JP2006316390A - 織機における緯糸供給装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】二つの給糸体20、21を対向して配置し、各給糸体20、21の終端と始端とを結び、給糸体20、21から緯糸を引き出し、緯糸貯留装置を経由して緯入れ手段に供給する。二つの給糸体20、21の緯糸引き出し方向側の各給糸体の縁20a、21aを結ぶ線の内側(緯糸引き出し方向とは反対側)に、各給糸体20、21の中心軸線L1、L2の交点Pが位置するように各給糸体20、21を配置し、交点Pに共通の緯糸ガイドとしてのパイプ32の開口端32aを配設する。
【選択図】 図3
Description
これらの現象は、織機がより高速運転されるほど、緯糸の解舒速度が高くなり、バルーン形態が悪化するため多く発生するが、同時に緯糸の消費も早いため、輪抜けが発生する給糸体が小径状態となることが時間当たりで増加し、結果として輪抜けの頻度が増加する。上記バルーン形態の異常は、給糸体の緯糸引き出し方向に設けられる緯糸ガイドを給糸体に近づけることにより解消できることが知られている。
しかし、一般に1つの緯入れ手段に対し、2つ以上の給糸体を設置し、一方の給糸体の終端を他方の給糸体の始端に結んでおき、一方の給糸体の緯糸が無くなると他方の給糸体に自動的に切り替わり緯入れを継続する方法がよく用いられている。この場合に、各給糸体の緯糸は共通の緯糸ガイドに案内されているため、前記したバルーン形態の改善のために、緯糸ガイドを給糸体に近づける手段を単純に実施することができない。この為、種々の工夫を凝らした従来技術が存在する。
そして、緯糸ドラム2Aに巻かれた緯糸2aの終端は待機中の緯糸ドラム2Bに巻かれた緯糸2bの始端と結ばれている。緯糸2aが無くなると、織機への供給は緯糸2bに移り、糸の張力で円形ヤーンガイド3は緯糸ドラム2Aの正面位置から緯糸ドラム2Bの正面位置に移動し、継続して緯糸の供給が行われる。
そして、給糸体1と上部緯糸ガイド14の間に、給糸体1から解舒されてバルーンを形成する緯糸Yを案内する略円形状のバルーン案内手段としてのリング部8が設けられている。このリング部8の内縁で緯糸Yが案内され上部緯糸ガイド14側に引き出される。リング部8には、給糸体1から予備給糸体2に切り替わる際の緯糸Yの導入、導出用の間隙部8aが形成されている。
又、特許文献2で開示された技術では、緯糸の供給が給糸体1から予備給糸体2に切り替わる時に、リング部8の間隙部8aでの緯糸の導出、導入がうまく行かず、引っかかりを生じてしまう恐れがある。又、給糸体1、予備給糸体2及び3を回転させるための回転駆動機構が必要となるため、装置が複雑となり、部品点数が増えてしまう。
請求項1記載の発明によれば、二つの給糸体の緯糸引き出し方向側の各給糸体の縁を結ぶ線の前記緯糸方向とは反対側に、各給糸体の中心軸線の交点が位置するように各給糸体を配置することにより、共通の緯糸ガイドを各給糸体に接近させて配置できるので、緯糸のバルーン形態を適正化でき、又、中心軸線の交点に緯糸ガイドを固定して設けることができるので装置の簡素化が可能となる。
請求項2記載の発明は、緯糸ガイド通過後の緯糸とバルーンとの接触を防止する。
請求項3記載の発明は、緯糸テール結びとバルーンとの干渉を防止する。
請求項4記載の発明は、給糸体の支持側へ重力を受けるので、給糸体の抜け出し方向の移動を防止する。
請求項5記載の発明は、空になった給糸体の交換を容易にする。
以下、第1の実施形態に係る織機における緯糸供給装置を図1〜図4に基づいて説明する。
図1は、本発明を実施した織機における緯糸供給装置を説明する概略図であり、床上に支柱10が立設されており、支柱10の中間部分に、支持部材11が取り付けられている。
図2に示すように、支持アーム16、17は、支柱10の中心を通る中心線C1に対して線対称となるように配設されている。
給糸体20に巻かれている緯糸W1の終端と給糸体21に巻かれている緯糸W2の始端とを結んだテール結びは、図2に示すように支持部材11の中央部と両端部の3箇所に設けられた板バネテンサで構成される止め金具23、24、25によって把持されている。
0°≦(α1、α2)≦15°
となっている。これは、給糸体20、21が、各給糸体20、21の緯糸引き出し方向側の端部S1、S2をそれぞれ上向きに傾けて対向配置されていることを示している。
又、交点Pと給糸体20との距離をG1とし、交点Pと給糸体21との距離をG2とすれば、
50mm≦(G1、G2)≦100mm
となっている。
尚、本実施形態では、中心軸線L1と中心軸線L2とパイプ32の中心軸線L4とが、同一平面上にある。
パイプ32内を上方に移動した緯糸W1は、パイプ32の上方の開口端32bを経由して、図示しない緯糸貯留装置へ引き出され、図示しない織機の緯入れ手段へ供給される。
尚、パイプ32の高さは、織機の緯入れ手段の高さに合わせて適宜配置されている。
給糸体20より解舒された緯糸W1は給糸体20の周囲から螺旋を描くように巻き解かれながら引き出され、その糸経路は遠心力によって略円錐状となった、いわゆるバルーン26を形成する。そして、交点Pの位置に存在する緯糸ガイドとしての開口端32aへ引き出されて行く。緯糸W1の消費が進み、給糸体20の径が小さくなってもバルーン26の形態が変形することはなく、適正な形態を維持したまま解舒される。従って、解舒された緯糸W1が給糸体20の表面と強く接触することがない。
これは、交点Pと給糸体20との距離G1を可能な限り小さくした結果である。
参考例配置では、給糸体50の中心軸線m1と給糸体51の中心軸線m2との交点をqとし、給糸体50の緯糸引き出し方向側の縁50aと給糸体51の緯糸引き出し方向側の縁51aを結んだ線をm3とすると、交点qの位置を線m3の外側(緯糸引き出し方向側)に存在させるように給糸体50、51が配置されている。そして、交点qの位置にパイプ52の下方の開口端52aを位置させるように、パイプ52が配置されている。又、交点qと給糸体50との距離をg1とし、交点qと給糸体51との距離をg2とする。
本実施形態では、このような現象は発生せず、安定した緯糸供給が行われる。
給糸体20の緯糸W1の消費が進み緯糸W1が無くなると、給糸体20の緯糸W1の終端と給糸体21の緯糸W2の始端とを結んでテール結びが形成されているので、緯糸供給は給糸体21へ自動的に切り替わる。そして、共通の緯糸ガイドとしての開口端32aへ引き出されて行くが、作用については、給糸体20の場合と同様であり、説明を省略する。
(1)給糸体20の引き出し方向側の縁20aと給糸体21の引き出し方向側の縁21aを結んだ線L3の内側(緯糸引き出し方向とは反対側)に中心軸線の交点Pを存在させるように給糸体20、21を配置したので、共通の緯糸ガイドとしてのパイプ32の開口端32aを各給糸体20、21に接近させて配置できるので、緯糸W1、W2のバルーン形態を適正化でき、給糸体20、21の損傷や輪抜けを防止できる。又、中心軸線の交点Pに緯糸ガイドを設けているので、一方の給糸体より他方の給糸体に緯糸の供給が切り替わっても、緯糸ガイドの位置を移動させる必要が無く、装置の簡素化が可能となる。
(2)交点Pの位置にパイプ32の下方の開口端32aを位置させるように、パイプ32が配置されているので、緯糸ガイドとしての開口端32a通過後の緯糸とバルーン26との接触を防止することができる。
(3)パイプ32の一方の開口端32aを緯糸ガイド位置である交点Pに位置させるようにパイプ32を支持バー31に固定すれば良く、リング状の案内ガイドと比較して取り付けが簡単である。
(4)給糸体20の緯糸W1の終端と給糸体21の緯糸W2の始端を結んでテール結びを形成し、テール結びをバルーン26と接触しない位置に3点で把持しているので、緯糸テール結びとバルーン26との干渉を防止することができ、安定した緯糸供給を行うことができる。又、給糸体20より給糸体21への切り替わりを自動的に行なうことができ、機械を停止させることなく、継続して緯糸供給を行うことができるので作業効率が高い。
(5)各給糸体20、21の緯糸引き出し方向側の端部S1、S2をそれぞれ上向きに傾けて対向配置されているので、給糸体20、21の抜け出し方向の移動を防止することができる。
(6)パイプ32への緯糸の導入角度θ1、θ2が鈍角となっているので、パイプ32の開口端32aの端部壁面との摩擦抵抗を小さくでき、緯糸の屈曲による糸切れを防止できる。
(7)給糸体20又は21の補給時には、空になった給糸体20又は21を保持する支持アーム16、17を反対方向に回動させて、新しい給糸体と交換することができる。従って、一方の給糸体が稼動中であっても機械を停止させることなく空になった他方の給糸体の補給作業を行うことができる。
(8)パイプ32の他方の開口端32bを緯糸貯留装置の高さに合わせて任意に設定可能である。
(9)パイプ32の下方の開口端32aを各給糸体20、21の間に位置するように、パイプ32が垂直に配設されているので、各給糸体20、21の位置を下方に持ってくることが可能となり、各給糸体20、21の補給作業を楽に行うことができる。
○ 第1の実施形態では、給糸体を2個として説明したが、3個以上あっても構わない。
○ 第1の実施形態では、各給糸体の中心軸線とパイプの中心軸線とが、同一平面上にあるとして説明したが、どれか二つが同一平面上にあり他の一つが別平面上にあっても良く、又三つともそれぞれ別平面上にあっても構わない。
○ 第1の実施形態では、緯糸ガイドをパイプで形成するとして説明したが、緯糸ガイドをリング状に形成し、各給糸体の中心軸線の交点に配置し針金等で固定しても良い。
○ 緯糸ガイドを板状部材にガイド孔を開けて形成してもよい。
○ 第1の実施形態では、パイプの高さを緯糸貯留装置の高さに合わせて垂直に配置するとして説明したが、斜めであってもよく、又水平に設置しても良い。
18、19 保持部材
20、21 給糸体
20a、21a 各給糸体の緯糸引き出し方向側の縁
26 バルーン
32 パイプ
32a 開口端(緯糸ガイド)
L1、L2 各給糸体の中心軸線
L3 各給糸体の緯糸引き出し方向側の縁を結ぶ線
P 中心軸線の交点
Claims (5)
- 少なくとも二つの給糸体を配置し、各給糸体の終端と始端とを結び、前記給糸体から緯糸を引き出し、緯糸貯留装置を経由して緯入れ手段に供給する緯糸供給装置において、
前記二つの給糸体の緯糸引き出し方向側の各給糸体の縁を結ぶ線の前記緯糸引き出し方向とは反対側に、各給糸体の中心軸線の交点が位置するように各給糸体を配置し、
前記各給糸体の中心軸線の交点に共通の緯糸ガイドを設けることを特徴とする織機における緯糸供給装置。 - 前記緯糸ガイドをパイプで形成し、前記中心軸線の交点に該パイプの開口端を配置することを特徴とする請求項1記載の織機における緯糸供給装置。
- 前記各給糸体の終端と始端とを結んで形成した緯糸テール結びの把持位置を、各給糸体より解舒された緯糸が形成するバルーンと前記緯糸テール結びとが接触しない位置に、少なくとも2箇所設けることを特徴とする請求項1又は2記載の織機における緯糸供給装置。
- 前記各給糸体の緯糸引き出し方向側の端部をそれぞれ上向きに傾けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の織機における緯糸供給装置。
- 前記各給糸体の保持部材が取り付けられるとともに、前記給糸体が前記緯糸ガイドに対向する給糸位置と、前記給糸体と前記緯糸ガイドとの対向が解除される補給位置とに変更配置可能な支持アームを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の織機における緯糸供給装置。
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