JP3896207B2 - 給糸装置、そのバルーニング制御ガイド及び制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、織機の緯糸の供給や合糸装置や撚糸機などに原糸を供給する給糸装置であって、糸を円筒ないし円錐状に巻いた給糸体から軸線方向に糸を引き出す給糸装置のバルーニング制御ガイド及びそのようなバルーニング制御ガイドを備えた給糸装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
織機の緯糸は通常円筒ないし円錐形に糸を巻回した給糸体から軸線方向に糸を引き出して供給される。この場合、糸は給糸体の円筒ないし円錐面を周回しながら引き出されるため、引き出された直後の糸には糸の周回に伴う遠心力が作用し、解舒された糸が給糸体の外周より外側に膨らむ所謂バルーニングが生ずる。このバルーニングにより、糸は給糸体の周面から半径方向外側に引き出されるように解舒されるので、給糸体周面の隣接する糸に擦れ合うことなく、かつ比較的安定した張力で解舒が行われる。しかしこのような特徴を有効に利用するには、糸の引出しの全領域において安定したバルーンが形成されることが不可欠である。
【0003】
安定したバルーンの形成を阻害する要因に、糸の引出速度の高速化と、糸の解舒に伴う給糸体の径の変化とがある。糸の引出速度が高速になると、糸の旋回を抑止する空気抵抗の増加により、解舒された後の糸の周回速度が急激に低下して糸が螺旋を描きながら引き出されるようになる。この状態を給糸体の側方から観察すると、糸が波打ちながら給糸体から引き出されているように見える。また引出速度が同じであっても、給糸に伴って給糸体の径が減少してくると、同じ長さの糸を引き出すのにより多い周回動作が必要になり、糸の引出速度を速くした場合と同様な現象が生じてくる。
【0004】
解舒糸が螺旋を描いて波打つように引き出されるようになると、解舒点で糸が給糸体の軸線方向に寝た状態で引き出されるようになるため、給糸体周面の隣接する糸を擦りながら解舒されてくるようになり、解舒抵抗が増大して糸の張力変動が起こり、また給糸体の糸引出側端部の複数巻き分の糸が給糸体から離脱する所謂輪抜け現象を生じて、糸の張力が急激に変化したり、糸の絡みに伴う糸切れが生じたりする。
【0005】
給糸体から解舒された糸は、給糸体から一定の間隔を隔てて給糸体の軸線上(糸引出軸上)に置かれた糸ガイドとの間でバルーニングを起こす。バルーンの形状は給糸体とこの糸ガイドとの間隔により大きな影響を受け、解舒糸が前述した螺旋を描いて波打つように引き出される状態になったとき、糸ガイドを給糸体に近づけることにより、そのような不安定な解除状態を解消することができ、解舒張力も低下する。これはたとえば長い縄跳びの紐の一端を固定して他端を速く回したときに、紐が長いときには紐全体を回すことはできないが、紐を短くすれば紐全体を速く回すことができるのと同じ原理である。
【0006】
そこで、特開昭63−126945号公報には、ラインセンサによってバルーニングの状態を検出し、その検出値に応じて給糸体と糸ガイドとの間隔を自動的に調整するようにした給糸装置が提唱されている。しかしこのような装置はバルーンの形状を検出する高価なラインセンサや、糸ガイドを移動させるサーボモータ及びそれらの制御装置を必要とし、装置が非常に高価になる。また前述した現象より明らかなように、給糸体から糸が解舒されて給糸体の径が減少するにつれ、糸ガイドを給糸体に接近させる方向に移動する必要があるが、1個の給糸体の糸がすべて解舒されて次の給糸体に移ったときに、糸ガイドを給糸体から離れた位置に瞬間的に戻すことは不可能で、給糸体の変換時に糸張力が大きく変動して糸切れが生じやすいなどの問題がある。
【0007】
給糸体から実質的に無限長の糸を供給するには、ホルダに複数の給糸体を装填して先に解舒される給糸体の糸の末端と、次に解舒される給糸体の糸の先端とを繋いでおく。先の給糸体の糸が解舒された後、ホルダに装填したすべての給糸体の糸が解舒されるまでの間に、新たな給糸体をホルダに装填して、すでに装填されている給糸体の糸の末端と新たに装填した給糸体の糸の先端とを繋いでやれば、実質的に無限長の糸を供給し続けることができる。複数の給糸体は、糸ガイドからの距離を一定にし、かつ軸線(糸を解舒する方向の軸線。通常は円筒状に巻かれた給糸体の円筒の中心軸)を糸ガイドに向けて並置された状態でホルダに装填されている。従って一つの給糸体から次の給糸体に移るとき、糸ガイドに対する給糸体からの糸の進入方向が変化する。この糸の進入方向の変化を検知することによって、糸の解舒が1個の給糸体から次の給糸体へと移ったことが検出できる。
【0008】
このような並置して装填された複数の給糸体の糸端相互を連結して、実質的に無限長の糸を供給するような給糸体においては、糸の解舒により給糸体の径が減少するのに伴って、糸ガイドと給糸体の間隔を接近させていくことは不可能である。なぜなら糸ガイドは複数の給糸体の軸線が交叉する位置に配置しておかねばならず、1個の給糸体の糸の解舒に従って当該給糸体に糸ガイドを接近させると、糸の解舒が次の給糸体に移ったとき、糸ガイドを瞬間的に正規の位置に戻さないと、次の給糸体からの糸の解舒が不能になってしまうからである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、複数の給糸体の糸端相互を連結して実質的に無限長の糸を供給する給糸装置にも採用が可能で、糸の解舒に伴うバルーニング形態の変化により生ずる種々の問題、たとえば給糸体からの糸の輪抜けや供給される糸の張力変動などの問題が生じない給糸装置を得ることを課題としている。またこの発明は、本願発明者らの発明に係る特願平9−187674号明細書に記載された発明の改良に係るものであり、給糸体の径の変化に伴うバルーニングの制御をより的確に行うことにより、より安定した張力での糸の供給を可能にすることを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の給糸装置のバルーニング制御ガイドは、主杆10と、主杆から異なる放射方向に延びる複数の枝杆11と、各枝杆の先端に糸を挿通するためのリング3とを備えている。複数のリングは主杆と平行または同一の点で交叉する中心軸7を備え、各リングは枝杆11との連接部に当該枝杆の一側から他側のリング内側へと斜めにかつ段差を有することなく繋がる貫通スリット13を備えている。複数のリングの前記斜めの方向はすべてのリングについて同一方向であり、主杆10はリング3を給糸体の軸線上にして給糸体に対して間歇回転するように装着される。
【0011】
複数の枝杆のそれぞれに1個ずつ設けた複数のリングは、主杆の軸方向に異なる位置に配置する。複数のリングをそれぞれ異なる径としたときは、好ましくは、小径のものを給糸体に近く配置する。
【0012】
下記実施形態のものでは、主杆と枝杆とを金属線材で形成している。リングは、各枝杆の先端から延びる金属線材を円形に屈曲することにより枝杆と一体に形成される。貫通スリット13は、リングに形成された金属線材の先端3aと枝杆の先端の線材の屈曲部3bとの間に形成される。
【0013】
請求項3の給糸装置のバルーニング制御装置は、給糸体の糸引出軸7上に順次進退する複数のリングを主杆10まわりの異なる角度位置に配置した上記構造のバルーニング制御ガイド5とそのリングの進退駆動手段16とを備え、各リングの貫通スリット13はリングの進退駆動手段16により先に糸引出軸7上に進入したリングが当該糸引出軸上から退避するときの退避移動方向の後側に位置することを特徴とするものである。
【0014】
また請求項4の給糸装置は、糸ガイド9と、この糸ガイドを通る複数の糸引出軸7に軸線を一致させた状態で装着される複数の給糸体1を保持する給糸体ホルダ19と、複数のリング3を主杆10まわりに等角度間隔で配置した上記構造のバルーニング制御ガイド5と、前記角度間隔と等しい角度でバルーニング制御ガイド5を間歇回転する回動軸15及びその駆動装置16とを備え、前記給糸体ホルダ19は旋回軸6まわりに回動可能で、複数の給糸体1は給糸体ホルダ19に旋回軸6を中心とする同一円周上に等間隔で配置され、前記バルーニング制御ガイド5は主杆10を旋回軸6と一致させて基端を前記回動軸15に固定して設けられている。旋回軸6は複数の糸引出軸7の中央で糸ガイド9を通る軸である。
【0015】
【作用】
給糸体1と糸ガイド9との間に進出したリング3は、遠心力によって外側へ広がろうとする解舒糸を内周で案内する。糸が解舒されて給糸体1の径が変化していく間の所定のタイミングにおいて、リングの変換を行う。リングの変換は先に選択されていたリングを糸ガイド9と給糸体1との間から退避し、新たに選択されたリングを糸ガイド9と給糸体1との間に進出させることにより行う。先のリングの退避動作に伴う糸の屈曲が糸に作用する遠心力と協働して、糸は先のリングの貫通スリットからリング外へと抜け出る。一方、バルーニングによる糸の周回動作により、先のリングから抜け出た糸は新たに進入したリングの枝杆の一側に衝突し、糸の周回動作に伴って枝杆の先端側へと引かれ、さらに貫通スリットを通ってリングの内側へと導かれる。給糸体の径や糸の引出速度などに応じて、当該給糸体の解舒開始から解舒終了に至る間に使用するリングの数、給糸体と糸ガイドとの間における各リングの位置、各リングの径及びリングを変換するタイミングを選定することにより、バルーニングを最適な状態に制御して張力の安定した給糸を実現できる。
【0016】
給糸体ホルダに装填した複数の給糸体の糸端相互を繋いで給糸体を切り換えるとき、その繋いだ部分の糸(ピックテール糸)の引出方向が変わることを利用して、リングの進退動作を行わせることなくリングの変換を行うことができる。そのためには先のリングの貫通スリットを通過する方向にピックテール糸を延在させ、次に選択されるリングが次の給糸体の糸引出軸線上で待機するようにすればよい。この場合の先のリングは給糸体の小径側に対応するリングであり、新たなリングは給糸体の大径側に対応するリングである。すなわち給糸体からの距離が異なるリング間での糸の変換が給糸体の変換と同時に瞬時に行われる。
【0017】
この発明が採用される給糸装置においては、給糸体ホルダに装填される給糸体は1個でもよいし、複数個でもよい。複数個装填するときの給糸体の数とリングの数とは同一である必要はなく、給糸体の数は給糸体の装填に要する作業の効率を考慮して定めればよく、またリングの数は前述したように給糸体の大きさや給糸条件に合わせて決定されるべきものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1ないし図3はこの発明の第1実施形態を示したもので、給糸体1を2個装填可能な給糸体ホルダ19と、2個のリング3A、3Bを有するバルーニング制御ガイド5とを備えた例である。図1及び図2において、給糸体ホルダ19は旋回軸6の両側対称な位置に給糸体1A、1Bを保持している。給糸体1A、1Bの中心軸(糸引出軸)7、7は、旋回軸6上で交叉し、この交叉する位置に糸ガイド9が設けられている。
【0019】
バルーニング制御ガイド5は主杆10の先端と中間の位置から互いに反対側に延びる枝杆11A、11Bを備えており、各枝杆の先端にリング3A、3Bが形成されている。主杆10、先端側の枝杆11A及び先端側のリング3Aは1本の線材を屈曲して一体に形成されている。中間の枝杆11Bと中間のリング3Bとは他の1本の線材を屈曲して一体に形成され、当該枝杆11Bの基端が主杆10の中間位置に溶着されている。リング3A及び3Bは、図2に示すように、各枝杆の先端を略90度屈曲した後、給糸体1から引き出される糸のバルーニングの旋回方向と同方向に円を描くように屈曲することにより形成されている。リング状にした線材の先端と、枝杆とリングとの間の屈曲部との間に糸の通過可能な間隙13が形成されている。この間隙13は請求項で言う貫通スリットとなっている。間隙13は枝杆の一側からリングの内側へと続く部分が折り曲げた金属線材によって形成されるため、リング3の周に対して実質上斜めになった貫通スリットを形成している。
【0020】
貫通スリット13をどのように形成するか、図の例で言えば、枝杆11とリング3との間の屈曲部の曲率やその屈曲部とリングの先端3aとの位置関係及びリングの先端の切断角度などは、この発明の給糸装置を円滑に作動させるための重要な要点である。この発明においては、リング3はバルーニングにより外側へ広がろうとする給糸体1からの解舒糸を、その内周で案内している。案内される糸14はリングの内周を基端(屈曲部)3b側から先端側へと周回する。先端から基端へ糸が移動するとき、貫通スリット13を横切る。このとき糸には遠心力と周回方向の慣性力とが作用している。貫通スリット13は遠心力により糸が貫通スリット13を通って外側に離脱するのに若干抵抗し、その間に糸が慣性力により貫通スリット13を横断してしまうような形状にする。たとえば屈曲部3bを急激に屈曲してリングの先端3aと屈曲部3bとの間を広くすれば、糸はリングから離脱しやすくなり、屈曲部3bをある程度の半径の円弧で屈曲し、先端3aをその屈曲部の内側に巻き込むように延在させてやれば、糸は離脱しにくくなる。
【0021】
給糸体ホルダ19の中央には、出力軸15を糸ガイド9に向けてチェンジモータ16が搭載されている。チェンジモータ16は所定のタイミングで与えられる駆動信号により、出力軸15を180度回動させる。出力軸15の軸心は旋回軸6と一致しており、バルーニングガイド5は主杆10を旋回軸6と一致させて、基端を出力軸15に固定して設けられている。チェンジモータ16が停止状態を保持しているとき、バルーニングガイドの二つのリングの一方は、給糸体の一方の糸引出軸上にあり、他方は給糸体の他方の糸引出軸上にある。
【0022】
糸ガイド9の糸の進入側すなわち給糸体ホルダ側には、糸が糸ガイド9にどちら側から進入してくるかを検出するチェンジセンサ17が設けられている。またチェンジモータ16の両側には、給糸体相互を繋ぐ糸(ピックテール糸)の中間位置を保持するテールテンサ18が取り付けられている。
【0023】
次に図1ないし5を参照して、上記実施態様の装置の動作を説明する。糸は糸引出軸上に先端側のリング3Aが位置している給糸体1Aから引き出され、先端側リング3A及び糸ガイド9を通って供給される。給糸体1Aから解舒される糸は、リング3Aの内周に沿って糸が案内されることにより、バルーニングが制御された状態で引き出されてゆく(図1の14又は図5(a)で示す状態)。糸の引出しが進行して給糸体の径が減少してきたタイミングでチェンジモータ16に駆動信号を与え、バルーニングガイド5を旋回軸6まわりに糸のバルーニングの方向と反対の方向に180度回動する。上記タイミングは糸の解糸からの給糸時間をタイマで計測するか、あるいは給糸体1Aの径を光電センサ等で検出することで設定される。
【0024】
この回動に伴い、先端側のリング3Aが給糸体1Aの糸引出軸7から移動して、図4(b)の状態になると、糸14がリング3Aの移動により屈曲されて外側に向く力が遠心力と同時に加わり、糸が貫通スリット13を通ってリングの外に離脱する(図5(b)参照)。その後速やかに中間のリング3Bが糸引出軸上に進入し、糸のバルーニング動作により糸が進入してきた中間の枝杆11Bの側面に衝突してバルーニング動作に伴って中間のリング3B側へと引き寄せられ、貫通スリット13を通って中間のリング3B内へと引き込まれる(図4(c)及び図5(c)参照)。このようにして糸は中間のリング3Bに捕捉され、この中間のリングによってバルーニングを制御された状態(図5(c)参照)で給糸が継続される。このとき先端側のリング3Aは他方の給糸体1Bの糸引出軸上に位置することとなる。
【0025】
給糸体1Aの糸がすべて解舒されると、引き出される糸はピックテール糸20の延在方向に振られ、この動作によって糸は中間のリングの貫通スリット13を通ってリング外に離脱し、他方の給糸体1Bの外周から糸が解舒される状態となる。他方の給糸体から糸が解舒されると、その周回動作により解舒された糸はその糸引出軸上にある先端側のリング3Aの枝杆11Aの側面に衝突し、旋回軸動作に伴って枝杆の先端へと移動して貫通スリット13から先端側のリング3Aの内側へと導かれる。糸が給糸体1Aから他方の給糸体1Bに移動したことは、チェンジセンサ17で検出されるから、たとえばタイマでチェンジモータ16に駆動信号を与えている場合であれば、そのタイマをリセットして新たに給糸時間をカウントすることにより、先の給糸体の場合と同様のタイミングで変換された後の給糸体に対しても先端リング3Aと中間リング3Bとの交換が行われる。
【0026】
そして前記他方の給糸体1Bから糸が引き出されている間に、空になった先の給糸体の紙管を取り外して、新たな給糸体を装填し、前記後の給糸体1Bの糸の末端を新たな給糸体の糸の先端に連結してピックテール糸をテールテンサ18Bに係糸することにより、実質的に無限長の糸を給糸することが可能になる。
【0027】
図6は図4の(a)の状態で糸が引き出されるとき、すなわちバルーニングが先端側のリング3Aでのみ制御されているときの糸の張力21と、同図(c)の状態すなわち糸が中間側のリング3Bのみで制御されているときの糸の張力22とを横軸を給糸体の径にして模式的に表示したものである。図6の糸張力線21の糸張力22の線とが交叉するタイミング23(給糸体の直径)で先端側のリング3Aと中間のリング3Bとを変換することにより、糸の解舒に伴う給糸体の径の減少に起因する糸の張力変化を少なくすることができる。リング3の位置は、図7に示すように、給糸体の外周端から45度ないし60度で引いた線上にリングの内周が位置するように配置したときに良好なバルーニング制御特性が得られる。
【0028】
図6ないし7の説明から分かるように、リングの数を多くすれば、解舒される糸の張力変化は少なくなる。たとえば解舒開始から解舒終了までの径変化が大きい大型の給糸体を使用する場合には、リングの数を多くすることが望ましい。
【0029】
図8及び9は3個のリングを用いた第2実施形態を示したもので、バルーニング制御ガイド5は、主杆10から互いに120度を為す放射方向にかつ互いに軸方向に異なる位置で分岐して延びる3本の枝杆11A、11B、11Cと、その先端に第1実施形態の場合と同様にして形成したリング3A、3B、3Cとを備えたものである。また給糸体ホルダ19は、各給糸体の糸引出軸7がバルーニングガイドの主杆10の延長上にある糸ガイド9を通るようにして3個の給糸体1A、1B、1Cを保持している。チェンジモータ16は給糸体ホルダの上に設置され、駆動信号が与えられたとき出力軸15を120度ずつ回動させるようになっており、チェンジモータ16の停止位置で3個のリングが3個の給糸体の糸引出軸上に位置するようになっている。チェンジモータ16の出力軸の回転方向は、引き出される糸のバルーニングの周回方向と反対の方向であり、チェンジモータ16の回動により、糸が引き出されている給糸体の糸引出軸上に先端側のリング3A、中間のリング3B及び基端側のリング3Cがこの順序で進入してくるようにする。
【0030】
リングを3個設けた第2実施形態のものでは、図9に示すようにバルーニングの制御が給糸体1の径の減少に応じて三段階に切り換えられる。従って二段階に切り換える第1実施形態のものより、給糸体の径変化による糸の張力変動をより少なくすることができる。
【0031】
実施形態に示した例(図1及び図8)では、給糸体ホルダ19を静止させて給糸を行っているが、給糸体1を旋回軸6まわりに回動させる構造を採用することも可能である。先の給糸体から後の給糸体に糸が変換された後、図8では給糸体ホルダ19をチェンジモータ16を停止したままチェンジモータ16の回転と同方向に回動して現に解舒されている給糸体の位置を一定位置に保持するように動かすことは、給糸体ホルダへの新たな給糸体の装填作業の作業性を良好にする。
【0034】
なお図7に示すように、リング直径を決めるときは、給糸体の外周端から45度〜60度に引いた線上にリング内周が位置するようにすれば、良好なバルーニング制御特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態を示す斜視図
【図2】 本発明のリングの詳細図
【図3】 図1の一部断面の平面図
【図4】 第1実施形態の動作説明の正面図
【図5】 第1実施形態の動作説明の側面図
【図6】 給糸体の直径−糸の張力線図
【図7】 給糸体に対するリングの位置を示す側面図
【図8】 本発明の第2実施形態を示す斜視図
【図9】 第2実施形態における給糸体とリングの関係を示す側面図
【符号の説明】
1 給糸体
3 リング
5 制御ガイド
6 旋回軸
7 中心軸
9 糸ガイド
10 主杆
11 枝杆
13 貫通スリット
16 進退駆動手段
19 給糸体ホルダ
Claims (4)
- 主杆(10)と、主杆から異なる放射方向に延びる複数の枝杆(11)と、各枝杆の先端に糸を挿通するための同径のリング(3)とを備え、複数のリングは主杆の軸方向に異なる位置にあり、複数のリングは主杆と平行または同一の点で交叉する中心軸(7)を備え、各リングは枝杆(11)との連接部に当該枝杆の一側から他側のリング内側へと斜めにかつ段差を有することなく繋がる貫通スリット(13)を備えており、前記斜めの方向はすべてのリングについて同一方向であり、主杆(10)はリング(3)を給糸体の軸線上にして給糸体に対して間歇回転するように装着されることを特徴とする、給糸装置のバルーニング制御ガイド。
- 主杆(10)と、主杆から異なる放射方向に延びる複数の枝杆(11)と、各枝杆の先端に糸を挿通するための異径のリング(3)とを備え、複数のリングは主杆の軸方向に異なる位置にあり、複数のリングは主杆と平行又は同一の点で交叉する中心軸(7)を備え、各リングは枝杆(11)との連接部に当該枝杆の一側から他側のリング内側へと斜めにかつ段差を有することなく繋がる貫通スリット(13)を備えており、前記斜めの方向はすべてのリングについて同一方向であり、主杆(10)はリング(3)を給糸体の軸線上にして給糸体に対して間歇回転するように装着されることを特徴とする、給糸装置のバルーニング制御ガイド。
- 給糸体の糸引出軸(7)上に順次進退する複数のリングを主杆(10)まわりの異なる角度位置に配置した請求項1又は2記載のバルーニング制御ガイド(5)と、そのリングの進退駆動手段(16)とを備え、各リングの貫通スリット(13)はリングの進退駆動手段(16)により先に糸引出軸上に進入したリングが当該糸引出軸上から退避するときの退避移動方向の後側に位置することを特徴とする、給糸装置のバルーニング制御装置。
- 糸ガイド(9)と、この糸ガイドを通る複数の糸引出軸(7)に軸線を一致させた状態で装着される複数の給糸体(1)を保持する給糸体ホルダ(19)と、複数のリング(3)を主杆(10)まわりに等角度間隔で配置した請求項1又は2記載のバルーニング制御ガイド(5)と、前記角度間隔と等しい角度でバルーニング制御ガイド(5)を間歇回転する回動軸(15)及びその駆動装置(16)とを備え、前記給糸体ホルダ(19)は旋回軸(6)まわりに回動可能で、複数の給糸体(1)は給糸体ホルダ(19)に旋回軸(6)を中心とする同一円周上に等間隔で配置され、前記バルーニング制御ガイド(5)は主杆(10)を旋回軸(6)と一致させて基端を前記回動軸(15)に固定して設けられており、旋回軸(6)は複数の糸引出軸(7)の中央で糸ガイド(9)を通る軸である、給糸装置。
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