1D、機関側取付けステー1J、燃料ポンプ取付けステー1K及び蓋取付けボス1Nb,1Ncが同時に一体形成される。
【0024】
尚、筐体1の下端面、上端面に臨む各蓋取付けボス1Na,1Nbに穿設される各メネジ孔1Ncは前記筐体の押出し成形加工の後にそれぞれ機械加工される。更に、前記下底部1Fを有する大径孔1E及び上底部1Hを有する大径孔1G、更に取付け孔1L、ポンプ取付け孔1Pもまた、筐体1の押出し成形加工の後においてそれぞれ機械加工される。
【0025】
次に筐体1の上部を閉塞する上部蓋体2について図1,図3、図10により説明する。上部蓋体2は有底形状をなし、筐体1の大径孔1E内に挿入配置される大径筒部2Aと、大径筒部2Aの内方にあって第1室1Cの上部開口1Ca内に挿入配置される小径筒部2Bとにより形成される。大径筒部2Aと小径筒部2Bとの間には、上底部2Cに向かう環状溝2Dが穿設され、一方、前記小径筒部2Bの下端は、大径筒部2Aの下端より下方に向かって突出する。そして、大径筒部2Aの外周には、環状の第1リング溝2Eが形成され、又、小径筒部2Bには上下方向に間隙をもって2個の環状の第2リング溝2Fが形成される。更に又、2個の第2リング溝2F間の小径筒部2Bの外周には、環状溝2Gが形成され、この環状溝2Gは大気開放路2Hをもって上部蓋体2の上底部2C上に開口する。いいかえると、大気開放路2Hの一端は環状溝2G内に開口し、他端が上部蓋体2の上底部2Cに開口する。
【0026】
そして、第1リング溝2E内にOリング、角リング等の第1弾性環状シール部材3が配置され、さらに第2リング溝2F内に第2弾性環状シール部材4が配置される。
【0027】
更に又、上部蓋体2には以下の構成が備えられる。5は、L型ジョイントが上部蓋体2の上底部2Cに配置されて形成される低圧燃料流入路であり、その上流は低圧ポンプLの吐出側に連なり、下流が小径筒部2Bの内方に開口する。そして、前記低圧燃料流入路5の小径筒部2B内への開口端に燃料弁座6が配置され、この燃料弁座6は開閉弁7にて開閉される。すなわち、開閉弁7が上動すると、燃料弁座6は閉塞され、一方開閉弁7が下動すると燃料弁座6は開放される。8は、上部蓋体2に支持された軸9に回転自在に軸支されたフロートであり、このフロート8が軸9を基準に図1において時計方向に回転すると、フロートアーム8Aが開閉弁7を上方向に移動させて燃料弁座6を閉塞し、一方、フロート8が反時計方向に回転すると、フロートアーム8Aが開閉弁7を下方向へ移動させて燃料弁座6を開放する。以上のべた燃料弁座6、開閉弁7、フロート8によって開閉弁装置Nが形成される。
【0028】
10はL型ジョイントが上部蓋体2の上底部2Cに配置されて形成される冷却水排出路であり、その上流は、上部蓋体2の環状溝2D内に連絡され、下流が大気側に開口する。
【0029】
尚、前記低圧燃料流入路5及び冷却水排出路10を形成するL型ジョイントは、上底部2C上に固定配置される押圧板11によって上部蓋体2に固着される。
【0030】
又、上部蓋体2の上端外周には取付け孔2Jが形成されるもので、この取付け孔2Jは、小径筒部2Bの横断面の中心Qを通る複数の直線上に、前記メネジ孔1Ncと同一ピッチMにて対称に複数対形成される。図10により更に具体的に説明すると、小径筒部2Bの横断面の中心Qを直交する2本の直線上に、メネジ孔1Ncと同一なるピッチMを有する2対(4個)の取付け孔2Jが形成された。更に又、上部蓋体2にはエアベント通路30が形成されるもので、その一端は小径筒部2Bの内方に開口し、他端は大気に開口する。
【0031】
次に筐体1の下部を閉塞する下部蓋体12について図1,図2,図9により説明する。下部蓋体12は有底形状をなし、筐体1の下方の大径孔1G内に挿入配置される大径筒部12Aと、大径筒部12Aの内方にあって第1室1Cの下部開口1Db内に挿入配置される小径筒部12Bとにより形成される。大径筒部12Aと小径筒部12Bとの間には、下底部12Cに向かう環状溝12Dが穿設され、一方、前記小径筒部12Bの上端は、大径筒部12Aの上端より上方に向かって突出する。そして、大径筒部12Aの外周には、環状の第3リング溝12Eが形成され、又、小径筒部12Bには上下方向に間隙をもって2個の環状の第4リング溝12Fが形成される。更に又、2個の第4リング溝12F間の小径筒部12Bの外周には、環状溝12Gが形成され、この環状溝12Gは大気開放路12Hをもって下部蓋体12の下底部12C上に開口する。いいかえると、大気開放路12Hの一端は環状溝12G内に開口し、他端が下部蓋体12の下底部12Cに開口する。そして、第3リング溝12E内にOリング、角リング等の第3弾性環状シール部材13が配置され、さらに第4リング溝12K内に第4弾性環状シール部材14が配置される。
【0032】
又、下部蓋体12の小径筒部12B内の下底部12Cから上方に向かって仕切壁12Jが立設され、この仕切壁12Jは、小径筒部12Bの上方に達する。以上によると下部蓋体12の小径筒部12Bの内方は、下底部12Cと仕切壁12Jとによって、第1室12Kと第2室12Lに区分される。
【0033】
そして、下部蓋体12の下部底部12Cには以下の構成が備えられる。16は冷却水導入路であって、その上流側が冷却水源に連なり、下流側が環状溝12D内に開口する。冷却水源とはウォーターポンプ等冷却水を加圧供給する側をいう。17は、燃料リターン通路であって、その上流側は、燃料分配管Rを含む高圧ポンプPの吐出側流路に連なり、下流側は、第1室12K内に開口する。
【0034】
又、この燃料リターン通路17内には、燃圧調整装置Wが配置されるもので、この燃圧調整装置Wは、第1室12K側に臨むリターン弁座18Aと、リターン弁座18Aを開閉する弁18Bと、弁18Bをリターン弁座18Aに押圧付勢するスプリング18Cと、により構成される。より具体的に説明すると、下部蓋体12の下底部12Cの側壁12Mから第1室12K内に向けて、弁座収納孔12Nとスプリング収納孔12Pと、開口12Qとが連設される。そして、前記弁座収納孔12Nにリターン弁座18Aが配置されるとともにリターン弁座18Aに臨んで弁18Bが配置され、弁18Bはスプリング収納孔12P内に縮設されたスプリング18Cによってリターン弁座18Aに押圧される。
【0035】
尚、12Rは、リターン弁座18Aより上流側の燃料リターン通路17より分岐させたリターン通路内圧力検知通路であり、該リターン通路内圧力検知通路12Rは、通常ネジ弁19によって閉塞されている。このリターン通路内圧力検知通路12Rは図5,図9によく示される。12Sは、第2室12Lの底部から図1において右側方に向かって開口する燃料排出路であり、その右側方への開口端は拡大された接続孔12Tをなす。この接続孔12Tは図1によく示される。
【0036】
更に又、下部蓋体12の下端外周には取付け孔12Vが形成されるもので、この取付け孔12Vは、小径筒部12Bの横断面の中心Qを通る直線上に、前記メネジ孔1Ncと同一ピッチMにて対称に形成される。
【0037】
そして、ベーパーセパレータVは、以下によって組付けされる。上部蓋体2は、エアベント通路30、冷却水排出路10、低圧燃料流入路5、開閉弁装置N、第1弾性環状シール部材3、第2弾性環状シール部材4を備えるもので、かかる上部蓋体2の大径筒部2Aを筐体1の上端1Aに開口する大径孔1E内に挿入するとともに小径筒部2Bを筐体1の第1室1Cの上部開口1Ca内に挿入して配置する。そして、上部蓋体2の取付け孔2Jと筐体1の上端1Aに穿設されたメネジ孔1Ncを合致させ、しかるのちに取付け孔2Jを介してメネジ1Nc内に向けてビス20を螺着する。
【0038】
以上によると、筐体1の上端1A側に向かって開口する第2室1Dを含む大径孔1E及び第1室1Cの上部開口1Caは上部蓋体2によって閉塞される。
【0039】
そして、大径孔1Eと大径筒部2Aとの挿入部は、第1弾性環状シール部材3によって気密保持され、第1室1Cと小径筒部2Bとの挿入部は第2弾性環状シール部材4によって気密保持され、更に環状溝2Dは第1室1Cと気密保持されるとともに第2室1D内に臨んで開口して接続される。
【0040】
燃圧調整装置Wを含む燃料リターン通路17、冷却水導入路16、燃料排出路12Sを備えた下部蓋体12の大径筒部12Aが筐体1の下端1Bに開口する大径孔1G内に挿入配置されるとともに小径筒部12Bが第1室1Cの下部開口1Cb内に挿入配置して配置される。そして、下部蓋体12の取付け孔12Vと筐体1の下端1Bに穿設されたメネジ孔1Ncとを合致させ、しかる後に取付け孔12Vを介してメネジ孔1Nc内にビス20を螺着する。
【0041】
以上によると、筐体1の下端1B側に向かって開口する第2室1Dを含む大径孔1G及び第1室1Cの下部開口1Dbは下部蓋体12によって閉塞される。
【0042】
そして、大径孔1Gと大径筒部12Aとの挿入部は第3弾性環状シール部材13によって気密保持され、第1室1Cと小径筒部12Bとの挿入部は第4弾性環状シール部材14によって気密保持される。
【0043】
上記の如く、筐体1の上端に上部蓋体2が取着され、下端に下部筐体12が取着されると、第2室1Dは密閉された冷却水室Sを形成し、更に第1室1Cは、冷却水室Sと隔絶された燃料室Uを形成する。そして、燃料室Uの下方は下部蓋体12の第1室12Kによって第1燃料室U1が形成され、第2室12Dによって第2燃料室U2が形成される。
【0044】
而して上部蓋体2に配置されたエアベント通路30及び開閉弁装置Nは、燃料室Uの上方位置に配置され、下部蓋体12に配置された燃圧調整装置Wを備えた燃料リターン通路17は下部蓋体12の仕切壁12Jによって区分形成される第1燃料室U1内に開口して配置され、燃料排出路12Sは第2燃料室U2内に開口して配置される。尚、第1燃料室U1、第2燃料室U2の上部は共に燃料室Uに開口する。
【0045】
一方、冷却水室Sの上部は、上部蓋体2の環状溝2Dによって連絡され、上部蓋体2に設けた冷却水排出路10は前記環状溝2Dに開口して冷却水室Sの上方に接続される。又、冷却水室Sの下部は、下部蓋体12の環状溝12Dによって連絡され、下部蓋体12に設けた冷却水導入路16は前記環状溝12Dを介して冷却水室Sの下方に接続される。
【0046】
次いで筐体1の外側部分に高圧ポンプPが以下によって取着される。高圧ポンプPは公知のものであって円筒状のハウジングP1内にポンプ部とモーター部を備え、ハウジングP1の下方に燃料流入路P2が下方に向かって突出し、ハウジングP1の上方に燃料吐出路P3が突出し、更に側方にコネクタ端子P4が形成される。
【0047】
図1,図3,図4,図6,図7,図8を用いて説明する。高圧ポンプPは、筐体1の長手方向(図1において上下方向)に沿って配置されるとともに筐体1の燃料ポンプ取付けステー1Kの弧状凹部1MにハウジングP1の一例を対接して配置する。このときハウジングP1と弧状凹部1M間に緩衝部材を配置してもよい。
【0048】
22は板状部材よりなるポンプ取付け部材であって、ハウジングP1の外周に沿う弧状凹部22Aと、弧状凹部22Aから一側に向かう引掛部22Bと、弧状凹部から他側に向かう係止面部22Cと、を備える。前記係止面部22Cには、燃料ポンプ取付けステー1Kに穿設せるメネジ孔1Kaに対向するバカ孔22Dが穿設されるもので本実施例にあっては上下方向に2個穿設された。このメネジ孔1Ka,バカ孔22Dは図3によく示される。
【0049】
前記ポンプ取付け部材22の弧状凹部22Aは、高圧ポンプPのハウジングP1の他側に対接して配置され、ポンプ取付け部材22の引掛部22Bが燃料ポンプ取付けステー1Kのポンプ取付け孔1Pに係止される。一方、ポンプ取付け部材22の係止面部22Cは、燃料ポンプ取付けステー1Kの平坦部上に配置され、この状態においてポンプ取付け部材22のバカ孔22Dと、燃料ポンプ取付けステー1Kのメネジ孔1Kaとが合致され、この状態においてネジ23にて螺着される。以上によると、ポンプ取付け部材22の一端がポンプ取付け孔1Pに係止され、他端が燃料ポンプ取付けステー1Kに螺着されるので、高圧ポンプPは燃料ポンプ取付けステー1Kの弧状凹部1Mと、ポンプ取付け部材22の弧状凹部22Aによって挟持されて筐体1に固定される。
【0050】
そして、かかる筐体1への高圧ポンプPの取着時において、高圧ポンプPの燃料流入路P2と筐体1の燃料排出路12Sとは、L型燃料ジョイント24によって接続される。すなわち、L型燃料ジョイント24の水平部24Aは予め筐体1の接続孔12T内に挿入配置され、前記高圧ポンプの筐体1への取着時において、高圧ポンプPの燃料流入路P2がL型燃料ジョイント24の垂直部24B内に挿入配置され、かかる状態において、ポンプ取付け部材22によって高圧ポンプPが前述の如く筐体1に取着される。
【0051】
次にその作用について説明する。低圧ポンプLが駆動されると、燃料タンクT内の燃料は、低圧燃料流入路5及び燃料弁座6を介して燃料室U内に供給され、第1,第2燃料室U1,U2内を燃料で満たしつつ更に燃料室U内に燃料が供給され、燃料室U内の燃料液面は徐々に上昇する。このように燃料室U内へ燃料が円滑に供給できるのは、フロート8が未だ不作動状態にあって開閉弁装置Nとしての開閉弁7が燃料弁座6を開放保持し、一方エアベント通路30が燃料室U上部と大気とを連通状態に保持していることによる。
【0052】
そして、前記低圧燃料の供給が継続され、燃料室U内の燃料液面が更に上昇してフロート8に達すると、フロート8は自己の有する浮力によって軸9を基準に図1において時計方向に回転し、これによると開閉弁7は燃料弁座6を閉塞して低圧燃料流入路5を遮断する。而して低圧ポンプLから燃料室U内へ向かう燃料の供給が自動的に停止され、これによって燃料室U内に所望の燃料を貯溜できる。
【0053】
従って、かかる状態において、高圧ポンプPが駆動されると、燃料室U内に貯溜された燃料は、燃料排出路12S、L型燃料ジョイント24の水平部24A、垂直部24B及び燃料流入路P2を介して高圧ポンプP内へ吸入され、昇圧された燃料が燃料吐出路P3を介して燃料分配管Rに向けて供給され、更に燃料分配管Rに取着された燃料噴射弁Jを介して所望の燃料が機関Eに供給される。
【0054】
一方、冷却水導入路16より冷却水が筐体1内に向けて供給されるもので、冷却水は、下部蓋体12の環状溝12D、冷却水室S、上部蓋体2の環状溝2D内へ流れこみ、次いで冷却水排出路10より筐体1外へ排出される。
【0055】
又、燃料室U内には、燃料分配管Rに接続され、燃圧調整装置Wを備えた燃料リターン通路17が開口するもので、これによると、高圧ポンプPから燃料分配管Rに至る高圧燃料通路内の燃料がこの燃料リターン通路17に導入される。そして、燃料リターン通路17内の燃料圧力が設定された圧力以上に上昇した際、弁18Bはスプリング18Cのバネ力に抗してリターン弁座18Aを開放して燃料リターン通路17内の燃料を燃料室U内に向けて排出するもので、これによって燃料分配管Rを含む高圧ポンプPより下流側の高圧燃料通路内を流れる燃料圧力を所定の圧力に調整する。
【0056】
ここで、本発明になるベーパーセパレータによると、燃料室Uが筐体1の内方に上下方向に渡って形成され、冷却水室Sが燃料室Uの外周にあって且つ上下方向に渡って形成されたので、燃料室Uと冷却水室Sとの対向面積を上下方向に渡って極めて大きく取ることができ、これによって燃料室U内の燃料温度の上昇を極めて効果的に抑止することができたものである。
【0057】
又、燃料室Uを形成する第1室1C及び冷却水室Sを形成する第2室1Dは、それぞれ隔絶されて筐体1の上下方向に渡って貫通して形成され、第1室1C、第2室1Dの上下の開口を上部蓋体2、下部蓋体12を用いて閉塞することによって隔絶された燃料室Uと冷却水室Sを容易に形成できるもので、これによると、ベーパーセパレータの主要部をなす燃料室U、冷却水室Sの製造コストを大きく低減できたものである。
【0058】
又、燃料室Uを筐体1の上下方向に形成したことは燃料室U内へ貯溜される燃料量を増量する上で効果的である。又、燃料排出路12Sを筐体1の下方位置に開口したことによると、特に機関始動時において、予め燃料室U内に貯溜される多量の燃料を使用することができるので、低圧ポンプLから燃料室U内へ供給される燃料に時間的な遅れが生じたとしても充分なる燃料が機関へ供給でき、もって機関始動及び暖機運転を良好に行うことができる。
【0059】
又、第1室1Cの外周を複数の第2室1Dによって囲繞し、第1室1Cによって形成される燃料室Uの外周に複数の冷却水室Sを形成することによると、筐体1と冷却水室Sとの対向面積を増加することができ、燃料室U内の燃料温度の上昇を更に効果的に抑止できる。
そして、この複数の第2室1Dの横断面形状を図8に示されるような円弧状あるいは、図11に示されるごとく円形とすれば前記筐体1と冷却水室Sとの対向面積を増加する上で効果的である。
【0060】
又、筐体1の外側面に機関取付けステー1Jと燃料ポンプ取付けステー1Kとを一体形成したことによればベーパーセパレータを機関へ取着する為の格別なステーが不要となり、製造コストの低減を達成できる。又、高圧ポンプPをベーパーセパレータVへ容易に取着できる。
【0061】
又、機関取付けステーを筐体1の両外側方に一対設け、各機関側取付けステー1Ja,1Jbの機関側取付け端面1Jcを一直線上に設けたことによると、機関への取付けをバランスよく且つ確実に容易に行うことができる。特に機関運転時における筐体1の振動が発生しない。
【0062】
又、燃料ポンプ取付けステー1Kに弧状凹部1Mを設け、この弧状凹部1Mによって高圧ポンプPを保持したことによると、高圧ポンプPを確実に筐体1に取着できる。
【0063】
又、筐体1の外周に、第1室1Cの中心Hを通る直線上に対称に蓋取付けボスを一体成形したことによると、上部蓋体2及び下部蓋体12を筐体1に取着する作業を容易に行うことができる。
【0064】
又、第1室1C、第2室1D、機関側取付け端面1Jc、燃料ポンプ取付けステー1K、蓋取付けボス1Na,1Nbを備える筐体1を金属材料を用いて押し出し成形したことによると筐体1の製造コストを大きく低減でき、安価なベーパーセパレータを提供できる。
【0065】
又、上部蓋体2に設けた大径筒部2Aを筐体1の大径孔1Eに挿入し、上部蓋体2の小径筒部2Bを第1室1Cに挿入することによって筐体1の上方に開口する第1室1Cと第2室1Dを閉塞したことによると、冷却水室Sと燃料室Uを形成する上で極めて簡単にして且つ安価に行うことができる。
【0066】
又、前記大径筒部2Aと大径孔1Eとの挿入部位に第1弾性環状シール部材3を配置し、小径筒部2Bを第1室1Cとの挿入部位に第2弾性環状シール部材4を配置したことによると、冷却水室Sと大気との気密及び冷却水室Sと燃料室Uとの気密を極めて容易にして且つ確実に行うことができる。
【0067】
又、第2弾性環状シール部材4,4間に環状溝2Gを形成したことによると、仮に冷却水室Sから第1室1Cと小径筒部2B間の間隙を介して冷却水が燃料室U内へ侵入せんとした場合においてこの冷却水は環状溝2Gから大気開放路2Hを介して大気側へ排出される。従って、冷却水室S内の冷却水が燃料室U内へ侵入することが完全に抑止される。そして、この大気開放路2Hを上部蓋体2に形成したことによると、大気開放路2Hを極めて容易に形成できる。
【0068】
又、上部蓋体2にエアベント通路30と、低圧燃料流入路5と、開閉弁7、フロート8を備えた開閉弁装置Nを配置したことによると、予め上部蓋体2に前記構成を組付け、この上部蓋体2を筐体1に取着すればよいので、組付け作業性を向上でき、更には、エアベント通路30、低圧燃料流入路5、開閉弁装置Nのメンテナンス作業性を向上できる。又、上部蓋体2に冷却水排出路10を配置することにより、前記効果はより一層向上できる。
【0069】
又、上部蓋体2に、筐体1のメネジ孔1Ncと同一ピッチを有し、且つ小径筒部2Bの中心Qを通る複数の直線上に複数対の取付け孔2Jを設けたことによると、図10の実施例においては上部蓋体2を90度間隔でその取付け位置を変えることができる。以上によるとエアベント通路30、低圧燃料流入路5、冷却水排出路10の位置設定を容易に行うことができる。
【0070】
又、下部蓋体12に設けた大径筒部12Aを筐体1の大径孔1Gに挿入し、下部蓋体12の小径筒部12Bを第1室1Cに挿入することによって筐体1の下方に開口する第1室1Cと第2室1Dを閉塞したことによると、冷却水室Sと燃料室Uを形成する上で極めて簡単にして且つ安価に行うことができる。
【0071】
又、前記大径筒部12Aと大径孔1Gとの挿入部位に第3弾性環状シール部材13を配置し、小径筒部12Bを第1室1Cとの挿入部位に第4弾性環状シール部材14を配置したことによると、冷却水室Sと大気との気密及び冷却水室Sと燃料室Uとの気密を極めて容易にして且つ確実に行うことができる。
【0072】
又、第4弾性環状シール部材14,14間に環状溝12Gを形成したことによると、仮に冷却水室Sから第1室1Cと小径筒部12B間の間隙を介して冷却水が燃料室U内へ侵入せんとした場合においてこの冷却水は環状溝12Gから大気開放路12Hを介して大気側へ排出される。従って、冷却水室S内の冷却水が燃料室U内へ侵入することが完全に抑止される。そして、この大気開放路12Hを下部蓋体12に形成したことによると、大気開放路12Hを極めて容易に形成できる。
【0073】
又、下部蓋体12に燃料排出路12S、燃料リターン通路17を配置したことによると、予め下部蓋体12に前記構成を組付け、この下部蓋体12を筐体1に取着すればよいので、組付け作業性を向上でき、更には、低圧燃料流入路15、燃料排出路12S、燃料リターン通路17のメンテナンス作業性を向上できる。又、下部蓋体2に冷却水導入路16を配置することにより、前記効果はより一層向上できる。
【0074】
又、前記燃料リターン通路17にリターン弁座18A、弁18B、スプリング18Cよりなる燃圧調整装置Wを配置したことによると、高圧ポンプPの燃料分配管Rを含む下流側燃料通路内の燃料圧力を所定の圧力に制御することができるとともに極めて簡単な構造を有する燃圧調整装置Wを下部蓋体12に取りつけることができ、その装着性の向上とメンテナンス作業性を向上できる。
【0075】
又、リターン弁座18Aより上流側の燃料リターン通路17よりリターン通路内圧力検知通路12Rを分岐したことによると、リターン通路17内の燃料圧力を極めて容易に確認することができ、燃料分配管Rを流れる燃料圧力を正確に制御するに好適である。
【0076】
又、燃料リターン通路17を燃料室U内の第1燃料室U1内に開口したことによると、加圧された燃料が直接的に第2燃料室U2内に作用することがなく、このとき高圧ポンプPに向かう燃料排出路12Sを第2室U2内に開口したので高圧ポンプPは比較的静流状態にある燃料を吸入でき、低圧燃料流入路15、燃料リターン通路17による加圧燃料の影響を受けない。従って、高圧ポンプは正確な燃料の吐出を行うことができる。
【0077】
又、高圧ポンプPは筐体1の燃料ポンプ取付けステー1Kの弧状凹部1Mと、ポンプ取付け部材22によって挟持されるので、その取着が極めて容易に行われ、且つその際、筐体1の燃料排出路12Sと高圧ポンプPの燃料流入路P2とはL型燃料ジョイント24にて接続される。
【0078】
【発明の効果】
以上の如く、本発明になるベーパーセパレータによると、前記各構成に基づいて、燃料室を含む筐体を冷却水室によって極めて効果的に冷却できたもので、これによって燃料室内に貯溜される燃料温度の上昇を抑止できたものである。従って特に機関の熱間再始動性の向上と燃料経済性を向上できたものである。又、筐体を上下方向に渡って第1室と第2室とに隔絶して貫通形成し、その上部開口及び下部開口を上部蓋体及び下部蓋体を用いることによって閉塞して冷却水室と燃料室とを区分形成したもので、これによってベーパーセパレータの製造コストを大きく低減できたものである。更に又、前記上部蓋体に開閉弁装置を含む低圧燃料流入路、冷却水排出路を設け、下部蓋体に冷却水導入路、燃料排出路を設けたので、前記各構成を予め上部蓋体又は下部蓋体に組付けることができ、組付け性の向上とメンテナンス作業性の向上を達成できたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のベーパーセパレータの一実施例を示す縦断面図。
【図2】 図1のベーパーセパレータを下方よりみた下側平面図。
【図3】 図1の上側平面図。
【図4】 図3のA矢視方向の側面図。
【図5】 図3のB矢視方向の側面図。
【図6】 図3のC矢視方向の側面図。
【図7】 図3のD矢視方向の側面図。
【図8】 図1に使用される筐体の横断面図。
【図9】 図1のG−G線における下部蓋体のみの横断面図。
【図10】 図1のZ−Z線における上部蓋体のみの横断面図。
【図11】 本発明に使用される他の筐体の実施例における横断面図。
【図12】 従来の燃料噴射装置における燃料供給系におけるシステム図。
【符号の説明】
E 機関
H 第1室の中心
L 低圧ポンプ
N 開閉弁装置
P 高圧ポンプ
Q 小径筒部の中心
S 冷却水室
U 燃料室
W 燃圧調整装置
1 筐体
1C 第1室
1D 第2室
1J 機関取付けステー
1K 燃料ポンプ取付けステー
1Nc メネジ孔
2 上部蓋体
2A 大径筒部
2B 小径筒部
2D 環状溝
5 低圧燃料流入路
8 フロート
10 冷却水排出路
12 下部蓋体
12D 環状溝
16 冷却水導入路
17 燃料リターン通路
Claims (4)
- 燃料タンク内の燃料を低圧ポンプにてベーパーセパレータ内へ供給し、ベーパーセパレータ内に貯溜せる燃料を高圧ポンプを介して燃料分配管へ給送するとともに燃料分配管に装着された燃料噴射弁より気筒に連なる吸気管内に向けて燃料を噴射し、更に、燃料分配管内の燃料圧力を制御する燃圧調整装置を備えた燃料噴射装置において、
筐体(1)は、上端(1A)から下方に向けて大径孔(1E)が穿設され、下端(1B)から上方に向けて大径孔(1G)が穿設されると共に、大径孔(1E)の下端から大径孔(1G)の上端に向けて、第1室(1C)と第1室(1C)により区分されると共にその外周にある第2室(1D)が上下方向に貫通して穿設され、
上部蓋体(2)は、第1室(1C)の上部開口(1Ca)を閉塞する小径筒部(2B)と、大径孔(1E)を閉塞する大径筒部(2A)を備え、
下部蓋体(12)は、第1室(1C)の下部開口(1Cb)を閉塞する小径筒部(12B)と大径孔(1G)を閉塞する大径筒部(12A)を備え、
前記上部蓋体の小径筒部(2B)を第1室(1C)の上部開口(1Ca)に挿入し、大径筒部(2A)を大径孔(1E)に挿入するとともに
下部蓋体(12)の小径筒部(12B)を第1室(1C)の下部開口(1Cb)に挿入し、大径筒部(12A)を大径孔(1G)に挿入することにより、第1室(1C)を密閉して燃料室(U)として形成するとともに第2室(1D)を第1室(1C)と隔絶された冷却水室(S)として形成し、
更に前記上部蓋体には、燃料室(U)内に臨む燃料弁座(6)、燃料弁座(6)を開閉する開閉弁装置(N)及びエアベント通路(30)、冷却水室(S)の上方端を連絡する環状溝(2D)、環状溝(2D)内に開口する冷却水排出路(10)が配置され、
下部蓋体(12)には、燃料室U内に向けて開口する燃料排出路(12S)、冷却水室(S)の下方端を連絡する環状溝(12D)、環状溝(12D)に向けて開口する冷却水導入路(16)が配置され、
更に又、筐体(1)の外側面に取着される高圧ポンプ(P)の燃料吸入路(P2)と前記燃料排出路を流路接続したことを特徴とする燃料噴射装置におけるベーパーセパレータ。 - 前記、第1室の横断面は円形をなし、
第2室(1D)は、第1室(1C)の円周外側方を囲繞して複数に分離して形成されるとともに第2室(1D)の横断面を円形又は円弧状としたことを特徴とする請求項1記載の燃料噴射装置におけるベーパーセパレータ。 - 前記、筐体の第1室(1C)及び第2室(1D)を、金属材料を用いて押し出し成形したことを特徴とする請求項1記載の燃料噴射装置におけるベーパーセパレータ。
- 前記下部蓋体の底部より燃料室(U)に向けて仕切壁(12J)が突出して形成され、少なくとも燃料室(U)の下方を該仕切壁によって第1燃料室(U1)と第2燃料室(U2)とに区分し、
第1燃料室(U1)に、燃料分配管(R)を含む高圧ポンプ(P)の吐出側流路に連なる燃料リターン通路(17)を開口し、燃料排出路(12S)を第2燃料室(U2)に向けて開口したことを特徴とする請求項1記載の燃料噴射装置におけるベーパーセパレータ。
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